JP2832155B2 - ナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト及びその製造方法 - Google Patents
ナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト及びその製造方法Info
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Description
力貯蔵などに利用されるナトリウム−硫黄電池用のカー
ボンフェルト及びその製造方法に関するものである。
電力の利用を図るために、活物質の利用率が高く、充放
電反応の効率が良いナトリウム−硫黄電池が研究されて
いる。このナトリウム−硫黄電池においては、陽極室内
に陽極活物質としての硫黄が含浸されたフェルトが収容
されている。このフェルトはカーボン繊維よりなり、湾
曲形成されて陽極室内に複数個収容される。
ェルトの繊維表面で反応して多硫化ナトリウムを生成
し、充電時には多硫化ナトリウムがナトリウムと硫黄に
戻る。前記フェルトは、一般に次のように成形される。
すなわち、ポリアクリロニトリル繊維が200℃程度ま
で加熱されて耐炎化処理される。この耐炎化繊維はフェ
ルト化され、ニードルパンチングが施される。その後、
このフェルトは約2000℃で焼成される。
な従来の製造方法により得られたカーボンフェルトをナ
トリウム−硫黄電池の陽極室に収容すると、カーボンフ
ェルトの外周面と陽極容器との間の接触抵抗が大きく、
かつナトリウムイオンの移動が抑制され、充電時に陽極
室内の陽極容器側で多硫化ナトリウムが残存しやすい。
その結果、電池の抵抗が大きく、充電回復率が低いとい
う問題があった。
る問題に鑑みてなされたものである。その目的とすると
ころは、ナトリウム−硫黄電池の陽極室内に収容された
とき、陽極容器との間の接触抵抗が低減され、ナトリウ
ムイオンの移動が容易となって充電反応が促進され、電
池抵抗を低減するとともに、充電回復率の向上を図るこ
とができるナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト及
びその製造方法を提供することにある。
ために、請求項1のナトリウム−硫黄電池用カーボンフ
ェルトの発明では、フェルトは、その厚さ方向へ配向し
た繊維がフェルトの片側面より突出しているものであ
る。
カーボンフェルトの製造方法の発明では、フェルトはそ
の厚さ方向へ深くニードルパンチングが施され、フェル
トのニードルの侵入面と反対の側面より繊維が突出され
るものである。
フェルトの製造方法では、フェルトの厚さ方向へ深くニ
ードルパンチングが施され、フェルトの繊維がそのニー
ドルの侵入面と反対の側面より突出形成されている。
繊維が突出した部分を陽極容器側にして、ナトリウム−
硫黄電池の陽極室内に収容すると、突出した繊維が陽極
容器に密着して接触抵抗が低減される。そのため、電池
抵抗が低減し、かつナトリウム−イオンの移動が容易と
なって、充電反応が促進され、充電回復率の向上を図る
ことができる。
用カーボンフェルト及びその製造方法を具体化した実施
例について、図1〜6に基づいて説明する。まず、ナト
リウム−硫黄電池について説明する。図1,2に示すよ
うに、アルミニウム合金よりなる陽極容器1は円筒状に
形成されてその底部に底蓋2が接合されるとともに、上
部外周面に陽極端子3が取付けられている。アルファア
ルミナ製の絶縁リング4は陽極容器1の上端部に接合固
定されている。有底円筒状をなすナトリウムイオン透過
性の固体電解質管5はベータアルミナにより形成され、
その上端外周面が絶縁リング4の内周面に接合されてい
る。陽極室6は陽極容器1と固体電解質管5との間にお
いて環状に形成されている。陽極用のフェルト7は、カ
ーボン繊維により形成され、陽極室6内に収容されて陽
極活物質である硫黄Sが含浸されている。
形成される陰極室14内に配置され、密閉状に形成され
て内部に陰極活物質である溶融した金属ナトリウムNa
が収容されている。ナトリウムの供給孔8aはカートリ
ッジ8の底部に透設され、カートリッジ8内のナトリウ
ムNaを固体電解質管5側へ導出する。安全管9は固体
電解質管5とカートリッジ8との間隙に配置され、固体
電解質管5の破損によるカートリッジ8の損傷を防止し
ている。陰極蓋10は絶縁リング4の上端面に固着さ
れ、その上面には陰極端子11が取付けられている。な
お、コイルスプリング12はカートリッジ8の上端面と
陰極蓋10の内面間に介装され、カートリッジ8の浮き
上がりを防止している。
温で動作し、充電及び放電反応が行われる。すなわち、
放電時には陽極室6内のフェルト7中でナトリウムNa
と硫黄Sが反応して多硫化ナトリウム(Na2 SX )が
生成し、充電時には多硫化ナトリウムがナトリウムNa
と硫黄Sに戻り、ナトリウムNaはナトリウムイオンと
なって陰極室14内へ戻る。
方法及び陽極室6内へのフェルト7の収容方法について
説明する。まず、有機繊維としてのポリアクリロニトリ
ル繊維が、所定の厚さを有するフェルト7に成形され
る。このフェルト7は耐炎化工程において200℃程度
に加熱されて酸化され、黒色の耐炎化繊維に形成され
る。次いで、図5に示すように、ポリアクリロニトリル
繊維の耐炎化繊維によるフェルト7に対してニードルパ
ンチングが施される。このニードルパンチングは、フェ
ルト7を構成する繊維15がフェルト7のニードル侵入
面と反対の側面より突出するようにニードルがフェルト
を深く貫通することにより行われる。そして、マット7
の突出繊維15aがフェルト7の側面よりわずかに、例
えば1mm程度突出する。
出されるが、繊維15が切れた状態であってもよい。突
出繊維15aの密度は高く、反発力が大きい方が望まし
い。この突出繊維15aの突出距離があまり長いと反発
力が弱くなり、かえって陽極容器1との接触抵抗が大き
くなって好ましくない。このニードルパンチングによ
り、フェルト7の繊維15がその厚さ方向Xに配向さ
れ、ナトリウムイオンが厚さ方向Xに配向された繊維1
5に沿って移動し易くなる。
7は約2000℃での焼成により黒鉛化処理が施され
る。このフェルト7は、図3に示すように、所定の大き
さの直方体状に切断される。
ニードルパンチング面を内側にして幅方向に湾曲状に成
形される。そして、湾曲状に成形された3つのフェルト
7が円筒状に形成され、図2に示すように、これらのフ
ェルト7が圧縮状態で陽極室6内に収容される。このと
き、図6に示すように、フェルト7の突出繊維15が陽
極容器1の内周面に接触し、接触抵抗が低減され、しか
もナトリウムイオンの移動が容易になる。
のナトリウムNaがカートリッジ8底部の供給孔8aを
経て安全管9内に移動し、さらに固体電解質管5と安全
管9との間隙へと移動する。そして、ナトリウムイオン
が固体電解質管5内を透過して陽極室6へ移動し、前記
のように成形されたフェルト7内の繊維15表面で硫黄
Sと反応して多硫化ナトリウムを生成する。
6内の多硫化ナトリウムが繊維15表面でナトリウムイ
オンと硫黄に戻る。生成したこのナトリウムイオンはフ
ェルト7の厚さ方向Xに延びる繊維15に沿って移動
し、固体電解質管5の外表面に至る。ナトリウムイオン
はさらに固体電解質管5内を透過し、安全管9内から供
給孔8aを経てカートリッジ8内へ戻る。
黄電池用カーボンフェルトの製造方法では、ニードルパ
ンチングにより得られたフェルト7は、その側面より所
定長さだけ突出形成された突出繊維15aを有してい
る。
を陽極容器1側にして、ナトリウム−硫黄電池の陽極室
6内に収容されると、突出繊維15aが陽極容器1に接
触して接触抵抗が低減される。しかも、ナトリウム−イ
オンの移動が容易となる。その結果、電池の内部抵抗が
低減され、かつ充電回復率が向上する。
炎化処理した2デニール品の繊維を用い、フェルト7を
製作した。このフェルト7にニードルパンチングを施し
て厚さ10mmのフェルト7を得た。この際、ニードルパ
ンチングの深さを考慮して突出量が約1mmの突出繊維1
5aを形成したフェルト7と、繊維15を突出させない
フェルト7の2種類を製作した。そして、これらのフェ
ルト7を電池の陽極室6内に収容し、電池の内部抵抗
と、充電回復率を測定した。その結果、前者は後者に比
較して、内部抵抗が5%減少し、充電回復率が2%向上
した。
ものではなく、例えば次のように構成を変更して具体化
することも可能である。 (イ)フェルト7表面に、電子伝導性がなく多硫化ナト
リウムの酸化還元反応を抑制するアルファアルミナ粉体
やガラス繊維などよりなる高抵抗体13を散布するこ
と。 (ロ)カーボンフェルトの原料となる有機繊維として、
セルロース繊維、リグニンを原料とする繊維、石油系又
は石炭系ピッチを出発原料とする繊維などを使用するこ
と。 (ハ)フェルト7上にV字状の溝を設けること。 (ニ)フェルト7の分割数を変えること。
項以外の技術的思想について、その効果とともに以下に
記載する。 (1)ニードルパンチングは、所定長の突出繊維が形成
されるようにニードルがフェルトを貫通して行われる請
求項2に記載のナトリウム−硫黄電池用カーボンフェル
トの製造方法。この方法により、フェルトの突出繊維が
所定密度をもって確実に形成される。
リウム−硫黄電池用カーボンフェルト及びその製造方法
によれば、ナトリウム−硫黄電池の陽極室内に収容され
たとき、陽極容器との間の接触抵抗が低減され、かつナ
トリウムイオンの移動が容易となって充電反応が促進さ
れ、電池抵抗低減化と充電回復率の向上を図ることがで
きる。
硫黄電池を示す断面図である。
示す斜視図である。
を示す斜視図である。
繊維を形成した状態を示す説明図である。
に収容した状態を示す部分拡大断面図である。
極用のカーボンフェルト、14…陰極室、15…繊維、
15a…突出繊維、Na…ナトリウム、S…硫黄、X…
厚さ方向。
Claims (2)
- 【請求項1】 筒状の陽極容器内にナトリウムイオンを
選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配置し、
陽極容器と固体電解質管との間に形成される陽極室に陽
極活物質としての硫黄を収容するとともに、固体電解質
管内の陰極室に陰極活物質としてのナトリウムを収容し
たナトリウム−硫黄電池の前記陽極室に硫黄を含浸させ
るためのナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルトにお
いて、前記フェルトは、その厚さ方向へ配向した繊維が
フェルトの片側面より突出しているナトリウム−硫黄電
池用カーボンフェルト。 - 【請求項2】 筒状の陽極容器内にナトリウムイオンを
選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配置し、
陽極容器と固体電解質管との間に形成される陽極室に陽
極活物質としての硫黄を収容するとともに、固体電解質
管内の陰極室に陰極活物質としてのナトリウムを収容し
たナトリウム−硫黄電池の前記陽極室に硫黄を含浸させ
るためのナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルトの製
造方法において、 前記フェルトは、その厚さ方向へ深くニードルパンチン
グが施され、フェルトのニードルの侵入面と反対の側面
より繊維が突出されるナトリウム−硫黄電池用カーボン
フェルトの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6198576A JP2832155B2 (ja) | 1994-08-23 | 1994-08-23 | ナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6198576A JP2832155B2 (ja) | 1994-08-23 | 1994-08-23 | ナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0864236A JPH0864236A (ja) | 1996-03-08 |
JP2832155B2 true JP2832155B2 (ja) | 1998-12-02 |
Family
ID=16393478
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6198576A Expired - Lifetime JP2832155B2 (ja) | 1994-08-23 | 1994-08-23 | ナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2832155B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2286199B (en) * | 1994-01-27 | 1997-06-11 | Pirelli General Plc | A method of forming an optical fibre preform |
EP1449948B8 (en) * | 2001-10-18 | 2014-01-08 | Mitsubishi Rayon Co., Ltd. | Carbon fiber nonwoven band-shaped article and its manufacture method |
-
1994
- 1994-08-23 JP JP6198576A patent/JP2832155B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0864236A (ja) | 1996-03-08 |
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