JPH08128612A - ストーカ式搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼却処理帯の幅方向に於けるゴミの移動が起
こり難いとともに、焼却処理帯幅方向各部位に於ける最
低ゴミ量を確保でき、幅方向に於ける均等処理が可能な
ストーカ式搬送装置を得る。 【構成】 焼却炉の底部側に配設されて上部にゴミの焼
却処理帯１２を形成し、ゴミの搬送方向Ａに、後方側に
位置するロストルが前方側に位置するロストルの上面に
一部重なる状態で、固定ロストル１４ａと可動ロストル
１５ａとを交互に備え、可動ロストル１５ａが固定ロス
トル１４ａに対して往復摺動自在に構成されるととも
に、搬送方向Ａに直交する方向Ｂに同種のロストルを複
数個並設して構成され、両ロストルの上面露出部がゴミ
載置面とされるストーカ式搬送装置において、ゴミ載置
面を前記方向Ｂで所定ピッチで繰り返される波型凹凸面
として形成する傾斜面部を、ロストルに備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ストーカ式搬送装置に
関し、更に詳しくは、焼却炉の底部側に配設されて上部
にゴミの焼却処理帯を形成し、ゴミの搬送方向である前
記焼却処理帯の長手方向に、後方側に位置するロストル
が前方側に位置するロストルの上面に一部重なる状態
で、固定ロストルと可動ロストルとを交互に備え、可動
ロストルが固定ロストルに対して往復摺動自在に構成さ
れるとともに、搬送方向に直交する焼却処理帯の幅方向
に同種のロストルが複数個並設され、両ロストルの上面
露出部がゴミ載置面とされるストーカ式搬送装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】こういったストーカ式搬送装置は、焼却
炉の炉底部側に配設されて、炉内へ投入されたゴミを所
定方向に搬送しながら乾燥、燃焼、灰化処理する焼却処
理帯を、その上部に形成する。ここでゴミの搬送にあた
っては、可動ロストルが固定ロストルの上面を往復摺動
移動して、ゴミを所定の搬送方向Ａに移動させる。こう
いったストーカ式搬送装置を備えた焼却炉の断面構成を
図１０に示し、ストーカ式搬送装置に備えられるロスト
ルの従来形状を図９に示した。同図に示すように、従来
のロストルは概略方形に形成されていた。ここで、ロス
トルの上面１ｃは平坦面として構成され、図１０に示す
ように焼却処理帯の幅方向Ｂにおいては，同種のロスト
ルが複数個、この方向に並設されるため、この方向にお
ける複数のロストル露出面で構成されるゴミ載置面は、
ほぼ水平で平坦な面とされていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記構成のストーカ式
搬送装置においては、ゴミの処理の進行に伴って、図１
０に示すように、焼却処理帯の幅方向Ｂにおける中央側
部位のゴミ厚が厚く、両端部側部位のゴミ厚が薄くな
り、焼却処理帯の幅方向に於ける均等処理が不可能とな
る問題があった。さらに、このような状態となると、ス
トーカ式搬送装置の下方より供給される予熱空気等の焼
却処理帯特定部位（図１０に示す状態においては、焼却
処理帯幅方向の両側端部）に於ける吹き抜けが発生し、
異常燃焼を生じる等の問題が発生しやすかった。従っ
て、この要因によりロストルの寿命が短くなるととも
に、焼却処理帯全面における均一且つ効率的な処理が行
えなかった。本発明の目的は、焼却処理帯の幅方向に於
けるゴミの移動が起こり難いとともに、焼却処理帯幅方
向各部位に於ける最低ゴミ量を確保でき、幅方向に於け
る均等処理が可能なストーカ式搬送装置を得ることにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明における請求項１
に係わるストーカ式搬送装置の本願第１の特徴構成は、
ゴミ載置面を焼却処理帯の幅方向で、所定ピッチで繰り
返される波型凹凸面として形成する傾斜面部を、ロスト
ルに備えたことにある。さらに、本願第１の特徴構成に
おいて、前記傾斜面部を構成するに、ロストルの上面
に、焼却処理帯の幅方向の断面でＶ字型となるＶ字型凹
部を備えるのが好ましい。これが、請求項２に係わるス
トーカ式搬送装置の本願第２の特徴構成である。

【０００５】

【作用】本願第１の特徴構成のストーカ式搬送装置にお
いては、ロストルに傾斜面部を備えることにより、焼却
処理帯の横断方向に波型の凹凸面が形成される。そし
て、この面上のゴミは、少なくともその凹部内に残留す
る。従って、この部位において、ゴミが最低量確保さ
れ、焼却処理帯の幅方向に於けるゴミの移動の確率が低
下するとともに、従来に比べて、実質上、焼却処理帯の
幅方向でゴミが均等に分布する状態となり、この方向で
の均等処理が可能となる。従って、例えば、焼却処理帯
の一部部位に於ける吹き抜けの問題を解消できる。本願
第２の特徴構成のストーカ式搬送装置においては、ロス
トルの上面にＶ字型凹部が形成され、このロストルの幅
のピッチで、波型凹凸面が焼却処理帯の幅方向に形成さ
れる。即ち、個々のロストルの中央側が凹側底部とな
り、各ロストル間部位が凸側高部となる波型となる。こ
の構成においては、個々のロストルの概中央部位に最低
量のゴミが保持されて、その処理が進む。さらに、搬送
方向においては、Ｖ字型となっているゴミ搬送経路が、
前後方向に渡って配設されるロストル間で直線状に形成
できるため、同一単一形状のロストルを多数得て、これ
を焼却処理帯の幅方向に配列するだけの操作で、上記目
的を達成するための焼却処理帯を得ることができる。

【０００６】

【発明の効果】従って、第１の特徴構成を備えることに
より、焼却処理帯の幅方向に於けるゴミの移動が起こり
難いとともに、焼却処理帯幅方向各部位に於ける最低ゴ
ミ量を確保でき、幅方向に於ける均等処理が可能なスト
ーカ式搬送装置を得ることができるとともに、ロストル
の寿命を長くでき、効率的な処理が可能となった。第２
の特徴構成を備えることにより、比較的簡単な形状で、
同一形状のロストルを多数形成して、従来の焼却炉に対
しても容易に交換、適応できるストーカ式搬送装置を得
ることができるようになった。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本願が対象とするゴミ焼却炉は、図１に示すよう
に、ゴミを蓄積するホッパー１０と、その下部に備えた
プッシャー１１と、炉内へ投入されたゴミを焼却処理す
る焼却処理帯１２と、焼却処理された灰を集める灰ピッ
ト１３等を備えて構成される。

【０００８】前記焼却処理帯１２は、ゴミを攪拌搬送し
ながら乾燥させる乾燥帯ａ、燃焼させる燃焼帯ｂ、灰化
する後燃焼帯ｃの三段の処理帯を、搬送方向Ａに階段状
に配置して構成してある。各焼却処理帯ａ，ｂ，ｃは、
対応するストーカ式搬送装置１２０を夫々備えて構成さ
れ、これらのストーカ式搬送装置１２０は、夫々、図２
に示すように、固定フレーム１４と、固定フレーム１４
に対して搬送方向Ａに沿って前後に往復移動自在の可動
フレーム１５との夫々に横架した支持部材１６に、焼却
処理帯１２の幅方向にロストルＲを複数個並設して構成
されている。さらに、固定フレーム１４に対して備えら
れる固定ロストル１４ａ（Ｒ）と可動フレーム１５に対
して備えられる可動ロストル１５ａ（Ｒ）とは、搬送方
向Ａに沿って交互に配置されている。この構成により、
可動フレーム１５を油圧シリンダー１７を用いて往復移
動させることにより、可動フレーム１５に配した可動ロ
ストル１５ａ（Ｒ）が、固定フレーム１４に配した固定
ロストル１４ａ（Ｒ）の上面１ｃに摺動しながら前記支
持部材１６を軸として斜め上下方向に往復移動すること
により、ロストルＲの前端面でゴミを押圧して搬送す
る。即ち、ゴミの搬送方向である焼却処理帯１２の長手
方向Ａに、固定ロストル１４ａと可動ロストル１５ａと
が、後方側に位置するロストルが前方側に位置するロス
トルの上面１ｃに一部重なる位置関係で交互に備えら
れ、可動ロストル１５ａが固定ロストル１４ａに対して
往復摺動自在に構成されるとともに、搬送方向Ａに直交
する焼却処理帯の幅方向Ｂに同種のロストルが複数個並
設されて、ロストルＲの上面露出部がゴミ載置面とされ
ている。

【０００９】各焼却処理帯ａ，ｂ，ｃの下方には、図１
に示すように、ブロアファン１８からの燃焼用空気を排
ガスを利用して約４００℃に加熱する加熱器２０を介し
て焼却処理帯上のゴミに供給する風箱１９を設けてあ
り、風箱１９から供給される燃焼用の空気が、ロストル
Ｒ内に設けられる気体流路Ｐに導かれ、気体流路Ｐを流
れる際に予熱された後に、ロストルＲの上面及び先端面
に形成された吐き出し孔３（３ａ、３ｂ）から噴出され
る。

【００１０】本発明に係るストーカ式搬送装置１２０に
備えられる各ロストル（固定ロストル１４ａ、可動ロス
トル１５ａ共）Ｒには、本願独特の形状が採用されてい
る。図４にこれらのロストルＲの斜視図が、図５にロス
トルＲの側面図が示されている。これらのロストルＲ
は、本体が耐熱鋳鋼品（ＳＣＨ２等）よりなる筐体１を
備えて構成されている。

【００１１】図示するように、この筐体１は、従来同様
に概略構成方形に構成されるとともに、その基端側に前
述の支持部材１６に支持される被支持部１ａが、先端側
に搬送方向Ａで前方側に位置するロストルの上面に摺接
して支持されせる摺接先端部１ｂを備えて構成されてい
る。筐体１の上面１ｃが、後続する前記摺接先端部１ｂ
が摺接する摺接面として構成されている。図示するよう
に、筐体１の上面１ｃは、焼却処理帯の幅方向Ｂの断面
でＶ字型となるＶ字型凹部２として構成されている。こ
れらのＶ字型凹部２の表面が、複数のロストルＲが焼却
処理帯１２の幅方向Ｂに並設された状態で、前記ゴミ載
置面を、所定ピッチ（この例の場合は各ロストルＲの幅
分のピッチ）で繰り返される波型凹凸面として形成す
る。ここで、Ｖ字型凹部２の各面を傾斜面部と呼ぶ。一
方、この例においては、搬送方向Ａで前方側に位置する
ロストル上に載置されるロストルの摺接先端部１ｂの下
面が中央部で下方に張り出したＶ字型下端面４として構
成され、図２に示される様に組み付けられて使用され
る。さて、前記Ｖ字型凹部２で、凹部中央側に位置する
位置に密に、ロストル内部より気体を吹き出す上面気体
吐き出し孔３ａが設けられている。従って、焼却処理帯
１２に於ける処理にあっては、ゴミ載置面上にあるゴミ
で、凹部下端側から燃焼用の空気を供給して、ゴミに対
する均等拡散状態を確保しながら処理を進めることがで
きる。

【００１２】さらに、前記筐体１の先端には、前記気体
流路Ｐを流れる気体を吹き出す先端吐き出し孔３ｂが形
成されている。前記筐体１の基端部である前記被支持部
１ａには、後述のフレームに架け渡した支持部材１６へ
の枢支用の円弧状の凹部６が形成されている。また、前
記筐体１における前記凹部６の近傍部分から先端側部分
にかけての底部には、ステンレス鋼（ＳＵＳ３０４等）
製の蓋体７が取り付けられている。

【００１３】以下に別実施例を説明する。上記の実施例
においては、前記傾斜面部を構成するに、各ロストルの
上面にＶ字型凹部２を備えたが、本願の趣旨からすれ
ば、焼却処理帯の幅方向Ｂに並設されるロストル間に渡
って波型凹凸面を構成すればよいため、図６、図７、図
８に示すような形状に、筐体１の先端を構成してもよ
い。図６に示す例においては、前記傾斜面部を構成する
に、個々のロストルの上面１ｃに、焼却処理帯の幅方向
Ｂの断面において、山型となる山型凸部８が備えられて
いる。従って、各ロストル間において谷型凹部９を形成
することができる。但し、この例の場合は、前方側に位
置するロストルに上方より後方側のロストルが摺接する
部位は、平坦面として構成される。一方、図７、図８に
示す例においては、上記の山型凸部８を備えるととも
に、搬送方向で前方側に位置するロストル上に摺接する
ロストルの摺接先端部１ｂの下面が中央部で下方に張り
出したＶ字型下端面４として構成され、搬送方向Ａにお
いて、順次配設されるロストルが焼却処理帯の幅方向Ｂ
で、各ロストルの半幅分だけ位相がずれて配設される。
この場合も又、各ロストル間に形成されるゴミ載置面上
の凹部に、確実にゴミ（Ｄにて示す）を位置させて、均
等処理をおこなうことが可能であるとともに、図８に示
すように、ゴミＤの搬送に従って、ゴミＤを焼却処理帯
の幅方向Ｂに移動させることが可能となり、適切な混
合、拡散をおこなった状態でゴミＤの処理を進めること
ができる。

【００１４】上述の実施例は、ロストルを介して燃焼用
空気を供給するものであったが、燃焼用気体は前記空気
に限定されるものではなく、その他の気体を供給するも
のであってもよい。例えば、焼却炉に用いられる発電施
設用に設けた燃焼式過熱器の酸素リッチな排ガス等を供
給するものであってもよい。

【００１５】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】焼却炉のブロック構成図

【図２】ストーカ式搬送機構の斜視図

【図３】図２に示すストーカ式搬送装置を備えた焼却炉
の断面図

【図４】図２に示すストーカ式搬送装置に備えられるロ
ストルの斜視図

【図５】図４に示すロストルの側面図

【図６】別実施例のストーカ式搬送装置を備えた焼却炉
の断面図

【図７】さらなるストーカ式搬送装置の別実施例の斜視
図

【図８】図７に示すストーカ式搬送装置のゴミの移動状
態を示す図

【図９】従来のストーカ式搬送装置に備えられるロスト
ルの斜視図

【図１０】従来のストーカ式搬送装置を備えた焼却炉の
断面図

【符号の説明】

１２ 焼却処理帯 １４ａ 固定ロストル １５ａ 可動ロストル Ａ 搬送方向 Ｂ 搬送方向に直交する方向

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 焼却炉の底部側に配設されて上部にゴミ
   の焼却処理帯（１２）を形成し、前記ゴミの搬送方向で
   ある前記処理帯の長手方向（Ａ）に、後方側に位置する
   ロストルが前方側に位置するロストルの上面（１ｃ）に
   一部重なる状態で、固定ロストル（１４ａ）と可動ロス
   トル（１５ａ）とを交互に備え、前記可動ロストル（１
   ５ａ）が前記固定ロストル（１４ａ）に対して往復摺動
   自在に構成されるとともに、前記搬送方向に直交する前
   記焼却処理帯の幅方向（Ｂ）に同種のロストルが複数個
   並設され、前記両ロストルの上面露出部がゴミ載置面と
   されるストーカ式搬送装置であって、 前記ゴミ載置面を前記焼却処理帯の幅方向（Ｂ）で所定
   ピッチで繰り返される波型凹凸面として形成する傾斜面
   部を、前記ロストルに備えたストーカ式搬送装置。
2. 【請求項２】 前記傾斜面部を構成するに、前記ロスト
   ルの上面に、前記焼却処理帯（１２）の幅方向の断面で
   Ｖ字型となるＶ字型凹部（２）を備えた請求項１記載の
   ストーカ式搬送装置。