JPH0812794B2 - 希ガス放電蛍光ランプの点灯方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は，フアクシミリ，複写機，イメージリーダ
など情報機器に用いられる希ガス放電蛍光ランプの点灯
方法に関するものである。

〔従来の技術〕 近年，情報化社会の進展とともに，フアクシミリや複
写機，イメージリーダなどの情報端末機器は高性能化
し，その市場は急激に拡大している。この高性能化する
情報機器を開発する上で，そこに使用される光源ユニツ
トはキーデバイスとして高性能なものが求められてい
る。従来，この光源ユニツトに使用されるランプとして
ハロゲンランプと蛍光ランプが多く用いられてきた。し
かし，ハロゲンランプは，その効率の悪さから近年は効
率のよい蛍光ランプが主に用いられるようになつてい
る。

しかしながら，蛍光ランプは効率が高い反面水銀蒸気
の放電を発光に利用しているため光出力などの特性が温
度によつて変化する問題があり，そのため使用温度範囲
を制限したり，あるいはランプ管壁にヒーターを付け温
度制御するなどして使用していた。しかし，使用場所の
多様化，機器の高性能化から特性の安定した蛍光ランプ
の開発が強く望まれるようになつた。このような背景か
ら情報機器用光源として温度特性変化のない希ガス放電
による発光を利用した希ガス放電蛍光ランプの開発がな
されている。

第７図，第８図は例えば特開昭63−58752号公報に示
された従来の希ガス放電蛍光ランプ装置を示すものであ
り，第７図は希ガス放電蛍光ランプの横断面と装置の全
体構成を示す構成図，第８図はランプの縦断面図であ
る。図において，（１）は細長い中空棒状をなすバルブ
であり，石英または硬質あるいは軟質ガラスにより形成
されている。このバルブ（１）の内面には蛍光体被膜
（２）が形成されており，かつバルブ（１）内にはキセ
ノン，クリプトン，アルゴン，ネオン，ヘリウム等の少
なくとも１種からなる希ガスが封入されている。上記バ
ルブ（１）内には両端部に位置して互いに極性が異なる
一対の内部電極（3a），（3b）が設けられている。これ
ら内部電極（3a），（3b）は，バルブ（１）の端部壁を
気密に貫通されたリード線（４）に接続されている。ま
たバルブ（１）の側壁外面には軸方向に沿つて帯状の外
部電極（５）が設けられている。

上記内部電極（3a），（3b）は，リード線（４）を介
して高周波電力発生装置としての高周波インバータ
（８）に接続され，この高周波インバータ（８）は直流
電源（９）に接続されている。そして，外部電極（５）
は一方の内部電極（3a）と同極性となるようにして高周
波インバータ（８）に接続されている。

次に動作について説明する。このような構成の希ガス
放電蛍光ランプ装置においては，高周波インバータ
（８）を通じて内部電極（3a），（3b）間に高周波電力
を印加すると，これら内部電極（3a），（3b）間でグロ
ー放電が発生する。このグロー放電はバルブ（１）内の
希ガスを励起し，希ガス特有の紫外線を発する。この紫
外線はバルブ（１）内面に形成した蛍光体被膜（２）を
励起し，ここから可視光線が発され，バルブ（１）の外
部に放出される。

また，他の希ガス放電蛍光ランプの例として特開昭63
−248050号公報に示されたものがある。このランプは冷
陰極希ガス放電ランプの始動電圧が高い欠点を改良する
ために，例えば特公昭63−29931号公報などに示されて
いる熱陰極電極を用いたものである。この希ガス放電蛍
光ランプは電力負荷を増大できるため出力を増すことが
できる。しかし，水銀蒸気による蛍光ランプに比較して
かなり低い効率と光出力しか得ることができない。

〔発明が解決しようとする課題〕

以上のように，従来の希ガス放電蛍光ランプは，希ガ
ス放電により発生する紫外線によつて蛍光体を発光させ
るので，水銀蒸気の蛍光ランプと比べて十分な輝度，効
率を得ることができなかつた。

この発明は上記のような問題点を解消するためになさ
れたもので，希ガス放電蛍光ランプをより高輝度，高効
率に点灯するランプの点灯方法を得ることを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

この発明に係る希ガス放電蛍光ランプの点灯方法は，
内面に蛍光体層が形成され，両端に一対の電極を有する
ガラスバルブ内に10Torr以上200Torr以下のキセノンガ
スを封入して希ガス放電蛍光ランプを構成するととも
に，一周期に対する通電時間の割合が５％以上70％以
下，通電時間150μsec以下のパルス状電圧を上記両電極
間に印加して上記希ガス放電蛍光ランプを点灯するよう
にしたものである。

〔作 用〕

この発明においては，間欠点灯に適し，効率がよくな
るようにガラスバルブ内にキセノンガスを10Torr以上20
0Torr以下の圧力で封入し，かつ一周期に対する通電時
間の割合が70％以下，通電時間150μsec以下のパルス状
電圧を印加して点灯するようにしたので，このパルス状
電圧の印加により，発光に寄与するキセノンガスの共鳴
紫外線を多く発するようなエネルギー準位でキセノン分
子が励起される確率が増大し，ランプの光出力，効率が
大きくなるとともに，一周期中の通電時間の割合を５％
以上としたので，パルス状電圧の印加による電極の損耗
が抑制される。

〔発明の実施例〕

以下この発明の実施例を図について説明する。

第１図は，本発明の一実施例の全体構成図である。
（10）は希ガス放電蛍光ランプで，直径15.5mm,長さ300
mmの直状円筒状のガラス製のバルブの内周面のほゞ全面
に蛍光体膜が形成されており，バルブ内にはキセノンガ
スが封入されている。バルブ（10）内の両端部には一対
の電極（3a），（3b）が封止されている。バルブ外壁に
は始動補助導体として幅3mmのアルミニウム板がランプ
全長にわたつて接着されている。（11）は直流電源であ
り，希ガス蛍光ランプの電極（3a），（3b）に接続さ
れ，直流電圧を供給する。（12）はFETなどのスイツチ
ング素子であり，希ガス蛍光ランプに並列に接続されラ
ンプにかかる直流電圧をオン／オフする働きをもつ。
（13）はパルス信号源であり，スイツチング素子（12）
はこのパルス信号源（13）の発するパルスの周期，パル
ス幅でスイツチングを行い，希ガス放電蛍光ランプ（1
0）への印加電圧を直流矩形波パルスにする働きをも
ち，このパルス電圧によりランプが間欠点灯される。
（14）は抵抗で電流制限素子である。

次に，上記した希ガス放電蛍光ランプ装置について，
ランプ間欠点灯におけるランプ内のキセノンガス封入圧
力，一周期中の通電時間の割合（以下間欠比という），
通電時間を変えて輝度，効率を測定する実験を行つた。

第２図は封入ガス圧力と，ランプ効率の関係を示して
いる。なお，ランプ効率は輝度を電力で割つた値から求
められる。第２図中，（イ）は間欠比60％の矩形波直流
パルス点灯の場合，（ロ）は通常の高周波交流点灯（正
弦波）の場合を示し，ともに周波数20kHz,同一電力での
値である。10Torr以下の封入圧に於てはパルス点灯も，
交流点灯も効率に大差はないが,10Torr以上ではパルス
点灯時の効率が交流点灯時の効率を上回ることがわか
る。しかし，封入圧が約70Torr以上になると，交流点灯
のランプの効率は上昇するが，パルス点灯のランプの効
率は下降し始め,200〜300Torrで再び交流点灯の値に近
づく。また，第３図は封入ガス圧力と始動電圧の関係を
示し，この図からガス封入圧力が高くなると，始動に非
常に高い電圧が必要となることがわかる。特にガス封入
圧力が200Torr以上では始動電圧の上昇が顕著であるの
で，封入ガス圧力は200Torr以下であることが望まし
い。従つて，第２図，第３図より高周波点灯より効率が
よく，また始動電圧において実用性のあるパルス点灯を
行うために最適なガス封入圧力は10Torr以上,200Torr以
下である。

また，直径8mmから15.5mm,長さ300mmのランプをガス
封入圧力30Torrで数多く製作し，直流パルス点灯条件を
種々変化させてランプの特性を測定した。第４図，第５
図にその結果を示す。第４図は直流パルスの１周期中の
通電時間とランプ効率の関係をあらわしたものであり，
非通電時間を100μsec一定とした場合を示している。こ
の図からパルス通電時間が短いほど効率がよく，特に15
0μsec以下ではその効果が特に顕著であることがわか
る。第５図は5kHzから8kHzのパルス点灯時のランプ効率
とパルス間欠比の関係を示す（（ハ）（ニ）（ホ））。

また，比較値として，通常用いられる5kHzから80kHz
の高周波交流点灯（正弦波）時の効率値も示してある
（（ヘ）（ト）（チ））。第５図より，パルスの間欠比
を小さくすることにより直流点灯（間欠比100％）時よ
り大幅に効率が上昇し，また，同一周波数の交流点灯時
と比較した場合でも，パルス間欠比を70％以下とすれば
効率が大幅に上廻ることがわかる。

さらに，直径8mmから15.5mm,キセノンガス封入圧力を
10Torrから200Torrとしたランプを数多く製作し，この
ランプをランプ電力を一定としてパルス間欠比を変化さ
せて寿命試験を実施した。結果を第６図に示す。ここで
相対寿命とは，所定の間欠比（例えば40％）で点灯した
場合の平均寿命時間に対する各間欠比で点灯した場合の
平均寿命時間の比である。パルス間欠比と相対寿命との
関係は，第６図から，パルス間欠比を小さくしていくと
パルス間欠比５％までは，相対寿命は若干低下傾向を示
し,5％以下の小さい間欠比では急激に寿命が低下するこ
とがわかる。５％以下ではランプのパルスピーク電流が
大きくなるため電極の損耗が急激に進むものと推定され
る。したがつて，パルスの間欠比は寿命を考えると５％
以上が望ましい。

なお，上記実施例ではパルス的な間欠点灯の例として
直流パルス点灯の例を示したが，間欠点灯として交流パ
ルスの間欠点灯でも同一の効果を示すことが上記実施例
の実験から確認された。

〔発明の効果〕

以上のように，この発明によれば，封入ガスをキセノ
ンとし，その封入圧力を10Torr以上,200Torr以下とし，
パルスの通電時間を150μsec以下，間欠比を５％以上,7
0％以下という条件でランプを間欠点灯をさせる点灯方
法としたため，従来の直流点灯や通常の高周波交流点灯
と比較して寿命を短くすることなく，高輝度，高効率の
希ガス放電蛍光ランプが得られるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す希ガス放電蛍光ラン
プ装置の全体構成図，第２図はガス封入圧力によるラン
プ効率特性図，第３図はガス封入圧力による始動電圧特
性図，第４図はパルス通電時間によるランプ効率特性
図，第５図は，パルス間欠比によるランプ効率特性図，
第６図は，パルス間欠比による寿命特性図，第７図は従
来の希ガス放電蛍光ランプ装置全体構成図，第８図はそ
のランプの縦断面図である。 図において，（3a），（3b）は電極，（10）はガラスバ
ルブ，（11）は直流電源，（12）はスイツチング素子，
（13）はパルス信号源である。 なお，各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 勝男 神奈川県鎌倉市大船５丁目１番１号 三菱 電機株式会社大船製作所内 (72)発明者 三橋 征寿郎 神奈川県鎌倉市大船５丁目１番１号 三菱 電機株式会社大船製作所内 (72)発明者 大澤 隆司 神奈川県鎌倉市大船５丁目１番１号 三菱 電機株式会社大船製作所内 (56)参考文献 特開 昭63−34897（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−248050（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−58752（ＪＰ，Ａ) 特公 昭58−20478（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内面に蛍光体層が形成され、両端に一対の
   電極を有するガラスバルブ内に10Torr以上200Torr以下
   のキセノンガスを封入して希ガス放電蛍光ランプを構成
   するとともに、一周期に対する通電時間の割合が５％以
   上70％以下、通電時間150μsec以下のパルス状電圧を上
   記両電極間に印加して上記希ガス放電蛍光ランプを点灯
   することを特徴とする希ガス放電蛍光ランプの点灯方
   法。