JPH08127813A - 加熱炉における被加熱体支持部材用材料 - Google Patents
加熱炉における被加熱体支持部材用材料Info
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- JPH08127813A JPH08127813A JP10106895A JP10106895A JPH08127813A JP H08127813 A JPH08127813 A JP H08127813A JP 10106895 A JP10106895 A JP 10106895A JP 10106895 A JP10106895 A JP 10106895A JP H08127813 A JPH08127813 A JP H08127813A
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- Japan
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- heated
- heating furnace
- powder
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は加熱炉における被加熱体支持部材用
材料を改良することにより支持部材の性能を向上させる
ことを目的とするものである。 【構成】 本発明の被加熱体支持部材用材料は、純度9
9%以上の金属クロムと残部が不可避不純物からなる焼
結体に熱間塑性加工を加えることにより、平均結晶粒を
60μm以上に再結晶粗大化させた素材により構成す
る。 【効果】 本発明材は優れたクリープ変形抵抗性、耐高
温腐食性、耐衝撃性を有するため耐用寿命を従来品より
長くすることができるとともに、加熱炉内の輻射熱をむ
らなく被加熱体に供給できることからスキッドマークの
低減が図れ熱間圧延コイルの品質向上が得られる。
材料を改良することにより支持部材の性能を向上させる
ことを目的とするものである。 【構成】 本発明の被加熱体支持部材用材料は、純度9
9%以上の金属クロムと残部が不可避不純物からなる焼
結体に熱間塑性加工を加えることにより、平均結晶粒を
60μm以上に再結晶粗大化させた素材により構成す
る。 【効果】 本発明材は優れたクリープ変形抵抗性、耐高
温腐食性、耐衝撃性を有するため耐用寿命を従来品より
長くすることができるとともに、加熱炉内の輻射熱をむ
らなく被加熱体に供給できることからスキッドマークの
低減が図れ熱間圧延コイルの品質向上が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延用または鋼材
熱処理用等の加熱炉における被加熱体支持部材に関する
もので、特に、スキッドライダーあるいは炉内搬送ロー
ル用として適した被加熱体支持部材用材料に係る。
熱処理用等の加熱炉における被加熱体支持部材に関する
もので、特に、スキッドライダーあるいは炉内搬送ロー
ル用として適した被加熱体支持部材用材料に係る。
【0002】
【従来の技術】一般に、加熱炉内でスラブ等被加熱体を
保持するための加熱炉用支持部材は、安定した炉の操業
を行うため高温でのクリープ変形抵抗性、耐高温腐食
(酸化・炭化)性、耐衝撃性が要求される。従来、これ
ら加熱炉用被加熱体支持部材はスキッドパイプと呼ばれ
る水冷パイプ上に配置され、その材料としては主にSC
H12耐熱合金やCo耐熱合金等の耐熱鋳造材が使用さ
れてきた。
保持するための加熱炉用支持部材は、安定した炉の操業
を行うため高温でのクリープ変形抵抗性、耐高温腐食
(酸化・炭化)性、耐衝撃性が要求される。従来、これ
ら加熱炉用被加熱体支持部材はスキッドパイプと呼ばれ
る水冷パイプ上に配置され、その材料としては主にSC
H12耐熱合金やCo耐熱合金等の耐熱鋳造材が使用さ
れてきた。
【0003】一方、加熱炉は生産性向上のため1250
℃以上の高温操業が日常化してきており、従来の耐熱鋳
造合金では大きなクリープ変形を起こしてしまう。この
ため加熱炉支持部材高さが低下し、被加熱体と加熱炉支
持部材との接触面温度を低下させることにより、スキッ
ドマークと呼ばれる低温スポットができ、被加熱材の均
一加熱を困難なものにしている。
℃以上の高温操業が日常化してきており、従来の耐熱鋳
造合金では大きなクリープ変形を起こしてしまう。この
ため加熱炉支持部材高さが低下し、被加熱体と加熱炉支
持部材との接触面温度を低下させることにより、スキッ
ドマークと呼ばれる低温スポットができ、被加熱材の均
一加熱を困難なものにしている。
【0004】近年、かかる問題を解決するためCr−F
e合金中に85重量%以下のセラミックスを均一分散さ
せた複合材料を加熱炉における被加熱体支持部材として
適用する研究がなされている(たとえば特開平3−47
912号公報)。これら合金中にセラミックスを分散さ
せたサーメット材料は、1950年代から各種研究がな
されており、その圧縮クリープ特性が優れていることは
良く知られている。
e合金中に85重量%以下のセラミックスを均一分散さ
せた複合材料を加熱炉における被加熱体支持部材として
適用する研究がなされている(たとえば特開平3−47
912号公報)。これら合金中にセラミックスを分散さ
せたサーメット材料は、1950年代から各種研究がな
されており、その圧縮クリープ特性が優れていることは
良く知られている。
【0005】しかしながら、セラミックスを多量に添加
した複合材料は高硬度であるため切削加工性が悪く製造
加工費が高くなるばかりでなく、機械的特性が不十分で
あるため整備中、操業中に衝撃等により割損し、被加熱
材の表面に傷をつける場合がある。また、これら複合材
料は鋳造合金に比較して表面高温腐食層が形成され易
く、容易に腐食層の表面剥離が起こるという問題があ
る。これらの問題を避けるためにセラミックス量を低減
させた場合は、圧縮クリープ特性が不十分となりへたり
が改善できない。
した複合材料は高硬度であるため切削加工性が悪く製造
加工費が高くなるばかりでなく、機械的特性が不十分で
あるため整備中、操業中に衝撃等により割損し、被加熱
材の表面に傷をつける場合がある。また、これら複合材
料は鋳造合金に比較して表面高温腐食層が形成され易
く、容易に腐食層の表面剥離が起こるという問題があ
る。これらの問題を避けるためにセラミックス量を低減
させた場合は、圧縮クリープ特性が不十分となりへたり
が改善できない。
【0006】一方、CrまたはCr−Fe合金原料中に
N2 −O2 混合ガス中、高エネルギー粉砕装置で微粉砕
して焼結原料とし、その圧縮成形体を常圧焼結法で焼結
することにより、窒化クロム粒子0.1〜5%(窒素換
算値)、酸化クロム粒子0.1〜5%(酸素換算値)か
らなるCr基耐熱焼結合金の製造方法が報告されている
(特開平5−263179号公報)。しかしながら、こ
れら高エネルギー粉砕装置を用いて製造されたCr微粉
砕粉末は窒化、酸化され易いため、その粉末表面に多量
の窒化物、酸化物が生成されるため、焼成された焼結材
粒界は脆く、衝撃により割損し易い材料になるという問
題がある。さらに粒界に生成された窒化物、酸化物は粒
界を安定にするため、熱処理等を施しても再結晶が起こ
り難い上に、粉砕により製造された粉末はそもそもの粒
径が小さいため、その焼結後の素材結晶粒が小さく、素
材中の結晶粒界面積が増大し、粒界すべりが起因となる
高温でのクリープ変形を十分抑制できなくなるという問
題がある。
N2 −O2 混合ガス中、高エネルギー粉砕装置で微粉砕
して焼結原料とし、その圧縮成形体を常圧焼結法で焼結
することにより、窒化クロム粒子0.1〜5%(窒素換
算値)、酸化クロム粒子0.1〜5%(酸素換算値)か
らなるCr基耐熱焼結合金の製造方法が報告されている
(特開平5−263179号公報)。しかしながら、こ
れら高エネルギー粉砕装置を用いて製造されたCr微粉
砕粉末は窒化、酸化され易いため、その粉末表面に多量
の窒化物、酸化物が生成されるため、焼成された焼結材
粒界は脆く、衝撃により割損し易い材料になるという問
題がある。さらに粒界に生成された窒化物、酸化物は粒
界を安定にするため、熱処理等を施しても再結晶が起こ
り難い上に、粉砕により製造された粉末はそもそもの粒
径が小さいため、その焼結後の素材結晶粒が小さく、素
材中の結晶粒界面積が増大し、粒界すべりが起因となる
高温でのクリープ変形を十分抑制できなくなるという問
題がある。
【0007】従って、1300℃以上での高温雰囲気で
前述した加熱炉用被加熱体支持部材の要求特性を満足す
る材料を開発することは、工業的に極めて重大な意義を
有する。
前述した加熱炉用被加熱体支持部材の要求特性を満足す
る材料を開発することは、工業的に極めて重大な意義を
有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した従
来の加熱炉用被加熱体支持部材の有する問題点、即ち
耐熱鋳造合金製スキッドライダーの欠点である高温圧縮
クリープ変形とそれに伴うスキッドマークの発生、セ
ラミックスと耐熱金属からなるスキッドライダーで生じ
る高温腐食損耗及び、被加熱体が与える衝撃荷重に起因
する割損等の問題点を解決しようとするものである。
来の加熱炉用被加熱体支持部材の有する問題点、即ち
耐熱鋳造合金製スキッドライダーの欠点である高温圧縮
クリープ変形とそれに伴うスキッドマークの発生、セ
ラミックスと耐熱金属からなるスキッドライダーで生じ
る高温腐食損耗及び、被加熱体が与える衝撃荷重に起因
する割損等の問題点を解決しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、加熱炉用被加
熱体支持部材における前述の問題を解決するため、従来
のセラミックス分散複合材料の衝撃値をはじめとする機
械的特性を向上させるため添加セラミックス量を大幅に
低減、または除去しつつも、圧縮クリープ抵抗性を十分
保有する素材成分を見いだしたものである。即ち、 (1)純度99%以上の金属クロムと残部が不可避不純
物からなる焼結体に熱間塑性加工を加えることにより、
平均結晶粒を60μm以上に再結晶粗大化させた素材に
より構成されることを特徴とする加熱炉における被加熱
体支持部材。 (2)金属Cr中に酸化物が0.05体積%以上、5体
積%以下となるよう均一混合した粉末または金属Cr粉
末、あるいはそれらの焼結体に熱間加工を加え、平均粒
径を60μm以上とすることを特徴とする加熱炉におけ
る被加熱体支持部材用材料。を要旨とするものである。
熱体支持部材における前述の問題を解決するため、従来
のセラミックス分散複合材料の衝撃値をはじめとする機
械的特性を向上させるため添加セラミックス量を大幅に
低減、または除去しつつも、圧縮クリープ抵抗性を十分
保有する素材成分を見いだしたものである。即ち、 (1)純度99%以上の金属クロムと残部が不可避不純
物からなる焼結体に熱間塑性加工を加えることにより、
平均結晶粒を60μm以上に再結晶粗大化させた素材に
より構成されることを特徴とする加熱炉における被加熱
体支持部材。 (2)金属Cr中に酸化物が0.05体積%以上、5体
積%以下となるよう均一混合した粉末または金属Cr粉
末、あるいはそれらの焼結体に熱間加工を加え、平均粒
径を60μm以上とすることを特徴とする加熱炉におけ
る被加熱体支持部材用材料。を要旨とするものである。
【0010】本発明の焼結材料は99%純度以上、粉末
粒径250μm以下のCr粉末と粉末粒径5μm以下の
金属酸化物、好ましくはY2 O3 ,La2 O3 等の希土
類酸化物粉末からなる混合粉末、およびCr粉末単体を
原料粉末とする。その製造方法は加圧成形及び常圧焼結
法、好ましくは熱間等方圧加圧装置(HIP)を用いて
金属容器中に真空封入にした粉末を加圧焼結したのち、
この焼結素材に圧延、鍛造または押出し成形等の熱間塑
性加工を加えることにより、結晶粒の再結晶粗大化を図
り製造されるものである。あるいは、真空封入された粉
末を直接熱間押出し、引抜きすることによっても製造す
ることができる。
粒径250μm以下のCr粉末と粉末粒径5μm以下の
金属酸化物、好ましくはY2 O3 ,La2 O3 等の希土
類酸化物粉末からなる混合粉末、およびCr粉末単体を
原料粉末とする。その製造方法は加圧成形及び常圧焼結
法、好ましくは熱間等方圧加圧装置(HIP)を用いて
金属容器中に真空封入にした粉末を加圧焼結したのち、
この焼結素材に圧延、鍛造または押出し成形等の熱間塑
性加工を加えることにより、結晶粒の再結晶粗大化を図
り製造されるものである。あるいは、真空封入された粉
末を直接熱間押出し、引抜きすることによっても製造す
ることができる。
【0011】この場合、結晶粒粗大化は塑性加工後の素
材を1000℃以上の高温加熱することにより一層容易
に達成できる。また1200℃以上での長時間加熱によ
っても達成できる。Crは難焼結材であるため、HIP
焼結法を用いる場合には1300℃〜1450℃の超高
温下で100〜200MPa の圧力のもと2時間〜5時間
保持して焼結でき、圧延または鍛造は塑性変形が可能な
800℃以上において30%以上の塑性変形を与えるこ
とにより、結晶粒の再結晶粗大化が図れる。この時、3
0%以下の塑性変形では加工エネルギーが不十分なた
め、再結晶による結晶粒の粗大化が十分達成できない。
これらの製造方法により、セラミックス添加量を大幅に
低減または添加しなくても優れたクリープ変形抵抗を有
し、かつ常温付近での機械的特性が改善できる。
材を1000℃以上の高温加熱することにより一層容易
に達成できる。また1200℃以上での長時間加熱によ
っても達成できる。Crは難焼結材であるため、HIP
焼結法を用いる場合には1300℃〜1450℃の超高
温下で100〜200MPa の圧力のもと2時間〜5時間
保持して焼結でき、圧延または鍛造は塑性変形が可能な
800℃以上において30%以上の塑性変形を与えるこ
とにより、結晶粒の再結晶粗大化が図れる。この時、3
0%以下の塑性変形では加工エネルギーが不十分なた
め、再結晶による結晶粒の粗大化が十分達成できない。
これらの製造方法により、セラミックス添加量を大幅に
低減または添加しなくても優れたクリープ変形抵抗を有
し、かつ常温付近での機械的特性が改善できる。
【0012】
【作用】本発明において金属Crを母金属としたのは、
元来Crが有する高温での優れた耐酸化性、圧縮クリー
プ変形抵抗性に着目したとともに、他金属と合金化した
場合しばしばみられるσ相等の脆性金属間化合物の生成
を避けるためである。また、純度を99%以上としたの
はCr中の不純物(たとえば窒素)が増加することによ
りCrそのものが著しく脆化することを防止するためで
ある。さらに、250μm以下の粉末を使用したのは難
焼結材であるCr焼結性を考慮したためである。
元来Crが有する高温での優れた耐酸化性、圧縮クリー
プ変形抵抗性に着目したとともに、他金属と合金化した
場合しばしばみられるσ相等の脆性金属間化合物の生成
を避けるためである。また、純度を99%以上としたの
はCr中の不純物(たとえば窒素)が増加することによ
りCrそのものが著しく脆化することを防止するためで
ある。さらに、250μm以下の粉末を使用したのは難
焼結材であるCr焼結性を考慮したためである。
【0013】一方、添加材として酸化物を選定したのは
1300℃前後の高温においても金属Crあるいは被加
熱体である鋼材と反応することなく、それ自体熱力学的
に非常に安定であり、かつ結晶粒内に均一に分散した場
合、金属Cr結晶粒界面でのすべりを起こり難くし、結
果としてクリープ抵抗性が向上するためである。
1300℃前後の高温においても金属Crあるいは被加
熱体である鋼材と反応することなく、それ自体熱力学的
に非常に安定であり、かつ結晶粒内に均一に分散した場
合、金属Cr結晶粒界面でのすべりを起こり難くし、結
果としてクリープ抵抗性が向上するためである。
【0014】さらに、これらの酸化物は高温環境下で生
成された表面腐食層と素材の界面に凝集し、表面腐食層
と生地をつなぐ楔の役割をはたすことにより表層剥離を
抑制し、高温腐食による損傷を軽微ならしめるためであ
る。酸化物粉末の粒径を5μm以下と限定したのは酸化
物粉末の割損・脱落を防止し、熱間塑性加工により再結
晶粗大化をするために障害とならない粉末粒径を考慮し
たことによる。
成された表面腐食層と素材の界面に凝集し、表面腐食層
と生地をつなぐ楔の役割をはたすことにより表層剥離を
抑制し、高温腐食による損傷を軽微ならしめるためであ
る。酸化物粉末の粒径を5μm以下と限定したのは酸化
物粉末の割損・脱落を防止し、熱間塑性加工により再結
晶粗大化をするために障害とならない粉末粒径を考慮し
たことによる。
【0015】また、本発明の焼結材料に占める酸化物添
加量の上限は、粉末粒界に酸化物凝集箇所が形成され衝
撃値が著しく低下せず再結晶粗大化が可能である5体積
%以下とした。また、下限は酸化物分散効果が得られる
0.05体積%以上とした。これらの機能は高温で安定
な金属酸化物であれば効果がみられるが、特に希土類酸
化物において顕著な効果をもたらす。一方、酸化物を添
加しない場合は分散効果がないため若干特性は劣るが、
コスト的に有利であるとともに結晶粒制御を行うことに
より従来技術以上の性能を確保できる。
加量の上限は、粉末粒界に酸化物凝集箇所が形成され衝
撃値が著しく低下せず再結晶粗大化が可能である5体積
%以下とした。また、下限は酸化物分散効果が得られる
0.05体積%以上とした。これらの機能は高温で安定
な金属酸化物であれば効果がみられるが、特に希土類酸
化物において顕著な効果をもたらす。一方、酸化物を添
加しない場合は分散効果がないため若干特性は劣るが、
コスト的に有利であるとともに結晶粒制御を行うことに
より従来技術以上の性能を確保できる。
【0016】これらCr粉末と酸化物との混合粉末また
はCr粉末のみを焼結しただけでは結晶粒が小さいため
結晶粒界面積が多くなるとともに、酸化物が結晶粒界の
みに凝集することにより容易に粒界すべりをおこし、圧
縮クリープ抵抗性が向上しない。さらに、粒界からの高
温腐食部位も多くなり加熱炉用被加熱体支持部材として
の十分な特性を得られない。
はCr粉末のみを焼結しただけでは結晶粒が小さいため
結晶粒界面積が多くなるとともに、酸化物が結晶粒界の
みに凝集することにより容易に粒界すべりをおこし、圧
縮クリープ抵抗性が向上しない。さらに、粒界からの高
温腐食部位も多くなり加熱炉用被加熱体支持部材として
の十分な特性を得られない。
【0017】本発明では前述した粉末または焼結素材に
対し、800℃以上の高温で塑性変形を加えることによ
り結晶粒界を活性化せしめ、再結晶による結晶粒粗大化
を図った。これにより結晶粒界面積が減少し、クリープ
性、酸化性が向上することを見いだした。さらに微細酸
化物を添加した場合、これらが結晶粒内に多数分布する
ことにより素材変形抵抗をたかめ、優れた圧縮クリープ
抵抗性を得る事ができた。さらにこの時、酸化物、特に
希土類酸化物の前述した効果により表層剥離を抑制し、
高温腐食による表面損傷を軽微ならしめることを見いだ
した。
対し、800℃以上の高温で塑性変形を加えることによ
り結晶粒界を活性化せしめ、再結晶による結晶粒粗大化
を図った。これにより結晶粒界面積が減少し、クリープ
性、酸化性が向上することを見いだした。さらに微細酸
化物を添加した場合、これらが結晶粒内に多数分布する
ことにより素材変形抵抗をたかめ、優れた圧縮クリープ
抵抗性を得る事ができた。さらにこの時、酸化物、特に
希土類酸化物の前述した効果により表層剥離を抑制し、
高温腐食による表面損傷を軽微ならしめることを見いだ
した。
【0018】
【実施例】本発明の加熱炉用被加熱体支持部材の製造及
び材料特性について実施例により説明する。
び材料特性について実施例により説明する。
【0019】(1)素材の製造 表1に示すように99%純度以上、粉末粒径250μm
以下のCr粉末および酸化物として粉末粒径5μm以下
のY2 O3 粉末およびCr2 O3 を使用した。酸化物分
散材については事前に十分混合した後、Cr単体粉につ
いては原料粉末をそれぞれ軟鋼製容器に真空封入してH
IP処理を施すことにより焼結材とした。HIP処理は
高融点材料であるCrおよび酸化物が十分焼結するよう
1400℃×150MPa ×2時間なる条件で実施した。
また、熱間塑性加工は800℃〜1200℃の温度範囲
で鍛造により実施し、再結晶による結晶粒の粗大化をさ
せ、素材の平均結晶粒を60μm以上とした。このとき
の鍛造による塑性加工率は30%、60%とした。以上
の製法により製造したNo.1〜No.6の素材を使用
し、表2による各種試験を行った。
以下のCr粉末および酸化物として粉末粒径5μm以下
のY2 O3 粉末およびCr2 O3 を使用した。酸化物分
散材については事前に十分混合した後、Cr単体粉につ
いては原料粉末をそれぞれ軟鋼製容器に真空封入してH
IP処理を施すことにより焼結材とした。HIP処理は
高融点材料であるCrおよび酸化物が十分焼結するよう
1400℃×150MPa ×2時間なる条件で実施した。
また、熱間塑性加工は800℃〜1200℃の温度範囲
で鍛造により実施し、再結晶による結晶粒の粗大化をさ
せ、素材の平均結晶粒を60μm以上とした。このとき
の鍛造による塑性加工率は30%、60%とした。以上
の製法により製造したNo.1〜No.6の素材を使用
し、表2による各種試験を行った。
【0020】(2)素材の材料特性 表2に示すように本発明の素材(No.1〜No.6)
は熱間塑性加工による再結晶粗大化により比較材(N
o.7〜No.9)、従来材(No.10,No.1
1)と比較して優れた圧縮クリープ抵抗性、高温腐食性
を有し、衝撃値、強度等機械的性質も大幅に向上してい
る。再結晶粗大化した素材はCr単体材(No.5,N
o.6)でもかなりの特性改善がみられるが、少量の酸
化物を添加することにより一層の圧縮クリープ抵抗性お
よび高温腐食特性の改善が行え(No.1〜No.
4)、硬度はほとんど上昇せず良好な切削性が得られて
いる。図1に示すように圧縮クリープ抵抗性は熱間塑性
加工による素材の平均結晶粒径の制御と強い相関がみら
れ、60μm以上に結晶粒を粗大化させるに伴い大幅に
改善される。一方、セラミックス添加量が5体積%を超
えた場合は衝撃値、強度の低下が著しくなる(No.1
0)。母材をCr−Feとした場合、合金化作用及び局
部的なσ相の発生により著しい硬度上昇が起こるととも
に各種特性が低下する(No.10)。
は熱間塑性加工による再結晶粗大化により比較材(N
o.7〜No.9)、従来材(No.10,No.1
1)と比較して優れた圧縮クリープ抵抗性、高温腐食性
を有し、衝撃値、強度等機械的性質も大幅に向上してい
る。再結晶粗大化した素材はCr単体材(No.5,N
o.6)でもかなりの特性改善がみられるが、少量の酸
化物を添加することにより一層の圧縮クリープ抵抗性お
よび高温腐食特性の改善が行え(No.1〜No.
4)、硬度はほとんど上昇せず良好な切削性が得られて
いる。図1に示すように圧縮クリープ抵抗性は熱間塑性
加工による素材の平均結晶粒径の制御と強い相関がみら
れ、60μm以上に結晶粒を粗大化させるに伴い大幅に
改善される。一方、セラミックス添加量が5体積%を超
えた場合は衝撃値、強度の低下が著しくなる(No.1
0)。母材をCr−Feとした場合、合金化作用及び局
部的なσ相の発生により著しい硬度上昇が起こるととも
に各種特性が低下する(No.10)。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の焼結材料は
1300℃以上の高温雰囲気において優れた圧縮クリー
プ特性、耐高温腐食性及び耐衝撃割損性を有するため加
熱炉内において背丈の高いスキッドライダーを長期間保
持することが可能となった。このことにより耐用寿命を
従来品より長くすることができるとともに、加熱炉内の
輻射熱をむらなく被加熱体に供給できることからスキッ
ドマークの低減が図れ熱間圧延コイルの品質向上が得ら
れる。さらに熱間塑性加工により最終製品に近い形状に
成形できることから素材歩留りを向上できるとともに、
低硬度材であることから切削性が良好であり、任意形状
のスキッドライダーを低価格で供給できる。
1300℃以上の高温雰囲気において優れた圧縮クリー
プ特性、耐高温腐食性及び耐衝撃割損性を有するため加
熱炉内において背丈の高いスキッドライダーを長期間保
持することが可能となった。このことにより耐用寿命を
従来品より長くすることができるとともに、加熱炉内の
輻射熱をむらなく被加熱体に供給できることからスキッ
ドマークの低減が図れ熱間圧延コイルの品質向上が得ら
れる。さらに熱間塑性加工により最終製品に近い形状に
成形できることから素材歩留りを向上できるとともに、
低硬度材であることから切削性が良好であり、任意形状
のスキッドライダーを低価格で供給できる。
【図1】圧縮クリープ抵抗性と素材の平均結晶粒径との
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F27D 3/02 // C22C 1/05 E
Claims (2)
- 【請求項1】 純度99%以上の金属クロムと残部が不
可避不純物からなる焼結体に熱間塑性加工を加えること
により、平均結晶粒を60μm以上に再結晶粗大化させ
た素材により構成されることを特徴とする加熱炉におけ
る被加熱体支持部材。 - 【請求項2】 0.05体積%以上5体積%以下の金属
酸化物を有し、残部が純度99%以上の金属クロムと不
可避不純物からなる焼結体に熱間塑性加工を加えること
により、平均結晶粒を60μm以上に再結晶粗大化させ
た素材により構成されることを特徴とする加熱炉におけ
る被加熱体支持部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10106895A JPH08127813A (ja) | 1994-09-07 | 1995-04-25 | 加熱炉における被加熱体支持部材用材料 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21345294 | 1994-09-07 | ||
JP6-213452 | 1994-09-07 | ||
JP10106895A JPH08127813A (ja) | 1994-09-07 | 1995-04-25 | 加熱炉における被加熱体支持部材用材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08127813A true JPH08127813A (ja) | 1996-05-21 |
Family
ID=26441993
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10106895A Withdrawn JPH08127813A (ja) | 1994-09-07 | 1995-04-25 | 加熱炉における被加熱体支持部材用材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08127813A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104785787A (zh) * | 2015-04-29 | 2015-07-22 | 宁波依司特加热设备有限公司 | 粉末冶金快速冷却系统 |
-
1995
- 1995-04-25 JP JP10106895A patent/JPH08127813A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104785787A (zh) * | 2015-04-29 | 2015-07-22 | 宁波依司特加热设备有限公司 | 粉末冶金快速冷却系统 |
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