JP6232098B2 - 高温強度に優れたFe基粉末緻密固化成形体 - Google Patents
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質量%で、Cr:9〜30%、Al:1〜8%、Si:0.05〜1.0%、Hf:0.01〜0.032%、N:0.01〜0.20%を含有し、さらに、Zr、Hfの1種または2種を合計で0.01〜0.212%、残部Fe、および不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼であって、フェライト組織中に1μm以下の微細窒化物が400μm平方に30個以上分散してなることを特徴とする高温強度およびクリープ強度に優れたFe基粉末緻密固化成形体である。
フェライト組織中に1μm以下の微細窒化物(主としてAlN)が400μm平方に30個以上分散してなることにある。ここで、微細分散窒化物は、前述した特許文献でも開示されているように、酸化物や炭化物と同様に高温応力下での転位の移動を妨げるため、転位集積による粒界三重点でのボイド発生を抑制でき、結果として高い高温強度やクリーブ強度を得る。
種または2種を合計で0.01〜0.212%を添加した合金をガスアトマイズで得られた粉末を高温固化成形した材料にのみ、高い高温強度やクリープ強度が得られる。
ない理由を図4に示す。図4の250nmの析出物では刃状転位の移動を抑制しているのが分かるのに対し、1μmの析出物では転位は析出物を迂回して移動している。そのため、本発明における窒化物の大きさは1μm以下、好ましくは500nm以下とし、さらに、分散度についても1μm以下の微細窒化物が400μm平方に30個未満では、その効果が十分でないことから、その下限を30個とした。好ましくは500nm以下の微細窒化物が250μm平方に30個以上、さらに、より好ましくは250nm以下の微細析出物が250μm平方に10個以上あることが望ましいため下限を設けた。
Cr:9〜30%、
Crは、ステンレス鋼としての耐食性を確保し、フェライト相を安定化させるとともに耐酸化性および高温耐食性を高めさらに合金中に固溶して高温クリープ強度を高めるのに不可欠の元素であるが、9%未満ではその効果が十分に得られないため、9%以上の添加が必要であるが、しかし、30%を超えるとコストが高くなり、また、熱間加工性が劣化することから、その範囲を9〜30%とした。さらに好ましくは18〜30%である。
Alは、本発明ではNと反応させて、AlNを後工程で析出させるのに必須の元素である。しかし、1%未満ではその効果が十分でなく、また、8%を超えると冷間加工性が劣化することから、その範囲を1〜8%とした。さらに好ましくは4〜8%である。
Siは、一般的な脱酸材であり、かつ、本発明では高温強度および耐酸化性を改善する元素である。しかし、0.05%ではその効果が十分でなく、また、1.0%を超えると材料自体の熱間加工性や冷間加工性に悪影響を及ぼすため、その範囲を0.05〜1.0%とした。さらに好ましくは0.1〜1.0%である。
Nは、本発明ではAlと反応させて、AlNを後工程で析出させるのに必須の元素である。しかし、0.01%未満では基地中に固溶したままで、AlN析出させる効果が充分でなく、また0.20%を超えると本発明範囲では基地がフェライト相であるため固溶限を超えて粗大な窒化物が析出し、後工程における1μm以下の窒化物を微細分散させる効果が少なくなる。そのため、範囲を0.01〜0.20%とした。
Zr,Hfは、窒化物形成元素であって、転位移動抑制のために窒化物を多数析出させるために有効な元素である。また、高温環境における耐酸化特性を改善する効果もある。本発明ではAlN析出物に加えて更なる窒化物を析出させ、より高温強度および高温クリープ強度を向上させる効果があり、必要に応じて添加することができる。しかし、必要以上の添加では窒化物が粗大化して転位移動抑制効果が少なくなる場合がある。さらに、Zr,Hfなどは、貴金属系や希土類系、レアメタルであり高価なため、コスト高となることから、それら元素の合計の上限を0.212とした。
表1に示す成分組成となるように原料配合し、誘導加熱を行い溶解した後、ガスアトマズにてFe−Si−Cr−Al−N系合金粉末で、かつNを固溶させた状態の粉末を得る(後で窒化処理しても可、窒化処理はN2 ガス窒化等が望ましい)。これを900〜1200℃の温度でHIPにて固化成形したものである。但し、No.3はNo.2と同じ組成を狙ったキャニング−押出である。これにより固溶しているNと合金中のAlと反応、さらにはZr,Cr等の添加元素もNと反応する。但し、固相反応で拡散度合が小さくなるため、1μm以下に微細析出分散する。好ましくは500nm以下に析出させるものとする。これはNが粉末表面より拡散するため、被表面積が大きい粉末であれば、Nは粉末表面付近濃度が高く、これが高温、圧力付与された状態での固化成形時に固相拡散し、より安定状態である窒化物として反応しやすくなるためと考えられる。
の他の方法で粉末とし、固化成形してもAlNを始めとする窒化物が冷却速度の遅い溶湯凝固時に析出するため1μm以上のものが多くなり、かつ分散個数も少なくなるため、高温特性が良くないことが分かる。さらに、水アトマイズ法による同一組成材料粉末製造では溶湯金属の冷却および粉砕に水媒体を用いるため、反応により得られた粉末の酸素量がガスアトマイズ法に比べて高くなる。このため、熱間固化成形で酸化物の反応が先に起こり、結果として微細窒化物の分散度が良好となり得ないことも分かる。なお、表2に示す高温特性としては、600℃における高温引張試験結果での伸び・絞りおよび強度を示すものであり、また、クリープ破断時間は、1000℃での荷重98MPaでの破断時間で表したものである。
Claims (1)
- 質量%で、Cr:9〜30%、Al:1〜8%、Si:0.05〜1.0%、Hf:0.01〜0.032%、N:0.01〜0.20%を含有し、さらに、Zr、Hfの1種または2種を合計で0.01〜0.212%、残部Fe、および不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼であって、フェライト組織中に1μm以下の微細窒化物が400μm平方に30個以上分散してなることを特徴とする高温強度およびクリープ強度に優れたFe基粉末緻密固化成形体。
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