JPH08127567A - ケンプ酸イミド誘導体、その製造方法及びそれを用いた選択的金属イオン分離剤 - Google Patents

ケンプ酸イミド誘導体、その製造方法及びそれを用いた選択的金属イオン分離剤

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JPH08127567A
JPH08127567A JP26846294A JP26846294A JPH08127567A JP H08127567 A JPH08127567 A JP H08127567A JP 26846294 A JP26846294 A JP 26846294A JP 26846294 A JP26846294 A JP 26846294A JP H08127567 A JPH08127567 A JP H08127567A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式 【化1】 (Rは炭素数6〜20の炭化水素基)で表わされるケン
プ酸イミド誘導体、並びにこのケンプ酸イミド誘導体か
ら成る金属イオンの選択輸送剤及び選択抽出剤である。 【効果】 種々の金属イオンが存在する水溶液から、特
定の金属イオンを高効率で選択的かつ連続的に分離する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なケンプ酸イミド誘
導体、その製造方法及びそれから成る金属イオン輸送剤
に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、
種々の金属イオンが存在する水溶液から、金属イオンを
選択的かつ連続的に抽出することができ、効率よく輸送
する能力をもつケンプ酸イミド誘導体、その製造方法及
びこのものを用いた金属イオンを選択的に抽出し、輸送
しうる分離剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銀、金などの貴金属や、銅、鉛、水銀な
どの有害金属を含む水溶液中からこれらの金属を分離す
る技術は、資源の回収再利用及び環境汚染防止の観点か
ら極めて重要である。これまで、これらの金属の分離方
法としては、金属含有水溶液を陽イオン交換樹脂、活性
炭、金属キレート化剤などに接触させて、金属をこれら
に吸着させ分離する方法が主流をなしていたが、近年、
液膜を通してイオン輸送剤により、金属イオンを選択的
に抽出し、輸送する方法が連続的操作が可能であり、効
率的であるという観点から注目されるようになった。
【0003】これまで、このイオン輸送剤としては、水
銀のみを捕捉するものとしてトロポノイド付加ジチオク
ラウンエーテル類が、鉛のみを捕捉するものとして環状
ポリエーテルジカルボン酸が、水銀のみを捕捉するもの
として8‐キノリル基をもつメチオニン誘導体が知ら
れ、本発明者らによって銅のみを選択的に捕捉するもの
として、α‐アミノ酸ジアジド誘導体が提案されている
(特開平5−163243号公報)。他方、ケンプ酸
は、分子認識、自己集積現象の研究に利用されていたが
[「ジャーナル、オブ、アメリカン、ケミカル、ソサエ
ティ(J.Am.Chem.Soc,)」,第110
巻,第5192ページ]、金属イオンとの関係について
の研究はほとんど行われていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、複数の金属
イオン、特にアルカリ金属イオン以外の金属イオンに対
し、選択的な優れた分離能を示し、かつ高い輸送速度を
有する新規な化合物を提供することを目的としてなされ
たものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これまで
分子認識、自己集積現象の研究に用いられていたケンプ
酸が、空間的配置の制御されたカルボキシル基を有する
ことから、種々の金属イオンの認識に応用しうるのでは
ないかと考え、それに特定のイミド構造を導入し、各種
イオンに対する挙動を調べたところ、このものはアルカ
リ金属イオンに対しては低い輸送能を示すが、アルカリ
土類金属イオンや重金属イオンに対しては、意外にも非
常に高い輸送能を示すことを見出し、この知見に基づい
て本発明をなすに至った。
【0006】すなわち、本発明は、一般式
【化5】 (式中のRは、炭素数6〜20の炭化水素基である)で
表わされるケンプ酸イミド誘導体、その製造方法及びそ
れを活性成分とした選択的金属イオン分離剤を提供する
ものである。
【0007】前記一般式(I)の化合物は、文献未載の
新規化合物であって、本発明方法に従えば、一般式
【化6】 (式中のXはハロゲン原子である)で表わされるケンプ
酸無水物酸ハライドと、一般式 R−NH2 (III) (式中のRは、前記と同じ意味をもつ)で表わされる第
一アミンとを脱ハロゲン化水素剤の存在下で反応させる
ことにより製造することができる。この際、出発原料と
して用いる一般式(II)のケンプ酸無水物酸ハライド
は、例えば式
【化7】 で表わされるcis,cis‐1,3,5‐トリメチル
‐1,3,5‐シクロヘキサントリカルボン酸すなわち
ケンプ酸に、酸ハロゲン化剤例えばハロゲン化チオニル
を反応させることによって得ることができる。
【0008】本発明の一般式(I)で表わされるケンプ
酸イミド誘導体の具体例としては、式中のRが炭素数6
〜20のアルキル基例えばヘキシル基、オクチル基、ノ
ニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペン
タデシル基、オクタデシル基、エイコシル基のもの、炭
素数6〜20のアリール基例えばフェニル基のもの、炭
素数7〜20のアラルキル基例えばベンジル基、フェニ
ルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルヘキシル基
のもの、炭素数8〜20のアルカリール基、4‐エチル
フェニル基、2,4‐キシリル基、4‐プロピルフェニ
ル基、4‐ブチルフェニル基、4‐ヘキシルフェニル
基、4‐ドデシルフェニル基のものなどを挙げることが
できる。この中で特に好ましいのは、Rが直鎖状アルキ
ル基例えばn‐オクタデシル基のもの、及び4‐アルキ
ルフェニル基例えばn‐ブチルフェニル基のものであ
る。
【0009】前記した一般式(II)のケンプ酸無水物
酸ハライドと一般式(III)の第一アミンとの反応
は、脱ハロゲン化水素剤の存在下で行われるが、この脱
ハロゲン化水素剤としては、塩基性物質例えば炭酸ナト
リウム、炭酸水素ナトリウムのような無機塩基や4‐ジ
メチルアミノピリジン、トリメチルアミンなどの有機塩
基などが用いられる。
【0010】また、この反応は、溶媒中で行うのが好ま
しく、この溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、
キシレンなどの芳香族炭化水素、n‐ヘキサン、シクロ
ヘキサン、n‐ヘプタンなどの脂肪族若しくは脂環式炭
化水素、クロロホルム、エチレンクロリドなどのハロゲ
ン化炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの
エーテル類などを挙げることができるが、特にテトラヒ
ドロフランが好適である。また、塩化水素補足剤として
は、例えばトリエチルアミンやピリジンなどが用いられ
る。
【0011】この反応は、使用する一級アミンの種類や
触媒の有無などにより異なるが、一般には0〜100
℃、好ましくは20〜70℃の範囲の反応温度で行われ
る。また、ケンプ酸無水物酸ハライドと第一アミンは、
実質上等モルの割合で用いられる。
【0012】反応終了液中には、通常塩化水素補足剤と
塩化水素との塩が析出しているので、ろ過などによりこ
れを除去したのち、濃縮して溶媒などを留去させ、次い
で公知の手段、例えばカラムクロマトグラフィーなどを
用いて目的のケンプ酸イミド誘導体を分離精製する。こ
のようにして得られたケンプ酸イミド誘導体は、必要な
らば適当な溶剤を用いて再結晶を行い、さらに精製して
もよい。
【0013】前記一般式(I)で表わされるケンプ酸イ
ミド誘導体は、分子中にカルボキシル基及びヘテロ原子
(窒素、酸素原子)を含有しており、これによって、溶
液A‐溶液M‐溶液Bから成る液膜系において、一方の
溶液A中の金属イオンを選択的に溶液Bに輸送する作用
を有するとともに水溶液から所定の金属イオンを選択的
に抽出する作用を有する。
【0014】本発明の前記一般式(I)で表わされるケ
ンプ酸イミド誘導体を、イオノフォアとして用い、金属
イオンの移行を行うには、2種の溶液A及びBを、該ケ
ンプ酸イミド誘導体を介して間接的に接触させればよ
い。例えば、(1)ケンプ酸イミド誘導体を溶液Aと溶
液Bに対して実質上非混和性の有機溶媒に溶解させ、こ
のケンプ酸イミド誘導体の溶液を中間溶液として、溶液
A及び溶液Bを間接的に接触させる方法、(2)隔膜に
より仕切られた区画内に収容させたケンプ酸イミド誘導
体の溶液を介して、溶液A及び溶液Bを間接的に接触さ
せる方法、(3)高分子膜やろ紙などの支持体に支持さ
せたケンプ酸イミド誘導体を介して、溶液A及び溶液B
を間接的に接触させる方法などを用いることができる。
【0015】次に、添付図面に従い、溶液Aと溶液Bと
を、ケンプ酸イミド誘導体の溶液Mを介して接触させる
ことにより、金属イオンの移行を行う場合の具体例を示
す。図1は、本発明のケンプ酸イミド誘導体をイオノフ
ォアとして用い、金属イオンの移送を行う場合の装置の
1例の説明図であって、U字型の装置1は、筒状容器2
及び3とそれらの下部を連結する連結管4と撹拌機5及
び6とから構成されている。
【0016】この装置1に対し、まず、ケンプ酸イミド
誘導体の溶液Mを中間溶液層として入れ、次いで、一方
の筒状容器2に溶液Aを、他方の筒状容器3に溶液Bを
入れる。なお、溶液Mは溶液A及びBと実質上非混和性
のものである。
【0017】前記溶液Aは、移送対象となる金属イオン
を含むものであり、通常水溶液が用いられるが、必ずし
も水溶液に限定されるものではなく、有機溶媒と水との
混合溶液や、アルコールなどの有機溶媒溶液も適用され
る。また、この溶液Aは、通常pH3〜7の中性ないし
弱酸性溶液として用いられる。一方、溶液Bは、移送さ
れる金属イオンを受け取るためのもので、酸性溶液が用
いられる。この酸性溶液としては、例えば塩酸、硫酸、
リン酸などの無機酸、あるいはギ酸、酢酸、有機スルホ
ン酸などの有機酸を含むpH3以下の水溶液が一般に用
いられる。この溶液Bは種々の陽イオンを含むことがで
き、溶液Aに含まれる移送対象となる金属イオンと同種
のものを含むことができる。
【0018】また、本発明の場合、該ケンプ酸イミド誘
導体は、イオン濃度勾配に逆らって金属イオンを移送さ
せることができるので、溶液Bに含まれる金属イオン濃
度は、溶液Aに含まれる金属イオン濃度よりも高濃度に
することができる。溶液Mの調製に用いられる溶媒とし
ては、溶液A及び溶液Bと実質上非混和性のもの、例え
ば溶液A及び溶液Bが水溶液である場合には、クロロホ
ルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭
化水素、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素、ヘキシル
アルコール、オクチルアルコールなどの水難溶性アルコ
ールなどが挙げられる。
【0019】このようにして、溶液A及び溶液Bを間接
的に接触させることにより、中性ないし弱酸性溶液A中
の金属イオンはケンプ酸イミド誘導体に捕捉され、この
金属イオンを捕捉したケンプ酸イミド誘導体は、酸性の
溶液Bと接触し、その中に捕捉した金属イオンを放出す
る。このようにして、溶液A中の金属イオンが溶液B中
に効果的に移行される。
【0020】本発明のケンプ酸イミド誘導体を含む金属
イオン分離剤は、一価金属イオン例えばアルカリ金属イ
オンに対する輸送速度は低いが、多価金属イオン例え
ば、アルカリ土類金属イオン、銅イオン、鉛イオン、水
銀イオンや銀イオンに対しては、著しく高い輸送速度を
示す。また、本発明のケンプ酸イミド誘導体は、金属イ
オン選択抽出剤としても優れた性能を発揮する。
【0021】
【発明の効果】本発明のケンプ酸イミド誘導体は新規な
化合物であって、金属イオンに対して大きな選択的輸送
能を示す。したがって、このケンプ酸イミド誘導体をイ
オノフォアとして用いることにより、溶液A中に含まれ
る金属イオンを溶液B中に移送させることができる。し
かも溶液B中の金属イオン濃度が溶液A中の金属イオン
濃度よりも高濃度であっても、その濃度勾配に逆らって
溶液Aから溶液Bへ金属イオンを移送させることができ
るので、溶液A中の金属イオンを溶液B中へ濃縮するこ
とも可能である。
【0022】本発明のケンプ酸イミド誘導体を、金属イ
オンの選択輸送剤として用いることにより、各種の金属
イオンが存在する水溶液から、金属イオンを高効率で選
択的かつ連続的に分離することができる。また、該ケン
プ酸イミド誘導体は、金属イオン選択抽出剤としても有
用である。
【0023】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
【0024】実施例1 N‐4‐n‐ブチルフェニルケンプ酸イミドの製造 テトラヒドロフラン15ml中に、ケンプ酸無水物酸ク
ロリド 1.035gを懸濁させたのに、これに4‐n
‐ブチルアニリン 0.6141gとトリエチルアミン
0.4452g及び触媒量の4‐ジメチルアミノピリ
ジンのテトラヒドロフラン 10ml溶液を加え、約4
0℃で一晩かきまぜた。次いで、生じたトリエチルアミ
ンの塩酸塩をろ別後、テトラヒドロフランで洗浄し、洗
浄液と反応液とを合わせて濃縮したのち、シリカゲルを
充てんしたカラムによって生成物を分離精製した(酢酸
エチル/ヘキサン重量比2/3混合液使用)。
【0025】得られた生成物を、さらにベンゼンから再
結晶することにより、N‐4‐n‐ブチルフェニルケン
プ酸イミド 1.2997g(収率87%)が得られ
た。 融点:223.1〜225.8℃ この化合物は以下に示す分析結果より同定された。 質量分析値; 実測値 371.2076 計算値 :371.2095 赤外吸収スペクトル; IR(cm-1):3404,2959,2934,28
65,1734,1705,1512
【0026】実施例2 N‐n‐オクタデシルケンプ酸イミドの製造 ケンプ酸無水物酸クロリド 0.2588g及びステア
リルアミン 0.2695gを用い、実施例1と同じよ
うな操作を行い、シリカゲルを充てんしたカラムによっ
て生成物を分離精製した。
【0027】次に、得られた生成物を、さらにヘキサン
から再結晶することにより、N‐n‐オクタデシルケン
プ酸イミド 0.3207g(収率65%)を得た。 融点;95.9〜99.0℃ この化合物は以下に示す分析結果より同定された。 元素分析値; C H N 実測値(%) 73.49 10.86 2.85 計算値(%) 73.27 10.86 2.85 質量分析値; 実測値 491.3945 計算値 491.3972 赤外吸収スペクトル; IR(cm-1):2920,2851,1730,16
99,1676,1466
【0028】実施例3 装置として図1に示す装置を、イオノフォアとして実施
例1で得られたN‐4‐n‐ブチルフェニルケンプ酸イ
ミドを用いて輸送試験を行った。
【0029】まず、溶液Aとして、10mM Cu(O
Ac)2、10mM Pb(OAc)2、10mM Ni
(OAc)2、10mM Co(OAc)2及び10mM
Zn(OAc)2を含有するpH6.2の水溶液15m
lを、溶液Bとして、0.1N硝酸水溶液15mlを、
溶液Mとして、実施例1で得られたN‐4‐n‐ブチル
フェニルケンプ酸イミド1.5×10-4molをクロロ
ホルム30mlに溶解した溶液を調製した。
【0030】次に、図1に示す装置1に、まず前記溶液
Mを中間液層と入れ、次いで一方の筒状容器2に前記溶
液Aを、他方の筒状容器3に前記溶液Bを入れ、輸送試
験を常温(25℃)にて行った。溶液Aから溶液Bへ輸
送された2日後の各陽イオン量を原子吸光分析により測
定し、この量から溶液A中の初期量のうち、溶液Bへ移
行した割合を求めた。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1から分かるように、実質上Cu2+及び
Pb2+のみが選択的に輸送される。
【0033】実施例4 実施例1において用いた水溶液の代りに溶液Aとして1
0mM Cu(OAc)2のみを含むpH6.2の水溶
液15mlを用いた以外は、実施例1と全く同様にして
輸送試験を行い、溶液Aから溶液Bへ輸送された0.
5,1,2日後の銅イオン量を原子吸光分析により測定
し、この量から溶液A中の初期量のうち、溶液Bへ移行
した割合を求めた。この結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】実施例5 実施例1において用いた水溶液の代りに、溶液Aとして
10mM Pb(OAc)2のみを含むpH6.2の水
溶液15mlを用いた以外は、実施例1と全く同様にし
て輸送試験を行い、溶液Aから溶液Bへ輸送された2日
後の鉛イオン量を原子吸光分析により測定したところ、
95μmol(64%)輸送された。
【0036】これらの結果から、銅イオン及び鉛イオン
が、溶液A及びBのpH差を利用して、濃度勾配に逆ら
って輸送されることが分かる。
【0037】実施例6,7 実施例1において用いた水溶液の代りに10mMの濃度
でAgOAcのみ、及びHg(OAc)2のみを含む水
溶液を溶液Aとして用い、弱酸性条件下(pH3.5)
で実施例1と全く同様にして輸送試験を行い、銀イオン
については2日経過後、水銀イオンについては1日経過
後の溶液A中の初期量のうち、溶液Bへ移行した割合を
求めた。その結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】実施例8,9 溶液Aとして、10mMの濃度でマグネシウム又はカル
シウムの塩化物を含むpH約9.2のトリス‐バッファ
ー溶液15mlを、溶液Bとして0.1N硝酸水溶液1
5mlを、溶液Mとしてクロロホルム 30ml中に実
施例2で得たN‐n‐オクタデシルケンプ酸イミド
0.15mmolを溶解した溶液をそれぞれ用い、実施
例1と同様にして輸送試験を行った。2日経過後、溶液
A中の初期量のうち、溶液Bへ移行した割合を求め、そ
の結果を表4に示す。
【0040】比較例1〜3 リチウム、ナトリウム又はカリウムの塩化物を10mM
の濃度で含むpH約9.2のトリス‐バッファー溶液1
5mlを用い実施例6と同様にして輸送試験を行った。
その結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】この表から明らかなように、本発明化合物
は、アルカリ金属イオンに対しては低い輸送能を示す
が、アルカリ土類金属イオンに対しては高い輸送能を示
す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のケンプ酸イミド誘導体をイオノフォ
アとして用い、金属イオンの移送を行う場合の装置の1
例の説明図
【符号の説明】
1 U字型装置 2,3 筒状容器 4 連結管 5,6 撹拌機 A 溶液A B 溶液B M 溶液M
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 都築 誠二 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中のRは、炭素数6〜20の炭化水素基である)で
    表わされるケンプ酸イミド誘導体。
  2. 【請求項2】 Rが炭素数6〜20のアルキル基である
    請求項1記載のケンプ酸イミド誘導体。
  3. 【請求項3】 Rがオクタデシル基である請求項2記載
    のケンプ酸イミド誘導体。
  4. 【請求項4】 Rが炭素数6〜20のアルカリール基で
    ある請求項1記載のケンプ酸イミド誘導体。
  5. 【請求項5】 Rがブチルフェニル基である請求項4記
    載のケンプ酸イミド誘導体。
  6. 【請求項6】 一般式 【化2】 (式中のXはハロゲン原子である)で表わされるケンプ
    酸無水物酸ハライドと、一般式 R−NH2 (III) (式中のRは、炭素数6〜20の炭化水素基である)で
    表わされる第一アミンとを脱ハロゲン化水素剤の存在下
    で反応させることを特徴とする、一般式 【化3】 (式中のRは前記と同じ意味をもつ)で表わされるケン
    プ酸イミド誘導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式 【化4】 (式中のRは、炭素数6〜20の炭化水素基である)で
    表わされるケンプ酸イミド誘導体を含有する溶液から成
    る選択的金属イオン分離剤。
  8. 【請求項8】 アルカリ土類金属イオン、銅イオン、鉛
    イオン、銀イオン及び水銀イオンの中から選ばれた金属
    イオンを分離する請求項7記載の選択的金属イオン分離
    剤。
JP6268462A 1994-11-01 1994-11-01 ケンプ酸イミド誘導体を含有する選択的金属イオン分離剤及び選択的イオン分離剤を用いた金属イオン含有水溶液の処理方法 Expired - Lifetime JP2879648B2 (ja)

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