JPH08126825A - 濾過膜の熱安定化方法 - Google Patents

濾過膜の熱安定化方法

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JPH08126825A
JPH08126825A JP8232695A JP8232695A JPH08126825A JP H08126825 A JPH08126825 A JP H08126825A JP 8232695 A JP8232695 A JP 8232695A JP 8232695 A JP8232695 A JP 8232695A JP H08126825 A JPH08126825 A JP H08126825A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 非晶性芳香族ポリエーテルケトン濾過膜を、
湿潤状態を保ちながら、熱安定化溶媒の存在下、芳香族
ポリエーテルケトンのガラス転移点以上、融点以下の温
度で加熱処理を行うことを特徴とする濾過膜の熱安定化
方法に関する。 【効果】 本発明の方法により熱安定化を行うと、耐薬
品性、低溶出性に優れ、且つ130℃以上の熱水や蒸気
に長時間接触させた後も、透水性及び分画性が変化しな
い優れた性能を有する結晶性芳香族ポリエーテルケトン
濾過膜を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非晶性芳香族ポリエーテ
ルケトン(以下、PEKと略す。)濾過膜の熱安定化方
法に関する。さらに詳しくは、耐熱性、耐薬品性、低溶
出性に優れ、且つ高温での使用が可能で熱安定性に優
れ、限外濾過膜や精密濾過膜として有用な結晶性PEK
濾過膜を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体等の電子工業用超純水、医
療機器、医薬、食品用途等での濾過や滅菌等に高分子か
らなる分離膜が広く用いられており、その用途分野と使
用量は拡大の傾向にある。その中で、耐熱性や耐薬品性
の向上など次第に高度な膜性能が要求されてきている。
例えば、半導体用超純水用途では、膜素材からイオン成
分や有機物等の溶出が少なく、耐熱性、耐薬品性に優れ
た膜、また火力発電所や原子力発電所においては、10
0℃をこえる復水中のクラッド(主に鉄を主成分とする
微粒子)を長時間安定的に除去可能な耐熱性に特に優れ
た膜等が求められている。
【0003】一方、分離膜素材については、従来よりセ
ルロースアセテート等のセルロース誘導体、ポリアクリ
ロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリメタクリル
酸メチル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフッ化ビニ
リデン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート
系樹脂等の高分子化合物が、限外濾過膜や精密濾過膜と
して広く用いられている。しかし、前述の如く膜性能へ
の要求が高度化したために、これらの素材は低溶出性、
耐薬品性及び耐熱性を満足できるものではなかった。
【0004】さて、PEKは耐熱性、耐薬品性、低溶出
性に極めて優れた樹脂として注目されており、相転法か
らなる分離膜への応用が試みられている。例えば、特開
平2−237628号公報、及び特公平3−47889
号公報には、PEK系樹脂の1つであるポリエーテルエ
ーテルケトンのスルホン化物を材料とした分離膜が提案
されている。しかしながら、スルホン化された膜は水中
で膨潤するため、その使用範囲に限界があることが知ら
れている(Macromolecules 89 p.
18(1985)参照)。
【0005】そこで、スルホン化されていないPEK膜
も提案されている。例えば、特開平2−136229号
公報、特開平3−174231号公報には、特定構造の
PEK類を用いた濾過膜及びその製造法が記載されてい
る。しかしながら、この膜は加熱処理等が行われておら
ず、耐熱レベルも例示されていない。また、特開平3−
56129号公報、及び特開平5−192550号公報
には、部分的に結晶質のPEKからなる非対称膜及びそ
の製造法が記載されている。この製造方法においては、
PEK分離膜の結晶化度を増大させるための追加工程が
記載されている。例えば、200℃の空気中での結晶化
処理や、沸騰アセトン中または還流ジメチルアセトアミ
ド中に浸漬した後にアセトンで洗浄処理を行い、かかる
後に膜を乾燥する方法が例示されている。しかしなが
ら、200℃の空気中で結晶化すると、膜の収縮と透水
性の著しい低下が発生する。また、沸騰アセトンや還流
ジメチルアセトアミド中で結晶化処理を行い、さらにか
かる処理後に乾燥させる方法においても、同様に透水性
の著しい低下が発生する。さらに、これらの膜を130
℃以上の熱水濾過に用いると、熱安定性が劣るために経
時的に透水量の大幅な低下が発生する。また、沸騰アセ
トン及び還流ジメチルアセトアミド中での結晶化方法で
は、結晶化中にアセトンやジメチルアセトアミドの沸騰
により膜が変形し、得られる結晶性濾過膜の分画性が不
安定である。
【0006】従って、限外濾過膜や精密濾過膜として有
用な透水性を有し、130℃以上の熱水や蒸気に長時間
耐性を示し、且つ分画性の安定したPEKからなる結晶
性濾過膜は未だ得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、耐熱性、耐薬品性、低溶出性、透水性に優
れ、且つ130℃以上の熱水や蒸気に長時間接触させて
も透水性と分画性が変化しないPEK濾過膜の熱安定化
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、非晶性PEK濾過膜を
実際に濾過使用するまでの間、湿潤状態を保持させると
ともに、特定の熱安定化溶媒の存在下で加熱処理を行う
ことにより、透水量の著しい低下がなく、高度に熱安定
化した結晶性PEK濾過膜が得られることを見出した。
また、本発明者らは、該加熱処理を行う前に、膜中の低
沸点溶媒を除去することにより、分画性の優れる結晶性
濾過膜を安定して得ることが可能であること、さらに、
該加熱処理前に膜中に高分子化合物を含有させておくこ
とにより、該加熱処理による透水性の低下を大幅に改善
できることを見出し、本発明に至った。
【0009】即ち、本発明は以下の通りである。 [1]非晶性PEK濾過膜を、湿潤状態を保ちながら、
熱安定化溶媒の存在下、PEKのガラス転移点以上、融
点以下の温度で加熱処理を行うことを特徴とする濾過膜
の熱安定化方法。 [2]加熱処理前に、膜中の低沸点溶媒を実質的に除去
することを特徴とする[1]記載の熱安定化方法。 [3]熱安定化溶媒で置換することにより、膜中の低沸
点溶媒を実質的に除去することを特徴とする[2]記載
の熱安定化方法。 [4]加熱処理前に、膜中に高分子化合物を含有させる
ことを特徴とする[1]記載の熱安定化方法。 [5]溶媒に高分子化合物を溶解し、該PEK濾過膜を
浸漬することを特徴とする[4]記載の熱安定化方法。 [6]該熱安定化溶媒が、溶解度パラメータ値が8以上
17以下の溶媒である[1]〜[5]いずれか記載の熱
安定化方法。 [7]該熱安定化溶媒が、アルコール類及びエーテル類
から選択される1つ以上の溶媒である[1]〜[5]い
ずれか記載の熱安定化方法。 [8]該高分子化合物が、ポリエチレングリコール(以
下、PEGと略す。)、ポリプロピレングリコール(以
下、PPGと略す。)、ポリビニルピロリドン(以下、
PVPと略す。)、ポリビニルアルコール(以下、PV
Aと略す。)である[4]、[5]いずれか記載の熱安
定化方法。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
得られる熱安定化された結晶性PEK濾過膜は、実質的
にスルホン化されておらず、湿潤状態において、特定の
熱安定化溶媒下での加熱処理により結晶性を増大させて
いるため、耐熱性、耐薬品性、耐熱水性、低溶出性に優
れている。
【0011】本発明でいう“実質的にスルホン化してい
ない”とは、結晶性濾過膜のイオン交換容量が0〜0.
50ミリ当量/gの範囲であることを意味する。0〜
0.5ミリ当量/gのイオン交換容量とは、PEKの繰
り返し単位の構造の違いにも左右されるが、該PEKの
モノスルホン化されているフェニレン基を有する繰り返
し単位が約20%以下であることを意味する。本発明に
おいては、特に0〜0.1ミリ当量/gの範囲であるこ
とが好ましい。該イオン交換容量が0.5ミリ当量/g
をこえる場合は、膜の結晶性が低下する傾向にあり、耐
熱性、耐薬品性、膜強度が低下するため好ましくない。
【0012】本発明で用いられるPEKは、下記式で表
される繰り返し単位からなる。 −O−Ar−(O−Ar’−)n (式中、Ar及びAr’は芳香族残基。Arは少なくと
も1つのジアリールケトン結合を有する。Ar及びA
r’は芳香族炭素原子を介してエーテル基に共有結合し
ている。また、nは0、1または2である。) 本発明においては、Ar、Ar’が下記式で示される基
であるPEKが好適に使用される。
【0013】
【化1】
【0014】特に、本発明では下記一般式(1)〜(1
7)の繰り返し単位からなるPEKが好ましい。これら
は、繰り返し単位の単独重合体であっても良いし、これ
ら2つ以上の繰り返し単位を有する共重合体であっても
良い。さらには、2種類以上の単独重合体または共重合
体の混合物であっても良い。
【0015】
【化2】
【0016】また、上記繰り返し単位を構成する芳香環
の一部、又はすべての水素が、ハロゲン基、ニトロ基、
ニトリル基、アミノ基、フェノキシ基、フェニル基、ビ
フェニル基、アルキル基、及び下記式で表される官能基
等によって置換されていても良い。
【0017】
【化3】
【0018】また、本発明に用いられるPEKの末端
は、通常、フェニル基、ハロゲン基、ビフェニル基、ニ
トリル基、ニトロ基、フェノキシ基、及び下記式で示さ
れる基等である。
【0019】
【化4】
【0020】さらに、一般式(1)〜(17)で表され
る単独重合体又は共重合体の一部に、該重合体が持つ本
来の特性を著しく低下させない範囲で、他の繰り返し単
位を含んでいても良い。例えば、そのような共重合単位
としては、下記に示されるもの等が挙げられる。
【0021】
【化5】
【0022】本発明においては、特に一般式(1)〜
(5)で表される繰り返し単位、すなわち順にPEK、
PEEK、PEKK、PEEKK、PEKEKKと呼ば
れるPEKが工業的に生産されており、入手が容易であ
るため膜素材として好適に用いられる。本発明で用いら
れるPEKは既知の重合方法によって製造でき、その重
合法は特に限定されない。例えば、フリーデルクラフト
法が挙げられる。関連する重合法は、米国特許第308
5205号、第3442857号、第3441538号
及び第3668057号明細書、ドイツ特許出願公開第
2206836号明細書及びJ.Poly.Soi.,
741(1961)(米)に記載されている。また、重
縮合法によっても製造できる。例えば、芳香族ジハロゲ
ン化合物とジフェノール類をアルカリ塩の存在下で重合
させる方法や、芳香族ジハロゲン化合物と炭酸塩とを重
合させる等の方法がある。前者の重合法は、特公昭57
−22938号公報、米国特許第4113699号明細
書、特開昭54−90296号公報に記載されており、
後者の重合法は特開昭62−85708号公報、特開昭
62−85709号公報に記載されている。
【0023】本発明で用いられるPEKの分子量は、通
常、還元粘度で0.5〜3.0dl/gの範囲にある。
なかでも、0.7〜2.5dl/gの範囲が好ましい。
PEKの還元粘度が0.5dl/g未満では、得られる
結晶性濾過膜の強度が低く、実用的ではない。また、還
元粘度が3.0dl/gをこえると、製膜性が劣り、均
一な結晶性濾過膜が得られない傾向にあるため好ましく
ない。
【0024】本発明でいう還元粘度とは、濃度96〜9
9%の濃硫酸に、PEKを0.1%の濃度(PEKの重
量(g)/濃硫酸の容量(dl))となるように溶解し
た希薄溶液を、オストワルド粘度管を用いて、25℃に
おいて測定した値をいう。本発明において、用いられる
PEK、及び膜の還元粘度の測定は、濃度96〜99%
の範囲にある濃硫酸をホールピペットで15ml採取
し、それに150℃で10〜30時間真空乾燥を行った
PEKを15.0mg溶解し、均一に溶解した溶液に対
して、25℃の恒温槽中で測定を行った。また、該測定
には、濃硫酸だけの測定時間が約2分であるオストワル
ド粘度管を用いた。上記、還元粘度の測定において、濃
硫酸によりスルホン化される構造を有するPEKを測定
する場合には、濃硫酸に均一に溶解後、速やかに測定を
行った。通常、PEKが濃硫酸によりスルホン化される
場合、還元粘度測定用に調整した濃硫酸溶液を室温中で
長時間、例えば2日以上、特に5日以上放置した場合、
溶解直後と比較して僅かに異なった還元粘度が得られる
傾向がある。
【0025】以下、本発明に用いられるPEK膜の製造
方法を、その最も一般的な方法である相転法を例として
説明する。相転法とは、Leob及びSouriraj
anにより開発された濾過膜の製造法である(Adv,
Chem.Ser.38,117,1963参照)。具
体的には、重合体を溶媒に均一に溶解した製膜原液を、
所望の形状に成形し、ついで特定条件下で該重合体に対
する非溶剤中で沈殿凝固させる方法である。
【0026】本発明の場合には、PEK重合体とPEK
を溶解できる非スルホン化性溶媒を主成分とする製膜原
液を、所望の膜形状、例えば平膜状、管状、中空糸状、
毛細管状に成形し、ついでPEKに対する非溶剤からな
る凝固液中に浸漬し、沈殿凝固させて製膜を行う。例え
ば、平膜状の場合、支持体上に製膜原液を塗布後、凝固
液に浸漬する方法、もしくはスリット状のダイから製膜
原液を押し出し、凝固液に浸漬する方法などがある。ま
た、管状、中空糸状、毛細管状の場合には、製膜原液を
同軸2重管からなるダイの外側の管状部分から押し出
し、同時に該ダイの内側のノズルに内部凝固剤として非
溶剤もしくは不活性ガス等を通し、凝固液に浸漬させて
製膜できる。平膜状の場合、膜厚は通常5〜5000μ
m、中空糸状の場合、膜厚は5〜3000μm、内径は
10〜5000μmの範囲が好適に用いられるがこの限
りでない。
【0027】製膜原液に用いられる非スルホン化性溶媒
は、PEKを4重量%以上均一に溶解でき、PEKと実
質的に化学反応せず、且つ製膜工程においてPEKを実
質的にスルホン化しないものであればよい。例えば、硫
酸、メタンスルホン酸、フロロメタンスルホン酸、ジフ
ロロメタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、
ジクロロメタンスルホン酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ
酢酸、トリフロロ酢酸、液状フッ化水素、及びこれらの
混合物等が挙げられる。なかでも、硫酸が通常用いられ
る。しかしながら、硫酸でスルホン化されやすい構造の
PEKの場合は、上記の内の硫酸以外の他の溶媒、また
は硫酸と上記の他の溶媒との混合物等が用いられる。ま
た、硫酸を用いた場合、PEKを均一に溶解できる範囲
であれば、15重量%までの水を含有していてもよい。
【0028】本発明においては、上記非スルホン化性溶
媒を用いることで、実質的にスルホン化されていないP
EK濾過膜が得られる。また、上記製膜原液中に、膜の
孔径等の膜性能をコントロールする目的で、添加剤とし
て無機化合物や低分子量有機化合物等が添加されていて
もかまわない。例えば、無機化合物としては各種塩類、
低分子量有機化合物としては下記化合物が使用できる。
【0029】ジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロ
ジフェニルスルホン、2,4’−ジクロロジフェニルス
ルホン、4,4’−ジフロロジフェニルスルホン、2,
4’−ジフロロジフェニルスルホン、2,2’−ジフロ
ロジフェニルスルホン、ベンゾフェノン、4,4’−ジ
クロロベンゾフェノン、2,4’−ジクロロベンゾフェ
ノン、4,4’−ジフロロベンゾフェノン、2,4’−
ジフロロベンゾフェノン、2,2’ジフロロベンゾフェ
ノン、4,4’−ジフロロテレフタロフェノン、2,
4’−ジフロロテレフタロフェノン、4,4’−ジクロ
ロテレフタロフェノン、2,4’−ジクロロテレフタロ
フェノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジ
メチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、N−メ
チルピロリドン、キサントン、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、サリチル酸、ジメチルカーボネート、メチルフェ
ニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジエチル
カーボネート、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタ
ンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テト
ラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジ
メチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラ
エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリ
コールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テト
ラエチレングリコールモノメエルエーテル、プロピレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジ
エチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラ
エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリ
コールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソ
プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロ
ピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピ
ルエーテル、テトラエチレングリコールモノイソプロピ
ルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエ
ーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、
ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、トリエ
チレングリコールジイソプロピルエーテル、テトラエチ
レングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレング
リコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコール
モノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェ
ニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエ
ーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチ
レングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコ
ールジフェニルエーテル、トリエチレングリコールジフ
ェニルエーテル、テトラエチレングリコールジフェニル
エーテル、プロピレングリコールジフェニルエーテル、
グリセリン。
【0030】また、上記製膜原液の粘度や膜性能をコン
トロールする目的で、無機や有機の水溶性もしくは非水
溶性の高分子化合物、オリゴマー等の増粘剤が添加され
ていてもかまわない。例えば、無機化合物としては超微
粒子のシリカ等チクソトロピー性を付与するもの、また
高分子化合物としてはPVP、PEG、PPG、PV
A、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリスチレンスル
ホン酸及びその誘導体、スルホン化ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、スル
ホン化ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド等も
しくはこれらの混合物、又はこれらのオリゴマーが用い
られる。
【0031】本発明において、製膜原液は、各組成物が
均一に溶解した状態であれば、その組成比は特に限定さ
れない。通常、製膜原液100重量部中、PEK4〜3
0重量部、非スルホン化性溶媒30〜96重量部、添加
剤0〜30重量部、増粘剤0〜70重量部の範囲であ
る。製膜原液を調整した後、所望の形状に成形するが、
該成形前に製膜原液を脱気し、さらに不溶分等を除去す
ることが好ましい。脱気とは、製膜原液中に拡散もしく
は溶解した空気等の気体を除去することを意味し、脱気
を行わないと膜厚の不均一化、さらにはピンホール等が
生じやすい傾向にある。また、製膜原液中に高分子ゲル
等の不溶分がある場合も、膜厚の不均一化、ピンホール
の発生等が起こりやすく、しかもダイを用いて平膜状や
中空糸状に成形する際、ダイに該不溶分が詰まり、安定
した製膜がしにくい傾向にある。脱気は、一般的に減圧
法、遠心分離法等により行われる。また、不溶分の除去
は、通常、遠心分離法やフィルター等を用いた濾過法に
より行われる。
【0032】一方、上記凝固液、及び中空糸状膜等に用
いる内部凝固液は、PEKに対する非溶剤であればよ
く、特に制限はない。通常、水、希硫酸、酢酸、酢酸エ
ステル、アルコール類、多価アルコール類、PEG水溶
液等、及びこれらの混合物が用いられる。さらに、凝固
液中に無機塩または塩基を添加しておいてもよい。例え
ば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、
塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム、硫酸リチウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸ナ
トリウム、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が通常好適に用
いられる。これら凝固液は膜の多孔度に関係し、濾過膜
の透水量や分画性に大きい影響を与える。なかでも製膜
原液に硫酸を用いた場合は、通常、凝固液として水また
は希硫酸が操作性の面から好適に用いられる。
【0033】製膜工程において、製膜調整段階及び成形
段階における製膜原液の温度、及び凝固段階における凝
固液の温度は特に制限はないが、通常、2〜90℃の範
囲にある。また、必要があれば延伸等がなされていても
よい。本発明において、非晶性PEK膜は湿潤状態を保
持させることが必須である。ここでいう湿潤状態とは、
PEK濾過膜が洗浄溶媒、熱安定化溶媒、保存処理等に
用いる溶媒等に濡れている状態をいう。さらに詳しく
は、膜表面の孔及び膜表面から膜内部にかけてのボイド
表面が、湿潤状態を形成させる溶媒により覆われている
状態、または膜全体が完全に該溶媒に浸漬されている状
態をいう。この状態は、PEK濾過膜の表面に該溶媒を
塗布、噴霧、含浸、または該溶媒にPEK濾過膜を浸漬
させることにより達成される。例えば、本発明において
は、PEK濾過膜の多孔度、用いる溶媒の比重にも左右
されるが、該膜の重量に対し0.5倍以上の重量、さら
に望ましくは2倍以上の重量、さらに望ましくは10倍
以上の重量の該溶媒によって均一に塗布、含浸、または
浸漬されている状態が好ましい。PEK濾過膜が湿潤状
態から逸脱すると、濾過使用の際に透水性の低下が発生
し、熱安定性も悪い。
【0034】次に、洗浄について説明する。凝固された
PEK濾過膜は、膜中に残留する非スルホン化性溶媒、
添加剤、増粘剤、凝固液等を除去することが望ましい。
一般的には、浸漬されているPEK濾過膜を凝固浴中か
ら取り出し、膜表面に該凝固液が付着した状態のまま洗
浄する。ただし、前記凝固段階において、後述する熱安
定化及び実際の分離膜としての使用に際し、問題がない
程度まで非スルホン化性溶媒、添加剤、及び増粘剤等が
PEK濾過膜から除去されていれば、洗浄しなくてもか
まわない。
【0035】一般的な洗浄方法は、例えば室温〜水の沸
点の範囲内の温度で、水性媒体または水を主体とする媒
体を洗浄溶剤として用いて洗浄処理し、非スルホン化性
溶媒等を除去する。通常、水もしくはアルカリ水が好ま
しく用いられる。PEK濾過膜の形状が管状、中空糸
状、毛細管状の場合は、該膜の中空部に該洗浄溶媒を流
通させることも有効である。
【0036】上記洗浄を行った後もなお、該膜中に少量
の非スルホン化性溶媒が残留する場合には、有機溶媒で
洗浄することが望ましい。通常、有機溶媒としては、メ
タノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチ
ルエチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン等が用いられるがこの限りでない。該洗浄に用いる有
機溶媒の温度は特に制限はないが、通常、室温〜120
℃の範囲である。製膜時、水性媒体に不溶な増粘剤や添
加剤を用いた場合も上記有機溶媒で洗浄除去することが
望ましい。
【0037】また、結晶性濾過膜の使用中に溶出しない
程度であれば、増粘剤等が残留していてもかまわない。
例えば該増粘剤にPVPを用いた時、PEK濾過膜を超
微量の溶出も許されない用途に使用する場合は、洗浄
後、次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩の水溶液で
分解除去洗浄してもよい。この場合、その塩素濃度、温
度及び時間に特に制限はないが、通常、濃度100〜8
0000ppm、室温〜95℃の温度範囲、1〜500
時間の範囲である。また、あらかじめエタノール等の水
溶性有機溶媒に浸漬させ、PEK濾過膜を十分に親水化
を行っておくことも有用である。
【0038】さらに洗浄後、PEK濾過膜を水、アルコ
ール、アルコール水溶液、ホルマリン等、及びこれらの
混合物等の水性媒体中に浸漬した状態、またはエチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコ
ール、グリセリン等のアルコール類、及びこれらの混合
物や他の溶媒中に浸漬もしくは含浸した状態で、膜表面
が乾燥されないように保存することが有効である。洗浄
後、PEK濾過膜が乾燥すると、透水性が低下する傾向
にあり好ましくない。
【0039】このようにして得られたPEK濾過膜は、
結晶化度が通常15重量%未満の非晶性濾過膜であり、
一般に耐熱性が低い。本発明は、該非晶性濾過膜に加熱
処理を行って、結晶化度15重量%以上の高性能な結晶
性PEK濾過膜を得る熱安定化方法を提供するものであ
る。該方法はPEK濾過膜の結晶化度を高めるだけでな
く、高度な熱安定性をも与えるものである。
【0040】以下、本発明の熱安定化方法について説明
する。本発明の熱安定化方法は、必要に応じた加熱前処
理、及び加熱処理からなる。本発明で用いられる非晶性
PEK濾過膜の結晶化度は、15重量%未満であれば特
に制限はない。好ましくは約10重量%以下、さらに好
ましくは約5重量%以下である。熱安定化処理を行う前
に、すでに15重量%以上の結晶化度を有している場合
は、高度な熱安定性を付与することができない傾向にあ
る。
【0041】本発明の熱安定化処理により得られる結晶
性PEK濾過膜の結晶化度は、15重量%以上、さらに
高度な熱安定性を示す場合は25重量%以上である。か
かる結晶化度は、Blundell及びOsbornに
より報告されている広角X線回折法(Polymer、
24.953(1983))により測定される。本発明
では、熱安定化溶媒の存在下、PEKのガラス転移点以
上、融点以下の温度で、加熱処理を行う。加熱処理温度
が上記範囲より低いと、得られる濾過膜は高温時での熱
安定性が劣り、上記範囲よりも高いと、膜の溶融や激し
い変形が発生する。好ましい加熱処理温度は、該ガラス
転移点+20℃以上、該融点−20℃以下であり、特に
好ましくは該ガラス転移点+50℃以上、該融点−50
以下の範囲である。この特に好ましい加熱処理温度範囲
は、用いるPEKの構造にも左右されるが、通常180
〜320℃の範囲である。
【0042】本発明におけるPEKのガラス転移点及び
融点は、PEKを示差熱分析計(DSC)で10℃/分
の昇温速度で測定した際に観測される温度を意味する。
本発明では、加熱処理中も常に膜の湿潤状態を保つこと
が必須である。本発明において、熱安定化溶媒とは、加
熱処理中、PEK濾過膜の湿潤状態を形成させるために
用いる溶媒を意味する。
【0043】本発明に用いられる熱安定化溶媒は、PE
K濾過膜を溶解せず、加熱処理中に激しい分解等の劣化
を発生しない安定な溶媒であればよく、特に限定されな
い。なかでも、溶解度パラメータ値が8以上17以下の
溶媒が好ましい。さらに好ましくは8以上14以下、特
に好ましくは9以上13以下の溶解度パラメータ値を有
する溶媒である。溶解度パラメータ値が上記範囲からは
ずれた溶媒を用いた場合には、得られるPEK濾過膜の
透水性が著しく低下し、前記用途分野に対し有効な分離
膜として用いることができない。
【0044】本発明で用いられる溶解度パラメータは、
下記式 (溶解度パラメータ)=(△EV /V)1/2 で与えられる。ここで表される△EV はモル蒸発エネル
ギーであり、近似的には△H−RTである。△Hは蒸気
熱、Rは気体定数、Tは絶対温度、そしてVは溶媒のモ
ル体積である。
【0045】溶解度パラメータは多くの科学文献、科学
著書に記載されており、特に高分子データハンドブック
基礎編(高分子学会編、培風館)には各溶媒ごとに整理
した表が記載されており、本発明に適した熱安定化溶媒
を決定することができる。他の文献としては、Ind.
Eng.Chem.Prod.Res.Dev.8,M
arch 1969第2〜11頁、Chemical
Reveiws,75(1975)731〜753頁、
Encyclopedia of Chemical
Technology,Second Editio
n,Suppplemental Volume(19
71)889〜910頁等がある。
【0046】下記に本発明で用いる熱安定化溶媒を例示
する。メタノール、エタノール、n−プロパノール、n
−ブタノール、イソブタノール、sec−ブチルアルコ
ール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、n−
ヘキサノール、2−エチルブタノール、n−オクタノー
ル、エチルヘキサノール、1−ドデカノール、3,5,
5,−トリメチルヘキサノール、シクロヘキサノール、
メチルイソブチルカルビノール、n−アミルアルコー
ル、アリルアルコール、ラウリルアルコール、ベンジル
アルコール、フルフリルアルコール、n−ヘプタノー
ル、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、2, 3−ブタンジオール、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエ
チレングリコール、ネオフェニルグリコール、1,5−
ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5
−ペンタンジオール、グリセリン、PEG、PPG等の
アルコール類。
【0047】ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エ
チルメチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジプロピ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテ
ル、ジベンジルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジアミ
ルエーテル、エチルイソブチルエーテル、メチルイソブ
チルエーテル、ジアセトンアルコールメチルエーテル、
ジクロロエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメ
チルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチ
ルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテ
ル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエー
テル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチル
エーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテ
ル、プロピレングリコールジエチルエーテル、エチレン
グリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリ
コールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノイソプロピルエーテル、テトラエチレングリコ
ールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコール
モノイソプロピルエーテル、エチレングリコールジイソ
プロピルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピ
ルエーテル、トリエチレングリコールジイソプロピルエ
ーテル、テトラエチレングリコールジイソプロピルエー
テル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、
エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレン
グリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコール
モノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェ
ニルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテ
ル、ジエチレングリコールジフェニルエーテル、トリエ
チレングリコールジフェニルエーテル、テトラエチレン
グリコールジフェニルエーテル、プロピレングリコール
ジフェニルエーテル、メチル−2−ペンタンジオール
1,3、メチル−2−ペンタンジオール−2,4、エチ
ルヘキサンジオール−1,3等のエーテル類。
【0048】1,4−ジオキサン、フラン、フルフラー
ル、テトラヒドロフラン等のアセタール類。酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピ
ル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec
−ブチル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸−
sec−アミル、酢酸ビニル、酢酸アリル、酢酸メチル
アミル、ステアリン酸ブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチ
ル、ギ酸プロピル、ギ酸−n−ブチル、ギ酸イソブチ
ル、ギ酸−n−アミル、ギ酸イソアミル、酪酸メチル、
酪酸エチル、酪酸イソブチル、酪酸−n−ブチル、酪酸
プロピル、イソ酪酸イソプロピル、プロピオン酸メチ
ル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピ
オン酸プロピル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸−n−
ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソブチル酸メ
チル、イソブチル酸エチル、フタル酸ジメチル、フタル
酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、
シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、セバチン酸ジメ
チル、セバチン酸ジエチル、セバチン酸ジブチル、セバ
チン酸ジオクチル、ブチロラクトン、カプロラクトン、
メチルカプロラクトン、プロピオラクトン、ジオクチル
フタレート等のエステル類。
【0049】アセトン、メチルエチルケトン、メチルプ
ロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルアミ
ルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジイ
ソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、エチルア
ミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロ
ピルケトン、メチルノニルケトン、シクロペンタノン、
シクロブタンジオン、メチルシクロヘキサノン、アセト
フェノン、ジアセトンアルコール、メシチルオキシド、
アクロレイン、ベンゾフェノン、クロロベンゾフェノ
ン、ジクロロベンゾフェノン、ジフロロベンゾフェノ
ン、フロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノ
ン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジフロロテレフタロ
フェノン、ジクロロテレフタロフェノン、ジヒドロキシ
テレフタロフェノン等のケトン類。
【0050】アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ブ
チルアルデヒド等のアルデヒド類。ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、シクロヘキサン、デカン、メチルシクロ
ヘキサン、テトラヒドロナフタレン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、n−プロピ
ルベンゼン、シクロペンタン等の炭化水素類。塩化メチ
ル、塩化メチレン、トリクロロメタン、四塩化炭素、塩
化エチル、塩化エチリデン、ヨウ化メチル、ヨウ化エチ
ル、ヨウ化ベンゼン、ブロモベンゼン、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲ
ン化炭化水素。
【0051】ギ酸、酢酸、酪酸、マレイン酸、プロピオ
ン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無
水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フェノー
ル、m−クレゾール、ビスフェノールA等の脂肪酸及び
フェノール類。ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプ
ロパン、ニトロオクタン、ニトロベンゼン、メチルアミ
ン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミ
ン、アミルアミン、エチレンジアミン、N,N−ジメチ
ルニトロアミン、トリエチレンテトラミン、ホルムアミ
ド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミ
ド、メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、テトラメチ
ルオキシアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、アニリ
ン、ジメチルアニリン、アセトニトリル、クロロアセト
ニトリル、n−ブチロニトリル、ベンゾニトリル、カプ
ロニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、マ
ロノニトリル、n−バレロニトリル、キノリン、モルホ
リン、N−エチルモルホリン、N−アセチルモルホリ
ン、N−ホルミルモルホリン、α−ピロリドン、N−メ
チル−2−ピロリドン、ピリジン、ピペリジン、N−ア
セチルピペリジン、N−ホルミルピペリジン、N−アセ
チルピペリジン、N,N−ジアセチルピペラジン、ヒド
ラジン、フェニルヒドラジン、ε−カプロラクタム等の
窒素化合物。
【0052】ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、メチルエチルカーボネート、ジフェニルカーボネ
ート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカ
ーボネート等の炭酸エステル類。メチルエチルスルホ
ン、テトラメチレンスルホン、硫化ジメチル、二硫化炭
素、メチルテトラメチレンスルホン、メチルプロピルス
ルホン、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルテトラメチレンスルホン、ジエチルスルホン、ス
ルホラン、チオフェン、ジプロピルスルホン、ジフェニ
ルスルホン、ジフロロジフェニルスルホン、ジクロロジ
フェニルスルホン、ジヒドロキシジフェニルスルホン等
の硫黄化合物。
【0053】リン酸ジブチルフェニル、リン酸トリクレ
ジル、亜リン酸トリフェニル、ヘキサメチルリン酸トリ
アミド等のリン化合物、及びこれらの混合物等である。
前記熱安定化溶媒中でも、1,4−ブタンジオール、
1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、
PEG、PPG、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、及びこれらの混合物が特に好ましい。なかでも、ア
ルコール類、及びエーテル類から選択されることが好ま
しい。本発明において、熱安定化溶媒にPEG、PPG
を用いる場合にはその分子量に特に制限はないが、重量
平均分子量で100〜2000であることが望ましい。
【0054】上記熱安定化溶媒中、加熱処理温度で固体
状の化合物は、該温度で液状の他の1種以上の熱安定化
溶媒との溶液として用いられる。本発明における加熱処
理時間は特に制限はないが、5分間以上100時間以下
が望ましく、さらに望ましくは30分間以上50時間以
下、さらに望ましくは1時間以上10時間以下である。
【0055】本発明における加熱処理方法は、PEK濾
過膜を熱安定化溶媒に浸漬した湿潤状態の場合は、開放
系及びオートクレーブ等を用いた密閉系において行うこ
とができる。熱安定化溶媒を塗布や含浸させた湿潤状態
の場合は、オーブン等を用いた開放系、またはオートク
レーブ等を用いた密閉系で行うことができる。ただし開
放系の場合は、加熱処理中に熱安定化溶媒の激しい気化
等により該濾過膜の変形及び該膜の表面における損傷等
が起こる場合があり、また、オーブン等を用いた開放系
の場合は熱安定化溶媒の気化により該濾過膜が湿潤状態
から逸脱する場合があるため、両者が発生しないように
注意を払わなければならない。
【0056】本発明の加熱処理を行う際、熱安定化溶媒
の雰囲気は空気中でも窒素、アルゴン、ヘリウム等の不
活性ガス下でもかまわない。加熱処理中、熱安定化溶媒
が雰囲気中の酸素等により熱劣化を起こし、その結果、
PEK濾過膜の透水性、分画性等の性能を低下する場合
には、前記不活性ガス下での加熱処理が好ましい。本発
明では、上記加熱処理の前に、必要に応じて濾過膜中の
低沸点溶媒を実質的に除去することが好ましい。ここで
低沸点溶媒とは、該製膜、洗浄及び洗浄直後に行った保
存の際に用いた溶媒で製膜後のPEK濾過膜中に残存す
るものである。これらの低沸点溶媒は、通常、沸点が1
40℃以下の溶媒であり、有機溶媒系では、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチ
ルケトン等、無機溶媒系は水、希硫酸、水酸化ナトリウ
ム水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等である。本発
明では、これらの低沸点溶媒を上記加熱処理の前に実質
的に除去することが好ましい。加熱処理の段階で、膜中
に上記低沸点溶媒が残留していると、加熱処理中に沸騰
を起こし、膜の変形や膜表面にピンホール等が発生する
原因となりやすく、分離性能が安定しない傾向にある。
【0057】ここで低沸点溶媒を実質的に除去すると
は、加熱処理中に膜表面から低沸点溶媒に由来する気泡
が現れない状態にすることを意味する。該気泡は、上記
加熱処理温度で低沸点溶媒が沸騰気化することによるも
のと推測される。低沸点溶媒を実質的に除去する方法と
しては、湿潤状態から逸脱しない範囲であるならば特に
制限はないが、加熱処理温度で沸騰しない高沸点溶媒で
置換する方法が好ましい。なかでも、加熱処理を行う際
に用いる熱安定化溶媒で置換することにより、実質的に
膜中から低沸点溶媒を除去することが好ましい。この方
法は特に制限はないが、塗布による含浸法、または熱安
定化溶媒中に、低沸点溶媒が沸騰しない条件で膜を浸漬
して置換することが好ましい。塗布又は浸漬する温度条
件は、通常20〜140℃の範囲である。また、含浸も
しくは浸漬時間は特に制限はないが、通常、5分以上1
00時間以下が望ましく、さらに望ましくは30分以上
50時間以下である。また、浸漬法においては、該膜中
に存在する低沸点溶媒が沸騰しない温度及び圧力の条件
下では、例えばオートクレーブ等の密閉系で加圧下又は
減圧下で行ってもよい。
【0058】さらに、本発明においては、PEK濾過膜
中の低沸点溶媒を熱安定化溶媒に置換した後、該膜に含
浸した熱安定化溶媒が蒸発し、湿潤状態を逸脱しない範
囲で、例えば乾燥機やオーブン等で膜内になお残存する
低沸点溶媒を乾燥除去してもかまわない。また本発明で
は、加熱処理の前に、必要に応じて膜中に高分子化合物
を含有させることが好ましい。該濾過膜内に高分子化合
物を含有させると、加熱処理前後で膜の透水性の変化が
小さいことを本発明者らは見出した。
【0059】該高分子化合物は、PEKのガラス転移点
以上の温度、特に加熱処理温度で分解等を起こさず、化
学的にPEK濾過膜に影響を与えず、さらに加熱処理
後、溶剤等で膜から除去できるものであれば特に制限は
ない。例えば、PEG、PPG、PVP、PVA、セル
ロース及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリメチル
メタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリ
アリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リエーテルイミド、スルホン化ポリエーテルエーテルケ
トン、スルホン化ポリエーテルスルホン等、及びこれら
の誘導体が用いられる。なかでも、PEG、PPG、P
VP、PVAが好ましく用いられる。
【0060】上記高分子化合物の分子量は特に制限はな
いが、通常、重量平均分子量で200〜1,000,0
00、特に200〜100,000の範囲のものが好適
に用いられる。本発明において、高分子化合物を膜中に
含有させるとは、該濾過膜内部、特に膜表面の微細孔に
高分子化合物が存在していることを意味する。高分子化
合物の量は特に制限はないが、膜の多孔度、表面微細孔
の孔径、さらには用いる高分子化合物の比重等にも左右
されるが、通常、該濾過膜100重量部に対して、0.
1〜300重量部の範囲である。
【0061】本発明において、高分子化合物を含有させ
る方法としては、例えば、高分子化合物を溶解して膜を
浸漬させる方法、液状高分子化合物に膜を浸漬させる方
法、高分子化合物を溶解した溶液又は液状高分子化合物
を膜に直接塗布もしくは噴霧させる方法、または高分子
化合物のモノマー又はオリゴマーを膜に含浸させ、重合
操作により該モノマー又はオリゴマーを高分子量化させ
る方法等が好適に用いられる。なかでも、高分子化合物
を溶解した溶液もしくは液状の高分子化合物中に膜を浸
漬させる方法が好ましく用いられる。特に、高分子化合
物を溶解して膜を浸漬させる方法が、高分子化合物を粘
性の低い状態で素速く膜内に均一に含有させることがで
きるため、最も好ましい。
【0062】また、上記方法において高分子化合物を含
有させる場合、膜を浸漬させる温度は、高分子化合物が
膜内に含浸することができ、高分子化合物を溶解した溶
媒が沸騰せず、且つPEKのガラス転移点よりも低い温
度であれば特に制限はない。通常、室温〜140℃の範
囲で行われる。この際、膜中に低沸点溶媒が残存したた
めに、膜表面から溶媒の気化等の沸騰が起こらないよう
に注意を払わなければならない。高分子化合物を溶解し
た溶媒が沸騰したり、膜表面から低沸点溶媒による激し
い気化が発生した場合は、膜の変形や膜表面にピンホー
ル等が発生する可能性があり、分離性能の安定した結晶
性濾過膜が得られない傾向にある。
【0063】さらに、上記高分子化合物を膜中に含有さ
せる雰囲気は、空気中でも、窒素等の不活性気体の存在
下でも良い。また、膜内に気泡等が含まれている場合に
は、高分子化合物が膜内に浸入しにくいので、該気泡の
除去するために減圧下又は加圧下で行うことも可能であ
る。また、上記高分子化合物を膜内に含有させる時間、
例えば高分子化合物を膜に浸漬させる時間は、特に制限
はなく、通常10秒〜50時間の範囲である。
【0064】さらに、上記高分子化合物を溶解した溶液
に膜を浸漬する方法において、高分子化合物を溶解する
溶媒は、上記に示した熱安定化溶媒であることが望まし
い。該溶媒として上記熱安定化溶媒以外を用いた場合
は、加熱処理の際、膜内の溶媒を熱安定化溶媒に置換す
る工程が追加されるため、生産性の点で望ましくない。
また、その濃度は特に制限はなく、通常、溶媒100重
量部に対して、高分子化合物1〜1000重量部であ
る。
【0065】本発明では、上記高分子化合物を膜に含有
させて、膜中の低沸点溶媒が実質的に除去された場合
は、上記低沸点溶媒を除去する工程は省くことができ
る。また、高分子化合物を膜に含有させる際、膜の湿潤
状態を逸脱してはならない。次に、本発明の必要に応じ
た後処理工程について説明する。本発明においての後処
理工程には、加熱処理終了後、膜内に存在する熱安定化
溶媒、高分子化合物等を除去する洗浄処理と、実際に濾
過使用に至るまで湿潤状態を保持するための保存処理等
がある。
【0066】まず、洗浄処理としては、熱安定化溶媒や
高分子化合物を除去するために、両方に溶解能を有する
溶媒を用いて洗浄することが望ましい。該溶媒として
は、水またはアルコール類、ケトン類、エーテル類、ア
ミド類等の有機溶媒が好適に使用できる。該洗浄処理の
温度は特に制限はないが、通常、室温〜130℃で行わ
れる。しかし、還流下等、洗浄に用いる溶媒が沸騰する
条件下では、膜の変形、膜表面の損傷が起こりやすいの
で好ましくない。
【0067】一方、保存処理としては、例えば熱安定化
溶媒、ホルマリン、水又はこれらの混合物等に膜を浸漬
したり、これらの液を膜中に含浸又は塗布した状態にす
ることが好ましい。しかしながら、分離膜としての使用
に問題のない溶媒を熱安定化溶媒として用いた場合は、
上記保存処理を省いてもよい。例えば、これらの熱安定
化溶媒は、分離膜としての使用分野にも左右されるが、
グリセリン、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−
ル、トリエチレングリコ−ル、テトラエチレングリコ−
ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、
トリプロピレングリコ−ル、PEG、PPG等、及びこ
れらの混合物等が挙げられるがこの限りではない。
【0068】以上のように、非晶性PEK濾過膜を、湿
潤状態を保持しながら、熱安定化溶媒を用いて特定条件
で加熱処理を行うことにより、高度に熱安定化した結晶
性濾過膜を得ることができる。また、加熱処理前に膜中
の低沸点溶媒を実質的に除去することで、分画性等の品
質の安定した膜を得ることができる。さらに、加熱処理
前に膜中に高分子化合物を含有させることにより、結晶
化による透水性の低下を改善できる。
【0069】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。まず、膜の各
物性の測定方法について述べる。 透水量 (平膜状の場合)プラスチックホルダー(アドバンテッ
ク東洋(株)製、PP−25)内に平膜を設置し、凝固
液に接していた方の膜面に、25℃の蒸留水を1kg/
cm2 の圧力で加えたとき、膜を透過してきた蒸留水の
体積を20分間測定し、その値をリットル/m2 ・hr
・kg/cm2 に換算して求めた。 (中空糸膜状の場合)長さ30cmの中空糸膜単糸の膜
内部に、25℃の蒸留水を1kg/cm2 の圧力で加え
たとき、膜外部に透過してきた蒸留水の体積を20分間
測定し、その値をリットル/m2 ・hr・kg/cm2
に換算して求めた。 デキストラン分子に対する阻止率(中空糸膜の分画
性評価) 蒸留水中に、各種重量平均分子量のデキストラン(ファ
ルマシア社製)を加え、0.5重量%の濃度になるよう
に調製した溶液を原液とした。この原液を、中空糸膜内
部に、25℃、線速1m/sec、平均濾過圧1kg/
cm2 の圧力で加えたとき、膜外部に透過してきた濾液
を10分間採取し、下式から求めた。
【0070】阻止率(%)=(1−C/C0 )×100 (ただし、Cは採取した濾液濃度、C0 は原液濃度を表
す。) 広角X線回折(結晶化度) マックサイエンス社製のX線回折装置MXP−18を用
い、加速電圧50kv、加速電流200mA、Cuター
ゲットにより発生したX線をNiモノクロメータにより
単色化して使用した。試料は膜の形状が中空糸膜状及び
平膜状の場合は繊維試料台を用いて設置し、透過方式に
より測定を行った。試料より発生される散乱X線を12
〜32゜まで走査し、1゜あたり50ポイントを採り、
且つ1ポイントあたり1.2秒計量した。得られた回折
像に対してBlundell及びOsbornにより報
告されている方法(Polymer,24、P.953
(1983))で結晶化度を求めた。
【0071】
【実施例1】熱安定化溶媒として、ジエチレングリコー
ルを用いた場合を例示する。蒸留水で濃度調製した濃度
88.0%の硫酸920.0gに、還元粘度0.96d
l/gで式(1)の繰り返し単位からなるPEK(ガラ
ス転移点151℃、融点373℃)80.0gを加え、
減圧法により脱気しながら撹拌して、10時間溶解操作
を行い、均一溶液としたものを製膜原液とした。同軸2
重管型(チューブインオリフィス型)の中空糸製造用紡
口から内部凝固剤として16℃の蒸留水を吐出させなが
ら、16℃の該製膜原液を同時に吐出させた。該製膜原
液は紡口より10cm下方に設けられた15℃の水浴中
に浸漬し、凝固した後、12.6m/minの速度で巻
き取られた。巻き取られた中空糸膜は、約40cmに切
断され、60℃の蒸留水中に12時間、16℃のエタノ
ール中に10時間浸漬して洗浄した。X線回折の測定の
結果、得られたPEK中空糸膜は非晶質状態であった。
【0072】得られた中空糸膜を、エタノール中から取
り出した後、湿潤状態を保持させたまま、該中空糸の約
5重量倍のジエチレングリコール中に浸漬し、開放系で
約1時間かけて200℃に昇温、2時間200℃を保持
して加熱処理を行い、約1時間かけて16℃まで冷却し
た。その後、中空糸膜を乾燥させないように、60℃の
蒸留水に5時間、さらに50℃のエタノール中に1時間
ごとにエタノールを置換しながら5時間浸漬して洗浄し
た後、15℃の蒸留水中に保存した。
【0073】得られた中空糸膜は、内径0.55mm、
外径0.98mm、透水量62リットル/m2 ・hr・
kg/cm2 であった。さらに、この中空糸膜を、密閉
系において130℃の蒸留水に15時間浸漬を行った後
の透水量は、58リットル/m2 ・hr・kg/cm2
であり、熱水による透水量の低下はほとんど見られなか
った。
【0074】また、さらに150℃の蒸留水に10時間
浸漬を行った後の透水量は、56リットル/m2 ・hr
・kg/cm2 であり、透水量は変化しなかった。
【0075】
【実施例2】熱安定化溶媒としてトリエチレングリコー
ルを用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られた
中空糸膜の透水量は、40リットル/m2 ・hr・kg
/cm2 、分子量1万のデキストラン排除率は91%で
あった。
【0076】また、130℃の熱水処理後の透水量は3
4リットル/m2 ・hr・kg/cm2 、デキストラン
排除率は93%と、透水量、分画性ともほとんど変化し
なかった。
【0077】
【実施例3】熱安定化溶媒としてプロピレングリコール
を用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られた中
空糸膜の透水量は、46リットル/m2 ・hr・kg/
cm2 、分子量1万のデキストラン排除率は90%であ
った。
【0078】また、130℃の熱水処理後の透水量は4
3リットル/m2 ・hr・kg/cm2 、デキストラン
排除率は93%と、透水量、分画性ともほとんど変化し
なかった。
【0079】
【実施例4】熱安定化溶媒としてトリエチレングリコー
ルを用い、加熱処理時間を5時間とした以外は、実施例
1と同様に行った。得られた中空糸膜の透水量は、42
リットル/m2 ・hr・kg/cm2 、分子量1万のデ
キストラン排除率は91%であった。
【0080】また、130℃の熱水処理後の透水量は4
2リットル/m2 ・hr・kg/cm2 、デキストラン
排除率は91%と、透水量、分画性ともほとんど変化し
なかった。さらに、150℃の熱水処理後の透水量は3
8リットル/m2 ・hr・kg/cm2 、デキストラン
排除率は94%であり、やはり透水量、分画性の低下は
見られなかった。
【0081】
【実施例5】熱安定化溶媒としてトリエチレングリコー
ルを用い、加熱処理温度を280℃とした以外は、実施
例1と同様に行った。得られた中空糸膜の透水量は、4
1リットル/m2 ・hr・kg/cm2 、分子量1万の
デキストラン排除率は90%であった。
【0082】また、130℃の熱水処理後の透水量は3
8リットル/m2 ・hr・kg/cm2 、デキストラン
排除率は94%と、透水量、分画性ともほとんど変化し
なかった。さらに、150℃の熱水処理後の透水量は3
8リットル/m2 ・hr・kg/cm2 、デキストラン
排除率は94%であり、やはり透水量、分画性の低下は
見られなかった。
【0083】
【比較例1】加熱処理を行わなかった以外は、実施例1
と同様に行った。得られた中空糸膜の透水量は、240
リットル/m2 ・hr・kg/cm2 であった。また、
130℃の熱水処理後の透水量は12リットル/m2
hr・kg/cm2 と、激しく低下した。
【0084】
【比較例2】実施例1と同様の方法で製膜した中空糸膜
を、200℃のオーブン中において30分間加熱処理を
行った。オーブンから取り出された中空糸膜は完全に乾
燥しており、湿潤状態ではなかった。得られた中空糸膜
の透水量を測定を試みたところ、20分間の測定中、全
く透水してこなかった。
【0085】
【比較例3】湿潤状態においてPEKのガラス転移点よ
り低い温度において加熱処理を行った場合を示す。熱安
定化溶媒としてトリエチレングリコールを用い、加熱処
理温度を130℃とした以外は、実施例1と同様に行っ
た。得られた中空糸膜の透水量は、69リットル/m2
・hr・kg/cm2 であった。
【0086】また、130℃の熱水処理後の透水量は1
1リットル/m2 ・hr・kg/cm2 と、著しく低下
した。
【0087】
【比較例4】湿潤状態においてPEKのガラス転移点よ
り低い温度において加熱処理を行い、乾燥処理を行った
場合を示す。実施例1と同様の方法で製膜した中空糸膜
を、乾燥しないようにジメチルアセトアミドに浸漬し、
30分間ジメチルアセトアミドを沸騰させて還流させ
た。その後、沸騰アセトンで2時間洗浄を行い、室温の
空気中において10時間乾燥させた。
【0088】得られた中空糸膜の透水量は21リットル
/m2 ・hr・kg/cm2 であった。また、130℃
の熱水処理後の透水量は4リットル/m2 ・hr・kg
/cm 2 と、大きく低下した。さらに、150℃の熱水
処理後の透水量は2リットル/m2 ・hr・kg/cm
2 と、さらに低下が進んだ。
【0089】
【実施例6】濃度98.0%の硫酸940.0gに、還
元粘度1.30dl/gで式(1)の繰り返し単位から
なるPEK(ガラス転位点151℃、融点371℃)6
0g、増粘剤として重量平均分子量1万のPVP75g
を加え、実施例1と同様の溶解したものを製膜原液とし
て用いて実施例1と同様に製膜した。
【0090】洗浄後、中空糸膜を17℃、3000pp
mの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に15時間浸漬した
後、60℃の蒸留水に12時間、25℃のエタノール中
に10時間浸漬して膜に残留するPVPを除去し、該膜
を蒸留水中に保存した。その後、実施例1と同様に加熱
処理、及び洗浄処理を行った。得られた中空糸膜は、内
径0.70mm、外径1.05mm、透水量215リッ
トル/m2 ・hr・kg/cm2 であった。
【0091】また、130℃の熱水処理後の透水量は2
08リットル/m2 ・hr・kg/cm2 と、ほとんど
変化しなかった。
【0092】
【実施例7】熱安定化溶媒としてトリエチレングリコー
ルを用いた以外は、実施例6と同様に行った。得られた
中空糸膜の透水量は151リットル/m2 ・hr・kg
/cm2 、分子量1万のデキストラン排除率は77%で
あった。
【0093】また、130℃の熱水処理後の透水量は1
49リットル/m2 ・hr・kg/cm2 、デキストラ
ン排除率78%と、透水量、分画性とも変化しなかっ
た。
【0094】
【実施例8】還元粘度1.1dl/gで式(5)の繰り
返し単位からなるPEK(ガラス転位点170℃、融点
381℃)、熱安定化溶媒にジプロピレングリコールを
用い、かつ加熱処理温度を220℃とした以外は、実施
例1と同様に行った。得られた中空糸膜は、内径0.5
2mm、外径0.96mm、透水量54リットル/m2
・hr・kg/cm2 、分子量1万のデキストラン排除
率は92%であった。
【0095】また、130℃の熱水処理後の透水量は5
1リットル/m2 ・hr・kg/cm2 デキストラン排
除率97%と、透水量、分画性とも変化しなかった。ま
た、150℃の熱水処理後の透水量は48リットル/m
2 ・hr・kg/cm2 、デキストラン排除率96%
と、透水量、分画性とも変化しなかった。
【0096】
【実施例9】熱安定化溶媒としてジエチレングリコール
を用いた平膜状の場合を例示する。蒸留水で濃度調製し
た濃度88%の硫酸46.0gに、還元粘度0.96d
l/gで式(1)の繰り返し単位からなるPEK(ガラ
ス転移点151℃、融点373℃)4.0gを加え、減
圧法により脱気しながら撹拌して、10時間溶解操作を
行い、均一溶液としたものを製膜原液とした。乾燥ガラ
ス板上にアプリケーターを用いて液膜の厚さが100μ
mとなるように製膜原液を平膜状にキャストし、直ちに
15℃の蒸留水中に該ガラス板とともに浸漬し、凝固さ
せた。20分後、得られた膜を蒸留水中から取り出し、
直ちに60℃の蒸留水中に12時間、さらに25℃のエ
タノール中に10時間浸漬して洗浄した。
【0097】次に、得られた膜を、エタノール中から取
り出した後、乾燥しないように直ちに15℃のジエチレ
ングリコール中に浸漬し、1時間ごとに3回ジエチレン
グリコールを置換した。さらに、該膜をジエチレングリ
コールに浸漬させたまま、開放系で1時間かけて200
℃に昇温、2時間200℃を保持して加熱処理を行い、
約1時間かけて16℃まで冷却した。
【0098】その後、膜を乾燥させないように、60℃
の蒸留水に5時間、さらに50℃のエタノール中に1時
間ごとにエタノールを置換しながら5時間浸漬して洗浄
した後、15℃の蒸留水中に保存した。得られた平膜
は、透水量82リットル/m2 ・hr・kg/cm2
あった。また、130℃の熱水処理後の透水量は81リ
ットル/m2 ・hr・kg/cm2 と、ほとんど変化し
なかった。
【0099】
【実施例10】熱安定化溶媒としてジプロピレングリコ
ールを用いた以外は、実施例9と同様に行った。得られ
た平膜は、透水量97リットル/m2 ・hr・kg/c
2 であった。また、130℃の熱水処理後の透水量は
92リットル/m2 ・hr・kg/cm2 と、ほとんど
変化しなかった。
【0100】
【実施例11】加熱処理前に膜中の低沸点溶媒を除去し
た場合を示す。実施例1において、洗浄終了後で加熱処
理前の中空糸膜を、該洗浄に用いたエタノール中から取
り出した後、すぐに18℃のジエチレングリコールに浸
漬し、約20分かけて90℃まで昇温した。
【0101】1時間後に該中空糸膜を取り出し、別に用
意した17℃のジエチレングリコールに浸漬し、開放系
で約1時間かけて200℃に昇温し、2時間200℃を
保持して加熱処理を行った後、約1時間かけて16℃ま
で冷却した。昇温中及び200℃での保持中、膜表面を
目視観察した結果、膜表面からの気泡の発生は全く観測
されなかった。
【0102】かかる中空糸膜は、加熱処理後、乾燥しな
いように60℃の蒸留水に5時間、さらに50℃のエタ
ノール中に1時間ごとにエタノールを置換しながら5時
間浸漬して洗浄後、15℃の蒸留水中に保存した。得ら
れた中空糸膜は、内径0.55mm、外径0.98mm
であった。また、中空糸膜100本に対して、重量平均
分子量が1万、4万、10万のデキストラン阻止率を測
定した。その結果、100本の中空糸膜すべてが、重量
平均分子量1万のデキストランに対して88〜95%、
4万に対しては93〜96%、10万に対しては95〜
99%の阻止率を示した。
【0103】
【実施例12】濃度98.0%の硫酸940.0gに、
還元粘度1.1dl/gで式(5)の繰り返し単位から
なるPEK(ガラス転位点159℃、融点381℃)6
0g、さらに増粘剤として重量平均分子量1万のPVP
75gを加え、実施例1と同様の溶解したものを製膜原
液として用いて、実施例1と同様に製膜した。
【0104】洗浄後、中空糸膜を17℃、5000pp
mの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に15時間浸漬した
後、60℃の蒸留水に12時間、25℃のエタノール中
に10時間浸漬して膜に残留するPVPを除去し、該膜
を蒸留水中に保存した。次に、該中空糸膜を90℃のト
リエチレングリコールに1時間浸漬後、40℃の空気雰
囲気下に20時間放置した。
【0105】かかる後、中空糸膜を18℃のトリエチレ
ングリコールに浸漬し、開放系で約1時間かけて200
℃に昇温し、2時間200℃を保持して加熱処理を行
い、約1時間かけて16℃まで冷却した。昇温中及び2
00℃での保持中、膜表面を目視観察した結果、膜表面
からの気泡の発生は全く観測されなかった。その後、膜
を乾燥させないように、60℃の蒸留水に5時間、さら
に50℃のエタノール中に1時間ごとにエタノールを置
換しながら5時間浸漬して洗浄した後、15℃の蒸留水
中に保存した。
【0106】得られた中空糸膜は、内径0.72mm、
外径1.08mmであった。また、中空糸膜100本に
対して、重量平均分子量が1万、4万、10万のデキス
トラン阻止率を測定した。その結果、100本の中空糸
膜すべてが、重量平均分子量1万のデキストランに対し
て70〜78%、4万に対しては88〜94%、10万
に対しては93〜99%の阻止率を示した。
【0107】
【比較例5】実施例1と同様に製膜、洗浄を行って得ら
れた中空糸膜を、17℃のジエチレングリコールに浸漬
して、開放系で約1時間かけて200℃に昇温し、2時
間200℃を保持して加熱処理を行い、約1時間かけて
16℃まで冷却した。昇温中、150℃近傍において膜
表面を目視観察した結果、数本の中空糸膜の膜表面から
の微量ながら気泡の発生が観測された。
【0108】次に、中空糸膜を乾燥させないように、6
0℃の蒸留水に5時間、さらに50℃のエタノール中に
1時間ごとにエタノールを置換しながら5時間浸漬して
洗浄した後、15℃の蒸留水中に保存した。得られた中
空糸膜は、内径0.55mm、外径0.98mmであっ
た。また、中空糸膜30本に対して、重量平均分子量が
1万、4万、10万、100万のデキストラン阻止率を
測定した。その結果、中空糸膜30本のうち27本が、
重量平均分子量1万のデキストランに対して70〜78
%、4万に対しては88〜94%、10万に対しては9
3〜99%、100万に対しては98〜99%の阻止率
を示した。しかし、どの重量平均分子量のデキストラン
に対しても、その阻止率が15〜25%と、分画性能の
劣る中空糸膜が3本混入していた。
【0109】
【比較例6】実施例12の方法により製膜、洗浄された
中空糸膜を、実施例2と同様の方法で次亜塩素酸ナトリ
ウム水溶液による洗浄を行った後、60℃の蒸留水に1
2時間、25℃のエタノール中に10時間浸漬して膜に
残留するPVPを除去し、該膜を室温の蒸留水中に保存
した。
【0110】次に、中空糸膜を18℃のトリエチレング
リコールに浸漬し、開放系で約1時間かけて200℃に
昇温し、2時間200℃を保持して加熱処理を行い、約
1時間かけて16℃まで冷却した。昇温中、150℃近
傍において膜表面を目視観察した結果、数本の中空糸膜
の膜表面から微量ながら気泡の発生が観測された。その
後、乾燥させないように、60℃の蒸留水に5時間、さ
らに50℃のエタノール中に1時間ごとにエタノールを
置換しながら5時間浸漬して洗浄した後、15℃の蒸留
水中に保存した。
【0111】得られた中空糸膜は、内径0.72mm、
外径1.08mmであった。また、中空糸膜30本に対
して、重量平均分子量が1万、4万、10万、100万
のデキストラン阻止率を測定した。その結果、中空糸膜
30本のうち28本が、重量平均分子量1万のデキスト
ランに対して70〜78%、4万に対しては88〜94
%、10万に対しては93〜99%の阻止率を示した。
しかし、どの重量平均分子量のデキストランに対して
も、その阻止率が12〜32%と、分画性能の劣る中空
糸膜が2本混入していた。
【0112】
【実施例13】蒸留水で濃度調整した濃度88.0%の
硫酸92.0gに、還元粘度0.96dl/gで式
(1)の繰り返し単位からなるPEK(ガラス転移点1
51℃、融点373℃)8.0gを加え、減圧法により
脱気しながら撹拌して、8時間溶解操作を行い、均一溶
液としたものを製膜原液とした。乾燥ガラス板状にアプ
リケーターを用いて液膜の厚さが100μmとなるよう
に製膜原液を平膜状にキャストし、直ちに22℃の蒸留
水中に該ガラス板とともに浸漬し、凝固させた。20分
後、得られた膜を蒸留水中から取り出し、直ちに40℃
の蒸留水中に12時間、さらに23℃のエタノール中に
10時間浸漬して洗浄した。
【0113】得られた平膜は、X線回折測定の結果、非
晶質状態であり、その透水量は480リットル/m2
hr・kg/cm2 であった。次に、得られた平膜を、
高分子量体としてPEG(重量平均分子量400)を濃
度30重量%となるようにエタノールに溶解したものに
6時間浸漬させた。かかる後に、膜を空気中で24時間
乾燥させてエタノールを除去し、トリエチレングリコー
ルに浸漬して、200℃で1時間熱安定化処理を行っ
た。加熱処理中、膜表面からの気泡の発生は見受けられ
なかった。
【0114】その後、膜をエタノール中に5時間、水中
に5時間浸漬して、用いたPEG及びトリエチレングリ
コールを除去し、乾燥しないように水中に保存した。得
られた結晶性PEK濾過膜は、結晶化度24重量%、透
水量298リットル/m2 ・hr・kg/cm2 で、透
水量保持率は62%であった。
【0115】
【実施例14】高分子量体として、重量平均分子量10
00のPEG、熱安定化溶媒としてテトラエチレングリ
コールを用いた以外は、実施例13と同様に行った。得
られた結晶性PEK濾過膜の透水量保持率は75%であ
った。
【0116】
【比較例7】PEGのエタノール溶液を用いる代わりに
ジエチレングリコールを用いた以外は実施例13と同様
に行った。得られた結晶性PEK濾過膜透水量保持率は
32%であった。
【0117】
【比較例8】PEGのエタノール溶液を用いる代わりに
トリエチレングリコールを用い、かつ熱安定化溶媒にテ
トラエチレングリコールを用いた以外は実施例13と同
様に行った。得られた結晶性PEK濾過膜の透水量保持
率は34%であった。
【0118】
【実施例15】蒸留水で濃度調製した濃度87.8%の
硫酸920.0gに、式(5)の繰り返し単位からなる
PEK(BASF社製、A2000)80.0gを加
え、減圧法により脱気しながら撹拌して、10時間溶解
操作を行い、均一溶液としたものを製膜原液とした。同
軸2重管型(チューブインオリフィス型)の中空糸製造
用紡口から内部凝固剤として16℃の蒸留水を吐出させ
ながら、16℃の該製膜原液を同時に吐出させた。該製
膜原液は紡口より10cm下方に設けられた15℃の水
浴中に浸漬し、凝固させた後、12.6m/minの速
度で巻き取られた。巻き取られた中空糸膜は約40cm
に切断され、60℃の蒸留水中に12時間、16℃のエ
タノール中に10時間浸漬することにより洗浄を行っ
た。X線回折の測定の結果、得られた芳香族ポリエーテ
ルケトン中空糸状半透膜は非晶質状態であった。
【0119】得られた中空糸膜を、エタノール中から取
り出した後、膜を乾燥させないように50℃のトリエチ
レングリコールに2時間浸漬して膜内の水やエタノール
等の低沸点溶媒を除去した。ついで、濃度30重量%の
PEG(重量平均分子量800)のトリエチレングリコ
ール溶液に、100℃で6時間浸漬した。かかる後に、
該中空糸膜をトリエチレングリコール中に浸漬し、開放
系で約1時間かけて200℃に昇温し、2時間200℃
を保持して加熱処理を行い、約1時間かけて16℃まで
冷却した。
【0120】次に、中空糸膜を乾燥しないように60℃
の蒸留水に5時間、さらに50℃のエタノール中に1時
間ごとにエタノールを置換しながら5時間浸漬して洗浄
した後、15℃の蒸留水中保存した。得られた中空糸膜
は、内径0.55mm、外径0.98mm、結晶化度2
6重量%、透水量保持率73%であった。
【0121】
【実施例16】高分子量体として重量平均分子量200
0のPEG、熱安定化溶媒としてテトラエチレングリコ
ールを用いた以外は、実施例15と同様に行った。得ら
れた結晶性PEK濾過膜の透水量保持率は82%であっ
た。
【0122】
【比較例9】実施例15で得られた非晶質状態の中空糸
膜を、高分子化合物を含有させずに、空気雰囲気下、2
00℃のオーブン中で20分間加熱処理を行った。得ら
れた中空糸膜は、結晶化度が27%の結晶性濾過膜であ
った。また、この膜の透水量保持率は1%以下であっ
た。
【0123】
【比較例10】実施例15で得られた非晶質状態の中空
糸膜を、高分子化合物を含有させずに、密閉系におい
て、200℃の熱水中に2時間浸漬して加熱処理を行っ
た。得られた中空糸膜は、結晶化度が25%の結晶性濾
過膜であった。また、この膜の透水量保持率は1%以下
であった。
【0124】
【参考例1】実施例15で得られた結晶性中空糸膜を用
いて、密閉系において170℃の蒸留水に15時間浸漬
した後の透水量の測定を行った結果、透水量の変化は見
られなかった。
【0125】
【参考例2】参考例1において170℃熱水浸漬試験を
行った後の中空糸膜を、密閉系において200℃の蒸留
水に10時間浸漬した後に透水量の測定を行った結果、
透水量の変化は見られなかった。
【0126】
【発明の効果】本発明の熱安定化方法を用いると、耐薬
品性、低溶出性に優れ、且つ130℃以上の熱水や蒸気
に長時間接触させた後も、透水性及び分画性が変化しな
い優れた性能を有する結晶性PEK濾過膜を得ることが
できる。この結晶性濾過膜は、高度な膜性能が要求され
る分野、例えば半導体等の電子工業用超純水、医薬、医
療機器、食品用途等での濾過や滅菌、さらには火力発電
所や原子力発電所における100℃をこえる復水の浄化
等に好適に用いられる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶性芳香族ポリエーテルケトン濾過膜
    を、湿潤状態を保ちながら、熱安定化溶媒の存在下、芳
    香族ポリエーテルケトンのガラス転移点以上、融点以下
    の温度で加熱処理を行うことを特徴とする濾過膜の熱安
    定化方法。
  2. 【請求項2】 加熱処理前に、膜中の低沸点溶媒を実質
    的に除去することを特徴とする請求項1記載の熱安定化
    方法。
  3. 【請求項3】 熱安定化溶媒で置換することにより、膜
    中の低沸点溶媒を実質的に除去することを特徴とする請
    求項2記載の熱安定化方法。
  4. 【請求項4】 加熱処理前に、膜中に高分子化合物を含
    有させることを特徴とする請求項1記載の熱安定化方
    法。
  5. 【請求項5】 溶媒に高分子化合物を溶解し、該芳香族
    ポリエーテルケトン濾過膜を浸漬することを特徴とする
    請求項4記載の熱安定化方法。
  6. 【請求項6】 該熱安定化溶媒が、溶解度パラメータ値
    が8以上17以下の溶媒である請求項1〜5いずれか記
    載の熱安定化方法。
  7. 【請求項7】 該熱安定化溶媒が、アルコール類及びエ
    ーテル類から選択される1つ以上の溶媒である請求項1
    〜5いずれか記載の熱安定化方法。
  8. 【請求項8】 該高分子化合物が、ポリエチレングリコ
    ール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリド
    ン、ポリビニルアルコールである請求項4、5いずれか
    記載の熱安定化方法。
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