JPH08126099A

JPH08126099A - 音場信号再生装置

Info

Publication number: JPH08126099A
Application number: JP6260202A
Authority: JP
Inventors: Toshihiko Date; 俊彦伊達
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1994-10-25
Filing date: 1994-10-25
Publication date: 1996-05-17

Abstract

(57)【要約】【目的】虚音源の指向特性を考慮した音場信号再生装
置を提供する。【構成】オーディオ信号を入力する信号入力手段１
と、その入力されたオーディオ信号を少なくとも２つの
信号に分割する信号分割手段２と、Ａ／Ｄ変換器２と、
入力されたオーディオ信号に畳み込み演算を行うための
タップ係数記憶手段、タップ係数設定手段、畳み込み演
算手段、入力されたオーディオ信号の周波数特性を変化
させるための周波数特性記憶手段、周波数特性設定手
段、イコライザ、入力されたオーディオ信号の出力レベ
ルを調整する出力レベルを調整手段とからなる信号処理
手段３と、Ｄ／Ａ変換器４と、アンプ５と、スピーカ６
を具備する。そして、スピーカ６によって再生された虚
音源の定位情報を入力する定位情報入力手段１５と、虚
音源の指向特性を選択する指向特性選択手段１６を備え
たことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＡＶ（オーディオ、ビ
ジュアル）機器において、臨場感のある音響再生を行う
音場信号再生装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、映像・音響分野においてはＶＴＲ
の普及により映画を家庭で楽しむために大画面及び臨場
感のある音響再生が望まれ、これに対応するハ−ドウエ
アの開発が望まれている。

【０００３】特にＶＴＲの映画ソフトの音響では、映画
館で行われているように、側方または後方（あるいはこ
れらを組み合わせたもの）にスピ−カを配置して再生を
行うドルビ−・サラウンド方式が普及している。

【０００４】また、これとは別に家庭用ＴＶセットなど
を対象として、実際にはスピーカを側方や後方に置かな
くても側方や後方から音が聞こえてくるようにするため
の音場信号再生装置が開発されている。

【０００５】図２１は、従来における音場再生装置のブ
ロック図である。まず、前方に置かれたスピ−カ６−
１，６−２を用いて視聴者の左後方に音を定位させる方
法について図２１を用いて説明を行う。図２１において
1は、信号Ｓ(t) を入力する信号入力手段、１４は入力
された信号を分割する信号分割手段2ー1、2ー2はＡ／Ｄ変
換器、3ー1、3ー2は信号処理手段、4-1,4-2はＤ／Ａ変換
器、5ー1、5ー2はアンプ、6ー1、6ー2はスピーカである。

【０００６】図２１で、ｈ1(t)はスピ−カ6ー1と受聴者
７の左耳の位置（正確にはスピーカ４にインパルスを入
力した時の鼓膜の位置での応答であるが、測定を行う場
合は耳道入口の位置で行う、以下同様）における頭部伝
達関数（以下、時間領域での説明を行うためインパルス
応答と呼ぶ。但し、周波数領域で考えても同様の結果が
得られる）、ｈ2(t)は、スピ−カ6ー１と受聴者７の右耳
の位置におけるインパルス応答、ｈ3(t)は、スピ−カ6ー
２と受聴者７の左耳の位置におけるインパルス応答、ｈ
4(t)は、スピ−カ6ー２と受聴者７の右耳の位置における
インパルス応答、８はインパルス信号等の信号Ｓ(t)を
発生する信号発生手段、９は受聴者の左後方に配置され
た虚音源、ｈ5(t)は、虚音源９と受聴者７の左耳の位置
におけるインパルス応答、ｈ6(t)は、虚音源９と受聴者
７の右耳の位置におけるインパルス応答である。

【０００７】このような構成において、信号発生手段８
から信号Ｓ(t) を虚音源９から放射した場合、受聴者７
の耳に到達する音は、左耳Ｌ(t) ではＬ(t) ＝Ｓ(t)＊ｈ5(t) ・・・（１）右耳Ｒ(t) ではＲ(t) ＝Ｓ(t)＊ｈ6(t) ・・・（２）（但し、＊は畳込み演算を表している。）と表される
（実際は、スピ−カ自信の伝達関数などが掛け合わされ
ることとなるが、これは無視することとする、またスピ
−カ等の伝達関数がｈ5(t)、ｈ6(t)に含まれていると考
えても良い）。

【０００８】また、インパルス応答及び信号Ｓ(t) を時
間が離散的なディジタル信号として考え、それぞれＬ(t) → Ｌ(n) Ｒ(t) → Ｒ(n) ｈ5(t) → ｈ5(n) ｈ6(t) → ｈ6(n) Ｓ(t) → Ｓ(n) （ｎは実際はｎＴで、Ｔはサンプリング時間を表すが一
般的にＴを省略して表記する。また、ｎは自然数であ
る。）と表すと、式（１）、（２）は次のようになる。

【０００９】

【数１】

【００１０】

【数２】

【００１１】ここでＮは、インパルス応答ｈ5(n)、ｈ6
(n)の長さである。また、同様に信号Ｓ(t) がスピ−カ6
ー1、6ー2から放射されて、受聴者７に到達する音は、左耳
Ｌ’(t) ではＬ’(t) ＝Ｓ(t)＊ｈL(t)＊ｈ1(t) ＋Ｓ(t)＊ｈR(t)＊ｈ3(t) ・・・（３）右耳Ｒ’(t) ではＲ’(t) ＝Ｓ(t)＊ｈL(t)＊ｈ2(t) ＋Ｓ(t)＊ｈR(t)＊ｈ4(t) ・・・（４）と表され、同様にＬ’(n) ＝Ｓ(n) ＊ｈL(n)＊ｈ1(n) ＋Ｓ(n)＊ｈR(n)＊ｈ3(n) ・・・（５）Ｒ’(n) ＝Ｓ(n) ＊ｈL(n)＊ｈ2(n) ＋Ｓ(n)＊ｈR(n)＊ｈ4(n) ・・・（６）となる。

【００１２】頭部伝達関数が等しければ音が同方向から
聞こえるということを前提にする（この前提は一般的に
正しい）と、Ｌ(n) ＝Ｌ’(n) ・・・（７）のとき、ｈ5(n) ＝ｈL(n)＊ｈ1(n) ＋ｈR(n)＊ｈ3(n) ・・・（８）Ｒ(n) ＝Ｒ’(n) ・・・（９）のとき、ｈ6(n) ＝ｈL(n)＊ｈ2(n) ＋ｈR(n)＊ｈ4(n) ・・・（１０）のなるので、スピーカ6ー1とスピーカ6ー2を用いて受聴者
７に対して虚音源９の位置である左後方から聞こえるよ
うにするためには、式（８）と式（１０）を満たすよう
に、ｈL(n)，ｈR(n)を決定すれば良い。例えば、式
（８）、式（１０）を周波数領域の表現で書き直すと、
畳込み演算が乗算に代わり、後はそれぞれのインパルス
応答をＦＦＴして伝達関数にしたものになる。ＦＩＲフ
ィルタの伝達関数２つ以外は測定により得られることか
らＦＩＲフィルタの伝達関数をこの２つの式から求める
ことができる。このようにして決定されたｈL(n)，ｈR
(n)を用い、スピーカ6ー1からは信号Ｓ(n)とｈL(n)と
を、スピーカ6ー1からは信号Ｓ(n)とｈR(n)とを畳み込ん
だものを放射することにより受聴者７は実際に後方のス
ピ−カ９を鳴らさなくても、後方から音が鳴っていると
感じさせることが可能となる。

【００１３】図２２は、3ー1、3ー2の信号処理手段を実現
するハードウェアの構成を示す図である。図２２におい
て、２１は入力信号とタップ係数を畳み込む畳み込み演
算手段、２３は畳み込み演算手段２１で畳み込むタップ
係数を、各方向のタップ係数を蓄えてあるタップ係数記
憶手段２２から取り出すタップ係数設定手段２３、１３
は受聴者と虚音源９との位置関係を入力する位置関係入
力手段である。

【００１４】タップ係数設定手段２３が、位置関係入力
手段１３により入力された位置に応じたタップ係数をタ
ップ係数記憶手段２２から取り出して、畳み込み演算手
段２１に設定し、入力信号との畳み込み処理を行なうも
のである。

【００１５】以上の信号処理を行うことにより、音像を
任意の位置に定位する事が可能となる。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、再生される虚音源９の指向特性は全く考
慮されていない。たとえばラジオのスピーカから流れて
くる音を、ある位置に虚音源として定位させる場合を考
える。実際のラジオの音の場合には、ラジオが同じ位置
に置かれていても受聴者に対してラジオが正面を向いて
いるのか背面を向いているのかで受聴者に聞こえる音は
当然異なるものになる。しかしながら上記のような構成
では、受聴者から見てラジオがある定位位置でどの方向
をむいて置かれていても、スピーカ６−１，６−２から
再生される音は全く同じであるため、ラジオがいろいろ
な向きに置かれた場合の実際の音との誤差が大きくな
る。特に受聴者がラジオの映像再生と同期してラジオの
音を受聴した場合は、いろいろな向きに置かれたラジオ
の映像とラジオの音像とのミスマッチが大きくなり非常
に不自然に感じることになる。

【００１７】本発明は、従来のこのような課題を考慮
し、虚音源の指向特性を考慮した音場信号再生装置を提
供することを目的とするものである。

【００１８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の音場信号再生装置は、オーディオ信号を入
力する信号入力手段と、オーディオ信号を分割する信号
分割手段と、入力されたアナログ信号をディジタル信号
に変換するＡ／Ｄ変換器と、その変換されたディジタル
信号に信号処理を行う信号処理手段と、前記信号処理手
段からの出力信号をアナログ信号に変換するＤ／Ａ変換
器と、前記Ｄ／Ａ変換器の出力を増幅するアンプと、前
記アンプから出力されるオーディオ信号を再生するスピ
ーカと、前記スピーカによって再生されたオーディオ信
号の虚音源の定位位置及び指向軸方向などの定位情報を
入力する定位情報入力手段と、前記虚音源の指向特性を
あらかじめ設定された複数の指向特性から選択する指向
特性選択手段とを有する。

【００１９】また、本発明の音場信号再生装置は、オー
ディオ信号を入力する信号入力手段と、オーディオ信号
を分割する信号分割手段と、入力されたアナログ信号を
ディジタル信号に変換するＡ／Ｄ変換器と、その変換さ
れたディジタル信号に信号処理を行う信号処理手段と、
前記信号処理手段からの出力信号をアナログ信号に変換
するＤ／Ａ変換器と、前記Ｄ／Ａ変換器の出力を増幅す
るアンプと、前記アンプから出力されるオーディオ信号
を再生するスピーカと、前記スピーカによって再生され
たオーディオ信号の虚音源の定位位置及び指向軸方向な
どの定位情報を入力する定位情報入力手段と、前記虚音
源に与える任意の指向特性を入力する指向特性入力手段
と、前記指向特性入力手段に入力された指向特性を記憶
する指向特性記憶手段とを有する。

【００２０】また、本発明の音場信号再生装置は、オー
ディオ信号を入力する信号入力手段と、オーディオ信号
を分割する信号分割手段と、入力されたアナログ信号を
ディジタル信号に変換するＡ／Ｄ変換器と、その変換さ
れたディジタル信号に信号処理を行う信号処理手段と、
前記信号処理手段からの出力信号をアナログ信号に変換
するＤ／Ａ変換器と、前記Ｄ／Ａ変換器の出力を増幅す
るアンプと、前記アンプから出力されるオーディオ信号
を再生するスピーカと、前記スピーカによって再生され
たオーディオ信号の虚音源の定位位置及び指向軸方向な
どの定位情報を入力する定位情報入力手段と、前記虚音
源の発音体の物理的な形状データを作成する形状データ
作成手段と、前記形状データより前記虚音源の指向特性
を計算する指向特性計算手段と、前記指向特性計算手段
によって計算された指向特性を記憶する指向特性記憶手
段とを有する。

【００２１】

【作用】本発明は、上記構成により、信号入力手段から
オーディオ信号を入力し、信号分割手段が入力されたオ
ーディオ信号を少なくとも２つの信号に分割し、さらに
信号処理手段が分割されたオーディオ信号に対して受聴
位置で任意の方向に虚音源の音像が定位し、かつ虚音源
の指向特性も実現するような信号処理を行った後スピー
カから再生することにより、臨場感のある音場信号再生
装置が実現することが可能となる。

【００２２】

【実施例】図１は、本発明の第一の実施例における音場
信号再生装置の構成を示すブロック図である。図１にお
いて、入力端子1から入力されたオーディオ信号は信号
分割手段１４により２つに分けられ、Ａ／Ｄ変換器2ー1、
2ー2でディジタル信号に変換された後、信号処理手段3ー
1、3ー2に入る。一方、定位情報入力手段１５では虚音源
９の定位位置に関するデータを入力する。本実施例にお
いて定位情報入力手段１５で入力する虚音源９の定位位
置に関するデータは、図１に示す様に受聴者７の正面方
向ＯＡと受聴者７から見た虚音源９の定位方向ＯＰとの
なす角度αと、前記ＯＰと虚音源９の指向軸方向ＰＢと
のなす角度βと、前記ＯＰ間の距離γの３つのデータで
ある。

【００２３】図５は、本実施例における定位情報入力手
段１５の第一の例の概略図であって、表示装置であるグ
ラフィックディスプレイ２９と、データ入力装置である
マウス３０およびポインタ３１、さらにこれらの制御端
末であるマイクロコンピュータ３２から構成される。図
５においてマウス３０およびポインタ３１を用いてグラ
フィックディスプレイ２９上で受聴者７に対する虚音源
９の定位位置および指向軸方向を指定すれば、前記α、
β、γの３つの定位情報データがグラフィックディスプ
レイ２９の上部に表示される。

【００２４】尚、定位情報入力手段１５において、図５
で示す入力画面以外でも任意の方向の２次元平面座標系
や３次元空間座標系においても同様の方法により定位情
報を入力するようにしてもよい。

【００２５】図６は、本実施例における定位情報入力手
段１５の第２の例の概略図であって、表示装置３３とデ
ータ入力装置である１０キー３４、さらにこれらの制御
装置３５から構成される。図６においては、α、β、γ
の３つの定位情報データを直接１０キー３４によって入
力するものである。

【００２６】さらに図７は、本実施例における定位情報
入力手段１５の第３の例の概略図であって、表示装置３
３とデータ入力装置であるダイアル３６およびスライダ
３７、さらにこれらの制御装置３５から構成される。図
７においては、α、β、γの３つの定位情報データのう
ち角度に関するα、βについてはダイアル３６を距離に
関するγについてはスライダ３７によって入力するもの
である。

【００２７】また図１において、１６は虚音源９の指向
特性をあらかじめプリセットされたメニューの中から選
択する指向特性選択手段である。図８は、本実施例にお
ける指向特性選択手段１６の概略図であって、表示装置
であるグラフィックディスプレイ２９と、データ入力装
置であるマウス３０およびポインタ３１、さらにこれら
の制御端末であるマイクロコンピュータ３２から構成さ
れる。図８において、マウス３０およびポインタ３１を
用いてグラフィックディスプレイ２９上で虚音源９の指
向特性をＡ，Ｂ，Ｃの中から選択する。

【００２８】尚、定位情報入力手段１５と指向特性選択
手段１６は、双方が表示装置、データ入力装置、さらに
これらの制御端末などを共有した同一のマイクロコンピ
ュータ上でのマルチウインドウ環境における別ウインド
ウという形態であってもよいものとする。

【００２９】以上の定位情報入力手段１５と指向特性選
択手段１６からの出力データを用いて、図１における信
号処理手段３において入力オーディオ信号に信号処理が
施されることになる。

【００３０】図２は、本実施例における信号処理手段３
の第１の例のブロック図である。図２において、１５は
定位情報入力手段、１６は指向特性選択手段、２１は畳
み込み演算手段、２２はタップ係数記憶手段、２３はタ
ップ係数設定手段、２４はイコライザ、２５は周波数特
性記憶手段、２６は周波数特性設定手段、２７は出力レ
ベル調整手段である。

【００３１】まず最初に、タップ係数設定手段２３が、
定位情報入力手段１５から受聴者７の正面方向ＯＡと受
聴者７から見た虚音源９の定位方向ＯＰとのなす角度α
を入力し、スピーカ6ー1とスピーカ6ー2を用いて虚音源９
がα方向に定位するようなＦＩＲフィルタのタップ係数
データをタップ係数記憶手段２２から読み出し、畳み込
み演算手段２１に設定する。タップ係数記憶手段２２に
記憶されているタップ係数データは、αの各角度ごとに
前述の式（８）と式（１０）を満たすようなｈL(n)，ｈ
R(n)が記憶されているものとする。畳み込み演算手段２
１では、入力オーディオ信号とタップ係数設定手段２３
によって設定されたタップ係数データとの畳み込み演算
が実施され、その出力はＤ／Ａ変換器４によってディジ
タル信号からアナログ信号に変換される。

【００３２】ここで、周波数特性記憶手段２５に記憶す
る周波数特性について図９、図１０、図１１を用いて説
明する。図９に示すように、Ｐ点に定位する虚音源９か
ら受聴者７に到達する音は、虚音源９が指向特性を持つ
場合に受聴者７から見た虚音源９の定位方向ＯＰと虚音
源９の指向軸方向ＰＢとのなす角度βによって異なるも
のとなる。そこで、虚音源９の持つ指向特性を点線で示
すβ＝０の時に対する各角度βにおける音圧のレベル差
を用いて表わせば、図１０に示す様な一般にポーラパタ
ーンとよばれるものが得られる。また図１０から明らか
なように指向特性は角度βが同じであっても周波数によ
って異なり、一般に周波数が高くなるほど指向特性は鋭
くなる。そこで、ある角度βについてβ＝０に対する音
圧レベル差を各周波数ごとに計算すれば、虚音源９の指
向軸方向がβであった場合のβ＝０に対する周波数特性
が作成できる。図１１は、β＝１５°、３０°、４５
°、６０°についてのβ＝０に対する周波数特性であ
る。さらに、指向特性は音源によって異なるが、本実施
例においては代表的な３つの指向特性のパターンについ
て各角度ごとの周波数特性をそれぞれ用意し周波数特性
記憶手段２５に記憶するものとする。

【００３３】そこで図２における周波数特性設定手段２
６は、定位情報入力手段１５から前記ＯＰと虚音源９の
指向軸方向ＰＢとのなす角度βと指向特性設定手段１６
から虚音源９の指向特性のパターンをそれぞれ入力し、
該当する指向特性パターンの角度βに対応する周波数特
性を周波数特性記憶手段２５から読み出しイコライザ２
４に設定する。

【００３４】最後に出力レベル調整手段２７が定位情報
入力手段１５から受聴点Ｏと虚音源９の定位位置Ｐの間
の距離γを入力しその距離に応じたレベルに調整して出
力し、最終的にはアンプ５−１，５−２によって増幅さ
れた後、スピーカ6ー1、6ー2より再生される。

【００３５】次に、本発明の第二の実施例における音場
再生装置について説明する。図３は本発明の第二の実施
例における音場信号再生装置の構成を示すブロック図で
ある。

【００３６】図３において、前述した第一の実施例と同
様の機能のものについては同一符号を付して詳細な説明
を省略する。

【００３７】本実施例における信号処理手段３−１，３
−２による信号処理は、入力オーディオ信号がディジタ
ル信号の状態で全て処理されることになる。その後入力
オーディオ信号は、Ｄ／Ａ変換器４−１，４−２でアナ
ログ信号に変換されアンプ５−１，５−２を通してスピ
ーカ6ー1、6ー2より再生される。

【００３８】図４は、本実施例における信号処理手段３
のブロック図である。図４において、１５は定位情報入
力手段、１６は指向特性選択手段、２１は畳み込み演算
手段、２２はタップ係数記憶手段、２３はタップ係数設
定手段、２７は出力レベル調整手段である。

【００３９】本実施例において、角度αに対する畳み込
み処理については第一の実施例と同様に２１−１，２
２，２３−１によってなされる。そして角度βについて
の処理は、タップ係数設定手段２３−２が所望の周波数
特性を実現するＦＩＲフィルタのタップ係数をタップ係
数記憶手段２２から読み出し、畳み込み演算手段２１−
２において畳み込み演算処理がなされるものである。さ
らに、距離γに対応する信号処理は、出力レベル調整手
段２７において実行される。

【００４０】次に、本発明の第三の実施例における音場
再生装置について説明する。図１２は本発明の第三の実
施例における音場信号再生装置の構成を示すブロック図
である。図１２において、前述した第一の実施例と同様
の機能のものについては同一符号を付して詳細な説明を
省略する。

【００４１】本実施例においては、指向特性入力手段１
７によって任意の指向特性を虚音源９に与えることがで
きる。さらに、指向特性入力手段１７によって入力され
た指向特性は、必要に応じて指向特性記憶手段１８によ
ってデータの記憶あるいは読み出しがなされる。

【００４２】図１３は、本実施例における指向特性入力
手段１７の概略図であって、表示装置であるグラフィッ
クディスプレイ２９と、データ入力装置であるマウス３
０およびポインタ３１、さらにこれらの制御端末である
マイクロコンピュータ３２から構成される。図１３にお
いて、マウス３０およびポインタ３１を用いてグラフィ
ックディスプレイ２９上で虚音源９の指向特性をポーラ
パターンを描くことによって入力することができる。ま
た、前述したように、一般にポーラパターンは同一の音
源であっても周波数によって異なるため、本実施例にお
ける指向特性入力手段１７では、複数の周波数帯域にお
けるポーラパターンが入力できるものとする。

【００４３】図１４は、本実施例における信号処理手段
３のブロック図である。図１４において、前述した第
一の実施例と同様の機能のものについては同一符号を付
して詳細な説明を省略する。

【００４４】本実施例においては、図１４において定位
情報入力手段１５から出力されるα、β、γの３つの定
位情報データのうち虚音源９の指向軸方向のデータβに
関する信号処理については、指向特性データ設定手段２
８が角度βについての周波数特性を指向特性入力手段１
７から読み出し、イコライザ２４に設定する。その他の
αおよびγに関する信号処理のための構成は第一の実施
例と同様である。

【００４５】次に、本発明の第四の実施例における音場
再生装置について説明する。図１５は本発明の第四の実
施例における音場信号再生装置の構成を示すブロック図
である。図１５において、前述した第一の実施例と同様
の機能のものについては同一符号を付して詳細な説明を
省略する。

【００４６】本実施例においては、形状データ作成手段
２０によって虚音源９の物理的な寸法データなどの形状
データを入力し、その形状データに基づいて虚音源９の
指向特性を指向特性計算手段１９によって計算すること
ができる。さらに、指向特性計算手段１９によって入力
された指向特性は、必要に応じて指向特性記憶手段１８
によってデータの記憶あるいは読み出しがなされる。

【００４７】図１６は、本実施例における形状データ作
成手段２０の概略図であって、表示装置であるグラフィ
ックディスプレイ２９と、データ入力装置であるマウス
３０およびポインタ３１、さらにこれらの制御端末であ
るマイクロコンピュータ３２から構成される。図１６に
おいて、マウス３０およびポインタ３１を用いて、グラ
フィックディスプレイ２９上で、虚音源９の音源部３３
や前記虚音源９の音源部３３を囲む虚音源９のバッフル
部３４などの寸法データを入力することができる。尚、
本実施例における形状データ作成手段２０は汎用の機構
系ＣＡＤシステムであってもよいし、ＣＧ（コンピュー
タグラフィック）の制作ツールであってもよいものとす
る。

【００４８】一般に、音源の指向特性は音源の物理的な
形状データや音源がおかれる位置、さらには、その音場
特性などが決まれば計算によって求めることができる。
図１７は線音源とみなせる細長い音源の指向特性の計算
方法について示している。線音源の指向特性については
図１７に示す様に、線音源をわずかの距離を隔てて等間
隔に直線上に並んだ複数の点音源Ａ１〜Ａｎの集合とみ
なせば、受聴位置Ｐ点での音圧はそれぞれの点音源Ａ１
〜Ａｎの和になるので、それぞれの音源の強さＡ１〜Ａ
ｎとＰ点までの距離ｒ１〜ｒｎによって（数３）で計算
できる。

【００４９】

【数３】

【００５０】そして例えば、全ての点音源が同位相、同
振幅であるとすれば、この線音源の指向特性は音源の中
央線上が音圧が足しあわさって最も高く、中央線から離
れるにしたがって打ち消し合って低くなり、図１８に示
す様な指向特性が計算できる。さらに、図１９に線音源
の物理的な形状データである長さＬを変化させた時の指
向特性の変化を示す。以上の様にすれば、音源の形状デ
ータを用いてその音源の指向特性が計算できることにな
る。

【００５１】図２０は、本実施例における信号処理手段
３のブロック図である。図２０において、前述した第
一の実施例と同様の機能のものについては同一符号を付
して詳細な説明を省略する。

【００５２】本実施例においては、定位情報入力手段１
５から出力されるα、β、γの３つの定位情報データの
うち虚音源９の指向軸方向のデータβに関する信号処理
については、指向特性データ設定手段２８が角度βにつ
いての周波数特性を指向特性計算手段１９から読み出
し、イコライザ２４に設定する。その他のαおよびγに
関する信号処理のための構成は第一の実施例と同様であ
る。

【００５３】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明の音場信号再
生装置によれば、信号入力手段からオーディオ信号を入
力し、信号分割手段が入力されたオーディオ信号の各信
号をそれぞれ少なくとも２つの信号に分割し、さらに信
号処理手段が分割されたオーディオ信号に対して受聴位
置で任意の方向に虚音源の音像が定位し、かつ虚音源の
指向特性も実現するような信号処理を行った後にスピー
カから再生することにより、臨場感のある音場信号再生
装置が実現できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例における音場信号再生装
置のブロック図

【図２】本発明の第１の実施例における信号処理手段の
ブロック図

【図３】本発明の第２の実施例における音場信号再生装
置のブロック図

【図４】本発明の第２の実施例における信号処理手段の
ブロック図

【図５】本発明における定位情報入力手段の第１の例の
概略図

【図６】本発明における定位情報入力手段の第２の例の
概略図

【図７】本発明における定位情報入力手段の第３の例の
概略図

【図８】本発明における指向特性選択手段の概略図

【図９】虚音源の指向軸方向を説明する略図

【図１０】虚音源の指向特性を示すポーラパターン図

【図１１】虚音源の指向特性を示す周波数特性図

【図１２】本発明の第３の実施例における音場信号再生
装置のブロック図

【図１３】本発明における指向特性入力手段の概略図

【図１４】本発明の第３の実施例における信号処理手段
のブロック図

【図１５】本発明の第４の実施例における音場信号再生
装置のブロック図

【図１６】本発明における形状データ作成手段の概略図

【図１７】線音源の指向軸特性の計算方法を説明する略
図

【図１８】計算された線音源の指向特性を示すポーラパ
ターン図

【図１９】計算された線音源の指向特性を示す周波数特
性図

【図２０】本発明の第４の実施例における信号処理手段
のブロック図

【図２１】従来例における音場信号再生装置のブロック
図

【図２２】従来例における信号処理手段のブロック図

【符号の説明】

１信号入力手段 2ー1、2-2 Ａ／Ｄ変換器 3ー1、3ー2 信号処理手段 4ー1、4ー2 Ｄ／Ａ変換器 5-1,5-2 アンプ 6-1,6-2 スピーカ７受聴者８信号発生手段９虚音源１３位置関係入力手段１４信号分割手段１５定位情報入力手段１６指向特性選択手段１７指向特性入力手段１８指向特性記憶手段１９指向特性計算手段２０形状データ作成手段２１畳み込み演算手段２２タップ係数記憶手段２３タップ設定記憶手段２４イコライザ２５周波数特性記憶手段２６周波数特性設定手段２７出力レベル調整手段２８指向特性データ設定手段２９グラフィックディスプレイ３０マウス３１ポインタ３２マイクロコンピュータ３３表示装置３４１０キー３５制御装置３６ダイアル３７スライダ３８虚音源の音源部３９虚音源のバッフル部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】オーディオ信号を入力する信号入力手段
と、オーディオ信号を分割する信号分割手段と、入力さ
れたアナログ信号をディジタル信号に変換するＡ／Ｄ変
換器と、その変換されたディジタル信号に信号処理を行
う信号処理手段と、前記信号処理手段からの出力信号を
アナログ信号に変換するＤ／Ａ変換器と、前記Ｄ／Ａ変
換器の出力を増幅するアンプと、前記アンプから出力さ
れるオーディオ信号を再生するスピーカと、前記スピー
カによって再生されたオーディオ信号の虚音源の定位位
置及び指向軸方向などの定位情報を入力する定位情報入
力手段と、前記虚音源の指向特性をあらかじめ設定され
た複数の指向特性から選択する指向特性選択手段とを有
する音場信号再生装置。
【請求項２】信号処理手段は、入力信号とタップ係数を
畳み込み演算をするための畳み込み演算手段と、タップ
係数を記憶しておくタップ係数記憶手段と、前記畳み込
み演算手段にタップ係数を設定するタップ係数設定手段
と、入力信号の周波数特性を変化させるイコライザと、
複数の周波数特性を記憶する周波数特性記憶手段と、前
記イコライザに周波数特性を設定する周波数特性設定手
段と、入力信号の出力レベルを調整する出力レベル調整
手段から構成されることを特徴とする請求項１記載の音
場信号再生装置。
【請求項３】信号処理手段は、入力信号とタップ係数を
畳み込み演算をするための２つの畳み込み演算手段と、
タップ係数を記憶しておくタップ係数記憶手段と、前記
畳み込み演算手段にタップ係数を設定する２つのタップ
係数設定手段と、入力信号の出力レベルを調整する出力
レベル調整手段から構成されることを特徴とする請求項
１記載の音場信号再生装置。
【請求項４】定位情報入力手段は、グラフィックディス
プレイなどの表示装置と、マウス、ダイアル、１０キー
などのデータ入力装置と、前記表示装置および前記デー
タ入力装置からのデータ入力を制御する制御端末装置か
ら構成されることを特徴とする請求項１記載の音場信号
再生装置。
【請求項５】指向特性選択手段は、グラフィックディス
プレイなどの表示装置と、マウス、ダイアル、１０キー
などのデータ入力装置と、前記表示装置および前記デー
タ入力装置からのデータ入力を制御する制御端末装置か
ら構成されることを特徴とする請求項１記載の音場信号
再生装置。
【請求項６】定位情報入力手段および指向特性選択手段
は、それぞれグラフィックディスプレイなどの表示装置
と、マウス、ダイアル、１０キーなどのデータ入力装置
と、前記表示装置および前記データ入力装置からのデー
タ入力を制御する制御端末装置から構成され、かつこれ
らの構成要素の全てか少なくとも１つを共有することを
特徴とする請求項１記載の音場信号再生装置。
【請求項７】オーディオ信号を入力する信号入力手段
と、オーディオ信号を分割する信号分割手段と、入力さ
れたアナログ信号をディジタル信号に変換するＡ／Ｄ変
換器と、その変換されたディジタル信号に信号処理を行
う信号処理手段と、前記信号処理手段からの出力信号を
アナログ信号に変換するＤ／Ａ変換器と、前記Ｄ／Ａ変
換器の出力を増幅するアンプと、前記アンプから出力さ
れるオーディオ信号を再生するスピーカと、前記スピー
カによって再生されたオーディオ信号の虚音源の定位位
置及び指向軸方向などの定位情報を入力する定位情報入
力手段と、前記虚音源に与える任意の指向特性を入力す
る指向特性入力手段と、前記指向特性入力手段に入力さ
れた指向特性を記憶する指向特性記憶手段とを有する音
場信号再生装置。
【請求項８】信号処理手段は、入力信号とタップ係数を
畳み込み演算をするための畳み込み演算手段と、タップ
係数を記憶しておくタップ係数記憶手段と、前記畳み込
み演算手段にタップ係数を設定するタップ係数設定手段
と、入力信号の周波数特性を変化させるイコライザと、
前記定位情報入力手段と前記指向特性入力手段の双方の
データによって前記虚音源の定位位置における指向特性
データを前記イコライザに設定する指向特性データ設定
手段と、入力信号の出力レベルを調整する出力レベル調
整手段から構成されることを特徴とする請求項７記載の
音場信号再生装置。
【請求項９】信号処理手段は、入力信号とタップ係数を
畳み込み演算をするための２つの畳み込み演算手段と、
タップ係数を記憶しておくタップ係数記憶手段と、前記
畳み込み演算手段にタップ係数を設定する２つのタップ
係数設定手段と、入力信号の出力レベルを調整する出力
レベル調整手段から構成されることを特徴とする請求項
７記載の音場信号再生装置。
【請求項１０】定位情報入力手段は、グラフィックディ
スプレイなどの表示装置と、マウス、ダイアル、１０キ
ーなどのデータ入力装置と、前記表示装置および前記デ
ータ入力装置からのデータ入力を制御する制御端末装置
から構成されることを特徴とする請求項７記載の音場信
号再生装置。
【請求項１１】指向特性入力手段は、グラフィックディ
スプレイなどの表示装置と、マウス、ダイアル、１０キ
ーなどのデータ入力装置と、前記表示装置および前記デ
ータ入力装置からのデータ入力を制御する制御端末装置
から構成されることを特徴とする請求項７記載の音場信
号再生装置。
【請求項１２】定位情報入力手段および指向特性入力手
段は、それぞれグラフィックディスプレイなどの表示装
置と、マウス、ダイアル、１０キーなどのデータ入力装
置と、前記表示装置および前記データ入力装置からのデ
ータ入力を制御する制御端末装置から構成され、かつこ
れらの構成要素の全てか少なくとも１つを共有すること
を特徴とする請求項７記載の音場信号再生装置。
【請求項１３】オーディオ信号を入力する信号入力手段
と、オーディオ信号を分割する信号分割手段と、入力さ
れたアナログ信号をディジタル信号に変換するＡ／Ｄ変
換器と、その変換されたディジタル信号に信号処理を行
う信号処理手段と、前記信号処理手段からの出力信号を
アナログ信号に変換するＤ／Ａ変換器と、前記Ｄ／Ａ変
換器の出力を増幅するアンプと、前記アンプから出力さ
れるオーディオ信号を再生するスピーカと、前記スピー
カによって再生されたオーディオ信号の虚音源の定位位
置及び指向軸方向などの定位情報を入力する定位情報入
力手段と、前記虚音源の発音体の物理的な形状データを
作成する形状データ作成手段と、前記形状データより前
記虚音源の指向特性を計算する指向特性計算手段と、前
記指向特性計算手段によって計算された指向特性を記憶
する指向特性記憶手段とを有する音場信号再生装置。
【請求項１４】信号処理手段は、入力信号とタップ係数
を畳み込み演算をするための畳み込み演算手段と、タッ
プ係数を記憶しておくタップ係数記憶手段と、前記畳み
込み演算手段にタップ係数を設定するタップ係数設定手
段と、入力信号の周波数特性を変化させるイコライザ
と、前記定位情報入力手段の出力データと前記指向特性
計算手段の計算結果の双方のデータによって前記虚音源
の定位位置における指向特性データを前記イコライザに
設定する指向特性データ設定手段と、入力信号の出力レ
ベルを調整する出力レベル調整手段から構成されること
を特徴とする請求項１３記載の音場信号再生装置。
【請求項１５】信号処理手段は、入力信号とタップ係数
を畳み込み演算をするための２つの畳み込み演算手段
と、タップ係数を記憶しておくタップ係数記憶手段と、
前記畳み込み演算手段にタップ係数を設定する２つのタ
ップ係数設定手段と、入力信号の出力レベルを調整する
出力レベル調整手段から構成されることを特徴とする請
求項１３記載の音場信号再生装置。
【請求項１６】定位情報入力手段は、グラフィックディ
スプレイなどの表示装置と、マウス、ダイアル、１０キ
ーなどのデータ入力装置と、前記表示装置および前記デ
ータ入力装置からのデータ入力を制御する制御端末装置
から構成されることを特徴とする請求項１３記載の音場
信号再生装置。
【請求項１７】形状データ作成手段は、グラフィックデ
ィスプレイなどの表示装置と、マウス、ダイアル、１０
キーなどのデータ入力装置と、前記表示装置および前記
データ入力装置からのデータ入力を制御する制御端末装
置から構成されることを特徴とする請求項１３記載の音
場信号再生装置。
【請求項１８】定位情報入力手段および形状データ作成
手段は、それぞれグラフィックディスプレイなどの表示
装置と、マウス、ダイアル、１０キーなどのデータ入力
装置と、前記表示装置および前記データ入力装置からの
データ入力を制御する制御端末装置から構成され、かつ
これらの構成要素の全てか少なくとも１つを共有するこ
とを特徴とする請求項１３記載の音場信号再生装置。