JPH08120014A - 高吸水性樹脂の製造法 - Google Patents

高吸水性樹脂の製造法

Info

Publication number
JPH08120014A
JPH08120014A JP28276094A JP28276094A JPH08120014A JP H08120014 A JPH08120014 A JP H08120014A JP 28276094 A JP28276094 A JP 28276094A JP 28276094 A JP28276094 A JP 28276094A JP H08120014 A JPH08120014 A JP H08120014A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
meth
soluble
glucans
suspension polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28276094A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Matsumura
明 松村
Yoji Kawaguchi
洋二 川口
Tomohide Yamagami
知秀 山上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd filed Critical Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP28276094A priority Critical patent/JPH08120014A/ja
Publication of JPH08120014A publication Critical patent/JPH08120014A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 (メタ)アクリル酸の部分中和塩からなる水
溶性不飽和モノマーの水溶液を炭化水素溶媒中で逆相懸
濁重合させるに際し、特定の多糖類を共存させることに
より、微粒子の生成が抑制され、取り扱いやすい適度の
平均粒径(200〜350μm 程度)を有し、かつシャ
ープな粒度分布を有する高吸水性樹脂を安定して製造す
る方法、しかもその重合に際して反応器や撹拌翼へのス
ケーリングを起こしがたい方法を提供することを目的と
する。 【構成】 (メタ)アクリル酸の部分中和塩からなる水
溶性不飽和モノマーの水溶液を架橋剤の存在下または不
存在下にラジカル重合開始剤を用いてヘキサンやシロヘ
キサンなどの炭化水素溶媒中で逆相懸濁重合させる。こ
のとき逆相懸濁重合を、β−1,3−グルカン類(殊
に、スルホ酢酸基を置換基に持つ分岐型β−1,3−グ
ルカン)の共存下に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微粒子の生成が抑制さ
れ、取り扱いやすい適度の平均粒径を有し、かつシャー
プな粒度分布を有する高吸水性樹脂を安定して製造する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多量の水を吸収する性質を有する高吸水
性樹脂は、生理用品や衛生用品において体液を吸収しか
つ漏出を防止する体液吸収剤として有用であり、そのほ
か、土壌の保水剤、種子コーティング剤、止水剤、増粘
剤、結露防止剤、汚泥凝固剤、乾燥剤、調湿剤などの用
途にも使用されている。
【0003】高吸水性樹脂としては、澱粉−アクリロニ
トリルグラフト重合体の部分加水分解物、ポリアクリル
酸部分中和塩、ポリエチレンオキサイド系、ポリアクリ
ロニトリル系、ポリビニルアルコール系、またはこれら
の架橋体系など種々のものが知られているが、これらの
中では、品質・性能の観点から、(メタ)アクリル酸と
(メタ)アクリル酸水溶性塩とを炭化水素溶媒中で逆相
懸濁重合して得たポリアクリル酸部分中和塩が特に有用
である。
【0004】(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸
水溶性塩とを炭化水素溶媒中で逆相懸濁重合するに際し
ては、その重合を分散安定剤としての界面活性剤の共存
下に行うのが通常である。この目的の界面活性剤として
は、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアシルエステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オ
キシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマーを
はじめとする界面活性剤が用いられる。
【0005】上記逆相懸濁重合に際しては、上に例示し
たような界面活性剤と共にまたはそれに代えて、水溶性
高分子を共存させることもある。水溶性高分子共存の目
的は、保護コロイド、増粘またはグラフト化にあり、こ
れにより懸濁安定性の向上や粒径の調節などの作用効果
が得られることが期待される。
【0006】(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸
水溶性塩とを炭化水素溶媒中で逆相懸濁重合するに際
し、水溶性高分子を共存させることにつき開示のある出
願としては、たとえば次のようなものがある。
【0007】特開平2−153907号公報には、HL
B値が1〜8の範囲にあるソルビタン脂肪酸エステル
と、HLB値が1〜6の範囲にあるショ糖脂肪酸エステ
ルとの混合界面活性剤を共存させることにつき開示があ
り、その比較例6には、ソルビタンモノステアレートお
よびショ糖脂肪酸エステルと共にヒドロキシエチルセル
ロースを共存させた例があげられている。
【0008】特開平2−196802号公報には、分散
剤としてショ糖脂肪酸エステルおよび/またはポリグリ
セリン脂肪酸エステルを用いること、また水溶性エチレ
ン性不飽和単量体水溶液の粘度調整のために、ヒドロキ
シエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ
エチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレ
ンイミン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸(部分)中
和物架橋体、デキストリン、アルギン酸ナトリウムなど
の増粘剤を用いることができることが記載されており、
その実施例には、モノマー水溶液中にヒドロキシエチル
セルロースやポリアクリル酸ナトリウムを存在させた例
があげられている。
【0009】特開平3−195713号公報には、(メ
タ)アクリル酸とその塩を主成分とするアクリル酸系モ
ノマーを、水溶性ラジカル重合開始剤およびヒドロキシ
エチルセルロースの存在下に、分散剤としてのHLB3
〜6のソルビタン脂肪酸エステルを使用して油中水滴型
逆相懸濁重合法によって重合することが示されている。
【0010】特開昭56−76419号公報には、ヒド
ロキシエチルセルロースを含有したアクリル酸アルカリ
金属塩水溶液を、HLB3〜6のソルビタン脂肪酸エス
テルの存在下に分散させ、架橋剤の不存在下に重合させ
る水膨潤性ポリマーの製造法が示されている。
【0011】特開昭60−36534号公報には、逆相
懸濁重合を行うときの保護コロイドとして、ソルビタン
脂肪酸エステル、セルロースエーテル(エチルセルロー
ス、ベンジルセルロース等)、セルロースエスエル(セ
ルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロー
スアセテートブチレート等)、高分子分散剤(マレイン
化ポリブタジエン、マレイン化ポリエチレン、マレイン
化α−オレフィン等)を用いることができることが示さ
れている。
【0012】特開昭63−118308号公報には、ア
クリル酸部分中和塩などのモノマー成分と共に、デンプ
ン、セルロースまたはその誘導体、ポリビニルアルコー
ルなどを共存させてグラフト重合を行ってもよいとの記
載がある。
【0013】特開昭60−186506号公報には、ポ
リ(メタ)アクリル酸塩の水溶液を炭化水素またはハロ
ゲン化芳香族炭化水素中で懸濁重合するに際し、保護コ
ロイドとして油溶性のセルロースエステルまたはセルロ
ースエーテルを使用することが示されている。
【0014】特開平4−120111号公報および特開
平4−120112号公報には、水溶性単量体と多糖類
(デンプン類、セルロース類)および/または架橋剤を
重合することにつき開示があるが、逆相懸濁重合に関す
る実施例11(両公報共)を含め、多糖類を用いた実施
例はあげられていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】高吸水性樹脂の製造に
おいては、微粒子の生成が多かったり粒径分布が広かっ
たりすると、目的粒度の収率が少なくなるため生産性が
低下する。殊に微粒子の生成が多いときは、デカンテー
ション、ろ過、乾燥などの諸工程が円滑に行いがたく、
取り扱い時に粉塵も発生するため、作業性の点でも著し
く不利となる。
【0016】高吸水性樹脂の性能の点でも、粒径分布が
広いときは粉体性能のばらつきが大きくなる。また粒径
が小さいときは、水や体液と接触したときにママコ現象
を生じたり、不織布など目の粗い材料と組み合わせて用
いたときに粒子がその材料の目から漏れ出たりするの
で、実際の使用に際しトラブルを生ずることになる。
【0017】そこで、逆相懸濁重合に際して微粒子の生
成が抑制され、また200〜350μm 程度の適度の平
均粒径の粒子が得られ、しかもそのときの粒度分布がシ
ャープであることが強く望まれる。
【0018】しかるに、特開平2−153907号公報
の方法は、平均粒径を大きくすることには成功している
ものの、粒度分布が比較的広く微粒子の部分もかなりの
量存在するため、目的粒度のものの取得率がそれだけ低
下し、またろ過、乾燥などの工程が必ずしも円滑に行い
えないという問題点がある。ソルビタンモノステアレー
トおよびショ糖脂肪酸エステルと共にヒドロキシエチル
セルロースを共存させた例にかかる比較例6で得た粒子
は、平均粒径が490μm と過大である上、凝集傾向が
あり、さらには吸水能、吸水速度、保水力が小さいとい
う種々の欠点がある。
【0019】特開平2−196802号公報の方法は、
150〜550μm 程度の粒径の粒子が得られるが、製
造条件の許容範囲が狭く、撹拌翼や反応容器の形状、撹
拌条件、滴下量などのわずかの条件の違いにより塊状化
する傾向があり、工業的には採用しにくいという問題点
がある。加えて、この公報の方法においては、重合反応
器の器壁や撹拌翼にスケーリングを生じやすいという不
利があり、その原因の一つは、粘度調節に添加した増粘
剤にあるものと考えられる。
【0020】特開平3−195713号公報の方法は、
実施例では202〜355μm の粒子が得られていると
してあるものの、粒度分布が広いため微粒子も相当割合
で発生する上、得られる粒子は実際には小粒子の集合体
であって1次粒子の粒径自体は小さく、たとえばこれを
紙おむつに適用した場合、尿を吸収したときに細かな1
次粒子に戻ってしまい、不織布などの材料の目から漏れ
出てしまうという問題点がある。
【0021】特開昭60−36534号公報には得られ
る高吸水性樹脂の粒径につき記載がなく、特開平4−1
20111号公報および特開平4−120112号公報
には逆相懸濁重合により得られる高吸水性樹脂の粒径に
つき記載がないが、いずれの場合も粒径が適度に大きく
かつ粒度分布のシャープなものは得られがたい。特開昭
56−76419号公報においては、粒径10〜300
μm 程度の高吸水性樹脂を得ており、微粒子の割合が多
すぎるという難点がある。特開昭60−186506号
公報においては、セルロースエステルまたはセルロース
エーテルとして油溶性のものを用いてこれを炭化水素側
に溶解しているため、わずかの条件の違いにより塊状化
するおそれがある上、中心粒径100〜350μm 程度
の粒子を得ているもののなお粒径の小さいものの割合が
多いという問題点がある。特開昭63−118308号
公報においては、高吸水性樹脂を小片で得た後、これを
裁断し、さらに粉砕している。
【0022】本発明は、このような背景下において、
(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸水溶性塩とを
主成分とする水溶性不飽和モノマーの水溶液を炭化水素
溶媒中で逆相懸濁重合させるに際し、特定の多糖類を共
存させることにより、微粒子の生成が抑制され、取り扱
いやすい適度の平均粒径(200〜350μm 程度)を
有し、かつシャープな粒度分布を有する高吸水性樹脂を
安定して製造する方法、しかもその重合に際して反応器
や撹拌翼へのスケーリングを起こしがたい方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の高吸水性樹脂の
製造法は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸水
溶性塩とを主成分とする水溶性不飽和モノマーの水溶液
を架橋剤の存在下または不存在下にラジカル重合開始剤
を用いて炭化水素溶媒中で逆相懸濁重合させることによ
り高吸水性樹脂を製造するにあたり、上記逆相懸濁重合
を、β−1,3−グルカン類の共存下に行うことを特徴
とするものである。
【0024】以下本発明を詳細に説明する。
【0025】本発明においては、モノマーとして、(メ
タ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸水溶性塩とを主成
分とする水溶性不飽和モノマーを用いる。このモノマー
は、(メタ)アクリル酸を、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ
金属水酸化物、水酸化アンモニウム、アミン類などで部
分中和することにより取得できる。
【0026】(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸
水溶性塩との混合比は、重量比で30:70〜10:9
0であることが好ましい。つまり(メタ)アクリル酸の
部分中和の程度は、全(メタ)アクリル酸の70〜90
モル%であることが好ましい。部分中和の程度が小さす
ぎるときは、得られる高吸水性樹脂の吸水倍率や吸水速
度が低下する上、製品粒子が酸性を呈する難があり、一
方部分中和の程度が大きすぎるときは、やはり吸水倍率
や吸水速度が低下する上、製品粒子がアルカリ性を呈す
る難がある。
【0027】架橋剤は存在させても存在させなくてもよ
いが、少量の架橋剤を用いる方が望ましい。架橋剤を用
いるときの架橋剤としては、たとえば、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、N,N´−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、
トリアリルイソシアヌレート、(ポリ)エチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジル
エーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペン
タエリスリトールポリグリシジルエーテルなどがあげら
れる。架橋剤の使用量は、モノマー成分に対し0.0001〜
0.5 重量%程度とすることが多い。
【0028】ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイ
ソブチロニトリル、t−ブチルパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、ステアロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチル
パーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバ
レート、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘ
キサノンパーオキサイド、過酸化水素、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウム、セリウム塩などが例示され、特
に水溶性であるものが好ましい。ラジカル重合開始剤の
使用量は、モノマー成分に対して0.01〜1重量%程度と
することが多い。
【0029】炭化水素溶媒としては、シクロヘキサン、
シクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化
水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n
−オリタン、リグロイン等の脂肪族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素、クロルベンゼン、四塩化炭素等のハロゲン化炭
化水素が例示される。これらの中では、溶媒の沸点、融
点、コスト、工業的入手の容易性などを総合考慮する
と、n−ヘキサンおよびシクロヘキサンが特に重要であ
る。
【0030】上述のように、(メタ)アクリル酸と(メ
タ)アクリル酸水溶性塩とを主成分とする水溶性不飽和
モノマーの水溶液を架橋剤の存在下または不存在下にラ
ジカル重合開始剤を用いて炭化水素溶媒中で逆相懸濁重
合させるが、このときの重合温度は50〜90℃、重合
時間は 0.5〜5時間程度に設定するのが適当である。
【0031】そして本発明においては、上記逆相懸濁重
合をβ−1,3−グルカン類の共存下に行う。この点が
本発明のポイントである。
【0032】β−1,3−グルカン類とは、β−1,3
−グルコシド結合からなる主鎖を有する多糖類を言い、
殊にそのような主鎖のグルコースにβ−1,6結合した
グルコースの分岐を持つ分岐型β−1,3−グルカンで
あることが望ましく、さらにはそのβ−1,6結合した
グルコースの一部に含イオウ置換基を有するものが特に
望ましい。ここで含イオウ置換基としては、スルホ酢酸
基が特に重要であり、そのほか、スルホン酸基、ポリス
ルホン酸基、システイン基、メチオニン基などもあげら
れる。
【0033】このようなβ−1,3−グルカン類は、典
型的には、オーレオバシディウム属に属する微生物を、
炭素源としてシュクロース、グルコース、フラクトース
などを用い、窒素源として硝酸ナトリウム、硝酸アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、酵母エキス、ペプトンなど
を用い、微量因子として硫酸マグネシウム、硫酸鉄など
の無機イオウ源を用い、さらに必要に応じてマグネシウ
ムイオン、鉄イオンなどの金属イオンや、アスコルビン
酸、パントテン酸などのビタミン類を添加した培地を用
い、10〜60℃(好ましくは25〜35℃)にて1〜
10日間程度通気条件下に培養することにより培養液を
得、その培養液から遠心分離、ろ過などの手段により菌
体を分離し、得られた清浄液に溶媒や金属イオンを添加
して沈澱させ、ついで乾燥、粉砕することにより取得さ
れる。
【0034】この方法で得られるβ−1,3−グルカン
類の代表的なものは、下記の化1に示したように、スル
ホ酢酸基を置換基に持つ分岐型β−1,3−グルカンで
あって、主鎖のグルコース4個当りβ−1,6結合した
グルコースの分岐を3個持ち、かつそのグルコースの分
岐にスルホ酢酸基からなる置換基を全体に対し 0.1〜1
重量%有しているものである。
【0035】
【化1】
【0036】逆相懸濁重合時のβ−1,3−グルカン類
の共存量は、水溶性不飽和モノマーに対して 0.001〜5
重量%、好ましくは 0.002〜2重量%、なかんずく 0.0
05〜1重量%に設定される。その量が余りに少ないとき
は、所期の目的である微粒子の生成抑制、適度の平均粒
径を有する粒子の取得および粒度分布のシャープ化の目
的を充分には達成できず、一方その量が余りに多いとき
は、β−1,3−グルカン類が溶液中で均一な分散また
は溶解がなされないため、粒径分布が広くなるおそれが
ある。
【0037】なおβ−1,3−グルカン類と共に、本発
明の趣旨を損なわない範囲で、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アル
ギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリ
ルアミド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミ
ンなどの他の水溶性高分子を併用しても、特に支障とは
ならない。
【0038】逆相懸濁重合に際しては、HLBが10以
下(好ましくは9以下)の油溶性界面活性剤を共存させ
るのが通常である。そのような油溶性界面活性剤の代表
例としては、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモ
ノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビ
タンセスキステアレート、ソルビタントリステアレート
等)、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖と、ステアリン
酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸などの脂肪
酸とのモノ、ジまたはトリエステル等)などがあげられ
る。この油溶性界面活性剤は炭化水素溶媒側に溶解させ
る。油溶性界面活性剤の共存量は、水溶性不飽和モノマ
ーに対し、5重量%以下とし、通常は0.05〜3重量%、
殊に 0.1〜2重量%とすることが多い。油溶性界面活性
剤の使用は、粒径が小さくなったりあるいは塊状になっ
たりするを防止するのに好都合である。
【0039】重合終了後は、デカンテーション、ろ過、
遠心分離等により生成粒子を分離し、ついで洗浄、乾燥
を行う。これにより、微粒子の生成が抑制され、適度の
粒径(200〜350μm 程度)を有し、かつ流動分布
のシャープな高吸水性樹脂が得られる。しかもβ−1,
3−グルカン類を共存させている本発明にあっては、重
合時に反応器や撹拌翼にスケーリングを生じがたい。
【0040】本発明の方法により得られる高吸水性樹脂
は、生理用品や衛生用品において体液や排泄物を吸収し
漏出を防止する体液吸収剤として特に有用である。その
ほか、土壌の保水剤、種子コーティング剤、止水剤、増
粘剤、結露防止剤、脱水剤、乾燥剤、調湿剤、汚泥・液
状廃棄物の凝固剤、重金属吸着材、薬剤・芳香剤の徐放
剤、パップ剤などの用途にも使用できる。
【0041】
【作用】本発明においては、水溶性不飽和モノマーの水
溶液の逆相懸濁重合を、β−1,3−グルカン類(また
はこれと油溶性界面活性剤)の共存下に行うように工夫
したため、微粒子の発生が抑制され、取り扱いやすい適
度の平均粒径(200〜350μm 程度)を有し、しか
も流動分布のシャープな高吸水性樹脂を、工業的に安定
して製造することができる。加えて、β−1,3−グル
カン類を共存させている本発明にあっては、重合時に反
応器や撹拌翼にスケーリングを生じがたい。これは、高
粘度の(メタ)アクリル酸部分中和塩の系にあっては、
通常の水溶性高分子では増粘効果が減殺されるのに対
し、β−1,3−グルカン類の存在する系にあっては高
粘度が維持されることが一つの理由になっているものと
思われる。
【0042】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「%」とあるのは重量%である。なお平均粒径
は、標準篩を用いて篩分けを行ったときに50%が通過
するときの篩目に基いて定めた粒径である。
【0043】実施例1 〈β−1,3−グルカン類の生産〉オーレオバシディウ
ム属に属する微生物であるオーレオバシディウムsp.K-1
(FERM P-12989) を、ツァペック培地(シュクロース3
%、硝酸ナトリウム 0.2%、リン酸カリウム 0.1%、塩
化カリウム0.05%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05
%、硫酸鉄・7水和物 0.001%)で、27℃、48時間
振とう培養したものを種菌とし、ジャーファーメンター
により温度27℃、撹拌数300rpm 、通気量50リッ
トル/minの条件下で96時間培養した。
【0044】ついで培養終了液からろ過により菌体を分
離除去し、得られたろ液に激しく撹拌しながら 1.2倍体
積量のイソプロパノールを徐々に添加した。析出してき
た多糖類繊維を回収し、アセトン槽において浸漬、洗
浄、脱水した後、70℃で乾燥した。このような繊維を
フェザーシューで粉砕して粉末化し、多糖類を得た。
【0045】この多糖類を常法により分析したところ
(科学と工業、64 (3), 131-135 (1990)、 Agricultura
l & Biological Chemistry, 47 (6), 1167-1172 (1983)
を参照)、この多糖類は先に述べた化1の構造を有する
もの、すなわち、スルホ酢酸基を置換基に持つ分岐型β
−1,3−グルカンであることが確認できた。1分子中
のグルコース単位の総数は約1500、全体に占めるイ
オウ含有量は0.05%であった。
【0046】〈逆相懸濁重合〉次に、下記に詳述する逆
相懸濁重合法により、ポリアクリル酸部分中和塩系高吸
水性樹脂を製造した。
【0047】撹拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管
を付けた2リットルのセパラブルフラスコAに、シクロ
ヘキサン800g、ソルビタンモノステアレート 0.8g
およびショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製
の「DKエステルF−70」) 0.8gを仕込み、窒素バ
ブリングを30分間行って、溶存空気およびフラスコ内
の空気を追い出した。
【0048】別のセパラブルフラスコBに80%アクリ
ル酸水溶液260gを仕込んだ後、28%水酸化ナトリ
ウム水溶液310gを冷却下に徐々に滴下して中和し
た。ついで、 0.5%N,N´−メチレンビスアクリルア
ミド水溶液8gと上記で得たスルホ酢酸基を置換基に持
つ分岐型β−1,3−グルカン 0.3g(モノマーに対し
てほぼ 0.1%)を添加し、溶解した。溶解後、10%過
硫酸アンモニウム水溶液4gを加え、撹拌しながら窒素
バブリングを行い、溶存空気を追い出した。
【0049】フラスコAを73℃に昇温した後、フラス
コB内の溶液を 1.5時間かけて滴下した。重合時の回転
数は350rpm に設定した。その後、ジャケットの温水
を95℃に保ち、シクロヘキサンと水とを共沸させ、水
230mlを追い出した(水の脱水率は70%)。その
後、デカンテーションして、生成粒子を温度105℃で
3時間乾燥し、目的とする高吸水性樹脂粒子を得た。な
お重合に供したフラスコ器壁および撹拌翼には、ほとん
どスケーリングが認められなかった。
【0050】この粒子の平均粒径は308μm 、105
μm 以下の微粒子の割合は 3.5%、吸水能は、純水が8
90g/g 、 0.9%食塩水が72g/g であった。
【0051】実施例2 スルホ酢酸基を置換基に持つ分岐型β−1,3−グルカ
ンの添加量を実施例1の1/10の0.03g(モノマーに
対してほぼ0.01%)としたほかは実施例1を繰り返し
た。フラスコ器壁および撹拌翼にはほとんどスケーリン
グが認められなかった。得られた高吸水性樹脂粒子の平
均粒径は225μm 、105μm 以下の微粒子の割合は
7.8%、吸水能は、純水が910g/g 、 0.9%食塩水が
73g/g であった。
【0052】比較例1 スルホ酢酸基を置換基に持つ分岐型β−1,3−グルカ
ンの添加量を省略したほかは実施例1を繰り返した。得
られた高吸水性樹脂粒子の平均粒径は173μm 、10
5μm 以下の微粒子の割合は17.7%、吸水能は、純水が
920g/g 、 0.9%食塩水が73g/g であった。
【0053】比較例2 スルホ酢酸基を置換基に持つ分岐型β−1,3−グルカ
ンに代えて、ヒドロキシエチルセルロース 0.3gを添加
したほかは実施例1を繰り返した。この際、フラスコ器
壁および撹拌翼に若干のスケーリングが認められた。得
られた高吸水性樹脂粒子の平均粒径は184μm 、10
5μm 以下の微粒子の割合は16.3%、吸水能は、純水が
920g/g 、 0.9%食塩水が73g/g であった。
【0054】比較例3 ヒドロキシエチルセルロースの添加量を 1.5gにしたほ
かは比較例2を繰り返したところ、比較例2とほぼ同様
の性質を有する高吸水性樹脂粒子が得られたが、フラス
コ器壁および撹拌翼へのスケーリングが顕著であった。
【0055】比較例4 スルホ酢酸基を置換基に持つ分岐型β−1,3−グルカ
ンに代えて、ポリアクリル酸ナトリウム 0.3gを添加し
たほかは実施例1を繰り返した。得られた高吸水性樹脂
粒子の平均粒径は179μm 、105μm 以下の微粒子
の割合は17.3%、吸水能は、純水が930g/g 、 0.9%
食塩水が73g/g であった。
【0056】比較例5 スルホ酢酸基を置換基に持つ分岐型β−1,3−グルカ
ンに代えて、カルボキシメチルセルロース 0.3gを添加
したほかは実施例1を繰り返した。得られた高吸水性樹
脂粒子の平均粒径は175μm 、105μm 以下の微粒
子の割合は17.5%、吸水能は、純水が920g/g 、 0.9
%食塩水が74g/g であった。
【0057】
【発明の効果】本発明においては、逆相懸濁重合を、β
−1,3−グルカン類(またはこれと油溶性界面活性
剤)の共存下に行うように工夫したため、微粒子の発生
が抑制され、取り扱いやすい適度の平均粒径(200〜
350μm 程度)を有し、かつ流動分布のシャープな高
吸水性樹脂を安定して得ることができる。
【0058】従って、目的粒度のものの収率が高くなっ
て生産性が向上する上、デカンテーション、ろ過、乾燥
などの諸工程も円滑に行うことができ、取り扱い時の粉
塵の発生も少なく、作業性が良好となる。また得られた
粒子は、水や体液と接触したときにママコ現象を起こさ
ず、また不織布など目の荒い材料と組み合わせて用いて
も漏れなどのトラブルを生ずることもない。
【0059】そのほか本発明にあっては、β−1,3−
グルカン類を用いているため、重合時に反応器や撹拌翼
にスケーリングを生じがたいという利点もある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸
    水溶性塩とを主成分とする水溶性不飽和モノマーの水溶
    液を架橋剤の存在下または不存在下にラジカル重合開始
    剤を用いて炭化水素溶媒中で逆相懸濁重合させることに
    より高吸水性樹脂を製造するにあたり、上記逆相懸濁重
    合を、β−1,3−グルカン類の共存下に行うことを特
    徴とする高吸水性樹脂の製造法。
  2. 【請求項2】β−1,3−グルカン類が、β−1,3−
    グルコシド結合からなる主鎖のグルコースにβ−1,6
    結合したグルコースの分岐を持つ分岐型β−1,3−グ
    ルカンであって、そのβ−1,6結合したグルコースの
    一部に含イオウ置換基を有するものである請求項1記載
    の製造法。
  3. 【請求項3】含イオウ置換基がスルホ酢酸基である請求
    項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】β−1,3−グルカン類の共存量が、水溶
    性不飽和モノマーに対して 0.001〜5重量%である請求
    項1記載の製造法。
  5. 【請求項5】逆相懸濁重合を、水溶性不飽和モノマーに
    対して5重量%以下のHLB10以下の油溶性界面活性
    剤の共存下に行うことを特徴とする請求項1記載の製造
    法。
JP28276094A 1994-10-20 1994-10-20 高吸水性樹脂の製造法 Pending JPH08120014A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28276094A JPH08120014A (ja) 1994-10-20 1994-10-20 高吸水性樹脂の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28276094A JPH08120014A (ja) 1994-10-20 1994-10-20 高吸水性樹脂の製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08120014A true JPH08120014A (ja) 1996-05-14

Family

ID=17656716

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28276094A Pending JPH08120014A (ja) 1994-10-20 1994-10-20 高吸水性樹脂の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08120014A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015146603A1 (ja) * 2014-03-26 2015-10-01 住友精化株式会社 吸水性樹脂粒子の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015146603A1 (ja) * 2014-03-26 2015-10-01 住友精化株式会社 吸水性樹脂粒子の製造方法
US9745392B2 (en) 2014-03-26 2017-08-29 Sumitomo Seika Chemicals Co., Ltd. Method for producing water-absorbent resin particle

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0083022B1 (en) Water-absorbent resin having improved water-absorbency and improved water-dispersibility and process for producing same
EP0195406B1 (en) Process for producing highly water-absorbing polymer
JPH06345819A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
JPH0143762B2 (ja)
JPH0517509A (ja) 高吸水性ポリマーの製造法
JPH0117482B2 (ja)
JPS648006B2 (ja)
JPH01207327A (ja) 吸水性樹脂の表面処理方法
JPH09143210A (ja) 吸水性樹脂およびその製造方法
JPH0625209B2 (ja) 吸水性樹脂およびその製造方法
JPH08120013A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
JPH0770245A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
JP2901368B2 (ja) 耐塩性吸水性樹脂の製造方法
JPH03195713A (ja) 高吸水性ポリマーの製造法
JPH08120018A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
JPH08120011A (ja) 高吸水性樹脂粒子の製造方法
JPH08120014A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
JPH08120019A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
JPH08120015A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
JP4711122B2 (ja) 吸水材
JPH08120016A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
JPH08120017A (ja) 高吸水性樹脂組成物
JPH08120012A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
CN111592610B (zh) 一种反相悬浮聚合制备吸水性树脂的方法
JPH0645651B2 (ja) 高膨張型吸水性ポリマーの製造方法