JPH0811802B2 - 微細結晶粒合金の製造法 - Google Patents

微細結晶粒合金の製造法

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JPH0811802B2
JPH0811802B2 JP62119014A JP11901487A JPH0811802B2 JP H0811802 B2 JPH0811802 B2 JP H0811802B2 JP 62119014 A JP62119014 A JP 62119014A JP 11901487 A JP11901487 A JP 11901487A JP H0811802 B2 JPH0811802 B2 JP H0811802B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,粉末冶金法によって0.1μmから20μmの
微細結晶粒を有する高強度高延性合金を製造する方法に
関する。
〔発明の背景および従来技術の問題点〕
各種の金属材料は最も普通には溶製法で製造され,種
々の加工や熱処理を経て広範囲な用途で使用されてい
る。高強度合金の開発も盛んに行われいるが,溶製法で
製造される合金の強化法の代表的な処法としては,適切
な合金成分の適量の添加と熱処理の組み合わせによる
「固溶体強化法」,「析出硬化法」,「結晶粒の微細化
による強化法」および「組織による強化法」のほか,適
切な加工を施すことによって「加工硬化を利用した方
法」など様々な手法が用いられている。
これらのうち「結晶粒の微細化による強化法」は例え
ば鋼を例にとると,鋼を強く且つ粘くするための最良の
方法であると考えられている。結晶粒が微細になればな
るほど強く且つ粘くなるからである。例えば数10μmの
結晶粒からなる普通の低炭素鋼は抗張力が40kg/mm2未満
であるが,熱延や鍛造などのくり返しなどによる特殊な
方法で結晶粒を数μmオーダーにすると70kg/mm2以上に
向上するといわれている。またニッケル鋼などでは変態
点前後で数回くり返し焼鈍を行うことによって結晶粒の
微細化が図れるという報告もある。
しかし,このような方法はいずれも経済性から見て工
業的に実施することは困難である場合が多い。
一方,溶製法以外で合金を製造する方法として粉末冶
金法がある。粉末冶金法による各種の製品は,自転車,
自動車,鉄道車輌,家電製品,ミシン,農業機械,事務
機器などの機械構成部品として広く用いられており,年
々増加している。この増加の理由は短時間で複雑な形状
の最終製品が多量に生産できるという利点が挙げられ
る。粉末冶金法による合金製品の製造は,各種金属粉末
を混合し,所定の形に圧縮成型した後,最終製品の形を
保ったまま焼き固める(焼結)という工程で行われるの
が通常である。
異種の金属粉末を混合して焼結した合金製品は金属組
織的には合金元素の偏在が避けられず,マクロ的な規模
で不均一な組織となっている。この不均一な組織は合金
の諸特性を一般に低下させる。このため,より均一な合
金をめざして,使用する粉末自体を合金粉末とするか,
或いは部分的に合金化させた粉末とすることが開発さ
れ,実用化されてきた。
しかし,合金粉末は合金化のための溶解工程が必要で
あるのでエネルギー消費が多くなるという問題のほか,
合金粉末の圧縮成型性や焼結性に問題が多く微細結晶化
が困難であるという問題がある。したがって,従来の公
知の合金粉末を使用した粉末冶金製品では微細粒組織の
合金を得ることには限界があった。
小原嗣朗,立沢清彦等は,1979年以降行ってきた研究
成果として「粉体および粉末冶金」vol.29,No.4,P.139
〜145,(1982年),「粉体および粉末冶金」vol.30,No.
5,P.190〜195(1983年)および「粉体および粉末冶金」
vol.31,No.6,P.183〜188,(1984年)において,要約す
れば,100メッシュから325メッシュ(約35μmから149μ
m径)のアトマイズ鉄粉に対して塩化ニッケル・ホウ酸
水溶液を用いて置換ニッケルメッキを行うか,または硫
酸銅水溶液を用いて置換銅メッキを行ない,或いはこれ
らの複層メッキを行った後,成型・焼結する方法を提案
している。この方法によると,混合粉末を用いた場合よ
りも焼結が促進されることおよび粉末粒子界面が合金相
で強化されることによって高強度が得られ,また合金元
素が未拡散の大きな粒子内部では高延性を分担するとい
う不均一な組織となるので,粉末混合法では得られない
高強度高延性の合金が開発できたと報告している。しか
しながら,同じ組成の溶製材に比べると結晶粒も大き
く,強度や延性も優れているとは言い難い。
木原宏,林宏爾等は,日本金属学会春期大会一般講座
概要集,1987年4月,P.163において,真空冶金(株)製
の平均粒径が0.02μmの鉄超微粉およびニッケル超微粉
を用い,これらの粉末を種々の割合いに混合し,成型・
焼結した例を報告している。これによると,若干の粒成
長は認められるものの約0.8μmから31.6μmの微細粒
ニッケル合金鋼を開発できたと報告している。しかし,
両方の超微粉末が高価なこと,粉末表面の還元や焼結微
密化に伴う体積収縮が著しいこと,等から実用化にあた
っては問題が多い。
〔発明の目的〕
本発明は,前述した従来の方法とは異なる方法で「微
細結晶粒を有する合金」を焼結によって製造することを
目的とする。そして,製造プロセスの簡略・容易化,成
分偏析の減少化,粉末の圧縮成型の容易さ,体積収縮の
減少化など,実用化にあたっての諸問題点もできる限り
解決しようとするものである。
〔発明の要旨〕
本発明によれば,平均粒径が0.1〜20μmの金属粉末
の表面に,この金属粉末よりも低融点で且つ該金属粉末
と互いに固溶し合う金属の一種以上を0.1〜50wt.%被覆
し,得られた被覆粉末を所望の形状に成形し,そして,
この成形体を金属粉末と被覆金属とが相互拡散するに十
分な温度であって且つ被覆金属の融点より低い温度で焼
結処理し,そのさい,金属粉末と被覆金属が均一に固溶
化してしまう前にこの焼結処理を終了することからな
り,場合によってはさらに,得られた焼結品を前記の焼
結処理温度より低温で熱処理することからなる,当初の
金属粉末の粒径にほぼ等しい結晶粒を有する微細結晶粒
合金の製造法を提供する。
本発明法によれば,微細結晶粒を有する合金を比較的
簡単に製造することができる。
〔発明の詳述〕
本発明者らは種々の金属微粉末の焼結現象を研究して
いた際に,単一の粉末だけの焼結では焼結時の粒成長が
著しいが,粒径が0.1μmから20μmの範囲の微細な金
属粉末の表面に,該金属粉末よりも低融点で互いに固溶
し合う金属の一種以上を0.1wt.%から50wt.%の範囲に
被覆した複合粉末はこれを成型して焼結すると,特定の
焼結条件範囲内では短時間で均一固溶化せずに,少量の
固溶化した被覆金属元素を含む粉末部分が,当初の金属
粉末の粒径を実質上保ったまま,少量の固溶化した粉末
金属元素を含む被覆層部分で結合された不均一固溶組織
を呈した微細結晶粒組織の焼結構造が得られることを発
見し,本発明に至ったものである。この現象は限られた
空間における粉末金属中への被覆金属の拡散速度と被覆
金属中への粉末金属の拡散速度の微妙な違いおよび粉末
金属と被覆金属との固溶体に対する粉末金属および被覆
金属の各々の拡散速度の微妙な違いなどに起因している
と考えられるが,0.1μmから20μmという微粉末の内で
の現象であり,その理由の明確な分析は至難であるが,
第1図や第2図に図解したような挙動となると考えられ
る。
第1図において,1は金属粉末,2は被覆層を示してお
り,金属粉末1の元素を小白丸で,また被覆層の被覆金
属元素を小黒丸で図解的に示したものであり,第2図は
第1図の被覆微粉を本発明に従って焼結した場合の焼結
組織と各元素の拡散の状態を模式的に描いたものであ
る。第2図において,3は当初の金属粉末の粒径を実質上
保持した結晶粒であり,この結晶粒3には被覆金属元素
(小黒丸)が少量固溶している。4は結晶粒3を結合し
ている結合層であり,これは第1図の被覆層2が結晶粒
3の粒界を埋めることになるが,そのさいに,結合層4
には金属粉末1の元素(小白丸)の少量が固溶してい
る。5は被覆層と被覆層の境界を示すがこれは必ずしも
はっきり現れるわけではない。
本発明法では,第2図に模式的に示すように,被覆金
属元素を少量固溶した金属粉末の結晶が,当初の粒径を
保ったまま,その結晶の隙間を金属粉末元素を少量固溶
した被覆金属で埋めつくされた組織となる。このような
結晶粒と結晶結合層とでは均一ではない(不均一)固溶
組織となり且つ各結晶粒が当初の金属粉末と実質上同等
の微細粒径を維持したままの微細粒組織を焼結によって
得た点に本発明の基本的な特徴があり,これには,使用
する金属粉末が20μm以下の微細粒径を有すること,被
覆金属が金属粉末の表面全体に緊密に付着結合している
こと,被覆金属の融点が金属粉末よりも低いこと,被覆
金属元素と金属粉末元素とは相互に固溶する性質を有す
ること,被覆金属は金属粉末より50wt.%以下の少量で
あること等が基本的な要件となるが,特に金属粉末の粒
径と前記要件を備えた被覆層の存在が支配的な因子とな
る。金属粉末の粒径が20μmより大きくなると焼結の際
に結晶粒が粗大化してしまい,被覆金属元素が内部にま
で拡散されないので高強度高延性を発現し得ない。前記
の要件を備えるように,超微粉に所定の金属被覆を形成
した場合に,おそらくはその皮膜がバリヤーとなるので
あろう焼結時に結晶粒の成長が阻止されるのである。そ
して,微粉であることから表面積の異常な増大による表
面エネルギーが関与して粒成長よりも金属粒子と被覆金
属元素との相互に差のある適量だけの相互拡散が先に進
行し同時に結晶粒子の間を金属粉末元素を固溶した被覆
相が埋め尽くすような流動化が起きるのではないかと推
測される。
本発明で使用できる金属粉末としては,例えば水アト
マイズ法,ガスアトマイズ法,電解法,機械的破砕法,
酸化物の還元法,低圧ガス中蒸発法,活性水素溶融金属
反応法および塩化物反応法などの製造法によって得た
鉄,銅,銀,金,錫,白金,ニッケル,チタン,コバル
ト,クロム,アルミニウム,亜鉛,タングステンなどの
金属粉末,さらにはSUS304やSUS316,パーマロイ,イン
コロイ,センダスト,チノール,Nb3Sn,Nb3Ge,フェロク
ロム,フェロシリコン,フェロアルミなどの合金の粉末
を使用することができる。粒径は0.1μmから20μmの
範囲であれば良いが,好ましくは1μmから10μmが最
適である。0.1μm以下の超微粉末は粉末同志の凝集が
著しく分散が困難である。また,20μm以上の粗粉を使
用した場合には焼結によって得られる合金が粗大結晶粒
となり且つ粉末の内部にまで被覆金属が拡散固溶化しな
いため高強度高延性などの特性が向上しない。粉末の形
状としては球状,針状,棒状,角状,板状,不定形状,
クラスター状,ウィスカー状,中空状および多孔質のい
ずれでも使用できる。
また,金属粉末と被覆金属との組み合わせは,固溶す
ることが原則であるが,固溶することによって特定の合
金や金属間化合物になるような組み合わせであっても良
い。例えば,フェロクロム粉にニッケルメッキを施こし
てSUS304合金にしたり,フェロシリコン粉にアルミニウ
ムメッキを施こしてセンダスト合金にすることができ
る。これらの場合には一回の焼結で最終の合金化を狙わ
ず,予備焼結によって合金粉末相と被覆相との2相組織
体にとどめておき,板や管などに成型加工した後に十分
な熱処理を加えて最終の合金化(ただし粉末相と被覆相
とは完全な均一成分の固溶体にはならない条件で合金化
する)を行うことも可能である。
被覆金属は鉄,ニッケル,銅,クロウ,亜鉛,錫,
鉛,銀,白金,金,カドミウム,コバルト,Ni−P,Ni−
Bおよびこれらの合金などが使用できる。被覆の方法
は,無電解メッキ法,置換メッキ法,懸濁電気メッキ
法,スパッタリング法,イオンプレーティング法,イオ
ン注入法,真空蒸着法,熱CVD法,プラズマCVD法および
これらの組み合わせが可能である。被覆厚さは100Åか
ら5μm,好ましくは0.1μmから2μmが適当であり,
薄すぎると本発明のポイントである粉末相と被覆相の不
均一構造が得られにくく,厚すぎると製造コストが高価
となる欠点がある。懸濁電気メッキ法やスパッタリング
法によって多層被覆することも可能であり,2層以上の多
層被覆を行った後,加熱・拡散処理を行なって合金皮膜
とすることも可能である。
粉末の成型にあたっては,被覆粉末の乾燥品をそのま
ま用いても良いし,ステアリン酸亜鉛(1wt.%)溶解エ
タノール溶液中で粉末の表面を潤滑処理したものを用い
ても良い。また,市販のニューマルメライザー(不二パ
ウダル(株)製)やアトライター(三井三池化工機
(株)製)で造粒し,500℃から700℃で1時間から3時
間,水素雰囲気中で熱処理し,バインダーの熱分解と粉
末表面を還元した後,1000℃で10分間から30分間焼結処
理して50μmから1mm径の大きさにペレット化した粉末
を用いても良い。このペレット化した粉末を用いると被
覆粉末表面が清浄化されており,焼結時の異物が混入し
にくい他,粉末成型時のハンドリングが容易であり,従
来の粉末成型システムがそのまま利用できる利点があ
る。粉末成型は冷間プレス成型,ホットプレス成型,真
空ホットプレス成型,熱間押し出し成型,射出成型,ス
リップキャスティング,CIP,HIPおよび粉末圧延成型を用
いて一般の粉末と同様に成型できる。
焼結条件としては前記の不均一固溶組織で且つ使用し
た金属粉末と実質上同じ粒径の結晶粒が維持されるよう
な温度と時間の条件で行うことが必要である。これを鉄
粉を例として説明すると,α−Feの収縮現象が見られる
550℃以上910℃の間で30分間から8時間行うのが最も望
ましいが,この場合は,CIP,HIPあるいは真空ホットプレ
ス成型などで圧粉密度を80%以上にしておかねば十分な
焼結強度が得られない。したがって,一般には冷間プレ
ス成型または粉末圧延成型後,1000℃から1200℃の範囲
で30分間から8時間焼結して十分な焼結強度を得る。こ
の場合,より高温でより長時間の熱処理を行なうと,均
一固溶化がさらに進行し,粒成長が著しくなり目的の微
細結晶粒を有する合金が得られなくなる。したがって,
焼結温度については,金属粉末と被覆金属の種類によっ
てそれぞれ適切な範囲があるが,いずれにしても,金属
粉末と被覆金属との相互拡散が開始する温度以上で且つ
被覆金属の融点より低い温度を採用し,金属粉末と被覆
金属が均一に固溶化してしまう前にこの焼結処理を終え
ることが肝要である。この焼結を終える時点は,数回の
トライアルの試験を行うことによって,用いる被覆粉末
の種類ごとに決定することができる。焼結時の雰囲気と
しては水素ガス,水素ガスとアルゴンなどの不活性ガス
との混合ガスあるいは真空中が望ましく焼結時のボイド
消失のため前半水素ガス中で焼結後,後半アルゴンガス
に切換えても良い。
以下に本発明の代表的な実施例を挙げる。
〔実施例1〕 出願人の市川製造所における塩酸回収装置で副生した
酸化鉄粉95gを水素中で600℃×3時間還元処理して得た
一次粒子径0.1μmの鉄粉を還元処理後,ただちにニッ
ケル電気メッキ液中に投入し,下記の条件で5wt.%量の
懸濁電気ニッケルメッキを施した。なお,懸濁電気ニッ
ケルメッキは特願昭61−161950号(昭和61年7月11日出
願,超微粉末に金属を被覆する方法)に準じて行った。
懸濁電気ニッケルメッキ条件 浴組成 硫酸ニッケル 240g/ 塩化ニッケル 45g/ ホウ酸 30g/ 陽極・・ニッケル板 陰極・・チタニウム板 浴温・・40℃ 電流密度・・8A/dm2 陰極電流効率・・95% 電解時間・・30分間 得られたニッケルメッキ鉄粉を過後,良く水洗し,
エタノールで洗浄後,直ちに60℃で2時間減圧乾燥し
た。この乾燥粉末を5wt.%のポリビニルアルコールを含
むエタノール溶液中に懸濁し,不二パウダル(株)製の
ニューマルメライザーによって造粒した後,600℃で3時
間水素雰囲気中で熱処理し,バインダーの熱分解および
粉末表面を還元した後,1000℃で30分間焼結処理して平
均粒径が約200μmのペレットを得た。
このペレットをさらに粉末圧延機にかけて厚さ5mm,幅
100mm,流さ1m,圧粉密度80%のグリーンシートを得た。
このグリーンシートを水素ガス中で1000℃で1時間焼結
し,冷却後50%の圧下率の冷間圧延を行い厚さ2.5mmの
焼結板を得た。この時圧粉密度は99.5%であった。冷間
圧延後,水素ガス中で900℃で10分間焼鈍して本発明品
を得た。この発明品の平均結晶粒径を光学顕微鏡で測定
し,添加元素の濃度分布をX線マイクロアナライザー
(EPMA)で測定し,JIS Z 2201「金属材料引張り試験
片」に基づいて幅12.5mm,標点距離50mm,平行部の長さ60
mmのダンベル片を作成し島津製作所製オートグラフIS−
500により引張速度4.2×10-2mm/sの条件で引張り試験を
行った。抗張力や破断伸びは得られた3つの測定値の平
均値を用いて考察した。
本発明品の平均結晶粒径は0.1μmであり,抗張力は6
0kg/mm2,破断伸びは4%と高強度高延性の低ニッケル合
金鋼であった。
〔実施例2〕 高純度化学(株)製の平均粒径15μmのアトマイズ鉄
粉95gを常温の1N・塩酸水溶液中に約5分間浸漬し,表
面の酸化膜を溶解除去後,直ちに下記の条件で1wt.%量
の無電解銅メッキを施した。
無電解銅メッキ条件 フェーリング液の浴組成 A液+B液に15wt.%量のホルムアルデヒドを加えよ
く混合したものを無電解メッキ液とした。
浴温 20℃ 時間 約30分 得られた銅メッキ鉄粉を過後,良く水洗し,エタノ
ールで洗浄後,直ちに60℃で2時間減圧乾燥した。この
乾燥粉末を5ton/cm2の圧力で冷間プレス加工し,アルゴ
ンガス中で900℃で2時間焼結した後,圧下率80%で冷
間圧延を行った後,1000℃で1時間の溶体化処理後,油
中に焼入れて本発明の焼入れ品を得た。実施例1と同様
結晶粒径,抗張力および破断伸びを測定したところ,そ
れぞれ15μm,120kg/mm2,10%の値を示す高強度高延性合
金であった。
〔実施例3〕 福田金属箔粉工業(株)のアトマイズフェロクロム粉
(Cr:61wt.%,C:0.2wt.%,残部Fe)を分級し,平均粒
径20μmの粉末40gを得た。常温で1N・塩酸水溶液中に
約10分間浸漬し,表面の酸化膜を溶解除去後,良く水洗
し,エタノールで洗浄後,60℃で1時間減圧乾燥した。
この粉末を用いて直ちに下記の条件で10wt.%量のアル
ミニウムのスパッタリングを施した。なお,アルミニウ
ムのスパッタリングは特願昭61−93223号(昭和61年4
月24日出願,超微粉末に被覆する方法と装置)に準じて
行った。
アルミニウムのスパッタリング条件 型式:マグネトロン型 ターゲット:アルミニウム ガス:アルゴン 出力:300W スパッタリング時間:30時間 粉末の温度:100℃ 圧力:5×10-2Tor. 得られたアルミ被覆フェロクロム粉を直ちに下記の電
気鉄メッキ液に投入し,50wt.%量の懸濁電気鉄メッキを
実施例1と同じ手順で行った。
懸濁電気鉄メッキ条件 浴組成 硫酸第一鉄 250g/ 塩化第一鉄 42g/ 塩化アンモニウム 20g/ 陽極・・鉄板 陰極・・SUS304 浴温・・40℃ 電流密度・・10A/dm2 陰極電流効率・・90% 電解時間・・10時間 得られた2層メッキフェロクロム粉を過し,良く水
洗し,エタノールで洗浄した後,60℃で2時間減圧乾燥
した。この乾燥粉末を三菱重工(株)製のCIPで10ton/c
m2の圧力で成型し,その後,水素ガス雰囲気中で1000℃
で30分間予備焼結し,圧下率50%で冷間圧延した後,110
0℃で5時間アルゴンガス中で本焼結および拡散固溶化
を行った。得られた本発明品に対して実施例1と同様に
結晶粒径,抗張力および破断伸びを測定したところ,そ
れぞれ20μm,50kg/mm2,30%の値を有する高強度高延性
のクロム・アルミ合金鋼を得た。
〔実施例4〕 高純度化学(株)製の平均粒径5μmのアトマイズア
ルミニウム粉99.9gを常温の0.1N・水酸化ナトリウム水
溶液中に投入し1分間処理して表面の酸化膜を溶解除去
した後,良く水洗し,直ちに下記の条件で0.1wt.%量の
Ni−P無電解メッキを行った。
Ni−P無電解メッキ条件 浴組成 塩化ニッケル 30g/ 次亜リン酸ナトリウム 10g/ ヒドロキシ酢酸ナトリウム 50g/ 浴温:80〜90℃ pH:4〜6 処理時間:1時間 得られたNi−Pメッキアルミ粉を過し,良く水洗し
た後,エタノールで洗浄し,60℃の電気炉で乾燥した。
この粉末を2×10-2Tor.の真空下で2ton/cm2の圧力で60
0℃で8時間真空ホットプレス加工を行い本発明品を得
た。得られた本発明品に対して実施例1と同様に結晶粒
径,抗張力および破断伸びを測定したところ,それぞれ
5μm,30kg/mm2,50%の値を有する微細粒アルミ板を得
た。
以上の代表的実施例に示すように本発明法によれば微
細結晶粒を有する高強度高延性の合金を比較的簡単に製
造することができる。得られた合金は溶製材よりも優れ
た特性を有する上,粉末冶金法特有の複雑な形状の最終
製品を得ることができるという利点を合わせて有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の被覆粉末の断面構成を示す模式図,第
2図は第1図に示す被覆粉末を成型・焼結したものの断
面模式図である。 1……微細金属粉末,2……被覆層, 3……少量の固溶化した被覆金属を含む粉末部分 4……少量の固溶化した粉末金属を含む被覆部分 5……被覆層と被覆層との焼結の境界線。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径が0.1〜20μmの金属粉末の表面
    に,この金属粉末よりも低融点で且つ該金属粉末と互い
    に固溶し合う金属の一種以上を0.1〜50wt.%被覆し,得
    られた被覆粉末を所望の形状に成形し,そして,この成
    形体を金属粉末と被覆金属とが相互拡散するに十分な温
    度であって且つ被覆金属の融点より低い温度で焼結処理
    し,そのさい,金属粉末と被覆金属が均一に固溶化して
    しまう前にこの焼結処理を終了することからなる,当初
    の金属粉末の粒径にほぼ等しい結晶粒を有する微細結晶
    粒合金の製造法。
  2. 【請求項2】平均粒径が0.1〜20μmの金属粉末の表面
    に,この金属粉末よりも低融点で且つ該金属粉末と互い
    に固溶し合う金属の一種以上を0.1〜50wt.%被覆し,得
    られた被覆粉末を所望の形状に成形し,そして,この成
    形体を金属粉末と被覆金属とが相互拡散するに十分な温
    度であって且つ被覆金属の融点より低い温度で焼結処理
    し,そのさい,金属粉末と被覆金属が均一に固溶化して
    しまう前にこの焼結処理を終了し,さらに,この焼結品
    を前記の焼結処理温度より低温で熱処理することからな
    る,当初の金属粉末の粒径にほぼ等しい結晶粒を有する
    微細結晶粒合金の製造法。
JP62119014A 1987-05-18 1987-05-18 微細結晶粒合金の製造法 Expired - Lifetime JPH0811802B2 (ja)

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