JP2696567B2 - セラミック粒子強化型金属基複合材料の製造方法 - Google Patents

セラミック粒子強化型金属基複合材料の製造方法

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JP2696567B2 JP1161159A JP16115989A JP2696567B2 JP 2696567 B2 JP2696567 B2 JP 2696567B2 JP 1161159 A JP1161159 A JP 1161159A JP 16115989 A JP16115989 A JP 16115989A JP 2696567 B2 JP2696567 B2 JP 2696567B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はセラミック粒子強化型金属基複合材料の製造
方法に係わり,特にセラミック粒子がそれぞれ互いに接
触することなく金属マトリックス中に極めて均一かつ緻
密に分散した状態の複合材料を比較的簡単な方法で製造
する方法に関する。
〔従来の技術と問題点〕
セラミック粒子強化型金属基複合材料は,マトリック
ス金属材料を結合材として,分散材であるセラミック粒
子自身の性質を利用する材料であり,超硬合金やサーメ
ットあるいは電気接点など実用化されているもの多い。
例えば,WC−Co,TiC−Ni−Mo等のサーメットは,セラミ
ック粒子(WC,TiC)を金属マトリックス(Co,Ni−Mo)
中に細かく分散させた材料であり,セラミックスの脆性
を金属の延性によって補給した強靭でしかも耐熱性,耐
摩耗性に優れた複合材料である。
このような複合材料が,材料としての優れた特性を得
るためには,セラミック粒子の周囲に,金属マトリック
スが緻密に,網目状に充填した組織が必要である。すな
わち,粒子同士が互いに接触することなく,均一かつ緻
密に分散した状態が望まれる。従来,このような粒子強
化複合材料は,それぞれの成分の原料粉末を機械的に混
合し,この混合粉末の成形体を液相焼結するという粉末
冶金法によって製造されてきた。しかし,比重等の物性
が異なる2種類以上の粉末を均一に混合することは非常
に困難であり,このように不均一な混合粉末を成形,焼
結して得られる焼結体も金属マトリックス中にセラミッ
ク粒子が均一に分散した組織とはなり難く,粒子同士が
集積した部分が生じたり,マトリックス部分が異常に成
長した偏りのある組織になりやすい。
また,液相焼結においては溶融金属によって固体粒子
が完全にぬれることが前提条件であり,ぬれの悪い系の
液相焼結は不可能である。すなわちセラミック粉末と金
属粉末を機械的に混合した混合粉末を成形し,これを液
相焼結しようとした場合,セラミックスに対してぬれの
悪い溶融金属はセラミック粒子と完全に分離し,成形体
は崩壊してしまう。セラミックスに対してぬれの良い金
属の種類は少なく,新しい金属/セラミックス系複合材
料を開発する上で大きな障害となっている。
このような金属/セラミックス界面のぬれの問題も含
めて,複合材料における界面は非常に重要な役割を演じ
ているにも関わらず,現在もっとも扱いにくい問題の一
つであり,その解決の手法が模索されている。問えば金
属/セラミックス系複合材料では界面反応により脆い金
属間化合物が生成しやすく,材料としての十分な強度を
得る場合の大きな障害となっている。したがって,複合
材料を開発するにあたっては,良好なぬれおよび確実な
接合を呈する最適な界面を作れるか否かが実用化の成否
を決めることになる。
同一出願人に関る特開昭63−286537号公報において,
微細な粒子(その材料は有機無機を問わない)の表面に
これとは固溶しない金属材料の被覆を施して成形および
焼結する粒子分散型複合材料の製造法を提案した。ま
た,この公報記載の発明の実施例では,微細なアルミナ
粉に銅のスパッタリング被覆を施したうえ更に電気銅め
っきを施した複合粉末を作り,これを成形し,この成形
品を銅の融点以下の温度(950℃)で焼結した例を示し
た。
この方法によると,セラミック粉と金属粉を機械的に
混合して成形焼結する場合に比べてマトリックス中にセ
ラミック粒子が緻密で均一に分散しした複合材料を得る
ことができるが,セラミック粒子に直接的に銅を被覆す
るので,ぬれ性の問題から融点以上の温度で焼結でき
ず,したがって,焼結強度になお問題があり,特にセラ
ミック粒子の粒径がさらに大きな場合にはなお一層の改
善が求められた。
〔発明の目的〕
したがって,本発明の目的とするところは,特開昭63
−286537号公報で提案した方法をさらに改善し,特にア
ルミナセラミック粒子を分散材とする銅またはニッケル
マトリックスの良品質の複合材料を製造することにあ
る。
〔発明の構成〕
本発明によれば,アルミナセラミック粉末の個々の粒
子表面にチタン下地被覆を施したうえ更に銅被覆を施し
てなる複合粉末を所望形状に成形し,この成形体を銅の
融点以上の温度で焼結処理することを特徴とする銅マト
リックス中に該セラミック粒子が分散してなるセラミッ
ク粒子強化型金属基複合材料の製造方法,並びにアルミ
ナセラミック粉末の個々の粒子表面にチタン下地被覆を
施したうえ更にニッケル被覆を施してなる複合粉末を所
望形状に成形し,この成形体をニッケルの融点以上の温
度で焼結処理することを特徴とするニッケルマトリック
ス中に該セラミック粒子が分散してなるセラミック粒子
強化型金属基複合材料の製造方法を提供する。そのさい
該複合粉末におけるアルミナセラミック粒子は好ましく
はその粒径が10μmから150μmの範囲,全被覆金属中
のチタン下地被覆層の割合は好ましくは3〜20wt.%の
範囲,全被覆金属は好ましくは35vol%から50vol%の範
囲とする。また複合粉末のチタン下地被覆はスパッタリ
ング法により,その上の銅またはニッケルの被覆層はめ
っき法により形成させる。
〔発明の詳述〕
第1図は,セラミック材料Aからなる粒子1とこれと
ほぼ同径の金属材料Bからなる粒子2とを機械的に混合
したうえ,この混合粉末を成形した状態を図解したもの
である。図示のように,機械的に混合しただけでは粒子
1の周囲に粒子2が均等な割合で存在しているとは限ら
ない。特に粒子1と2との比重差が大きいほど,また各
粒子の粒径が小さいほど,粒子1の各々の周りに存在す
る粒子2の割合変化が生じ,場合によっては同じ種類の
粒子1同士が隣合って存在したり,同じ種類の粒子2同
士が隣合って存在することもあり,ミクロ的に見た場合
にはセラミックAと金属Bの組成割合が場所によって異
なることになる。なお,このような粉末成形体中には粒
子間に空間3が必ず存在する。
第2図は,第1図の成形体を焼結した場合の状態を図
解したものであり,第1図の金属粒子2は焼結温度で融
解して金属Bのマトリックス4を形成する。そしてこの
マトリックス4には気孔3′が所々散在することにな
る。この焼結体においても第1図の成形体のときの各粒
子の偏りがそのまま持ちきたされてしまう。すなわち,
成形体におけるセラミック粒子1同士の間隔の違いが焼
結体でも現れ,緻密化のばらつきを引き起こし,残留す
る気孔が大きく,マクロ的には焼結体の寸法精度が悪く
なる恐れもある。
第3図は,第1図と同じセラミック材料Aからなる同
粒径の粒子1の一個一個に,第1図と同じ金属材料Bか
らなる被覆5を施してなる複合粉末の成形状態を図解し
たものである。この場合には複合粉末同士が隣接するこ
とになるので,その核となっているセラミック材料Aの
粒子1は,どの粒子もその近傍に実質上等しい割合のB
材料が存在することになり,場所によってAとBの組成
割合が相違することはない。すなわち,このような複合
粉末の成形体はミクロ的にもマクロ的にも粒子1は被覆
5を介して均一に且つ互いに接触することなく分散した
状態となる。このような成形体を金属材料Bの融点以上
の温度で焼結して得られる焼結体は第4図に示したよう
にセラミック材料Aの粒子1が均一かつ緻密に分散した
組織となり,また,残留気孔も小さく,寸法制度の良い
ものとなる。これが,本発明で採用する特徴的なメカニ
ズムであり,これによって,セラミック粒が金属マトリ
ックス中に極めて均一にかつ互いに接触しないで分散し
たセラミック粒子強化型金属基複合材料を製造するので
ある。
本発明では,分散させるべきセラミック粒子として特
にアルミナセラミックを採用するが,アルミナに対して
一般の金属材料は溶融地のぬれが悪く,液相焼結は不可
能である。しかし,活性金属であるチタンを介在させる
ことで,接触角が低下しぬれが改善される。また,チタ
ンは酸素との結合力が大きいため,セラミックスと金属
との接合においてろう材としても機能する。
すなわち本発明は,分散させるアルミナセラミック粒
子の表面に,まず,活性金属であるチタンを下地被覆
し,さらにその上にマトリックス金属となる銅またはニ
ッケルを被覆した2層被覆を持つ複合粉末を作製し,こ
れを原料粉末とすることによって,焼結時における,溶
融金属によるセラミック粒子の完全なぬれを実現させて
液相焼結を可能にすると共に,チタンとアルミナとの界
面反応により,マトリックス金属とアルミナ粒子間の良
好な接合を達成したものである。
第5図は本発明に従う複合粉末の代表的な粒子断面を
示したものであり,アルミナセラミック粒子6の全表面
に薄いチタン下地被覆層7が均一に施され,このチタン
下地被覆層7の全表面にマトリックス形成用金属(銅ま
たはニッケル)の被覆8が均一に施されている。
このチタン下地被覆は同一出願人に係る特願平1−74
770号(平成1年3月27日出願,微粉末を被覆する方
法)に準じて行うことができる。これは,回転式バレル
型スパッタリング室を本体とする装置により,粉末の一
次粒子表面に均一なスパッタ被覆を施すものである。本
体のスパッタリング室は例えば直径500mm,長さ300mm程
度のステンレス製の円筒状であり,これが水平軸を中心
にモーター駆動により低速回転することによって,室内
に粉末の流動層を形成する。室内中心付近には被覆材料
となるターゲット(チタン)を室内の粉末流動層に向か
い合うように固定し,マグネトロンスパッタ方式による
被覆を行う。スパッタリング室には真空排気系,雰囲気
ガス導入系の配管が接続されている。また,粉末の減圧
加熱処理室,流体ジェットミルがスパッタリング室とパ
イプにより連結されており,粉末の加熱処理室からスパ
ッタリング室への導入,スパッタリング室から流体ジェ
ットミルへの導入による粉末の解砕,さらに加熱処理室
への再導入という一連の粉末処理を連続で行うことがで
き,スパッタ中の微粉末の一次粒子分散を可能にしてい
る。被覆方法の基本的原理はバレル型スパッタリング室
を処理粉末に適した速度で回転させ,室内に粉末の流動
層を形成しながら,所定雰囲気下でスパッタリンクを行
うものである。なお,本発明で対象とするアルミナ粒子
は粒径が10μmから150μmと比較的大きいので凝集す
る恐れが少ない。このため,流体ジェットミルによる解
砕は行われずにスパッタリング室内にて連続被覆が可能
である。
一方,このチタンスパッタを終えた粉末は次いで銅ま
たはニッケル被覆を施すのであるが,これは,同じく同
一出願人に係る平成1年5月26日付け特許願(未番,粉
末のコーテンイグ方法および装置)に提案した粉末のコ
ーテイング装置によって行うことができる。この装置
は,底面に円形の陰極を有する円筒状のバレル容器を本
体とする内部陽極式傾斜バレルめっき装置により粒子の
一個一個に均一な電気めっきを施すものである。後記の
実施例で試作した複合粉末の作製には,アクリル樹脂製
の小型バレル容器を用いたが,その形状は直径800mm,高
さ95mmで,陰極は直径36mmのステンレス鋼(SUS304)円
盤である。バレル容器の内壁には高さ2mmの邪魔板が4
ヶ所に設けてあり,粉末の攪拌が十分に行えるようにな
っている。バレル容器は45度の角度に傾けた状態でモー
ター駆動により回転させる。被覆方法の原理は,バレル
容器内に粉末を入れ,めっき液を満たし,陽極板をめっ
き液中に浸漬した状態でバレル容器を回転させる。これ
により陽極と陰極の間に粉末の流動層が形成されるの
で,両極間に通電してめっき液中の金属イオンを粉末表
面に析出させるものである。
そのさい,陰極には液中の金属イオンが析出せずに粒
子表面に析出するには,粒子表面が十分に導電性でなけ
ればならない。チタン被膜が形成されていてもその最外
表面には酸化チタンの被覆が形成されているとこの導電
性が十分ではない。このために,この電気めっきを施す
粒子表面に導電性の皮膜を予め形成させておくのがよ
い。これは無電解めっき法を採用すればよく,一般的に
用いられている市販の各種無電解めっき液が適用でき
る。処理方法としては,めっき液の入った容器中で攪拌
翼により粉末を分散させて,各粒子上で均一な析出反応
を起こさせる。なお無電解めっきに先立つ触媒化に関し
ても,市販の処理液を適用し同様な方法で処理する。
本発明で採用するアルミナセラミック粒子の粒径は10
μmから150μmの範囲とする。粒径が10μmより小さ
い粒子では前記の電気めっき法による被覆に際して,粒
子の舞い上がりによるめっき不良や,流動不足による凝
集等の問題が生じるし,粒径が150μmを越える粒子の
場合には,液相焼結時の粒子再配列機構によって緻密化
が起こりにくく,また得られる焼結体も分散粒子が大き
すぎるために分散効果が小さく,複合材料としての十分
な特性が期待できなくなる。
アルミナ粒子に下地被覆するチタンの量は,マトリッ
クス金属によって適切な範囲があり,マトリックス金属
が銅の場合,その効果が期待されるチタンの量は被覆金
属全体に対して3wt.%から20wt.%の範囲である。チタ
ン量が3wt.%より少ない場合はぬれ性の改善効果が小さ
く,気孔が多く脆い焼結体しか得られないため3wt.%以
上のチタンが必要である。しかし,チタンが20wt.%よ
り多くなると,Cu−Ti系状態図に見られるTiCu3,Ti2Cu3,
TiCu,Ti2Cu等の金属間化合物の生成量が添加チタン量に
応じて多くなってくる。これらの金属間化合物は脆いた
め,得られる焼結体の強度低下をまねく。したがって,
添加するチタンの量は20wt.%以下が好ましい。一方,
マトリックス金属がニッケルの場合,その効果が期待さ
れるチタンの量は被覆金属全体に対して2wt.%から10w
t.%の範囲である。チタン量が2wt.%より少ない場合は
ぬれ性の改善効果が小さく,気孔が多く脆い焼結体しか
得られないため,2wt.%以上のチタンが必要である。し
かしチタンが10wt.%より多くなると,Ni−Ti系状態図に
見られるTiNi3,TiNi,Ti2Ni等の金属間化合物の生成量が
添加するチタン量に応じて多くなってくる。これらの金
属間化合物は脆いため,得られる焼結体の強度低下をま
ねく。したがって,添加するチタンの量は10wt.%以下
が好ましい。
チタン下地被覆層とマトリックス金属被覆層を合わせ
た全被覆金属量は,35vol.%から50vol.%の範囲となる
ようにする。液相焼結時の粒子再配列機構により完全な
緻密化を達成するためには35vol.%以上の液相量が必要
であり,35vol.%より少ない場合の気孔の多い焼結体し
か得られない。また,マトリックス金属量が50vol.%よ
り多くなると分散材であるセラミック粒子の量に比較し
てマトリックスの量が多くなりすぎるため,粒子の分散
が緻密でなくなり,複合材料としての特性が期待できな
くなる。同時に,焼結時の液相量が多くなりすぎるため
に焼結体が変形するおそれがある。
このようにして作製した複合粉末の成形にあたって
は,冷間プレス成形,ホットプレス成形,真空ホットプ
レス成形,熱間押し出し成形,スリップキャステイン
グ,CIP,HIP,粉末圧延成形等の一般に用いられている方
法のいずれを用いてもよい。
得られた成形体を焼結するにあたっては,銅被覆の場
合には銅の融点(1083℃)以上の温度,ニッケル被覆の
場合にはニッケルの融点(1453℃)以上の温度で焼結処
理する。そのさい,融点よりあまり高いとセラミック粒
子の配列に変化が起きるので融点〜150℃,好ましくは
融点〜100℃の範囲の焼結温度を採用するのがよい。い
ずれにしても,下地被覆層のチタンによって界面におけ
るぬれと接合が最適となるような温度と時間のもとで行
うことが必要であり,これによって,複合粉末を用いた
ことによる前述の特徴が活かされたセラミック粒子強化
型金属基複合材料が得られる。その際,雰囲気としては
真空中,不活性雰囲気,還元雰囲気あるいは酸化雰囲気
など,焼結雰囲気を適切に選定して行うことも有利であ
る。
本発明によって得られるセラミック粒子強化型金属基
複合材料は,その特性の向上は単に機械的強度のみなら
ず,耐熱性,耐食性,硬度,熱伝導性,加工性,切削性
等の工業上極めて有用な広い諸特性に及ぶものであり,
したがって新しい特性を有する新材料を市場に供給でき
る。
〔実施例および比較例〕
本発明を適用してセラミック粒子強化型金属基複合材
料を製造した実施例を銅系について第1表に,ニッケル
系について第2表に,それぞれ比較例と共に示した。
以下に,これらの実施例および比較例の詳細を述べ
る。
アルミナセラミック粒子として,(株)マイクロン社
製のアルミナ球状微粒子を用いた。このアルミナ粒子に
下記の条件でチタンをスパッタリングにより被覆した。
スパッタリングは前記したように特願平1−74770号
(平成1年3月27日出願,微粉末を被覆する方法)に準
じて行った。
チタンのスパッタリング条件 型式:マグネトロン型 ターゲット:チタン ガス:アルゴン 出力:500W 圧力:4×10-3Torr バレル回転数:5rpm 粉末量:200g チタンの被覆量は,該第1表および第2表に示した組
成となるようにスパッタリング時間を調節した。
このチタンスパッタリング被覆をもつ実施例1〜6,比
較例2〜3,6〜7のアルミナ粉末,およびチタン被覆を
施さない比較例1と5のアルミナ粉末の各40gに,下記
の条件で2液式の触媒化処理を行った。
触媒化処理条件 奥野製薬(株)製TMPセンシタイザー 標準組成液1,25℃,5分間 奥野製薬(株)製TMPアチベーター 標準組成液1,25℃,5分間 なお,各処理の後には3分間の水洗を各3回ずつ行っ
た。
この触媒化処理を施した粉末のうち,第1表の銅系の
ものには下記の条件で無電解銅めっきを施した後,傾斜
バレル式電気銅めっきを行った。また,第2表のニッケ
ル系のものには下記の条件で無電解ニッケルめっきを施
した後,傾斜バレル式電気ニッケルめっきを行った。傾
斜バル式電気めっきは前記した平成1年5月26日付け特
許願(未番,粉末のコーテンイグ方法および装置)に記
載の粉末へのコーティング方法を準じて行った。銅およ
びニッケルの被覆量はそれぞれ第1表および第2表に示
した組成となるように数電磁間を調節した。
無電解銅めっき条件 奥野製薬(株)製 OPCカッパー 標準組成液1,50℃,5分間 傾斜バレル式電気銅めっき条件 浴組成:ピロりん酸銅 28g/ ピロりん酸カリウム 254g/ くえん酸カリウム 23g/ 陽極:銅板 陰極:ステンレス円盤 浴温:20〜30℃ 電流密度:14.7A/dm2 バレル回転数:10〜90rpm 無電解ニッケルめっき条件 奥野製薬(株)製 TPM化学ニッケル 標準組成液1,30℃,20分間 傾斜バレル式電気ニッケルめっき条件 浴組成:硫酸ニッケル 150g/ 塩化アンモニウム 15g/ ほう酸 15g/ 陽極:ニッケル板 陰極:ステンレス円盤 浴温:20〜30℃ 電流密度:14.7A/dm2 バレル回転数:10〜30rpm なお通電時間にともなう被覆金属量の増加や,粒子の
表面状態の変化により,粒子の流動性が悪くなってくる
ため,常に均一な流動状態を維持する目的でバレル回転
数を上記の範囲で連続的に大きくした。得られた複合粉
末をよく水洗し,エタノールで洗浄後,ブフナーロート
で吸引濾過し,ついで温風乾燥機中で60℃で2時間乾燥
した。
比較例4および8は,上記の被覆方法をいっさい行わ
ず,単に各成分の粉末をそれぞれ実施例2および5と同
じ組成となるように混合したものである。混合に用いた
金属粉末は福田金属箔粉工業(株)製の純銅粉末(粒径
43μm以下)と(株)鋼純度化学研究所製の純チタン粉
末(粒径43μm以下)および純ニッケル粉末(粒径43μ
m以下)であり,アルミナ粉末は他の例と同種のもので
ある。混合は乳鉢中で乳棒により行ったが,できるだけ
均一に混合するために粘結剤としてグリセリンを1wt.%
添加した。
各例で作製した各複合粉末および混合粉末を3ton/cm2
の圧力で金型成形し,直径10mm,高さ約10mmの円柱状成
形体とした。次いでこの成形体を黒鉛るつぼ内に並べ,
タングステン炉を用いて5×10-5Torrの真空中におい
て,毎分10℃で昇温し,銅系のものは1150℃で,ニッケ
ル系のものは1500℃で1時間焼結した。その後,約4時
間かけて炉冷し,各試料について気孔率とビッカース硬
度を測定した。なお,気孔率は見掛け比重と理論比重か
ら換算し,ビッカース硬度は荷重10kgで測定した。各測
定結果を第1表および第2表に示した。
第1表および第2表の結果から,本発明による複合材
料はいずれも良好な焼結状態を有して気孔率が低く,銅
系のものでは銅単体の硬度Hv50より十分に高い硬度を,
ニッケル系のものではニッケル単体の硬度Hv63より十分
に高い硬度を示しており,粒子分散強化の効果が現れて
いる。
これに対して,チタン被覆無しの比較例1および5で
は,焼結中に成形体が崩壊し,焼結体を得ることができ
なかった。これは焼結中に溶融した金属とアルミナ粒子
とが完全に分離したためであると考えられる。また比較
例2および6ではチタンの被覆量が十分でなく,気孔が
かなり多く脆い焼結体しか得られなかった。一方,チタ
ン量の多い比較例3および7では気孔率が最も小さい焼
結体が得られたが,それぞれ実施例1から3および実施
例4から6に比べて硬度が低くなっている。これは,過
剰のチタンによりアルミナ粒子と金属との界面に脆い金
属間化合物が生成したことによるものである。さらに混
合粉末による比較例4で得られた焼結体は,同じ組成で
ある複合粉末による実施例2の焼結体に比べて気孔率が
大きい。これらの焼結体を光学顕微鏡で観察したとこ
ろ,実施例2のものではアルミナ粒子が互いに接触せず
均一に分散した残留気孔が少ない高密度な組織を有して
いることが確認できた。しかし,比較例4では大きな残
留気孔が数多く存在し,アルミナ粒子の分散が不均一
で,粒子同士が集合している部分や,金属のみが偏在し
ている部分がみられた。同様な組織の差は,実施例5と
比較例8の場合についてもみられた。
以上のことから,他の比較例に対して,本発明に従う
セラミック粒子強化型金属基複合材料の特性の優位性は
明らかである。これは,複合材料の原料粉末として2層
の被覆層を持つ複合粉末を用いたことによるものであ
る。すなわち,チタンの下地被覆層がアルミナ粒子に対
する溶融金属のぬれ性を改善し液相焼結を可能にしたこ
と,並びにアルミナ粒子にマトリックス金属を被覆する
ことにより成形体の状態ですでにアルミナ粒子を均一か
つ緻密に分散させることができたためである。
【図面の簡単な説明】
第1図はセラミック粒子とこれとほぼ同径の金属粒子と
を機械的に混合して成形した状態を図解した略断面図,
第2図は第1図の成形体を焼結した場合の状態を図解し
た略断面図,第3図は第1図と同じセラミック粒子の一
個一個に第1図と同じ金属の被覆を施してなる複合粉末
の成形状態を図解した略断面図,第4図は第3図の成形
体を被覆金属の融点以上の温度で焼結した場合の状態を
図解した略断面図,第5図は本発明に従う複合粉末の構
造を示す粒子断面図である。 1……セラミック材料Aからなる粒子, 2……金属Bからなる粒子, 3……粒子間の空間, 4……金属Bのマトリックス, 3′……気孔, 5……金属Bの被覆, 6……アルミナ粒子, 7……チタン下地被覆層, 8……銅またはニッケル被覆層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−286537(JP,A) 特開 昭63−303018(JP,A) 特開 昭55−41948(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナセラミック粉末の個々の粒子表面
    にチタン下地被覆を施したうえ更に銅被覆を施してなる
    複合粉末を所望形状に成形し,この成形体を銅の融点以
    上に温度で焼結処理することを特徴とする銅マトリック
    ス中に該セラミック粒子が分散したセラミック粒子強化
    型金属基複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】セラミック粉末は粒径10μmから150μm
    の範囲にあり,全被覆金属中のチタン下地被覆層の割合
    は3〜20wt.%の範囲にある請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】アルミナセラミック粉末の個々の粒子表面
    にチタン下地被覆を施したうえ更にニッケル被覆を施し
    てなる複合粉末を所望形状に成形し,この成形体をニッ
    ケルの融点以上の温度で焼結処理することを特徴とする
    ニッケルマトリックス中に該セラミック粒子が分散した
    セラミック粒子強化型金属基複合材料の製造方法。
  4. 【請求項4】セラミック粉末が粒径が10μmから150μ
    mの範囲にあり,全被覆金属中のチタン下地被覆層の割
    合は2〜10wt.%の範囲にある請求項3に記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】複合粉末の全被覆金属は35vol%から50vol
    %の範囲にある請求項1または3に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】複合粉末のチタン下地被覆はスパッタリン
    グ法により,その上の銅またはニッケルの被覆層はめっ
    き法により形成させる請求項1または3は記載の製造方
    法。
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