JPH081173Y2 - リザーバ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば動力舵取り装置などに使用する作動
油を収容するリザーバに関する。

（従来の技術） この種のリザーバにおいては、例えば第４図に示すご
とく、空気を流通させるブリーザを内蔵するキャップ３
により容器１上部の注入口２を閉止しているが、自動車
用エンジンなどに取り付けて使用すると、特にエンジン
の高速回転時にはエンジン振動によりリザーバ内の作動
油の油面が激しく波立つので、キャップ３のブリーザか
ら油漏れを生じることがある。これを防止するために従
来のリザーバにおいては、注入口２周囲の容器１の内側
に皿形のプレート４を密着固定し、その中央に貫通穴５
を設けている。

また油漏れ防止効果を更に向上させるために、出願人
は先に、プレート４の中央に下方に突出する筒状の折曲
げ部６（第４図の二点鎖線参照）を形成し、その内面に
より貫通穴５を構成することを提案した。

（考案が解決しようとする課題） この折曲げ部６を設けたものは通常の状態では油漏れ
防止効果を向上させる。しかし、油温上昇により容器１
内の油面が上昇して筒状の折曲げ部６の下端に達すると
プレート４下側の空間Ｂが閉鎖空間となり、それ以後の
折曲げ部６内の油面のみが上昇するようになるので上昇
量が大となる。このため油面が速やかにキャップ３に内
蔵したブリーザの小孔７に接近するようになるのでかえ
って油もれを生じやすくなる。

本考案は、このような原因による油漏れの発生を防止
することを目的とする。

（課題を解決するための手段） このために、本考案によるリザーバは、第１図〜第３
図に例示するごとく、上部に注入口14を有する容器10
と、前記注入口14を閉止するキャップ30と、皿形をなし
外周に形成したフランジ部21を前記注入口14の周囲にお
いて前記容器10の内面に密着固定すると共に中央部に貫
通穴22を設けたプレート20を備えてなるリザーバにおい
て、前記プレート20の中央部に前記容器10の底部に向か
って突出して形成されその内面により前記貫通穴22を構
成する筒状の折曲げ部23と、前記フランジ部21の上面に
半径方向に沿って形成され同フランジ部21と容器10の間
に前記プレート20の上下の空間A,Bを連通する連通路Ｃ
を形成する少なくとも１個の凹溝24を備えたことを特徴
とするものである。

（作用） 容器10内の油面がプレート20に形成した筒状の折曲げ
部23の下端に達しない通常の状態では、振動により油面
に生じた波は折曲げ部23に遮られてキャップ30に当たる
ことは殆どないので、ブリーザを通しての油漏れは大幅
に減少する。油温上昇により容器10内の油面が上昇して
筒状の折曲げ部23の下端に達した後においても、プレー
ト20の下側の空間Ｂは凹溝24により形成された連通路Ｃ
によりプレート20上側の空間Ａと連通されているので、
閉鎖空間となることはない。従って、その後も折曲げ部
23内外の油面は同一レベルで上昇し、折曲げ部23内の油
面の上昇量が特に大となることはない。

（考案の効果） 上述のごとく、本考案によれば、通常の状態ではブリ
ーザを通しての油漏れは大幅に減少する。また、油温上
昇により容器内の油面が上昇して筒状の折曲げ部の下端
に達した後においても、折曲げ部内の油面の上昇量が特
に大となることはないので、油漏れが生じやすくなるこ
とはない。

（実施例） 以下に、第１図〜第３図に示す実施例により、本考案
の説明をする。

第１図に示すごとく、リザーバの主体である容器10
は、何れも板金製の有底筒状の本体11と蓋体12により構
成され、蓋体12は本体11の上縁にシール部材13を介して
液密に接合固着されている。蓋体12中央の上方突出部に
形成された注入口14は、着脱可能なキャップ30により閉
止されている。

キャップ30は一体的に固定された外キャップ部材31と
内キャップ部材32よりなり、内キャップ部材32の中心部
にはレベルゲージ38が下方に突出して一体形成され、周
縁部下面にはゴムパッキン39が装着されている。このキ
ャップ30は、内キャップ部材32の下半部を注入口14内に
挿入してその上面にゴムパッキン39を当接し、その下縁
にばね付勢されたフック33を係合して注入口14を閉止す
るものである。外キャップ部材31と内キャップ部材32の
間に形成された内室34は小孔35及び連通孔36を介して容
器10の内部と連通され、また両部材31,32の間に形成さ
れたラビリンス37を介して外気と連通されている。これ
ら各部分34〜37がブリーザを構成している。

蓋体12の内面には注入口14とほぼ同心に皿形のプレー
ト20が固定されている。プレート20は板金製であり、そ
の全外周にはフランジ部21が形成され、中央部には本体
11の底部に向かって下方が細くなる筒状の折曲げ部23が
形成されている。第１図〜第３図に示すごとく、フラン
ジ部21の上面の一部にはその全幅にわたり半径方向の凹
溝24がプレス加工により形成されている。このプレート
20は、凹溝24を除くフランジ部21の全面が蓋体12の内面
の注入口14の周囲の部分に密着されて点溶接などにより
固着され、蓋体12とフランジ部21の間には凹溝24により
細長い連通路Ｃが形成される。従って、プレート20の下
側の空間Ａと上側の空間Ｂは、貫通穴22のみならず連通
路Ｃによっても連通される。本実施例では連通路Ｃは１
個であるが複数個設けてもよい。レベルゲージ38は貫通
穴22を通して容器10内に挿入される。

次にこの実施例の作用の説明をする。

作動油は注入口14及び貫通穴22を通して容器10内に注
入される。容器10内の油面は、通常は折曲げ部23の下端
に達していない。この状態ではエンジンの振動などによ
り油面に激しい波立ちが生じても、この波は筒状の折曲
げ部23により遮られて、内キャップ部材32の小孔35を形
成した部分付近に当たることは殆どないので、ブリーザ
を通しての油漏れは大幅に減少する。

油温上昇により容器10内の油面が上昇して筒状の折曲
げ部23の下端を越えても、プレート20下側の空間Ｂは連
通路Ｃによりプレート20上側の空間Ａと連通されている
ので、密閉されることはない。従って、更に温度が上昇
しても折曲げ部23内外の油面は同一レベルで上昇し、折
曲げ部23内の油面の上昇量が特に大となることはないの
で、ブリーザを通しての油漏れが生じやすくなることは
ない。また凹溝24により蓋体12とフランジ部の間に形成
される連通路Ｃは細長いので、この連通路Ｃが通常の場
合の油漏れを増大させることはない。

【図面の簡単な説明】 第１図〜第３図は本考案によるリザーバの一実施例を示
し、第１図は全体の縦断面図、第２図は第１図のII-II
断面図、第３図は第２図のIII-III断面図である。第４
図は従来のリザーバの縦断面図である。 符号の説明 10……容器、14……注入口、20……プレート、21……フ
ランジ部、22……貫通穴、23……折曲げ部、24……凹
溝、30……キャップ、A,B……空間、Ｃ……連通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上部に注入口を有する容器と、前記注入口
   を閉止するキャップと、皿形をなし外周に形成したフラ
   ンジ部を前記注入口の周囲において前記容器の内面に密
   着固定すると共に中央部に貫通穴を設けたプレートを備
   えてなるリザーバにおいて、前記プレートの中央部に前
   記容器の底部に向かって突出して形成されその内面によ
   り前記貫通穴を構成する筒状の折曲げ部と、前記フラン
   ジ部の上面に半径方向に沿って形成され同フランジ部と
   容器の間に前記プレートの上下の空間を連通する連通路
   を形成する少なくとも１個の凹溝を備えたことを特徴と
   するリザーバ。