JPH08117261A

JPH08117261A - おむつ

Info

Publication number: JPH08117261A
Application number: JP6282395A
Authority: JP
Inventors: Yoshio Beppu; 良男別府
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1994-10-24
Filing date: 1994-10-24
Publication date: 1996-05-14

Abstract

(57)【要約】【目的】老人などの排便の世話を看護人に頼らなけれ
ばならない者向け用のおむつであって、特に排便に対し
て改良されたおむつを提供する。【構成】少なくとも肛門に当たる部分が防水性材質の
袋構造となっており、該袋構造の肛門に当たる位置に切
れ目又は孔を有し、該切れ目又は孔の周囲の、臀部に接
する面に粘着剤が施されているおむつである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はおむつに関し、さらに詳
しくは老人などの排便の世話を看護人に頼らなければな
らない者向け用のおむつであって、特に排便に対して改
良されたおむつに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】今日の日本は高齢化の時代を迎えて、い
わゆる寝たきり老人の人口は増加の一途を辿っている。
寝たきり老人のみならず、脳溢血の後遺症等でどうして
も排便の世話を看護人に頼らなければならない者は多
い。理想的にはどのような病人であっても、いわゆる
「おむつ」を着用することは避けて、患者が便意をもよ
うしたときに介護人が介助して患者を便座に座らせて用
便をさせることが望ましいであろう。

【０００３】しかし、現実には介護人の人手がたりず、
やむなくおむつを使用することは多い。また、夜間の便
失禁に対しては、介護人が一々排便の度に起きて事前に
対処するということは不可能である。また、病人などで
も、心筋梗塞や脳溢血の急性期には身体を動かすことも
禁忌であることがあり、便器に座らせることなどは到底
無理であり、このような場合にもおむつを使用せざるを
得ない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、寝たきり老人
などに使用される従来のおむつは、様々な問題を伴う。
例えば、従来のおむつは臀部に便がまとわりついて気持
ちが悪いということだけでなく、長期にわたり臥床して
いる患者は仙骨部に褥創ができやすいが、従来のおむつ
はこの部分をも包み込むので傷口が蒸れてしまい、褥創
を悪化させてしまっていた。

【０００５】また、何人もの患者がおむつをつけて臥床
している場合、同室の誰かが便失禁をすると、便臭が容
易に部屋に漂い出し、また介護人がおむつを取り換える
際も、介護人はおむつを開いても直にはこれを取り外す
ことはできず、トイレットペーパーを丸めて臀部につい
た便を拭き取らなければならない。一度拭いた紙は、開
いたおむつの中に捨てられ、しばらく拭き取ったところ
で便とトイレットペーパーを包み込むようにしておむつ
が取り去られる。

【０００６】次いで、お湯に浸して絞った布巾で臀部を
拭くが、一度拭いた布をお湯の中ですすぐとお湯自体が
不潔になるので、やはり紙のときと同様に、そこに積み
上げられる。このようにして、何枚もの布巾を使って患
者の体を清潔にするのであるが、この作業は悪臭の中で
行われることになる。部屋の空気を入れ替えようと窓を
開ければ、夏であれば冷房中の空気が逃げるし、冬であ
れば寒気が部屋に入り込むことになる。寒い時には部屋
が暖房してあるとしても、患者にとっては、長時間臀部
を下着もなく晒されることはつらいものである。

【０００７】以上のことを考慮すれば、患者がおむつと
いうものを屈辱的なものと考えるのは当然である。廃棄
しなければならないおむつ、紙類、布巾は大量であり、
看護の中で、いわゆるおむつの処理ほど精神的にも肉体
的にも患者および介護人を疲労させるものはない。

【０００８】上述の問題点を含め、今日普通に用いられ
ている寝たきり用の人のおむつの問題点を列挙すると下
記の通りである。

【０００９】第一に、意識のはっきりした患者であれ
ば、今日、普通に用いられているおむつは下着、いわゆ
るパンツに比して厚手であるために、着用させられたと
きにどうしても違和感を感じる。

【００１０】第二に、おむつは毎日消費されるものであ
るから、かなりの枚数を備えておかなければならない
が、現在一般に市販されているおむつはかなりかさばる
ので、保管場所を必要とする。

【００１１】第三に、おむつは尿や便を漏らさないよう
にするものであるから、必然的に通気性が悪い。特に、
長期臥床者では仙骨部に褥創ができやすいが、従来のお
むつはそこの部分をも包み込むので、創の治癒を遅らせ
る。

【００１２】第四に、排便をしたときは、本人のみなら
ず、近くに居る者にも便臭が感じられる。

【００１３】第五に、排便をしたかどうかを確認するた
めには、臭いをたよりにするだけでは不十分であるか
ら、おむつの端を引っ張って、中を覗き込まなければな
らない。

【００１４】第六に、大部屋に多数の便失禁者が居たと
きに、排便があったときには直ちにおむつを取り替える
のが原則であるが、それでは時間的に計画的な看護がで
きなくなる。

【００１５】第七に、排便した後、便が直接患者の臀部
に付くので、便臭とあいまって患者は不快な思いをしな
ければならない。

【００１６】第八に、便で汚れたおむつを取り替えるの
には大変な手間がかかり、同時に不潔な作業である。

【００１７】第九に、便で汚れたおむつを取り替える際
に、臀部を清拭するために、多量のトイレットペーパー
や布巾の廃棄物が出る。本発明の目的は、現行のおむつ
の上記欠点をすべて解消することのできるおむつを提供
することにある。

【００１８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明のおむつを以下に示す。（１）少なくとも肛門に当たる部分が防水性材質の袋構
造となっており、該袋構造の肛門に当たる位置に切れ目
又は孔を有し、該切れ目又は孔の周囲の、臀部に接する
面に粘着剤が施されているおむつである。

【００１９】（２）全体が防水性材質の袋構造となって
おり、該袋構造の肛門に当たる位置に切れ目又は孔を有
し、該切れ目又は孔の周囲の、臀部に接する面に粘着剤
が施されているおむつである。

【００２０】（３）上記（１）または（２）のおむつに
おいて、粘着剤が施されている部分をおむつ本体とは別
の一枚のシートで作製し、該シートがおむつ本体の切れ
目又は孔に対応する切れ目又は孔を有し、両者がその辺
縁で接合されているおむつである。

【００２１】（４）上記（１）〜（３）のうちいずれか
一つ記載のおむつにおいて、切れ目又は孔を糸又は紐で
編み合せ、その編み目の中の一つを拡張させた状態で、
糸又は紐を切れ目又は孔の周囲に接着剤などで軽く固着
させ、該糸又は紐の端を引くことによって切れ目又は孔
が閉じるおむつである。

【００２２】（５）上記（１）〜（３）のうちいずれか
一つ記載のおむつにおいて、切れ目又は孔の周囲を糸又
は紐着で囲み巾着の口様とし、該糸又は紐の端を引くこ
とによって切れ目又は孔が閉じるおむつである。なお、
本発明のおむつが未使用のときには、粘着剤が施された
部分は剥離紙でカバーしておけばよい。

【００２３】現行の市販のおむつには、下着、いわゆる
パンツの形をしたもの、また両側の腰の前方で接着部の
部分を外して展開できるもの等、形態として種々のもの
があるが、ここでは「おむつ」の言葉の定義としては、
その形態を問わないものとする。また、上記（２）の発
明は、いわゆる従来のおむつではないが、ここではこれ
もおむつに属するものと定義する。

【００２４】

【作用】本発明のおむつを着用させるときには、便失禁
者の肛門に、おむつの切れ目又は孔を一致させて当てが
い、しかる後該切れ目又は孔の周囲の粘着面を臀部に貼
り付けて着用させる。

【００２５】本発明のおむつを着用すれば、便失禁をし
たときに便はそのままおむつの袋に収納される。従っ
て、おむつに吸湿性の材料を多量に用いる必要がないの
で、おむつ自体かさばることがなく、従来のパンツと同
様の収納場所に収納しておくことができる。

【００２６】また、着用してもかさばらずに違和感がな
く、肛門の周辺以外は通気性に富んだ材質とすることが
できるので、例え仙骨部に褥創があっても蒸れて治癒を
遅らせるということがない。

【００２７】さらに、排便しても臭いが漏れにくく、便
が着用者の肌に付くこともない。従って、排便後おむつ
の取り替えまで多少の時間をおくことも可能である。す
なわち、看護者は病室の便失禁者のおむつの処置を時間
を決めて、一斉に計画的に行うことができる。

【００２８】排便したかどうかを、介護者が確認するの
も、袋が薄い防水性材で作製されていれば、着用したま
まで一見して分かるし、便の性状（例えば、下痢便か否
かなど）も即座に判断することができる。また、取り替
え作業も、切れ目又は孔から便が漏れないようにしさえ
すればよいので、多量のトイレットペーパーや布巾を消
費することなく、素早く清潔にしかも臭いを漏らすこと
なく行える。上述の如く、本発明のおむつは、従来のお
むつの上記問題点をすべて解消し得るものである。

【００２９】本発明（３）のおむつにおいては粘着剤が
施されている部分をおむつ本体とは別の一枚のシートで
作製してあるため、このシートを通気性を有する材質と
することにより、防水性の材質を直接肌に粘着させた場
合に比較して、長期間使用しても肌を荒らすことがな
い。

【００３０】本発明（４）のおむつにおいては、便失禁
後におむつを取り外す際に、粘着面を臀部より剥すと同
時に糸又は紐の端を引くことによって、便の収納された
袋の口、すなわち切れ目又は孔が閉じられるので、後処
理の際に中の便が外に漏れ出すのを防ぐことができる。
また、同時に臭いも漏れないので、取り替え作業を迅速
にかつ楽に行うことができる。剥した後に粘着面同士を
貼り合わせれば、より一層完全に内容物、すなわち便を
閉じ込めることができる。

【００３１】本発明のおむつを着用させる作業は熟練を
要するように思われるかもしれないが、おむつの取り替
え作業は毎日のことであり、例え患者を介護するのが家
人であっても、介護者は必然的に数日の内に介護に練達
するものである。既存のおむつを使用した場合の便失禁
の処理の困難さが軽減されることを考えれば、本発明の
おむつを装着させるときの困難さは問題にならないはず
である。

【００３２】さらに、臀部に長時間にわたり粘着剤が接
することによる肌のかぶれが心配されるかもしれない
が、既述したように従来のおむつ自体が通気性の悪さと
便が直接肌に付くことによって肌を荒らし、不潔にする
ものであって、いわゆるおむつかぶれを生じさせるもの
であるし、今日では肌に直接長時間粘着させるものは医
療用品で多用されており、問題とはならない。

【００３３】便失禁者の肛門の周囲に体毛が生えていた
場合には粘着しにくく、かつ剥しにくいことが憂慮され
るかもしれないが、便失禁者の多くは高齢であり、高齢
者の体毛は薄く、無視され得ることが多い。また、体毛
を切る場合も、剃毛までする必要がないのであるから、
困難なことではない。

【００３４】小便の処理については、小便用のパットが
男性用、女性用とも既に現在市販されているので、それ
を用いればよい。あるいはまた、今日おむつに広く使用
されている吸水性高分子材料を小便用にのみおむつの中
に入れておくことも可能である。なお、本発明のおむつ
は、高齢者の患者用に限定する必要はなく、乳幼児のた
めのおむつとしても十分に有用である。

【００３５】

【実施例】図１は、本発明（１）のおむつの一例を示
す。この図では、着用したときに肌に付く側を上にして
展開した状態を示しており、着用したときのおむつの前
方を１、後方を２でそれぞれ示す。後方２には、おむつ
の着用に際して両側で前方１と後方２とを止めるための
粘着テープ３が設けてある。

【００３６】図示するおむつの肛門に当たる部分は、点
線で示す如く二重構造となっており、すなわち防水性材
質の袋構造となっている。この袋４の肛門に当たる部分
には、便を該袋中に取り込むための切れ目５が設けられ
ている。この切れ目５の周囲には粘着剤が施された粘着
面６が存在し、切れ目５から確実に便が袋４に取り込ま
れるようになっている。この例示における切れ目５の代
わりに孔としても同様の効果が得られる。

【００３７】袋４以外の部分は、防水性である必要がな
いので、通常の下着のような肌触りと通気性を有する材
質で作製することが好ましい。また小便用に吸水性高分
子材料を入れておいてもよい。

【００３８】また、使用に際して、厚紙や合成樹脂で作
られた図２の（イ）に示す如き鋭角を有する補助具や、
図２の（ロ）に示す如き補助板を予めおむつの切れ目５
に沿って、その裏側に当接しておくことにより、容易に
切れ目５を肛門に当てることができる。

【００３９】図３に、本発明（２）のおむつの一例を示
す。図示するおむつは、袋４に切れ目５が設けてあり、
該切れ目５の周囲に粘着面６が存在する。実施例１と同
様に、この例示における切れ目５の代わりに孔としても
同様の効果が得られる。本例のおむつは、これを装着し
た上から通常のパンツを使用してもよい。また、導尿カ
テーテルが留置されている患者等では陰部や臀部全部を
覆う必要はなく、この形のおむつの方が適当である。

【００４０】図４に、本発明（３）のおむつの切れ目又
は孔の周囲に位置する、粘着剤が施されている粘着面の
改良例を示す。この図では、粘着面を有する切れ目又は
孔の部分の断面を拡大して示してある。

【００４１】袋４は、便を収納するところであり、合成
樹脂等の防水性の材質で作製されている。この袋４に設
けられた切れ目又は孔の周囲に、粘着剤が塗布された粘
着面６を有するシート７が存在し、このシート７の形状
は特に限定されるべきものではないが、好ましくは円形
又は楕円形とする。また、シート７はメッシュ等の通気
性を有する材質で作製されていることが好ましい。

【００４２】粘着剤が塗布されたシート７は、袋の切れ
目又は孔５に対応する切れ目又は孔を有しており、両者
はその両辺縁で接合されている。

【００４３】図５の（イ）及び（ロ）に、本発明（４）
のおむつの切れ目又は孔の部分の改良例を示す。図示す
る改良例では、切れ目５を糸又は紐８で編み合せ（図５
（イ））、その編み目の中の一つを拡張させた状態で、
糸又は紐を切れ目又は孔の周囲に接着剤などで軽く固着
させ（図５（ロ））、糸又は紐８の端を引くことによっ
て切れ目又は孔が閉じる仕組みとなっている。

【００４４】図６および図７に、本発明（５）のおむつ
の切れ目又は孔の部分の改良例をそれぞれ示す。図示す
る改良例では、共に切れ目５の周囲を糸又は紐着で囲み
巾着の口様としてあり、図６では一方向から糸又は紐８
を引くことにより、また図７では二方向から糸又は紐８
を引くことにより、切れ目５が閉じる仕組みになってい
る。

【００４５】図８は、本発明（３）と、本発明（４）と
を組み合わせたものであり、シート７と袋４との間に上
記巾着様口とするための糸又は紐８が設けてある。この
例では、シート７は袋４との接点９において袋４に固着
されている。

【００４６】

【発明の効果】本発明の効果を下記に列挙する。第一
に、本発明のおむつは吸水剤を必要とせず、よって、今
日普通に用いられているおむつに比べて薄く、着用時の
違和感も少ない。第二に、本発明のおむつは上述の如く
従来のおむつに比べてかさばることがないので、保管場
所を心配する必要がない。第三に、本発明のおむつは従
来のおむつに比べ、格段に通気性が良いので、長期臥床
者で仙骨部に褥創ができていても、その創の治癒を遅ら
せることもない。第四に、排便をしても便臭が漂うこと
がない。第五に、排便をしたかどうかを確認するのに、
従来のおむつの如くおむつの端を引っ張って、中を覗き
込む必要がない。第六に、大部屋に多数の便失禁者が居
ても、排便後直ちにおむつを替えなくてもすむので、時
間的に計画的な看護を行うことができる。第七に、排便
した後、便が直接患者の臀部に付くことがないので、便
臭とあいまって患者は不快な思いをしなくてすむ。第八
に、便で汚れたおむつを取り替える手間が、これまでの
おむつに比べ大幅に軽減され、かつおむつの取り替え作
業が清潔に行われる。第九に、便で汚れたおむつを取り
替える際に、臀部を清拭する必要がなく、多量のトイレ
ットペーパーや布巾の廃棄物が出ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一例おむつの展開図である。

【図２】（イ）および（ロ）は、夫々本発明のおむつを
使用する際に使う補助具である。

【図３】本発明の他の一例おむつの平面図である。

【図４】本発明のおむつの切れ目又は孔の部分の断面図
である。

【図５】本発明のおむつの切れ目又は孔の部分の改良例
を示す斜視図である。

【図６】本発明のおむつの切れ目又は孔の部分の他の改
良例を示す斜視図である。

【図７】本発明のおむつの切れ目又は孔の部分の他の改
良例を示す斜視図である。

【図８】本発明のおむつの切れ目又は孔の部分の他の改
良例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１前方２後方３粘着テープ４袋５切れ目又は孔６粘着面７シート８糸又は紐９接点

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも肛門に当たる部分が防水性材
質の袋構造となっており、該袋構造の肛門に当たる位置
に切れ目又は孔を有し、該切れ目又は孔の周囲の、臀部
に接する面に粘着剤が施されているおむつ。
【請求項２】全体が防水性材質の袋構造となってお
り、該袋構造の肛門に当たる位置に切れ目又は孔を有
し、該切れ目又は孔の周囲の、臀部に接する面に粘着剤
が施されているおむつ。
【請求項３】請求項１または請求項２のおむつにおい
て、粘着剤が施されている部分をおむつ本体とは別の一
枚のシートで作製し、該シートがおむつ本体の切れ目又
は孔に対応する切れ目又は孔を有し、両者がその辺縁で
接合されているおむつ。
【請求項４】請求項１〜３のうちいずれか一つ記載の
おむつにおいて、切れ目又は孔を糸又は紐で編み合せ、
その編み目の中の一つを拡張させた状態で、糸又は紐を
切れ目又は孔の周囲に接着剤などで軽く固着させ、該糸
又は紐の端を引くことによって切れ目又は孔が閉じるお
むつ。
【請求項５】請求項１〜３のうちいずれか一つ記載の
おむつにおいて、切れ目又は孔の周囲を糸又は紐着で囲
み巾着の口様とし、該糸又は紐の端を引くことによって
切れ目又は孔が閉じるおむつ。