JP2001025483A - 失禁パンツ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】尿が漏れるおそれがなく、また匂いや蒸れも少
なく衛生的で、失禁のおそれがある人が、安心して着用
することができるパンツを得ることを目的とする。 【解決手段】パンツは、内装体２と外装体１の二重に構
成し、内装体の股間部を二重構造とし着用者の肌に接す
る内側に保水部３を、その外側に防水皿４を配置し全体
を外装体１で覆う。保水部３は、心材として活性化炭素
層11を配置し、外表面にメッシュ生地13を配置する。ま
た、防水皿４は側縁において側面シートを立ち上げるよ
うに逢着し、かつ逢着の内方において溶着しているため
尿のもれがないとともに匂いを効果的に解消させること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】近年、医学の進歩によって人
の寿命が著しく延びてきたが、年とともに末梢神経が惚
けてくることは避けることができない。そのため、一般
的な社会生活に支障のない元気な老人でありながら、失
禁症のために社会参加できない人がある。また、寝たき
り老人などの場合であっても失禁した尿によって炎症を
起こしたり、匂いなどが周囲の人や介護者に苦痛を与え
ている場合がある。本発明は、上記場合のように小水が
近く失禁しやすい人や夜尿症の人が快適に利用し、周囲
にもできるだけ清潔感を与える失禁パンツに関する発明
である。

【０００２】

【従来の技術】老身や小水が近い人が利用する失禁パン
ツには、尿が外部に漏れないように全体を防水材で形成
したものを着用し、股間部に尿を吸収してゲル状となる
紙パットを挟み込んで使用するものが従来から知られて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記、従来の失禁パン
ツでは、どうしても尿が外部に漏れるとともに内部で蒸
れるため、周囲に匂いがする欠点があった。また、少量
のお漏らし程度であるならばともかく、多量の失禁をす
る人の場合は通常大人用のおむつを着用することにな
り、一般的な行動に支障を来すとともに尿の匂いをさけ
ることができず、また皮膚の炎症を起こすという欠点が
あった。

【０００４】このような従来技術の欠点に鑑み、本発明
は失禁した尿を十分に保持し外部に漏らさないようにす
るとともに、尿が着用者に付着しないとともに雑菌の増
殖を抑え炎症をおこさず快適に着用することができる失
禁パンツを提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を解消するた
め、本発明に係るパンツは、外装体１と内装体２の二重
構造とする。内装体２の股間部に、少なくとも肌に接す
る内表面を通気性，通水生を有するメッシュ生地で構成
した保水部３を形成する。さらに、保水部３の外側には
吸水材を出し入れすることができる間隔を保持させて防
水シート材による防水皿４を装着する。これにより、失
禁した尿はまず保水部３に吸収され人の肌には通気性を
有するメッシュ生地13が接する。保水部３を通過した尿
は、防水シート材による防水皿４に達することになるた
め、この防水皿部分に尿を吸収する紙パットを挿入して
おくと保水部３を通過した尿は紙パットに吸収される。
したがって、適宜紙パットを取り替えることによって快
適な状態を維持することができることになる。

【０００６】本発明においては、尿を吸収した紙パット
や尿を吸収した保水部の吸水層12が着用者の肌に触れる
ことがないとともに、保水部３に心材として活性化炭素
層11を設けるようにすると雑菌の増殖を効果的に防止
し、かつ匂いを吸収して周囲の人に不快感を与えること
がないものとなる。さらに、防水皿４は底面シート4aの
側縁部に側面シート4bを逢着して立ち上げて皿状に形成
するとともに、底面シート4aと側面シート4bは逢着線14
の内側において溶着することによって尿の漏れを確実に
防止することになる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の失禁パンツの実施
の形態を添付の図面に基づいて説明する。図１は、一部
を切欠して示す失禁パンツ全体の正面図、図２は内装体
の展開図、図３は保水部を取り除いた内装体の展開図、
図４は外装体の展開図である。

【０００８】本発明に係る失禁パンツは、図２に示す内
装体２と図４に示す外装体１を重ね合わせて側縁部を逢
着して構成する。内装体２の前身頃2aと後身頃2bの間の
股間部には、側縁を股ぐり形状に形成した保水部３を配
置する。保水部３は、逢着線５によって前身頃2aに、逢
着線６によって後身頃2bにそれぞれ逢着し一体化してい
る。図面上、保水部３は逢着線７によって補助布８を逢
着し、補助布８部分を逢着線５によって前身頃2aに逢着
している。同様に、逢着線９によって補助布10を逢着
し、補助布10を逢着線６によって後身頃2bに逢着してい
る。

【０００９】補水部３の構造は、図５に示すように心材
として活性化炭素層11を配置し、その上下に吸水層12
を、さらに表裏両面に通気性，通水性を有するメッシュ
生地13を配置している。活性化炭素層11は、活性化炭素
繊維を用いた織布の他活性化炭素繊維を圧縮したフエル
ト状などの不織布を使用することができる。また、吸水
層12は、綿糸を用いたパイル生地のように適度の吸水
性，保水性を備えるとともに通気性を備え、なるべく蒸
れない素材を採用する。

【００１０】保水部３の外側には防水皿４を配置してい
る。すなわち、逢着線５，６によって保水部３の外側に
保水部３と類似の平面形状とした防水シート材による防
水皿４を逢着し、保水部３を通過した尿が外部に漏れな
いようにしている。防水皿４は防水シート材による平面
的な底面シート4aの側縁、換言すれば股ぐりに沿って一
定の高さの側面シート4bを逢着し受け皿状に形成する。
なお、底面シート4aの全長L₂は保水部３の全長L₁よりも
僅かに長寸法とし、保水部３と重ね合わせて逢着線５，
６に沿って逢着したときに、保水部３と防水皿４の間に
一定の隙間が形成されるようにしている。この隙間に、
公知の尿を吸収してゲル状となる市販の尿吸収用紙パッ
トを収容しておくと、防水皿４に流れてきた尿が紙パッ
トに吸収されゲル状となり、このゲル状となった紙パッ
トを取り替えることによって快適な状態を長く維持する
ことができる。

【００１１】底面シート4aの側縁に逢着する側面シート
4bは、逢着状態において立ち上がって立体的な皿状を形
成するように立体裁断をして逢着する。具体的には股ぐ
り形状と対称的な平面形状に裁断した側面シート4bを逢
着することによって、側面シート4bは立ち上がった状態
に縫製される。さらに、図示実施形態においては、逢着
線14の内側において底面シート4aと側面シート4bを高周
波ミシンなどによって溶着している。すなわち、逢着線
14の内側に溶着線15が位置する。これにより、底面シー
ト4aと側面シート4bのつなぎ目は完全に水密性が保た
れ、該部分からの尿の漏れを確実に防止する。

【００１２】外装体１は図４に示すように、図３に示す
防水皿４を逢着した内装体２とほぼ同形状とし、前身頃
1aと後身頃1bが連続する一枚ものとして形成し、内装体
の外方を覆うことができるようにしている。外装体１と
内装体２は、重ね合わせた状態で左右の側縁を逢着する
とともに、股ぐりの逢着部において防水皿４と逢着して
いる。すなわち、外装体１の股ぐりの逢着線16と防水皿
４の股ぐりの逢着線14を逢着して一体化し、防水皿４と
保水部３の股ぐり部は開放状態とし、前記紙パットを自
由に出し入れすることができるようにする。

【００１３】上記構成とすることによって、失禁した尿
はまず保水部３に受けられる。保水部３に流れた尿は、
内面のメッシュ生地12を通過して吸水層11に吸収される
とともに、活性化炭素層11を通過して防水皿４上に溢れ
る。防水皿４上に溢れた尿は、防水皿４上に収容した公
知の尿吸収用の紙パットに吸収させ、着用者が適宜廃棄
する。保水部３に保持され、あるいは通過する尿は活性
化炭素層11によって浄化され、なるべく匂わない状態と
なって防水皿４上の紙パットに吸収される。このとき、
着用者の肌には上面のメッシュ生地13が接し不快感が少
ない。

【００１４】本発明においては、失禁した尿を吸収した
保水部３及び尿吸収用の紙パットの外方が、通水性，通
気性のない防水皿４で覆われることになる。このこと
は、第一に、臭気のある空気が外部に漏れにくくなる。
第二に、この比較的密閉された空間に活性化炭素層11が
配置されるため、活性化炭素層11による臭気，雑菌の吸
収効果が顕著に発揮され、比較的密閉された空間であり
ながら着用者に対し蒸れや雑菌によるかぶれが生じにく
くなる。第三に、活性化炭素層11による臭気，雑菌の吸
収効果はある程度高温である場合にその働きが活発とな
り効果的なものとなるが、着用者の体温によって活性化
炭素層11の周辺温度がある程度高温（体温）に保たれ活
性化炭素層11の作用が継続的に維持されるという相乗的
作用効果を生じることになる。

【００１５】防水皿４上に溢れた尿は、当然紙パットに
吸収されるまでの間、液状であるため股ぐり部分から漏
れる可能性があるが、本発明においては側面シート4bは
立体的に立ち上がっているため外部への漏れを防止する
ことができる。さらに、底面シートと4aと側面シート4b
は、逢着線14の内側において溶着線15で溶着しているた
め滲むような漏れをも完全に防止することができること
になる。

【００１６】本発明に係る失禁パンツは、失禁の可能性
がある成人，老人の他、乳幼児が着用することもでき
る。また、女性の生理用パンツとして利用することもで
きる。この場合、量の多い人でも安心して日常活動をす
ることができる。

【００１７】

【発明の効果】請求項１記載の本発明の失禁パンツによ
れば、失禁した尿を保水部を通過させて防水皿によって
受け、外部には漏れないようにするため失禁の心配のあ
る成人，老人が安心して社会生活を送ることができる。
また、失禁した尿は保水部に吸収されるがその表面をメ
ッシュ生地で構成し、着用者にはメッシュ生地が接し尿
を含んだ紙パックや保水材が接触しないため失禁後も快
適で蒸れることがない。失禁した尿は保水部を通過して
防水皿に達するため、ここに尿を吸収する紙パットを挿
入しておくと、適宜紙パットを交換することによって長
時間着用が可能となる。なお、本発明に係る失禁パンツ
は失禁のおそれのある成人，老人だけでな女性や乳幼児
も着用することもできる。女性が生理用パンツとしても
利用する場合は、量の多い人でも漏れを気にせず安心し
て過ごすことができるとともに、乳幼児が着用する場合
においても、尿が外部に漏れることがないためいじめに
あったり行動が規制されることがなくなる。

【００１８】請求項２記載の発明によれば、保水層に吸
収された尿が活性化炭素層によって浄化され、雑菌の繁
殖を防止するため着用者がかぶれたりすることの少ない
ものとすることができる。また、活性化炭素層によって
匂いが吸収されるため従来のものに比較して匂わないも
のとすることができる。これにより、周囲の人に清潔感
を与え、例えば家族や介護者に対して苦痛を与えること
が少なくなる。活性化炭素層による匂いの吸収効果は、
尿の匂いだけでなくおならや大便を含む場合においても
有効である。

【００１９】請求項３記載の発明によれば、防水皿に側
面シートを立ち上がるように装着するため、保水部を通
過し防水皿に達した尿が、側方、すなわち股ぐりから外
部に漏れることを有効に防止することができる。また、
立ち上げる側面シートは、逢着線の内側において底面シ
ートと溶着しているため縫い目からの漏れといった微小
な漏れも防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る失禁パンツであって、一部を切欠
して示す全体の正面図、

【図２】本発明に係る失禁パンツであって、内装体のみ
の展開図、

【図３】図２の内装体において保水部を除いた展開図、

【図４】外装体のみの展開図、

【図５】保水部の一部分を拡大して示す縦断面図、

【図６】防水皿の一部分を拡大して示す縦断面図。

【符号の説明】

１…外装体、 ２…内装体、 2a…前身頃、 2b…後身
頃、 ３…保水部、 ４…防水皿、 4a…底面シート、
4b…側面シート、 ５，６，７…逢着線、 ８，10…
補助布、 ９…逢着線、 11…活性化炭素層、 12…吸
水層、 13…メッシュ生地、 14，16…逢着線、 15…
溶着線。

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成１２年４月３日（２０００．４．３）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【特許請求の範囲】

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００５

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を解消するた
め、本発明に係るパンツは、外装体１と内装体２の二重
構造とする。内装体２の股間部に、少なくとも肌に接す
る内表面を通気性，通水性を有するメッシュ生地で構成
した保水部３を形成する。さらに、保水部３の外側には
吸水材を出し入れすることができる間隔を保持させて防
水シート材による防水皿４を装着する。これにより、失
禁した尿はまず保水部３に吸収され人の肌には通気性を
有するメッシュ生地13が接する。保水部３を通過した尿
は、防水シート材による防水皿４に達することになるた
め、この防水皿部分に尿を吸収する紙パットを挿入して
おくと保水部３を通過した尿は紙パットに吸収される。
したがって、適宜紙パットを取り替えることによって快
適な状態を維持することができることになる。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１７

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１７】

【発明の効果】請求項１記載の本発明の失禁パンツによ
れば、失禁した尿を保水部を通過させて防水皿によって
受け、外部には漏れないようにするため失禁の心配のあ
る成人，老人が安心して社会生活を送ることができる。
また、失禁した尿は保水部に吸収されるがその表面をメ
ッシュ生地で構成し、着用者にはメッシュ生地が接し尿
を含んだ紙パックや保水材が接触しないため失禁後も快
適で蒸れることがない。失禁した尿は保水部を通過して
防水皿に達するため、ここに尿を吸収する紙パットを挿
入しておくと、適宜紙パットを交換することによって長
時間着用が可能となる。特に、防水皿は底面シートに側
面シートを立ち上げるように逢着するため、保水部を通
過し防水皿に達した尿が、側方、すなわち股ぐりから外
部に漏れることを有効に防止することができる。なお、
本発明に係る失禁パンツは失禁のおそれのある成人，老
人だけでな女性や乳幼児も着用することもできる。女性
が生理用パンツとしても利用する場合は、量の多い人で
も漏れを気にせず安心して過ごすことができるととも
に、乳幼児が着用する場合においても、尿が外部に漏れ
ることがないためいじめにあったり行動が規制されるこ
とがなくなる。

【手続補正４】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１８

【補正方法】削除

【手続補正５】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１９

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１９】請求項２記載の発明によれば、防水皿の側
縁部に立ち上げる側面シートが、底面シートとの逢着線
の内側において、底面シートと溶着しているため縫い目
からの漏れといった微少な漏れも防止することができ
る。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外装体と内装体の二重構造とし、内装体は
   前身頃と後身頃の間の股間部に少なくとも肌に接する内
   表面を通気性，通水生を有するメッシュ生地で構成し尿
   を吸収することができる保水部を形成するとともに、該
   保水部の外側に吸水材を出し入れすることができる間隔
   を保持させて防水シート材による防水皿を装着し、全体
   の外表面を外装体で覆ったことを特徴とする失禁パン
   ツ。
2. 【請求項２】保水部の心材として活性化炭素層を設け、
   該心材の表裏両面に吸水層を配置してなる請求項１記載
   の失禁パンツ。
3. 【請求項３】保水部の外方に配置する防水皿は、底面シ
   ートの側縁部に側面シートを逢着して立ち上げて皿状に
   形成するとともに、底面シートと側面シートは逢着線の
   内側において溶着してなる請求項１又は２記載の失禁パ
   ンツ。