JPH08112694A - 長尺材隅肉溶接装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 省力化および作業時間の短縮を図ることがで
きる長尺材隅肉溶接装置を提供する。 【構成】 長尺材隅肉溶接装置１０は、長尺材支持装置
１１と、長尺材支持装置１１に沿って走行する門型の走
行台車２１と、走行台車２１に搭載された溶接装置４１
と、走行ラインの一方の側方に回転中心をもち、走行ラ
インに対して直角方向に延びる回動可能な複数の第１支
持アーム６９および他方の側方に回転中心をもち、走行
ラインに対して直角方向に延びる回動可能な複数の第２
支持アーム７０がそれぞれ走行ラインに沿って間隔をお
いて配置された長尺材転回装置６１と、ウエブ面が垂直
姿勢の長尺材１を走行ラインに対して直角方向に移動す
る長尺材移動装置８１とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、柱、梁、桁などに用
いられるＩ形、Ｈ形あるいは溝形断面の長尺材の隅肉部
を溶接する長尺材隅肉溶接装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ビルディング、橋梁その他の大型鉄骨構
造物の柱、梁、桁などとしてＩ形、Ｈ形あるいは溝形断
面の長尺材が用いられている。特にウエブ幅あるいはフ
ランジ高さが大きい大型の長尺材は、工場で帯状の鋼板
を組み合わせ隅肉溶接して製作している。たとえばＩ形
材の場合、３枚の帯状の鋼板をＩ形に組み合わせて仮付
け溶接する。ついで、ウエブ面を水平にした姿勢で、溶
接機をＩ形材に沿って走行させ、ウエブとフランジとの
接合部を隅肉溶接する。一方のウエブ面の隅肉溶接が終
わると、Ｉ形材を反転し、他方のウエブ面について隅肉
溶接する。

【０００３】従来では、天井クレーンから降ろしたワイ
ヤを長尺材に掛け、ワイヤを巻上げ、巻下ろしして長尺
材を床上で反転していた。また、他の方法として、対と
なった２台のチェーンブロックの２対、つまり４台のチ
ェーンブロックを用いて長尺材を反転していた。すなわ
ち、長尺材の長さに応じた適当な間隔をおいて、２対の
チェーンブロックを配置する。各チェーンブロックの対
において、２台のチェーンブロックは１本のチェーンの
両端部をそれぞれ保持しており、チェーンは両チェーン
ブロックの間でＵ字形に垂れ下がっている。長尺材を反
転するには、Ｕ形に垂れ下がった２対のチェーンの間に
長尺材をを掛け渡す。そして、長尺材がチェーン上で反
転するまで、対となったチェーンブロックの一方でチェ
ーンを巻き上げ、他方でチェーンを巻き戻す。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来では、上述のよう
に天井クレーンまたはチェーンブロックによって長尺材
を反転していた。また、長尺材たとえば大型のＩ形ビー
ムは長さが６〜１６m 、幅が１．２〜３．５m 、重量が
１〜７トンもある。したがって、転回作業に多くの人力
および時間を要し、また危険でもあった。

【０００５】この発明は、省力化および作業時間の短縮
を図ることができる長尺材隅肉溶接装置を提供しようと
するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明の長尺材隅肉溶
接装置は、長尺材支持装置と、長尺材支持装置に沿って
走行する門型の走行台車と、走行台車に搭載された溶接
装置と、走行ラインの一方の側方に回転中心をもち、走
行ラインに対して直角方向に延びる回動可能な複数の第
１支持アームおよび他方の側方に回転中心をもち、走行
ラインに対して直角方向に延びる回動可能な複数の第２
支持アームがそれぞれ走行ラインに沿って間隔をおいて
配置された長尺材転回装置と、ウエブ面が垂直姿勢の長
尺材を走行ラインに対して直角方向に移動する長尺材移
動装置とを備えている。

【０００７】長尺材支持装置は、長尺材を単に支持する
架台、あるいは長尺材を搬入・搬出する機能を持つとと
もに、長尺材を支持するコンベアが用いられる。

【０００８】走行台車はモータ、伝動機構、制御装置な
どからなる走行駆動装置により走行駆動される。走行駆
動装置は走行台車に搭載してもよく、または走行台車外
に設置してもよい。また、走行台車はレール上を、ある
いはガイドに案内されて走行するようにする。

【０００９】溶接装置は通常の自動または半自動の溶融
溶接機で、サブマージアーク式、ガスシールド式、ある
いはノンガスシールド式溶接機が用いられる。

【００１０】長尺材転回装置は、油圧シリンダ、空気圧
シリンダ、モータなどを駆動源として第１支持アームお
よび第２支持アームをそれぞれ回動する。回動範囲は水
平姿勢から垂直姿勢までの９０度である。第１支持アー
ムおよび第２支持アームがそれぞれ水平姿勢にあると
き、長尺材支持装置に支持された長尺材の下面よりやや
下方に位置している。第１支持アームおよび第２支持ア
ームは、走行ラインの互いに隣接するように配置するこ
とが好ましい。走行ラインに沿って配置される第１支持
アームの組数は、溶接する長尺材の長さによるが２〜４
組程度である。第１支持アームおよび第２支持アーム
は、長尺材の寸法に合わせて走行ラインに対して直角方
向に移動可能とすることが望ましい。

【００１１】長尺材移動装置は、トロリと巻上機を備え
ている。トロリは走行台車の頂部近くの桁などに取り付
けられる。巻上機のワイヤロープにモータ、油圧シリン
ダなどで駆動される開閉爪を設けると、移動作業が容易
となる。長尺材を安定して吊すために、走行ライン方向
に間隔をおいて長尺材移動装置を２組設けるとよい。長
尺材移動装置に、巻き上げた長尺材を下方より支持する
支持装置を設けることが望ましい。支持装置は、トロリ
とともに移動する。

【００１２】

【作用】ウエブ面を水平にして長尺材を長尺材支持装置
で支持する。ついで、長尺材に沿って走行台車を移動さ
せながらフランジとウエブの接合部を隅肉溶接する。ウ
エブの１面の隅肉溶接が終わると、水平姿勢の第１支持
アームを回動して長尺材を長尺材支持台からすくい上
げ、さらに垂直となるまで長尺材支持アームを回動して
ウエブ面が垂直となるまで長尺材を転回する。ウエブ面
が垂直となった長尺材を長尺材移動装置により吊り下
げ、走行ラインを横切るようにして走行台車の一方の側
から反対側に移動する。このとき、第２支持アームは水
平姿勢で待機している。長尺材の移動が終わると、第２
支持アームを垂直姿勢にし、長尺材を第２支持アームに
立て掛ける。そして、第２支持アームを緩やかに倒す。
第２支持アームが水平姿勢に近くなったとき、長尺材は
第２支持アームから長尺材支持装置に移る。上記２回の
９０度転回と移動とにより、長尺材は反転する。長尺材
が反転すると、ウエブの他の面について隅肉溶接する。

【００１３】

【実施例】図１はこの発明の長尺材隅肉溶接装置の一例
を示す側面図、図２は同装置の平面図、図３は図１の３
−３線に沿う断面図、および図４は図１の４−４線に沿
う断面図である。

【００１４】これら図面に示すように長尺材隅肉溶接装
置１０は主として、長尺材支持装置１１、走行台車２
１、溶接装置４１、長尺材転回装置６１、および長尺材
移動装置８１により構成されている。

【００１５】長尺材支持装置１１は、ローラコンベア１
２を備えている。ローラコンベア１２は、搬送ラインに
沿って配置された５台の基台１３と各基台１３上にねじ
ジャッキ１４で支持されたローラ支持台１６とを備えて
いる。ねじジャッキ１４はモータ１５で駆動され、ロー
ラ支持台１６を昇降する。ローラ支持台１６はローラ１
７を支持しており、前端部のローラ１７はチェーン伝動
機構１９を介してモータ１８により回転駆動される。

【００１６】走行台車２１は、車台２２の上に支柱２
４、縦桁２５および横桁２６により門形に形成された支
持フレーム２３を備えている。車台２２の車輪３２にモ
ータ３３がチェーン伝動機構３４を介して連結されてい
る。一方、ローラコンベア１２の両外側にローラコンベ
ア１２の搬送方向に平行にレール３６が設けられてい
る。走行台車２１は、レール３６上を走行する。

【００１７】溶接装置４１はサブマージアーク溶接機で
あって、走行台車２１の縦桁２５に掛け渡されたレール
２８上を走行する２台のキャリッジ４３を備えている。
キャリッジ４３は車輪４４にモータ４５がチェーン伝動
機構４６を介して連結されている。各キャリッジ４３は
下方に延びるスライダ４７が設けられており、上下スラ
イダ４７の下端に左右スライダ５０を介して溶接ヘッド
５３が取り付けられている。上下スライダ４７はモータ
４８により駆動され、溶接ヘッド５３を昇降する。ま
た、左右スライダ５０はモータ５１で駆動され、溶接ヘ
ッド５３を左右に移動する。キャリッジ４３の上部には
溶接ワイヤを供給するワイヤリール５５が設けられてい
る。走行台車２１の車台２２の上に溶接電源５６が載せ
られている。また、縦桁２５に掛け渡された基台３０上
に、溶接制御盤５７およびフラックス供給装置５８が配
置されている。フラックス供給装置５８からフラックス
供給管５９が下方に延びている。

【００１８】長尺材転回装置６１は、横行可能な移動台
６２が走行ライン方向に間隔をおいて配置されている。
各移動台６２は車輪６３を介してレール６７上に載って
いる。車輪６３にはモータ６４がチェーン伝動機構６５
を介して連結されている。第１支持アーム６９および第
２支持アーム７０が、走行台車２１の走行ラインに沿っ
て隣り合うようにして移動台６２に取り付けられてい
る。すなわち、移動台６２に水平に固定された支持軸７
２に、第１支持アーム６９および第２支持アーム７０が
回転可能に支持されている。また、移動台６２には油圧
シリンダ７４がピン連結７７されており、ピストンロッ
ド７５の先端部が第１支持アーム６９および第２支持ア
ーム７０の中間部にピン連結７９されている。油圧シリ
ンダ７４を駆動すると、第１支持アーム６９および第２
支持アーム７０は支持軸７２回りを水平姿勢から垂直姿
勢に、またはこの逆に回動する。

【００１９】長尺材移動装置８１は、電動ブロック８２
および横行支持装置９８とからなっている。電動ブロッ
ク８２は横桁２６の下部フランジ上を移動可能なトロリ
８３を備えている。横桁２６の両端にそれぞれ駆動スプ
ロケット８５および従動スプロケット８６が取り付けら
れており、駆動スプロケット８５および従動スプロケッ
ト８６にローラチェーン８７が掛け渡されている。ロー
ラチェーン８７の一端はトロリ８３の先端に、他端は後
端にそれぞれ固定されている。駆動スプロケット８５に
はチェーン伝動機構８９を介してモータ８８が連結され
ている。トロリ８３の下部に、巻上機９１が取り付けら
れている。巻上機９１から巻き下ろされたワイヤロープ
９２の下端に、一対の開閉爪９５が取り付けられてい
る。開閉爪９５は開閉モータ９６により開閉される。横
行支持装置９８は台車９９が車輪１０１を介してレール
１０５上に載っている。車輪１０１にチェーン伝動機構
１０３を介してモータ１０２が連結されている。台車９
９上にはねじジャッキ１０７を介して支持台１１０が取
り付けられている。ねじジャッキ１０７は、モータ１０
８により昇降する。支持台１１０は上面に左右に開閉可
能な押さえ金具１１１を備えており、押さえ金具１１１
はモータ１１２により開閉される。

【００２０】上記のように構成された長尺材隅肉溶接装
置により、Ｉ形長尺材を隅肉溶接する方法について説明
する。

【００２１】ウエブ２にフランジ３が仮付けされた長尺
材１をウエブ面を水平にしてローラコンベア１２に載
せ、長尺材隅肉溶接装置１０内に搬入する。なお、溶接
する長尺材１の寸法に合わせてねじジャッキ１４により
ローラ支持台１６を昇降して、ローラコンベア１２の搬
送面の高さをあらかじ調整している。

【００２２】ついで、キャリッジ４３を移動し、また上
下スライダ４７および左右スライダ５０を駆動して溶接
チップ５４の先端部を長尺材１の隅部近くに位置させ
る。そして、長尺材１に沿って走行台車２１を所要の溶
接速度で移動させ、溶接ヘッド５３に溶接ワイヤを、隅
部にフラックスをそれぞれ供給ながらウエブ２とフラン
ジ３との接合部を隅肉溶接する。

【００２３】ウエブ２の１面の隅肉溶接が終わると、水
平姿勢の第１支持アーム６９を回動して長尺材１をロー
ラコンベア１２からすくい上げ、さらに垂直となるまで
第１支持アーム６９を回動してウエブ面が垂直となるま
で長尺材１を転回する。ウエブ面が垂直となると、電動
ブロック８２から開閉爪９５を巻き下げ、長尺材１の上
部フランジ３を開閉爪９５でつかむ。開閉爪９５で上部
フランジ３をつかむと、横行支持装置９８の押さえ金具
１１１で下部フランジ３を挟む。このような状態で、ト
ロリ８３および横行支持装置９８の台車９９を駆動して
長尺材１を第２支持アーム７０の方へ移動する。このと
き、第２支持アーム７０は水平姿勢で待機している。長
尺材１の移動が終わると、第２支持アーム７０を垂直姿
勢にし、長尺材１を第２支持アーム７０に立て掛ける。
そして、第２支持アーム７０を緩やかに倒す。第２支持
アーム７０が水平姿勢に近くなったとき、長尺材１は第
２支持アーム７０からローラコンベア１２に移る。上記
２回の９０度転回と移動とにより、長尺材１は反転す
る。

【００２４】長尺材１が反転されると、ウエブ２の他の
面について隅肉溶接する。ウエブ２の両面について隅肉
溶接が終わると、ローラコンベア１２を駆動して長尺材
１を長尺材隅肉溶接装置１０から搬出する。

【００２５】

【発明の効果】この発明の長尺材隅肉溶接装置では、ウ
エブの１面の隅肉溶接が終わると、水平姿勢の第１支持
アームを回動して長尺材をウエブ面が垂直となるまで転
回する。ついで、長尺材を走行台車の一方の側から反対
側に移動し、長尺材を支えた状態で第２支持アームを回
動してウエブ面を水平姿勢にする。これにより、長尺材
は反転される。このために、この発明では、長尺材の隅
肉溶接において省力化および作業時間の短縮を図ること
ができ、さらに溶接作業の安全性を高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の長尺材隅肉溶接装置の一例を示す側
面図である。

【図２】図１に示す長尺材隅肉溶接装置の平面図であ
る。

【図３】図１の３−３線に沿う断面図である。

【図４】図１の４−４線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１ 長尺材 ２ ウエブ ３ フランジ １０ 長尺材隅肉溶接装置 １１ 長尺材支持装置 １２ ローラコンベア １３ 基台 １４ ねじジャッキ １６ ローラ支持台 １７ ローラ ２１ 走行台車 ２２ 車台 ２３ 支持フレーム ４１ 溶接装置 ４２ キャリッジ ４７ 上下スライダ ５０ 左右スライダ ５３ 溶接ヘッド ５５ ワイヤリール ５６ 溶接電源 ５７ 制御盤 ５８ フラックス供給装置 ６１ 長尺材転回装置 ６２ 移動台 ６９ 第１支持アーム ７０ 第２支持アーム ７４ 油圧シリンダ ８１ 長尺材移動装置 ８２ 電動ブロック ８３ トロリ ９１ 巻上機 ９５ 開閉爪 ９８ 横行支持装置 ９９ 台車 １０７ ねじジャッキ １１０ 支持台 １１１ 押さえ金具

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺材支持装置と、長尺材支持装置に沿
   って走行する門型の走行台車と、走行台車に搭載された
   溶接装置と、走行ラインの一方の側方に回転中心をも
   ち、走行ラインに対して直角方向に延びる回動可能な複
   数の第１支持アームおよび他方の側方に回転中心をも
   ち、走行ラインに対して直角方向に延びる回動可能な複
   数の第２支持アームがそれぞれ走行ラインに沿って間隔
   をおいて配置された長尺材転回装置と、ウエブ面が垂直
   姿勢の長尺材を走行ラインに対して直角方向に移動する
   長尺材移動装置とを備えた長尺材隅肉溶接装置。