JPH08110285A - 軸受用圧電フィルム変換装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸受の性能を検知する目的で、圧電フィルム
変換器を、軸受との連続圧力波結合状態に維持すること
を特徴とし、様々な機械、及びこれまで使用できなかっ
た自動車の形成部品につけて使用し得る、コンパクトな
ころがり軸受監視装置を提供する。 【解決手段】 軸受または軸受支持物、または軸受の性
能を監視するための軸受に近接したワッシャーに圧電フ
ィルム変換器を使用するころがり軸受監視装置であっ
て、一つの実施例は、軸受不良を検知、予想するため
の、軸受監視装置を提供する。もう一つの実施例は、こ
ろがり軸受の回転速度を検知するための装置を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、軸受センサ、とり
わけ軸受の欠陥、または軸受の回転速度を検知するため
の、ころがり軸受用圧電フィルム変換器に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】ころがり軸受における欠点
と欠陥を検知する周知の方法には、軸受をその作動環境
から取り外し、回転中の軸受の傷によって生じる周期的
振動信号を検知するように設置された試験機器に、軸受
を取りつける工程が伴う。一般的に、速度感知装置、及
び振動感知装置がこれら振動信号を検知するために使用
される。しかしながら、これらの試験を実施するのに必
要な機器及びセンサは、使用環境に取りつけられた状態
の軸受に対する使用中の試験用のものはかさばり、費用
がかかり過ぎる。更に、機械に取りつけられた軸受は、
一般的には、作動中の機械によって生じる余分な外部振
動にさらされ、同振動は、内的損傷から来る軸受の振動
の検知を妨害、または複雑にする。

【０００３】米国特許番号第４，２３７，４５４、４，
４８１，８１９、及び４，６７２，８５０の各号は、圧
電セラミック、または変換器を使用するギア及び軸受等
の回転装置を監視するための様々な装置を開示してい
る。４，２３７，４５４特許は、圧電セラミック要素と
連結した片持ち粱を使用し、調整済み機械式共振器、及
び振動リードを形成する。前記リードは、欠点を検知す
るのに使用される力、もしくは回転機械の故障を検知す
る時に、力を伝える回路素子を発生させる。４，４８
１，８１９特許は、圧電セラミック変換器を使用し、回
転機械に用いられる平軸受の金属擦り傷を検知する。し
かしながら、生じた超音信号は、フィルター、増幅器、
検知器、及び比較器との信号の調整により、パルス信号
に変換される。４，６７２，８５０特許は、リングに取
りつけられた圧電変換器を使用し、前記リングは、ギア
車輪の主軸台に取り付けられ、ギアシステムの作動性能
を評価する。しかしながら、前記の各圧電変換装置は、
大きくて扱いにくく、しかも、軸受組立部及び形成物に
対し効率的な取り付けが不可能である。それにより、そ
れらの変換装置の用途、もしくはそれらから生じる成果
を制限する。

【０００４】更に、前述の試みは、ノイズを生じさせ、
軸受損傷の存在を検知するために、大きな電子フィルタ
リングを必要とする標準加速度計を使用する。標準加速
度計が、振動の大きさと周波数に比例する力を発生させ
るスプリング集積装置の急加速から生じる力を、間接的
に監視することにより、装置内の機械振動を感知する時
に、ノイズが生じる。従って、機械的動きに比例する電
荷を生じる感知要素に、力が加えられる。その結果、加
速度計は、かなりのノイズを拾う傾向を持ち、周波数の
範囲が制限される傾向にある。

【０００５】

【課題の解決手段】本発明によれば、ころがり軸受を使
用状態でモニターする装置を提供し、本装置では軸受の
作動をモニターするために、圧電フィルム変換器が軸
受、軸受支持構造、あるいは軸受に機械的に連結された
別体の部材に取りつけられる。一つの実施例では、軸受
監視装置は軸受の欠陥を検出する構成になっている。別
の実施例では、ころがり軸受の回転速度を検出するよう
な構成になっている。本発明の重要な特徴は、圧電フィ
ルム変換器を軸受の周り、あるいは軸受に機械的に連結
して軸受の不良あるいは損傷を検出するものであり、機
械や車両の部品に取りつけた状態で使用中にモニターで
きるコンパクトな構成を提供することにある。従来のこ
の種の装置はコンパクトな構成で軸受をモニターする能
力に限界があり、特にスペースが限られたところで支持
された軸受の場合、軸受の外周に加わる周辺の圧力波が
モニターされてしまう。

【０００６】本発明は、ころがり軸受における軸受の欠
陥を予知するための装置であり、圧電変換器により軸受
あるいはその支持構内の圧力波に誘導された弾性ひずみ
が検知される。軸受の欠陥による出力と周辺のノイズと
を区別するために、変換器の出力信号が正常な軸受を示
す閾値と比較され、あるいはいくつかの変換器による信
号が、信号間のコモンモードノイズを消去することによ
り比較される。

【０００７】本発明の他の目的、特徴、利点は、軸受の
欠陥を検出したり、軸受の速度を検出したりできる軸受
用圧電フィルム変換装置を提供することにあり、さらに
それをシンプルな設計で、製造および組み立てのコスト
が安く、軸受のサイズにかかわらず取りつけられ、軸受
に取りつけられるディスクやリングにも設置できるコン
パクトで効果的なセンサ装置に組み込むことができる。
本発明の他の目的、特徴、利点を添付図面を参照しなが
ら以下に説明する。また、本発明は図示され説明された
構造に限定されず、特許請求の範囲で定義された発明の
精神と目的から外れることなく、様々な変更が可能であ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】図面について更に詳しく述べる
と、図１及び２は、本発明の特徴を盛り込んだ、テーパ
つきのころがり軸受及び軸受センサ組立部１０を表す。
組立部１０は、軸受の感知を可能にするために軸受の外
レースに取りつけられる一対の圧電フィルム変換器１２
及び１４を備えている。典型的な軸受は、外レース１
６、内レース１８、及び複数のころがり要素を組み立て
ることにより形成される。レースのいずれか、またはこ
ろがり要素のいずれかに生じる欠片２２、または欠陥は
大きくなると、軸受を伝導する衝撃誘導の圧力波を生じ
させる。変換器１２及び１４をそれぞれ、車輪軸受、ま
たは軸受を支持する構造物と、連続圧力波結合した状態
に保持することにより、圧力波誘導歪みが感知、監視さ
れ、軸受不良を検知、予測できる。他方、レースの間を
回転中の軸受によって生じる周期的荷重は、軸受の回転
速度を測定するために監視される。

【０００９】好ましくは、変換器１２及び１４のそれぞ
れは、半円形に切断された圧電フィルムから形成する。
他方、複数のより小さな圧電変換器、または一つの環状
変換器を、軸受表面に沿って保持してもよい。各圧電変
換器は、フィルムに加わる電気的伝導力のある出力を出
すフィルムの両側に取り付けられた正のリード２４と負
のリード２６を有する。

【００１０】更に、各圧電フィルム変換器１２、及び１
４は、なるべくエポキシ接着剤２８で、外レース１６の
背面２７に接着する。各圧電フィルム変換器を軸受、ま
たは軸受構造に取り付けるとき、連続圧力波結合が、セ
ンサと軸受構造の間で行われることが重要である。リー
ド２４及び２６によって伝達される電気出力は、各セン
サが軸受に固定される取りつけの度合いに関係する。軸
受に各変換器を接着する時の、最良の接着剤は、アクリ
ル、エポキシ、ウレタン、及びシアンアクリル系のポリ
マーを主成分とするものである。これらの接着剤は、機
械的圧力波をフィルムに移す最良の方法を提供する。

【００１１】図１及び２に示すように、二つの半円形の
センサ、または変換器１２及び１４は、面２７上に１８
０度離れて、接着により取り付けられている。この配列
において、リード２４及び２６を通して測定される通常
モードのノイズは、ある波を他の波で差し引くために、
差動回路等の電気回路を用いるときに、相殺される。結
果として生じる出力は、各変換器の出力に存する軸受と
外部ノイズと、損傷を表すスパイクとの区別を明らかに
示す。軸受に対する荷重が、外レース１６に対し、固定
された状態で適用される場合、変換器１２及び１４の内
一つは、「荷重ゾーン」に位置し、もう一方は、そのゾ
ーンから反対側に位置する。この形成により、ノイズが
排除される。

【００１２】変換器１２及び１４を軸受１０に、しっか
りと、くっ付くように、直接固定することで、軸受の損
傷の存在を決定する方法が得られる。軸受の損傷は、欠
片２２等によって、機械振動を起こし、同損傷は、最
初、軸受とその周辺ハウジングを伝わる機械圧力波とし
て生じる。圧力波は、軸受に加えられた荷重により、こ
ろがり要素２０をして、欠片２２によって造られる空間
内に偏向せしめる時に始まる。他方、軸受において形成
される損傷による破片、及び他の汚染物は、ころがり要
素２０が破片に接触するときに、圧力波を生じさせる。
結果として生じる圧力波は、軸受装置を伝わり、高周波
で軸受材料を、弾力的に変形させる。軸受の損傷は、こ
のように、変換器を用いて伝導する圧力波によって起こ
る物理的変化を感知することによって、検知される。

【００１３】好ましくは、圧電変換器１２及び１４は、
軸受に直接使用するにせよ、軸受構造物に使用するにせ
よ、経済的な、高度の極性があるポリ−ビニリデン・フ
ッ化物フィルムから成っている。ペンシルバニア州、バ
リー・フォージに所在のＡＭＰセンサーズ社から販売さ
れ、ピエゾフィルムの名称で、一般に入手可能なこのフ
ィルムは、極めて広範囲の周波数域と、広い動的反応を
示す属性を有しており、それ故、前記フィルムは、軸受
に用いるのに理想的なものとなっている。物理的に、前
記フィルムは、複雑な変換器を比較的低い価格で形成す
るために、簡単に切断でき、かつ基材に付着できる柔軟
なプラスチックである。加えて、このフィルムは、セン
サを軸受構造物に組み込む際、パッケージングに融通が
きく。更に、広範囲の動的レンジが、センサーで得られ
る。

【００１４】一般原則として、圧電材料は、非等方性で
ある。従って、それらの電気、機械反応は、加えられる
機械的応力、及び歪みの軸によって、異なる。加えて、
圧電フィルムは、本質的に電気容量性である。それ故、
フィルムによって生じる信号は、時間と共に微分的に変
化する。更に、フィルムの周波数特性は、セラミック変
換器のそれと大きく異なる。例えば、圧電フィルムは、
直流に近いところから１０ＧＨＺまでの大変広い周波帯
特性を持つ。広範囲の周波数にわたって均一の周波数反
応が得られるのは、部分的には、セラミックの硬さと対
照的に、ポリマーの柔らかさに由来する。２８マイクロ
メーターの圧電フィルムの基本半波長共鳴周波数は、約
４０ＭＨｚである。圧電材料の非等方性の特性のため、
軸受上のフィルムを、軸受を伝わる圧力波が、最大限に
測定されるように方向付けることが好ましい。そのよう
な配置を容易にするため、圧電フィルムの二つの基本タ
イプが、得られる。

【００１５】ホモポリマー圧電フィルムは、その本質的
な柔軟さと低いコストのため、組立部１０において使用
されるのが好ましい。ホモポリマーフィルムは、フィル
ム表面の結晶構造方向と平行に誘導された応力に対し、
主に「拡張モード」で作用する。軸受が、中立軸の周り
で、軸受の損傷によって力学的に歪みが生じているとき
に、前記軸受の周りで生じる圧力波を感知することによ
り、ホモポリマーフィルムは作用する。

【００１６】それとは対照的に、共重合体フィルムも使
用され、通常ホモポリマーフィルムより感度が高い。共
重合体フィルムは、主に圧縮モードで作用する。このフ
ィルムは、フィルムの表面に直角に加えられた力に、最
も感度が高い。リード２４及び２６からの出力は、素材
をその厚み方向に歪ませる力に、比例する。事前の実験
室での軸受テストでは、このフィルムが、損傷を感知す
る上で、大変よく作用することが立証された。このフィ
ルムの最大の欠点は、その高いコストと壊れやすい属性
である。更に、共重合体フィルムの価格は、フィルムの
厚さにもよるが、ホモ重合体フィルムの２倍から１０倍
高い。そして更に、共重合体フィルムは、フィルムに損
傷をもたらさずに取り付けるのが困難なことが、明らか
になっている。しかしながら、フィルムが、適切にデザ
インされ、組み立てられた軸受・ユニットに組み込まれ
るとき、この問題は心配にならない。

【００１７】組立部１０で表される軸受圧力波検知装置
は一対の形成要素からなる。先ず、組立部１０は、軸受
パッケージ、もしくは軸受を用いた装置の中に組み込ま
れる軸受センサを備える。次に、各変換器の上のリード
２４及び２６からの出力をモニターすることによって、
軸受に損傷がないかどうかを決定する電子回路を備えて
いる。最も簡単な形式において、この電子出力は、簡単
な指示灯、またはトリップ・スイッチに供給され、それ
は軸受の損傷の始まりを示す閾値で作動する。他方、よ
り複雑なモジュールは、リード２４及び２６からの電気
出力を記録するように設計され、前記出力は、中央指令
センターに送られ、更に処理されて軸受及び機械の外部
ノイズと軸受の損傷とを区別される。

【００１８】図１及び２に表された通り、軸受とセンサ
から成る組立部１０は、軸用軸受、及び最終駆動装置、
もしくは伝達装置等の重装置における、軸受の内部損傷
を感知するために使用される。ギア、及び他の軸受を含
む機械装置において、他の部品の損傷にも導くような破
局的故障が防止される。結果として、重機械の損傷部品
による稼働中断時間は、実質的に減少する。これまでの
装置は、とりわけコスト的に効果的、効率的に、そして
更に、限られた空間において、取り付けが難しい、もし
くは不可能であることが分かっている。

【００１９】営業用飛行機の着地用車輪軸受が、現在定
期的に取り外され、軸受損傷がないかどうかを調べるた
めに検査が行われている航空業界において、今後更に用
いられることが明らかである。軸受組立部１０の設置
は、現在の保守要件をかなり減らすことになる。それら
の情報は、飛行機が滑走路を走行中に得られる。同情報
は、更に地上職員に送られ、そこでさらに、検査と保守
のための行動が必要かを決定する。

【００２０】第３の用途は、軸受の不良によって生じる
脱線事故を、制限するのに役立つ、車両の軸用軸受をモ
ニターするのに、行われることが明らかである。図３及
び４は圧力波を感知するために、ワッシャー３３に圧電
フィルム変換器をつけたワッシャー・軸受センサ組立部
３０を図示している。この組立部は、連続圧力波結合
で、軸受、または軸受支持構造物に取り付けられ、本発
明の第２実施例に記載の、ころがり軸受の軸受不良を予
測したり、軸受の回転速度を測定したりする。ワッシャ
ーセンサは、ワッシャーを軸受の内及び外レース、もし
くは軸受支持構造物にしっかり取り付けることにより、
数多くの用途において、様々なサイズの軸受と組み合わ
せた独立ワッシャー構造を形成する。そのようなパッケ
ージは、現在ある軸受を変更することなく、軸受性能を
モニターするために、現存の軸受の変更を可能にする。
他方、このワッシャー構造は、更に、単一ワッシャー
と、数多くの軸受との互換性使用を可能にする。更に、
フラットワッシャーは、それらの間の連続圧力波結合を
増強するため、軸受レースに接着できる。それらの装置
は、軸受に対し、ワッシャーが強く取り付けられるよう
にするが、それでも接着剤溶剤の使用によって取り外す
ことができる。たとえば、一対の圧電フィルム変換器を
用いた図１および２に示す前記実施例に、別体のワッシ
ャを設けることもできる。

【００２１】図５及び６は、本発明の第３実施例の、固
定スタッブ軸３５、またはスタッブ軸に押し込まれた内
レース、圧電フィルム変換器を取り付けるハブカップ３
６、及び圧電フィルム変換器、または感知リング４２及
び４４を備えた、自動車輪のハブ・軸受シール装置３４
を表す。第一感知リングは、三日月型圧電フィルム変換
器４２で、ハブ・カップ３６に形成された溝状の底３８
に接着される。同様に、またはもう一つの例として、円
周形状の圧電フィルム変換器４４は、ハブ・カップ３６
の上の内壁４０に接着されている。変換器電線口４６
は、ハブ・カップ３６に設けられており、そこを通し
て、正と負のリード２４及び２６が、変換器４２及び４
４から出てくる。

【００２２】組立において、ハブ・カップ３６は、スタ
ッブ軸３５に取り付けられるか、軸受のレース溝に押し
つけられる。そして、内レース溝は、スタッブ軸に押し
つけられ、同軸はレース溝４９にボール・軸受４８を受
けて内レース５１を形成する。外レース５３は、固定内
レースの周りを回転するように、軸受を保持する。組立
において、ハブ・カップ及び軸受の内レースは、ファス
ナーあるいは押しばめによって、強固に固定され、それ
らの間に連続圧力波結合が得られる。振動誘導圧力波
は、ころがり要素４８及びレース溝５１から、スタッブ
軸、または内レース３５、ハブ・カップ３６、及び変換
器４２及び４４に伝わり、それらは、軸受内のころがり
要素の回転により生じる周知の信号特性を通じて、軸受
の回転速度を感知、測定し、その一方で、軸受不良をモ
ニターする。他方、ノイズが問題とならないところで
は、変換器４２、４４の内、一つだけが必要である。

【００２３】図７は、図１及び２で表された軸受センサ
に関して、もう一つの実施例４９を図解している。そこ
では、四つの圧電フィルム変換器５０、５１、５２、及
び５３が、軸受外レース１６の背面２７で、９０度間隔
に位置して配列されている。好ましくは、共重合体フィ
ルムが、フィルム面に直角に加えられた力に対する高い
感度のために、使用されている。しかしながら、共重合
体フィルムは、脆く、その用途においても、取り扱いと
試験の間に壊れやすい。この脆さは、洗練された製造上
の組立作業に組み込まれれば、問題とならない。事実、
図１、２、及び７に示されているように、共重合体フィ
ルムを備えた外レースの背面に変換器を配置すること
は、製品設計における使用にとって、最も考えうる位置
である。更に、この配列は、前述の変換器で、軸受の回
転速度を感知するのに最も適している。

【００２４】図８は、図１、２、及び７で表された装置
に類似の回転軸受及び感知装置５４を図解しており、前
記装置は、一対の圧電フィルム変換器５６及び５８を、
軸受の外レース５５の円周外部面５７に設けられた浅い
受け口６０及び６２に取り付ける。好ましくは、各受け
口は、軸受の外レースの周辺外部表面に設け、フィルム
を受けるための非常に浅い窪みを形成する。結果とし
て、軸受は、フィルムに接触したり、負荷をかけたりし
ない方法で、軸受支持構造物の周辺支持空洞にはまる。
受け口を慎重に形成することにより、軸受外レースの強
度はほとんど影響されない。前記装置は、変換器をレー
スの外径壁に取り付けることを可能にし、それにより、
部分的変化による変形はほとんどない。好ましくは、こ
の構造では共重合体フィルムを使用する。更に、商業的
に容易に入手できる比較電子回路６４は、変換器５６及
び５８から出るノイズを、それらの出力を差し引くこと
により、打ち消すために使用される。他方、回路６４、
センサ出力のいずれかと、比較器を経た閾値出力との比
較によって指示灯を作動させる、発端始動型トリップ・
スイッチとしてもよい。

【００２５】図９は、図７に示された軸受／センサ組立
体が、毎分回転数９３０の条件下で２１，０００ｌｂの
スラスト荷重を受けたときの、曲線で描かれた感知テス
トの結果である。この図表で明らかなように、高電圧、
または損傷を表す折れ線の山形部分は、ほぼ正弦曲線の
上に重ね合って現われる。正弦曲線は、ローラが圧電セ
ンサの地域を越える時にローラーによって、形成され
る。このテストにおいて、ＮＴＮ７２４８７軸受は、こ
ろがり接触疲労テスト装置にテストした。曲線図表によ
ると、結果として生じた高電圧を表す折れ線は、テスト
された軸受の損傷の大きさに比例する。このテストにお
いて、疲労損傷を起こすまで使用した、ＮＴＮ７２４８
７のテーパころがり軸受を用い、ペンシルバニア州、バ
レー・フォージ所在のＡＭＰセンサー社製の圧電フィル
ムを取り付けた。

【００２６】最後に、図１０は、図３、７、及び８で示
された３つの実施例における各軸受形成について、図９
で示されたピーク電圧と軸受のスラスト荷重の関係を示
す折れ線グラフである。図１０から明らかなように、本
発明のこれら３つの実施例について、検知された電圧の
大きさは、荷重に対してかなり直線的な関係を示してい
る。この関係は、更に、損傷の大きさと共に、特定の軸
受の全荷重を予想し、決定するのに用いられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に記載の、軸受レースの裏側に
接着された、一対の圧電フィルム変換器を備えた軸受振
動センサの平面図

【図２】図１の２−２線に沿った、軸受及びセンサ組立
体の断面図

【図３】センサを取り替えることなく、簡単に取り替え
可能な軸受について使用される、互換性のあるワッシャ
ーセンサを含む本発明の第２実施例に記載の、平ワッシ
ャーに組み込まれた軸受振動センサの平面図

【図４】図３の４−４線に沿う側面図

【図５】本発明の第３実施例に記載の、自動車用車輪の
ハブ環状速度センサのスタッブ軸に取りつけられたセン
サのハブカップの平面図

【図６】図５の６−６線から見た、自動車用車輪のハブ
環状速度感知装面に取りつけられたセンサのハブカップ
の断面図

【図７】本発明の第４実施例に記載の軸受レースの裏側
に接着された四つの圧電フィルム変換器を備えた軸受振
動センサの平面図

【図８】本発明の第５実施例に記載の、軸受外レースの
外周の浅い窪みに接着された一対の圧電フィルム変換器
を備えた、軸受振動センサの平面図

【図９】図７の軸受組立部のころがり要素に欠陥が存在
する時のセンサ試験結果の図

【図１０】図３、７、及び８で示された実施例に関する
もので、軸受のスラスト荷重に対する、図９で示される
ような一連の感知信号から得られたピーク電圧の折れ線
グラフ

【符号の説明】

１２、１４ 圧電フィルム変換器 １６ 外レース １８ 内レース ３３ ワッシャー

Claims (20)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧力波結合するように軸受に取り付けら
   れ、かつ軸受の圧力波に機械的に反応してそれに比例し
   た電気信号を出力することができる、少なくとも一つの
   圧電フィルム変換器と、 前記変換器の電気信号出力を監視するための検知手段を
   備えた、 軸受の作動によって生じる軸受内の圧力波を検知してこ
   ろがり軸受の状態を監視する装置。
2. 【請求項２】 前記変換器が軸受と一体的に形成された
   支持構造体により支持されている請求項１に記載の装
   置。
3. 【請求項３】 前記支持構造体が軸受の内レースによっ
   て形成されている請求項２に記載の装置。
4. 【請求項４】 前記支持構造体が軸受の外レースによっ
   て形成されている請求項２に記載の装置。
5. 【請求項５】 前記フィルム変換器が前記外レースの背
   面に支えられている請求項４に記載の装置。
6. 【請求項６】 前記フィルム変換器が前記外レースの外
   周面で支えられている請求項４に記載の装置。
7. 【請求項７】 前記支持構造体が、前記フィルム変換器
   が軸受の圧力波を受けるように軸受にしっかり固定さ
   れ、かつ軸受から離してフィルム変換器を支えるワッシ
   ャーである請求項１に記載の装置。
8. 【請求項８】 前記検知手段が、信号出力を基準値と比
   較して監視することにより、背景ノイズと軸受の損傷信
   号とを区別するとともに、出力偏移を検知する電子回路
   を備えた請求項１に記載の装置。
9. 【請求項９】 前記電子回路が、比較器を通して比較監
   視される閾値感知型信号出力に反応して作動する指示灯
   に電気的に導通するトリップ・スイッチを備えた請求項
   ８に記載の装置。
10. 【請求項１０】 前記検知手段が、離れて配置されるよ
    うに互いに対向して取り付けられた一対の前記変換器の
    一方から来る電気信号出力と、他方の変換器からの電気
    信号出力を比較し、これらの各電気信号出力を減算する
    ことにより、前記信号間の共通モード・ノイズを打ち消
    せる電子回路を備えた請求項１に記載の装置。
11. 【請求項１１】 前記変換器の一方が、記軸受の荷重ゾ
    ーンに取りつけられ、他方の変換器が、前記荷重ゾーン
    の反対側に取りつけられた請求項１０に記載の装置。
12. 【請求項１２】 前記変換器が圧電極性ポリ−ビニリデ
    ンフッ化フィルムから形成されている請求項１に記載の
    装置。
13. 【請求項１３】 前記フィルムが単独重合体である請求
    項１２に記載の装置。
14. 【請求項１４】 前記フィルムが共重合体である請求項
    １２に記載の装置。
15. 【請求項１５】 一対の半円形圧電フィルム変換器が、
    前記支持構造物の外周に互いに対向して設けられた請求
    項１に記載の装置。
16. 【請求項１６】 ４つの変換器が前記支持構造物の外周
    にほぼ等間隔をあけて設けられた請求項１に記載の装
    置。
17. 【請求項１７】 前記フィルム変換器が前記軸受に接着
    された請求項１に記載の装置。
18. 【請求項１８】 前記フィルム変換器を支持するために
    前記外周面に窪みが設けられた請求項６に記載の装置。
19. 【請求項１９】 変換器電気信号出力が基準値から逸脱
    したときに、同出力と、正常軸受とシグナリングを示す
    基準値を比較監視することにより、ころがり軸受の欠陥
    またはころがり要素と汚染物の間の接触により生じる圧
    力波振動を、前記検知手段を介して、前記圧電フィルム
    変換器で検知して、軸受の不良を検出する請求項１に記
    載の装置。
20. 【請求項２０】 軸受内のころがり要素の動きにより発
    生した圧力振動を、前記圧電フィルム変換器によって検
    知して、軸受の回転速度を測定する請求項１に記載の装
    置。