JPH08109033A - 光学素子の成形装置と成形方法 - Google Patents

光学素子の成形装置と成形方法

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JPH08109033A
JPH08109033A JP27584294A JP27584294A JPH08109033A JP H08109033 A JPH08109033 A JP H08109033A JP 27584294 A JP27584294 A JP 27584294A JP 27584294 A JP27584294 A JP 27584294A JP H08109033 A JPH08109033 A JP H08109033A
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molding
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optical element
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cooling
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Takemochi Safuku
威望 佐復
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/12Cooling, heating, or insulating the plunger, the mould, or the glass-pressing machine; cooling or heating of the glass in the mould

Abstract

(57)【要約】 【目的】微妙な加熱および冷却による温度分布制御をす
ることにより、偏肉の大きい凸または凹レンズなどの光
学素子を高精度に成形する光学素子の成形装置を提供す
る. 【構成】光学素子の成形装置において、端面に成形面1
1aを有するとともに該成形面の裏面11bに向けて基
端部11cより中空の凹陥部11hを形成した成形型1
1と、熱伝導率が異なる複数の構成部材12a,12
b,12cよりなり前記成形面の裏面11bに密着する
形状の先端部12Rを有し凹陥部11h内に挿抜自在な
熱伝達部材12と、該熱伝達部材12を凹陥部11h内
に挿抜させる駆動手段32とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学素子の成形装置と成
形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ガラス素材を加熱軟化し、一対の
成形型によって押圧成形する技術は種々開示されている
が、偏肉の大きな光学素子を押圧して均一に冷却し高精
度の光学素子とする手段には、図17に示す成形型を用
いる技術がある。図17は凸レンズなどの凸面を有する
光学素子を成形するもので、中央部101は熱伝導率の
高い材料からなり、中間部102、外周部103と周辺
にいくほど熱伝導率の低い材料により構成されている。
光学素子の中央部は厚肉のため成形後の冷却が遅延し、
ヒケとなって成形面の形状精度を悪化させる傾向にある
が、図17に示す成形型を用いることにより、冷却能力
に差を設けて光学素子の肉厚による冷却時間の差を相殺
し、成型後均一な冷却を行わせるというものである。
【0003】一方、同様に成型型の中央部と外周部の冷
却速度に差をつける手段には、特開平5−139761
号公報所載の技術がある。この技術は成形型の成形面の
結晶方位が径方向で異なり、製品の厚肉部に対応する領
域が熱伝導の大きい方位に、薄肉部に対応する領域が熱
伝導率の小さい方位に選択形成して光学素子成形型を構
成する。
【0004】材料によっては、結晶方位によって大きく
熱伝導率の異なるものがある。そのため、同一材料で成
形面を形成するとしても、成形面の結晶方位を径方向で
変化させることができれば、熱伝導を自在に制御するこ
とが可能である。このような熱伝導の異方性を持つ材料
として結晶形が六方晶のものがあげられる。一般的に、
六方晶の結晶形を有する材料は、a軸方向とc軸方向と
で異方性を示す。例えば、BNの場合、熱伝導率はa軸
方向でおよそ0.17cal/sec・cm・℃、c軸
方向でおよそ0.02cal/sec・cm・℃と大き
く異なる。
【0005】そこで、例えば図19に示すように、成形
用型111の成形面112のうち、製品の厚肉部に対応
する領域(中心部)113をa軸配向、薄肉部に対応す
る領域(外周部)114をc軸配向させれば、製品の薄
肉部の冷却速度を相対的に遅らせることができるので、
短時間の成形にて形状精度の良好な光学素子が得られ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図17に示した技術
(従来技術1)では、成形型自体を互いに異なる複数の
材料で構成するため、部位により線膨張率が異なること
になり、図18に示すように、加熱により成形面に段差
を生じ、これによる成形品の形状不良や成形時の変形流
動阻害などが発生する。また、図18において、外周部
103の材料を内側のものに比べて極端に線膨張率の小
さなものにした場合は、成形型の加熱により外側の部材
たる外周部103が締まりばめ状態となり、極端な場合
割れることがある。逆に、外側の部材たる外周部103
の材料を内側のものたる中間部102の材料に比べ線膨
張率の大きいものにした場合は、加熱膨張により部材間
に隙間が発生し、成形時に成形される光学素子にその跡
が転写され、不良品となるという問題点があった。さら
に、以上の点を考慮して成形型の材料を選択する場合に
は、選択範囲が線膨張率の近いものに限定せざるをえな
いという問題点もあった。
【0007】また、特開平5−139761号公報所載
の技術(従来技術2)では、成形型の成形面に六方晶の
材料を積層することにより、熱伝導率の差を付している
ため、前記従来技術のような問題はないが、型基材の上
に成形面を積層するため、熱伝導率に差のある部分を厚
くすることはできず、光学素子の均一冷却には不充分で
あるという問題点があった。
【0008】本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ
たもので、請求項1、2または3に係る発明の目的は、
微妙な加熱および冷却による温度分布制御をすることに
より、偏肉の大きい凸または凹レンズなどの光学素子を
高精度に成形する光学素子の成形装置を提供することで
ある。請求項4または5に係る発明の目的は、上記請求
項1、2または3記載の光学素子の成形装置を用いて、
微妙な加熱および冷却による温度分布制御を行い、偏肉
の大きい凸または凹レンズなどの光学素子に適する光学
素子の成形方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1、2または3に係る発明は、光学素子の成
形装置において、端面に成形面を有するとともに該成形
面の裏面に向けて基端部より中空の凹陥部を形成した成
形型と、熱伝導率が異なる複数の構成部材よりなり前記
成形面の裏面に密着する形状の先端部を有し前記凹陥部
内に挿抜自在な熱伝達部材と、該熱伝達部材を前記凹陥
部内に挿抜させる駆動手段とを備えて構成したことを特
徴とする。請求項4または5に係る発明は、加熱軟化し
たガラス素材を一対の成形型により押圧成形する光学素
子の成形方法において、成形面の裏面に向けて基端部よ
り中空の凹陥部を形成した成形型の成形面に加熱軟化し
たガラス素材を載置し、押圧成形を開始してから終了す
るまでの間、前記中空の凹陥部に挿入して、前記成形面
の裏面に熱伝導率が異なる複数の構成部材よりなる熱伝
達部材を密着させることを特徴とする。
【0010】
【作用】請求項1、2または3に係る発明の作用では、
成形型の成形面の裏面に、熱伝導率が異なる複数の構成
部材よりなり前記成形面の裏面に密着する形状の先端部
を有する熱伝達部材を接触させ得る構造となっているの
で、熱伝導率の異なる構成部材の配置に従って、成形型
の温度分布を自由に制御する。請求項2に係る発明の作
用では、上記作用に加え、前記熱伝達部材を所定の温度
に加熱または冷却する温調装置により、成形型の成形面
の温度制御を能率良く行い得る。請求項3に係る発明の
作用では、上記作用に加え、光学素子の肉厚が厚い領域
ほど熱伝導率が高い構成部材を配設した熱伝達部材によ
り、光学素子の厚肉部の冷却速度を速める。
【0011】請求項4または5に係る発明の作用では、
押圧成形を開始してから終了するまでの間に、成形型の
成形面の裏面に熱伝導率が異なる複数の構成部材よりな
る熱伝達部材を密着させることにより、熱伝導率の異な
る構成部材の配置に従って、成形型の成形面の温度を降
下させる。請求項5に係る発明の作用では、上記作用に
加え、熱伝達部材を成形型の中空の凹陥部から抜出して
強制冷却することにより、光学素子の成形作業のサイク
ルタイムを短縮する。
【0012】
【実施例1】図1〜図10は実施例1を示し、図1は成
形装置全体の概略構成図、図2は図1のA部詳細断面
図、図3は熱伝達部材の詳細断面図、図4〜図8は光学
素子の成形方法を示す工程図、図9〜図10は光学素子
の温度分布を示す断面図である。
【0013】本実施例の光学素子の成形装置について説
明する。図1において、成形室93内には、先端に上型
1を有する上型ユニットベース91と、先端に下型11
を有する下型ユニットベース10とが配設されている。
下型ユニットベース10は成形機シャーシ部94上に固
設されたユニットベース昇降装置41により上下動自在
に支持されている。ユニットベース昇降装置41には、
エアーシリンダを用いているが、油圧シリンダでもよ
く、さらに、ラック・ピニオン、ボールネジまたはカム
をモータ駆動する機構に替えてもよい。成形室93に
は、内部に加熱ヒータ97を有する加熱炉96が連設さ
れている。95はホルダ搬送アームで、ガラス素材6を
載置したレンズホルダ5を保持して搬送する。
【0014】つぎに、図2を用いて下型11とその周辺
について説明する。下型11の内部には、成形面11a
の裏面11bに向けて基端部11cより空けられた円柱
状の凹陥部11hが形成されている。下型ユニットベー
ス10は有底の円筒体をなし、その上部には蓋状の型載
置台10pが取り付けられている。型載置台10pには
下型11の凹陥部11hとほぼ同径の孔10hが穿設さ
れている。下型ユニットベース10の底部上面には、熱
伝達部材12を上下動自在に支持する熱伝達部材昇降装
置32が固設されている。その構造はユニットベース昇
降装置41と同様である。
【0015】熱伝達部材12は、それぞれ熱伝導率の異
なる材料からなる円柱形または円筒形の構成部材12
a,12b,12cを組み合わせて、円柱形の一体構造
に形成されている。また、熱伝達部材12には、下側端
面から各構成部材12a,12b,12cにそれぞれ中
心軸方向に温度測定用熱電対12Ta,12Tb,12
Tcが挿設されている。熱伝達部材12は輪帯状に3分
割した構造となっているが、これに限らず、成形品の規
模、成形条件などにより適宜に構造を変更してよい。ま
た、熱伝達部材12の各構成部材に使用される材料は、
耐熱性に富み、熱伝導率が高く、かつ硬度も大きいもの
から選択するのが好ましい。例えば、耐熱性鉄系合金や
セラミックスなどが挙げられる。また、熱伝導率の高さ
のみに着目すれば、銅、アルミニウムなどの非鉄金属を
用いてもよい。
【0016】熱伝達部材12の構成部材12a,12
b,12cの組付けは、各部材の線膨張率の違いから起
こる加熱時の締まりばめによる各部材の破壊、または各
部材間で全長の差の発生による下型11の裏面11bへ
の接触不良などを考慮した構成にする必要がある。図3
は熱伝達部材12の先端部12Rの構造の詳細を示す。
図3において、構成部材12a,12b,12cは互い
に遊嵌し、受け台12Dにバネ12Sa,12Sb,1
2Scを介して載置されている。これにより、各構成部
材間のクリアランスでラジアル方向の線膨張率差を吸収
し、バネ12Sa,12Sb,12Scでスラスト方向
の線膨張率差を吸収する。
【0017】下型ユニットベース10の内周面には、熱
伝達部材12を冷却するブロー吐出用ノズル22が配設
されている。この場合、中心部に配設された熱伝達部材
12にブローが及ぶように、斜め下向きに配設するのが
よい。また冷却をムラなく行うためにブロー吐出用ノズ
ル22を複数個、等間隔に配列するのが望ましい。ブロ
ー吐出用ノズル22の先端近傍には、ブローの吐出・停
止を行う電磁バルブ22Vが設けられている。ブロー吐
出用ノズル22の上下方向の配設位置は、熱伝達部材1
2が下降端の位置にあるとき、その上端面に冷却ブロー
が当たるような位置とする。下型ユニットベース10の
近傍には、冷却ブロー供給源60(例えば窒素ガス製造
装置、窒素ガスボンベまたは不活性ガスボンベなど)が
設置され、エアーホース22Hによりブロー吐出用ノズ
ル22へ冷却ブロー用のガスを供給する。
【0018】さらに、下型ユニットベース10の近傍に
は、CPU50(中央処理ユニット。使用機材の例とし
てパーソナルコンピュータなどがある。)が設置されて
いる。熱電対12Ta,12Tb,12Tc、電磁バル
ブ22V、熱伝達部材昇降装置32およびユニットベー
ス昇降装置41は、それぞれケーブル12aC,12b
C,12cC、22C、32Cおよび41Cにより、電
気的にCPU50に接続され、CPU50によって、冷
却ブローによる熱伝達部材12の温度調節と、熱伝達部
材12および下型ユニットベース10の昇降動作の制御
を行わせるものである。ちなみに、ケーブル12aC,
12bC,12cC、22C、32C、41C、および
エアーホース22Hは熱伝達部材昇降装置32およびユ
ニットベース昇降装置41の動作による各要素の動作に
支障しない配置および長さで製作され、取り付けられて
いる。
【0019】また、熱伝達部材12は低温でさえあれば
よい訳ではなく、適正な温度を保持するために加熱する
必要もある。この加熱手段は、図2に示すように、ヒー
タ15を熱伝達部材12の端面全体を均一に加熱できる
ような位置に設置し、熱電対12Ta,12Tb,12
Tcからの信号により、冷えすぎの場合は加熱を行う。
この加熱手段には、他の手段も有効であり、前記冷却ブ
ロー手段により吐出するブローを、吐出するまでの経路
中に設けたヒータなどの加熱手段により加熱し、高温に
なったブローを熱伝達部材12に吹きつけてもよい。さ
らに他の手段として、熱伝達部材12の構成部材12
a,12b,12cの内部にそれぞれ加熱ヒータを埋め
込み、これにより熱伝達部材12を加熱してもよい。
【0020】以上、下型11の周辺について説明した
が、上型1の周辺については、図2において、ユニット
ベース昇降装置41およびケーブル41Cを省いて(上
型1は押圧のための昇降動作不要)、上下を逆転させた
ものと考えればよいので(冷却ブロー供給源およびCP
Uは下型11のものと共用する)、説明を省略する。
【0021】つぎに、上記成形装置を用いた光学素子の
成形方法について説明する。図4において、5はレンズ
ホルダ、6はガラス素材で、ガラス素材6の加熱軟化が
完了し、上型1と下型11との間に搬送されてきた状態
を示している。図4の状態で熱伝導部材2、12の温度
調節が完了し、加熱軟化されたガラス素材6がレンズホ
ルダ5に収められて上下型1・11間に搬送されてくる
と、下型11が上昇し、上型1とでガラス素材6を押圧
成形する。この状態を図5に示す。6aは成形中のレン
ズである。下型11の上昇が完了すると同時または僅か
なタイムラグをはさんで成形レンズ6aの外側から図示
を省略した冷却ブロー装置により冷却ブロー(窒素ガス
または不活性ガスを用いる)を吹きつける。
【0022】同様に、熱伝達部材2、12による成形型
の内側からの冷却も開始する。本実施例は凸レンズを成
形する場合を示しているので、保熱度合の高い中心部ほ
ど冷却能力を高くする必要があり、図2における熱伝達
部材12の構成部材12a,12b,12cについて
は、最内部の12aの熱伝導率を最も高くし、12b,
12cの順に低くする構成となる。図示の都合上、図4
〜図8では、熱伝達部材12の構成部材12a,12
b,12cの断面表示を省略してある。熱伝達部材2、
12が下降および上昇して、それぞれ上下型1、11の
裏面1b,11bに接触し、上下型1、11の熱を熱伝
達部材2、12が奪うことで冷却を行う。この状態を図
6に示す。
【0023】成形レンズ6aの冷却が完了すると、下型
11を下降させ、成形レンズ6aと上下型1、11とを
分離する。この状態を図7に示す。図7では、熱伝達部
材2、12が上下型1、11と接触した状態を表示して
いるが、必ずしもその必要はない。下型11が下降端ま
で到達し停止すると、熱伝達部材2、12は図4同様の
初期位置に戻る。この状態を図8の示す。図8のよう
に、熱伝達部材2、12の初期位置への移動は、下型の
下降中に行っても差し支えない。熱伝達部材12が初期
位置に戻った後、下型ユニットベース10内では、図2
におけるブロー吐出用ノズル22より、冷却ブローが熱
伝達部材12に吹きつけられ、熱電対12Ta,12T
b,12Tcからの信号により所定の温度に達するまで
冷却される。上型1を保持する上型ユニットベース91
内にても同様に熱伝達部材2の冷却が行われる。
【0024】本実施例の作用を説明する。従来技術によ
る冷却手段の成形方法では、本実施例と同様に成形レン
ズの周辺から冷却ブローによって冷却する手段を併用し
ているが、偏肉の大きい凸レンズの場合、肉厚が薄く、
外部からの冷却ブローを直接受ける外周部は急速に冷却
され、一方肉厚が厚い中心部では冷却作用が及びにくく
外周部と中心部とで大きな温度差が生じていた。本実施
例では、熱伝達部材による内側からの冷却手段でこの温
度差を緩和し、しかも熱伝導率の異なる複数の構成部材
で熱伝達部材を形成することにより、成形レンズの蓄熱
状態の内外差を精度よく相殺することができる。
【0025】本実施例の効果について説明する。図9〜
図10は、成形工程において、冷却が完了し、離型を行
う直前の成形レンズ6aの温度分布を示す断面図であ
る。図9は従来技術による温度分布を、図10は本実施
例による温度分布を表示している。図9の場合、肉の厚
い中心部ほど高温の割合が増え、かつ冷却作用が及びに
くい中心部ほど温度勾配が大きく、中心内部がかなりの
高温になっている。そのため、温度差による歪みが大き
く、割れなどが発生し易い状態である。それに対して、
図10の場合は温度勾配が小さく、また外周から中心ま
で温度の勾配が均一になっており、極端に温度差を生ず
る部位がなく、歪みの発生するリスクが小さいことがわ
かる。
【0026】
【実施例2】図11〜図12は実施例2を示し、図11
は可動式エアーノズルの正面断面図、図12はエアーノ
ズル先端の変形例を示す斜視図である。本実施例は、実
施例1の固定式のブロー吐出用ノズルに替えて、可動式
エアーノズルを採用するものであり、他の構成は実施例
1と共通なので、異なる部分のみを説明し、共通部分の
説明を省略する。
【0027】図11において、熱伝達部材12が下降端
の位置にあるとき、可動式エアーノズル23が破線で示
す23bの位置まで前進して、冷却ブローを熱伝達部材
12の真上から熱伝達部材12の端面に向けて吐出す
る。ブロー終了後は、熱伝達部材12の上昇を阻害しな
いように充分に後退する。本実施例では、図11に示す
ように、可動式エアーノズル23を連結ロッド24で繋
いだエアーシリンダ33により進退駆動させているが、
所要の作動ができれば電動シリンダなど直進往復運動自
在な手段に替えてもよい。
【0028】本実施例では、熱伝達部材の真上から冷却
ブローを行うため、冷却範囲が部材端面に限定でき、端
面の冷却能力を強化する。それ以外の作用は実施例1と
同様である。
【0029】熱伝達部材への冷却能力が強化されること
で、所定の温度までに達する時間が短縮することから、
成形作業のサイクルタイムも短縮する。それ以外の効果
は実施例1と同様である。
【0030】本実施例の可動式エアーノズル23の先端
には単一の吐出口23hが形成されているが、これに替
えて、図12に示すように、複数の吐出口25hを有す
る多孔式可動エアーノズル25を用いてもよい。端面の
大きな熱伝達部材12を用いる場合に効果がある。
【0031】
【実施例3】図13は実施例3を示し、成形装置の横断
面図である。本実施例は、実施例1の熱伝達部材の横断
面方向の熱伝導率分布が輪帯状に変化させるのに替え
て、熱伝導率分布を直線状に変化させるものであり、他
の構成は実施例1と共通なので、異なる部分のみを説明
し、共通部分の説明を省略する。
【0032】図13において、16は成形型で、中心部
に長方形断面の凹陥部16hを基端部から設けている。
この凹陥部16hには、これと遊嵌する長方形の熱伝達
部材14が挿入されて、実施例1と同様に成形型16の
成形面の裏面に密着するように構成されている。熱伝達
部材14は、互いに異なる熱伝導率からなる構成部材1
4a,14b,14cを直線状に配設してあり、その熱
伝導率をka,kb,kcとすると、成形レンズが凸レ
ンズの場合は ka=kb,kc>ka、 成形レンズが凹レンズの場合は ka=kb,kc<ka、 となるように構成する。
【0033】このように構成したのは、ガラス素材の加
熱軟化後、実施例1の図1のように、搬送アーム95に
よりガラス素材6を収めたレンズホルダ5を搬送する過
程で、加熱炉96を常に往復している搬送アーム95は
かなり高温になっており、レンズホルダ5が搬送アーム
95に接している部分はガラス素材6も搬送アーム95
からの熱をうけて高温となるからである。図13におい
て、搬送アーム95の進行方向をX、進行方向に垂直な
方向をYとした場合、Y方向に配置された熱伝達部材1
4の構成部材14a,14bがガラス素材6の搬送アー
ム95から熱をうける部分に合致するので、成形型16
の他の部分より冷却速度を速めることになる。また、熱
伝達部材14の構成部材14cは、成形レンズの中心部
を冷却するので、成形レンズの凹凸による偏肉に合わせ
て、構成部材14a,14bとの配置を上記のように構
成している。以上のように構成することで、成形レンズ
の偏肉による温度分布の偏りと、成形装置などの環境に
よる温度分布の偏りの双方を相殺し、均一な冷却を行わ
せ、熱歪みなどの発生を抑制することができる。
【0034】本実施例では、一例として偏肉の大きいレ
ンズを成形する場合を取り上げたが、プリズムのような
長方形で非対称の光学素子の場合には、熱伝達部材14
の異なる熱伝導率の構成部材の配置を、光学素子の厚さ
に合わせてることにより、均一な冷却を行うことができ
る。従って、本実施例では、光学素子の形状に合わせ
て、冷却能力の設定を任意に行うことができる。
【0035】本実施例によれば、冷却能力の分布を任意
に設定できるので、温度分布がレンズに対して非対称の
場合の補正や、プリズムなど形状自体が非対称のもので
も、温度分布の均一化ができ、温度差による歪みを軽減
することができる。
【0036】
【実施例4】図14〜図16は実施例4を示し、図14
は成形装置の要部を示す縦断面図、図15〜図16は光
学素子の温度分布を示す断面図である。本実施例は、実
施例1の凸レンズの成形に替えて、凹レンズの成形を行
うものであり、他の構成は実施例1と共通なので、異な
る部分のみを説明し、共通部分の説明を省略する。
【0037】図14において、2は上型で、凹レンズを
成形するため、成形面は凸面に形成されている。21は
下型で、同様に成形面は凸面に形成されている。熱伝達
部材3、13は実施例1と同様に輪帯状に形成されてい
るが、構成部材3a,3b,3cおよび13a,13
b,13cの配列は実施例1と異なり、それぞれの熱伝
導率をkA,kB,kCおよびka,kb,kcとする
と、kC>kB>kAおよびkc>kb>kaの配列と
なっている。即ち、凸レンズの場合とは逆に、外側ほど
熱伝導率の高い構成部材を配する構成となっている。
【0038】本実施例では、凹レンズの成形に適用する
ので、肉の厚い外周部ほど冷却能力が高くなり、結果的
に均一な冷却を行うことができる。それ以外の作用につ
いては、実施例1と同様である。
【0039】本実施例の効果について説明する。図15
〜図16は、成形工程において、冷却が完了し、離型を
行う直前の成形レンズ6aの温度分布を示す断面図であ
る。図15は従来技術による温度分布を、図16は本実
施例による温度分布を表示している。図15の場合、外
周に高温部の塊が生じ、これが熱歪みによる割れなどを
発生させていたが、本実施例の図16には、図15に見
られた熱塊はなく、成形レンズ内部の温度差も緩和され
ているのがわかる。このように、凹レンズの場合であっ
ても熱歪みがなく、高精度の成形レンズを得ることがで
きる。
【0040】
【実施例5】上記各実施例は、すべて上下双方の成形型
について、熱伝達部材による冷却手段を適用する場合を
示しているが、成形レンズの偏肉が比較的小さいレン
ズ、例えばメニスカスレンズなどは、上下成形型双方に
適用しなくても充分効果がある場合には、上下型のいず
れか一方のみに熱伝達部材による冷却手段を適用する。
それ以外の構成は実施例1〜4と同様であるので、説明
を省略する。
【0041】本実施例の作用では、上記構成により上下
型のいずれか一方のみに、実施例1〜4で説明した作用
が発生する。
【0042】本実施例によれば、成形レンズの偏肉が比
較的小さい成形工程において、実施例1〜4と同様な効
果が得られる外、上下型のいずれか一方にのみ熱伝達部
材による冷却手段を適用するため、治工具費用が低廉で
済むという効果がある。
【0043】
【発明の効果】請求項1〜3に係る発明によれば、熱伝
導率の異なる構成部材の配置に従って、成形型の温度分
布を自由に制御できるので、偏肉の大きい凸または凹レ
ンズなどの光学素子を高精度に成形することができる。
請求項2に係る発明によれば、上記効果に加え、成形型
の成形面の温度制御を能率良く行い、成形作業のサイク
ルタイムを短縮することができる。請求項3に係る発明
によれば、上記効果に加え、光学素子の厚肉部の冷却速
度を速めるので、成型中のレンズ内部を均等な温度にな
るように冷却でき、温度差からくる割れやヒケなどがな
くなり、歩留りの高い成形を行うことができる。請求項
4〜5に係る発明によれば、熱伝導率の異なる構成部材
の配置に従って、成形型の成形面の温度を降下させ、偏
肉の大きい凸または凹レンズなどの光学素子を高精度に
得ることができる。請求項5に係る発明によれば、成形
作業のサイクルタイムが短縮され、作業能率を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の成形装置全体の概略構成図である。
【図2】実施例1の図1のA部詳細断面図である。
【図3】実施例1の熱伝達部材の詳細断面図である。
【図4】実施例1の光学素子の成形方法を示す工程図で
ある。
【図5】実施例1の光学素子の成形方法を示す工程図で
ある。
【図6】実施例1の光学素子の成形方法を示す工程図で
ある。
【図7】実施例1の光学素子の成形方法を示す工程図で
ある。
【図8】実施例1の光学素子の成形方法を示す工程図で
ある。
【図9】実施例1の光学素子の温度分布を示す断面図で
ある。
【図10】実施例1の光学素子の温度分布を示す断面図
である。
【図11】実施例2の可動式エアーノズルの正面断面図
である。
【図12】実施例2のエアーノズル先端の変形例を示す
斜視図である。
【図13】実施例3の成形装置の横断面図である。
【図14】実施例4の成形装置の要部を示す縦断面図で
ある。
【図15】実施例4の光学素子の温度分布を示す断面図
である。
【図16】実施例4の光学素子の温度分布を示す断面図
である。
【図17】従来技術1の成形型の縦断面図である。
【図18】従来技術1の成形型の縦断面図である。
【図19】従来技術2の成形型の縦断面図である。
【符号の説明】
11 下型 11a 成形面 11b 裏面 11c 基端部 11h 凹陥部 12 熱伝達部材 12a,12b,12c 構成部材 12R 先端部 32 熱伝達部材昇降装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】端面に成形面を有するとともに該成形面の
    裏面に向けて基端部より中空の凹陥部を形成した成形型
    と、熱伝導率が異なる複数の構成部材よりなり前記成形
    面の裏面に密着する形状の先端部を有し前記凹陥部内に
    挿抜自在な熱伝達部材と、該熱伝達部材を前記凹陥部内
    に挿抜させる駆動手段とを備えて構成したことを特徴と
    する光学素子の成形装置。
  2. 【請求項2】前記熱伝達部材を所定温度に加熱または冷
    却する温調装置を備えたことを特徴とする請求項1記載
    の光学素子の成形装置。
  3. 【請求項3】前記熱伝達部材は、光学素子の肉厚が厚い
    領域ほど熱伝導率が高い構成部材を配設してなることを
    特徴とする請求項1記載の光学素子の成形装置。
  4. 【請求項4】加熱軟化したガラス素材を一対の成形型に
    より押圧成形する光学素子の成形方法において、 成形面の裏面に向けて基端部より中空の凹陥部を形成し
    た成形型の成形面に加熱軟化したガラス素材を載置し、
    押圧成形を開始してから終了するまでの間、前記中空の
    凹陥部に挿入して、前記成形面の裏面に熱伝導率が異な
    る複数の構成部材よりなる熱伝達部材を密着させること
    を特徴とする光学素子の成形方法。
  5. 【請求項5】押圧成形終了後、前記熱伝達部材を前記中
    空の凹陥部から抜出して強制冷却することを特徴とする
    請求項4記載の光学素子の成形方法。
JP27584294A 1994-10-13 1994-10-13 光学素子の成形装置と成形方法 Withdrawn JPH08109033A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN115259635A (zh) * 2022-07-01 2022-11-01 天津大学 一种玻璃透镜模压成形方法

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