JPH08108408A - 燻煙処理壁孔壁破壊木材 - Google Patents

燻煙処理壁孔壁破壊木材

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JPH08108408A
JPH08108408A JP27295594A JP27295594A JPH08108408A JP H08108408 A JPH08108408 A JP H08108408A JP 27295594 A JP27295594 A JP 27295594A JP 27295594 A JP27295594 A JP 27295594A JP H08108408 A JPH08108408 A JP H08108408A
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wood
gas
lumber
hole
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JP27295594A
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Minoru Ando
實 安藤
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CHUO MOKUZAI KAIHATSU KK
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  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、木材を構成する細胞の細胞膜上の
壁孔壁を人為的に破壊せしめて、しかる後、木材の乾燥
状態を容易に達成せしめるようにしたものである。すな
わち、伐採された木材は、前記壁孔壁のト−ルスが、特
に、対で構成される壁孔の一方側の孔または他方側の孔
を閉塞してしまうので、細胞内部の水分が抜けにくくな
ることに鑑み、この壁孔壁の閉塞を阻止して、すなわ
ち、壁孔自体を破壊することによって、破壊後は、細胞
内の水分が容易に抜け出るのを助長せしめんとするもの
である。 【構成】 本発明は、木質燃料を燃焼させ、発生する木
ガスによる煙が充満された処理室内に被処理木材を所定
時間放置することによって、これらの木ガス成分によ
り、伐採された木材の前記壁孔のト−ルスが、対で構成
される壁孔の一方側の孔または他方側の孔が閉塞するの
を阻止し、これらの壁孔に間隙が生じるようにしたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木材に燻煙処理を施し
て、木材乾燥が効果的に行われるようにすることを目的
とする木材を構成する細胞間の壁孔を破壊した壁孔壁破
壊木材に関する。
【0002】
【従来の技術】元来、自然に成長した木材は、家屋や家
具調度品等、太古の昔から人間に不可欠なものである
が、家屋や家具調度品として木材を利用するためには、
これを充分に乾燥させた後に加工して使用しなければな
らない。
【0003】なぜならば、伐採したばかりの木材は、多
量の水分を含み、木材は、この含水率の多い、少ないに
よって経年的に収縮や膨張が生じ、形量の過不足が生じ
たり、また、含水率の変化によって木材の物理的、科学
的諸性質が変化するので、この含水率を軽減するため
に、これまでは、長時間をかけて充分に乾燥を行い、木
材の変形が生じなくなってから、これを加工するように
してきた。
【0004】この木材乾燥に関しては、数十年の年月を
かけて行われる自然乾燥のほか、加熱温風下で、前記木
材含有水分を強制的に蒸発させる人工乾燥も行われてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の木材の乾燥を、木材を構成する細胞レベルで見ると、
これまでの木材乾燥は、これら木材を構成する細胞内に
含有する水分を、長時間かけて自然に、または、加熱等
の人工的諸工程を加えて強制的に除去しようとするもの
であったといえる。
【0006】ところが、木材は、伐採までは生命を宿
し、一部の枝葉に損傷を受け、細胞間に水分傾斜が生じ
たような場合にも、これら木材を構成する細胞群のう
ち、とりわけ、これら損傷を受けた枝葉につながる仮導
管や導管を構成する細胞間に存する壁孔を閉じて、含有
する水分が消失しないようにする自助作用が自律的に行
われるとされている。
【0007】すなわち、木の成長には、養分や水分が必
要であり、仮導管あるいは導管と称される細胞群からな
る管を通じて、根から吸収した養分や水分を木の幹や枝
葉を通じて、それらの各器官の細胞に送り込むように構
成されており、木材の各器官を構成する個々の細胞は、
この仮導管や導管との間で、あるいは、細胞相互間で、
これらの養分や水分を授受する仕組みが成立している。
そのため、これらの細胞間では、細胞膜上に壁孔(従来
は、紋孔として説明されている。)と称される小さい孔
隙が多数に存在して形成されている。
【0008】そして、この壁孔は、後述するように、二
細胞間に対をなして存在しており、これを称して壁孔対
と称されることもある。この基本構造を模式的に示せ
ば、図1のように示すことができる。図1(a)は、壁
孔壁の断面の基本構造を示した模式図であり、同(b)
は、同壁孔膜の平面の模式図である。図中、1は、ト−
ルスを、2は、マルゴを、31および32は、壁孔を示
す。また、この細胞間の壁孔の電子顕微鏡写真を図2
(a)(b)に示す。
【0009】このような基本構造の壁孔壁(多数の壁孔
を有する細胞膜)を有する樹木の細胞は、成長する際に
は、前記ト−ルス1と、前記壁孔対の一方側の孔31
たは他方側の孔32の間に間隙を設けて、この間隙を通
じて、樹木の成長に必要な養分や水分を細胞間に供給す
るように構成されている。
【0010】すなわち、これらの壁孔対の中間には、壁
孔膜と称される膜が存在し、さらに、該膜は、ト−ルス
1とマルゴ2とが存在して、樹木が伐採される等の理由
により、一旦、これらの木材を構成する細胞群の一部が
破壊され、細胞間に水分傾斜が生じると、前記木材を構
成する細胞自体の自助作用によって、前記細胞膜上の壁
孔31、32をマルゴ2又はト−ルス1によって閉塞し、
水分傾斜を維持して、細胞内部に含有する水分を外部に
排出しないような仕組みができ上がっている。
【0011】すなわち、木材を構成する細胞から含有す
る水分の蒸発を防ぐため、前記ト−ルス1は、対となっ
た壁孔の一方側の孔31または他方側の孔32を閉塞して
(模式的に示せば、図1(c)および(d)の模式図の
ように示すことができる。)、水分傾斜を阻止するよう
にする。
【0012】このため、木材の乾燥に関し、充分な乾燥
を達成しようとすれば、この閉塞された壁孔壁内に存在
する水分が抜け出るのを待つ他はなく、これが、木材乾
燥に長時間を必要とし、または、強力な加熱処理等をし
て、細胞内の水分を強制的にも除去しなければならない
原因であった。
【0013】また、完全な木材乾燥を達成するには、長
時間(長いものでは数十年間もの間)木材を軒下等にお
いて自然に乾燥するのを待ったり、一定の加熱炉におい
て、所定の加熱を試みたり、あるいは、熱水中に所定時
間浸漬したりして乾燥を早める作業を行っていたが、自
然乾燥をするには、長い間材料となる木材を寝かせてお
かなければならず、殊に、名木たる高価な木材材料を寝
かせておくには、コスト高を招いていたし、人工乾燥に
おいては、乾燥状態が、自然乾燥に勝るものではなく、
また、局所的に加熱されるおそれがあるなどして、やや
もすると歪みや変形の原因ともなっていた。
【0014】さらに、人工乾燥には、所定の設備に費用
がかかり、歪みやそりを生じさせてはならない高級なも
のには使用できない反面、安価な材料にはコストアップ
を招来する等、結果的に優れたものではなかった。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、これら従来か
ら行われている木材乾燥の概念を根底から覆し、木材を
構成する細胞の細胞膜上の壁孔壁を人為的に破壊せしめ
て、しかる後、木材の乾燥状態を容易に達成せしめるよ
うにしたものである。すなわち、伐採された木材は、前
記壁孔壁のト−ルス1が、特に、対で構成される壁孔の
一方側の孔31または他方側の孔32を閉塞してしまうの
で、細胞内部の水分が抜けにくくなることに鑑み、この
壁孔壁の閉塞を阻止して、すなわち、壁孔自体を破壊す
ることによって、破壊後は、細胞内の水分が容易に抜け
出るのを助長せしめんとするものである。
【0016】具体的には、木質燃料を燃焼させ、発生す
る木ガスによる煙が充満された処理室内に被処理木材を
所定時間放置することによって、これらの木ガス成分に
より、伐採された木材の前記壁孔のト−ルス1が、対で
構成される壁孔の一方側の孔31または他方側の孔32
閉塞を阻止し、これらの壁孔に間隙が生じるようにした
ものである。
【0017】
【作用】本発明では、木材を構成する細胞の細胞膜上の
壁孔を人為的に破壊せしめて、木材を構成する細胞間に
水分傾斜が生じた場合に閉塞する弁機構である前記マル
ゴ2およびト−ルス1と、壁孔31、32の間に水分等が
通過する間隙を生じさせ、その後は、細胞内の含有水分
を容易に除去せしめるようにして、木材の乾燥状態を容
易に達成せしめようというものである。すなわち、伐採
された木材は、前記壁孔のマルゴ2およびト−ルス1
が、対に構成される壁孔の一方側の孔31または他方側
の孔32を閉塞してしまうので、これを阻止する間隙を
人為的に形成せしめ、その後は、細胞内の水分が容易に
抜け出るのを助長するようにしたものである。
【0018】本発明において、木室燃料を燃焼させた木
ガスないに被処理材を所定時間放置することにより、何
ゆえに、該壁孔壁が破壊されるのかは、その詳しい知見
は必ずしも明らかではないが、おそらくは、気化された
木ガス、または、木ガス燃焼ガスのタ−ル成分、さらに
は、木材に含有する樹脂分等が木材内部に浸透し、壁孔
壁の各部に付着することにより、壁孔壁が完全な閉塞状
態を生じさせない(付着物は、タール状または粒状にな
っている)ことと推察できる。
【0019】
【実施例】本発明に係る木ガスによる木材を構成する細
胞間の壁孔を破壊する装置の一実施例を図面にもとづい
て説明する。
【0020】図1は、本発明の木ガスによる木材の細胞
間の壁孔を破壊する処理炉の側断面図であり、図1中、
符号1は、空気吸入口、2は、木質燃料、3は燃料投入
口、4は、ロストル、5は、該燃焼室と風道によって連
結され、内部に高密度溶岩等が充填され、炉内温度を平
均化して保持せしめる温度維持促進室、6は、木ガスを
通す風道、7は、全体を風雨から守る屋根、8は、燃焼
室側処理室27の壁面、9は、炉壁体を構成するコンク
リート製のボックスカルバート、10は、処理室27内
の熱を外に逃がさないようにするガラスウール断熱材、
11は、処理室27内の熱を遠赤外線に効率よく変換す
るセラミックスボード、12は、木材の間に木ガスの流
通をよくするために被処理木材16間に入れられる棧、
13は、処理室27内に木ガスを引き込む換気扇、14
は、前記換気扇13の回転により、前記処理室27の余
分の木ガスを外部に排出する風道管、15は、被処理木
材16を搬入、搬出する後部扉、16は、被処理木材で
ある。
【0021】また、17は、トロッコ台に設けられ、被
処理木材16の荷崩れを防ぐ方立て、18は、同トロッ
コ用レール、19は、同トロッコ台である。さらに、2
0は、前記燃焼室側処理室側面に開けられた木ガスを通
す風穴、21は、燃焼の火のこが、前記処理室27内に
入り込まないように設けられた白金網またはステンレス
網である。
【0022】また、22は第2の温度維持促進室であ
り、内部の高密度溶岩等23により、処理炉内温度を平
均的に保持せしめるように構成される。24は、燃焼用
ロストルであり、25は、耐火レンガ、27は、処理
室、28は、燃焼室である。なお、本実施例において
は、木ガスの火炎が、上記促進材や白金網等を通過させ
ることにより、木ガスの火のこをろ過して、加熱処理木
材の着火を未然に防ぐ働きをしている。
【0023】このために、処理室27の壁面8に設けた
風穴は下部ほど大きくしてあり、処理室内の木ガスの濃
度が、上部と下部が同じようになるように工夫したもの
であり、形や大きさ、位置、数等は特定したものではな
い。次に、この装置を用いて木ガスによる木材の壁孔壁
を破壊する方法を説明する。
【0024】前記処理室27の後方部扉15を開けてト
ロッコ19に棧積みした木材16を収納して扉を閉め、
換気扇13を回転させながら、木質燃料に着火し、木ガ
スを発生させる。該木ガスは、風道6、処理室27の風
穴20を通り抜けて、処理炉内にたまり、木材を燻煙す
る。そして、炉内に差し込んだガスセンサーを見ながら
木質燃料の補給を空気吸入口1の開閉を行って、処理室
の木ガスの濃度を所望の範囲に調節を行う。
【0025】本実施例の処理炉によれば、密度の高い溶
岩等23に蓄熱させ、木ガスによる処理を促進させるこ
ととしたので、木ガスによる燻煙むらを防ぎ、夜間にお
ける燃料の補給をしなくても、処理室内の木ガス濃度の
低下を最小限に留めることができ、したがって、夕方退
社する際に丸太の切れ端等の火持ちのよい燃料を補給
し、火が消えない程度に空気吸入口の開きを小さくして
退社すれば、空気吸入口からは少量の空気しか流入しな
いので、前記木質燃料は小さくくすぶり続け、翌朝出社
時まで十分に木ガスを発生させることができるようにし
たものである。
【0026】また、出社時には、木質燃料を補給すると
共に空気の流入量を多くすると、処理炉内は直ちに多量
の木ガスで充満され、日中は2時間おき位にセンサーの
ガス濃度を確認する程度ですむ。このように、処理炉内
は、木ガスで充満されると共に、処理炉内は、60〜1
40℃前後に上昇、下降を繰り返し、このくりかえしを
2〜3日間行ってから、前記空気吸入口1を密閉し、約
2日間位かけて徐冷して木材の内部温度が常温に近づい
た時に、炉外に取り出し、必要に応じて小割り製材を行
い、天然乾燥又は人工乾燥機に入れて乾燥させる。
【0027】図4(a)は、このような調整のもとに処
理をした際の炉内の温度の状態を示す図である。すなわ
ち、図4(b)に示すように、スギ16cm丸太を数十
本をトロッコ19上に配置し、供試木上部丸太として配
置された丸太材の上部約1.5mの高さに配置された丸
太と、同供試木下部丸太として配置丸太の中心部約1.
0mの高さに配置された丸太を各2点の材間温度と、処
理炉内の高さ1mの位置(図4(b)参照)に設けられ
た温度センサを用いて、炉内の温度を計測したものであ
り、その計測結果が、図4(a)に示されている。
【0028】測定は、平成6年2月28日から同年3月
4日にかけて行われた。最初に、スギ16cm丸太を炉
内に数十本配置し、2月28日午前8時30分ころ木質
燃料に着火した。この間、約2時間おきに、夕方の退庁
時まで、4回程度燃料を補給した。図4(a)に示され
るように、前記木質燃料の燃焼により、炉内温度および
材間温度は、それぞれ上昇し、着火後、約4時間で炉内
温度は最高140℃近くまで上昇した。
【0029】着火後、燃料2の消失により、火勢が衰え
たので、着火後4時間余で燃料2を補給した。燃料2の
補給により、炉内温度は120℃近くまで降下したが、
補給された燃料2の燃焼により、再び炉内温度は、上昇
し、130〜140℃間を推移していた。その後、燃料
2は、消失していたが、炉内温度が、130〜140℃
を推移していたので、燃料2の補給はしないでいた。
【0030】しかしながら、夕方の退庁時間となり、炉
の監視を続けるわけには行かないので、燃料2を補給
し、無人運転に任せた。このとき、燃料2が完全になく
なるのを避ける意味から、前記空気吸入口1を狭め、投
入された燃料2が持続して長時間燃焼するようにした。
このときの燃料2の補給により、炉内温度は、若干上昇
するも、炉内温度は、その後、なだらかに下降をたどっ
た。
【0031】翌朝(3月1日)、登庁し、着火後略24
時間経た時点で再び燃料2を補給した。補給された燃料
2に着火し、炉内温度は、再び120℃まで上昇した。
着火後28時間程度で、補給された燃料2が消失したの
で、再び燃料2を補給した。この場合には、炉内の温度
は降下することなく、この補給された燃料2の燃焼によ
り、炉内温度は、130〜140℃を推移した。その
後、着火後、39時間程度で燃料2の補給を停止し、ロ
ストル4内の燃料2が自然に消失するのに任せた。
【0032】着火後、48時間を経て、空気口を密閉
し、約2日間位かけて徐冷して木材の内部温度が常温に
近づいた時に、室外に取り出し、必要に応じて小割り製
材を行い、天然乾燥又は人工乾燥機に入れて乾燥させ
る。
【0033】上記の処理をしたスギ材の組織構成と、処
理をしないスギ材の組織構成を電子顕微鏡(5,000
〜6,000倍)にて観察した。このため、スギ材の仮
導管を縦にマイクロト−ンで切片を作った。図5(1)
〜(3)は、未処理材の組織構成の電子顕微鏡写真であ
り、仮導管の構成する壁面の散在する壁孔を正面から見
たものである。
【0034】図5(1)ないし(3)から明らかなよう
に、これらの写真ではともに前記トールス1及びマルゴ
2の表面には木ガス及び燃焼ガス、更には木材内部の樹
脂分等による固着物は全く見られず、水分傾斜が生じれ
ば壁孔壁が機能して、開塞壁孔となり、細胞内の水分を
抜けにくくし、乾燥に充分時間を要することは想像に難
くない。
【0035】一方、図6(1)ないし(3)に示す写真
においては壁孔、マルゴ、トールス及び仮導管に木ガス
及び木ガス燃焼ガス、樹脂分等の固着物が検知され、ト
ールスで壁孔を閉塞する機能が完全に失われていること
が明確である。したがって、細胞内の水分はこの破壊さ
れた壁孔壁を通って、容易に抜け出ることになる。図6
(1)は供試材の木口から長さ方向に40cmほど入っ
たところの燻煙処理木のマルゴ、トールス、仮導管に固
形物が付着していることが見られる。
【0036】図6(2)(3)は供試材の木口から1c
mのところの燻煙処理木であり、マルゴとトールスが区
別できないほど多くの固形物が付着していて、壁孔壁の
機能が完全に失われていることが明確である。
【0037】このような状態の下では、閉じ込められた
ままで維持される細胞内の水分は容易に抜け出ることが
できる。一般に、スギ材の、特に、芯材の水分が抜けに
くいといわれているが、上記処理をしたものは、これに
当てはまらないものである。念の為に、処理した木材
と、未処理の木材について、閉鎖壁孔の割合を計数して
みた。
【0038】この計数に関しては、上記処理を行って、
その材の「辺材」、「白線帯」および「心材」を選び、
いずれも、木口から1cmおよび40cmのところから
切り取ったものを使用した。一方、参照のため、処理を
しない同材の「辺材」、「白線帯」および「心材」を切
り取り、それらの間で、破壊された壁孔の数を比較し
た。破壊の状態については、図7に示すように、図7
(A)の状態(すなわち正常な状態)に対し、同(B)
の状態(閉鎖壁孔状態)または同(C)の状態(壁孔部
分が、部分的に破壊された状態)に分類し、いずれも2
00個の壁孔を見て、その比較をした。表1は、その結
果を示すものである。
【0039】
【表1】 表1によれば、無処理材においては損傷壁孔(前述、図
7(C)に示したもの)は、辺材部、白線帯、心材部と
も7%の比率であるのに対し、処理材においてっは、こ
の損傷壁孔の割合は、木口より1cmの部位では、辺材
部で19%、白線帯で17%、心材部で13%に増加し
ていることが知れる。すなわち、いづれも1.9〜2.
7倍の増加し、したがって、これらの損傷壁孔によっ
て、両細胞間に水分傾斜が生じた場合には、その水分傾
斜が平滑化する方向に働くことを示している。
【0040】また、木口より40cmの部位で計数した
ところによれば、該損傷壁孔は、辺材部で21%、白線
帯で16%、心材部で11%にも達し、いづれも無処理
材に比し、1.6〜3.0倍の数値を示し、その分、細
胞内の含有水分が、1.6〜3.0倍の比率で、移動し
やすくなっていることを示している。さらに測定精度を
高めるため、処理材の木口より1cmの部位でそれぞれ
500個の壁孔を電子顕微鏡写真を見て調べた結果が表
2のとおりである。
【0041】
【表2】 表2から明らかなように、上記処理を行った材と無処理
材とを比較すれば、無処理材の損傷壁孔は辺材部で12
%、白線部で6%、心材部で6%となり、平均値で8%
の割合で存在しているのに対し、処理材では、木口より
1cmの部位では、損傷壁孔の存在比率は、辺材部で
は、51%、白線帯では、23%、心材部では、23
%、平均値で33%の存在割合を示し、無処理材に対し
て4.1倍強の発生率になっている。したがって、この
ような損傷壁孔が増加するに従い、細胞間に水分傾斜が
生じたとしても、この増加分だけ含有水分の抜けが速ま
る(乾燥が速まる)ことになり、処理後、木材乾燥が容
易に行われることになる。
【0042】このことからすれば、上記破壊壁孔を有し
た木材は、当初は、細胞中の水分は含有されているが、
処理後、幾日も経たずに、やがて、その水分が抜け出
て、乾燥が容易に行われる。このため、導管や仮導管を
通じた水分の抜けが向上し、天然乾燥だけでおこなって
も短時間に乾燥状態を得ることができる。また、導管や
仮導管をつうじた水分の抜けが向上するので、急激な乾
燥である人工乾燥を行っても、未処理の場合と比較し
て、材に「割れ」や、「そり」が生じることがない。
【0043】
【効果】本発明によれば、木材の細胞間に存在する壁孔
を完全に又は部分的に破壊して、壁孔壁に間隙が生じる
ようにしたので、その後の木材乾燥工程において、木材
を構成する細胞内に含有する水分が容易に抜け出て、木
材乾燥が容易に行われるという優れた効果を有する。
【0044】特に、木材を構成する細胞内の水分の除去
が速やか、かつ、心材部、辺材部ともに等しく行われる
結果、乾燥される木材は、ひび割れや、曲り、ねじれ、
そり等が生じにくく、品質の向上した木材を提供でき
る。
【0045】また、木材の細胞間に存在する壁孔が破壊
され、壁孔壁に間隙が生じたので、この間隙を通じて、
防腐、防虫剤を容易に注入することができ、スギ材やカ
ラマツ材であっても、これを建築用土台として使用する
ことができる。さらには、壁孔壁が開口した木材は、音
響的効果が高まることが知られており、この結果、木材
の細胞間に存在する壁孔を破壊し、壁孔壁に間隙を生じ
させた木材は、楽器材としての活用することができ、通
常では、使用できなかった材にも、楽器材としての道を
開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、壁孔壁の基本構造を示した模式図で
あり、(a)は、断面構造を、同(b)は、平面構造
を、(c)、(d)は、ト−ルスが、壁孔の一方側の孔
1または他方側の孔32を閉塞して、細胞内の含有水の
移動を阻止するのを模式的に示す図
【図2】 図2は、木材を構成する細胞間の壁孔の電子
顕微鏡写真
【図3】 図3は、本発明に係る木材を構成する細胞間
の壁孔破壊して、壁孔壁破壊木材を生成するための一実
施例の処理炉を示す概略図
【図4】 図4は、処理の際の炉内温度および材間温度
の状態を示す図
【図5】 図5(1)〜(3)は、未処理材の組織構成
の電子顕微鏡写真であり、仮導管の構成する壁面に散在
する壁孔を正面から見た図
【図6】 図6(1)〜(3)は、前記実施例処理炉に
おいて処理した処理材の同組織構成電子顕微鏡写真
【図7】 図7は、壁孔壁の破壊状態の分類を示す図
【符号の説明】 1・・・空気吸入口 2・・・木質燃料 3・・・燃料投入口 4・・・ロストル 5・・・促進材室 6・・・風道 7・・・屋根 8・・・処理炉の壁面 9・・・ボックスカルバート 10・・・ガラスウール断熱材 11・・・セラミックスボード 12・・・棧 13・・・換気扇 14・・・風導管 15・・・後部扉 16・・・木材 17・・・方立て 18・・・トロッコ用レール 19・・・トロッコ台 20・・・風穴 21・・・白金網(又はステンレス網) 22・・・壁孔破壊促進室、 23・・・高密度溶岩等 24・・・燃焼用ロストル 25・・・耐火レンガ 26・・・扉 27・・・処理室 28・・・燃焼室

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材を構成する細胞間の壁孔が破壊され
    た壁孔壁を有する壁孔壁破壊木材。
  2. 【請求項2】 前記破壊された壁孔壁は、木材を構成す
    る細胞間で対に構成される壁孔対の内の一方または双方
    の壁孔壁の周辺部に木ガスまたは木ガス燃焼ガスのター
    ル成分が付着して破壊された壁孔壁であることを特徴と
    する請求項1記載の壁孔壁破壊木材。
  3. 【請求項3】 前記破壊された壁孔壁は、木材を構成す
    る細胞間で対に構成される壁孔対の内の一方または双方
    の壁孔壁の周辺部に木材に含有する樹脂成分が付着して
    破壊された壁孔壁であることを特徴とする請求項1記載
    の壁孔壁破壊木材。
  4. 【請求項4】 前記破壊された壁孔壁は、前記壁孔対の
    内側のマルゴ部に木ガスまたは木ガス燃焼ガスのタール
    成分が付着して破壊された壁孔壁であることを特徴とす
    る請求項1記載の壁孔壁破壊木材。
  5. 【請求項5】 前記破壊された壁孔壁は、前記壁孔対の
    内側のマルゴ部に木材に含有する樹脂成分が付着して破
    壊された壁孔壁であることを特徴とする請求項1記載の
    壁孔壁破壊木材。
  6. 【請求項6】 前記破壊された壁孔壁は、前記壁孔対の
    内側のト−スル部に木ガスまたは木ガス燃焼ガスのター
    ル成分が付着して、両細胞間のト−ルスによる密着が阻
    害された壁孔壁であることを特徴とする請求項1記載の
    壁孔壁破壊木材。
  7. 【請求項7】 前記破壊された壁孔壁は、前記壁孔対の
    内側のト−スル部に木材に含有する樹脂成分が付着し
    て、両細胞間のト−ルスによる密着が阻害された壁孔壁
    であることを特徴とする請求項1記載の壁孔壁破壊木
    材。
  8. 【請求項8】 被処理木材を木質燃料を燃焼した木ガス
    内に所定時間放置することにより、木材を構成する細胞
    間の壁孔を破壊する方法。
  9. 【請求項9】 前記細胞間の壁孔を破壊する方法は、被
    処理木材を木ガス内に放置するとともに、被処理木材を
    100℃程度にまで高めて処理したことを特徴とする請
    求項6記載の木材を構成する細胞間の壁孔を破壊せしめ
    る方法。
  10. 【請求項10】 空気吸入口を備え、木質燃料を投入
    し、燃焼させる燃焼室と、内部に高密度溶岩等を充填
    し、炉内温度を保持せしめる温度維持促進室と、木ガス
    を内部に引き込む換気扇を備える一方、内部の熱を外に
    逃がさないようにするガラスウール断熱材および/また
    はセラミックスボードを壁面および床面に備えた処理炉
    とからなることを特徴とする壁孔壁破壊木材製造装置。
JP27295594A 1994-10-12 1994-10-12 燻煙処理壁孔壁破壊木材 Withdrawn JPH08108408A (ja)

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CA002175075A CA2175075C (en) 1994-10-12 1995-10-12 Pit membrane-broken wood drying method and apparatus
AU36729/95A AU702960B2 (en) 1994-10-12 1995-10-12 Pit membrane-broken wood
NZ294042A NZ294042A (en) 1994-10-12 1995-10-12 Accelerated drying of timber using i.r. heating and prolonged exposure to products of wood combustion to produce wood with broken pit-membranes
US08/652,549 US5815945A (en) 1994-10-12 1995-10-12 Pit membrane-broken wood drying method and apparatus
CN95190427A CN1139900A (zh) 1994-10-12 1995-10-12 纹孔膜破坏的木材
KR1019960700103A KR960703712A (ko) 1994-10-12 1995-10-12 벽공벽 파괴목재
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WO2001066322A1 (fr) * 2000-03-06 2001-09-13 Technical System Keep Limited Company Procede de sechage du bois

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