JPH08108250A - 溶湯のインモールド処理方法 - Google Patents

溶湯のインモールド処理方法

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JPH08108250A
JPH08108250A JP24159594A JP24159594A JPH08108250A JP H08108250 A JPH08108250 A JP H08108250A JP 24159594 A JP24159594 A JP 24159594A JP 24159594 A JP24159594 A JP 24159594A JP H08108250 A JPH08108250 A JP H08108250A
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Tatsuya Masuda
田 達 也 増
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 処理剤の使用量を増加させることなく、鋳型
内で溶湯を均一に処理することができ、鋳造製品の部位
による組織および品質のばらつきを防止することができ
る溶湯のインモールド処理方法を提供する。 【構成】 鋳型1の反応室5内の下層側に固形状の黒鉛
球状化処理剤Asdを入れ、その上に粒状の球状化処理剤
Ap を載置しておくことにより、溶湯温度の低い注湯初
期においては反応室上層側の反応しやすい粒状の処理剤
Ap と反応させ、溶湯温度が高くなる注湯後半において
は反応室下層側に収納した反応しにくい固形状の処理剤
Asdと反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳型内に注ぎ込まれた
溶湯に、鋳型内の湯道途中に設けた反応室内にあらかじ
め入れておいた各種処理剤、例えばFe−SiやCa−
Siなどの接種剤を反応させることによって鋳物の組織
および機械的性質を改善したり,Mg系合金やCa系合
金からなる黒鉛球状化剤を反応させることによってコン
パクトバーミキュラ黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄を得たりす
るのに利用される溶湯のインモールド処理方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】球状黒鉛鋳鉄は、溶湯中に、Mg,Mg
系合金,Ca系合金,Si系合金,希土類元素系合金な
どからなる黒鉛球状化処理剤を添加することによって、
通常鋳放しのままで黒鉛が球状に晶出するようにしたも
のであって、黒鉛の球状化によって通常の鋳鉄にくらべ
て機械的性質が著しく向上し、鋼に匹敵する強度を有す
ると共に、延性や靭性にも富むことから、例えば自動車
用部品においては、クランクシャフト,ロッカアーム,
ピストンリング、あるいは足廻り部品などに使用されて
いる。
【0003】一方、このような球状黒鉛鋳鉄を得るため
の溶湯処理方法としては、黒鉛球状化処理剤を底に入れ
ておいた取鍋に溶湯を注ぎ込んだり、プランジャによっ
て黒鉛球状化処理剤を溶湯中に挿入したりして、鋳鉄の
溶湯と処理剤とを反応させる方法の他に、鋳型の湯口か
ら堰にいたる湯道途中に設けた反応室に球状化処理剤を
入れておき、鋳型に注ぎ込まれた溶湯を反応室内におい
て球状化処理剤と反応させながら鋳型キャビティに導く
ようにした、いわゆるインモールド法が実用化されてお
り、鋳型内で反応が行われるので球状化処理剤の歩留り
がよく、白煙の発生もなく作業性が良好であることか
ら、鋳鉄の黒鉛球状化処理方法として広く利用されてい
る。
【0004】すなわち、図5は、インモールド法による
黒鉛球状化処理に用いられる鋳型の一例を示す縦断面図
であって、図に示す鋳型100には、湯口101から製
品キャビティ102に至る湯道103の途中に反応室1
04が設けてあり、当該反応室内104内に、所定量の
粒状の黒鉛球状化処理剤Ap をあらかじめ装入した状態
で型合わせがなされる。
【0005】そして、湯口101から注ぎ込まれた溶湯
は、反応室104内に流入し、当該反応室104内にお
いて球状化処理剤Ap と反応しながら湯道103を通っ
て、製品キャビティ102内に充填され、当該キャビテ
ィ102内で凝固することによって、球状黒鉛鋳鉄から
なる鋳造製品が得られる。 なお、この場合、黒鉛球状
化処理剤の形状としては、反応性(溶け易さ)および取
扱い性を考慮して、上記のような粒状のものが一般に使
用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、黒鉛球
状化処理剤として粒状の球状化処理剤Ap を使用した場
合、球状化処理剤Ap の反応が速く、早期に溶解してし
まう傾向があるために、鋳造製品の注湯初期に相当する
部分については、図6(a)に示すような球状化黒鉛が
得られるのに対し、最終充填部に相当する部分について
は、球状化処理剤が不足気味となって、図6(b)に示
すように黒鉛の球状化率が著しく悪化することがあり、
鋳造製品の組織が不均一となるという問題がある。
【0007】一方、このような問題に対処するために
は、球状化処理剤Ap の装入量を増すことが考えられる
が、この場合には球状化処理剤の消費量が多くなってコ
ストアップ要因となる。 また、球状化処理剤の反応速
度を抑える観点から、粒状の球状化処理剤Ap に代え
て、固形状の球状化処理剤を使用することも考えられる
が、この場合には、熱が鋳型に奪われることによって溶
湯温度が低くなる注湯初期における処理剤との反応が不
充分となって、この部分の黒鉛の球状化率が悪化すると
いう問題点があり、これらの問題点を解決することが、
このようなインモールド処理による鋳造製品の組織を均
一化するための課題となっていた。
【0008】
【発明の目的】本発明は、従来の溶湯のインモールド処
理における上記課題に着目してなされたものであって、
処理剤の使用量を増加させることなく、反応室を通過す
る溶湯を均一に処理することができ、もって鋳造製品の
部位による組織および品質のばらつきを有効に防止する
ことができる溶湯のインモールド処理方法を提供するこ
とを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、処理剤と溶湯との反応速度について鋭
意検討,調査した結果、図4に示すグラフを得た。
【0010】すなわち、図4は、横軸に注湯開始からの
経過時間を採り、時間経過に対する黒鉛球状化処理剤の
溶解量(反応量)を粒状の球状化処理剤を用いた場合
と、固形状の球状化処理剤を用いた場合とで比較して示
したものであって、図中破線で示す粒状処理剤を用いた
場合には、注湯初期を除いて、実線で示した目標速度に
対して溶湯との反応が速めに推移し、注湯が終了する前
に必要とされる量の球状化処理剤が消費されてしまうの
で、注湯の最終部分をも充分に球状化するためには、図
中にEで示すだけの球状化処理剤が余分に必要となり、
図中に鎖線で示す固形状処理剤を用いた場合には、注湯
初期の反応量が少なく、溶湯との反応が遅れがちとなっ
て、処理遅れDが生じ目標時間内に黒鉛の球状化処理が
完了しないことが理解できる。
【0011】しかし、溶湯温度が100〜150℃程度
低めとなる注湯初期においては、前述のように粒状の球
状化処理剤を用いた場合の反応速度が実線で示す目標速
度に一致し、溶湯温度が高くなる注湯後半においては、
固形状の球状化処理剤を用いた場合の反応速度が目標反
応速度におおむね一致することが確認され、球状化処理
剤の形状差、あるいは処理剤の溶湯との接触面積差を利
用することによって、注湯初期においては、溶湯温度が
低くても溶湯と反応しやすくなるようにし、溶湯温度が
高くなる注湯中期以降においては、溶湯との反応が生じ
にくくなるようにすれば、注湯開始から注湯完了に至る
までの反応量が均一なものとなり、鋳造製品の部位によ
る組織および品質の変動を有効に防止することができる
ことが判明した。
【0012】本発明に係わる溶湯のインモールド処理方
法は、上記知見に基づくものであって、鋳型内の湯口と
製品キャビティの間に設けた反応室内にあらかじめ入れ
ておいた処理剤と鋳型内に注ぎ込まれた溶湯とを反応さ
せるに際し、請求項1に係わるインモールド処理方法に
おいては反応室の下層側に固形状の処理剤を収納すると
共に当該固形状処理剤の上に粒状の処理剤を載置する構
成とし、請求項2に係わるインモールド処理方法におい
ては反応室の下層側に粗粒の処理剤を収納すると共に当
該粗粒処理剤の上に細粒の処理剤を載置する構成とし、
請求項3に係わるインモールド処理方法においては反応
室の下層側に固形状の処理剤を収納すると共に当該固形
状処理剤の上に焼結状の処理剤を載置する構成とし、請
求項4に係わるインモールド処理方法においては反応室
の下層側に焼結状の処理剤を収納すると共に当該焼結状
処理剤の上に粒状の処理剤を載置する構成とし、これら
請求項1ないし請求項4に係わる溶湯のインモールド処
理方法の好ましい実施態様として請求項5に係わるイン
モールド処理方法においては、下層側に収納した処理剤
の量と、その上に載置した処理剤の量の比が4:1であ
る構成としたことを特徴としており、このような溶湯の
インモールド処理方法の構成を前述した従来の課題を解
決するための手段としている。
【0013】また、請求項6に係わる溶湯のインモール
ド処理方法においては、同じく鋳型内の湯口と製品キャ
ビティの間に設けた反応室内にあらかじめ入れておいた
処理剤と鋳型内に注ぎ込まれた溶湯とを反応させるに際
し、反応室の底面積よりも反応室上面側の面積を大きく
する構成とし、当該請求項6に係わる溶湯のインモール
ド処理方法の実施態様として請求項7あるいは請求項8
に係わるインモールド処理方法においては、反応室の側
壁にそれぞれ勾配あるいは段差部を設ける構成とし、請
求項8に係わる溶湯のインモールド処理方法の実施態様
として請求項9に係わるインモールド処理方法において
は、段差部よりも下方に収納される処理剤の量と、段差
部よりも上方に収納される処理剤の量の比が4:1であ
る構成としたことを特徴としている。
【0014】
【発明の作用】本発明の請求項1ないし請求項4に係わ
る溶湯のインモールド処理方法においては、処理剤を入
れておく反応室を上下2層に区分し、下層側および上層
側の処理剤形状の組合わせを、それぞれ固形状および粒
状、粗粒および細粒,固形状および焼結状、焼結状およ
び粒状としているので、いずれも下層側に較べて上層側
の処理剤が溶湯に対して反応しやすい形態となってお
り、鋳型内に注ぎ込まれた溶湯は、溶湯温度の低い注湯
初期においては反応しやすい上層側の処理剤と接触し、
溶湯温度が高くなる注湯後半においては、上層側の処理
剤が消費されて反応しにくい下層側の処理剤と接触する
ことになることから、溶湯温度や鋳型形状などの鋳造条
件に応じて処理剤形態の上記組合わせを選択することに
より、注湯開始から注湯完了まで溶湯温度が変動するに
もかかわらず、処理剤と溶湯との反応速度が一定なもの
となり、処理剤の量を増やすことなく、鋳造製品の部位
による組織および品質のばらつきが防止されることにな
る。 これら請求項1ないし請求項4に係わるインモー
ルド処理方法の実施態様として請求項5に係わる処理方
法においては、反応室下層側の反応しにくい形態の処理
剤と上層側の反応しやすい形態の処理剤との量の比が
4:1となっているので、溶湯の温度が高くなるタイミ
ングと、上層側の処理剤が消費されて下層側の反応しに
くい形態の処理剤に溶湯が接触するタイミングとが一致
し、反応速度が常時一定なものとなり、鋳造製品の組織
および品質がより均一なものとなる。
【0015】また、本発明の請求項6に係わる溶湯のイ
ンモールド処理方法においては、例えば、請求項7ある
いは請求項8に実施態様として規定するように、鋳型内
の反応室の側壁に勾配あるいは段差部を設けることによ
って反応室の底面積よりも反応室上面側の面積を大きく
しているので、溶湯温度が高くなる注湯後半に較べて、
溶湯温度の低い注湯初期における溶湯と処理剤との接触
面積が大きくなることから、注湯開始から完了に到るま
で、溶湯と処理剤との反応速度が均一化され、鋳造製品
の組織および品質の部位によるばらつきが防止されるこ
とになる。 さらに、請求項8に係わるインモールド処
理方法の実施態様として請求項9に係わる処理方法にお
いては、段差部の下方に収納される処理剤と上方に収納
される処理剤の量の比を4:1としているので、溶湯の
温度が上昇するタイミングと、溶湯との接触面積の大き
い上面側に収納された処理剤が消費されて、処理剤との
接触面積が小さくなるタイミングとが一致することにな
り、溶湯と処理剤との反応速度がより変動の少ないもの
となり、鋳造製品の組織および品質がより均一なものと
なる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0017】実施例1 図1(a)に示す鋳型1において、湯口2と製品キャビ
ティ3との間を結ぶ湯道4の途中にもうけた反応室5の
中に、固形状の黒鉛球状化処理剤Asdと、粒状の黒鉛球
状化処理剤Ap とを、図1(b)に拡大して示すよう
に、下層側が固形状処理剤Asd、上層側が粒状処理剤A
p であって、その量の比(すなわち高さの比a:b)が
4:1となるようにセットし、型合わせしたのち、湯口
2から鋳鉄の溶湯を注ぎ入れ、反応室5内の球状化処理
剤Ap およびAsdと反応させながら、製品キャビティ3
内に溶湯を充填することによって製品キャビティ3に相
当する形状の鋳造製品を得ると共に、当該鋳造製品の各
部位から切り出した試料を検鏡することによって、鋳造
製品各部の黒鉛の球状化状態を調査した。
【0018】この結果、反応室5内の球状化処理剤Ap
およびAsdが過不足なく溶湯と反応しており、鋳造製品
から切り出した各試料とも、図6(a)に示したような
微細な球状黒鉛が形成されており、得られた鋳造製品が
均一な組織および品質を備えていることが確認された。
【0019】なお、黒鉛球状化処理剤の形態としては、
上記のような固形状処理剤Asdと粒状処理剤Ap との組
み合わせと共に、図2(a)に示すような粗粒の黒鉛球
状化処理剤Aprと細粒の黒鉛球状化処理剤Apfとの組み
合わせ、図2(b)に示すような固形状の黒鉛球状化処
理剤Asdと焼結状の黒鉛球状化処理剤Astとの組み合わ
せ、さらには図2(c)に示すような焼結状の黒鉛球状
化処理剤Astと粒状の黒鉛球状化処理剤Ap との組み合
わせを採用してもよく、溶湯温度や鋳型形状などの鋳造
条件に応じて適宜選択することができる。
【0020】実施例2 図1(a)に示した鋳型1において、反応室5の側壁
に、図3(a)に示すように勾配を設け、反応室5の底
面に対して上面側の面積が広くなるようにした。そし
て、当該反応室5内に粒状の黒鉛球状化処理剤Ap を所
定量セットしたのち、型合わせを行い、湯口2から鋳鉄
の溶湯を注ぎ込み、上記実施例と同様に鋳造製品を得る
と共に、鋳造製品各部の黒鉛の球状化状態を調査した。
【0021】この結果、反応室5内の球状化処理剤Ap
が過不足なく溶湯と反応しており、鋳造製品から切り出
した各試料のいずれにも、図6(a)に示したような微
細な球状黒鉛が形成されていることが判明した。
【0022】実施例3 図1(a)に示した鋳型1において、反応室5の側壁
に、図3(b)に示すような段差部5aを設け、当該反
応室5内に粒状の黒鉛球状化処理剤Ap を入れ、段差部
5aより下方に位置する処理剤Ap の量と段差部5aよ
り上方に位置する処理剤Ap の量の比(すなわち、Sb
(反応室底面積)×c:Su(反応室上面の面積)×
d)が4:1となるようにセットし、型合わせしたの
ち、湯口2から鋳鉄の溶湯を注ぎ込み、上記実施例と同
様に、鋳造製品を得ると共に、当該鋳造製品各部の黒鉛
球状化状態を調査した。
【0023】その結果、球状化処理剤Ap は溶湯と過不
足なく反応し、上記実施例と同様に、図6(a)に示し
たような微細な球状黒鉛が各試料のいずれにも形成され
ており、処理剤Ap を増量することなく、均一な組織お
よび品質を備えた鋳造製品が得られることが確認され
た。
【0024】なお、上記実施例においては、いずれも鋳
鉄の黒鉛球状化処理について説明したが、本発明に係わ
る溶湯のインモールド処理方法は、黒鉛球状化処理のみ
ならず、ねずみ鋳鉄やアルミニウム合金,マグネシウム
合金に対して、チル化の防止や結晶粒の微細化などを目
的に施される接種など、各種の溶湯処理に適用できるこ
とは言うまでもない。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に係わる溶湯のインモールド処理方法においては、処理
剤を入れておく反応室を上下2層に区分し、反応室の下
層側には固形状の処理剤を、上層側には粒状の処理剤を
それぞれ収納するようにし、請求項2に係わる溶湯のイ
ンモールド処理方法においては、反応室の下層側には粗
粒の処理剤を、上層側には細粒の処理剤をそれぞれ収納
するようにし、請求項3に係わる溶湯のインモールド処
理方法においては、反応室の下層側には固形状の処理剤
を、上層側には焼結状の処理剤をそれぞれ収納するよう
にし、請求項4に係わる溶湯のインモールド処理方法に
おいては、反応室の下層側には焼結状の処理剤を、上層
側には粒状の処理剤をそれぞれ収納するようにしている
ので、いずれも下層側に較べて上層側の処理剤が溶湯に
対して反応しやすい形態となっており、溶湯温度の低い
注湯初期における溶湯と処理剤との反応が促進されると
共に、溶湯温度が上昇する注湯後半における溶湯と処理
剤との反応が抑制され、溶湯温度の変動にもかかわら
ず、注湯当初から終了に到るまでの溶湯と処理剤との反
応速度を終始一定なものとすることができ、処理剤を増
量することなく、鋳造製品の組織および品質を均一にす
ることができるという極めて優れた効果がもたらされ
る。
【0026】これら請求項1ないし請求項4に係わるイ
ンモールド処理方法の実施態様として請求項5に係わる
処理方法においては、反応室下層側の反応しにくい形態
の処理剤と上層側の反応しやすい形態の処理剤との量の
比が4:1となっているので、溶湯の温度が高くなるタ
イミングと、上層側の処理剤が消費されて下層側の反応
しにくい形態の処理剤に溶湯が接触するタイミングとを
一致させることができ、反応速度が常時一定なものとな
って、鋳造製品の組織および品質をより均一なものとす
ることができる。
【0027】また、本発明の請求項6に係わる溶湯のイ
ンモールド処理方法においては、反応室の底面積よりも
反応室上面側の面積を大きくするようにし、請求項6に
係わる溶湯のインモールド処理方法の実施態様として、
請求項7に係わるインモールド処理方法においては鋳型
内の反応室の側壁に勾配を設けるようにし、請求項8に
係わるインモールド処理方法においては鋳型内の反応室
の側壁に段差部を設けるようにしているので、溶湯温度
が高くなる注湯後半に較べて、溶湯温度の低い注湯初期
における溶湯と処理剤との接触面積が大きくなることか
ら、溶湯温度の変動にもかかわらず、注湯開始から完了
に到るまで、溶湯と処理剤との反応速度を均一化するこ
とができ、上記請求項1ないし請求項4に係わるインモ
ールド処理方法と同様の効果を得ることができる。
【0028】さらに、請求項8に係わるインモールド処
理方法の実施態様として請求項9に係わる処理方法にお
いては、段差部の下方に収納される処理剤と上方に収納
される処理剤の量の比を4:1としているので、溶湯の
温度が上昇するタイミングと、溶湯との接触面積の大き
い上面側に収納された処理剤が消費されて、処理剤との
接触面積が小さくなるタイミングとを一致させることが
でき、溶湯と処理剤との反応速度がより変動の少ないも
のとなり、鋳造製品の組織および品質をより均一化する
ことができるという極めて優れた効果がもたらされる。
【0029】なお、本発明に係わる溶湯のインモールド
処理方法は、上記のような作用効果を奏するものである
から、とくに注湯初期の溶湯と注湯後期の溶湯とが製品
キャビティ内で混合されにくい、複雑な形状、あるいは
薄肉部を備えた鋳物の鋳造に適したものと言うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 本発明に係わる溶湯のインモールド処
理方法の実施例に用いる鋳型形状を示す断面図である。 (b) 本発明に係わる溶湯のインモールド処理方法の
第1の実施例における処理剤のセット状態を示す反応室
の部分拡大図である。
【図2】(a)ないし(c)は本発明に係わる溶湯のイ
ンモールド処理方法における処理剤のセット状態の他の
例を示す反応室の部分拡大図である。
【図3】(a) 本発明に係わる溶湯のインモールド処
理方法の第2の実施例における反応室形状および処理剤
のセット状態を示す部分拡大図である。 (b) 本発明に係わる溶湯のインモールド処理方法の
第3の実施例における反応室形状および処理剤のセット
状態を示す部分拡大図である。
【図4】インモールド黒鉛球状化処理における処理剤反
応量に及ぼす処理剤形態の影響を示すグラフである。
【図5】従来のインモールド黒鉛球状化処理方法に用い
られる鋳型の断面図である。
【図6】(a) 球状化された黒鉛の形状を示す顕微鏡
組織のスケッチである。 (b) 充分に球状化されていない黒鉛の形状を示す顕
微鏡組織のスケッチである。
【符号の説明】
1 鋳型 2 湯口 3 製品キャビティ 5 反応室 5a 段差部 Ap 粒状の黒鉛球状化処理剤(粒状の処理剤) Asd 固形状の黒鉛球状化処理剤(固形状の処理剤) Apf 細粒の黒鉛球状化処理剤(細粒の処理剤) Apr 粗粒の黒鉛球状化処理剤(粗粒の処理剤) Ast 焼結状の黒鉛球状化処理剤(焼結状の処理剤)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型内の湯口と製品キャビティの間に設
    けた反応室内にあらかじめ入れておいた処理剤と鋳型内
    に注ぎ込まれた溶湯とを反応させるに際し、 反応室の下層側に固形状の処理剤を収納すると共に、当
    該固形状処理剤の上に粒状の処理剤を載置することを特
    徴とする溶湯のインモールド処理方法。
  2. 【請求項2】 鋳型内の湯口と製品キャビティの間に設
    けた反応室内にあらかじめ入れておいた処理剤と鋳型内
    に注ぎ込まれた溶湯とを反応させるに際し、 反応室の下層側に粗粒の処理剤を収納すると共に、当該
    粗粒処理剤の上に細粒の処理剤を載置することを特徴と
    する溶湯のインモールド処理方法。
  3. 【請求項3】 鋳型内の湯口と製品キャビティの間に設
    けた反応室内にあらかじめ入れておいた処理剤と鋳型内
    に注ぎ込まれた溶湯とを反応させるに際し、 反応室の下層側に固形状の処理剤を収納すると共に、当
    該固形状処理剤の上に焼結状の処理剤を載置することを
    特徴とする溶湯のインモールド処理方法。
  4. 【請求項4】 鋳型内の湯口と製品キャビティの間に設
    けた反応室内にあらかじめ入れておいた処理剤と鋳型内
    に注ぎ込まれた溶湯とを反応させるに際し、 反応室の下層側に焼結状の処理剤を収納すると共に、当
    該焼結状処理剤の上に粒状の処理剤を載置することを特
    徴とする溶湯のインモールド処理方法。
  5. 【請求項5】 下層側に収納した処理剤の量と、その上
    に載置した処理剤の量の比が4:1であることを特徴と
    する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の溶湯の
    インモールド処理方法。
  6. 【請求項6】 鋳型内の湯口と製品キャビティの間に設
    けた反応室内にあらかじめ入れておいた処理剤と鋳型内
    に注ぎ込まれた溶湯とを反応させるに際し、 反応室の底面積よりも反応室上面側の面積を大きくする
    ことを特徴とする溶湯のインモールド処理方法。
  7. 【請求項7】 反応室の側壁に勾配を設けることを特徴
    とする請求項6記載の溶湯のインモールド処理方法。
  8. 【請求項8】 反応室の側壁に段差部を設けることを特
    徴とする請求項6記載の溶湯のインモールド処理方法。
  9. 【請求項9】 段差部よりも下方に収納される処理剤の
    量と、段差部よりも上方に収納される処理剤の量の比が
    4:1であることを特徴とする請求項8記載の溶湯のイ
    ンモールド処理方法。
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