JPH0810583A - 中空糸膜モジュール製造装置および製造方法 - Google Patents

中空糸膜モジュール製造装置および製造方法

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JPH0810583A
JPH0810583A JP6153813A JP15381394A JPH0810583A JP H0810583 A JPH0810583 A JP H0810583A JP 6153813 A JP6153813 A JP 6153813A JP 15381394 A JP15381394 A JP 15381394A JP H0810583 A JPH0810583 A JP H0810583A
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JP
Japan
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hollow fiber
fiber membrane
potting material
membrane module
manufacturing apparatus
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JP6153813A
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English (en)
Inventor
Masahide Taniguchi
雅英 谷口
Kazuhiko Nishimura
和彦 西村
Hiroyuki Yamamura
弘之 山村
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 遠心力を利用してポッティング材をモジュー
ル容器内の中空糸膜端部へ注入、硬化させる方式の中空
糸膜モジュール製造装置において、ポッティング材容器
の形状が、遠心力によってポッティング材がモジュール
内部へ供給される形状であり、該ポッティング材容器
が、該ポッティング材容器と該モジュール容器を併せて
囲む外壁構造と固定部分を有しないことを特徴とする膜
モジュール製造装置。 【効果】 耐溶剤性などを有した素材や外気によって悪
影響を受けやすい素材を新規ポッティング材として遠心
力によるポッティングを行うことが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、中空糸膜モジュールの
製造装置に関するものであり、詳しくは、遠心力を利用
して複数の中空糸膜の端部を接着固定する中空糸膜モジ
ュールの製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、中空糸膜モジュ−ルはスパイラル
型やチューブラー型モジュールと比べて、単位容積当た
りの有効膜面積が大きくとれ、精密濾過、限外濾過等の
水処理関係、窒素、酸素、水素等のガス分離関係、薬品
関係、バイオ関係等非常に多くの分野で使用されてい
る。しかし、この中空糸膜をモジュール化するには端部
で中空糸膜と中空糸膜の間、および中空糸膜とモジュー
ル容器の間を気密にシール(ポッティング)する必要が
ある。現在、このモジュ−ルの端板部分のポッティング
材としては、そのほとんどがウレタン系、あるいはエポ
キシ系接着剤が使用されており、ポッティング法として
は、遠心力を利用してポッティング材をモジュール端部
に充填する遠心成型法が多用されている。この方法を用
いると、中空糸膜のわずかな隙間にもポッティング材が
十分に充填され、中空糸膜を理想的に固定,シールする
ことができる。また、ウレタン系、エポキシ系接着剤
は、初期粘度や硬化に要する時間や温度などを比較的自
由に調節でき、ポッティングが行いやすい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ウレタ
ン系,エポキシ系接着剤は、一般に有機溶媒,特に塩素
系有機溶剤に対して膨潤、クラック、溶解等の現象があ
り、溶剤分離用膜モジュールとしての使用が困難であっ
た。
【0004】耐有機溶剤性のあるポッティング材を用い
たモジュールとしては、中空糸膜の端部を未加硫のフッ
素ゴムで固定した後に加熱固定する方法(特開昭61-129
006 ),フッ素樹脂を熱融着する方法(特開平1-47407
,特開平1-47409 )などが知られているが、未加硫の
ふっ素ゴムで固定後加熱する方法は、中空糸膜のポッテ
ィング部を加硫剤を含む未加硫ゴムの有機溶液中に浸漬
し、溶媒を蒸発する工程が必要となり、被覆の厚みを所
定の厚さにするために、浸漬、溶媒蒸発を何回も実施し
なければならず、加硫するのに160 〜180 ℃の高温加熱
を必要とし、使用する中空糸膜によっては熱劣化が生じ
る可能性がある。また、熱融着する場合も、中空糸膜の
熱劣化はもちろん、隙間なく良好な接着を行うことは容
易ではなかった。
【0005】また、従来の遠心成形法では、ポッティン
グ材が中空糸膜端部以外に付着するのを防止するため
に、まず、遠心成形機を回転させ、遠心力を与えた後に
ポッティング材を投入しなければならず、例えば、ポッ
ティング材が嫌気性であったり水分を嫌うものであった
りすると、装置全体を求める雰囲気下におく必要が生
じ、ポッティング材を選択する際の制限となっていた。
【0006】本発明の目的は、ウレタン系,エポキシ系
接着剤にかわり、比較的低温で流動性があり、硬化が可
能なポッティング材を用いた耐溶剤性のある中空糸型モ
ジュールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、遠心力を利用
してポッティング材をモジュール容器内の中空糸膜端部
へ注入、硬化させる方式の中空糸膜モジュール製造装置
において、ポッティング材容器の形状が、遠心力によっ
てポッティング材がモジュール内部へ供給される形状で
あり、該ポッティング材容器が、該ポッティング材容器
と該モジュール容器を併せて囲む外壁構造と固定部分を
有しないことを特徴とする膜モジュール製造装置により
基本的に達成される。
【0008】すなわち、複数の中空糸膜の端部を結合す
る際、中空糸膜モジュール容器を回転させ、遠心力を利
用してポッティング材をモジュール容器内の中空糸膜端
部へ注入,硬化させる方式の中空糸膜モジュール製造装
置において、ポッティング材が遠心力によって中空糸膜
モジュールへ注入される構造をとることにより、弁やそ
の制御装置などを必要としない簡便な構造の装置が実現
される。特に、装置運転前にモジュール内部を外気と遮
断することが可能となり、その結果,大気中では行えな
い重合反応等を行うことができるという利点がある。例
えば、最も代表的には、ポッティング材として液状であ
るモノマーを用い、無酸素下で行われるラジカル重合に
より固化させることが可能となる。また、モジュール容
器内部を乾燥空気で遮断することにより高湿度における
使用が困難なポッティング材を用いることも可能であ
る。さらに、本発明によりモジュール製造装置を運転さ
せる前にポッティング材容器にポッティング材を必要量
だけ投入しておくことができるようになるため、ポッテ
ィング材タンクや投入装置などが不要となり、装置コス
ト,維持管理面でのメリットも大きい。本発明の結果、
耐溶剤性が非常に優れるフッ素系樹脂をポッティング材
として使用することにより、溶剤に侵されることのない
モジュールの製作が可能となる。
【0009】本発明における中空糸膜モジュール製造装
置の一例の側断面図を図1に示すが、これにより、なん
ら限定されるものではない。また、ここでは、装置本体
1の内部は装置蓋体2を閉じる構成の装置を例示した
が、それにも限定されるものではない。
【0010】ここで、ポッティング材容器3の内側は、
底部の方が頂部より狭くなっており、円錐台を逆さにし
たような形状になっている。中空糸膜モジュール5は、
目止め処理を施された後、ポッティング材容器3ととも
に回転台にセットされる。また、ポッティング材は予め
ポッティング材容器に投入しておくことが可能である。
この状態で、モーター7により回転台6を回転させる
と、投入されたポッティング材は、装置の回転による遠
心力のために側壁をあがってチューブ4へと送られ、中
空糸膜モジュール5へ注入,モジュール端部において硬
化する。ポッティング材の硬化したモジュールは両端を
切断し、中空糸端部を開放させることによって完成とな
る。
【0011】チューブ4は、ポッティング材をモジュー
ルへ供給するために該容器内側面に設けられたチューブ
の開口部の最下端が、ポッティング材容器底面よりも高
い位置に連結されているので、ポッティング材は予めポ
ッティング材容器に投入しておくことが可能であり、好
ましくは、チューブの開口部がポッティング材容器内側
面の頂部付近に連結されている、より好ましくは、底部
から計って、全高の3/5より上部に、更に好ましく
は、底部から計って、全高の8/10より上部に連結さ
れている。
【0012】このポッティング材容器3は該ポッティン
グ材容器と該モジュール容器を併せて囲む外壁構造と固
定部分を有しないまたは/および該外壁構造から突き出
た構造を有しないように構成されたいる必要がある。こ
れは、もちろん、該ポッティング材容器と該モジュール
容器を併せて囲む外壁構造自体がない場合も含まれるも
のである。
【0013】特に、外壁を有する場合、前記構成の具体
例としては、ポッティング材供給パイプと回転部分のポ
ッティング材容器とを分けた構成があげられる。このよ
うに、ポッティング材供給パイプと回転部分のポッティ
ング材容器とを分けていると、摺動部のメンテナンスや
首振りに対するパイプの耐久性の問題が無く、しかも、
回転中に外部から、ポッティング材供給速度を遠心力ま
たは引力による供給能力の制約範囲内で自由に調整でき
たり、複数種類のポッティング材を順次、任意に供給す
ることも自在である。本願では、具体的には、図1に示
したように、該ポッティング材供給パイプから、回転部
分へポッティング材を流下、落下、又は滴下させる様な
構造を例示している。あるいは、図1のように、明らか
に該パイプと回転体部分とが離れている必要はなく、両
者が摩擦などを起こさない程度の間隙さえあればよく、
例えば、該パイプの端部が、該回転体部分の該ポッティ
ング材容器の開口部に挿入された構造で、わずかな間隙
があるだけで、外見上、該パイプと回転するポッティン
グ材容器が結合しているように見える構造であっても問
題ない。
【0014】外気と遮断する必要がある場合では、回転
のトルク源についても、図1のように、装置内に密閉さ
れて、外気と遮断されていることが好ましい。トルク源
が外気雰囲気下にあると、回転軸が装置の外気と遮断さ
れた領域に挿入される部分のシーリングが問題となるか
らである。回転のトルク源を外気と遮断するためには、
図1のように装置の構造体中に内臓されていてもよい
し、あるいは、中空糸モジュールが収納された外気と遮
断された領域に、一緒に収納された構造でも良いし、そ
の中間でも良い。
【0015】重合反応等で温度の調節をしたい場合は、
図2のように温度調節器15を備えることもできる。温
度調節は、モジュール設置部の外側にヒーターやクーラ
ーを設けて、雰囲気を温度調節してもよいし、温度調節
の応答を速くしたい場合には図3のように内部の不活性
気体を循環調節させてもよい。また、プログラム制御に
より、重合のスタート温度を低く、重合のエンドを高く
するといった温度調節方法を採用しても良い。また、加
圧状態でのポッティングを必要とする場合は、装置全体
を耐圧仕様にすれば、特に問題ない。
【0016】ここで用いるポッティング材容器3の側面
傾斜度θは、あまり緩やかでなく、垂直すなわち90゜に
近い方がよい。一般に、遠心成形法を用いて中空糸膜モ
ジュールの製造(ポッティング)を行う場合、モジュー
ル端部に遠心力がF=5 〜100 G(Gは重力加速度)程
度得られるような回転数n(モジュール長さにもよるが
200 〜1000rpm 程度)を設定するのが一般的である。こ
のときポッティング材容器3にかかる遠心力はポッティ
ング材容器の内径rによるが、この傾斜度θを決定する
にあたっては、運転時の回転数でポッティング材がチュ
ーブへ供給され、低回転時は供給されないことが望まし
い。すなわち、tan θ' =r×n2 /Gとなるθ' を求
めてそのθ' 以下の値を傾斜度として採用するのがよ
い。具体的にはθ=θ' −αとすると、0 ≦α≦5 とな
るようにθを決定するとよい。これらを鑑みると一般に
は60゜≦θ≦88゜が好ましい。とくに、所要動力の節
減,中空糸内へのポッティング材の侵入防止,中空糸間
へのポッティング材の浸透力向上などを考慮し検討を行
った結果、多くの場合においては、モジュール端部に10
〜50Gの遠心力を加えることにより理想的なモジュール
を製造することができた。この場合、80゜≦θ≦85゜に
することによって上記目的,すなわち、設定回転数近く
でポッティング材がチューブに送られるという目的を達
成することができる。
【0017】本発明におけるポッティング材容器は、チ
ューブの数が2つである例を挙げているが、もちろん、
その数に制限はなく、チューブを多数にして、複数本の
モジュールを同時に製造することも可能である。また、
各チューブへポッティング材が均等に配分されにくい場
合は、図4に示すように仕切板16を備える方法をとる
ことにより解決できる。また、ポッティング材容器3の
内側は図1に示すような形状のものの他、図5のように
階段状になっていても、図6のように傾斜が変化してい
るような形状でも差し支えない。とくに、傾斜を上部ほ
ど急にすることによって、チューブへの供給速度を一定
に保ち、チューブ付近へのポッティング材の付着,詰ま
りを防止することができる。また補助具として図7のよ
うな傾斜具20を付けることも可能である。これによ
り、容器3に投入できるポッティング材の量を増やした
り、回転数に合わせた傾斜を設定することができる。
【0018】本発明における中空糸膜モジュール製造装
置は、その目的からしてモジュール内部を装置外気と遮
断可能であることが望ましい。例えば、図8に示すよう
に装置本体1の内部は装置蓋体2を閉じることでOリン
グ17によって外気を遮断することが可能である。中空
糸膜モジュール5は、目止め処理を施された後、ポッテ
ィング材容器3とともに回転台にセットされる。一方、
ポッティング材は、ポッティング材タンク9に入れられ
る。ここで、装置内部とポッティング材タンク9の気体
(空気)は真空ライン10によって除去され、その後、
不活性気体を不活性気体供給ライン12より供給するこ
とにより外気を追い出すことができる。この状態で、モ
ーター7により回転台6を回転させ、設定回転数に達し
たところで、供給ポンプ8によってポッティング材を供
給パイプ11を通してポッティング材容器3からモジュ
ール容器へと送られる。
【0019】本発明における中空糸膜モジュールと装置
外気の遮断については、装置外気が中空糸膜モジュール
容器内部に流入しさえしなければよく、図8に示すよう
な、装置外気と装置内気を遮断する方法の他に、モジュ
ール内部とモジュール外の装置内気を遮断することも可
能である。例えば、図9に示すように中空糸膜モジュー
ル5,ポッティング材容器3,ポッティング材タンク9
が一体化,気密可能とし、モジュール製造装置にセット
する前に内部を予め脱気,不活性気体で充満させた後、
気密状態にし、モジュール製造装置にセット,運転させ
る方法をとることが可能である。この方法により非常に
簡便に、ポッティング材の雰囲気をコントロールするこ
とができ、脱気,不活性気体の充填体積も小さいため経
済的である。
【0020】本発明において対象となる中空糸膜として
は均質中空糸膜、多孔質中空糸膜、複合中空糸膜などが
挙げられるが、特に限定はない。これらの中空糸膜の具
体例として、耐溶剤性を有するポリアクリロニトリル多
孔質中空糸膜、ポリイミド多孔質中空糸膜、ポリエーテ
ルスルホン多孔質中空糸膜、ポリフェニレンスルフィド
スルホン多孔質中空糸膜、ポリテトラフルオロエチレン
多孔質中空糸膜、ポリプロピレン多孔質中空糸膜、ポリ
エチレン多孔質中空糸膜等の多孔質中空糸膜や、これら
多孔質中空糸膜に機能層としては架橋型シリコーン、ポ
リブタジエン、ポリアクリロニトリルブタジエン、エチ
レンプロピレンラバー、ネオプレンゴム等のゴム状高分
子を複合化した複合中空糸膜や架橋型シリコーンチュー
ブなどの均質中空糸膜を挙げることができる。ただし、
多孔質中空糸膜のばあい、中空糸膜の素材や細孔の大き
さによってはポッティング材が中空糸膜内部に侵入する
場合があるため、そのような場合は、ポッティング材の
粘度を高くしたり、中空糸膜のポッティング部に予めコ
ーティング処理を施すことにより、ポッティング材の侵
入を防ぐことができる。
【0021】本発明に用いるポッティング材は、特に限
定されるものでないが、本発明の主旨から、最も耐溶剤
性を有するフッ素系樹脂がよい。重合に用いるフッ素含
有系モノマーとしてはラジカル重合できるものであれば
特に限定しないが、フッ素含有量が33〜63%のもの
が好ましい。これ以下だと耐溶剤性が悪くなり、また、
これ以上だと機械的強度が悪くなる。これらモノマーの
具体例として、2,2,2−トリフルオロエチルメタク
リレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメ
タクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペン
チルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタ
デカフルオロデシルメタクリレート等のフルオロアルキ
ルメタクリレート、及び2,2,2−トリフルオロエチ
ルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロ
ピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロ
ペンチルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプ
タデカフルオロデシルアクリレート等のフルオロアルキ
ルアクリレートが中温度で重合しやすく、耐溶剤性が高
いという点で好ましい。さらに、機械的強度の点でフル
オロアルキルメタクリレートが好ましい。耐溶剤性及
び、機械的強度の点で、特に好ましいのは1H,1H,
2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート
である。また、上記、フッ素含有系モノマーに対して、
耐溶剤性を阻害しない範囲で架橋反応するものを添加し
ても差し支え無い。具体例としてはメタクリレート系ジ
エステル等が挙げられる。
【0022】また、重合方法としては、特に限定される
ものではなく、ラジカル重合,アニオン重合,カチオン
重合などが挙げられるが、中でも開始剤の取り扱いが容
易であり、重合性が高いことから良好な成型品が得られ
やすいという点で、ラジカル重合が好ましい。
【0023】ラジカル重合の条件としては、使用するモ
ノマー,量,および開始剤の種類、組成比、重合温度な
どがあるが、使用する中空糸膜、モジュール容器の耐熱
温度などを考慮し適宜選択する事が出来る。具体的には
ラジカル重合で使用する開始剤としては、通常の有機過
酸化物であれば特に限定されないが、なるべく低温で重
合を行うことが中空糸膜へのダメージを小さく出来るた
め10時間半減期温度が100℃以下のものを選ぶことが好
ましい。特に好ましくは30〜60℃である。モノマーと開
始剤の組成比としては 100/0.01〜 100/1.0 の範囲が
好ましい。一般に、重合温度が高かったり重合開始剤が
多すぎたりすると、重合時間が早くなる反面、重合物の
ボイドが生じやすくなり、重合時間を早めることが困難
であったが、本発明におけるモジュール製造方法では、
遠心力により反応過程での発泡をポッティング材から追
い出すことによって通常静置で行われるラジカル重合の
条件に比べて重合速度を上げることができ、製造効率を
向上させることが可能となる。また、モノマー量として
は最高発熱温度を 120℃以下にする量を適宜選択する事
が出来る。重合温度は、中空糸膜の耐熱温度以下で重合
が可能な温度以上であれば特に限定しないが 100℃以下
が好ましい。特に好ましくは40〜60℃である。さらに、
重合終了後、雰囲気温度90〜100 ℃でキュアすることに
より、充分な重合度を得ることができる。
【0024】本発明において、ラジカル重合時に阻害物
質となる酸素を遮断する場合、最初、重合開始剤を混合
したモノマー中をポッティング材タンク9に入れた後、
減圧状態にすることによって、含まれている酸素を除去
し、その後、不活性気体を封入,常圧に戻した状態で外
気を遮断する方法が一般的である。ここで用いる不活性
気体は、窒素が最も一般的であるが、特には限定されな
い。
【0025】本発明における中空糸膜モジュールの製
造,すなわち、中空糸膜のポッティングを行うに先立
ち、中空糸膜の端部を目止する必要がある。目止め方法
としては特に手法を問わないが、同種または異種のふっ
素モノマーの重合により目止めする方法のほか、ウレタ
ン系やエポキシ系の接着剤で接着する方法や、中空糸膜
自体を熱融着する方法等、中空糸膜端部を目止めするた
めの方法を自由に選択する事ができる。
【0026】ポッティングの完了したモジュールは、中
空糸膜内部孔を開孔するためにポッティング固定部を切
断することにより膜モジュールとして使用可能となる。
完成する。これらの中空糸膜を使用したモジュールの構
造としては、両端開放型,片端開放型,U字型等、特に
限定されない。
【0027】モジュール容器としては、使用の対象とな
る流体や溶剤、有機蒸気等に対して、耐久性のある鉄や
ステンレス等の金属製、プラスチックとしては芳香族ポ
リエステル樹脂、ポリエーテルエーテルスルホン樹脂、
ポリフタルアミド樹脂、ナイロン6樹脂、ポリブチレン
テレフタレート樹脂等が挙げられるが、価格、取扱いの
面において、ナイロン6樹脂、ポリブチレンテレフタレ
ート樹脂などが好ましい。
【0028】
【実施例】以下実施例をもってもって本発明をさらに具
体的に説明する。ただし、本発明はこれにより限定され
るものではない。
【0029】実施例1 ポリアクリロニトリル多孔質中空糸の外表面にピンホー
ルフリーの架橋型シリコーン層を設けた外径450 μm ,
内径350 μm の中空糸膜800 本の中空糸束を内径34mm,
長さ220mm のポリブチレンテレフタレート製の容器に挿
入して、中空糸端部のポッティング部分にポッティング
材が入り目詰まりを起こさないように、コロネート440
3,ニッポラン4226(日本ポリウレタン社製、配合比53:
47 )により目止め接着した。次に、取り付け治具で中
空糸膜束を装填したモジュールケース図8に示す装置に
固定した後、ポッティング材として1H,1H,2H,
2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(ヘキ
ストジャパン株式会社製 Fluowet MAE800 )と重合開始
剤t−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂化学製
“パーブチルPV”)を配合比100:0.3 で混合したもの
を用い、装置内を減圧にして溶存酸素を除去後、常圧状
態で窒素シールを行いながら50℃、5時間のラジカル重
合を行った。重合終了後、ポッティング固定部の両端を
切断し、中空糸膜内部孔を開孔し、有効長約190 mmの
モジュールを製作した。得られたモジュールは、漏れも
なく、これまで通り良好な濾過性能を発揮した。
【0030】実施例2 重合温度条件を40℃で開始30分後,4時間で70℃まで昇
温させ、その後、90℃で30分間重合を行った以外は実施
例1と同じ条件のモジュールを製作した。得られたモジ
ュールは、漏れもなく、これまで通り良好な濾過性能を
発揮した。
【0031】実施例3 端部を目止め接着した中空糸膜束を装填したモジュール
ケースとポッティング材容器を図9に示すように一体化
した中空糸膜モジュール製造装置を用いて、内部を減圧
にして溶存酸素を除去後、窒素充填し、密閉状態で回転
台にセットし、実施例1と同条件でモジュール製作を行
った。得られたモジュールは、漏れもなく、これまで通
り良好な濾過性能を発揮した。
【0032】
【発明の効果】本発明により、耐溶剤性などを有した素
材や外気によって悪影響を受けやすい素材を新規ポッテ
ィング材として遠心力によるポッティングを行うことが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る、中空糸膜モジュール製造装置
の一例の側断面図である。
【図2】 本発明に係る、温度調節器を有する中空糸膜
モジュール製造装置の一例の側断面図である。
【図3】 本発明に係る、温度調節風循環器を有する中
空糸膜モジュール製造装置の一例の側断面図である。
【図4】 本発明に係る、中空糸膜モジュール製造装置
に用いる仕切板を有するポッティング材容器の一例の上
面図である。
【図5】 本発明に係る、中空糸膜モジュール製造装置
に用いる段階的傾斜を有するポッティング材容器の一例
の側断面図である。
【図6】 本発明に係る、中空糸膜モジュール製造装置
に用いる連続的傾斜を有するポッティング材容器の一例
の側断面図である。
【図7】 本発明に係る、中空糸膜モジュール製造装置
に用いる傾斜具を備え付けたポッティング材容器の一例
の側断面図である。
【図8】 本発明に係る、中空糸膜モジュール製造装置
の一部の一例の側断面図である。
【図9】 本発明に係る、ポッティング材容器と中空糸
膜モジュールの両者を囲む外壁を有しない構成である中
空糸膜モジュール製造装置の一部の一例の側断面図であ
る。
【符号の説明】
1:装置本体 2:装置蓋体 3:ポッティング材容器 4:チューブ 5:中空糸膜モジュール 6:回転台 7:モーター 8:供給ポンプ 9:ポッティング材タンク 10:真空ライン 11:ポッティング材供給ライン 12:不活性気体供給ライン 13:回転速度調節器 14:目止め 15:温度調節器 16:仕切板 17:Oリング 18:温調風吹き出し口 19:吸気口 20:傾斜具

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遠心力を利用してポッティング材をモジ
    ュール容器内の中空糸膜端部へ注入、硬化させる方式の
    中空糸膜モジュール製造装置において、ポッティング材
    容器の形状が、遠心力によってポッティング材がモジュ
    ール内部へ供給される形状であり、該ポッティング材容
    器が、該ポッティング材容器と該モジュール容器を併せ
    て囲む外壁構造と固定部分を有しないことを特徴とする
    膜モジュール製造装置。
  2. 【請求項2】 ポッティング材をモジュールへ供給する
    ために該容器内側面に設けられたチューブの開口部の最
    下端が、ポッティング材容器底面よりも高い位置に連結
    されていることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜モ
    ジュール製造装置。
  3. 【請求項3】 ポッティング材をモジュールへ供給する
    ためのチューブの開口部がポッティング材容器内側面の
    頂部付近に連結されていることを特徴とする請求項1記
    載の中空糸膜モジュール製造装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の頂部付近が、底部から計
    って、全高の3/5より上部にあることを特徴とする中
    空糸膜モジュール製造装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の頂部付近が、底部から計
    って、全高の4/5より上部にあることを特徴とする中
    空糸膜モジュール製造装置。
  6. 【請求項6】 ポッティング材容器の内側面が、頂部か
    ら底部にかけて回転の中心へ向かって段階的もしくは連
    続的に傾斜していることを特徴とする請求項1乃至5記
    載の中空糸膜モジュール製造装置。
  7. 【請求項7】 傾斜角が60〜88°であることを特徴
    とする請求項6記載の中空糸膜モジュール製造装置。
  8. 【請求項8】 傾斜角が80〜85°であることを特徴
    とする請求項6記載の中空糸膜モジュール製造装置。
  9. 【請求項9】 ポッティング材容器の内側面が、頂部か
    ら底部になるにつれて傾斜が緩やかになっていることを
    特徴とする請求項1乃至8記載の中空糸膜モジュール製
    造装置。
  10. 【請求項10】 ポッティング材容器の底部を分割する
    仕切板を有することを特徴とする請求項1乃至9記載の
    中空糸膜モジュール製造装置。
  11. 【請求項11】 ポッティング容器内部と中空糸膜モジ
    ュール内部が該モジュール製造装置の外気と遮断されて
    いることを特徴とする請求項1乃至10記載の中空糸膜
    モジュール製造装置。
  12. 【請求項12】 中空糸膜モジュールの雰囲気温度の調
    節機構を有する請求項1乃至11記載の中空糸膜モジュ
    ール製造装置。
  13. 【請求項13】 中空糸膜モジュール製造装置を運転す
    る前に、ポッティング材をポッティング容器へ入れ、そ
    の後で、該製造装置を運転させることを特徴とする請求
    項1乃至12記載の中空糸膜モジュールの製造方法
  14. 【請求項14】 中空糸膜モジュール製造装置を運転す
    る前に、外気と遮断された該モジュール内部に特定の気
    体を充満させることを特徴とする請求項11記載の中空
    糸膜モジュール製造装置の運転方法。
  15. 【請求項15】 特定の気体が窒素もしくは乾燥空気で
    あることを特徴とする請求項14記載の中空糸膜モジュ
    ールの製造方法。
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