JPH0810581A - 電気透析精製用セル - Google Patents

電気透析精製用セル

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JPH0810581A
JPH0810581A JP17344194A JP17344194A JPH0810581A JP H0810581 A JPH0810581 A JP H0810581A JP 17344194 A JP17344194 A JP 17344194A JP 17344194 A JP17344194 A JP 17344194A JP H0810581 A JPH0810581 A JP H0810581A
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JP
Japan
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chamber
cell
exchange membrane
electrodialysis
aqueous solution
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JP17344194A
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Inventor
Takemichi Kishi
剛陸 岸
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ThyssenKrupp Uhde Chlorine Engineers Japan Ltd
Original Assignee
Chlorine Engineers Corp Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄イオン含有水溶液等の金属酸洗浄廃液を長
期間安定して電気透析可能な電気透析精製用セルの提
供。 【構成】 イオン交換膜により互いに隔離される少なく
とも陽極室と陰極室とを有し、被処理水溶液を収容して
なる電気透析精製用セルであって、陰極室を隔離する陽
イオン交換膜の少なくとも陰極室面のガスケット周辺部
に非イオン透過性帯が形成されてなることを特徴とする
電気透析精製用セル。非イオン透過性帯が、塩化ビニル
樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリプロピレン
樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂及びフッ素
樹脂の1または2以上で被覆されてなることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気透析精製セルに関
し、詳しくは、鉄イオンを含有する水溶液を電気透析精
製処理を長期間安定して行うためのイオン交換膜により
電極室が隔離される電気透析精製セルに関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼、ステンレス鋼、その他鉄合金等の
鉄含有金属を酸洗浄した場合、鉄イオンを含有する酸洗
浄廃液が副生する。従来、これらの酸洗浄廃液は、主に
アルカリ中和法で処理後廃棄されていた。アルカリ中和
法は、洗浄用の酸と中和用のアルカリの原単位が悪く
経済的でないこと、酸として硫酸やフッ酸を使用した
場合は石膏やフッ化カルシウム等のスラッジが大量に副
生すること、酸として硝酸やリン酸を使用した場合は
廃水に大量の窒素やリンが混入すること、酸液入れ換
えによるライン停止に起因する生産性が低下すること、
及び、中和作業という2次処理に入手が必要となる等
の問題があった。そのため、このアルカリ中和法に代わ
る方法も提案されている。例えば、特公平2−4548
9号公報で提案される電気透析法がある。この方法は、
多価金属イオンを含有する酸水溶液を陽極液とし、無機
の炭酸塩、炭酸水素塩もしくは水酸化物またはそれらの
混合物を陰極液とし、陽極液と陰極液を陽イオン交換膜
で隔離し電気透析する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記提案の電気透析法
は、酸洗浄廃液等の被処理水溶液を循環させて処理でき
操作上は簡便であり、工業性に優れるものである。しか
しながら、発明者らによれば、多価金属イオンを含有す
る酸水溶液の酸濃度が高くなると金属除去の電流効率が
低下する点、多価金属イオンを含有する被処理液を陽極
液とするため陽極の寿命が短くなる点、更に、特に多価
金属として第一鉄イオン含有水溶液を処理すると、第一
鉄イオンが第二鉄イオンに酸化されるため、処理液を酸
洗工程で再使用した場合に鋼材表面にピッテイングが生
じることに加え、陰極液と接触するイオン交換膜が早期
に劣化し、長期間の安定した電気透析精製ができないと
いう問題があることが知見された。このため、発明者
は、陰極液にpH緩衝剤を添加することにより陰極液の
pH値を適切に制御し、陽極室及び/または中間室から
陰極室に移動してくる多価金属イオンを陰極室中に水酸
化物として析出沈殿させ、また、鉄イオンはマグネタイ
ト(Fe34 )として析出させることにより、陽イオ
ン交換膜へのマグネタイトの付着を防止する方法を提案
した。この方法は、長期的に安定した電気透析精製が可
能であり、精製後回収された処理液を、酸洗浄液として
使用しても支障がなく優れる方法である。
【0004】しかし、発明者が更に検討したところ、p
H緩衝剤を添加した陰極液を用いても、条件によっては
イオン交換膜へのマグネタイト付着を完全に防止できな
いおそれのあることが知見された。特に、フィルタープ
レス型電気透析槽を使用した場合、陽イオン交換膜のガ
スケット近辺にマグネタイトが早期に付着し、それが成
長し、陰極と繋がり、イオン交換膜が焦げたり、場合に
よっては孔が開くおそれの現象を見出し、その現象を防
止するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即
ち、ガスケット近辺にマグネタイトが付着し、ガスケッ
ト近辺以外の部分では全く付着しないかその理由は明ら
かでない。上記提案の電気透析精製方法において、各電
極室及び中間室に収容される水溶液は所定の方式で室外
に抜き出し処理後再び各室に循環し、且つ、循環する陰
極液等の各室の水溶液をポンプで適宜送入させて各室内
に流れを生じさせており、その流れにより陰極室ではイ
オン交換膜にマグネタイトが付着しないものと考えられ
る。しかし、ガスケット近辺においては、陰極液が淀み
易く流速が低下するため、少しずつマグネタイトがイオ
ン交換膜に付着し、やがて成長した導電性のマグネタイ
トが陰極とイオン交換膜とが電気的に繋がることにな
り、局部的に電流が集中して流れるため、大きいジュー
ル熱が発生し、イオン交換膜が焦げたり破れたりするお
それがあるものと推定される。従って、本発明において
は、ガスケット近辺でのマグネタイトの生成をなくすと
共に、更に、イオン交換膜と陰極がマグネタイトで電気
的に繋がった場合でもイオン交換膜に電流が流れないよ
うにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、イオン
交換膜により互いに隔離される少なくとも陽極室と陰極
室とを有し、被処理水溶液を収容してなる電気透析精製
用セルであって、陰極室を隔離する陽イオン交換膜の少
なくとも陰極室面のガスケット周辺部に非イオン透過性
帯が形成されてなることを特徴とする電気透析精製用セ
ルが提供される。本発明の上記電気透析精製用セルにお
いて、非イオン透過性帯が塩化ビニル樹脂、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレ
ン樹脂及びフッ素樹脂の1または2以上で被覆されて電
気不導体に形成されることが好ましい。上記の非イオン
透過性帯が、ガスケット周辺部の、好ましくは陽イオン
交換膜を挟持固定するガスケットの電極室側端部から約
30mm以内の幅である。また、被処理水溶液が、鉄イ
オン含有水溶液であることが好ましい。
【0006】本発明の上記電気透析精製用セルは、陽イ
オン交換膜により隔離される陽極室と陰極室との2室か
らなり、陰極室には無機塩及びpH緩衝剤を含有する水
溶液を陰極液として収容すると共に、陽極室に鉄イオン
含有水溶液が収容されるように構成されるのが好まし
く、または、陽極室と中間室とが陰イオン交換膜で、中
間室と陰極室とが陽イオン交換膜でそれぞれ隔離される
陽極室、中間室及び陰極室の3室からなり、(a)陽極
室に硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、塩素酸、過塩素酸、ク
ロム酸の1または2以上を含有する水溶液を陽極液とし
て収容し、(b)中間室に鉄イオン含有水溶液を収容
し、(c)陰極室に無機塩及びpH緩衝剤を含有する水
溶液を陰極液として収容されるように構成するのが好ま
しい。本発明の上記電気透析精製用セルは、好ましくは
フィルタプレス型電気透析槽からなる。なお、本発明に
おいて、ガスケット周辺部とは、各電極室及び中間室を
隔離するイオン交換膜を挟んでセル枠に取付け固定する
ための枠形状と同様の形状のガスケットで、両面をガス
ケットで挟持され固定されたイオン交換膜の、挟持ガス
ケットの通電面側、即ち電極室を構成する内側端全周囲
の所定幅の部分をいう。この場合、ガスケット挟持部分
を含んでもよい。
【0007】
【作用】本発明は上記のように構成され、要すれば電極
室間に中間室を有するイオン交換膜により隔離される電
極室からなる2室法または3室法の電気透析精製用セル
であって、被処理水溶液である例えば金属酸洗浄廃液等
の鉄イオン含有水溶液を電気透析処理にあたり、陽極室
または中間室に上記被処理水溶液を収容して処理させる
場合、陽極室または中間室と、被処理水溶液中に含有さ
れる例えば鉄イオン等の多価金属イオンが拡散移動して
くる陰極室とを、隔離する陽イオン交換膜のガスケット
周辺部に非イオン透過性帯を形成するため、鉄イオン含
有水溶液の電気透析精製処理においても、電導性のマグ
ネタイトがイオン交換膜に付着することがなく電気透析
精製処理を長期間安定して継続できる。更に、イオン交
換膜と陰極がマグネタイトで電気的に繋がった場合でも
イオン交換膜に電流が流れることがなく、長期にわたり
安定した電気透析精製ができる。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の電気透析精製用セルは、陽極室及び陰極室とから
構成されるいわゆる2室法と、陽極室、中間室及び陰極
室とから構成されるいわゆる3室法の双方を包含するも
のである。電気透析槽が2室法の場合、陽極室と陰極室
は陽イオン交換膜で隔離し、電気透析槽が3室法の場
合、陽極室と中間室の隔離は陽イオン交換膜又は陰イオ
ン交換膜、中間室と陰極室は陽イオン交換膜で隔離する
のが電解効率を高くする上で好ましい。本発明の電気透
析精製用セルは、型式等には特に制限されるものではな
いが、いわゆるフィルタプレス型電気透析槽が最も好適
に適用できる。また、電極の接続方式としては、単極式
及び複極式のいずれでもよい。更に、電気透析精製用セ
ルの陽極を構成する材質は、電解条件で劣化しない耐久
性の高いものが好ましく、黒鉛、チタンまたはタンタル
金属上に白金や白金イリジウム合金をコーティングした
もの等が使用できる。陰極の材質は、陽極と同様に電解
条件で劣化しない耐久性の高いものが好ましく、ステン
レス、ニッケル、鉄鋼上をニッケルメッキしたもの、黒
鉛、チタン金属上に白金をコーティングしたもの等が使
用できる。本発明のイオン交換膜としては、市販されて
いるハイドロカーボン系やパーフルオロカーボン系の陽
イオン交換膜及び陰イオン交換膜が使用できる。但し、
酸性条件下で使用するため、官能基としてカルボン酸の
みを有する膜は使用できない。
【0009】本発明において、上記陽極室または中間室
と、陰極室とを隔離する陽イオン交換膜の少なくとも陰
極室側面、要すれば両面のガスケット周辺部を非イオン
透過性帯を形成する。ガスケット周辺部に形成される非
イオン透過性帯は、陽イオン交換膜を挟持するガスケッ
トの電極室側端部から、通電面方向に約30mm以内、
好ましくは約15mm以内の幅で形成されるのがよい。
30mmを超えて非イオン透過性帯を形成すると、通電
面が制限され電気透析時の電流効率が低下し好ましくな
い。本発明において、上記陽イオン交換膜の非イオン透
過性帯は、通常、電気的に不導体のもので被覆すること
によって形成することができる。例えば、塩化ビニル
(PV)樹脂、エポキシ(EP)樹脂、フェノール(P
F)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン
(PE)樹脂、ポリエステル樹脂及びフッ素樹脂等の電
気的不導体のプラスチック1または2以上を用いて被覆
することができる。被覆は、例えば、プラスチックの溶
液または懸濁液を用いて所定部分を塗布して行うことが
でき、また、プラスチック膜をガスケットと陽イオン交
換膜の間に挟み込み固定することにより行うことができ
る。非イオン透過性帯の形成は、上記したように陽イオ
ン交換膜の陰極室側片面または両面のどちらでもよい。
非イオン透過性帯を両面に形成した場合は、ガスケット
周辺部の非イオン透過性が完全となり好ましい。非イオ
ン透過性帯をプラスチックの溶液または懸濁液を用いて
陽イオン交換膜上に塗布形成する場合、陽イオン交換膜
表面を塗布前に予め十分乾燥し塗布液の滲み込みを容易
にするのが好ましい。また、塗布前にエメリー紙等で塗
布面を荒く削り、塗布物がよく付着するようにしてもよ
い。陽イオン交換膜へのプラスチックの溶液または懸濁
液の塗布は、筆、刷毛、ロール等を用いて行うことがで
きる。また、塗布において、余分なプラスチックが通電
面に拡散しないように塗布時に、陽イオン交換膜の所定
の周辺部を除き通電部を布、紙などで覆って塗布するの
が望ましい。また、非イオン透過性帯を、ガスケットと
陽イオン交換膜間にプラスチック膜を挟み込み固定形成
する場合、プラスチック膜は上記の電気的不導体プラス
チックの他、それらプラスチックが補強繊維と複合され
た強化プラスチックで構成されるものを用いることがで
きる。プラスチック膜の厚さは50〜1000μmのも
のが好ましい。膜厚が50μm未満の場合は、膜の機械
的強度が低く膜を挟み固定するときに破れるおそれがあ
るためである。また、1000μmを超えた膜厚の場合
はプラスチック膜自体が新たな淀みの要因を形成し、陽
イオン交換膜へマグネタイトが付着するおそれが生じる
ため好ましくない。
【0010】本発明の電気透析精製セルの陰極液として
は、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、硫酸
塩、塩化物、硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩の1または
2以上を含有する水溶液が使用できる。上記無機塩は、
陽極液及び/または中間室液の陰イオン種、及び工業的
実施の運転コスト等を考慮して適宜選択することができ
る。好ましくは、無機塩の陰イオン種と、陽極液及び/
または中間室液の陰イオン種とが同一とするのがよい。
陰極液中の無機塩は電気伝導度を上げ、電解中の電圧を
低下させることができる。陰極液に含有させる無機塩の
濃度は、特に制限されるものではなく、濃度が大きくな
る程、電気伝導度が向上するため望ましい。しかし、飽
和溶液では、塩の析出等のおそれがあり、通常、飽和溶
解度未満の濃度とする。陰極液には、上記無機塩の他、
pH緩衝剤を含有させる。pH緩衝剤としては、(1)
アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアンモニアの
亜硫酸塩類または亜硫酸水素塩類、(2)アンモニアの
水酸化物、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、塩素酸塩または過
塩素酸塩、(3)リン酸、ホウ酸、酢酸、クエン酸、フ
タル酸、酒石酸、乳酸、ジエチルバビルツル酸またはジ
メチルグリシンの酸類、(4)2,4,6−トリメチル
ピリジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、
2−アミノメチル1,3−プロパンジオール、エチルモ
ルホリン、フェニルヒドラジン、アニリン、ピリジン、
キノリン、ヘキサミンまたは尿素の含窒素化合物から選
ばれた1または2以上を適宜選択して用いることができ
る。本発明において、上記pH緩衝剤は、陽極室または
中間室から陰極室に移動する多価金属イオン、特に、鉄
イオンが陰極液中でマグネタイトに変化するのに適した
pH値を維持する作用がある。pH緩衝剤の種類及び添
加量は、特に、鉄イオン濃度、電解条件、運転コスト等
により適宜選択するのがよい。
【0011】上記したように構成される本発明に電気透
析精製用セルで処理する被処理水溶液、例えば、鉄イオ
ン含有水溶液としては、一般に、(1)鉄イオンが混在
して汚染された電気めっき型酸の水溶液、(2)鉄イオ
ンを含む酸の陰イオンと陽イオンとからなる塩の水溶
液、(3)硫酸、リン、ハロゲンまたは炭素を含む酸の
陰イオンと鉄イオンとからなる塩の水溶液または(4)
これらの混合物を挙げることができる。特に、本発明に
おいては、鋼板、ステンレス鋼等金属の酸洗浄廃液を電
気透析精製する場合に好適に適用することができる。ま
た、電気透析条件は、特に、制限されず、一般に、電流
密度1〜100A/dm2 、電解液温度10〜100℃
の範囲で、電解効率のよい条件を適宜選択することがで
きる。本発明の電気透析精製セルを用いた電気透析精製
処理においては、陽極室及び/または中間室、並びに陰
極室の各室から収容される各室液の一部を抜き出し、そ
れぞれ必要に応じて処理し、各室液をメークアップした
後、それぞれ各室に戻す循環系を有する。この場合、各
室水溶液の抜き出し及び供給の循環は、通常、ポンプを
用いて行うことができる。この循環系を形成させること
により連続的に電気透析精製を行い、陽極室または中間
室の循環系に上記の鉄イオン含有水溶液等を常時補給し
て、陽極室液または中間室液として連続して鉄イオン等
を除去して精製し、回収、再使用することができる。
【0012】上記の電気透析連続的操作において、陰極
液循環系においては析出したマグネタイト等を除去し電
極液を補給し、鉄イオン含有水溶液が補給される陽極室
または中間室の循環系からは一部系外に流出させ、所定
の酸液等に再使用することができる。即ち、2室法の場
合は陽極室で、3室法の場合は中間室または中間室及び
陽極室の双方で、鉄イオンが水素イオンに変換され酸が
生成するので、陽極液或は中間室液、または、陽極液及
び中間室液の双方を抜き出し回収し、鉄等金属の酸洗浄
処理工程で再利用することができる。本発明において、
陰極液量は電気透析の進行に伴い増加する傾向にある。
それは、陽極室または中間室からの陽イオン拡散に伴わ
れる浸透水があるためであり、浸透水により陰極液は徐
々に希薄化される。従って、無機塩とpH緩衝剤を適宜
補給添加して陰極液組成を所定の範囲に調整維持する。
また、陰極液循環系におけるマグネタイトの除去は、ろ
過装置等を用いて行うことができ、単位時間当たり陰極
液内で生成するのと同量のマグネタイトを系外に排出す
るのが好ましい。ろ過方法は特に限定されず、ベルトフ
ィルター、フィルタープレス、プリコートフィルター、
マグネット分離機等が使用できる。なお、電解透析精製
処理操作をバッチ方式で実施する場合、多価金属水酸化
物の排出は間歇的に実施することができる。陽極液また
は中間液に含有される鉄イオンの水素イオンへの変換率
は、電力原単位等の電解性能、陽イオン交換膜へのマグ
ネタイト付着性、酸回収設備費等の総合評価により、最
適な値を適宜選択できる。
【0013】
【実施例】本発明について実施例に基づき、更に詳細に
説明する。但し、本発明は、下記の実施例に制限される
ものでない。 実施例1 図1は2室法電気透析精製用セルのための概念的部材組
立説明図である。図1において、分離板1、1’によっ
て区分されるセルは、陰極2及び陽極3が、ガスケット
G1、G2、G3及びG4を介して非イオン透過性帯C
が形成された陽イオン交換膜4により隔離され2室を形
成するように組立てられる。先ず、図1に示したような
2室電気透析精製用セルを形成するため、陽イオン交換
膜4として30×80(cm)の大きさのデュポン社の
商品名ナフィオンNE−450を100℃で16時間乾
燥した。その後、乾燥した陽イオン交換膜の両面の周縁
部Eと、その周縁部Eの内端から内方向に1.5cm幅
にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ディスパー
ジョン(三井フロロケミカル社製、濃度60重量%)を
刷毛により1回塗布しドライヤーで溶媒を気化させ、陽
イオン交換膜4の四辺周部をPTFEで被覆した。上記
のように両面周縁部をPTFEで被覆した陽イオン交換
膜4は、ガスケット周辺部に非イオン透過性帯Cが形成
される状態で、その陽イオン交換膜と同形の厚さ0.2
cmの耐熱塩化ビニル樹脂製ガスケットG2及びG3で
挟持される。次いで、陽極及び陰極として、共に30×
80(cm)の電極寸法の白金めっきしたチタンエキス
バンドメタルを使用し、図1に示した構成で2室電気透
析セルを組立てた。上記の通り組立てた2室法電気透析
セルを用い、電流密度30A/dm2 、電解温度70±
5℃、各電解液循環流速100m/時の条件で、表1に
陽極液として示した原液組成の各種酸洗浄廃液を3日間
電気透析した。その結果を表1に示した。
【0014】実施例2 図2は3室法電気透析精製用セルのための概念的部材組
立説明図である。図2において、分離板1、1’によっ
て区分されるセルは、陰極2及び陽極3が、ガスケット
G1、G2、G3及びG4を介して非イオン透過性帯C
が形成された陽イオン交換膜4及び陰イオン交換膜5に
より隔離され3室を形成するように組立てられる。図2
に示したような3室電気透析精製用セルを形成するた
め、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)10重量%のn
−メチル−2−ピロリドン溶液を用いた以外は、実施例
1と同様にして陽イオン交換膜4となるデュポン社の商
品名ナフィオンNE−450の四辺周部をPVDFで被
覆した。得られた両面周縁部をPVDFで被覆した陽イ
オン交換膜4と陰イオン交換膜5として旭硝子社の商品
名セレミオンAAVを使用した以外は、実施例1と同様
にして、図2に示したのようにそれぞれ配置し3室電気
透析セルを組立てた。上記のように構成した3室法電気
透析セルを用い、電流密度30A/dm2 、電解温度を
70±5℃、各電解液循環流速100m/時の条件で、
表1に陽極液として示した原液組成の各種酸洗浄廃液を
3日間電気透析した。その結果を表1に示した。
【0015】
【表1】
【0016】実施例3 非イオン透過性帯の形成にPVC(ポリ塩化ビニル)1
0重量%のジメチルアセトアミド溶液を用いた以外は、
実施例2と同様に組立てた3室法電気透析セルを用い、
電流密度30A/dm2 、電解温度を70±5℃、各電
解液循環流速100m/Hrの条件で、表1に陽極液と
して示した原液組成の各種酸洗浄廃液を3日間電気透析
した。その結果を表1に示した。
【0017】実施例4 図3は、図1と同様に2室法電気透析精製用セルの概念
的な組立断面説明図である。図3において、非イオン透
過性帯C、Cを、厚さ100μmのPTFE膜(ダイキ
ン工業社製、商品名:ポリフロンM−31)でガスケッ
トG1及びG2それぞれと陽イオン交換膜4とで挟み込
み、ガスケットG1またはG2の下端からL=1.5c
mの長さで陽イオン交換膜4両面を覆うように固定した
以外は、図1の2室法電気透析精製用セルと同様に形成
し、同一部材は同一符号を付してある。上記のように形
成された2室法電気透析精製用セルを用い、実施例1と
同様に表2に陽極液として示した原液組成の各種酸洗浄
廃液を3日間電気透析した。その結果を表2に示した。
【0018】実施例5 図4は、図2と同様に3室法電気透析精製用セルの概念
的な組立断面説明図である。図4において、非イオン透
過性帯C、Cを、厚さ300μmのPP膜(相互理化学
硝子製作所社製)を用い、ガスケットG1及びG2それ
ぞれと陽イオン交換膜4とで挟み込み、ガスケットG1
またはG2の下端からL=1.5cmの長さで陽イオン
交換膜4両面を覆うように固定した以外は、図2の3室
法電気透析精製用セルと同様に形成し、同一部材は同一
符号を付してある。上記のように形成された3室法電気
透析精製用セルを用い、実施例2と同様に表2に陽極液
として示した原液組成の各種酸洗浄廃液を3日間電気透
析した。その結果を表2に示した。
【0019】
【表2】
【0020】実施例6 非イオン透過性帯の形成に、厚さ250μmのポリエス
テル膜(相互理化学硝子製作所社製)を用いた以外は、
実施例5と同様に組立てた3室法電気透析セルを用い、
電流密度30A/dm2 、電解温度を70±5℃、各電
解液循環流速100m/Hrの条件で、表2に陽極液と
して示した原液組成の各種酸洗浄廃液を3日間電気透析
した。その結果を表2に示した。
【0021】比較例1 陽イオン交換膜4に非イオン透過性帯を形成することな
く用いた以外は実施例1と同じ条件で3日間電気透析し
た。その結果を表3に示した。
【0022】
【表3】
【0023】比較例2 陽イオン交換膜4に非イオン透過性帯を形成することな
く用いた以外は実施例2と同じ条件で3日間電気透析し
た。その結果を表3に示した。
【0024】上記実施例より明らかなように、陰極室を
陽極室または中間室から隔離する陽イオン交換膜の周縁
部にガスケットから所定の幅に非イオン透過性帯を形成
させて配設した本発明の電気透析精製用セルは、陰極室
において生成するマグネタイトがガスケット周辺部に析
出することなく安定して連続的に電気透析が可能であ
る。一方、陽イオン交換膜に非イオン透過性帯を形成し
ない場合は、陽イオン交換膜のガスケット周辺部に焦げ
が生じ、長期間にわたり安定して電気透析するのが困難
であることが分かる。
【0025】
【発明の効果】本発明の電気透析精製用セルは、ガスケ
ット周辺部を非イオン透過性にすることにより、鉄イオ
ン含有水溶液の電気透析処理においても陰極室で生成さ
れるマグネタイトがガスケット周辺部に付着することな
く、また、付着したとしても電気が流れないため電流集
中が起こらず、イオン交換膜に不都合が生じるおそれも
なく、鉄イオン含有水溶液を含む金属酸洗浄廃液等を長
期間安定して電気透析精製処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の2室法電気透析精製用セル
の概念的部材組立説明図
【図2】本発明の一実施例の3室法電気透析精製用セル
の概念的部材組立説明図
【図3】本発明の一実施例の2室法電気透析精製用セル
の概念的部分組立断面説明図
【図4】本発明の一実施例の3室法電気透析精製用セル
の概念的部分組立断面説明図
【符号の説明】
1、1’ 分離板 2 陰極 3 陽極 4 陽イオン交換膜 5 陰イオン交換膜 G1、G2、G3、G4、G5 ガスケット C 非イオン透過性帯 E ガスケット周縁部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換膜により互いに隔離される少
    なくとも陽極室と陰極室とを有し、被処理水溶液を収容
    してなる電気透析精製用セルであって、陰極室を隔離す
    る陽イオン交換膜の少なくとも陰極室面のガスケット周
    辺部に非イオン透過性帯が形成されてなることを特徴と
    する電気透析精製用セル。
  2. 【請求項2】 前記非イオン透過性帯が、塩化ビニル樹
    脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリプロピレン樹
    脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂及びフッ素樹
    脂の1または2以上で被覆され電気不導体に形成されて
    なる請求項1記載の電気透析精製用セル。
  3. 【請求項3】 前記非イオン透過性帯が、陽イオン交換
    膜を挟持固定するガスケットの電極室側端部から約30
    mm以内の幅である請求項1または2記載の電気透析精
    製用セル。
  4. 【請求項4】 被処理水溶液が、鉄イオン含有水溶液で
    ある請求項1〜3いずれか記載の電気透析精製用セル。
  5. 【請求項5】 前記電気透析精製用セルが陽イオン交換
    膜により隔離される陽極室と陰極室との2室からなり、
    陰極室には無機塩及びpH緩衝剤を含有する水溶液を陰
    極液として収容すると共に、陽極室に鉄イオン含有水溶
    液が収容されてなる請求項1〜4いずれか記載の電気透
    析精製用セル。
  6. 【請求項6】 前記電気透析精製用セルが、陽極室と中
    間室とが陰イオン交換膜で、中間室と陰極室とが陽イオ
    ン交換膜でそれぞれ隔離される陽極室、中間室及び陰極
    室の3室からなり、(a)陽極室に硫酸、塩酸、硝酸、
    リン酸、塩素酸、過塩素酸、クロム酸の1または2以上
    を含有する水溶液を陽極液として収容し、(b)中間室
    に鉄イオン含有水溶液を収容し、(c)陰極室に無機塩
    及びpH緩衝剤を含有する水溶液を陰極液として収容し
    てなる請求項1〜4いずれか記載の電気透析精製用セ
    ル。
  7. 【請求項7】 前記電気透析精製用セルが、フィルタプ
    レス型電気透析槽である請求項1〜6いずれか記載の電
    気透析精製用セル。
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