JP3914032B2 - 電気透析用電極及び該電極を使用する電気透析方法 - Google Patents

電気透析用電極及び該電極を使用する電気透析方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気透析用、特にフッ化物イオンを含む被処理水の電気透析用として有用な電極、該電極を装着した電気透析槽及び前記電極を電気透析用として使用する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業、生活廃棄物に起因する大気汚染、河川、湖沼の水質悪化の、環境や人体への影響が憂慮され、その問題解決のための技術的対策が急務になっている。半導体製造工場では基盤及び回路製造プロセスにおいて、所要の元素材料として、又表面洗浄を目的として種々のフッ素化合物を多量に消費し、フッ化物或いはそのイオンを多く排出する。又樹脂工業、医薬、農薬分野でのフッ素化合物は重要な合成製品であり、これらのフッ素化合物に起因するフッ化物イオンの排出量は多くなる。これらのフッ化物又はフッ化物イオンは環境負荷が大きく、その排出規制値を厳守するための対策が急がれている。
【0003】
フッ素化合物が高濃度であれば、水酸化カルシウムとフッ酸を反応させて、CaF2の沈殿として回収できるが、フッ素含有回収物にはシリコン金属が混入しやすく、再生原材料としての価値が乏しいという問題点がある。現状のフッ素系排ガス成分の除去は、燃焼分解し、バグフィルターで一部回収後、スクラバーでフッ化水素を吸収させ、あるいはその回収効率を向上させるために水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加して、100〜1000ppmのフッ素を含む排水とし、この排水から凝集及び凝沈によりスラリーを回収することにより行われる。この回収方法では回収濃度が低いため電気透析を用いて10〜100倍程度に濃縮することが好ましいが、フッ化物イオンの存在下では特に陽極側でフッ酸が生成するため、安定な電極及びセル材料が存在しないという問題があった。
一般に酸化を行う電極である陽極として、フェライト、酸化鉛、酸化錫、白金、DSA、黒鉛、アモルファスカーボン(grassy carbon:GC)等があり、還元を行う電極である陰極としては、鉛、鉄、白金、チタン、カーボン等がある。電極基体として使用しうる材料は、寿命の長期化を達成しかつ処理表面の汚染を防止するために耐食性を有することが好ましく、陽極給電体としてはチタン等の弁金属又はその合金の使用が望ましく、陽極触媒としては白金やイリジウム等の貴金属及びそれらの酸化物の使用が望ましい。
【0004】
しかしながらこれらの高価な材料を使用しても、通電を行うと電流密度や通電時間に応じて触媒や基体材料が消耗し、電解液中に溶出することが知られており、より耐食性の優れた電極が望まれている。特にフッ素化合物やそのイオンが存在する場合は、耐性のある電極材料が非常に少なく安定な操業を行うことが困難であった。白金などの貴金属は比較的安定であるが、収率及び選択性の面で不十分で、更に高価であることが実用化の障害となっている。
【0005】
ダイヤモンドは、熱伝導性、光学的透過性、高温かつ酸化に対する耐久性に優れており、特にドーピングにより電気伝導性の制御も可能であることから、半導体デバイス、エネルギー変換素子等として有望視されている。電気化学用電極としては、Swainらはダイヤモンドの酸性電解液中での安定性を報告し[Journal of Electrochemical Society, Vol.141, p.3382 (1994)]、他のカーボン材料に比較して遥かに優れていることを示唆した。米国特許第5,399,247号明細書は、ダイヤモンドを陽極材料に用いて有機廃水が分解できることを示唆している。Fotiは、有機物の電解酸化分解において白金と異なる分解機構により有機物の二酸化炭素への分解が促進されることを報告している[Electrochemical and Solid-State Letters, Vol.2, p.228-230 (1999)]。更に特開2000−204492号公報では、半導体ダイヤモンドから成る電極を使用する有機化合物のフッ素化反応が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら電気透析や電解めっき等の分野では、電解液中に不純物が存在することが多く、前述の通り特にフッ化物イオンの存在する電気透析では陽極側でフッ酸が生成するため、安定な電極が存在しないという問題があった。
本発明は、従来の電気透析、特に低濃度のフッ化物イオンを含有する電気透析において該イオン回収を安定的かつ高い収率で行える電気透析用電極及びこの電極を使用する電気透析法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性ダイヤモンドを電極物質として含有し、pHを3以上に維持した陽極液中で電気透析用として使用することを特徴とする電気透析用電極及び電気透析槽であり、更にフッ化物イオンを含む被処理水からフッ化物を電気透析により濃縮する方法において、pHを3以上に維持した陽極液中で、導電性ダイヤモンドを電気透析用陽極として使用することを特徴とする方法である。
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明では、導電性ダイヤモンドを電気透析用として使用し、その結果セル安定性の改善や高収率での目的反応生成物の取得が達成できる。導電性ダイヤモンドは耐食性でそれ自身がフッ化物イオン等の腐食性物質に対しても安定であり更に製造法にも依るが通常は緻密な層として基材上に被覆されるため、腐食性の液体の浸透による基材の腐食がほぼ完全に防止できる。
電気透析は海水からの塩分濃縮、飲料水の精製、廃液濃縮等、工業的に汎用されている。電気透析槽では、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に設置し、直流電流を流すと、電解液中のイオンの移動方向が反対になり、電解質の濃縮、電解液からの脱塩が可能になる。
【0009】
電極間に複数のイオン交換膜を配置できるが、電極間のセル電圧が高くなるにつれてリーク電流による腐食などの問題が発生するため、10〜100対ごとに区切り、バイポーラー板を設置することが多い。限界電流が濃度や供給速度に応じて存在し、この限界電流を越えた運転は電流効率の低下を招くため、脱塩率は10〜90%の範囲に調節することが好ましい。又膜や電極の接触を防止するために開口率の大きいスペーサーを挟み込むことが望ましい。
このような電気透析槽でフッ化物イオンを含む溶液の電気透析を行うと、陰イオンであるフッ化物イオンが陽極に引き寄せられて陽極室内でのフッ化物イオン濃度が上昇し、このフッ化物イオンにより従来の電気透析槽で汎用されているフェライトや酸化鉛等の陽極が劣化しやすくなる。従って従来の電気透析槽ではフッ化物イオンを含む溶液の処理は陽極の消耗を前提とし、陽極を頻繁に交換しながら行うこと以外の手段がなかった。
【0010】
これに対し、本発明の一態様では、フッ化物イオンに対して耐性を有する導電性ダイヤモンドを電極物質として含有する陽極を使用でき、フッ化物イオンを含む排水等の被処理水の電気透析による処理を行っても陽極の劣化は殆ど起こらず、長期に渡って陽極を交換することなく電気透析を実施できる。本発明におけるフッ化物としては、MF、M〔BF4〕、M3〔AlF4〕及びM2〔SiF6〕(ここでMはメタルカチオン又はプロトンである)等があり、これらのフッ化物から少なくとも1個のMが脱離したアニオンがフッ化物イオンである。
又電気透析法は汚染度の高いフッ化物イオン以外の腐食性物質を含む溶液の処理に使用されることがあり、その場合にも導電性ダイヤモンドを陽極とする本発明の電気透析槽や電気透析方法は有効である。
電極物質である導電性ダイヤモンドは、金属などの集電体上に形成することが望ましい。該集電体は導電性材料であれば問題はないが、チタン、ニオブ、タンタル、シリコン、カーボン、ニッケル、タングステンカーバイド等の板、打抜き板、金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体等を好ましく使用できる。
【0011】
集電体と導電性ダイヤモンドの密着性向上及び集電体保護のため、中間層を設けても良く、中間層の材料は集電体の材料の炭化物や酸化物を使用できる。集電体や中間層の表面を研磨すると密着性と反応面積増大に寄与する。このときにダイヤモンド粉末を核として集電体表面や中間層表面に付着させると均一なダイヤモンド層を成長させる効果がある。
ダイヤモンド電極は、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、プラズマアークジェット法及びPVD法等により形成できる。この他に超高圧による合成ダイヤモンド粉末を使用する場合は、樹脂やセラミクスなどの結合材を使用しあるいは焼成により酸化物を形成させながら前記粉末を固定することも可能である。
【0012】
代表的なダイヤモンド電極製造方法である熱フィラメント法について説明する。炭素源となるアルコール等の有機化合物を水素ガス等の還元雰囲気に保ち、フィラメントを炭素ラジカルが生成する温度1800〜2400℃に加熱する。そして前記雰囲気内に、ダイヤモンドが析出する温度領域(750〜950℃)になるように給電体や電極基体を配置する。このときの水素に対する有機化合物濃度は0.1〜10容量%、供給速度は反応容器のサイズにも依るが0.01〜10リットル/分、圧力が2kPa〜100kPaであることが好ましい。前記電極基体上には通常0.01〜1μmの粒径のダイヤモンド微粒子が析出する。このダイヤモンドの層の厚さは操作時間の増減により調節すれば良く、該厚さは電極基体への電解液の浸入を防ぐ目的のために0.1〜50μmとすることが好ましく、1〜10μmとすることが特に好ましい。
前記マイクロ波プラズマCVD法では、周波数が2〜3GHzのマイクロ波により、原料をラジカル化する。
【0013】
粉末触媒層として構成する導電性ダイヤモンドの体積率は、電気抵抗を小さくし有効な電極面積を増加させるためには30%以上とすることが好ましい。又電極表面にフッ素樹脂等の疎水性成分を被覆すると被処理物質を捕捉しやすくなるため反応効率を向上させることができる。
良好な導電性を得るためには、原子価の異なる元素を微量添加することが不可欠であり、ホウ素やリンの好ましい含有率は1〜100000ppmであり、より好ましい含有率は100〜10000ppmである。具体的な原料化合物としては、毒性の低い酸化ホウ素や五酸化二リンなどがある。無定形酸化珪素との複合物質であるDLN(diamond-like nano-composite)なども使用できる。
【0014】
ダイヤモンドの合成法によっては一部が非ダイヤモンド成分を生成し、ダイヤモンド成分中に含有されることがある。これら非ダイヤモンド成分等の耐食性のない炭素成分は電解液中に溶液して消耗するため実用的な影響は小さいが、使用前に酸洗浄などにより除去しておくことが望ましい。
このようにして製造したダイヤモンド粒子は前述の通り基体や給電体上に担持させて通常の電極として使用しても良いが、流動床や固定床で三次元電極として使用すると、反応面積が増大して処理能力が向上する。
【0015】
電解槽やスペーサーの材料としては、有機化合物、そしてフッ化物イオンを使用する場合はフッ化物イオンに対する耐久性、安定性の観点から、ガラスライニング材料、カーボン、チタン、ステンレス、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びPTFE樹脂などが好ましく使用できる。
ダイヤモンド電極は水電解の過電圧が他の電極よりかなり高いため、電力原単位が問題になる場合がある。この問題を改善する目的で、基材や集電体上にダイヤモンドを形成した後、更に触媒を担持しても良い。陽極触媒としては、PbO2、SnO2及びIrO2などがあり、陰極触媒としては白金、RuO2、銅及び鉄などがある。陰極としては、白金、導電性ダイヤモンド、イリジウム、カーボン等が使用できる。電解により析出したCa、Mgイオンを含む沈殿物を除去するために、逆電流を流す場合には、陽分極に対しても安定であることが好ましいので、白金やダイヤモンド、イリジウムが適している。
【0016】
電解条件は、温度が5〜40℃、三次元電極以外の通常の電極を使用する場合の電流密度が0.01〜10A/dmであることが好ましい。
電気透析を継続すると陰極室で水酸化アルカリ等が生成してカルシウムやマグネシウムの水酸化物の沈殿が生じることがある。又陽極液の酸性度が高くなると(pHが低くなると)フッ化水素ガスが発生することがある。本発明では、これらの現象を防止するために、陽極液と陰極液を混合し、pHを3以上の弱酸性又は中性領域に維持する。
【0017】
本発明の導電性ダイヤモンドを電極物質として含有する電解用電極は陽極として好ましく使用できるが、陰極として使用しても良く、セル電圧や価格等を勘案して選択すれば良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に添付図面に基づいて本発明の導電性ダイヤモンド陽極を使用する電気透析槽の一実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明に係る電気透析槽を例示する概略断面図である。
箱型の電気透析槽本体1は、交互に位置する陽イオン交換膜2と陰イオン交換膜3(図示の例では各3枚)により、図の左端の陽極室4と右端の陰極室5及び両極室間の計3個の脱塩室6A及び2個の濃縮室6Bとに区画されている。なお脱塩室と濃縮室を総称して中間室ということがある。
前記陽極室4内には導電性ダイヤモンドを電極物質として被覆した陽極7が、又前記陰極室5内には白金板等からなる陰極8がそれぞれ設置されている。又各イオン交換膜2、3と電極7、8の間には多孔性のスペーサー9が設置されてこれら相互の接触を防止し、かつ液流水を均一化するよう制御している。
電気透析槽本体1の下方には、水平方向に延びる円筒状の被処理水供給管10が設置され、該被処理水供給管10から前記電気透析槽本体1内の脱塩室6Aにフッ化ナトリウム等を含む排水である被処理水を供給するための連結管11が分岐し、前記槽本体1の対応する底面に連結されている。又前記被処理水供給管10と平行して濃縮水循環管21が設置され、この濃縮水循環管21から後述する濃縮水取出管からの濃縮水を前記濃縮室6Bに連結管23を介して循環させる。
【0020】
前記陽極室4内には陽極液取出管12が挿入され、陽極液を取り出して陽極室用気液分離器13に供給するようにしている。該気液分離器13には酸素ガス回収管14と陽極液回収管15が接続されている。
又前記陰極室5内には陰極液取出管16が挿入され、陰極液を取り出して陰極室用気液分離器17に供給するようにしている。該気液分離器17には水素ガス回収管18と陰極液回収管19が接続されている。
前記脱塩室6Aの上面には脱塩水取出口20が、又前記濃縮室6Bの上面には濃縮水取出口22が形成されている。
このような構成から成る電気透析槽を使用してフッ化物イオンを含む排水の処理を行うには、導電性ダイヤモンド陽極7と白金陰極8間に通電しながら、被処理水供給管10にフッ化ナトリウム等のフッ化物イオン含有排水を供給し、連結管11を介して脱塩室6Aに前記排水を供給し、脱塩水取出口20から処理済の脱塩水を回収する。
【0021】
各脱塩室6A内の被処理水(排水)は両極間に印加される電場に置かれ、前記被処理水中の陽イオンであるナトリウムイオンは陰極8方向に引かれ、陽イオン交換膜2を透過して隣接する濃縮室6Bや陰極室5に移動する。他方前記被処理水中の陰イオンであるフッ化物イオンは陽極7方向に引かれ、陰イオン交換膜3を透過して隣接する濃縮室6Bや陽極室4に移動する。
濃縮室6B内では電気透析により、電解液が濃縮される。濃縮水は連結管23から濃縮室6Bに供給され、濃縮水取出口22と通して濃縮室6B外に取り出されて、一部が回収され、残りが前記濃縮水循環管21に循環する。
陰極室5内の陰極液は陽イオン交換膜2を浸透して来るナトリウムイオンの濃度が高くなって水酸化ナトリウムが生成してアルカリ性になり、この陰極液は陰極液取出管16から陰極室用気液分離器17に導かれ、この気液分離器17で気液分離された水素ガスは水素ガス取出管18から系外に取り出され、水酸化ナトリウム水溶液は、陰極液回収管19から系外に取り出される。この水酸化ナトリウム水溶液は陽極室4に供給して陽極液のpHを3以上に維持するために使用しても良い。
【0022】
他方陽極室4内の陽極液は陰イオン交換膜3を浸透して来るフッ化物イオンの濃度が高くなってフッ酸が生成して酸性になり、この陽極液は陽極液取出管12から陽極液用気液分離器13に導かれ、この気液分離器13で気液分離された酸素ガスは酸素ガス取出管14から系外に取り出され、フッ酸水溶液は、陽極液回収管15から系外に取り出される。
その電気透析処理により脱塩室6A内の被処理水中の陽イオン濃度及び陰イオン濃度が実質的にゼロになり、清澄な水として回収できる。又濃縮室6Bからは電解液が濃縮された少量かつ高濃度の廃液が得られる。
そしてこの電気透析処理において陽極室4に高濃度のフッ酸が生成するが、陽極7としてフッ化物イオンに対して高耐性を有する導電性ダイヤモンド電極を使用しているため消耗が殆どなく、交換することなく長期に渡って電解処理を継続できる。
【0023】
次に本発明に係る電気透析用陽極及びこれを使用する電気透析方法の実施例及び比較例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0024】
実施例1
次のようにして図1に示す電気透析用セルを組み立てた。
電極面積が200cm2、厚さ1mmのニオブ板の両面に、10μm厚で1500ppmのホウ素をドープしたダイヤモンドを熱フィラメントCVD法により析出させて陽極とし、1μmの白金をめっきした厚さ1mmのニッケル板を陰極とした。陽イオン交換膜として旭硝子株式会社製のCMV、陰イオン交換膜として同社製のAMVを使用した。
塩化ビニル樹脂製のセル枠、ポリプロピレン製の網から成るスペーサー、バイトンゴム製のガスケット、及び前記陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を使用して、両端の陽極室及び陰極室を除いて、脱塩室6室及び濃縮室5室から成る電気透析用セルとした。なお陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜の間隔は2mmに維持した。
【0025】
フッ化ナトリウムを200ppm含む排水溶液を25リットル/時の速度で6個の脱塩室に供給し、電流密度0.5A/dm2、室温で電気透析を行ったところ、濃縮室から電流効率約60%で10000ppmのフッ化ナトリウム濃縮液が0.5リットル/時の割合で得られた。なお酸素ガスを分離した陽極液を陰極室下部に供給し、水素ガスを分離した陰極液を陽極室に供給した。
1000時間運転後でも性能低下は観察されず、ダイヤモンドの消耗やセル枠等の腐食も検出されなかった。脱塩生成水中のフッ素濃度は50ppm未満であった。又各電解室のpHはほぼ中性に維持された。
【0026】
実施例2(実施例2以降は加速試験)
電極面積が2cm2のニオブ板の両面に、10μm厚で1500ppmのホウ素をドープしたダイヤモンドを熱フィラメントCVD法により析出させた電極を陽極とし、白金板を陰極とした。1000mlのPTFE製の容器中で3%フッ化ナトリウム水溶液を調製し、前記陽極及び陰極を前記フッ化ナトリウム水溶液中に浸漬し、電流密度3A/dm2とし、極間を50mmに調節し、室温で電解を行ったところ、セル電圧は4Vで、8000時間運転後でも電圧変化は殆どなかった。終了後、陽極を分析したところ、ダイヤモンドの消耗は殆どなく、基材の腐食も検出されなかった。
【0027】
実施例3
電極面積が2cm2で厚さ1mmのニオブ板の両面に、10μm厚で10000ppmのホウ素をドープしたダイヤモンドを熱フィラメントCVD法により析出させた電極を陽極とし、白金板を陰極とした。1000mlのPTFE製の容器中で3%フッ化ナトリウム水溶液を調製し、前記陽極及び陰極を前記フッ化ナトリウム水溶液中に浸漬し、電流密度30A/dm2とし、極間を50mmに調節し、40Cで電解を行ったところ、セル電圧は16Vで、2000時間運転後でも電圧はほぼ同様であった。終了後、陽極を分析したところ、ダイヤモンドの消耗は僅かであり、基材の腐食も検出されなかった。
【0028】
実施例4
タンタル板上に10μm厚で10000ppmのホウ素をドープしたダイヤモンドを熱フィラメントCVD法により析出させた電極を陽極とし、白金板を陰極とした。1000mlの容器中に3%フッ化ナトリウム水溶液を調製し、前記陽極及び陰極を前記フッ化ナトリウム水溶液中に浸漬し、電流密度30A/dm2とし、室温で電解を行ったところ、セル電圧は20Vで、2000時間運転後でも電圧はほぼ同様であった。終了後、陽極を分析したところ、ダイヤモンドの消耗は僅かであり、基材の腐食も検出されなかった。
【0029】
比較例1
厚さ5μmの白金めっきを施したチタン板を陽極として使用したこと以外は実施例2と同様にして電解を行ったところ、初期セル電圧は8Vであったが、開始直後から重量消耗が見られ、1000時間経過後には殆どの触媒が溶出し、又基材のチタンの溶解が進行し、電解が不能になった。溶液中から白金及びチタンの沈殿が検出された。
【0030】
比較例2
厚さ5μmの白金めっきを施したニオブ板を陽極として使用したこと以外は実施例3と同様にして電解を行ったところ、初期セル電圧は14Vであったが、開始直後から重量消耗が見られ、2000時間経過後には殆どの触媒が溶出し、又基材の溶解が進行し、電解が不能になった。溶液中から白金及ニオブの沈殿が検出された。
【0031】
比較例3
厚さ100μmのPbO2めっきを全面に施したニオブ板を陽極として使用したこと以外は実施例3と同様にして電解を行ったところ、初期セル電圧は15Vであったが、開始直後からPb成分の消耗が見られ、電解液中のPb濃度が増加した。2000時間経過後の電圧は初期と同じであったが、液中のPb濃度が5000ppmとなり、実用上問題が残った。電解を継続するに連れて溶液は褐色に着色した。
【0032】
比較例4
厚さ100μmのSnO2めっきを施した銅板を陽極として使用したこと以外は実施例2と同様にして電解を行ったところ、初期セル電圧は18Vであったが、開始直後からSn成分の消耗が見られ、電解液中のSn濃度が増加した。2000時間経過後の電圧は初期と同じであったが、液中のSn濃度が2000ppmとなり、実用上問題が残った。電解を継続するに連れて溶液は青に着色した。
【0033】
比較例5
直径3mmで面積5cm2のグラッシーカーボン製の棒状電極を陽極として使用したこと以外は実施例3と同様にして電解を行ったところ、初期セル電圧は15Vであったが、開始直後から電極の消耗が顕著であり、1000時間経過後には露出部が殆ど消失した。溶液中には電極の剥離片が残った。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、導電性ダイヤモンドを電極物質として含有し、pHを3以上に維持した陽極液中で電気透析用として使用することを特徴とする電解用電極である。
電気透析は陽極室や陰極室に腐食性物質等が浸透して高濃度となることがあり、従来のようにフェライト電極や炭素電極を使用すると電極が劣化して交換が必要になるという問題点があった。
しかし本発明では電極材料として高耐食性の導電性ダイヤモンドを使用しているため、その電極を高濃度の腐食性物質が存在することのある電気透析処理に使用しても劣化が殆ど起こらず、長期に渡り交換せずに電気透析を継続できる。
又該電極を装着した電気透析槽も同様の効果を有する。
【0035】
更にこの電気透析槽をフッ化物イオンを含む被処理水の電気透析に使用すると、高腐食性のフッ化物イオンが高濃度で存在しても導電性ダイヤモンド陽極がフッ化物イオンに対する耐性を有し安定した運転が可能になる。
更に本発明では、陽極液をpH3以上に維持しながら電気透析を行うので、フッ化水素ガスの発生を抑制できる。
通電開始後所定時間経過した陽極液と陰極液を混合すると、前記したフッ化水素ガスの生成の抑制と陰極室での水酸化物沈殿の発生防止又は沈殿の溶解が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気透析槽を例示する概略断面図。
【符号の説明】
1 電気透析槽本体
2 陽イオン交換膜
3 陰イオン交換膜
4 陽極室
5 陰極室
6A 脱塩室
6B 濃縮室
7 導電性ダイヤモンド陽極
8 白金陰極
9 スペーサー
10 被処理水供給管

Claims (4)

  1. 導電性ダイヤモンドを電極物質として含有し、pHを3以上に維持した陽極液中で電気透析用として使用することを特徴とする電極。
  2. 槽本体を陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を使用して1又は2以上の中間室と両端の陽極室及び陰極室に区画した電気透析槽において、導電性ダイヤモンドを電極物質とする電極を陽極とし、pHを3以上に維持した陽極液中で使用することを特徴とする電気透析槽。
  3. 槽本体を陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を使用して1又は2以上の中間室と両端の陽極室及び陰極室に区画した電気透析槽にフッ化物イオンを含む被処理水を供給し、前記フッ化物を電気透析により濃縮する方法において、pHを3以上に維持した陽極液中で、導電性ダイヤモンドを電気透析用陽極として使用することを特徴とする方法。
  4. 通電開始後所定時間経過した陽極液と陰極液を混合するようにした請求項3に記載の方法。
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