JPH08104858A - 木質接着用アクリルエマルション組成物 - Google Patents

木質接着用アクリルエマルション組成物

Info

Publication number
JPH08104858A
JPH08104858A JP4026694A JP4026694A JPH08104858A JP H08104858 A JPH08104858 A JP H08104858A JP 4026694 A JP4026694 A JP 4026694A JP 4026694 A JP4026694 A JP 4026694A JP H08104858 A JPH08104858 A JP H08104858A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic emulsion
acrylic
monomer
parts
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4026694A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Kishi
岸  正夫
Katsura Nagata
桂 永田
Akihiro Takahashi
昭博 高橋
Takeshi Ito
武志 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP4026694A priority Critical patent/JPH08104858A/ja
Publication of JPH08104858A publication Critical patent/JPH08104858A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】コアー層がTg−10〜+60℃の芳香族ビニ
ルニル系モノマー、不飽和カルボン酸エステルモノマ
ー、アミド基を有するアクリルモノマー及びカルボキシ
ル基を有するアクリルモノマー(モノカルボン酸)の共
重合体で、シェル層がTg−50〜+10℃の芳香族ビ
ニル系モノマー、不飽和カルボン酸エステルモノマー及
びカルボキシル基を有するアクリルモノマー(ジカルボ
ン酸)の共重合体である、二層構造よりなるアクリルエ
マルションに対して、ケン化度87〜89モル%、平均
重合度50〜2400の部分ケン化ポリビニルアルコー
ル及び炭酸亜鉛アンモニウム水溶液を配合して得られる
木質接着用アクリルエマルション組成物。 【効果】本発明の組成物は、従来の接着剤のごとく尿素
縮合系樹脂を併用することなく、耐温水性、耐煮沸性等
に優れ、かつ作業環境的にも優れる等、木質基材接着
剤、とりわけ突板化粧合板用接着剤として極めて有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酢酸ビニル系エマルショ
ンに酷似した高粘度で流動性を有し、増量剤を配合した
場合、ロールコーター等の塗布時の機械的安定性及び作
業性に優れ、耐温水及び煮沸性等の接着力に優れた木質
接着用着用アクリルエマルション組成物に関する。 更
に詳しくは、銘木を0.2〜3mmの厚味に薄くスライ
スした突板と称する単板で合板を化粧する時に用いるア
クリルエマルション組成物に関し、特に薄い突板接着時
の突板表面への接着剤の浸み出し汚染と、寒熱繰り返し
試験により突板が干割れを起こさない木質接着用アクリ
ルエマルション組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、突板化粧合板には尿素縮合系樹脂
と小麦粉に代表される増量剤の配合物、酢酸ビニル系エ
マルション、又はスチレン−ブタジエン共重合体ラテッ
クスと小麦粉及び尿素縮合系樹脂配合物等が接着剤とし
て用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】突板化粧合板は周知の
ごとく床材、壁材、家具類等に多用されている。突板の
厚さが薄くなるほど突板表面への接着剤の浸み出し及
び、干割れ(木目に沿って発生する細い亀裂)が多発生
する問題がある。前記尿素縮合系樹脂と小麦粉を配合し
た接着剤に代表される突板用接着剤は、通常熱プレスに
て接着するが耐温水性及び耐煮沸性等の接着力には優れ
るものの、接着剤が熱硬化樹脂につき接着剤硬化物が硬
過ぎ、薄い突板が無数の干割れを起こすと同時に、突板
表面に尿素縮合系樹脂が浸み出し商品価値を著しく低下
させる問題があった。また、作業環境的にも尿素縮合系
樹脂からの放出ホルムアルデヒドが人体へ悪影響を及ぼ
す等の問題もあった。
【0004】この問題を解決する手段として、熱可塑性
の酢酸ビニル系エマルションのごとく、樹脂エマルショ
ンを尿素縮合系樹脂と小麦粉配合物に配合する方法や、
ガラス転移温度(以下Tgと略称する)が低く、中性域
のPHであるスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
のごとく、エラストマーを前記尿素縮合系樹脂と小麦粉
配合物に配合する試みがなされている。前者の酢酸ビニ
ル系エマルションを用いた場合、耐温水及び煮沸性等の
接着力を補うため多量の尿素縮合系樹脂の配合が必須と
なり、突板の干割れは若干の向上は見られるものの満足
されるものではなかった。後者のスチレン−ブタジエン
共重合体ラテックスを用いた場合も、耐温水及び煮沸性
を付与するためには若干量の尿素縮合系樹脂を併用する
ことが必要で、突板の干割れについても前記酢酸ビニル
系エマルションを用いた場合より優れてはいるものの、
尿素縮合系樹脂を用いている限り限界があった。また、
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを用いた場
合、小麦粉との相溶性に欠け、配合物は高粘度化し流動
性に欠け、ロールコーター等で塗布する場合の作業性が
極めて悪いと言う問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、突板の干割
れに悪影響を及ぼす尿素縮合系樹脂を用いないアクリル
エマルション系接着剤による小麦粉との相溶性、即ち流
動性付与と突板の干割れ防止、耐温水及び煮沸性等の接
着力付与を目的とし鋭意検討を重ねた結果、小麦粉との
相溶性とロールコーター塗布時の機械的安定性並びに作
業性付与には、アクリルエマルションの粒子界面に多量
のカルボキシル基を存在させ低PHに調整したものが効
果的であり、これに部分ケン化ポリビニルアルコールを
配合することが極めて有効であることを見い出した。ま
た、突板の干割れ防止と耐温水及び煮沸性等の接着力向
上には、アクリルエマルションのTgの影響が大で、エ
マルション粒子をTgの異なった異相構造とすることが
最も効果的であり、特に耐温水及び煮沸性の向上にはア
ミド基を有するアクリルモノマーが必須で、このモノマ
ーは小麦粉との相溶性を妨げるため、異相構造エマルシ
ョン粒子の内部に存在させることが絶対条件であり、更
にエマルション粒子界面のカルボキシル基は亜鉛化合物
で金属架橋することにより、耐温水及び煮沸性は更に向
上すること見い出し本発明を完成させるに至った。
【0006】即ち本発明は、次の(1)〜(17)の通
りである。 (1)コアー層が芳香族ビニル系モノマー、不飽和カル
ボン酸エステルモノマー、アミド基を有するアクリルモ
ノマー及びカルボキシル基を有するアクリルモノマーの
共重合体、シェル層が芳香族ビニル系モノマー、不飽和
カルボン酸エステルモノマー及びカルボキシル基を有す
るアクリルモノマーの共重合体である、二層構造よりな
るアクリルエマルション(a)の固形0重量部に、部分
ケン化ポリビニルアルコ―ル(b)を固形分として0.
2〜10重量部、炭酸亜鉛アンモニウム(c)を、アク
リルエマルション(a)のカルボキシル基を有するアク
リルモノマー総量に対し、亜鉛として等モル量配合する
ことを特徴とする木質接着用アクリルエマルション組成
物。 (2)アクリルエマルション(a)のコアー層/シェル
層のモノマー構成比が、モノマー総量100重量部あた
り、30〜70/70〜30重量部であることを特徴と
する(1)記載の木質接着用アクリルエマルション組成
物。 (3)更に好ましくは、アクリルエマルション(a)の
コアー層/シェル層のモノマー構成比が、モノマー総量
100重量部あたり、50/50重量部であることを特
徴とする(2)記載の木質接着用アクリルエマルション
組成物。 (4)アクリルエマルション(a)のコアー層のTgが
−10〜+60℃、シェル層のTgが−50〜+10℃
であることを特徴とする(1)記載の木質接着用アクリ
ルエマルション組成物。 (5)更に好ましくは、アクリルエマルション(a)の
コアー層のTgが0〜+40℃、シェル層のTgが−4
0〜0℃であることを特徴とする(4)記載の木質接着
用アクリルエマルション組成物。 (6)アクリルエマルション(a)のコアー層のアミド
基を有するアクリルモノマー量がコアー層モノマー総量
100重量部中、1〜6重量部であることを特徴とする
(1)記載の木質接着用アクリルエマルション組成物。 (7)更に好ましくは、アクリルエマルション(a)の
コアー層のアミド基を有するアクリルモノマー量がコア
ー層モノマー総量100重量部中、3〜6重量部である
ことを特徴とする(6)記載の木質接着用アクリルエマ
ルション組成物。 (8)アクリルエマルション(a)のコアー層のカルボ
キシル基を有するアクリルモノマーが不飽和モノカルボ
ン酸であり、シェル層のカルボキシル基を有するアクリ
ルモノマーが不飽和ジカルボン酸であることを特徴とす
る(1)記載の木質接着用アクリルエマルション組成
物。 (9)アクリルエマルション(a)のシェル層の不飽和
ジカルボン酸量がシェル層モノマー総量100重量部
中、1〜10重量部であることを特徴とする(8)記載
の木質接着用アクリルエマルション組成物。 (10)更に好ましくは、アクリルエマルション(a)
のシェル層の不飽和ジカルボン酸量がシェル層モノマー
100重量部中、2〜5重量部であることを特徴とする
(8)記載の木質接着用アクリルション組成物。
【0007】(11)アクリルエマルション(a)のP
Hが4〜6に調整されたものであることを特徴とする
(1)記載の木質接着用アクリルエマルション組成物。 (12)更に好ましくは、アクリルエマルション(a)
のPHが4.5〜5.5であることを特徴とする(1
1)記載の木質接着用アクリルエマルション組成物。 (13)部分ケン化ポリビニルアルコール(b)の平均
重合度が50〜2400であることを特徴とする(1)
記載の木質接着用アクリルエマルション組成物。 (14)更に好ましくは、部分ケン化ポリビニルアルコ
ール(b)の平均重合度が500〜1700であること
を特徴とする(13)記載の木質接着用アクリルエマル
ション組成物。 (15)部分ケン化ポリビニルアルコール(b)のケン
化度が87〜89モル%であることを特徴とする(1)
記載の木質接着用アクリルエマルション組成物。 (16)炭酸亜鉛アンモニウム(c)は、水、炭酸アン
モニウム、酸化亜鉛及びアンモニア水からなる15〜2
0重量%濃度の透明な水溶液で、PHが9〜10に調整
されたものであること特徴とする(1)記載の木質接着
用アクリルエマルション組成物。 (17)炭酸亜鉛アンモニウム(c)の水溶液は、亜鉛
濃度が4〜5%であること特徴とする(1)記載の木質
接着用アクリルエマルション組成物。
【0008】アクリルエマルション(a)の乳化重合に
用いる芳香族ビニル系モノマーとしてはスチレン、αメ
チルスチレン、ジビニルベンゼン等が、不飽和カルボン
酸エステルモノマーしてはメチルメタアクリレート、エ
チルメタアクリレート、イソブチルメタアクリレート、
tertブチルメタアクリレート、酢酸ビニル、アクリ
ロニトリル、エチルアクリレート、イソブチルアクリレ
ート、nブチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリ
レート、2エチルヘキシルメタアクリレート、ラウリル
メタアクリレート等の炭素数4〜12のアルキル基を有
するアクリル酸もしくはメタアクリル酸エステルがあげ
られるが、中でも経済性、乳化重合のし易さからスチレ
ンとnブチルアクリレートの組合せが好ましい。
【0009】アミド基を有するアクリルモノマーとして
はアクリルアミド、メタアクリルアミド、マレイミド、
N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタア
クリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N
−イソプロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリ
ルアミド、N−オクチロキシメチルアクリルアミド、N
−カルボキシメチレンオキシメチルアクリルアミド等が
あげられ、中でも接着力、耐水性、耐温水性等から、メ
チロール基を有するN−メチロールアクリルアミド及び
N−メチロールメタアクリルアミド等が好ましい。
【0010】アクリルエマルション(a)のカルボキシ
ル基を有するアクリルモノマーとしては、コアー層に用
いるモノカルボン酸としてアクリル酸、メタアクリル
酸、クロトン酸等があげられ、乳化重合時の安定性及び
機械的安定性からアクリル酸もしくはメタアクリル酸が
好ましい。シェル層に用いるジカルボン酸としてはイタ
コン酸、マレイン酸、フマール酸等があげられ、中でも
重合時の安定性が良く、水溶液重合し易くエマルション
粒子界面に存在する確率が高く、かつ低PH域でのアク
リルエマルションの機械的安定性及び小麦粉との相溶性
が良い点からイタコン酸が特に好ましい。
【0011】アクリルエマルション(a)のコアー層/
シェル層のモノマー構成比は、モノマー総量100重量
部について、30〜70/70〜30、より好ましくは
50/50重量部である。モノマー構成比がこの範囲外
の場合、小麦粉との相溶性、ロールコーター等で塗布し
た場合の機械的シェアーによる安定性と作業性及び耐温
水及び煮沸性等の接着力のバランスが保たれず、木質接
着用アクリルエマルションとしては不向きとなる。具体
的に例を示すと、シェル層が70重量部より多い場合は
小麦粉との相溶性、ロールコーター等での機械的安定性
と作業性は向上するものの前記接着力は損なわれる。逆
に30重量部より少い場合は、接着力は得られるものの
小麦粉との相溶性等が著しく低下する。
【0012】アクリルエマルション(a)のコアー層の
Tgは−10〜+60℃、シェル層のTgは−50〜+
10℃である。更に好ましくはコアー層及びシェル層の
Tgがそれぞれ0〜+40℃及び−40〜0℃で、室温
での該エマルションの造膜性、突板の干割れ性及び前記
接着力の点よりシェル層のTgが低い方が好ましい。コ
アー層のTgが−10℃未満の場合接着力が得られず、
+60℃を超える場合は乳化重合時の安定性に欠け、突
板の干割れ防止効果が得られない。また、シェル層のT
gが−50℃以下の場合は接着力が得られず、+10℃
以上の場合はエマルションの造膜性が低下する関係上、
接着力が低下し、突板の干割れ防止効果も著しく低下す
る。
【0013】アクリルエマルション(a)のコアー層の
アミド基を有するアクリルモノマー量はコアー層モノマ
ー総量100重量部中、1〜6重量部の範囲である。乳
化重合時の安定性及び耐水性より好ましくは2〜5重量
部の範囲である。1重量部より少い場合は耐温水及び煮
沸性等の接着力が得られず、6重量部より多い場合は乳
化重合時の安定性が著しく低下し乳化重合中にゲル化を
起こす。アクリルエマルション(a)のシェル層のジカ
ルボン酸量はシェル層モノマー総量100重量部中、1
〜10重量部、より好ましくは2〜5重量部である。シ
ェル層のカルボキシル基を有するアクリルモノマーとし
てジカルボン酸を用いる目的は、モノカルボン酸に比し
PH域での移液ポンプ及びロールコーター等のシェアー
による機械的安定性の付与に基づく。1重量部より少い
場合は小麦粉との相溶性に欠け機械的安定性、ロールコ
ーター塗布時の作業性が著しく低下する。10重量部を
超える場合は乳化重合速度が著しく低下し、所定の乳化
重合時間内に重合が完結せず、残存モノマーが多くな
り、接着力も得られない。
【0014】アクリルエマルション(a)のPHは4〜
6、より好ましくは4.5〜5.5である。4未満の場
合、前記機械的安定性が得られず、6を超える場合は部
分ケン化ポリビニルアルコールを配合した際、酢酸ビニ
ル系エマルションに酷似した高粘度且つ流動性に優れた
エマルションが得られないばかりか、小麦粉との相溶性
も著しく低下し塗布作業に支障をきたす。発明の部分ケ
ン化ポリビニルアルコ―ル(b)(以下PVAと略称す
る)の平均重合度は50〜2400である。本発明のP
VAとはポリ酢酸ビニルをアルカリでケン化したケン化
度87〜89モル%である。ケン化度87モル%未満の
ものを用いた場合増粘性が低く、耐温水及び煮沸性が得
られない。89%を超えるものは水溶性に欠け温水で溶
解する必要があり、合わせて増粘物は流動性に欠ける。
突板化粧合板用接着剤としての適正粘度から、平均重合
度は500〜1700がより好ましい。通常このPVA
はアクリルエマルションと容易に混合させるべく、15
〜25重量%の水溶液として用いる。この場合500未
満の平均重合度のものを用いた場合、適正な粘度調整に
多量のPVAを必要とし、接着剤固形分の低下と耐温水
及び煮沸性の低下を起こし、1700超のものを用いた
場合は少量配合で所定の粘度に達するため小麦粉との相
溶性に欠ける。
【0015】PVAの配合割合はアクリルエマルション
(a)の固形分100重量部に対して、固形分として
0.2〜10重量部であり、より好ましくは1〜5重量
部である。0.2重量部より少い場合は、適正粘度が得
られず、かつ小麦粉との相溶性に欠け、10重量部より
多い場合は、高粘度化し小麦粉配合時の作業性をはじ
め、耐温水及び煮沸性が著しく低下する。
【0016】炭酸亜鉛アンモニウム(c)は15〜20
重量%濃度の透明な水溶液で、PHが9〜10に調整さ
れたものであり、本水溶液中の亜鉛濃度としては4〜5
重量%である。水溶液は例えば蒸留水100重量部に酸
化亜鉛12重量部と炭酸アンモニウム20重量部を撹拌
混合し、28%アンモニア水を約50重量部用い、PH
が9〜10となるまで徐々に添加することで、18重量
%の炭酸亜鉛アンモニウム(亜鉛濃度が4.5%)の透
明な水溶液が得られる。炭酸亜鉛アンモニウム(c)の
配合割合はアクリルエマルション(a)のカルボキシル
基を有するアクリルモノマー総量に対し、亜鉛として等
モル量配合することにより、カルボキシル基と亜鉛のキ
レート反応により耐温水及び煮沸性等の接着力が著しく
向上する。等モル量より少い場合十分な耐温水及び煮沸
性等の接着力が得られず、等モル量より多い場合接着剤
配合物の固形分及び粘度低下を起こすと同時に、前記接
着力は平衡状態となり増量の意味がない。
【0017】以上のごとく、本発明の木質接着用アクリ
ルエマルションは、合板と突板の接着に於いて従来の接
着剤のごとく尿素縮合系樹脂を併用することなく前記接
着力が得られ、作業環境的にも問題がなく、増量剤とし
て用いる小麦粉との相溶性に優れ、即ち流動性を有し、
ロールコーター塗布時の機械的安定性及び作業性を始
め、特に薄くスライスした突板表面への接着剤の浸み出
し汚染と干割れ発生率が低いことから、木質基材接着
中、とりわけ突板化粧合板用接着剤としての実用価値は
極めて高くその意義は大である。
【0018】具体的な本発明の木質接着用アクリルエマ
ルション組成物は、例えば1リットルビーカーに固形分
50%のアクリルエマルション(a)を採集し、撹拌し
ながら20%PVA水溶液を徐々に添加し後、18%の
炭酸亜鉛アンモニウム水溶液を配合し撹拌混合すること
で得られる。実際の合板と突板を接着する場合には、前
記木質接着用アクリルエマルション100gに対して1
0〜100gの小麦粉と、場合によっては水を加え均一
混合して用いる。先の18%の炭酸亜鉛アンモニウム水
溶液に関しては、場合によっては小麦粉配合時の前後に
配合しても良い。本発明の木質接着用アクリルエマルシ
ョンは、所望の効果を阻害しない範囲で防腐剤、水、分
散剤、消泡剤、造膜助剤、可塑剤、着色剤、凍結防止剤
剤等を併用しても良い。
【0019】
【実施例】以下に、本発明を製造例、実施例及び比較例
をあげて説明する。例中の部及び%は特に指定のない限
り重量基準による。また、表中の数字は特に指定のない
限り重量部を表わす。例中で使用した略号等は次の通り
である。乳化重合時の安定性の表示。 G : フラスコ内付着及び粗大粒子なし(良好) LP : 粗大粒子あり GL : ゲル化 NP : 未反応 モノマーの略称。 ST : スチレン nBA : nブチルアクリレート N−MAM : Nメチロールアクリルアミド N−MMAM:N−メチロールメタアクリルアミド AA :アクリル酸 HEMA :ヒドロキシエチルメタアクリレート tDM :tertドデシルメルカプタン IA :イタコン酸 20%PVA水溶液の表示。 217 : (株)クラレ製、商品名クラレポバール、
ケン化度89モル%、平均重合度1700 205 : (株)クラレ製、商品名クラレポバール、
ケン化度89モル%、平均重合度500
【0020】製造例1〜20 表−1に示す組成割合のコアー及びシェル層用の混合モ
ノマー100部と連鎖移動剤の混合物を別々に予め計量
し、各々蒸留水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソ
ーダ0.5部中に、撹拌しながら滴下しプレ乳化モノマ
ーとした。別途、1リットルフラスコに蒸留水95部、
ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.1部を仕込み、
窒素シール下で撹拌しながら70℃に昇温後、0.5部
の過硫酸カリウムとエマルションの種とすべく、nブチ
ルアクリレート、メチルメタアクリレート及びヒドロキ
シエチルメタアクリレートの等量混合モノマー0.5部
を仕込み、30分反応させエマルション粒子の種を形成
させた。次いで、前記コアー用プレ乳化モノマーを表−
1のコアー/シェル比見合い分3時間かけて連続滴下
し、滴下終了後2時間残モノマーを反応させた。引き続
きシェル用乳化モノマーを3時間かけて滴下し、残存モ
ノマー反応を3時間行った後、40℃以下に冷却し20
%水酸化ナトリウム水溶液でPHを5に調整し、100
メッシュの金網でろ過し、固形分50%のアクリルエマ
ルションを得た。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】実施例1〜16 製造例1〜13で得たアクリルエマルションに表−2に
示した割合の、PVA(205又は217)の20%水
溶液を用い2000〜6000cpsに増粘させ、次い
で18%濃度の炭酸亜鉛アンモニウム水溶液(亜鉛濃度
として4.5%)を配合し、本発明の木質接着用アクリ
ルエマルションを得た。本エマルション100重量部に
対し小麦粉(日本製粉(株)製、商品名、赤牡丹(グル
テン高含有品))を30部配合し、粘度5000〜10
000cpsの突板化粧合板用接着剤に調整した。 本
突板化粧合板用接着剤をスプレッダーで、11mm厚合
板に尺角当り10g塗布し、直ちに0.25mm厚の楢
突板を覆せ、120℃熱プレスを用いプレス圧10Kg
/cm2 で1分間圧締し、下記に示す評価試験に供し、結
果を表−2に示した。
【0024】<評価試験> 1.作業性 小麦粉配合時の流動性の有無を目視で確認し下記のごと
く表示した。 ○ : 配合が容易で流動性ありロールコーター塗布が
十分可能 △ : 配合可能、但し高粘度化し流動性に欠けるが、
ロールコーター塗布可能 × : 配合が困難で、まま粉状となりロールコーター
塗布不可能 2.二類浸漬剥離試験 前記試料を75mm角に裁断し、70℃温水に2時間浸
漬後、60℃乾燥機で3時間乾燥し木口面の剥離しない
長さで表示した。剥離しない長さの長い方が良好なこと
を示す。 3.一類浸漬剥離試験 前記二類浸漬剥離試験同様の試料を煮沸水に4時間浸漬
し、60℃乾燥機で20時間乾燥後、再度煮沸水に4時
間浸漬し、60℃乾燥機で3時間乾燥して、二類浸漬剥
離試験の場合と同様に表示した。 4.寒熱繰り返し試験 前記試料を15cm角に裁断し、60℃乾燥機で2時
間、−20℃で2時間を1サイクルとし2サイクル(合
計8時間)処理後室温に戻し、突板表面の干割れの数及
びその長さの和を測定及び算出し下記のごとく表示し
た。 ○ : 面積当りの干割れ数100カ所以下、長さ80
0mm以下 △ : 面積当りの干割れ数100〜300カ所、長さ
800〜1500mm × : 面積当りの干割れ数300カ所以上、長さ15
00mm以上 5.樹脂の浸み出し汚染 熱プレス直後のプレス盤からの剥がれ易さ及び、突板表
面の樹脂浸み出しによる光沢の有無を観察し下記のごと
く表示した。 ○ : プレス盤からの剥がれ良好、且つ突板表面の光
沢なし △ : プレス盤からの剥がれ良好、但し若干の光沢あ
り × : プレス盤から剥がれ難く、且つ光沢あり
【0025】
【表3】
【0026】比較例1〜7 製造例14〜20で得たアクリルエマルションを用い、
実施例1同様に表−3に示した割合で20%PVA、1
8%炭酸亜鉛アンモニウム及び小麦粉を配合し、実施例
1同様の試験に供し結果を表−3に示した。 比較例8 実施例1から20%PVA水溶液を除き、実施例1同様
の試験に供し結果を表−3に示した。 比較例9 実施例1から18%炭酸亜鉛アンモニウム水溶液を除
き、実施例1同様の試験に供し結果を表−3に示した。 比較例10 実施例1に用いたアクリルエマルションをスチレン−ブ
タジエンラテックス(SBR)(三井東圧化学(株)
製、商品名ポリラック750、固形分48%、粘度10
0cps、PH7、Tg+8℃、アクリル酸2%、N−
メチロールアクリルアマイド2%変性)に代えた以外
は、実施例1と同様に20%PVA、18%炭酸亜鉛ア
ンモニウム及び小麦粉を配合し、実施例1同様の試験に
供し結果を表−3に示した。 比較例11 比較例10の配合物から18%炭酸亜鉛アンモニウム水
溶液を除き、代わりに尿素縮合系樹脂(三井東圧化学
(株)製、商品名ユーロイド300、固形分50%、粘
度3000cps)を80部配合したものを、実施例同
様の試験に供し結果を表−3に示した。
【0027】
【表4】
【0028】
【発明の効果】本発明の木質接着用アクリルエマルショ
ン組成物は、合板と突板の接着に於いて、従来の接着剤
のごとく尿素縮合系樹脂を併用することなく耐温水性及
び煮沸性等に優れる。また、作業環境的にも問題がな
く、増量剤として用いる小麦粉との相溶性にも優れる。
即ち流動性を有し、ロールコーター塗布時の機械的安定
性及び作業性を始め、特に薄くスライスした突板表面へ
の接着剤の浸み出し汚染と干割れ発生率が低いことか
ら、木質基材接着剤、とりわけ突板化粧合板用接着剤と
しての実用価値が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 武志 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コアー層が芳香族ビニル系モノマー、不飽
    和カルボン酸エステルモノマー、アミド基を有するアク
    リルモノマー及びカルボキシル基を有するアクリルモノ
    マーの共重合体、シェル層が芳香族ビニル系モノマー、
    不飽和カルボン酸エステルモノマー及びカルボキシル基
    を有するアクリルモノマーの共重合体である、二層構造
    よりなるアクリルエマルション(a)の固形分100重
    量部に、部分ケン化ポリビニルアルコ―ル(b)を固形
    分として0.2〜10重量部、炭酸亜鉛アンモニウム
    (c)を、アクリルエマルション(a)のカルボキシル
    基を有するアクリルモノマー総量に対し、亜鉛として等
    モル量配合することを特徴とする木質接着用アクリルエ
    マルション組成物。
  2. 【請求項2】アクリルエマルション(a)のコアー層/
    シェル層のモノマー構成比が、モノマー総量100重量
    部あたり、30〜70/70〜30重量部であることを
    特徴とする請求項1記載の木質接着用アクリルエマルシ
    ョン組成物。
  3. 【請求項3】アクリルエマルション(a)のコアー層の
    ガラス転移温度(Tg)が−10〜+60℃、シェル層
    のガラス転移温度(Tg)が−50〜+10℃であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の木質接着用アクリルエマ
    ルション組成物。
  4. 【請求項4】アクリルエマルション(a)のPHが4〜
    6の範囲に調整されたものであることを特徴とする請求
    項1記載の木質接着用アクリルエマルション組成物。
  5. 【請求項5】部分ケン化ポリビニルアルコール(b)の
    平均重合度が50〜2400、ケン化度が87〜89モ
    ル%であることを特徴とする請求項1記載の木質接着用
    アクリルエマルション組成物。
  6. 【請求項6】炭酸亜鉛アンモニウム(c)は、水、炭酸
    アンモニウム、酸化亜鉛及びアンモニア水からなる15
    〜20重量%濃度の透明な水溶液で、PHが9〜10に
    調整されたものであること特徴とする請求項1記載の木
    質接着用アクリルエマルション組成物。
JP4026694A 1994-03-11 1994-03-11 木質接着用アクリルエマルション組成物 Pending JPH08104858A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4026694A JPH08104858A (ja) 1994-03-11 1994-03-11 木質接着用アクリルエマルション組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4026694A JPH08104858A (ja) 1994-03-11 1994-03-11 木質接着用アクリルエマルション組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08104858A true JPH08104858A (ja) 1996-04-23

Family

ID=12575854

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4026694A Pending JPH08104858A (ja) 1994-03-11 1994-03-11 木質接着用アクリルエマルション組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08104858A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009013312A (ja) * 2007-07-05 2009-01-22 Nippon Carbide Ind Co Inc 水性アクリル系感圧接着剤組成物
JP2012126789A (ja) * 2010-12-14 2012-07-05 Nitto Denko Corp 水分散型粘着剤組成物、粘着剤層、粘着部材および画像表示装置
US10266629B2 (en) 2010-05-18 2019-04-23 Nitto Denko Corporation Pressure-sensitive adhesive composition for optical film, pressure-sensitive adhesive layer for optical film, pressure-sensitive adhesive optical film, and image display device

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009013312A (ja) * 2007-07-05 2009-01-22 Nippon Carbide Ind Co Inc 水性アクリル系感圧接着剤組成物
US10266629B2 (en) 2010-05-18 2019-04-23 Nitto Denko Corporation Pressure-sensitive adhesive composition for optical film, pressure-sensitive adhesive layer for optical film, pressure-sensitive adhesive optical film, and image display device
JP2012126789A (ja) * 2010-12-14 2012-07-05 Nitto Denko Corp 水分散型粘着剤組成物、粘着剤層、粘着部材および画像表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3102618B1 (en) Waterborne polymers for heat seal adhesive
US3563851A (en) Water resistant vinyl acetate copolymer adhesive compositions
US3900440A (en) Adhesive composition
JP2004509213A (ja) 低分子量高分子添加剤を含有する接着剤組成物
JPS6234973A (ja) コロイド安定化ラテツクス接着剤
CN102066513A (zh) 耐热性的乳液聚合物分散体
WO2011017388A2 (en) Emulsion copolymers for heat seal adhesive
KR20140142329A (ko) 일 부분, 속-경화성, 수성 접착제 에멀젼
JP2004035580A (ja) 接着剤組成物及びそれを用いて製造される化粧板
WO1991018739A1 (en) Water-borne acrylic emulsion pressure sensitive latex adhesive composition
US6616798B2 (en) Process for preparing adhesives having improved adhesion
JPH08104858A (ja) 木質接着用アクリルエマルション組成物
EP0590886B1 (en) Laminating construction adhesive compositions with improved performance
JPH11140409A (ja) 積層品の製造方法、該方法により製造した積層品およびその際に使用する接着剤
JPH07278517A (ja) 木質接着剤用アクリルエマルション組成物
NZ214291A (en) Aqueous latex compositions and use thereof as adhesives
GB1562449A (en) Cold cross-linking dispersion adhesive
JPH07329007A (ja) 突板化粧合板の製造方法
JPS6159322B2 (ja)
JPH0890508A (ja) 突板化粧板の製造方法
JPH0820761A (ja) 突板化粧合板の製造方法
JP4155736B2 (ja) 接着剤用の水性エマルジョン
JP3456751B2 (ja) 合板の製造方法
JPH06136335A (ja) 紙管用接着剤
JP3953664B2 (ja) ポリ酢酸ビニルエマルジョンおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Effective date: 20040127

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02