JPH08103288A - アスタキサンチンおよびアスタキサンチン含有物の製造方法 - Google Patents

アスタキサンチンおよびアスタキサンチン含有物の製造方法

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JPH08103288A
JPH08103288A JP6239282A JP23928294A JPH08103288A JP H08103288 A JPH08103288 A JP H08103288A JP 6239282 A JP6239282 A JP 6239282A JP 23928294 A JP23928294 A JP 23928294A JP H08103288 A JPH08103288 A JP H08103288A
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万木夫 古林
Yoshiro Kurimura
芳郎 栗村
Yasunobu Tsuji
安信 辻
Shiyunei Kakizono
俊英 柿薗
Shiro Nagai
史郎 永井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘマトコッカス属の緑藻類のアスタキサンチ
ン含量を増加させる培養方法を提供すること。 【構成】 ヘマトコッカス・プルビアリスに乾燥ストレ
スを加えることにより、アスタキサンチン生産を伴うシ
スト化を誘発させ、必要に応じて、乾燥ストレスを加え
ると同時に、乾燥ストレスを加える前および/または後
に、植物ホルモンを培養基に添加する。 【効果】 安全性の高い天然品のアスタキサンチンを高
収率、高純度で製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、緑藻類を用いて、大量
に効率よくアスタキサンチンを生産する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アスタキサンチンは、自然界では動植物
界に広く分布している、カロテノイド系色素のキサント
フィルに属する赤色色素である。
【0003】天然に存在するマダイ、サケ等は美しい赤
色を帯びているが、これは食物連鎖の過程を通じて蓄積
されたアスタキサンチンに起因している。他方、養殖さ
れたマダイ、サケ等は天然物に比べて、体色、肉色の赤
色が劣る。そこで、養殖されたマダイ、サケ等の養殖魚
の色揚げ餌料として、アスタキサンチンが広く利用され
ている(特開平5−292897号公報)。また、鶏な
どの家禽類用飼料としても、鶏肉や鶏卵の色調改善のた
めに広く利用されている(特開平6−105657号公
報)。
【0004】このようにアスタキサンチンは、主として
養殖魚や養鶏の色揚げ剤として使用されているが、最
近、β−カロテンよりもはるかに強力な抗酸化作用・免
疫賦活作用等を有することがわかり、医薬活性成分とし
ての用途も検討されている(Miki, Pure Appl. Chem.,
63, 141 (1991))。
【0005】これまでにアスタキサンチンの天然資源と
して、海洋から大量に採取できるオキアミやカニ等の甲
殻類、あるいはタンクでの培養が可能な赤色酵母ファフ
ィア・ロドチーマを対象に多くの研究が報告されている
が(特公昭63−61907号公報、特開平6−141
886号公報)、これらの生物は、アスタキサンチン含
量が相対的に低く、抽出、精製等にも多くの問題があ
る。
【0006】上記のように、天然のアスタキサンチンの
製造はコストの面で問題があり、現時点では、合成アス
タキサンチンが主に使用されている。しかしながら、合
成品より天然品が好まれる傾向にあるため、天然アスタ
キサンチンの安定した大量生産技術の確立が要望されて
いる。
【0007】天然のアスタキサンチンの原料として緑藻
類が注目されている。ヘマトコッカス属の緑藻類は、上
記の天然資源の甲殻類、酵母に比べ、はるかに高濃度の
アスタキサンチンを含有している。しかし、この緑藻類
の、アスタキサンチンを高濃度で蓄積する培養条件も、
未だ解明されていないため、生産性や品質が不十分であ
る。従って、天然のアスタキサンチンは、優れた飼料価
値や医薬品素材としての潜在価値を有しながら、有効利
用されるに至っていない。
【0008】これまでに、本発明者らは、緑藻類ヘマト
コッカス・プルビアリスによるアスタキサンチンの生産
方法について検討を重ねた結果、本緑藻類のアスタキサ
ンチン生合成は、酸化的ストレスを与えることにより、
例えば、活性酸素生成物質を添加することにより著しく
促進されること(特開平5−68585号公報)を報告
しているが、さらに、高濃度でアスタキサンチンを生産
する方法が望まれていた。
【0009】他方、稲や大豆などの植物を中心に、乾燥
ストレスに代表される環境ストレスについて多くの研究
が行われており、アブシジン酸などの植物ホルモンが、
乾燥ストレス耐性のために重要な役割を担っていること
が明らかとなっている。しかし、緑藻類も含めた微生物
においては、乾燥ストレスに関する知見はほとんどな
く、乾燥ストレスとアスタキサンチンの生産との関係も
全く検討されていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アスタキサ
ンチンを生産するヘマトコッカス属に属する緑藻類の培
養において、この緑藻類に乾燥ストレスを加えることに
よって、アスタキサンチン含有量を増加させ、効率よく
アスタキサンチンを製造する方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヘマトコ
ッカス属に属する緑藻類によるアスタキサンチンの生産
方法について検討を重ねた結果、ヘマトコッカス属の緑
藻類に乾燥ストレスを加えることによってシスト化が誘
発され、アスタキサンチン生産が促進されることを見い
だし、本発明を完成した。さらに、ゲルビーズに緑藻類
を固定化した後に、乾燥ストレスを加えることによっ
て、固定化後でさえもアスタキサンチン含量を任意にコ
ントロールすることができることを見いだし、本発明を
完成したものである。これより、上記目的が達成され
る。
【0012】本発明は、ヘマトコッカス属に属し、アス
タキサンチンを生産し得る緑藻類に乾燥ストレスを加え
ることにより、該緑藻類のシスト化を誘発する工程、お
よび該シスト化した緑藻類の培養物からアスタキサンチ
ンを採取する工程を包含する、アスタキサンチンの製造
方法に関する。
【0013】好適な実施態様においては、乾燥ストレス
が、緑藻類の固体培養、または、緑藻類の培養物の遠心
分離、ろ過、あるいはシリカゲルによる脱水処理であ
る。
【0014】好適な実施態様においては、乾燥ストレス
を加えると同時に、あるいは、乾燥ストレスを加える前
および/または後に、植物ホルモンを培養基に添加する
工程がさらに包含される。好適な態様においては、植物
ホルモンがアブシジン酸あるいはエチレンである。
【0015】好適な実施態様においては、緑藻類が、ヘ
マトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluviali
s)である。
【0016】さらに、本発明は アスタキサンチンを含
有する固定化された緑藻類に関し、該緑藻類は、ヘマト
コッカス属に属し、アスタキサンチンを生産し得る緑藻
類であり、該固定化された緑藻類は、該緑藻類をゲルビ
ーズに固定化する工程、該固定化した緑藻類に乾燥スト
レスを加えることにより、該緑藻類のシスト化を誘発す
る工程、を含む方法により製造される。
【0017】好適な実施態様においては、アスタキサン
チンを含有する固定化された緑藻類は、さらに、乾燥ス
トレスを加えると同時に、あるいは、乾燥ストレスを加
える前および/または後に、植物ホルモンを培養基に添
加する工程を含む方法により製造される。
【0018】好適な実施態様においては、ゲルは、寒
天、アルギン酸ナトリウムあるいはカラギーナンであ
る。
【0019】好適な実施態様においては、前記ゲルが、
ビーズ状またはシート状である。
【0020】以上のことにより、本発明の目的が達成さ
れ得る。
【0021】以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】本発明に使用される緑藻類としては、ヘマ
トコッカス属に属し、アスタキサンチンを生産する緑藻
類であれば、いかなる緑藻類でも使用し得る。具体的に
はヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvi
alis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococc
us lacustris)、 ヘマトコッカス・カペンシス(Haemat
ococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバケン
シス(Haematococcusdroebakensis)、ヘマトコッカス
・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)
などが挙げられる。
【0023】さらに具体的には、ヘマトコッカス・プル
ビアリス NIES 144、ヘマトコッカス・ラキュストリス
ATCC 30402, ATCC 30453, IAM C296, IAM 392, IAM 39
3, IAM 394, IAM 399 、ヘマトコッカス・カペンシス
UTEX 1023 (UTEXは米国テキサス大学菌類保存施設であ
る)、ヘマトコッカス・ドロエバケンシス UTEX 55、
ヘマトコッカス・ジンバビエンシス UTEX 1758などの
緑藻類が挙げられる。
【0024】本発明に好適に用いられるヘマトコッカス
・プルビアリスとしては、国立環境研(NIES)にヘ
マトコッカス・プルビアリス NIES 144の寄託番号で寄
託されている株である。
【0025】ヘマトコッカス・プルビアリスの緑藻類の
栄養細胞は、暗所で酢酸などの有機物を炭素源として従
属栄養的に培養することにより得られ得る。また、明所
で炭酸ガスを炭素源として独立栄養的に、あるいは明所
で酢酸などの有機物と炭酸ガスの両方を炭素源として混
合栄養的にも増殖させ得る(Kobayashiら, J. Ferment.
Bioeng., 74, 17 (1992))。従って、上記、いずれの
方法を用いても栄養細胞が製造され得る。
【0026】本発明に用いる緑藻類の培養に使用される
栄養培地は、緑藻類が資化し得るものであれば、いずれ
も使用し得る。炭素源としては、例えば、従来から知ら
れている酢酸のほか、ピルビン酸、エタノール、および
TCA関連有機酸などがある。窒素源としては、有機あ
るいは無機の窒素化合物が用いられ得る。例えば、アス
パラギン、グリシン、グルタミンなどのアミノ酸、酵母
エキス、硝酸塩等が挙げられる。これらの炭素源、窒素
源を組み合わせた培地が用いられる他、必要に応じて、
無機塩も添加され得る。好ましい培地は、例えば、酵母
エキス 2.0g/l,酢酸ナトリウム 1.2g/l, L-アスパラギ
ン 0.4g/l, MgCl2・6H2O 985μM, FeSO4・7H2O 36μM, Ca
Cl2・2H2O 136μM, pH 6.8である。緑藻類の培養条件
は、用いる緑藻類によっても異なるが、光照射強度は、
一般に、0〜40,000ルクス、好ましくは500〜20、000ルク
ス、さらに好ましくは500〜10,000ルクスである。生育
温度は緑藻類により異なるが、通常、5〜50℃、好まし
くは10〜37℃、さらに好ましくは、15〜30℃である。ま
た、炭酸ガスを用いない場合は、酸素を供給しながら行
い得る。
【0027】このようにして培養したヘマトコッカス属
の緑藻類の栄養細胞に、乾燥ストレスが加えられる。乾
燥ストレスは、培養液という緑藻類の標準的な生育環境
(液相)を、気相中に移すことにより、加えられ得る。
アスタキサンチンは、栄養細胞から休眠細胞であるシス
ト細胞への形態変化に際して著しく蓄積され得る。本発
明に使用する乾燥ストレスを加えることにより、栄養細
胞はシスト細胞化し、アスタキサンチン生産機能を最大
限に引き出され得る。この乾燥ストレスの工程は、作業
工程上の面からもより効果が高い。一般には、乾燥スト
レスは、通常の液体培地で増殖させたヘマトコッカス属
の緑藻類を脱水処理することにより、加えられ得る。脱
水処理後、光照射をすることも、乾燥ストレスに含まれ
る。脱水処理の方法としては、遠心分離、ろ過等による
物理的方法、あるいはシリカゲル等による化学的方法が
挙げられる。
【0028】本発明における乾燥ストレスには、固体培
養、例えば、寒天培地、ガラスファイバーフィルター、
ろ紙上などでの培養も包含される。固体培養における培
地(固体培地)は、上記と同じ組成の培地が用いられ得
る。寒天培地を使用する場合、寒天濃度は、0.1〜15
%、好ましくは、0.2〜10%であるが、寒天濃度が高く
なるにつれアスタキサンチンの生産性は高くなる傾向に
ある。本発明に使用する緑藻類を寒天培地で培養する
と、栄養細胞は数日間でシスト化、アスタキサンチン合
成が進行する。
【0029】また、得られた栄養細胞を、固定化するこ
とにより乾燥ストレスを加え得る。固定化に使用する担
体としては、ゲル状担体が好ましく、特に、緑藻類を包
括あるいは付着することができれば、いずれをも使用し
得る。例えば、寒天、アルギン酸ナトリウムあるいはカ
ラギーナン等、固定化菌体・固定化酵素の調製に一般に
用いられるゲル化材料が挙げられる。これらは、ビーズ
状、シート状等種々の形態を取り得る。
【0030】アスタキサンチンの含量を高めるために、
上記の乾燥ストレスを加えると同時に、あるいは、乾燥
ストレスを加える前および/または後に、植物ホルモン
を培養基に添加し得る。ここでいう培養基は、液体培
地、固体(寒天)培地等の培地、あるいは固定化された
緑藻類等の乾燥ストレスを加えた緑藻類を培養する培地
を意味する。
【0031】培養基に添加し得る植物ホルモンとして
は、例えば、アブシジン酸、エチレンなどが挙げられ
る。植物ホルモンを添加すると、シスト化およびアスタ
キサンチンの合成が、より早期にかつ著しく促進され得
る。
【0032】さらに、乾燥ストレス下で炭素源である酢
酸を供給することにより、アスタキサンチン生産をより
一層増強し得る。
【0033】なお、本発明の製造方法には、「乾燥スト
レスを加える」条件下で培養する場合、および「乾燥ス
トレスを加える処理をした後に」培養する場合、のいず
れも含まれる。
【0034】上記の乾燥ストレスを加える培養方法によ
り、ヘマトコッカス属の緑藻類のアスタキサンチン生産
が容易に促進され得る。しかも、これら乾燥ストレス条
件下では、他の微生物の増殖が極端に抑えられるため、
雑菌汚染の危険性が少ない。さらに、乾燥ストレスを加
えるため、高濃度のアスタキサンチンを含有する細胞は
水分が少なく、ほとんどパウダー状となり得る。このた
め、分離・回収操作も容易に行い得る。得られたパウダ
ー状細胞は、そのままの状態で養殖魚の色揚げなどに使
用され得る。
【0035】上記乾燥ストレスを加える条件下で得られ
たパウダー状のヘマトコッカス属の緑藻類は、細胞を破
砕する必要がなく、有機溶媒、例えばメタノール、エタ
ノール、n-ブタノール、アセトン等の極性が高い溶媒、
あるいはヘキサン、ベンゼン等を用いて抽出し、効率よ
く回収され得る。使用する溶剤量は、溶媒およびアスタ
キサンチンの含量により適宜定められ得る。
【0036】アスタキサンチンの精製は、既知の分離精
製手段で行い得る。たとえば、セファデックス類による
ゲルろ過、イオン交換樹脂、イオン交換セルロース、イ
オン交換セファデックス等のイオン交換クロマトグラフ
ィー、アルミナ、シリカゲル、シアノプロピル、オクタ
デシルシリカゲル、アンバーライトXAD-1等の吸着クロ
マトグラフィー、あるいは、ダイヤイオンHP-20、セフ
ァデックスLH-20、コスモシル10C18、ヴォレムドライカ
ラム用シリカゲル、デュポンゾルバックスーCN、あるい
はエルマFRC-CN吸着剤等を単独であるいは適宜組み合わ
せて使用することによって行い得、所望の純度のアスタ
キサンチンが得られ得る。
【0037】本発明の方法によれば、従来行われていた
液体培養からの分離、精製方法、例えば、プロテアーゼ
を用いる酵素的方法(特開平5−68585号公報)や
ガラスビーズを加えグラインディングにより破砕する方
法、フレンチプレスを用いる方法、超音波破砕法などの
既知の物理的方法が不用になり、アスタキサンチンの回
収、精製が容易になる。
【0038】本発明の、ヘマトコッカス属に属し、アス
タキサンチンを生産し得る緑藻類を含有するビーズは、
緑藻類をゲルビーズに固定化する工程、該固定化した緑
藻類に乾燥ストレスを加えることにより、該緑藻類のシ
スト化を誘発する工程、を含む方法により製造される。
【0039】本発明の固定化に用いるゲルとしては、寒
天、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンなどの固定化
菌体・固定化酵素の調製に一般に用いられるゲル化材料
が用いられ得る。これらのゲル化材料でヘマトコッカス
属の緑藻類をビーズあるいはシート状に固定化、ゲル化
した後に、上記の乾燥ストレス処理を行うことにより、
アスタキサンチンを高濃度含有するビーズあるいはシー
トが作成され得る。
【0040】さらに、上記と同様、乾燥ストレスを加え
ると同時に、あるいは、乾燥ストレスを加える前および
/または後に、植物ホルモンを培養基に添加する工程を
含み得る。また、乾燥ストレスを加える時間を変えるこ
とにより、アスタキサンチン含量は任意にコントロール
され得る。
【0041】本発明のゲルに固定化された緑藻類は、保
存性に優れ、取扱いや管理も容易である。特に、養魚餌
料等の最終製品の形に加工した後に、乾燥ストレスによ
りアスタキサンチン含量を高め得るため、養殖魚等に投
与し得る最終製品が直接得られ得る。また、藻体固定化
に使用するゲルビーズには、用途に応じて他の栄養成分
を含有させ得、アスタキサンチンと同時に他の栄養素を
養殖魚に与え得る。
【0042】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
い。
【0043】(実施例1)
【0044】
【表1】
【0045】表1に示す培養基100mlを200ml容の
フラスコに入れ、121℃で、15分間滅菌した。同じ
組成を有する維持用の培養基に別に培養したヘマトコッ
カス・プルビアリス NIES 144のシードを接種し、15
00ルクスの光照度下、生育温度20℃で4日間、液体
培養で前培養を行った。
【0046】上記液体培養で得られたヘマトコッカス・
プルビアリスの栄養細胞を、寒天2%を含む表1に示す
培養基を入れたシャーレに接種し、9000ルクスの光
照度下、生育温度20℃で固体培養を行った。さらに、
植物ホルモンであるアブシジン酸を10mMの濃度にな
るように上記培養基に添加し、固体培養におけるアブシ
ジン酸のアスタキサンチン生産に及ぼす添加効果を検討
した。
【0047】固体培養におけるヘマトコッカス・プルビ
アリスのカロテノイド含量の変化を図1に示す。カロテ
ノイド量は、細胞を破砕後、90%アセトンで抽出し、4
80nmでの吸光度により測定した。さらに、TLCに
よりその90%がアスタキサンチンであることを確認し
た(アスタキサンチンのモノエステル型が70%、ジエ
ステル型が20%含まれていた)。TLCは、Renstrom,B.
et al. Phytochemistry, 20, 2561-2564(1981) 、Koba
yashi, M. et al. J.Ferment. Bioeng., 71, 335-339(1
991)の方法で分析を行った。TLCの分離条件は以下の通
りである。
【0048】TLC:シリカゲルプレート(厚さ1mm) 展開溶媒:アセトン−ヘキサン(3:7) Rf値:アスタキサンチン・モノエステル型 0.69 アスタキサンチン・ジエステル型 0.93 検出:クロマトスキャナー(島津製作所製、CS93
0)による545nmの吸収 ヘマトコッカス・プルビアリスの栄養細胞を液体培養
し、そのまま栄養増殖を行ったが、2〜3週間程度で
は、栄養細胞からシスト細胞への形態変化およびアスタ
キサンチン合成は起こらなかった。一方、乾燥ストレス
条件と考えられるシャーレでの固体培養では、4〜7日
間で、シスト化が起こり、およびアスタキサンチン合成
が進行した。シスト化細胞のアスタキサンチン含量は栄
養細胞の約10倍であった。さらに、上記固体培養にお
いてアブシジン酸を10mM添加することにより、アス
タキサンチン合成は、早期にかつ著しく促進された。ア
ブシジン酸処理した細胞のアスタキサンチン含量は栄養
細胞の約20倍であった。
【0049】(実施例2)実施例1の前培養と同様にし
て得られた培養液5mlを、ガラスファイバーフィルター
(ADVANTEC TOYO製, GS25, φ45mm)を用いてろ過し、
フィルターに栄養細胞を吸着させた。
【0050】上記フィルターをシャーレに入れ、900
0ルクスの光照度下、20℃で3日間乾燥ストレス処理
を行うことにより、アスタキサンチン含量は約5倍(4
4.2μg/フィルター)に増加した。本実施例は、特
に無菌操作を行っていない。 (実施例3)実施例1の前培養と同様にして得られた培
養液5mlを、等量のアルギン酸ナトリウム溶液(0.1
gのアルギン酸ナトリウムを湯浴中にて純水5mlに溶解
後、氷水浴中にて冷却)に懸濁させた。上記懸濁液をパ
スツールピペットを用いて、0.1M塩化カルシウム溶
液に滴下し、アルギン酸カルシウムゲルのビーズ(直径
約3mm)を調製した。
【0051】ビーズをシャーレに入れ、水または酢酸ナ
トリウム溶液に浸漬し、9000ルクスの光照度下、2
0℃で7日間乾燥ストレス処理を行った。本実施例は、
特に無菌操作を行っていない。ヘマトコッカス・プルビ
アリスのゲルビーズ中のカロテノイド含量を表2に示
す。
【0052】
【表2】
【0053】緑色の栄養細胞を固定化したゲルビーズ
は、炭素源である酢酸に浸漬することにより、アスタキ
サンチン生産が著しく促進され、ゲルビーズは強い赤色
を帯びていた。さらに、無菌操作を行っていないのにも
かかわらず、ビーズの表面・内部には、細菌等の雑菌汚
染はほとんど見られなかった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、藻体に乾燥ストレス処
理を加えることにより、アスタキサンチンが早期に蓄積
し、効率よくアスタキサンチンを生産させることができ
る。得られるアスタキサンチンは安全性が高いので、魚
類養殖その他の産業に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヘマトコッカス・プルビアリスのカロテノイ
ド生産に対する乾燥ストレスおよびアブシジン酸の効果
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 史郎 広島県広島市西区己斐本町3丁目1−6− 1101

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘマトコッカス属に属し、アスタキサン
    チンを生産し得る藻類に乾燥ストレスを加えることによ
    り、該藻類のシスト化を誘発する工程、および該シスト
    化した藻類の培養物からアスタキサンチンを採取する工
    程を包含する、アスタキサンチンの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記乾燥ストレスが、前記藻類の固体培
    養、または、前記藻類の培養物の遠心分離、ろ過、ある
    いはシリカゲルによる脱水処理である請求項1記載のア
    スタキサンチンの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記藻類に、乾燥ストレスを加えると同
    時に、あるいは、乾燥ストレスを加える前および/また
    は後に、植物ホルモンを培養基に添加する工程をさらに
    包含する、請求項1または2に記載のアスタキサンチン
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記植物ホルモンがアブシジン酸あるい
    はエチレンである請求項3に記載のアスタキサンチンの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記藻類が、ヘマトコッカス・プルビア
    リス NIES 144である、請求項1ないし4いず
    れかの項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 アスタキサンチンを含有する固定化され
    た藻類であって、該藻類は、ヘマトコッカス属に属し、
    アスタキサンチンを生産し得る藻類であり、該固定化さ
    れた藻類は、該藻類をゲルに固定化する工程、該固定化
    した藻類に乾燥ストレスを加えることにより、該藻類の
    シスト化を誘発する工程、を含む方法により製造され
    る、アスタキサンチンを含有する固定化された藻類。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のアスタキサンチンを含
    有する固定化された藻類であって、さらに、前記藻類に
    乾燥ストレスを加えると同時に、あるいは、乾燥ストレ
    スを加える前および/または後に、植物ホルモンを培養
    基に添加する工程を含む方法により製造される、アスタ
    キサンチンを含有する固定化された藻類。
  8. 【請求項8】 前記ゲルが、ビーズ状またはシート状で
    ある、請求項6または7に記載のアスタキサンチンを含
    有する固定化された藻類。
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