JPH0799984A - ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 - Google Patents

ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法

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JPH0799984A
JPH0799984A JP5250674A JP25067493A JPH0799984A JP H0799984 A JPH0799984 A JP H0799984A JP 5250674 A JP5250674 A JP 5250674A JP 25067493 A JP25067493 A JP 25067493A JP H0799984 A JPH0799984 A JP H0799984A
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JP
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culture
methanol
poly
hydroxybutyric acid
phb
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JP5250674A
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Shunichiro Minagawa
俊一郎 皆川
Shigeki Imagawa
茂樹 今川
Iwao Terao
巌 寺尾
Toraichi Tawara
寅一 田原
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリ−3−ヒドロキシ酪酸を生産する能力を
有するメタノール資化性細菌を、単一の培養槽で、メタ
ノールを炭素源とし、平均滞留時間が10時間以上にな
るようにリンの供給速度を制限した連続培養をすること
によりポリ−3−ヒドロキシ酪酸を菌体内に蓄積させ
る。 【効果】 本発明によるポリ−3−ヒドロキシ酪酸生産
は、連続培養プロセスであるので、従来の回分培養の繰
り返しで行うプロセスに比べ飛躍的な省力化がはかれ
る。また原料(培養の基質)がメタノールであるので、
原料コストが安くなり、また雑菌汚染の心配がない。し
たがって、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸を大規模に、しか
も経済的かつ安定的に生産することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリ−3−ヒドロキシ酪
酸(以下PHBと記す)の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PHBは、エネルギー貯蔵物質として数
多くの微生物の菌体内に生成、蓄積され、優れた生物分
解性と生体適合性とを示す熱可塑性高分子であることか
ら、環境にやさしい“クリーン”プラスチックとして注
目され、手術糸や骨折固定用材などの医用材料、および
医薬や農薬を徐々に放出する徐放性システムなどの多方
面への応用が永年にわたり期待されてきた。特に、近
年、合成プラスチックが環境汚染や資源環境の観点から
深刻な社会問題になるに至り、PHBは石油に依存しな
いバイオポリマーとして注目され、これまでにもPHB
の製造法がいくつか報告されている(特開昭60−21
4888、特開昭60−251889、特公平02−2
0238、特公平03−65154)。これらの公報に
は、炭素源(以後、基質ともいう)としてグルコースを
用いて、アルカリゲネス属の菌体を、窒素あるいはリン
を制限するなどの方法による増殖制限条件下で連続培養
することによりPHBを製造する方法(特公平02−2
0238)や、アゾトバクター属、プロトモナス属の菌
体をアルカリゲネス属の菌体の場合と同様に増殖制限条
件下で回分培養することによりPHBを製造する方法
(特開昭60−214888、特公平03−6515
4)などが記載されているが、これらの方法は生産コス
トが高いなど工業的生産には不十分である。
【0003】即ち、上記の発明では、菌体を増殖させる
ための主栄養素、すなわち炭素源が高価でPHBの製造
コストを低く抑えることができなかったり、連続培養に
よるPHBの蓄積が不十分であったり、二段階培養を行
うなど製造プロセスが複雑であるなどの欠点がある。
【0004】原料(すなわち基質)のコストは、PHB
生産の全体コストにおいて重要な要素である。グルコー
ス、蔗糖等を原料とするPHBの生産法についての記載
が特公平02−20238、特開昭60−214888
にあるが、これらの方法ではPHB生産コストの上昇が
さけられない。安価なメタノールを基質とした培養法に
ついては、例えば特開昭56−117793号明細書の
記載によれば、メタノールを基質としてメチロバクテリ
ウム オルガノフィラム種の微生物を第一の培養槽にお
いて栄養素を制限せずに連続的に培養する。この際、細
胞内にはPHBの蓄積が生じない。次いで、第二の培養
槽へ連続的に移送し第二の培養槽において窒素またはリ
ンを増殖の律速因子として培養する。この際に初めて細
胞内にPHBの蓄積が生じる。明細書中の記載によれば
この方法で得られるPHB含有量は細胞乾燥重量の25
〜47重量%にすぎない。培養槽をシリーズで2槽用い
て二段階培養を行う方法は、プロセスが複雑であること
と満足のいくPHB含量を得られないことの欠点を有し
ている。
【0005】また、特公平02−20238号明細書中
に、窒素制限下でメタノール基質でメチロバクテリウム
オルガノフィラム NCIB 11483菌株を連続
培養した記載があるが、この条件で達成された最高のP
HB含有量は約11%と低いものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術における上記したような課題を解決し、安価なメタ
ノールを資化し得る細菌を用いてPHBをより安定に、
大量にかつ安価に製造できる連続培養による生産方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、PHBを
生産する能力を有するメタノール資化性細菌を用いて、
安価にPHBを生産する方法を鋭意検討したところ、こ
れらの細菌を単一の培養槽で供給培地成分中のリンの供
給速度により増殖を制限する、いいかえれば増殖速度の
制限因子がリンであるリン律速条件下で連続培養する
(以下リン律速培養という)に際して、増殖速度の制限
因子がない場合の細菌の世代時間に比較して増殖速度を
非常に遅くすることにより、即ち平均滞留時間を非常に
長くすることにより細胞の増殖と並行して多量にPHB
を蓄積させ得ることを見いだし、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明はPHBを生産する能力
を有するメタノール資化性細菌を、メタノールを炭素源
として連続培養し、該菌体中にPHBを合成蓄積させ、
当該菌体からPHBを取得するPHBの製造法におい
て、単一の培養槽で平均滞留時間が10時間以上になる
ようにリンの供給速度を制限した連続培養をすることを
特徴とするPHBの製造法である。
【0009】本発明において、PHBは −OCH
(CH3 )CH2 CO− なる繰り返し単位から構
成されるポリエステル物質である。本発明に使用される
細菌は、PHBを生産する能力を有し、メタノール資化
性を持つ細菌であればよく、たとえば、メチロバクテリ
ウム属、キサントバクター属、ハイホミクロビウム属、
パラコッカス属、メチロバチルス属およびアンキロバク
ター属の細菌などが挙げられる。
【0010】培養のリン源としては、使用する細菌が資
化しうる物質であれば特に制限はなく、例えばリン酸ま
たはリン酸塩等が用いられる。リン酸塩としては例えば
カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が用いら
れる。
【0011】培養条件は、使用する菌株により異なる
が、一般的には、温度は25〜40℃、好ましくは30
〜38℃とされる。良好なPHB生産性を得る最適温度
は、菌株により異なることが多い。また、pHは5〜
8、好ましくは6.0〜7.5が用いられる。このよう
な条件で好気的に培養されるが、そのために空気、又は
酸素を通気し、かつ酸素を培養液に有効に溶け込ませる
ために必要に応じて撹拌する。一般的には培養液中の溶
存酸素濃度は0.3ppm以上が望ましい。
【0012】培養槽の形式は、通気攪拌槽であればいず
れでも使用可能であり、例えば機械的撹拌槽、エアーリ
フト式培養槽および気泡塔型培養槽などを利用すること
ができる。培地の供給方法は、炭素源、窒素源、各種無
機塩類、各種添加剤などが、一括してあるいは個別に連
続的あるいは間欠的に供給される。たとえば、メタノー
ルは他の培地成分との混合物として培養槽に供給しても
よく、また他の培地成分とは別に独立して培養槽に供給
することもできる。培養液のpH制御は、通常アンモニ
アガス又はアンモニア水を用いて行われる。培地成分と
して菌体の増殖に必要な窒素を十分供給している場合に
は、非窒素系塩基、例えば苛性ソーダ、苛性カリなどを
用いてpHを制御することもできる。
【0013】PHBの蓄積には通常、炭素源以外の培地
成分を制限する方法が用いられる。窒素、リン、イオ
ウ、カリウム、および微量元素、例えばマンガン、亜
鉛、銅などの成分を制限するのが好ましい。本発明の場
合にはリンが制限される。リン源の供給方法は、連続的
に供給する培地成分に混合して用いるのが一般的である
が、連続的に供給する他の培地成分とは別に一定量連続
的に供給することもできる。このようにして供給するリ
ン源を菌体が活発に増殖するうえで必要とされる量より
減少させ、すなわちリン供給速度を菌体増殖の制限因子
になるように制限して行う培養法が用いられる。
【0014】培養液中の残存リン濃度の測定は、常法に
従いイオンクロマトグラフィ(1ppmまで測定可能)
によりリン酸イオン濃度として連続的に測定されるが、
本発明の培養法によれば、実質的にリン酸イオンが検出
できない程度となる。ただし混合特性の悪いときは、培
養液中の残存リン酸イオンは、部分的に数ppmを示す
ことがあり得る。
【0015】連続培養系で定常状態を保つ方法として
は、基質の節約という立場から基質の供給速度を制限し
ながら培養する、いわゆる基質律速培養によるものが一
般的であるが、本発明における培養法は前記の基質律速
培養とは異なり、培養槽へのリン供給速度を制限するこ
とにより定常状態を保ちながら培養を行う、すなわち増
殖を制限する因子が唯一リンのみであるリン律速培養法
である。
【0016】本発明の連続培養に切り替えられた後は、
リン源の供給を調節して培養液中の残存リン酸イオン濃
度を通常使用されるイオン分析計では検出できない程に
低くすると同時に、培養液中の残存メタノール濃度が一
定となるように培地供給量、又はメタノール供給量を制
御する。工業的にはメタノール供給量および培地供給量
は、残存メタノール濃度をガスクロマトグラフィなどの
分析計により経時的に測定し、その信号により自動的に
調節される。培養液中の残存メタノール濃度は通常は1
0〜3000ppm程度、好ましくは200〜2000
ppm程度に維持される。残存メタノール濃度は、培養
廃ガス中のメタノールを炭化水素計あるいは、ガスクロ
マトグラフィ等の分析計により測定することによっても
知ることができる。このようにして、一定の通気条件下
で一定の定常状態が得られ、この定常状態においては菌
の増殖を制限しているのはリンのみである。
【0017】本発明における連続培養初期における培養
液中の菌体濃度(乾燥菌体基準、以下同様)は特に制限
はないが、通常は本発明の定常状態時の菌体濃度と同程
度か、やや低い濃度に到達したのち本連続培養へ移行す
ることが望ましい。また、本発明における連続培養中に
おける培養液中の菌体濃度は通常10〜100g/lで
ある。菌の増殖速度を変えるには、リン供給速度を調節
することにより任意に変更できる。即ち、増殖速度を速
くする(平均滞留時間を短くする)にはリン供給速度を
大きくするように条件を選択すればよく、逆に増殖速度
を遅くする(平均滞留時間を長くする)にはリン供給速
度を小さくするように条件を選択すればよい。
【0018】本発明のリン供給速度制限下での連続培養
に先立って、菌を活発に増殖させて培養液中の菌濃度が
所定値となるまで予備培養が行われる。予備培養とし
て、たとえば基質およびその他の培地成分ならびに酸素
を十分に供給しつつ行われる回分培養、もしくはリンの
みを制限して行われる回分培養、またはこれらの回分培
養に引き続いて基質およびその他の培地成分ならびにリ
ンを十分に供給しつつ行われる連続培養などがある。予
備培養は通常の方法により行われ、培養温度、pH、基
質および培地成分ならびに培地もしくは培養液中の基質
濃度などは前記の本発明の連続培養におけるものと同様
である。予備培養に引き続き、前記のリン供給速度を制
限した連続培養が行われる。リンの供給速度を小さく
し、培養槽での平均滞留時間を長くするに伴ない菌体中
のPHB含有量は増加し、平均滞留時間を10時間以上
とした時に飛躍的なPHB含有量の増加が認められる。
【0019】このようにして得られた培養液から、濾過
または遠心分離などの通常の固液分離によって菌体を分
離回収し、必要に応じて水などで洗浄して菌体を得る。
このようにして得られた菌体から、又は、さらに所望に
より超音波処理などで破壊された菌体から、たとえばク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化
炭化水素を抽剤として抽出して得られたPHB抽出液か
ら、これと貧溶媒とを混合するなどにより凝固沈澱させ
るなどのそれ自体公知の手段で処理してPHBを分離す
る。必要に応じてさらに精製して高純度のPHBを得る
ことができる。
【0020】
【実施例】 次に本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるも
のではない。 実施例1 プロトモナス エクストルクエンス(Protom
onas extorquens )K(微工研菌寄第8395号)を使
用した。なお、最近の文献によれば本菌は、メチロバク
テリウム(Methylobacterium)属に属するとされている
(I.J.Bousfieldand P.N.Green;Int.J.Syst.Bacterio
l.,35,209(1985)、T.Urakami et al.;Int.J.Syst.Bacte
riol.,43,504-513(1993) )。
【0021】工業用水1L当たり、つぎの組成を有する
回分培養用培地(培地A)を調製した。
【0022】回分培養用培地の組成 (培地A) メタノール 5 g KH2 PO4 3 g (NH4 2 SO4 1 g MgSO4 ・7H2 O 1 g 酵母エキス 0.2g FeC6 5 7 ・xH2 O 60 mg ZnSO4 ・7H2 O 20 mg MnCl2 ・4H2 O 10 mg CaCl2 ・2H2 O 40 mg CuSO4 ・5H2 O 1 mg KI 1 mg ( NH4)6 Mo724・4H2 O 1 mg CoCl2 ・6H2 O 1 mg H3 BO3 1 mg NaCl 50 mg
【0023】3L容培養槽に、この培地Aを1.5L張
り込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アン
モニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された
種母200mlを植菌し、空気を通気しつつ32℃で回
分培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニ
ア水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃
度は、ガスクロマトグラフィにより連続的に測定し、5
00〜1500ppmの範囲になるように自動的にメタ
ノールを供給した。なお、撹拌機回転数を1000rp
m、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約10g/l
に達した時点で、自動的に供給されるメタノールを、別
に調製された連続用培地(培地B)に切り替え、培地の
連続供給と培養液の連続排出とを開始することにより、
連続培養に移行した。
【0024】連続用培地の組成は、下記のごとくであ
り、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後使用した。
ただしメタノールは、ミクロフィルターで除菌濾過して
注入した。
【0025】 連続培養用培地組成 (培地B) 工業用水1L当り メタノール 60 g K2 SO4 0.8g MgSO4 ・7H2 O 1 g (NH4 2 SO4 0.5g FeC6 5 7 ・xH2 O 60 mg ZnSO4 ・7H2 O 20 mg MnCl2 ・4H2 O 10 mg CaCl2 ・2H2 O 40 mg CuSO4 ・5H2 O 1 mg KI 1 mg ( NH4)6 Mo7 24・4H2 O 1 mg CoCl2 ・6H2 O 1 mg H3 BO3 1 mg NaCl 50 mg 消泡剤(Silicone KM-75) 1 g
【0026】連続用培地の供給と並行して、10%リン
酸液を連続的に供給した。10%リン酸液の供給速度
は、連続用培地として供給されるメタノールの供給速度
に連動して、すなわちメタノールとリン酸の供給モル比
(以下C/P比と記す)が1000となるように供給し
た。培養液中のメタノール濃度は、メタノールの損失を
少なくするため、可能な限り低くし、300〜500p
pmに制御した。イオンクロマトグラフィで培養液中の
リン酸イオン濃度を連続的に測定したが、連続培養へ移
行後、リン酸イオン濃度は次第に低下し、まもなく検出
限界(1ppm)以下となった。平均滞留時間が約20
時間で定常状態となった。この条件で10日間培養を継
続したが、培養結果は安定していた。この時の培養液中
には約42%のPHBを含んだ菌体が1L当り25g存
在した。メタノール1g当りの菌体収量は0.42gで
あり、PHBの収量は0.18gであった。その後、リ
ン酸の供給速度を変更することにより(すなわちC/P
比を変更することにより)平均滞留時間を変更し、平均
滞留時間とPHB含有量との関係を調べた。結果を表1
に示した。
【0027】PHBの分析は以下により行った。菌体を
遠心分離機で集菌した後、純水で2回洗浄し、これを熱
風乾燥(100℃)して乾燥菌体を得た。約80mgの
乾燥菌体をスクリューキャップ付き試験管にとり、クロ
ロホルム1ml、内部標準入りメタノール−硫酸溶液
(内部標準:安息香酸200mg/100ml、硫酸
3.5容量%)1mlを加え、120℃で90分加熱処
理し、菌体に含まれているポリマーの分解およびメチル
エステル化を行った。反応終了後純水を1ml加え、激
しく撹拌した後、遠心分離を行い有機溶媒層を得た。こ
の有機溶媒層をガスクロマトグラフィーで分析すること
により、PHB成分含量を算出した。
【0028】ガスクロマトグラフィ分析条件 装置:島津GC−7AG カラム:Reoplex 400 chromosor
b G AW−DMCS 10% (60〜80mesh) カラム温度: 160℃ 注入口温度: 250℃
【0029】
【表1】 表1 平均滞留時間 PHB含有量 対メタノール 菌体収率 対メタノール PHB収率 (hr) (%) (g/g) (g/g) 7 17 0.41 0.07 10 30 0.41 0.12 20 42 0.42 0.18 30 49 0.42 0.21 40 53 0.38 0.20
【0030】表1は平均滞留時間と、菌体中のPHB含
有量、対メタノール菌体収率及び対メタノールPHB収
率のそれぞれとの関係を示している。表1から本発明の
リン律速連続培養においては平均滞留時間が長くなるに
伴ない菌体中のPHB含有量が増加し、平均滞留時間を
10時間以上としたときにPHB含有量の顕著な増加が
認められることがわかる。
【0031】比較例1 リン律速連続培養を基質律速連続培養に変えたほかは、
実施例1と同様にして菌を培養した。即ち、連続的に供
給するリン酸の量を制限せずに行った。培地の供給速度
を変更することにより平均滞留時間を変更した。平均滞
留時間を20時間としたときのPHB含有量は0%であ
った。この時の培養液中のリン酸イオン濃度は1500
〜2000ppmであった。培養液中にメタノールは検
出されなかった。培地の供給速度を変更することにより
平均滞留時間を変更し、滞留時間とPHB含有量との関
係を見たが、いずれの条件においてもPHB含有量は0
〜7%と非常に低いものであった。
【0032】実施例2 プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extor
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。3
L容培養槽に、培地Aを1.5L張り込み、120℃で
20分間加熱滅菌し、冷却後、アンモニア水でpH6.
5に調整し、これに別に調製された種母200mlを植
菌し、空気を通気しつつ33℃で回分培養を行った。回
分培養時のpHは、25%アンモニア水で6.5に自動
制御した。培養液中のメタノール濃度は、ガスクロマト
グラフィにより連続的に測定し、500〜1500pp
mの範囲になるように自動的にメタノールを供給した。
撹拌機回転数を1450rpm、通気量を1vvmとし
た。菌体濃度が約15g/lに達した時点で、別に調製
されたH3 PO4 添加量を0.22g/lとした連続用
培地(培地C)の連続供給と培養液の連続排出とを開始
し、連続培養に移行した。メタノールは回分培養に引き
続き培地Cとは別途に、しかし培地Cの供給と連動させ
ながら自動的に供給された。消泡剤としてPPG(ポリ
プロピレングリコール)をメタノール中へ1%添加して
使用した。
【0033】 連続培養用培地組成 (培地C) 工業用水1L当り H3 PO4 0.22g K2 SO4 1.5 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 2 SO4 1 g FeC6 5 7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg
【0034】培地の供給速度は、平均滞留時間が40時
間となるように調整した。培養液中の残存メタノール濃
度は、メタノールの損失を少なくするため、可能な限り
低くし、300〜500ppmに制御した。イオンクロ
マトグラフィで培養液中のリン酸イオン濃度を連続的に
測定したが、連続培養へ移行後、リン酸イオン濃度は次
第に低下し、まもなく検出限界(1ppm)以下となっ
た。平均滞留時間が約40時間で定常状態となった。こ
の時のメタノール供給速度と連続用培地として供給され
るリン酸イオンの供給速度は、C/P比として1670
であった。この条件で10日間培養を継続したが、培養
結果は安定していた。この時の培養液中には約53%の
PHBを含んだ菌体が1L当り45.6g存在した。メ
タノール1g当りの菌体収量は0.38gであり、PH
Bの収量は0.20gであった。
【0035】実施例3 菌株としてハイホミクロビウム メチロボラム(Hyphom
icrobium methylovorum )IFO 14180を用いた
ほかは、実施例1と同様に行った。連続培養へ移行後、
平均滞留時間が約20時間で定常状態となった。この条
件で10日間培養を継続したが、培養結果は安定してい
た。この時の培養液中には約48%のPHBを含んだ菌
体が1L当り27g存在した。メタノール1g当りの菌
体収量は0.45gであり、PHBの収量は0.22g
であった。
【0036】
【発明の効果】本発明によりPHBを、大規模に、しか
も経済的かつ安定的に生産することが可能となった。本
発明によるPHB生産は、連続培養プロセスであるので
最適条件に設定した後の運転管理が容易であり、従来の
回分培養の繰り返しで行うプロセスに比べ、滅菌作業、
種母の調製等の作業の簡素化が可能であり、飛躍的な省
力化がはかれる。更に原料(基質)がメタノールである
ので、原料コストが非常に安価となるが、基質がメタノ
ールである更によい点は、非常に限定された基質である
ため、一般性細菌による雑菌汚染がなく、長期間の安定
した連続培養が容易に継続できることにある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田原 寅一 新潟県新潟市太夫浜字新割182番地 三菱 瓦斯化学株式会社新潟研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ−3−ヒドロキシ酪酸を生産する能
    力を有するメタノール資化性細菌を、メタノールを炭素
    源として培養することにより、該菌体内にポリ−3−ヒ
    ドロキシ酪酸を合成蓄積させ、当該菌体からポリ−3−
    ヒドロキシ酪酸を取得するポリ−3−ヒドロキシ酪酸の
    製造法において、単一の培養槽で平均滞留時間が10時
    間以上になるようにリンの供給速度を制限した連続培養
    をすることを特徴とするポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製
    造法。
JP5250674A 1993-09-10 1993-10-06 ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 Pending JPH0799984A (ja)

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JP5250674A JPH0799984A (ja) 1993-10-06 1993-10-06 ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法
EP19940114108 EP0643138B1 (en) 1993-09-10 1994-09-08 Process for production of bacterial cells containing poly-3-hydroxybutyric acid
DE1994632240 DE69432240T2 (de) 1993-09-10 1994-09-08 Verfahren zur Herstellung von bakterien Zellen, welche poly-3-hydroxy Buttersäure enthalten
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016504911A (ja) * 2012-12-27 2016-02-18 ヴェオリア・ウォーター・ソリューションズ・アンド・テクノロジーズ・サポート 微生物によってポリヒドロキシアルカノエートを生成する方法

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