JPH079945A

JPH079945A - 自動車用電気部品

Info

Publication number: JPH079945A
Application number: JP15056293A
Authority: JP
Inventors: Toshiki Kondo; 敏樹近藤; Susumu Ishitatsu; 享石龍
Original assignee: Showa Denko KK
Current assignee: Resonac Holdings Corp
Priority date: 1993-06-22
Filing date: 1993-06-22
Publication date: 1995-01-13

Abstract

(57)【要約】【目的】高温時の電気抵抗値の低下が少なく、かつ耐
熱性に優れる自動車用電気部品を提供する。【構成】（Ａ）２５℃、９８％硫酸中の濃度１ｇ／ｄ
ｌでの相対粘度が２．３〜４．０であるポリアミド６、
ポリアミド６６およびポリアミド６６／６共重合体の群
から選ばれる少なくとも１種のポリアミド樹脂６０〜
９５重量％ならびに、（Ｂ）ジカルボン酸成分がイソフ
タール酸および／またはテレフタール酸からなる半芳香
族非結晶ポリアミド樹脂５〜４０重量％［ただし、
（Ａ）＋（Ｂ）＝１００重量％］からなる混合物１００
重量部に、（Ｃ）フェノール系安定剤０．０５〜２．２
重量部または（Ｄ）ハロゲン化銅安定剤０．０１〜
１．０重量部を配合したポリアミド樹脂組成物を成形し
て得られる自動車用電気部品である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高温時の電気抵抗値の
低下が少なく、かつ耐熱性に優れる自動車用電気部品に
関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、自動車のエンジンルーム内は、排
ガス規制あるいは騒音防止対策のためにその内部温度が
上昇してきている。このため、エンジンルーム内で用い
られる樹脂製電気部品も耐熱性が要求されている。樹脂
製電気部品としてポリアミド樹脂の採用が検討され、一
部で実用化されているが、該ポリアミド樹脂は、一般
に、温度が上昇するとその電気抵抗が低下する傾向があ
り、特にガラス転移点を超えると著しく低下する性質を
有する。また、ポリアミド樹脂には、耐熱性を付与する
ため熱安定剤としてハロゲン化銅が添加されているが、
これが電気抵抗をさらに低下させる作用がある。このよ
うな問題点を改良する目的で、本発明者の一部らは、フ
ェノール系安定剤を添加する方法（特願平 3−89812
号）を提案した。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記改
良法によっても電気抵抗値の低下を押さえるには十分で
はなく、さらに優れた高温電気抵抗値が要求されてい
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、特定の半芳香族非結晶ポリアミド樹脂と
の組成物により上記目的を達成しうることを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。

【０００５】すなわち、本発明は（Ａ）２５℃、９８％
硫酸中の濃度１ｇ／ｄｌでの相対粘度が２．３〜４．０
であるポリアミド６、ポリアミド６６およびポリアミド
６６／６共重合体の群から選ばれる少なくとも１種のポ
リアミド樹脂６０〜９５重量％ならびに、（Ｂ）ジカ
ルボン酸成分がイソフタール酸および／またはテレフタ
ール酸からなる半芳香族非結晶ポリアミド樹脂５〜４
０重量％［ただし、（Ａ）＋（Ｂ）＝１００重量％］か
らなる混合１００重量部に、（Ｃ）フェノール系安定
剤０．０５〜２．２重量部またはハロゲン化銅安定剤
０．０１〜１．０重量部を配合したポリアミド樹脂組
成物を成形してなる自動車用電気部品を提供するもので
ある。以下、本発明を具体的に説明する。

【０００６】本発明における（Ａ）ポリアミド樹脂は、
ポリアミド６、ポリアミド６６およびポリアミド６６／
６共重合体であり、これらの１種または２種以上の混合
物である。該ポリアミド樹脂の２５℃、９８％硫酸中の
濃度１ｇ／ｄｌでの相対粘度は２．３〜４．０であり、
特に２．６〜３．５が好適である。相対粘度が２．３未
満では機械的強度（特に、衝撃強度）が不十分である。
一方、４．０を超えると成形性が低下し実用的でない。

【０００７】また、本発明における（Ｂ）半芳香族非結
晶ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分がイソフタール
酸および／またはテレフタール酸からなる脂肪族−芳香
族ポリアミド樹脂である。その具体例としては、ヘキサ
メチレンジアミンとテレフタール酸より得られるポリア
ミド６Ｔ樹脂が挙げられる。該ポリアミド樹脂の２８０
℃における剪断速度１００ｓｅｃ^-1における溶融粘度は
８０００ポアズ以下が好ましい。

【０００８】また、（Ａ）成分と（Ｂ）成分との組成割
合は、（Ｂ）成分が５〜４０重量％であり、１０〜３０
重量％が好ましく、特に１５〜２５重量％が好適であ
る。（Ｂ）成分の割合が５重量％未満では高温電気抵抗
値が低下する。一方、４０重量５を超えると成形性が低
下するばかりでなく、コスト的に不利となり好ましくな
い。

【０００９】さらに、本発明における（Ｃ）フェノール
系安定剤は、各種樹脂の抗酸化剤として利用されている
ものである。その具体例としては、例えば、ペンタエリ
スリトールテトラキス［３−（３，５）−ジ−ｔ−ブチ
ル−４−ヒドロキシフェニル）プロピオネート、Ｎ，
Ｎ’−ヘキサメチレンビス（３，５−ジ−ｔ−ブチル−
４−ヒドロキシ−ヒドロミンナミド）、オクタデシル−
３−（３，５−ジ−ｔ−ブチル−４−ヒドロキシフェニ
ル）プロピオネート、トリス（２，４−ジ−ｔ−ブチル
フェニル）フォスファイトなどが挙げられる。これらの
熱安定剤の添加量としては、（Ａ）および（Ｂ）成分の
合計量１００重量部に対し０．０２〜２．２重量部、好
ましくは０．２〜１．０重量部である。添加量が０．０
２重量部未満では耐熱性が低下する。一方、２．２重量
部を超えるとコスト的に不利になるばかりでなく、成形
品のウェルド部の強度低下の要因となり好ましくない。

【００１０】また、これらフェノール系安定剤に他の安
定剤、例えば硫黄系、フォスファイト系の安定剤を併用
してもよい。また、本発明における（Ｄ）ハロゲン化銅
安定剤は、ポリアミドの熱安定剤として広く使用されて
いるものである。該安定剤の配合量は０．０１〜１．０
重量部、好ましくは０．０４〜０．６重量部である。配
合量が０．０１重量部未満では耐熱老化性が低下する。
一方、１．０重量部を超えると高温電気抵抗値が低下す
るので好ましくない。

【００１１】さらに、補強材として慣用の充填材、例え
ばガラス繊維、マイカなどを配合することもできる。こ
のときの配合量としては、一般に、樹脂成分１００重量
部に対し１０〜１５０重量部である。

【００１２】また、必要に応じて染料、顔料、核剤、可
塑剤、滑剤、離型剤、発泡剤、カーボンブラックや紫外
線吸収剤などの耐候剤などを適量添加することもでき
る。ただし、金属イオン、金属石けん系帯電防止剤など
は、電気抵抗を低下させることがあるので注意を要す
る。

【００１３】以上の各成分からなる樹脂組成物は、公知
の方法で溶融混練して得られる。例えば、ヘンシェル、
リボンブレンダーなどを用いて混合した後、ニーダー、
ミキシングロール、バンバリーミキサー、押出機などを
用いて溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練時の温
度は、特に制限はなく適宜状況に応じて定めればよい
が、通常２５０〜３２０℃、好ましくは２７０〜３００
℃である。かくして得られたポリアミド樹脂組成物を公
知に射出成形法により成形し、本発明の自動車用電気部
品とする。該電気部品の例としては、例えばコネクタ
ー、カプラー、リレーブロック、ジャンクションブロッ
ク、フューズホルダー、スイッチなどが挙げられる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。なお、電気抵抗値は温度１００℃および１２０
℃の条件でカプラ端子間の抵抗値をメガオーム計で測定
した。成形性はカプラの外観を目視で次の３段階で評価
した。 ○ ・・・・型どおりの製品が得られる △ ・・・・一部末端部に欠けるところがある × ・・・・欠ける箇所が多い耐熱老化性は試験片を１５０℃のオーブン中に１０００
時間放置した後、ＡＳＴＭＤ６３１に準拠し引張強度
を測定した。端子挿入試験はコネクター１００個に銅製
端子を挿入してランスの割れ個数を測定した。

【００１５】また、ポリアミド樹脂として、相対粘度
２．８１であるポリアミド６６（以下、ＰＡ−１とい
う）、ポリアミド６の共重合割合が１０重量％および相
対粘度２．３０であるポリアミド６６（以下、ＰＡ−２
という）、相対粘度２．９０であるポリアミド６６／６
共重合体（以下、ＰＡ−３という）、相対粘度２．６０
であるポリアミド６（以下、ＰＡ−４という）、相対粘
度３．９０であるポリアミド６（以下、ＰＡ−５とい
う）を用いた。

【００１６】また、比較のため相対粘度２．２０である
ポリアミド６６（以下、ＰＡ−ａという）および相対粘
度４．２０であるポリアミド６（以下、ＰＡ−ｂとい
う）を用いた。

【００１７】半芳香族非結晶性ポリアミドとしてナイロ
ン６Ｔ（三菱化成社製、商品名ノバミッド２１）を用い
た。

【００１８】補強材としてガラス繊維（直径１０μｍ、
長さ３ｍｍのチョップドストランド；旭ファイバーグラ
ス社製、商品名；０３ＪＡＦＴ２）を用いた。さらに、
フェノール系安定剤として商品名；イルガノックス１０
９８（以下、ＡＯ−１という）および商品名；イルガノ
ックス１０１０（以下、ＡＯ−２という）（いずれもチ
バ・ガイギ社製）を用いた。また、ハロゲン化銅安定剤
としてハロゲン化銅（ＣｕＩ／Ｋ₂ Ｉ₂ ＝１／３）（以
下、ＣｕＩという）を用いた。

【００１９】実施例１〜１５および比較例１〜１０表１および表２に示す種類および配合量で、同方向二軸
押出機で溶融混練し樹脂組成物を得た。得られた各組成
物を射出成形により電気部品（カプラ、コネクター）お
よび試験片を作製した。なお、カプラは銅製の端子をイ
ンサートし、一体に成形した。これらについて、電気抵
抗値、成形性、耐熱老化性および端子挿入試験を測定し
た。これらの結果を表１および表２に示す。

【００２０】

【表１】

【００２１】

【表２】

【００２２】

【発明の効果】本発明の自動車用電気部品は、高温時の
電気抵抗値の低下が少なく、かつ耐熱性に優れるので有
用である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】（Ａ）２５℃、９８％硫酸中の濃度１ｇ
／ｄｌでの相対粘度が２．３〜４．０であるポリアミド
６、ポリアミド６６およびポリアミド６６／６共重合体
の群から選ばれる少なくとも１種のポリアミド樹脂６
０〜９５重量％ならびに、（Ｂ）ジカルボン酸成分がイ
ソフタール酸および／またはテレフタール酸からなる半
芳香族非結晶ポリアミド樹脂５〜４０重量％［ただ
し、（Ａ）＋（Ｂ）＝１００重量％］からなる混合物１
００重量部に、（Ｃ）フェノール系安定剤０．０５〜
２．２重量部を配合したポリアミド樹脂組成物を成形し
てなる自動車用電気部品。
【請求項２】請求項１記載の（Ａ）成分および（Ｂ）
成分からなる混合物１００重量部に、（Ｄ）ハロゲン化
銅安定剤０．０１〜１．０重量部を配合したポリアミ
ド樹脂組成物を成形してなる自動車用電気部品。