JPH0797722B2 - 車載ｔｖアンテナ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車内でVHF,UHF TV放送を受信するための
車載アンテナに関するものである。

近年TV受像機の小形化が進み、自動車内でTV放送を鑑賞
することが容易となつてきた。これに伴い受信アンテナ
も車載用として適切なものが必要となつてきた。

従来ポータブルTV受像機には、ロツドアンテナが取付け
られているが、充分な受信感度を得るためには、１〜2m
の長さまで延して使用する必要があり、狭い自動車内で
は、使用に困難をきたしまた良好な画質が得にくかつ
た。また小型TV受像機にはアンテナン端子が設けられた
ものもあり、これらのTV受像機には、車体の前側部又は
側部窓上に取り付けるアンテナが使用されていた。これ
らのアンテナは、車体から張り出した構造となつてお
り、外観上好ましくないだけでなく、車体洗車時には一
々取外す必要があり、また自動車を駐車して車を離れた
とき、いたずらをされる、人を引つかけたりして安全上
問題がある、取付けにより車体の塗装に傷を着け車体の
錆を招く等の不都合があつた。また車体が良好な導体で
あるため、車体より充分間隔を取つて取り付けないと良
好な感度が得られない不具合があつた。

本発明は、従来アンテナの上記不具合点を無くしたもの
で、その目的は車の窓を利用して車体外部への張出しが
なく、車内の空間を狭めることもなく、良好にTV放送の
受信を自動車内で行うことにある。以下本発明の具体的
説明をする。

第１図は、本発明の実施例の右側コの字型部分の図面
で、１はコの字型導体、２は金属車体、３は同軸給電
線、４は窓ガラスである。コの字型導体１は、車体と適
当な間隔をへだてて窓の上下の水平辺と右側垂直辺に沿
わせて設けられている。両端は車体に接地されている。
（接地しない場合もある。）上辺の接地端と下辺の接地
端との間のコの字型延べ長さｌは、最低使用周波数の1/
2波長付近又はそれ以上であることが望ましい。右辺の
中央付近で同軸給電線の中心導体とコの字型導体、外導
体と車体とに接続し、アンテナとしての励振を行つてい
る。アンテナおよび車体との結合は容量結合しても良
い。第２図はコの字型導体を、後部窓に取付けた場合の
立面図であつて、コの字型導体と車体との間に生ずる電
気力線５の様子を矢印で図示している。同図によれば、
右辺のコの字導体と車体との間に生ずる電気力線は水平
方向の成分を有しており、通常放送されている水平偏波
のTV電波を受信する機能を有している。他の部分はロー
デイングとして働く。

第３図に本アンテナの右側コの字型部分の水平偏波放射
指向性の実測例を示す。車体の前後方向に大きな感度を
有している。第４図はVSWR実測例である。

普通後部車窓には窓ガラスに焼付けられたデイフオツガ
ーがあるが、第５図（ａ）に示した様にコの字型アンテ
ナ素子をデイフオツガー６のほぼ周辺（デイフオツガー
とは少し離しておく…例えば窓ガラスのデイフオツガー
焼付面と反対側の面）に配置すれば、電界の主要部がコ
の字導体と車体との間に発生するのでアンテナの動作は
正常に保たれる。

コの字型導体の幅Ｗ（第１図参照）は、放射インピーダ
ンスに関連するので、適当な値に選ぶのが良い。実用構
造としては、第６図に示した様に細線７−１を数本並列
に並べたものが考えられる。これは、コの字型の透明プ
ラスチツク板７−１上に極細線を並べて固定したもので
あり、このプラスチツク板を窓の周辺に取付けて配置し
ている。アンテナとしての放射素子は極細線なので、プ
ラスチツク板はその強度保持材としての作用と、窓ガラ
スにプリントされたデイフオツガー導体との間の絶縁ス
ペーサーとしての作用をする。この様に透明プラスチツ
ク板に極細線を固着した構造のアンテナ素子を用いれ
ば、外観的にはほとんど見立たないものとなり好都合で
ある。

第４図に見られる様に、本アンテナのコの字型部分の入
力インピーダンスは周波数により変化している。そこで
アンテナ励振点で同軸給電線とアンテナ素子の間に第７
図に示したリアクタンス分補償用整合回路を入れて感度
向上を図る。「同図（ａ）は、整合に使用するリアクタ
ンス補償回路であって、コイルをもってＬなるインダク
タンスとし、インダクタンスとダイオードの両端の端子
がそれぞれ静電容量で結合され、さらに前記ダイオード
のアノード側は抵抗を介してバイアス電源に接続され、
カソード側は抵抗を介して接地点に接続された回路を含
み、比較的低い周波数（Low channel領域）では前記ダ
イオードを導通させずＬ全部がアンテナ素子に直列に入
りリアクタンス補償回路全体として誘導性とし、比較的
高い周波数（High channel領域）では前記ダイオードを
導通させて、リアクタンス補償回路全体として容量性ま
たは小なる誘導性として動作せしめる様にしたものであ
る。これによりLow channelの感度を10dB以上高めるこ
とが出来る。

第７図ｂ）はコイルの他にコンデンサも直列に入れて、
それらをダイオードで適宜短絡することにより、Low ch
annel.High channelあるいはUHF帯と周波数帯により最
適のリアクタンスを直列に入れ、アンテナのリアクタン
ス分を打消して常に最高感度が得られる様にしたもので
ある。

前述の様に、アンテナと同軸給電線との間のインピーダ
ンス整合には種々の工夫をこらし得るが、周波数範囲が
広くなると、どうしてもアンテナにリアクタンス成分が
残るのは止むを得ない。

この為、第８図の様に給電点の補償回路の後に直接適当
な増巾回路を入れ、アクテイブアンテナとして動作させ
るのが受信C/Nの向上に効果がある。同図ａ）は、アク
テイブ回路としてエミツター接地型トランジスター増幅
器ｂ）はベース接地型ｃ）はソースフオロワー型FET増
幅器である。これらは車体の構造アンテナ素子の寸法等
に応じて使い分けられる。

これまでの説明では、コの字型導体は車窓の上下辺およ
び右側垂直辺に沿つて配置することとしているが、左側
の垂直辺に沿わしても何等差し支えない。

又、第９図の本発明の実施例の様に、左右両辺にコの字
型導体を設け、移相器８及び合成器９を使つて両者を逆
相に励振してやれば、第10図の様な車体の前後方向軸に
関して対称な合成指向性が得られる。

以上述べたように、本発明によれば自動車の車体からア
ンテナ導体を外部に張り出すことなく、また車内の空間
を狭めることなく、良好にTV放送の受信を自動車内で行
うことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第５図（ａ）は本発明の車載TVアンテ
ナのコの字型部分を自動車の窓に取りつけたところをを
示す。第９図は本発明の実施例である。第３図は、本発
明のアンテナの右側のコの字型部分を一組取り付けた時
の水平偏波指向性を、第10図は２組取付けた時の水平偏
波指向性を示す。又第４図はVSWRの実測例である。第６
図は本発明のアンテナの別の実施例を示す。又第７図
（ａ）（ｂ）はリアクタンス補正回路の例を、第８図
（ａ）（ｂ）（ｃ）は増巾回路の例を示す。 図中１はコの字型導体、２は金属車体、３は同軸給電
線、４は窓ガラス、５は電気力線、６はデイフオツガ
ー、７−１は導体細線、７−２はプラスチツク板、８は
移相器、９は合成器を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 法兼 敏雄 大阪府大阪市此花区島屋１丁目１番３号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (56)参考文献 特開 昭54−136260（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−162503（ＪＰ，Ａ) 実開 昭53−151992（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−174191（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭52−50804（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車輌の前部又は後部の窓枠の上下水平辺お
   よび左右の垂直辺に沿って窓枠とは適当な間隙をもって
   一対のコの字型の導体板または導体細線群を左右対称に
   なるように窓ガラスに沿わせるか窓ガラス内に封入して
   アンテナとし、合成器と、左右いずれかのアンテナに接
   続する移相器を挿入したコの字型車載TVアンテナであっ
   て、該アンテナにリアクタンス補償回路を接続し、前記
   リアクタンス補償回路は、インダクタンスとダイオード
   の両端の端子がそれぞれ静電容量で結合され、さらに前
   記ダイオードのアノード側は抵抗を介してバイアス電源
   に接続され、カソード側は抵抗を介して接地点に接続さ
   れた回路を含み、比較的低い周波数では前記ダイオード
   を導通させずリアクタンス補償回路全体として誘導性と
   し、比較的高い周波数では前記ダイオードを導通させて
   リアクタンス補償回路全体として容量性または小なる誘
   導性として動作せしめることを特徴とするコの字型車載
   TVアンテナ。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項記載のリアクタンス
   補償回路に、さらに増幅器を接続したことを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載のコの字型車載TVアンテナ。