JPH0796884B2 - 空圧シリンダーのピストンシール装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、空圧シリンダーのピストンシール装置に関
し、特に、ピストンシールにおいて要求される密閉特性
とピストン駆動時に必要とする潤滑特性とを同時に満足
し得る空圧シリンダーのピストンシール装置に関する。

〈従来の技術〉 一般に、空圧シリンダーのピストンの両方側端に作用す
る圧力を互いに隔離させるため使用されるピストンシー
ル装置においては、そのピストンの外周面と、シリンダ
ーの内周面との間の空隙を密閉しなければならない反
面、ピストンが駆動する時発生するすべり摩擦力をでき
る限り小さくしなければならないという相反した要求条
件を満足させなければならない。そして、通常、ピスト
ンシールで発生するすべり摩擦力においては、ピストン
が停止した状態では高い値を有するが、一定の臨界速度
以下の低速範囲では速度の増加に従って急激に減少し、
その臨界速度よりもすべり速度が増加すると再びその速
度に比例して増加されるという特性を有している。

〈発明が解決しようとする課題〉 然るに、このような空圧シリンダーのピストンシールに
おいて、低速範囲におけるピストンのすべり摩擦力が速
度の増加に従い減少するのは、そのピストンが低速で駆
動する時、スチック−スリップ（stick-slip）現象を発
生するためであって、このようなスチック−スリップ現
象が発生する限り、空圧シリンダーのピストンを低速で
円滑に駆動させるというのは、技術的の面で非常に難し
い問題となっていた。

そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、ピ
ストンの停止の時に密閉及び制動の機能が必要である場
合は、密閉作用及び制動作用を迅速確実に行い得るよう
にし、ピストンの駆動の時に摩擦力の減少が必要である
時は、スライドリングが作動して、スチック−スリップ
現象を完全に排除してピストンの摩擦特性を顕著に改善
し得るようにした空圧シリンダーのピストンシール装置
であって、特に、種々の動力伝達方式のものに多様に適
用することのできる空圧シリンダーのピストンシール装
置を提供することを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 このため、本発明の空圧シリンダーのピストンシール装
置は、空圧シリンダーと、該空圧シリンダーに摺動自在
に挿合したピストンと、該ピストンの外周面所定部位に
嵌合されたオイルレスベアリングからなる少なくとも１
個以上のスライドリングと、前記ピストンの外周面中央
部位にその周面を沿って所定深さ及び所定幅を有して環
状に形成された圧力室と、該圧力室の外方側にその外周
面に沿って封着され該圧力室内に作用する空気圧力によ
り膨張又は収縮されるシーリングと、該シーリングを作
動させる圧縮空気を選択的に該圧力室に供給する空圧ソ
レノイドバルブと、で構成され、前記空圧ソレノイドバ
ルブは、ピストン内部で軸方向の両側部位に夫々形成さ
れた小型ソレノイドバルブで構成され、それら小型ソレ
ノイドバルブにシリンダー内部の両方側から空気圧力が
夫々作用される構成とされ、前記ピストンが正常に駆動
する時は、前記スライドリングによるピストンと空圧シ
リンダー間の密閉作用が行われ、前記ピストンが停止し
た時は、前記シーリングの膨張による密閉及び制動作用
が行われるように構成した。

〈作用〉 かかる構成においては、ピストンの中央部位に形成した
シーリングを選択的に作動させて、ピストンが駆動する
時と停止した時に必要とされる潤滑特性と密閉特性とを
同時に満足し得るようになることにより、密閉機能を要
するピストンの停止状態ではシーリングの膨張に因り、
迅速、確実な密閉及び制動の機能が行われ、ピストンの
駆動状態で摩擦力を減らそうとする時は、スライドリン
グの作用に因り、ピストンの摩擦特性を顕著に改善し、
低速駆動におけるスチック−スリップ現象を排除し得る
ことができる。

又、シーリングに圧縮空気を供給又は遮断するソレノイ
ドバルブをピストンの内部に装着することにより、ピス
トンロッドを有する動力伝達方式のピストンには勿論の
こと、ピストンにスチールベルトを利用した動力伝達方
式のものにも、多様に適用することができる。

〈実施例〉 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は、本発明に係るピストンシール装置をピストン
ロッドを有しないロッドレス（rodless）空圧シリンダ
ーに適用した実施例を示している。

即ち、図に示すように、空圧シリンダーのピストンシー
ル装置は、空圧シリンダー２と、該空圧シリンダー２内
に摺動自在に挿合されたピストン１と、該ピストン１の
外周面所定部位に嵌合された少なくとも１個以上のスラ
イドリング10と、前記ピストン１の外周面中央部位にそ
の周面を沿って所定深さ及び所定幅を有して環状に形成
された圧力室1aと、該圧力室1aの両方側壁の上方部位に
連通して前記ピストン１の外周面に沿って所定深さ及び
所定幅を有して形成された段部1bと、前記圧力室1aの外
側方にその外周面に沿って封着され該圧力室1a内に作用
する空気圧力により膨張又は収縮されるシーリング11
と、該シーリング11を作動させる圧縮空気を選択的に該
圧力室1aに供給又は排出する空圧ソレノイドバルブとし
ての後述する小型ソレノイドバルブ12-1,12-2により構
成されている。

そして、前記スライドリング10は、オイルレスベアリン
グからなる。前記ピストン１の外周面上に該ピストン１
の外周方向に沿って形成した所定の深さと幅とを有する
環状の固定溝1cが形成される。そして、この固定溝1cに
前記スライドリング10の下方側部位が嵌合され、該スラ
イドリング10の上方側部位は前記シリンダー２の内方側
周面に当接し得るようになることにより、前記ピストン
１とシリンダー２との間の同心度を維持しながら相対摩
擦力を小さく維持し得るようになっている。又、上記シ
ーリング11は、空気圧で膨張・収縮し得るように弾性を
有し、所定厚さと前記圧力室1aの幅に等しい長さとを有
する円筒体からなり、該円筒体の両方側端の内周面部位
がその円筒体の長さ方向に夫々前記段部1bの幅位の所定
厚さを有して延長された固定片11aにてなることによ
り、そのシーリング11が前記圧力室1aの外周面に封着さ
れると共に，その固定片11aは前記段部1bの外周面に接
着されるようになっている。且つ、前記固定片11aの上
方部位には、前記シーリング11の両方側端の側壁部位に
接し、前記段部1bに嵌合された各固定リング1dが接着さ
れている。

ここで、ピストン１の内部で軸方向の両側部位に小型ソ
レノイドバルブ12-1,12-1を夫々設置し、該小型ソレノ
イドバルブ12-1,12-2とピストン１の外周壁部位に形成
した圧力室1aとの間に互いに連通する管路14-1,14-2を
夫々形成し、ピストン１の両方側に作用する圧力P1,P2
が前記ソレノイドバルブ12-1,12-2及び各管路14-1,14-2
を通って前記圧力室1aに作用するようになっている。

且つ、前記ピストン１の両方側端部位には、スチールベ
ルト30の両方側端が固着され、該スチールベルト30はシ
リンダー２の外方部両方側に夫々設置した各プーリ31,3
2に巻かれ、前記シリンダー２の外方部に露出されたス
チールベルト30の中央部位には前記ピストン１の動力の
伝達を受けるための負荷部材Ｌが連接されている。更
に、上記シリンダー２の両方側端の外方に露出されたス
チールベルト30の両方側には、前記ソレノイドバルブ12
-1,12-2を駆動させるための電気的信号（D,S）をそのス
チールベルト30を通して伝達するブラシ33,34が夫々設
置され、前記ピストン１に内蔵した各ソレノイドバルブ
12-1,12-2とシリンダー２の外方部に位置するスチール
ベルト30の両方側端部との間には電気配線35,36が連結
されている。

このように構成された空圧シリンダーのピストンシール
装置の作用を説明すると、次のようである。

シリンダー２の内部に作用する空気圧力P1又はP2により
ピストン１が駆動すると、該ピストン１に固着したスチ
ールベルト30が各プーリ31,32を介して左方側又は右方
側に移動し、よって該スチールベルト30に連接された負
荷部材はそのスチールベルト30と同様な方向に駆動され
る。

ここで、ソレノイドバルブ12-1,12-2を閉じておき、ピ
ストン１の圧力室1aに空気圧力が作用されない状態にす
ると、その圧力室1aの外方側のシーリング11は、ピスト
ン１の外周面と同様な外周面を有して収縮した状態を維
持している。従って、このような状態では、ピストン１
が駆動しても、良好な潤滑特性を有するスライドリング
10のみが、ピストン１とシリンダー２との間の空隙Ｇを
密閉する状態になるので、ピストン１のすべり摩擦特性
を顕著に改善し、ピストン１が低速で駆動する場合のス
チック−スリップ現象を排除することができる。その
後、ピストン１を停止させる時は、前記ブラシ33,34を
通して電気的信号（D,S）を印加し、ソレノイドバルブ1
2-1,12-2を選択的に開くことにより、そのソレノイドバ
ルブ12-1,12-2を通った圧縮空気が圧力室1aに作用さ
れ、即ち、圧縮空気が該圧力室1aに導入されると、シー
リング11が膨張して該シーリング11とシリンダー２との
間の空隙Ｇを密閉させ、シーリング11の密閉圧力がピス
トン１の制動力に加わってピストンの停止動作を迅速且
つ正確に行い得るようになる。

第２図は、本発明に係るピストンシール装置をピストン
ロッドを有する空圧シリンダーに適用した実施例を示す
図である。

即ち、ピストンロッド40を有する空圧シリンダーにおい
ては、ピストン１に挿合したソレノイドバルブ12-1,12-
2の作動に必要な電気的信号（Ｄ、Ｓ）をピストンロッ
ド40の内部を通して伝達することにより、前述したよう
なシーリング11の膨張に因るピストン１の制動及び密閉
作用が行われる。

〈発明の効果〉 以上説明したように、本発明に係る空圧シリンダーのピ
ストンシール装置においては、そのピストンの外周面に
嵌合したオイルレスベアリングからなるスライドリング
と、そのピストンの外周面中央部位に配設されて空気圧
力で作用する密閉用シーリングとを有して構成されるた
め、ピストンを駆動する時は摩擦特性の良いスライドリ
ングが作用して摩擦力の減少が行われ、ピストンの停止
状態では密閉用シーリングが膨張してそのピストンとシ
リンダーとの空隙を密閉させ、従来の低速駆動時のスチ
ック−スリップ現象を完全に排除し、且つピストンの駆
動、低速及び停止状態における作動を迅速・確実に行い
得る効果がある。

特に、本発明によると、シーリングを作動させる圧縮空
気を選択的に圧力室に供給する空圧ソレノイドバルブ
を、ピストン内部で軸方向の両側部位に夫々形成された
小型ソレノイドバルブで構成し、それら小型ソレノイド
バルブにシリンダー内部の両方側から空気圧力が夫々作
用されてなる構成としたから、ピストンロッドを有する
動力伝達方式のピストンには勿論のこと、ピストンにス
チールベルトを利用した動力伝達方式のものにも、多様
に適用することができるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る空圧シリンダーのピストンシール
装置の一実施例の構成及び作用を示した図面で、ピスト
ンが駆動する時のシーリングが収縮した状態を示した断
面図、第２図は他の実施例を示した断面図である。 １……ピストン、1a……圧力室、２……空圧シリンダ
ー、10……スライドリング、11……シールリング、12-
1,12-2……空圧ソレノイド、14-1,14-2……管路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】空圧シリンダー（２）と、該空圧シリンダ
   ー（２）に摺動自在に挿合したピストン（１）と、該ピ
   ストン（１）の外周面所定部位に嵌合されたオイルレス
   ベアリングからなる少なくとも１個以上のスライドリン
   グ（10）と、前記ピストン（１）の外周面中央部位にそ
   の周面を沿って所定深さ及び所定幅を有して環状に形成
   された圧力室（1a）と、該圧力室（1a）の外方側にその
   外周面に沿って封着され該圧力室（1a）内に作用する空
   気圧力により膨張又は収縮されるシーリング（11）と、
   該シーリング（11）を作動させる圧縮空気を選択的に該
   圧力室（1a）に供給する空圧ソレノイドバルブと、で構
   成され、前記空圧ソレノイドバルブは、ピストン（１）
   内部で軸方向の両側部位に夫々形成された小型ソレノイ
   ドバルブ（12-1），（12-2）で構成され、それら小型ソ
   レノイドバルブ（12-1），（12-2）にシリンダー（２）
   内部の両方側から空気圧力（P1），（P2）が夫々作用さ
   れる構成とされ、前記ピストン（１）が正常に駆動する
   時は、前記スライドリング（10）によるピストン（１）
   と空圧シリンダー（２）間の密閉作用が行われ、前記ピ
   ストン（１）が停止した時は、前記シーリング（11）の
   膨張による密閉及び制動作用が行われるようになる空圧
   シリンダーのピストンシール装置。