JPH0796030B2 - 膜型人工肺 - Google Patents

膜型人工肺

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JPH0796030B2
JPH0796030B2 JP23057187A JP23057187A JPH0796030B2 JP H0796030 B2 JPH0796030 B2 JP H0796030B2 JP 23057187 A JP23057187 A JP 23057187A JP 23057187 A JP23057187 A JP 23057187A JP H0796030 B2 JPH0796030 B2 JP H0796030B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、膜型人工肺に関するものである。詳しく述べ
ると高ガス交換能を有し、かつ長時間使用に際して血漿
漏出がない血液適合性の優れた膜型人工肺に関するもの
である。
<従来の技術> 一般に心臓手術等において、患者の血液を体外に導き、
これに酸素を添加しかつ炭酸ガスを除去するために、体
外循環回路内に膜型人工肺が用いられている。このよう
な人工肺において使用される膜としては、均質膜と多孔
質膜の2種類がある。均質膜は透過する気体の分子が膜
に溶解し、拡散することによってガスの移動が行なわれ
る。この代表的なものにシリコーンゴムがあり、メラ・
シロックス(泉工医工系)として製品化されている。し
かしながら、均質膜は、ガス透過性の点から現在使用可
能のものとしてはシリコーンゴムのみしか知られておら
ず、また該シリコーンゴム膜は強度的に膜厚100μm以
下にすることはできない。
このためガス透過に限界があり、特に炭酸ガスの透過が
悪い。また、前記シリコーンゴムは高価で、しかも加工
性が悪いという欠点があった。
一方、多孔質膜は、該膜の有する微細孔が透過すべき気
体分子に比べて著しく大きいため、体積流として細孔を
透過する。例えばマイクロポーラスポリプロピレン膜等
の多孔質膜を使用した人工肺が種々提案されている。例
えばポリプロピレンを中空糸製造用ノズルを用いて、紡
糸温度210〜270℃、ドラフト比180〜600で溶解紡糸し、
ついで155℃以下で第1段熱処理を行なったのち、110℃
未満で30〜200%延伸し、しかるのちに第1段熱処理温
度以上155℃以下で第2段熱処理することにより多孔質
ポリプロピレン中空糸を製造することが提案されている
(特公昭56−52,123号)。しかしながら、このようにし
て得られる多孔質中空糸はポリプロピレン中空糸を延伸
することにより物理的に細孔を形成するので、該細孔は
膜厚方向にほぼ水平な直線状細孔であり、かつ延伸度に
応じて中空糸の結線方向に亀裂を生じて生成する細孔で
あるから断面がスリット状である。又細孔はほぼ直線的
に連続貫通し、かつ空孔率が高い。このため、該多孔質
中空糸は水蒸気の透過性が高く、また長期間血液を体外
循環させて使用すると、血液が漏出するという欠点があ
った。
さらに血漿の漏出が起こらない膜型人工肺として三次元
ネットワーク状の細孔構造を有するポリプロピレン中空
糸膜を用いた人工肺(特開昭62−106770号)あるいは疎
水性樹脂をコーティングした多孔質膜(特開昭62−6437
0号)、疎水性の微粒子で細孔を閉塞した膜(特開昭62
−64371号)をガス交換膜として用いた人工肺が提案さ
れている。しかしながらこれらの膜は、疎水性の樹脂・
微粒子で細孔を閉塞したものであるから、膜自体のガス
交換能としては閉塞前の膜と比べて低下するといった欠
点を有していた。
また、ポリプロピレン多孔質膜は、血漿タンパク質の吸
着・血小板の粘着が起こりやすく、長時間の使用に関し
ては、解決すべき問題点を有していた。
<発明が解決しようとする問題点> 本発明の目的は、高いガス交換能を有しかつ血漿漏出の
ない血液適合性の優れた膜型人工肺を提供することにあ
る。
<問題点を解決するための手段> 本発明は、ガス交換用の細孔を有する多孔質膜を備える
膜型人工肺において、 前記多孔質膜の少なくとも前記細孔部に、使用時にハイ
ドロゲル化によって前記多孔質膜の細孔の少なくとも一
部を閉塞する高分子材料を固着した多孔質膜を用いたこ
とを特徴とする膜型人工肺を提供するものである。
本発明は、前記多孔質膜は、その膜厚は10〜200μm、
空孔率は5〜90%である特許請求の範囲第1項記載の膜
型人工肺が好ましい。
本発明は、前記使用時にハイドロゲル化した時の多孔質
膜の透水量が10-5ml/min・cm2以下である特許請求の範
囲第1項または第2項記載の膜型人工肺が良い。
<発明の具体的構成> 以下に本発明の膜型人工肺について更に詳細に説明す
る。
第1図は、本発明の膜型人工肺の一実施態様におけるガ
ス交換膜の細部構造を模式化した拡大断面図である。本
発明の膜型人工肺のガス交換膜は、多孔質膜1であり、
第1図に示すように多孔質膜基材2内に無数の細孔3が
形成されている。そしてこれらの細孔3の少なくとも一
部にはハイドロゲル化しうる吸水性高分子材料4が結合
されており、少なくとも使用時にはハイドロゲル化した
高分子材料が細孔4を閉塞する。ここでハイドロゲルと
は溶媒(水)を保有する高分子材料を意味する。
この場合、使用に際してプライミング時に生理食塩水ま
たは血漿(血液)によって細孔部の吸水性高分子材料が
膨潤し、その結果として多孔質膜の貫通孔すなわち細孔
3が閉塞されればよく、乾燥時においては、貫通孔が完
全に閉塞されている必要はない。
本発明の人工肺に用いる多孔質膜の貫通細孔が閉塞され
ている状態としては、使用時に湿潤させた時に高分子材
料がハイドロゲル化した状態で、すなわち親水化処理し
た多孔質膜の透水量が、10-5ml/min・cm2以下であるこ
とが好ましい。透水量が10-5ml/min・cm2をこえる膜
は、水が通過することからも膜の貫通細孔が閉塞したと
はいえず、人工肺として使用した場合に「血漿のリー
ク」という問題点を生じる。
多孔質膜の基材材料としては、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、
ポリアクリルニトリル、セルロースアセテート等を用い
ることができるが、オレフィン系樹脂が好ましく、ポリ
プロピレンが特に好ましい。
用いる多孔質膜の形状としては、平膜状でもよいし、中
空糸状であってもよい。
このような多孔質膜は、例えばその膜厚は10〜200μ
m、好ましくは20〜80μm、空孔率は5〜90%、好まし
くは10〜80%または細孔3の孔径は、好ましくは0.01〜
5.0μm、より好ましくは0.01〜1.0μm程度のものが一
般に用いられる。
細孔部を閉塞するハイドロゲル化しうる高分子材料は、
吸水性を有し、膨潤して多孔質膜の細孔を閉塞すること
ができるものであれば特に限定されないが、好ましくは
吸水率が10%以上、さらに好ましくは吸水率が50%以上
の架橋又はグラフト重合されて不溶化した水溶性高分子
であることが望ましい。給水率が10%未満であると、膨
潤・閉塞する上記高分子材料のハイドロゲルによる止水
効果、高ガス交換能が期待できなくなってしまう。
このようなハイドロゲル化しうる高分子材料としては、
例えばアクリルアミド、メタアクリルアミド、N−モノ
メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリド
ン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等の重合
体もしくはこれらの共重合体・架橋体を始め、デキスト
ラン、ゼラチン、アガロース等の天然高分子を架橋処理
して不溶化したものをあげることができる。
ガス交換多孔質膜の貫通細孔をハイドロゲルによって閉
塞させる方法としては、吸水性高分子を細孔部に固着さ
せるものであればいかなる方法でもよい。ここで固着と
はハイドロゲル化可能な高分子材料を多孔質膜の細孔部
に多孔質膜から脱離しないようにした状態をいう。具体
的に例示するならば、膜表面に、コロナ放電処理、電子
線、ガンマー線などを照射してラジカルまたはパーオキ
サイドを生成させ、これに単量体を接触させてグラフト
重合を行なう方法、あるいは重合体をあらかじめ生成し
ておき、膜表面に化学的に結合もしくはコーティングす
る方法、さらには架橋剤ないし多官能性単量体を含有し
た単量体を膜の細孔部で重合して不溶化する方法等があ
る。これらの方法を用いて前述の単量体、高分子が、ハ
イドロゲル化して膜の細孔部を閉塞するような条件で固
着してやればよい。
このようにして膜の細孔部に固着されたハイドロゲル化
可能な高分子材料には、必要に応じて例えばヘパリン、
アンチトロンビンIII、組織プラスミノーゲン・アクチ
ベーター、トロンボモジュリン、ストレプトキナーゼ、
ウロキナーゼ、アピラーゼ(ADP分解酵素)、プロティ
ンC、その他抗血栓性を有する合成物質または凝固活性
を阻害する阻害剤としてのプロテアーゼインヒビター
類、活性型凝固因子第Va、VIII aを分解するプロテアー
ゼ類及び上記の物質の組合せ等の抗血栓性を示す生理活
性物質などを容易に固定化したり、もしくは徐放性を付
与することも可能となる。
本発明の膜型人工肺に使用されるガス交換多孔質膜は、
プライミング時に使用される生理食塩水もしくは血液中
の血漿によって、多孔質膜の貫通細孔が、吸水膨潤した
ハイドロゲルによって閉塞され、さらには、このハイド
ロゲルの保水効果によって、止水作用が発揮され、血漿
漏出のない膜型人工肺となる。
また、多孔質膜の細孔部を閉塞する物質が膨潤したハイ
ドロゲルであるので、多孔質膜の高いガス交換能を維持
することが可能となる。さらには、このハイドロゲルの
効果によって多孔質膜と血液成分との相互作用が緩慢と
なり、血球成分あるいは血漿成分の吸着・吸着変性が抑
制され、血液適合性の高い膜型人工肺となる。
第2図は本発明の膜型人工肺の一実施態様である中空糸
膜型人工肺の組立状態を示すものである。
すなわち、該中空糸膜型人工肺11は、ハウジング12を具
備してなり、このハウジング12は筒状本体13の両端部に
環状の雄ネジ付き取付カバー14、15を設けられ、ハウジ
ング12内には、全体に広がって多数の、例えば10,000〜
60,000本の上記したように得られた多孔質の中空糸膜1
がハウジング12の長手方向に沿って並列的に相互に離間
配置されている。
そして、この中空糸状多孔質膜1の両端部は、取付カバ
ー14、15内においてそれぞれの開口が閉塞されない状態
で隔壁16、17により液密に支持されている。また、上記
各隔壁16、17は、中空糸状多孔質膜1外周面と上記ハウ
ジング12の内面とともに第1の物質移動室である酸素室
18を構成し、これを閉塞し、かつ上記中空糸状多孔質膜
1の内部に形成される第2の物質移動流体用空間である
血液流通用空間(図示しない)と酸素室18を隔離するも
のである。
一方の取付カバー14には、第1の物質移動流体である酸
素を供給する導入口19が設けられている。他方の取付カ
バー15には酸素を排出する導出口20が設けられている。
上記ハウジング12の筒状本体13の内面には、軸方向の中
央に位置して突出する絞り用拘束部21を設けることが好
ましい。すなわち、拘束部21は上記筒状本体13の内面に
筒状本体と一体に形成されていて、筒状本体13内に挿通
される多数の中空糸状多孔質膜1からなる中空糸束22の
外周を締め付けるようになっている。こうして、上記中
空糸束22は、第2図で示すように軸方向の中央において
絞り込まれ、絞り部23を形成している。したがって、中
空糸状多孔質膜1の充填率は、軸方向に沿う各部におい
て異なり、中央部分において最も高くなっている。な
お、後述する理由により望ましい各部の充填率は次の通
りである。まず、中央の絞り部23における充填率は、約
60〜80%、その他筒状本体13内では約30〜60%であり、
中空糸束22の両端、つまり隔壁16、17の外面における充
填率では、約20〜40%である。
次に、上記隔壁16、17の形成について述べる。前述した
ように隔壁16、17は、中空糸状多孔質膜1の内部と外部
を隔離するという重要な機能を果たすものである。通
常、この隔壁16、17は、極性の高い高分子ポッティング
材、たとえばポリウレタン、シリコーン、エポキシ樹脂
等をハウジング12の両端内壁面に遠心注入法を利用して
流し込み、硬化させることにより作られる。さらに詳述
すれば、まず、ハウジング12の長さより長い多数の中空
糸状多孔質膜1を用意し、この両開口端を粘度の高い樹
脂によって目止めをした後、ハウジング12の筒状本体13
内に並べて位置せしめる。この後、取付けカバー14、15
の径以上の大きさの型カバーで、中空糸状多孔質膜1の
各両端を完全に覆って、ハウジング12の中心軸を中心に
そのハウジング12を回転させながら両端部側から高分子
ポッティング材を流入する。流し終って樹脂が硬化すれ
ば、上記型カバーを外して樹脂の外側面部を鋭利な刃物
で切断して中空糸膜1の両開口端を表面に露出させる。
かくして隔壁16、17は形成されることになる。
上記隔壁16、17の外面は、環状凸部を有する流路形成部
材24、25でそれぞれ覆われている。この流路形成部材2
4、25はそれぞれ液分配部材26、27およびネジリング2
8、29よりなり、この液分配部材26、27の周縁部付近に
設けられた環状凸部として突条30、31の端面を前記隔壁
16、17にそれぞれ当接させ、ネジリング28、29を取付け
カバー14、15にそれぞれ螺合することにより固定するこ
とにより第2の物質移動流体である血液の流入室32およ
び流出室33がそれぞれ形成されている。この流路形成部
材24、25にはそれぞれ第2の物質移動流体である血液入
口34および出口35が形成されている。
この隔壁16、17と、流路形成部材24、25とにより形成さ
れる隔壁16、17の周縁部の空隙部には、該空隙部に連通
する少なくとも2個の孔38、39の一方より充填剤40、41
を充填することにより前記隔壁16、17と接触するように
シールされる。あるいはまた、Oリング(図示せず)を
介してシールされる。
なお、前記中空糸膜型人工肺において、第1の物質移動
流体としては空気等の酸素含有ガスまたは血液であり、
第2の物質移動流体としては血液または酸素含有ガスで
ある。したがって、第1の物質移動流体がガスの場合に
は第2の物質移動流体は血液であり、一方、第1の物質
移動流体が血液の場合には第2の物質移動流体はガスで
ある。
以上は、中空糸膜型人工肺の場合について説明したが、
積層式、1枚の膜をコイル状に巻いたもの、ジグザグ状
に折込んだもの等の平膜型人工肺についても、第1図に
つき説明したような多孔質膜を用いれば、生体適合性が
高く接触する血液の血小板等の損傷が極めて少なく、ま
たガス交換能に優れ、さらに長期間使用しても血漿漏出
の虞れのない膜型人工肺が得られる。
第3図は、本発明の多孔質膜で形成されたメンブレン61
を有する平膜型人工肺の1実施態様を示す1部を切欠い
た模式図である。
この平膜型人工肺5は、キャップ状のハウジング50と、
該ハウジング50内にメンブレン61を介してメッシュ57と
スペーサー62が交互に積層されている積層体と、ハウジ
ング50の底部を閉塞する底蓋体56と、Oリング55を介し
て底蓋体56をハウジング50に螺合するネジリング63とを
有する。
積層体は、多段に積層されたメンブレン61の間にスペー
サー62とメッシュ57が交互に挿入された構成である。
このように構成すると、2枚のメンブレン61に上下を挟
まれたスペーサー62の上面と下面に形成される空間が血
液移動室64を形成し、2枚のメンブレン61により上下を
挟まれたメッシュ57の上面と下面と形成される空間が酸
素ガス移動室65を形成し、血液移動室64と酸素ガス移動
室65はハウジング50内を交互に区分しつつ配置される。
ハウジング50の上面には、適切位置にガス流入口51とガ
ス流出口52が設けられる。ガス流入口51から供給された
酸素ガス67はガス通過孔59を介して最上階の酸素ガス移
動室65に流入し、さらにガス通過孔59を介して次々と下
段の酸素ガス移動室65を通過してガス流出口52より排出
される。
ハウジング50の略中央部には血液流入口53が設けられ、
側面所定個所には血液流出口54が設けられる。血液流入
口53から導入された血液66は、最上階の血液移動室64に
導入され、さらに次々と下段の血液移動室64を通過して
血液流出口54より流出する。
このようにして血液66と酸素ガス67はメンブレン61を介
して幾重にも接触しつつガス交換が行われる。
この平膜型人工肺5は、メンブレン61が第1図で説明し
たガス交換膜の細孔部がハイドロゲルによって閉塞され
た多孔質膜を使用しているので、高いガス交換能を長期
に維持する。
<実施例> 以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1) 特開昭61−114702号に記載されている方法で、膜厚45
μ、孔径0.1μのポリプロピレン多孔質膜を作製し、ア
ルゴンガスプラズマを、40W、0.1torr、10秒間照射して
膜上に重合開始点を生成させた後、N,N−ジメチルアク
リルアミド液中で20℃10分間グラフト重合を行ない、ポ
リN,N−ジメチルアクリルアミドとして上記多孔質膜に
固着し、メタノールで2日間洗浄して膜の細孔部がこの
高分子材料のハイドロゲルによって閉塞されるような構
造を有するガス交換多孔質膜を得た。
該多孔質膜の断面の走査型電子顕微鏡写真(倍率2000
倍)を第4図に示す。この写真においてスポンジ状の多
孔質膜断面の両端に黒い部分が観察されるが、この部分
が、ハイドロゲル状となり膜の細孔部を閉塞しているこ
とがわかる。
該膜をメタノール−水置換法で親水化処理を施した後、
透水量を測定したところ、0.5Kg/cm2の加圧下で0であ
った。
該膜をガス交換膜として、膜面積0.5m2の積層型人工肺
膜モジュールを作製し、ウシ血液(構造静脈血)をシン
グルパス方式で0.5/minの流量で流し、酸素供給口よ
り純酸素を0.5/minで流して、人工肺入口および出口
のウシ血液の炭酸ガス分圧(Pco2)、酸素分圧(Po2
を血液ガス測定装置(Radiometer社製、BGA3型)により
測定した結果、O2添加能42.9ml/min・m2、CO2除去能45.
5ml/min・m2といった良好な結果を得た。また、30時間
体外循環後においても、血漿漏出は観測されなかった。
(実施例2) 特開昭61−90705号に記載された方法で作製したポリプ
ロピレン多孔質中空糸膜を実施例1と同様の方法で処理
した結果、0.5Kg/cm2の加圧下で透水量0の膜の細孔部
が閉塞されたO2添加能39.2ml/min・m2、CO2除去能45.5m
l/min・m2の中空糸状ガス交換膜を得ることができた。
作製した中空糸状ガス交換膜に多血小板血漿を流し、次
に生理食塩水でリンスした後、グルタルアルデヒド溶液
で固定化して走査型電子顕微鏡で観察したところ、血小
板の粘着はほとんど認められなかった。
(比較例) 実施例1および2で得た、細孔部がハイドロゲルによっ
て閉塞されていない未処理のポリプロピレン多孔質膜、
および中空糸膜の0.5Kg/cm2の加圧下での透水量はそれ
ぞれ0.24、0.08ml/min・cm2であり、酸素添加能、炭酸
ガス除去能は実施例とほぼ同程度であったが、体外循環
20時間後において血漿漏出が多量に発生した。また、実
施例2と同様の方法で血小板の粘着数を観察したところ
多量の血小板が粘着、変形していた。
<発明の効果> 本発明の膜型人工肺は、ガス交換膜に細孔部がハイドロ
ゲルによって閉塞される多孔質膜を使用しているので、
このハイドロゲル層によって血漿、血漿タンパク質の漏
出が抑制され長時間使用可能となり、かつ高いガス交換
能を維持することができる。また、ハイドロゲル層の効
果によって血小板等の血球、血漿タンパク質の膜への吸
着・吸着変性が抑制され、血液適合性の優れた膜型人工
肺となる。さらには、ハイドロゲル層を形成する極性基
に容易に生理活性を有する物質を固定化・徐放化できる
ようになり、高い抗血栓性等を付与可能な人工肺とな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の膜型人工肺に用いられるガス交換膜
の一例を模式的に示す断面図である。 第2図および第3図は、それぞれ本発明による膜型人工
肺の中空糸型および平膜型における一実施態様を示す図
である。 第4図は、繊維の形状を示す図面代用写真であり、実施
例1で得られた多孔質膜の断面の走査型電子顕微鏡写真
である。 符号の説明 1……多孔質膜、 2……多孔質膜基材、 3……細孔、 4……吸水性高分子材料、 11……中空糸膜型人工肺、 12……ハウジング、 13……筒状本体、 14、15……取付カバー、 16、17……隔壁、 18……酸素量、 19……酸素導入口、 20……酸素導出口、 21……絞り用拘束部、 22……中空糸束、 23……絞り部、 24、25……流路形成部材、 26、27……液分配部材、 28、29……ネジリング、 30、31……突条、 32……血液流入室、 33……血液流出室、 34……血液入口、 35……血液出口、 38、39……孔、 40、41……充填剤 5……平膜型人工肺、 50……ハウジング、 51……ガス流入口、 52……ガス流出口、 53……血液流入口、 54……血液流出口、 55……Oリング、 56……底蓋体、 57……メッシュ、 59……ガス通過口、 61……メンブレン、 62……スペーサー、 63……ネジリング、 64……血液移動室、 65……酸素ガス移動室、 66……血液、 67……酸素ガス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガス交換用の細孔を有する多孔質膜を備え
    る膜型人工肺において、 前記多孔質膜の少なくとも前記細孔部に、使用時にハイ
    ドロゲル化によって前記多孔質膜の細孔の少なくとも一
    部を閉塞する高分子材料を固着した多孔質膜を用いたこ
    とを特徴とする膜型人工肺。
  2. 【請求項2】前記多孔質膜は、その膜厚は10〜200μ
    m、空孔率は5〜90%である特許請求の範囲第1項記載
    の膜型人工肺。
  3. 【請求項3】前記使用時にハイドロゲル化した時の多孔
    質膜の透水量が10-5ml/min・cm2以下である特許請求の
    範囲第1項または第2項記載の膜型人工肺。
JP23057187A 1987-09-14 1987-09-14 膜型人工肺 Expired - Lifetime JPH0796030B2 (ja)

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