JPH0795843A - ドウの等量分配装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】２対のロールに正常にドウを供給していくこと
が可能であり、作業安全性、衛生上の面でも問題がない
ドウの等量分配装置を提供する。 【構成】上方から供給されたドウを、２対の圧延ロール
１、２に分配供給して２枚の荒麺帯２３を形成していく
装置である。ドウ供給口７を上部に設けたケーシング８
には、ドウ供給口の下方位置に２対の圧延ロール１、２
が内蔵されている。このケーシング内の２対の圧延ロー
ル間に、軸線をロール軸と平行として回転軸４が配設さ
れている。この回転軸４には、凸曲面５ａをドウ供給口
側に向け、かつ周方向Ｃの両端部５ｃ、５ｄをそれぞれ
２対の圧延ロール側へ向けた状態で周方向に回動可能と
なるように円弧板状のドウ分配板５が連結されている。
また、ドウ分配板は、その周方向の両端部が交互に２対
の圧延ロールのうち一方のロール間隙近傍まで移動する
ように、往復回転機構６によって往復回転する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、製麺ラインにおい
て、ミキサーで混練された生地、すなわちドウを、圧延
工程の最初の段に配置された２対のロールに分配して供
給するドウの等量分配装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ミキサーで混練されたドウは、フ
ィーダを介して一定量ずつ、出口が二股に分岐した分配
装置に供給される。その分配装置に供給された前記ドウ
は、そのまま胴部を通過し分岐された２つの分岐路に供
給され、各分岐路の下方に個別に配置された各一対のロ
ールの間に噛み込まれ、各一対のロールにより夫々帯状
に圧延されて２枚の荒麺帯として形成され、さらに、２
枚が重ねられて別の一対のロールにより一枚に圧延され
た麺帯に形成される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記分配装置に供給さ
れるドウは、小麦粉等の原材料に水を混入しミキサーに
より混練されて生成されたものであるが、この分配装置
に供給されたドウは、一方の分岐路だけに多く供給され
てしまうことがある。また、原材料に混入された水の量
によって粘度が変化してしばしば大きな塊ができ、これ
が分岐路下方のロールへの噛み込み不良となり、このロ
ールにより形成される荒麺帯が、ドウの不足を生じて別
の荒麺体より厚みが薄かったり、穴が開いたりすること
もある。

【０００４】そこで、ロールへのドウの噛み込みが正常
となるように、装置の上部からロールの間隙位置に溜ま
っているドウに向けて上下方向に突っ込み動作を繰り返
し行う突込み棒などが配設されている従来装置もある。
しかしながら、突っ込み棒などを備えた従来の装置で
は、機械的に連続運動を行っている外部機構の傍らで、
作業者が長時間作業を行なう場合もあるので、作業安全
性の面で問題があり、さらには、突っ込み棒が配設され
ることにより装置内部を完全に覆うことができないの
で、衛生上の面においても問題がある。

【０００５】この発明は、上記のような問題点に着目し
てなされたものであり、２対のロールに正常にドウを供
給していくことが可能であり、かつ作業安全性、衛生上
の面でも問題がないドウの等量分配装置を提供すること
を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明のドウの等量分
配装置は、上方から供給されたドウを、２対の圧延ロー
ルに分配供給して２枚の荒麺帯を形成していく装置であ
る。この装置のケーシングには上部にドウ供給口が設け
られており、このドウ供給口の下方位置に２対の圧延ロ
ールが内蔵されている。また、ケーシング内には、２対
の圧延ロール間において軸線をロール軸と平行として配
設した回転軸が配設されている。そして、この回転軸に
は、凸曲面をドウ供給口側に向け、かつ周方向の両端部
をそれぞれ２対の圧延ロール側へ向けた状態で周方向に
回動可能となるように円弧板状のドウ分配板が連結して
いる。さらに、回転軸は、ドウ分配板の周方向の両端部
が交互に２対の圧延ロールのうち一方のロール間隙近傍
まで移動するように、往復回転機構により所定角範囲だ
け往復回転する。

【０００７】なお、ドウ分配板の凸曲面の所定位置に、
この凸曲面から突出するドウ破砕部材を設けてもよい。

【０００８】

【作用】上記のように構成された請求項１記載のドウの
等量分配装置によれば、ドウ供給口から供給された所定
量のドウは、一旦、ドウ分配板の凸曲面の上に落ちてガ
イドされる。そして、ドウは、周方向に往復運動するド
ウ分配板によって振り分けられて均等量ずつが２対の圧
延ロールのロール間隙に供給されていく。このとき、ド
ウの中に大きな塊が存在してドウのロールの噛み込み不
良が発生しそうになっても、往復運動しているドウ分配
板の周方向の両端部が、ロール間隙近傍まで移動して大
きな塊を破砕して押し込み、正常に破砕したドウをロー
ル間隙内に噛み込ませていくので、ドウの供給不足によ
る荒麺帯の厚み不足などの問題が解消される。

【０００９】また、請求項２記載のドウの等量分配装置
によれば、例えば、原材料に混入された水の量によって
粘度が増大し、供給されたドウの大部分がケーシング内
で詰まっても、往復運動しているドウ分配板の凸曲面に
設けたドウ破砕部材が、ドウの詰まり部分を徐々に崩し
ていき、均等量のドウを２対の圧延ロールに供給してい
く。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図１及び図２に
基づいて説明する。本実施例のドウの等量分配装置は、
２対の圧延ロール１、２を内蔵しているケーシング３
と、２対のロール１、２間に配設された回転軸４と、こ
の回転軸４に連結して２組のロール１、２の上方におい
て移動可能に配設されたドウ分配板５と、回転軸５を所
定角範囲だけ往復回転させる往復回転機構６とで概略構
成されている。

【００１１】ケーシング３は、ドウ供給口７を上部に設
けた胴部８と、胴部８の下端部から一体的に連結された
直方体形状のフード９と、フード９内部において下向き
に固着された隔板１０とで形成されている。また、ドウ
供給口７の周囲には、フィーダの下端部に設けられたフ
ランジとボルト接合するフランジ８ａが固着されてい
る。

【００１２】ケーシング内３に内蔵された２対のロール
１、２は、各ロール１ａ、１ｂ、２ａ、２ｂの軸線Ｐ₁
〜Ｐ₄ が全て平行とされて水平方向に延びており、それ
ぞれ所定のロール間隙Ｈを設けて相互に逆回転する機構
とされている。すなわち、図２に示すように、ロール１
ａの一端軸に同軸に固着されたスプロケット１１を介し
てモータ（図示しない）から伝達された回転動は、正回
転としてロール１ａに伝達されるとともに、ギヤ１２
ａ、１２ｂを介してロール１ｂに逆回転動として伝達さ
れる。また、ロール１ａの回転動は、その他端軸に同軸
に固着されたギヤ１３ａと、このギヤ１３ａに噛合して
ロール２ｂと同軸に固着されたギヤ１３ｂによりロール
２ｂに逆回転動として伝達される。そして、ロール２ｂ
の回転動は、ロール２ｂの一端軸に固着されたギヤ１４
ａと、このギヤ１４ａに噛合してロール２ａと同軸に固
着されたギヤ１４ｂによりロール２ａに正回転動として
伝達されるようになっている。

【００１３】回転軸４は、その軸線が２対のロール１、
２の軸線Ｐ₁ 〜Ｐ₄ と平行となるように配置され、ケー
シング３の側板に配設された軸受部材１５ａ、１５ｂに
回転自在に支持されている。そして、この回転軸４の端
部側には、２本のロッド１６が連結されている。ロッド
１６は、回転軸４の外径と略同一内径のボス孔１６ａが
形成された連結部１６ｂと、連結部１６ｂの外周から径
方向外方に延びるアーム１６ｃとで構成されており、回
転軸４がボス孔１６ａに嵌入され、かつアーム１６ｃの
先端部にドウ分配板５の凹曲面５ｂ側が固着されること
により、回転軸４とドウ分配板５を連結する。

【００１４】ドウ分配板５は、回転軸４の軸線と前記ロ
ール間隙Ｈとを加えた距離を曲率半径とする円弧板状に
形成された部材であり、凸曲面５ａがドウ供給口７に向
けられ、かつ周方向（矢印Ｃ方向）を２対のロール１、
２の配置方向に向けた状態で、凹曲面５ｂ中央の軸方向
にロッド１６の先端部１６、１６が固着している。これ
により、ドウ分配板５は、回転軸４の回転と連動して周
方向のいずれにも移動可能とされるが、アーム１６ｃが
一方の圧延ロール２側に傾くと、ドウ分配板５の周方向
の一方の端部５ｃがロール２ａ、２ｂのロール間隙Ｈ近
傍まで移動する。逆に、アーム１６ｃがもう一方の圧延
ロール１側に傾くと、周方向の他方の端部５ｄがロール
１ａ、１ｂのロール間隙Ｈ近傍まで移動するようになっ
ている。なお、図中符号１７は、ロール１ａ、２ｂ間へ
のドウの流れ込みを防止するために、ケーシング３の側
板に固着された仕切り板である。ここで、ドウ分配板５
の凸曲面５ａ中央には、ボルト１８ａにより軸方向に沿
って一辺部１８ｂが固定され、他辺部１８ｃが凸曲面ａ
から突出するアングル材からなるドウ破砕部材１８が固
着されている。

【００１５】なお、ドウ分配板５の形状は、上述した所
定の曲率半径を有する円弧板状に限ることはなく、端部
５ｃ、５ｄがロール間隙Ｈ近傍まで移動するものであれ
ば、他の形状を有していてもよく、さらには一枚の板状
でなくても良い。また、往復回転機構６は、回転装置１
９から回転動が伝達されるスプロケット２０に同軸に連
結された偏心部材２０と、一端部２１ａが偏心部材２０
の偏心方向の先端部にヒンジ連結された第１クランク部
材２１と、この第１クランク部材２１の他端部２１ｂと
ヒンジ連結され、かつ他端部に形成されたボス孔２２ａ
に回転軸４が嵌入されている第２クランク部材２２とで
構成されている。

【００１６】これにより、回転する偏心部材２０と第１
クランク部材２１とのヒンジ連結位置が図中Ａ地点に位
置すると、第２クランク部材２１を介して回転軸４が所
定角回転してアーム１６ｃは一方の圧延ロール２側に傾
き、ドウ分配板５の周方向の一方の端部５ｃがロール２
ａ、２ｂのロール間隙Ｈ近傍まで移動する。また、偏心
部材２０と第１クランク部材２１とのヒンジ連結位置が
図中Ｂ地点に位置すると、一点鎖線位置で示すように、
アーム１６ｃがもう一方の圧延ロール１側に傾き、周方
向の他方の端部５ｄがロール１ａ、１ｂのロール間隙Ｈ
近傍まで移動するようになっている。したがって、偏心
部材２０が連続回転することにより、ドウ分配板５は２
対の圧延ロール１、２側に向けて同一速度で往復運動
し、それにより周方向の両端部２１ａ、２１ｂは交互に
２対の圧延ロール１、２のロール間隙Ｈ近傍まで移動す
る。

【００１７】上記構成のドウの等量分配装置によれば、
ドウ供給口７からケーシング３の仕切り板１７及び隔板
１０とで画成されたドウの落下領域に供給された所定量
のドウは、一旦、ドウ分配板５の凸曲面５ａの上に落ち
てガイドされ、周方向Ｃに同一速度で往復運動している
ドウ分配板５によって振り分けられて均等量ずつが２対
の圧延ロール１、２のロール間隙Ｈ間に供給される。こ
のとき、ドウの中に大きな塊が存在してドウのロールの
噛み込み不良が発生しそうになっても、往復運動してい
るドウ分配板５の周方向の端部２１ａ、２１ｂがロール
間隙Ｈ近傍まで移動して大きな塊を破砕して押し込み、
正常に破砕したドウをロール間隙Ｈ内に噛み込ませてい
くので、従来技術のようなドウの供給不足による荒麺帯
２３の厚み不足、さらには穴等の発生などの問題が解消
される。

【００１８】また、原材料に混入された水の量によって
粘度が増大し、供給されたドウの大部分が胴部８内で詰
まる場合であっても、往復運動しているドウ分配板５の
凸曲面５ａに設けたドウ破砕部材１８が、ドウの詰まり
部分を徐々に崩していき、均等量のドウを２対の圧延ロ
ール１、２のロール間隙Ｈ間に供給していくことができ
る。

【００１９】さらに、往復運動するドウ分配板５及び２
対の圧延ロール１、２は、ケーシング３内に完全に覆わ
れて内蔵されているので、充分に作業安全性が高められ
るとともに、衛生上の面でも問題がない。なお、本実施
例では、スプロケット１１と偏心部材２０との回転動が
異なる駆動装置により伝達されているが、同一駆動装置
から同時に回転動が伝達されてもよく、また、ドウ分配
板５は、往復回転機構６を介して回転装置１９から往復
運動として伝達されているが、回転装置１９を所定時間
をあけて駆動させてドウ分配板５を間欠的に往復運動さ
せてもよい。

【００２０】また、ドウ供給口７の下方位置に２対のロ
ール１、２を配設し、かつドウ分配板７及び２対のロー
ル１、２を内蔵可能とするものであれば、上述したケー
シング３構造に限ることはない。また、往復回転機構
も、ドウ分配板５を２対のロール１、２側へ往復回転す
るものであれば、上述したものと異なる機構を用いても
よい。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の請求項
１記載のドウの等量分配装置によれば、ドウ供給口から
供給されたドウを、一旦、ドウ分配板の凸曲面の上に落
としてガイドし、周方向に往復運動するドウ分配板によ
って振り分けて均等量ずつ２対の圧延ロールのロール間
隙に供給していくことが可能であるとともに、ドウの中
に大きな塊が存在しても、往復運動しているドウ分配板
の周方向の端部がロール間隙近傍まで移動して大きな塊
を破砕してドウを正常にロール間隙内に押し込んで噛み
込ませていくことができるので、２対のロールにより形
成される夫々の荒麺帯の厚み不足や穴開き等の発生が従
来に比べて減少し、製造される製品のロスを減少させる
ことができる。

【００２２】また、往復運動するドウ分配板及び２対の
圧延ローラは、ケーシング内に完全に覆われて内蔵され
ているので、充分に作業安全性を高めることができると
ともに、衛生上の面でも問題がない。一方、請求項２記
載のドウの等量分配装置によれば、上述した効果に加え
て、供給されたドウがケーシング内で詰まった場合で
も、往復運動するドウ分配板の凸曲面に設けたドウ破砕
部材が、ドウの詰まり部分を徐々に崩していき、均等量
のドウを２対の圧延ローラに供給していくことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】ドウの等量分配装置の側面視断面図である。

【図２】ドウの等量分配装置の平面視断面図である。

【符号の説明】

１、２ 一対の圧延ロール １ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ ロール ３ ケーシング ４ 回転軸 ５ ドウ分配板 ５ａ 凸曲面 ５ｂ 凹曲面 ５ｃ、５ｄ ドウ分配板の周方向の端部 ６ 往復回転機構 ７ ドウ供給口 １６ 第１クランク部材 １８ ドウ破砕部材 ２０ 偏心部材 ２１ 第１クランク部材 ２２ 第２クランク部材 Ｈ ロール間隙

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上方から供給されたドウを、２対の圧延
   ロールに分配供給して２枚の荒麺帯を形成していくドウ
   の等量分配装置において、 ドウ供給口を上部に設け、当該ドウ供給口の下方位置に
   ２対の圧延ロールを内蔵しているケーシングと、 該ケーシング内の２対の圧延ロール間において軸線をロ
   ール軸と平行として配設した回転軸と、 凸曲面をドウ供給口側に向け、かつ周方向の両端部をそ
   れぞれ２対の圧延ロール側へ向けた状態で周方向に回動
   可能となるように前記回転軸に連結する円弧板状のドウ
   分配板と、 該ドウ分配板の周方向の両端部が交互に２対の圧延ロー
   ルのうち一方のロール間隙近傍まで移動するように、前
   記回転軸を所定角範囲だけ往復回転させる往復回転機構
   とを備えてなるドウの等量分配装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載のドウの等量分配装置にお
   いて、ドウ分配板の凸曲面の所定位置に、この凸曲面か
   ら突出するドウ破砕部材を設けることを特徴とするドウ
   の等量分配装置。