JPH079499A - 射出成形用金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 射出成形用金型の溶融樹脂が通過する、ノズ
ルタッチ面からゲートまたはランナーまでの間のスプル
ー部に、複数の小孔通路を有する色分散プラグを装着し
たものである。即ち、射出成形機のノズル内の色分散プ
ラグを取り除き、金型のスプルーの入口付近に、同様な
構造の色分散プラグを装着した射出成形用金型である。 【効果】 この金型を使用することにより、「色ムラ」
不良の改善ができるだけでなく、色替えのときも、ノズ
ル等の分解掃除を行うことなく、混色による不良品を少
量に抑えることができる。また、色替えは成形品の変更
と同時に行う場合が多いが、このときは、金型を取り替
えるので、色分散プラグも同時に取り替えられる結果と
なり、混色のトラブルが非常に少なくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、合成樹脂の射出成形
を行うための金型に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】射出成形において、成形品の着色をする
場合、先ず、樹脂原料と着色用顔料とを混合し、これを
射出成形機のホッパーに供給する。この樹脂と顔料は、
加熱シリンダー内で、スクリューにより溶融、混練され
て、顔料が樹脂内に均一に分散される。溶融混練された
樹脂は、金型内に射出、圧入され、冷却されて成形品と
なるのである。しかし、加熱シリンダー内での混練が不
充分であると、成形品には縞模様や色の濃淡ができ、所
謂「色ムラ」不良となる。

【０００３】この「色ムラ」不良を防ぐために、シリン
ダー内での樹脂の混練度合いを向上するべく、シリンダ
ー先端のノズル内部に色分散プラグを介装することが、
特開平２−４０１０７０などで提案されている。色分散
プラグとは、縦方向に多数の小孔を貫通させた円筒状の
ブロックで、これをノズル内の樹脂通路に取り付けるこ
とにより、樹脂の混練度合いを向上させ、顔料の分散を
均一にしようとするものである。

【０００４】図３は、色分散プラグを装着した射出成形
機ノズルの断面を示したものであって、１０は加熱シリ
ンダー、１１はノズル、１２は色分散プラグで小孔１３
が多数設けてある。シリンダー１０の中の溶融樹脂は、
射出の際、スクリュー（図示せず）によって押し出さ
れ、色分散プラグ１２の小孔１３を通り、ノズル１１を
通って、金型内に圧入される。この小孔１３を通ると
き、樹脂の流れは小孔１３の数だけに分割され、乱流し
て、混練効果が上がるのである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述のような色分散プ
ラグの使用によって、「色ムラ」不良は改善されるが、
色替え時に問題を生ずる。成形していた製品の色を替え
るときは、原料の供給を停止し、シリンダーやノズルの
中の樹脂が全部押し出されるよう、数回の空打ちをした
のち、新しい原料を供給する。そして成形を再開するの
であるが、シリンダーやノズルの中に残った僅かな前の
原料が、新しい原料に混じり、混色した不良の製品が成
形される。しかし、数回、成形を行うことにより、完全
に原料が入れ替わり、混色も発生しなくなり、良品の成
形ができるようになる。

【０００６】しかしながら、色分散プラグのような障害
物を、ノズル内に設置した場合、樹脂の流れが複雑とな
り、特に障害物の後には樹脂が停滞し、完全に原料が入
れ替わるのに時間が掛かる。その結果、混色の不良が大
幅に増加し、場合によっては、ノズルを分解し、色分散
プラグを清掃しなければならない。そのため、色替えに
多量の不良品と工数を費やすという欠点があった。この
発明は、色分散プラグを用いて「色ムラ」を改善しなが
ら、なお、色替えを簡単に行うことを目的になされたも
のである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は上述した目的
を達成するために、射出成形用金型の溶融樹脂が通過す
る、ノズルタッチ面からゲートまたはランナーまでの間
のスプルー部に、複数の小孔通路を有する色分散プラグ
を装着するものである。即ち、射出成形機のノズル内の
色分散プラグを取り除き、金型のスプルーの入口付近
に、同様な構造の色分散プラグを装着するのである。色
分散プラグは、スプルーの直径が１５ｍｍの場合、孔の
数は２〜９で直径は４〜１ｍｍ程度のものを使用する。

【０００８】

【作用】この発明の射出成形用金型では、色分散プラグ
が装着されているので、射出成形機のノズルに色分散プ
ラグが装着されているときと同様、「色ムラ」は改善さ
れる。しかも、ノズル内の障害が無くなるので、色替え
の際には、シリンダーやノズル内での樹脂の置換が円滑
に行われ、また、スプルー部では、１ショット毎に色分
散プラグより後の樹脂は固化し、金型が開く度に固化し
たスプルー部は成形品とともに排出されるので、前の樹
脂は数回の成形で完全に除去されるのである。

【０００９】

【実施例】この発明の射出成形用金型を実施例により説
明する。図１は、この発明の金型のスプルー部断面の一
例で、１は固定側取付板、２は固定側型板、３は移動側
型板、４はノズルタッチ面、５はスプルーブッシュ、６
はスプルー、７はランナーである。８は色分散プラグ
で、小孔９が穿ってある。図２は、色分散プラグ８の斜
視図である。成形の際には、ノズルから射出された溶融
樹脂は、色分散プラグ８の小孔９を通過するとき９つの
流れに分割され、乱流を起こし顔料の分散が良くなる。

【００１０】そして、色替えのときにも、射出成形機の
ノズル内の色分散プラグは除去してあるので、シリンダ
ー、ノズルでの樹脂の入れ替わりは円滑に行われる。金
型のスプルー６では、前の樹脂の停滞があるが、１回の
成形毎に色分散プラグ８以降の樹脂は固化し、成形品、
ランナー７とともに排出されるので、比較的簡単に前の
樹脂は除去され、数回のショットで樹脂が完全に入れ替
わり、良品の成形に移行することができる。

【００１１】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の金型を
使用することにより、「色ムラ」不良の改善ができるだ
けでなく、色替えのときも、ノズル等の分解清掃を行う
ことなく、混色による不良品を少量に抑えることができ
た。また、色替えは成形品の変更と同時に行う場合が多
いが、このときは、金型を取り替えるので、色分散プラ
グも同時に取り替えられる結果となり、混色のトラブル
が非常に少なくなることもこの発明の効果である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、この発明の射出成形用金型のスプルー
部の構造を示す断面図である。

【図２】図２は、本発明に使用する色分散プラグの一例
を示す斜視図である。

【図３】図３は、色分散プラグを取り付けた、射出成形
機のノズルの部分を示す断面図である。

【符号の説明】 １ 固定側取付板 ２ 固定側型板 ３ 移動側型板 ４ ノズルタッチ面 ５ スプルーブッシュ ６ スプルー ７ ランナー ８ 色分散プラグ ９ 小孔 １０ 加熱シリンダー １１ ノズル １２ 色分散プラグ １３ 小孔

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶融樹脂が通過する、ノズルタッチ面か
   らゲートまたはランナーまでの間のスプルー部に、複数
   の小孔通路を有する色分散プラグを装着したことを特徴
   とする射出成形用金型。