JPH0794698B2 - 耐応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金 - Google Patents
耐応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金Info
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- JPH0794698B2 JPH0794698B2 JP12986990A JP12986990A JPH0794698B2 JP H0794698 B2 JPH0794698 B2 JP H0794698B2 JP 12986990 A JP12986990 A JP 12986990A JP 12986990 A JP12986990 A JP 12986990A JP H0794698 B2 JPH0794698 B2 JP H0794698B2
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はアルミニウム合金、特に押出材、圧延材、あ
るいは鋳造材として、各種機械部品、構造材等に使用さ
れるAl-Zn-Mg-Cu系の高強度で成形性に優れしかも耐応
力腐食割れ性が改善されたアルミニウム合金に関する。
るいは鋳造材として、各種機械部品、構造材等に使用さ
れるAl-Zn-Mg-Cu系の高強度で成形性に優れしかも耐応
力腐食割れ性が改善されたアルミニウム合金に関する。
この明細書において、合金成分について用いられる
「%」はいずれも重量基準によるものとする。
「%」はいずれも重量基準によるものとする。
従来の技術と問題点 7000系の合金、即ちAl-Zn-Mg系合金のうちでも、比較的
高強度を有しつゝ押出成形が可能な構造用合金の代表的
なものとして7003合金がよく知られている。また7000系
合金を含む各種のアルミニウム合金のなかでも最高の強
度を有しつゝ、圧延が可能である合金の代表的なものと
して7075合金が良く知られている。しかしながら、上記
7003合金であっても必ずしも充分に満足すべき優れた押
出し性が得られるものではなかったし、7075合金も必ず
しも満足すべき圧延適性に優れたものとはいい得なかっ
た。
高強度を有しつゝ押出成形が可能な構造用合金の代表的
なものとして7003合金がよく知られている。また7000系
合金を含む各種のアルミニウム合金のなかでも最高の強
度を有しつゝ、圧延が可能である合金の代表的なものと
して7075合金が良く知られている。しかしながら、上記
7003合金であっても必ずしも充分に満足すべき優れた押
出し性が得られるものではなかったし、7075合金も必ず
しも満足すべき圧延適性に優れたものとはいい得なかっ
た。
まして、近時各種構造材の用途においても、益々薄肉軽
量化の要請に強いものがあり、合金強度の増大をはかる
ことが強く要請されている。このような事情下にあっ
て、押出し性とか圧延性その他のとくに熱間成形性を良
好に保持しながら、更なる強度の増大をはかる目的にお
いて、従来技術ではZnの含有量を増大し、あるいは更に
Mgの含有量を増大する試みがなされている。ところがZn
の含有量を増大すると、これに伴って合金の応力腐食割
れに対する感受性が高いものとなり、構造材等の用途に
おいて実用に耐え得ないものとなってしまう傾向が見ら
れる。またMgの含有量を増大すると、成形性の低下、と
くに圧延性、押出性等の熱間成形性、あるいは更に冷間
成形性の低下を招き、生産性に劣るものとなる傾向を生
ずる。まして、7075合金の場合、それ自体応力腐食割れ
感受性が強いために、従来では該合金本来の最高強度が
得られる条件の熱処理であるT6処理よりも更に高い温度
および長い時間の焼戻しを行って組織を安定化させたT7
材相当の調質状態で実用化されているのが実情である。
このため最高強度が得られるT6材に較べると、強度を10
〜20%犠牲にせざるを得ないというような問題点があっ
た。
量化の要請に強いものがあり、合金強度の増大をはかる
ことが強く要請されている。このような事情下にあっ
て、押出し性とか圧延性その他のとくに熱間成形性を良
好に保持しながら、更なる強度の増大をはかる目的にお
いて、従来技術ではZnの含有量を増大し、あるいは更に
Mgの含有量を増大する試みがなされている。ところがZn
の含有量を増大すると、これに伴って合金の応力腐食割
れに対する感受性が高いものとなり、構造材等の用途に
おいて実用に耐え得ないものとなってしまう傾向が見ら
れる。またMgの含有量を増大すると、成形性の低下、と
くに圧延性、押出性等の熱間成形性、あるいは更に冷間
成形性の低下を招き、生産性に劣るものとなる傾向を生
ずる。まして、7075合金の場合、それ自体応力腐食割れ
感受性が強いために、従来では該合金本来の最高強度が
得られる条件の熱処理であるT6処理よりも更に高い温度
および長い時間の焼戻しを行って組織を安定化させたT7
材相当の調質状態で実用化されているのが実情である。
このため最高強度が得られるT6材に較べると、強度を10
〜20%犠牲にせざるを得ないというような問題点があっ
た。
上記のような事情から、従来技術では、強度と耐応力腐
食割れ性の両面に充分な満足が得られ、しかも押出性と
か圧延性等の成形性にも優れているようなアルミニウム
合金を得ることは甚だ困難であった。
食割れ性の両面に充分な満足が得られ、しかも押出性と
か圧延性等の成形性にも優れているようなアルミニウム
合金を得ることは甚だ困難であった。
上記のような従来技術の背景にもとずき、この発明は、
7000系のAl-Zn-Mg-Cu系合金を基礎としてそれが本来的
に有する有益な諸性質を具備しながら、成形性及び耐応
力腐食割れ性に改善されたアルミニウム合金を提供する
ことを目的とする。
7000系のAl-Zn-Mg-Cu系合金を基礎としてそれが本来的
に有する有益な諸性質を具備しながら、成形性及び耐応
力腐食割れ性に改善されたアルミニウム合金を提供する
ことを目的とする。
問題点を解決する為の手段 この発明者らは、上記の目的のもとに、種々の実験と研
究を重ねたところ、従来から高強度の展伸材として広く
用いられているAl-Zn-Mg-Cu系合金をベースにして、そ
のMg含有量を比較的低く抑え、Cuの含有量を増大し、希
土類元素を添加することにより、上記合金に固有の優れ
た機械的性質を保持させながら、合金の製造に際しての
押出し性はもとより、板材を得るための熱間での圧延
性、更には冷間での加工性を改善しうることに加えて、
更にAl-Zn-Mg-Cu系合金の一般的な欠点である低い耐応
力腐食割れ性を顕著に改善しうることを見出し得た。
究を重ねたところ、従来から高強度の展伸材として広く
用いられているAl-Zn-Mg-Cu系合金をベースにして、そ
のMg含有量を比較的低く抑え、Cuの含有量を増大し、希
土類元素を添加することにより、上記合金に固有の優れ
た機械的性質を保持させながら、合金の製造に際しての
押出し性はもとより、板材を得るための熱間での圧延
性、更には冷間での加工性を改善しうることに加えて、
更にAl-Zn-Mg-Cu系合金の一般的な欠点である低い耐応
力腐食割れ性を顕著に改善しうることを見出し得た。
而して、この発明は、上記のような知見から完成し得た
ものであって、その1つの発明合金は、必須元素として
Znを3〜12%、Mgを0.3〜1.5%、Cuを2.0%をこえ3.0%
以下の範囲で含有するほかに、更に主要な必須元素とし
て、例えばY、La、Ce、Pr、Nd、Sm等の希土類元素の群
中から選ばれた1種または2種以上を総量で0.5〜10%
の範囲で含有し、残りが実質的にAlと不可避不純物とか
らなるアルミニウム合金である。
ものであって、その1つの発明合金は、必須元素として
Znを3〜12%、Mgを0.3〜1.5%、Cuを2.0%をこえ3.0%
以下の範囲で含有するほかに、更に主要な必須元素とし
て、例えばY、La、Ce、Pr、Nd、Sm等の希土類元素の群
中から選ばれた1種または2種以上を総量で0.5〜10%
の範囲で含有し、残りが実質的にAlと不可避不純物とか
らなるアルミニウム合金である。
この発明に係る他のもう1つの合金は、上記組成に加え
て、更にMn:0.1〜1.0%、Cr:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.
25%のうちの1種または2種以上が含有されたものであ
る。
て、更にMn:0.1〜1.0%、Cr:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.
25%のうちの1種または2種以上が含有されたものであ
る。
この発明による上記の合金は、Zn、Mg及びCuの含有によ
って、Al-Zn-Mg-Cu系合金のもつ固有の優れた機械的性
質をそのまゝ保持しながら、希土類元素の含有によっ
て、加工性、とくに熱間加工性を向上すると共に、応力
腐食割れ感受性を著しく低下し、負荷応力のかゝる実用
条件下においても優れた耐久性を発揮するものである。
また、Mn、Cr、Zrの少なくとも1種以上の添加は、合金
の熱間加工時に該合金中の結晶粒を微細化し、一段と組
織を安定なものとするのに有効なものである。
って、Al-Zn-Mg-Cu系合金のもつ固有の優れた機械的性
質をそのまゝ保持しながら、希土類元素の含有によっ
て、加工性、とくに熱間加工性を向上すると共に、応力
腐食割れ感受性を著しく低下し、負荷応力のかゝる実用
条件下においても優れた耐久性を発揮するものである。
また、Mn、Cr、Zrの少なくとも1種以上の添加は、合金
の熱間加工時に該合金中の結晶粒を微細化し、一段と組
織を安定なものとするのに有効なものである。
次に、上記アルミニウム合金の各各成分の意義とその含
有範囲の限定理由を説明すれば次のとおりである。
有範囲の限定理由を説明すれば次のとおりである。
Znは、周知のとおりアルミニウム合金の強度の向上に寄
与するものである。Znの含有量が3%未満では該合金に
所要の高い強度を得ることができない。しかし12%をこ
えて多量に含有しても比較的に更に強度が向上するとい
うものではなく、それ以上の含有は実質的に無意味であ
る。従って、Znの有効な含有量は3〜12%の範囲である
が、特に高強度を得たいという要請のもとに於ては、Zn
を比較的多量に、即ち7.0〜10.0%の領域範囲に添加含
有せしめるものとするのが有効である。
与するものである。Znの含有量が3%未満では該合金に
所要の高い強度を得ることができない。しかし12%をこ
えて多量に含有しても比較的に更に強度が向上するとい
うものではなく、それ以上の含有は実質的に無意味であ
る。従って、Znの有効な含有量は3〜12%の範囲である
が、特に高強度を得たいという要請のもとに於ては、Zn
を比較的多量に、即ち7.0〜10.0%の領域範囲に添加含
有せしめるものとするのが有効である。
Mgは、これもアルミニウム合金の強度の向上に寄与す
る。従って、7000系合金に相当する所要の高強度を得る
ためには、少なくとも0.3%以上含有せしめることが必
要である。しかしながら、Mgはその含有量が増えるにし
たがって合金の延性が低下し、加工性が低下する。加工
性をある程度犠牲にしてでも可及的高強度を得たいとう
要請のもとではMg含有量は5.0%程度まで含有せしめる
ことが可能であるが、この発明においては、所期する可
及的良好な押出性、圧延性、その他の加工性を得る目的
のもとにおいて、Mg含有量は1.5%以下を限度とする。
即ち、1.5%をこえてMgを含有せしめるときは、延性の
低下により、圧延性、押出性その他の加工性の点におい
てこの発明が所期するところの充分に満足すべき結果を
得ることができない。
る。従って、7000系合金に相当する所要の高強度を得る
ためには、少なくとも0.3%以上含有せしめることが必
要である。しかしながら、Mgはその含有量が増えるにし
たがって合金の延性が低下し、加工性が低下する。加工
性をある程度犠牲にしてでも可及的高強度を得たいとう
要請のもとではMg含有量は5.0%程度まで含有せしめる
ことが可能であるが、この発明においては、所期する可
及的良好な押出性、圧延性、その他の加工性を得る目的
のもとにおいて、Mg含有量は1.5%以下を限度とする。
即ち、1.5%をこえてMgを含有せしめるときは、延性の
低下により、圧延性、押出性その他の加工性の点におい
てこの発明が所期するところの充分に満足すべき結果を
得ることができない。
この発明の最も重要な要素とする希土類元素は、原子番
号57から71までの15元素、すなわちLa、Ce、Pr、Nd、P
m、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、および
これらにY、Scを加えた17元素の群からなる。これらの
元素は必ずしも個々に単独の元素として用いる必要はな
く、希土類金属の混合塩化物を電解して得られるミッシ
ュメタルを用いても良い。入手のし易さから工業的には
Y、La、Ce、Pr、Nd、Smのグループから選ばれた1種ま
たは2種以上を組合わせて用いるのが好適である。この
希土類に属する元素は、本発明のアルミニウム合金中に
含有して主に合金の成形加工性を改善し、かつ耐応力腐
食割れ性を改善する効果を有する。この効果の点から、
本発明においては上記の群中の希土類元素のすべてを相
互に実質的に均等物として評価しうるものである。従っ
て、その1種または2種以上を任意に組合わせて用いう
るが、合金中における含有量が総量で0.5%未満では成
形加工性及び耐応力腐食割れ性の改善効果に不充分であ
り、反面、10%を越えて含有しても耐応力腐食割れ性は
あまり向上せず、むしろ合金中に粗大な晶出物が多く発
生し、強度の低下を招くおそれが増大する。従って、希
土類元素の許容含有量は0.5〜10%の範囲に規定される
が、一般的に望まれるような高い耐応力腐食割れ性を付
与するためには、コストとの関係も考慮して、上記の範
囲中でも比較的高い含有率を選んで、好ましくは2.0〜
7.0%の範囲に含有せしめることにより、更に最も好ま
しくは4.0〜6.0%の範囲に含有せしめることにより、大
きな満足を得ることができる。
号57から71までの15元素、すなわちLa、Ce、Pr、Nd、P
m、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、および
これらにY、Scを加えた17元素の群からなる。これらの
元素は必ずしも個々に単独の元素として用いる必要はな
く、希土類金属の混合塩化物を電解して得られるミッシ
ュメタルを用いても良い。入手のし易さから工業的には
Y、La、Ce、Pr、Nd、Smのグループから選ばれた1種ま
たは2種以上を組合わせて用いるのが好適である。この
希土類に属する元素は、本発明のアルミニウム合金中に
含有して主に合金の成形加工性を改善し、かつ耐応力腐
食割れ性を改善する効果を有する。この効果の点から、
本発明においては上記の群中の希土類元素のすべてを相
互に実質的に均等物として評価しうるものである。従っ
て、その1種または2種以上を任意に組合わせて用いう
るが、合金中における含有量が総量で0.5%未満では成
形加工性及び耐応力腐食割れ性の改善効果に不充分であ
り、反面、10%を越えて含有しても耐応力腐食割れ性は
あまり向上せず、むしろ合金中に粗大な晶出物が多く発
生し、強度の低下を招くおそれが増大する。従って、希
土類元素の許容含有量は0.5〜10%の範囲に規定される
が、一般的に望まれるような高い耐応力腐食割れ性を付
与するためには、コストとの関係も考慮して、上記の範
囲中でも比較的高い含有率を選んで、好ましくは2.0〜
7.0%の範囲に含有せしめることにより、更に最も好ま
しくは4.0〜6.0%の範囲に含有せしめることにより、大
きな満足を得ることができる。
希土類元素の含有は、耐応力腐食割れ性の増大効果に加
えて、上記のように合金中の結晶組織を微細かつ安定な
ものとして、結果的に押出し、圧延等の成形加工性を向
上する点でも顕著な効果をあらわす。したがって、従来
技術では、組成上高強度を予測し得ても押出し加工とか
圧延加工が甚だ困難であったような合金でも、この発明
の適用により支障なく能率的に工業生産が可能となる。
例えば強化元素であるZnを7.0%をこえて多量に含むよ
うな高強度の合金をも支障なく容易に製造することがで
きる。
えて、上記のように合金中の結晶組織を微細かつ安定な
ものとして、結果的に押出し、圧延等の成形加工性を向
上する点でも顕著な効果をあらわす。したがって、従来
技術では、組成上高強度を予測し得ても押出し加工とか
圧延加工が甚だ困難であったような合金でも、この発明
の適用により支障なく能率的に工業生産が可能となる。
例えば強化元素であるZnを7.0%をこえて多量に含むよ
うな高強度の合金をも支障なく容易に製造することがで
きる。
Cuは、これも既知のとおり強度の向上に寄与するもので
あるが、この発明においては、Mgの含有量を比較的低く
抑えて加工性を良好に保ちながら特に高強度を得る目的
においてCuの含有量を2.0%をこえる範囲に限定するも
のである。しかしながら、3.0%をこえて含有しても強
度の向上効果に較べて、溶接凝固割れ感受性を高め、溶
接性が悪くなると共に、耐食性、焼入れ性も低下してく
る弊害に強くなるため、この発明においてCuの含有量は
3.0%を上限として規定するものである。
あるが、この発明においては、Mgの含有量を比較的低く
抑えて加工性を良好に保ちながら特に高強度を得る目的
においてCuの含有量を2.0%をこえる範囲に限定するも
のである。しかしながら、3.0%をこえて含有しても強
度の向上効果に較べて、溶接凝固割れ感受性を高め、溶
接性が悪くなると共に、耐食性、焼入れ性も低下してく
る弊害に強くなるため、この発明においてCuの含有量は
3.0%を上限として規定するものである。
この発明においてその他の添加元素であるMn、Cr、Zr
は、いずれも熱間加工時の結晶粒の微細化に役立つもの
であり、Mn:0.1未満、Cr:0.05%未満、Zr:0.05%未満で
は上記効果に乏しく、Mn:1.0%超過、Cr:0.3%超過、Z
r:0.25%超過の場合には、合金中に粗大な晶出物を生じ
て合金の強度を低下する。また鋳造時の結晶粒の微細
化、鋳造割れの発生防止のために従来から必要に応じて
一般的に添加されることのあるTiは、本発明においても
微量の添加が許容されるが、その含有量は0.1%をこえ
ると合金中に粗大な晶出物を生じ強度を低下するためそ
れ以下の範囲とすべきである。
は、いずれも熱間加工時の結晶粒の微細化に役立つもの
であり、Mn:0.1未満、Cr:0.05%未満、Zr:0.05%未満で
は上記効果に乏しく、Mn:1.0%超過、Cr:0.3%超過、Z
r:0.25%超過の場合には、合金中に粗大な晶出物を生じ
て合金の強度を低下する。また鋳造時の結晶粒の微細
化、鋳造割れの発生防止のために従来から必要に応じて
一般的に添加されることのあるTiは、本発明においても
微量の添加が許容されるが、その含有量は0.1%をこえ
ると合金中に粗大な晶出物を生じ強度を低下するためそ
れ以下の範囲とすべきである。
発明の効果 この発明に係るアルミニウム合金は、後掲の実施例から
理解されるように、Al-Zn-Mg-Cu系の合金であって、従
来の高強度合金として知られる7N01合金、7075合金にも
匹敵しあるいはそれらのを超える高強度を保有するもの
でありながら、従来合金に較べて押出性、圧延性等の加
工性に優れ、しかも顕著に耐応力腐食割れ性に優れたも
のである。従って、押出材、圧延材、鋳造材等の展伸材
として使用される各種の用途において、従来合金より一
段とその成形加工性を向上しながら薄肉軽量化をおしす
すめることが可能となる。殊に、従来の7075合金に対
し、Mgの含有量において相対的に少なく、Cuの含有量に
おいて多いものとなされていること、そして更に希土類
元素の含有によって耐応力腐食割れ性の改善がはかられ
ていることにより、最高強度を帯有させうるT6の熱処理
材として実用に供することが可能となる。加えて、押出
し性、圧延性等の加工性の向上により従来合金より一段
と生産性を上げることができる利点もある。
理解されるように、Al-Zn-Mg-Cu系の合金であって、従
来の高強度合金として知られる7N01合金、7075合金にも
匹敵しあるいはそれらのを超える高強度を保有するもの
でありながら、従来合金に較べて押出性、圧延性等の加
工性に優れ、しかも顕著に耐応力腐食割れ性に優れたも
のである。従って、押出材、圧延材、鋳造材等の展伸材
として使用される各種の用途において、従来合金より一
段とその成形加工性を向上しながら薄肉軽量化をおしす
すめることが可能となる。殊に、従来の7075合金に対
し、Mgの含有量において相対的に少なく、Cuの含有量に
おいて多いものとなされていること、そして更に希土類
元素の含有によって耐応力腐食割れ性の改善がはかられ
ていることにより、最高強度を帯有させうるT6の熱処理
材として実用に供することが可能となる。加えて、押出
し性、圧延性等の加工性の向上により従来合金より一段
と生産性を上げることができる利点もある。
実施例 実施例1 下記の第1表に示されるNo.1〜11までの各種組成のアル
ミニウム合金を、水冷金型を用いて直径3インチのビレ
ットに鋳造した。次に、このビレットに対し、460℃で1
2時間の均質化処理を施したのち、押出し機のコンテナ
に装填し、温度450℃にて断面の大きさが3mm×30mmの平
たい棒状物に押出し加工を行った。
ミニウム合金を、水冷金型を用いて直径3インチのビレ
ットに鋳造した。次に、このビレットに対し、460℃で1
2時間の均質化処理を施したのち、押出し機のコンテナ
に装填し、温度450℃にて断面の大きさが3mm×30mmの平
たい棒状物に押出し加工を行った。
そして、上記の押出し加工時の限界押出し速度でもっ
て、各合金の押出性の良否を評価した。また、上記の各
押出材を、温度460℃で2時間加熱して溶体化処理した
後、水冷して焼入れし、更に120℃で24時間の人工時効
処理を施してT6材に製作した。これによって得た各T6材
を試料として、それらの耐応力腐食割れ性及び機械的性
質の1つとして引張り強さを調べた。それらの結果を第
2表に示す。
て、各合金の押出性の良否を評価した。また、上記の各
押出材を、温度460℃で2時間加熱して溶体化処理した
後、水冷して焼入れし、更に120℃で24時間の人工時効
処理を施してT6材に製作した。これによって得た各T6材
を試料として、それらの耐応力腐食割れ性及び機械的性
質の1つとして引張り強さを調べた。それらの結果を第
2表に示す。
なお、第2表中の合金番号は、第1表の合金番号と同じ
ものが用いられている。押出し性の評価として示されて
いる数値は、代表的な押出し合金として知られているA6
063アルミニウム合金と較べて、該6063合金の限界押出
し速度を100とした場合の相対評価値をあらわしてい
る。また、耐応力腐食割れ性の試験結果は、3.5%Nacl
水溶液中にて、該試験片の圧延又は押出し方向に20kgf/
mm2の応力を負荷し、割れが発生するまでの日数を測定
して示したものである。
ものが用いられている。押出し性の評価として示されて
いる数値は、代表的な押出し合金として知られているA6
063アルミニウム合金と較べて、該6063合金の限界押出
し速度を100とした場合の相対評価値をあらわしてい
る。また、耐応力腐食割れ性の試験結果は、3.5%Nacl
水溶液中にて、該試験片の圧延又は押出し方向に20kgf/
mm2の応力を負荷し、割れが発生するまでの日数を測定
して示したものである。
上記第2表の結果に見られるように、本発明に係る合金
は、Znを高率に含有し、Mgの含有量を比較的低く押え、
Cuの含有量を増大したアルミニウム合金の範囲にあっ
て、その固有の性質として高強度を保有したものであり
ながら、希土類元素を含有しない比較合金に較べて一段
と優れた押出性を有しつつ、耐応力腐食割れ性において
顕著に優れた性質を有するものであることがわかる。
は、Znを高率に含有し、Mgの含有量を比較的低く押え、
Cuの含有量を増大したアルミニウム合金の範囲にあっ
て、その固有の性質として高強度を保有したものであり
ながら、希土類元素を含有しない比較合金に較べて一段
と優れた押出性を有しつつ、耐応力腐食割れ性において
顕著に優れた性質を有するものであることがわかる。
実施例2 前掲第1表に示す合金No.1〜9、及びNo.11〜13の12種
類の合金につき、それらを水冷金型で厚さ50mm、幅150m
mの大きさに鋳造した。次いでこれを450℃にて3mmの厚
さになるまで熱間圧延した。
類の合金につき、それらを水冷金型で厚さ50mm、幅150m
mの大きさに鋳造した。次いでこれを450℃にて3mmの厚
さになるまで熱間圧延した。
そして、この厚さ30mmから3mmまでの熱間圧延の所要パ
ス回数で圧延性を評価し、第3表にその結果を示した。
同表中の合金番号は第1表の番号に対応する。
ス回数で圧延性を評価し、第3表にその結果を示した。
同表中の合金番号は第1表の番号に対応する。
また、上記によって得られた各圧延板につき、実施例1
の場合と同じく熱処理を施してT6材としたのち、これら
を供試材として前記実施例1の場合と同様にして応力腐
食割れ寿命及び引張り強さを調べた。
の場合と同じく熱処理を施してT6材としたのち、これら
を供試材として前記実施例1の場合と同様にして応力腐
食割れ寿命及び引張り強さを調べた。
その結果を第3表に示す。
第3表に示される結果から容易に理解されるように、こ
の発明に従うアルミニウム合金は、圧延材に製造した倍
にあっても、比較合金と同等ないしそれ以上の高強度を
有しつゝ、耐応力腐食割れ性に優れたものであり、しか
も圧延性に一段と優れたものであった。
の発明に従うアルミニウム合金は、圧延材に製造した倍
にあっても、比較合金と同等ないしそれ以上の高強度を
有しつゝ、耐応力腐食割れ性に優れたものであり、しか
も圧延性に一段と優れたものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−238937(JP,A) 特開 昭61−250143(JP,A) 特開 昭62−89838(JP,A) 特開 昭62−207842(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】Zn:3〜12% Mg:0.3〜1.5% Cu:2.0%をこえ3.0%以下 希土類元素のうち1種または2種以上 :0.5〜10% を含有し、残部Al及び不可避不純物からなる高強度アル
ミニウム合金。 - 【請求項2】Zn:3〜12% Mg:0.3〜1.5% Cu:2.0%をこえ3.0%以下 希土類元素のうち1種または2種以上 :0.5〜10% を含有し、かつ Mn:0.1〜1.0% Cr:0.05〜0.3% Zr:0.05〜0.25% のうちの1種または2種以上を含有し、残部Al及び不可
避不純物からなる高強度アルミニウム合金。
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- 1990-05-18 JP JP12986990A patent/JPH0794698B2/ja not_active Expired - Lifetime
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