JPH0794516B2 - ブタジエン系複合重合体及び複合重合体組成物 - Google Patents

ブタジエン系複合重合体及び複合重合体組成物

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JPH0794516B2
JPH0794516B2 JP5359788A JP5359788A JPH0794516B2 JP H0794516 B2 JPH0794516 B2 JP H0794516B2 JP 5359788 A JP5359788 A JP 5359788A JP 5359788 A JP5359788 A JP 5359788A JP H0794516 B2 JPH0794516 B2 JP H0794516B2
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裕一 北川
靖郎 服部
章 斉藤
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は優れた物性と加工性を有する原料ゴムとなるブ
タジエン系複合重合体、及び該ブタジエン系複合重合体
を原料ゴムとするゴム組成物に関する。
本発明の複合重合体はコールドフロー性が改良されたス
チレン−ブタジエン共重合体であって、従来からスチレ
ンブタジエン共重合ゴムが使用されているあらゆる用途
に好適に用いられる。そして本発明のゴム組成物は、耐
摩耗性とウェットスキッド抵抗性のバランスが優れ、強
度、加工性が向上するなどの特徴を有し、特に天然ゴム
とのブレンドで用いると、耐摩耗性とウェットスキッド
抵抗性のバランスが向上し、大型タイヤに好適なゴム組
成物となる。又、SBRとのブレンドで用いると耐摩耗性
と低ころがり抵抗性のバランスが優れ、オールシーズン
タイヤに好適なゴム組成物となる。
〔従来の技術〕
従来より、加硫物の強度、耐摩耗性、反発弾性、ウェッ
トスキッド抵抗性等の性能が優れ、且つ加工性も優れた
原料ゴムが、汎用の加硫ゴムとして希求されている。
しかし、その要望にこたえるためには、例えば耐摩耗性
及び反発弾性に対するウェットスキッド抵抗性、或いは
強度に対する加工性というような互に背反する関係にあ
る要求特性をバランスよく改善していく必要があり、そ
のことは極めて難しいことであった。そのため今迄に種
々な該技術に関する提案がなされているが、いづれも十
分満足のいくものにはなりえていなかった。
例えば、改良方法の一つとして、それぞれ性能に特徴を
有する数種類のゴムをブレンドすることによりこれらの
性能及び加工性を改善しようとする提案がある。その1
つにブタジエンの結合様式の一つであるトランス結合に
注目したものとしてトランス結合60ないし90%のブタジ
エン重合体又は共重合体と−60℃ないし−10℃のガラス
転移温度を有するブタジエン重合体又は共重合体をブレ
ンドして原料ゴムとして用いる方法(特開昭57-100146
号)があるが、この方法では加工性とウェットスキッド
性は大きく改善されるものの単純なブレンドである為か
引張強度、反発弾性、耐摩耗性については未だ改善の程
度が不十分である。また、別の方法として2種又はそれ
以上の異なる性能を有するポリマーからなるブロック共
重合体を原料ゴムに用いる方法が提案されている。例え
ば、モノビニル芳香族と共役ジエンの共重合体であっ
て、モノビニル芳香族含量の異なる2種のブロックから
なる、いわゆるランダムブロック共重合体(特公昭47-1
7449号、特開昭57-200413号)、又、同様にビニル結合
含量の異なる2種のブロックからなるランダムブロック
共重合体(特公昭54-26583号)、モノビニル芳香族含量
とビニル結合含量の組合せによるランダムブロック共重
合体(特開昭57-102912号、特開昭57-109817号、特開昭
57-109818号)などが知られている。しかし、これらの
ランダムブロック共重合体では、結合スチレン量とブタ
ジエン部ビニル量の組合せだけのブロック重合体である
ため未だ耐摩耗性とウェットスキッド抵抗性のバランス
の改善が不十分であり、強度、加工性の向上はほとんど
効果がなかった。又、高トランスSBRと高ビニルSBRのジ
ブロックからなるブロック共重合体(特開昭61-238845
号)も提案されている。しかし、高トランスSBRブロッ
クは、スチレンの共重合によりガラス転移温度が高目の
ものとなり、結晶融点も室温以下の低目ないしは存在し
ないものとなってしまい、高トランスブロック部分がも
たらすゴムとしての優れた物性(コールドフロー性の改
良、硬さ、モジュラスの改良、耐摩耗性の改良等)の発
現が不十分となっている。一方、これらの効果を発現さ
せる為には更に高い割合の高トランスブロック部分を含
ませる必要があるが、かえって発熱性、低温性能の低下
をきたすことになってしまう。しかも、この高トランス
SBR(HTSBR)と高ビニルSBRのジブロック共重合体は、
使用する触媒の活性が不十分であり第1段階のトランス
共重合体部分を得る重合の活性が著しく低く、且つ分子
量分布も広くなり、又第2段階の重合もリビング性が劣
る為、好ましくない分子量分布の拡大及び生成ポリマー
中のHTSBR-b-HVSBR型ジブロックポリマーの割合が低下
しHTSBRホモポリマーの割合の増加したものとなってし
まい高トランスポリマーと低トランスポリマ一のブロッ
クポリマーとして期待される性能の向上が認められない
ものであった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は上述した、従来の方法では達成し得なかった、
コールドフロー性に優れ、加硫ゴムとしては耐摩耗性と
ウェットスキッド抵抗性のバランスが改善され、しかも
強度が向上し、加工性も改善され、特に天然ゴムとのブ
レンド系で耐摩耗性とウェットスキッド抵抗性の両方を
向上させることに成功し、又、SBRとのブレンドでは耐
摩耗性と低ころがり抵抗性のバランスを向上せしめたタ
イヤ用に好適な新規なスチレン−ブタジエン共重合ゴム
からなる複合重合体及び該複合重合体を用いた組成物を
提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
即ち、本発明は、ガラス転移温度が−80℃以下結晶融点
が30〜130℃であるトランス結合80%以上、分子量1〜2
0万、分子量分布w/n1.2〜4の樹脂状ポリブタジエ
ンブロックと結合スチレン含量1〜50重量%、結晶融点
を有しないトランス結合が60%以下、ビニル結合が10%
以上40%未満、分子量が2〜40万のゴム状ブタジエン−
スチレンランダム共重合体ブロックからなるブロックポ
リマー及び結合スチレン含量1〜50重量%、結晶融点を
有しないトランス結合が60%以下、ビニル結合が10%以
上40%未満、分子量2〜40万のゴム状ブタジエン−スチ
レンランダム共重合体を主成分とし、高トランス樹脂状
ポリブタジエン部分がブタジエン系複合重合体全体の1
〜70重量%であり、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が10〜
150であり、分子量分布w/nが1.2〜5であるブタジ
エン系複合重合体、及び該複合重合体を少くとも10重量
%含有する原料ゴム100重量部、カーボンブラック10〜3
00重量部、加硫剤0.1〜10重量部よりなる複合重合体組
成物を提供するものである。
本発明におけるブタジエン系複合重合体を構成するブロ
ックポリマーの高トランス樹脂状ポリブタジエンブロッ
クは、ガラス転移温度が−80℃以下、結晶融点が30〜13
0℃であるトランス結合80%以上の樹脂状ポリブタジエ
ンである。この範囲外ものでは本発明の優れた効果は得
られない。すなわち、ガラス転移温度が−80℃を越える
場合は耐摩耗性や反発弾性が劣り、結晶融点が30℃より
低い場合は、コールドフロー性が劣り、耐摩耗性や強度
なども低下する。結晶融点が130℃を越えるとトランス
ポリマーブロック部の十分な架橋が得られず、強度の低
下や発熱性が悪化する。又、トランス結合が80%未満で
は、コールドフロー性が劣り、耐摩耗性、強度、モジュ
ラス、硬度が低下する。本発明において高トランス樹脂
状ポリブタジエシブロックは、そのガラス転移温度が−
83℃以下が好ましく、結晶融点は好ましくは40℃〜120
℃、更に好ましくは50℃〜110℃である。このためトラ
ンス結合は85〜95%が好ましい。高トランス樹脂状ポリ
ブタジエンブロックの分子量は1〜20万、分子量分布
w/nは1.2〜4である。分子量が1万未満では、本発
明の特徴であるコールドフロ一性改良の効果が得られ
ず、耐摩耗性、強度の向上などの性能の向上が得られな
い。一方分子量が20万以上では複合重合体が室温で固く
なりすぎてかえって加工しにくくなるなどの問題が生じ
る。ここで分子量は重量平均分子量wである。又分子
量分布w/nが4を越える場合、耐摩耗性、強度の向
上などの効果が少ないばかりか、発熱性が悪化する問題
が生じる。
本発明において高トランス樹脂状ポリブタジエンブロッ
クは、分子量は3〜15万が好ましく、分子量分布w/
nは1.2〜3.5が好ましく、更に好ましくはw/nが1.
2〜3である。
本発明における複合重合体を構成するブロックポリマー
の低トランスゴム状ブタジエンスチレンランダム共重合
体ブロックは、結合スチレン含量1〜50重量%、結晶融
点を有しないトランス結合が60%以下、ビニル結合が10
%以上40%未満、分子量が2〜40万のゴム状ブタジエン
−スチレンランダム共重合体である。もしこの範囲外で
あると本発明の優れた効果が得られない。すなわち、結
合スチレン含量が50重量%を越えると耐摩耗性、発熱性
が劣り、結合スチレン含量が低いと強度が低下する。結
合スチレン含量は5〜40重量%が好ましく、8〜25重量
%が更に好ましい。結晶融点を有していたり、トランス
結合が60%を越えていると複合重合体の静的及び動的な
ゴムらしさが失われる。ビニル結合含量が高いと、反発
弾性とウェットスキッド抵抗性のバランスは有利であ
り、一方ビニル結合含量が低いと耐摩耗性とウェットス
キッド抵抗性のバランスの為に有利である。ビニル結合
はその用途に応じ最適な範囲があり、より耐摩耗性を重
視する用途では10〜25%、反発弾性とウェットスキッド
抵抗性のバランスからは25%を越え40%未満が好まし
い。又、シス結合含量は40%以下が好ましい。分子量が
2万未満では、耐摩耗性、反発弾性、強度等の物性が劣
り、分子量が40万を越えると、ロール加工性や押出加工
性などの加工性が劣る。性能と加工性のバランス上低ト
ランスゴム状ブタジエン−スチレンランダム共重合体ブ
ロックの分子量は5〜30万が好ましい。ここで分子量は
重量平均分子量である。
本発明におけるブタジエン系複合重合体を構成する低ト
ランスゴム状ブタジエン−スチレンランダム共重合体
は、結合スチレン含量1〜50重量%、結晶融点を有しな
いトランス結合が60%以下、ビニル結合が10%以上40%
未満、分子量が2〜40万のゴム状ブタジエン−スチレン
ランダム共重合体である。もしこの範囲外であると本発
明の優れた効果が得られない。すなわち、結合スチレン
含量が50重量%を越えると耐摩耗性、発熱性が劣り、結
合スチレン含量が低いと強度が低下する。結合スチレン
含量は5〜40重量%が好ましく、8〜25重量%が更に好
ましい。結晶融点を有していたり、トランス結合が60%
を越えていると複合重合体の静的及び動的なゴムらしさ
が失われる。ビニル結合含量が高いと、反発弾性とウェ
ットスキッド抵抗性のバランスは有利であり、一方ビニ
ル結合含量が低いと耐摩耗性とウェットスキッド抵抗性
のバランスの為に有利である。ビニル結合はその用途に
応じ最適な範囲があり、より耐摩耗性を重視する用途で
は10〜25%、反発弾性とウェットスキッド抵抗性のバラ
ンスからは25%を越え40%未満が好ましい。又、シス結
合含量は40%以下が好ましい。分子量が2万未満では耐
摩耗性、反発弾性、強度等の物性が劣り、分子量が40万
を越えると、ロール加工性や押出加工性などの加工性が
劣る。性能と加工性のバランス上低トランスゴム状ブタ
ジエン−スチレンランダム共重合体の分子量は5〜30万
が好ましい。ここで分子量は重量平均分子量である。
本発明の低トランスゴム状ブタジエン−スチレン共重合
体部分、すなわちブロックポリマーの低トランスゴム状
共重合体部と低トランスゴム状共重合体は、スチレンが
ランダムに重合していることが必要である。ブロックポ
リスチレンの存在は、複合重合体の発熱性を悪くする。
ブロックポリスチレンは、複合重合体全量に対し、5重
量%以下が好ましく、更に好ましくは2重量%以下であ
る。なお、ブロックポリスチレンの測定はオスミウム酸
分解法により行なう(J.Poly.Sci.1,429(1946))。
又、より好ましくは完全ランダムに共重合しているもの
であり、オゾン分解−GPC法によって分析される単離ス
チレンが全結合スチレンの40重量%以上、更に好ましく
は50重量%以上であり、長鎖ブロックスチレン(スチレ
ン単位の連鎖が8以上のもの)が全結合スチレンの5重
量%以下、更に好ましくは2.5重量%以下である。完全
ランダム共重合は、特開昭57-100112に記された方法で
行なわれる。
本発明においてブタジエン系複合重合体中に高トランス
樹脂状ポリブタジエンホモポリマーを含まないか、又は
ガラス転移温度が−80℃以下、結晶融点が30〜130℃で
あるトランス結合80%以上分子量1〜20万、分子量分布
w/n1.2〜4の樹脂状ポリブタジエンホモポリマーを
ブロックポリマー中の高トランス樹脂状ポリブタジエン
ブロック部と該高トランス樹脂状ポリブタジエンホモポ
リマーの合計に対し30重量%以下であることが好まし
い。
本発明においてブタジエン系複合重合体中に高トランス
樹脂状ポリブタジエンホモポリマーが多いと反発弾性が
低下し、発熱性が悪化する等の性能の低下が起こるの
で、少ない方が好ましい。本発明においてブタジエン系
複合重合体中に高トランス樹脂状ポリブタジエンホモポ
リマーは、ブロックポリマー中の高トランス樹脂状ポリ
ブタジエンブロック部と該高トランス樹脂状ポリブタジ
エンホモポリマーの合計に対し、20重量%以下、更に、
10重量%以下であることが好ましい。又、この場合含ま
れる高トランス樹脂状ポリブタジエンホモポリマーのガ
ラス転移温度が−80℃を越える場合に特に耐摩耗性や反
発弾性の低下が著しく、また結晶融点が30℃より低い場
合はコールドフロー性が劣るばかりか耐摩耗性や強度な
どの低下も著しい。そして結晶融点が130℃を越えると
強度の低下や、発熱性の悪化が起こる。更に、トランス
結合が80%未満ではコールドフロー性が劣り、耐摩耗
性、強度、モジュラス、硬度が低下する。ガラス転移温
度は−83℃以下が好ましく、結晶融点は好ましくは40℃
〜120℃、更に好ましくは50℃〜110℃が好ましく、トラ
ンス結合は85〜95%が好ましい。又、分子量が1万末満
の場合、耐摩耗性、強度に大きな悪影響がある。一方分
子量が20万以上では複合重合体が固くなりすぎ、分子量
分布w/nが4を越える場合は、著しい発熱性の悪化
をきたす。
本発明の複合重合体において、高トランス樹脂状ポリブ
タジエン部分、すなわち、ブロックポリマー中の高トラ
ンス樹脂状ポリブタジエンブロック部と高トランス樹脂
状ポリブタジエンホモポリマーの合計はブタジエン系複
合重合体全体の1〜70重量%である。この合計が1重量
%未満では本発明の特徴であるコールドフロー性の改良
効果が小さく、耐摩耗性、強度等の性能の向上が得られ
ない。一方、70重量%を越えると複合重合体が室温で固
くなりすぎて加工しにくくなったり、反発弾性が低下す
るなど好ましくない。ブロックポリマー中の高トランス
樹脂状ポリブタジエンブロック部と高トランス樹脂状ポ
リブタジエンホモポリマーの合計は複合重合体全体の3
〜60重量%が好ましく、5〜50重量%が更に好ましい。
本発明のブタジエン系複合重合体のムーニー粘度ML1+4
(100℃)は10〜150である。ムーニ一粘度が低すぎると
強度、反発弾性、耐摩耗性、発熱性が劣り、一方高すぎ
るとロール加工性、押出加工性などの加工性が低下して
好ましくない。好ましくは20〜130である。ムーニー粘
度が70以上の場合は通常のプロセスオイルを複合重合体
100重量部当り5〜100部加えてムーニー粘度を下げて加
工性を向上させる方法も可能である。
本発明のブタジエン系複合重合体の分子量分布はw/
n1.2〜5である。分子量分布が広すぎると反発弾性、発
熱性等の性能が劣る。好ましくは1.2〜4、更に好まし
くは1.2〜3である。
本発明のブタジエン系複合重合体を構成する好ましいポ
リマー組成は高トランス樹脂状ポリブタジエン成分を含
む成分すなわち高トランス樹脂状ポリブタジエンブロッ
クと低トランスゴム状ポリブタジエンブロックからなる
ブロックポリマーと高トランス樹脂状ポリブタジエンホ
モポリマーの合計量がブタジエン系複合重合体に対し5
〜95重量%、低トランスゴム状ポリブタジエンは95〜5
重量%である。高トランス樹脂状ポリブタジエン成分を
含む成分が5重量%未満では本発明のコールドフロー性
の改良や、強度、耐摩耗性などの性能の向上が得られな
い。一方、低トランスゴム状ポリブタジエンが5重量%
未満ではブタジエン系複合重合体のゴムらしさが低下
し、ロール加工性や押出加工性などの加工性が低下す
る。
本発明のブタジエン系複合重合体の製造方法は、 (a) ブタジエンと不活性溶剤からなるモノマー混合
液を調合する工程、 (b) 希土類化合物と有機マグネシウム化合物よりな
る触媒にて0〜150℃の温度下にブタジエンを80%以上
のトランス結合に重合する工程、 (c) 引き続き、上記触媒に更に有機リチウム化合物
を加え、30〜200℃の温度下にブタジエンとスチレンを6
0%以下のトランス結合に重合する工程、 (d) 得られた複合重合体より不活性溶剤を除去する
工程により製造され、回分法であっても、連続法であっ
てもよい。
第1段階はブタジエンと不活性溶剤からなるモノマー混
合液を調合する工程であり、不活性溶剤としては、用い
る触媒を失活させるものでなければ特に制限されない
が、使用される溶剤としては、n−ペンタン、n−ヘキ
サン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂
肪族炭化水素、べンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素
が好ましい。これらは2種以上の混合物であっても、あ
るいは少量の不純物を含むものであっても良い。
また、モノマー混液はモノマー濃度1〜50重量%、好ま
しくは5〜30重量%に調合されの中には有機リチウム化
合物に対してモル比で1以下のアレン類、例えばプロパ
ジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,2−
オクタジエン等含まれるものであっても良い。
本発明の第2の工程は、希土類化合物と有機マグネシウ
ム化合物よりなる触媒にて0〜150℃の温度下にブタジ
エンを80%以上のトランス結合に重合する工程である。
触媒の主成分である希土類化合物としては、希土類元素
としてランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、
サマリウム、ユーロピウム、ガドリウム等の元素番号57
から71の元素があり、好ましい元素としてランタン、セ
リウム、ネオジム、ユーロピウムが挙げられ、その有機
酸塩が好適なものとして用いられる。希土類の有機酸塩
は、例えば下記の有機酸のアルカリ金属とランタンの塩
化物とを水またはアルコール、ケトン等の有機溶媒中で
反応させることによって容易に得ることができる。
用いる希土類元素は特に高純度である必要はなく、他の
希土類元素ないしは希土類以外の元素を少量含むもので
あっても構わない。また、希土類の有機酸塩は、ランタ
ンあるいは有機酸が不純物として少量含まれても構わな
い。
又、用いる有機酸化合物は下記の一般式(I)乃至(VI
II)で表わされる。
R1−LH ……(I) (ここでR1,R2およびR5〜R8は脂肪族炭化水素基あるい
は芳香族炭化水素基を表わし、R3は芳香族炭化水素基を
表わし、R4は脂肪族炭化水素基を表わし、R9〜R12は脂
肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基ある
いはフェノキシ基を表わす。Lは酸素原子あるいはイオ
ウ原子を表わす。また更にj,k,lおよびmは1以上6以
下の整数を表わす。) なお、これら有機酸化合物の詳細は特開昭61-97311号に
示されている。そして、上記の一般式(I)はアルコー
ル、チオアルコール、フェノールまたはチオフェノール
を表わす。これらの例としてはメチルアルコール、エチ
ルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピ
ルアルコール、tert−ブチルアルコール、tert−アミル
アルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキシル
アルコール、アリルアルコール、2−ブテニルアルコー
ル、3−ヘキセニルアルコール、2・5−デカジエニル
アルコール、べンジルアルコール、フェノール、カテコ
ール、1−ナフトール、2−ナフトール、2・6−ジ−
tert−ブチルフェノール、2・6−ジ−tert−ブチル−
4−メチルフェノール、2・4・6−トリ−tert−ブチ
ルフェノール、4−フェニルフェノール、エタンチオー
ル、1−ブタンチオール、2−ペンタンチオール、2−
iso−ブタンチオール、チオフェノール、2−ナフタレ
ンチオール、シクロへキサンチオール、3−メチルシク
ロヘキサンチオール、2−ナフタレンチオール、ベンゼ
ンメタンチオール、2−ナフタレンメタンチオール等が
挙げられる。
一般式(II)はカルボン酸またはイオウ同属体を表わ
す。これらの例としてはイソ吉草酸、カプリル酸、オク
タン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタン
カルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ピバール
酸、バーサチック酸(シエル化学から販売されるC10モ
ノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成
酸)、フェニル酢酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、ヘキ
サンチオール酸、2・2−ジメチルブタンチオン酸、デ
カンチオン酸、テトラデカンチオン酸、チオ安息香酸等
が挙げられる。
一般式(III)はアルキルアリルスルホン酸を表わす。
この例としてはドデシルべンゼンスルホン酸、テトラデ
シルべンゼンスルホン酸、ヘキサデシルべンゼンスルホ
ン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ジブチルナフ
タリンスルホン酸、n−ヘキシルナフタリンスルホン
酸、ジブチルフェニルスルホン酸等が挙げられる。
一般式(IV)は硫酸のモノアルコールエステルを表わ
す。これらの例としては、ラウリルアルコールの硫酸モ
ノエステル、オレイルアルコールの硫酸モノエステル、
ステアリルアルコールの硫酸モノエステル等が挙げられ
る。
一般式(V)はアルコールまたはフェノールのエチレン
オキサイド付加物のリン酸ジエステルを表わす。これら
の例としてはドデシルアルコールのエチレンオキサイド
付加物のリン酸ジエステル、オクチルアルコールのエチ
レンオキサイド付加物のリン酸ジエステル、ステアリル
アルコールのエチレンオキサイド付加物のリン酸ジエス
テル、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物
のリン酸ジエステル、ノニルフェノールのエチレンオキ
サイド付加物のリン酸エステル、ドデシルフェノールの
エチレンオキサイド付加物のリン酸エステル等が挙げら
れる。
一般式(VI)はアルコールまたはフェノールのエチレン
オキサイド付加物の亜リン酸ジエステルを表わす。これ
らの例としては、ドデシルアルコールのエチレンオキサ
イド付加物の亜リン酸ジエステル、ステアリルアルコー
ルのエチレンオキサイド付加物の亜リン酸ジエステル、
ステアリルアルコールのエチレンオキサイド付加物の亜
リン酸ジエステル、ノニルフェノールのエチレンオキサ
イド付加物の亜リン酸ジエステル、ドデシルフェノール
のエチレンオキサイド付加物の亜リン酸ジエステル等が
挙げられる。
一般式(VII)は5価の有機リン酸化合物を表わす。こ
の例としてはリン酸ジブチル、リン酸ジぺンチル、リン
酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、
リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(2−
エチルヘキシル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイ
ル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p−ノニルフェニ
ル)、リン酸(ブチル)(2−エチルヘキシル)、リン
酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リ
ン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、
2−エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2−エチル
ヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、フェニ
ルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘ
キシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ジブチル
ホスフィン酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン
酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウ
リルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニ
ルホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィ
ン酸、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、
(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフ
ィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニ
ル)ホスフィン酸等が挙げられる。
一般式(VIII)は3価のリン酸化合物を表わす。この例
としてはリン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビ
ス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホ
ン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキ
シル)ホスフィン酸が挙げられる。
本発明を形成するもう一つの触媒成分である有機マグネ
シウム化合物は下記の一般式(IX)で表わされる。
Mg・R13・R14 ……(IX) (ここで、R13,R14は、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭
化水素基を表わし、それぞれ同一の基であっても、異な
る基であっても構わない。) 又、有機マグネシウムには、その炭化水素溶媒に対する
溶解性を改善するため、有機アルミニウム又は有機亜鉛
等を少量含むものであっても構わない。
その様な例としては、ジエチルマグネシウム、ジ−n−
プロピルマグネシウム、ジ−イソプロピルマグネシウ
ム、ジ−n−ブチルマグネシウム、n−ブチル−sec−
ブチルマグネシウム、ジ−sec−ブチルマグネシウム、
ジ−tert−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグ
ネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジフェニル
マグネシウム、MAGALA-6E.7.5E(テキサスアルキル社)
等が好ましいが、更に好ましいものとしては、ジ−イソ
プロピルマグネシウム、ジ−n−ブチルマグネシウム、
ジ−sec−ブチルマグネシウム、MAGALA-6E.-7.5E等が挙
げられる。
本発明の触媒は極めて活性が高く、使用する触媒量は、
重合すべき共役ジエン単量体100g当たり、希土類化合物
成分は好ましくは、0.01〜1ミリモル、更に好ましくは
0.05〜0.6ミリモルである。有機マグネシウム成分は好
ましくは、同じく共役ジエン単量体100g当たりの濃度で
示し、0.02〜10ミリモル、更に好ましくは0.1〜6ミリ
モルである。一般に、一定量の希土類化合物に対し、使
用する有機マグネシウムの量が少なすぎる場合、重合活
性の低下を招くばかりか、得られる共役ジエン重合体中
のトランス結合含率も低いものとなり、又、その分子量
分布も広いものとなる。一方、使用する有機マグネシウ
ムの量が多すぎる場合、得られる共役ジエン重合体の分
子量分布は狭くなる反面、重合活性、トランス結合含率
も共に低下する。また、不必要に多量の触媒量をを使用
することは共役ジエン重合体中に残存する触媒残渣を多
くするばかりか、経済性の面でも好ましいものではな
い。即ち、本発明で使用される複合触媒の好ましい量
は、触媒の構成成分である希土類化合物(a)と有機マ
グネシウム(b)との比で示し、(a)/(b)が1/0.
1から1/50、更に好ましくは1/0.5から1/10の範囲であ
る。
本発明の触媒は、上記2成分以外に更にリチウムの有機
化合物、有機アルミニウム化合物、電子供与性化合物の
内の一つまたはそれ以上の成分を好ましくはモル比で有
機マグネシウム化合物の1/10以上共存させることによっ
て、更にその重合活性を高めることができる。使用され
るリチウムの有機化合物は次の一般式(X)〜(XV)で
示される。
R15(OLi)w ……(X) R16(OLi)x ……(XI) R17(OCH2CH2)yOLi ……(XII) (ここでR15,R16,R17,R18,R19,R20及びR21は脂肪
族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表わし、w,x,y
及びzは1以上6以下の整数を表わす。)これらリチウ
ムの有機化合物の詳細は特開昭61-97331号に示される。
そして、一般式(X)の例としてはメチルリチウム、エ
チルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリ
チウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t
ert−ブチルリチウム、イソアミルリチウム、sec−アミ
ルリチウム−n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチ
ウム、アリルリチウム、べンジルリチウム、フェニルリ
チウム、1,1−ジフェニルリチウム、テトラメチレンジ
リチウム、ぺンタメチレンジリチウム、1,2−ジリチオ
−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,3−ビス(1−リ
チオ−1,3−ジメチルペンチル)ベンゼン等が挙げられ
る。好ましくは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリ
チウム、tert−ブチルリチウム、1,3−ビス(1−リチ
オ−1,3−ジメチルペンチル)べンゼン等の有機リチウ
ム化合物が挙げられる。
一般式(XI)の例としてはエチルアルコ−ル、n−プロ
ピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチ
ルアルコール、iso−ブチルアルコール、2−ブチルア
ルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミルアルコ
ール、n−へキシルアルコール、n−ヘプチルアルコー
ル、n−オクチルアルコール、シクロヘキシルアルコー
ル、アリルアルコール、シクロぺンチルアルコール、ペ
ンジルアルコール、フェノール、1−ナフトール、2,6
−ジ一tert−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−
ブチルフェノール、ノニルフェノール、4−フェニルフ
ェノール等のアルコール及びフェノールのリチウム塩が
挙げられる。
一般式(XII)の例としては、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレン
グリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノフェニルエーテル等のリチウム塩
が挙げられる。
一般式(XIII)の例としては、ジメチルアミノエタノー
ル、ジエチルアミノエタノール、ジ−n−プロピルアミ
ノエタノール等のリチウム塩が挙げられる。
一般式(XIV)の例としてはジメチルアミン、ジエチル
アミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−iso−プロピル
アミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミ
ン等の2級アミンのリチウム塩が挙げられる。
一般式(XV)の例としてはエチレンイミン、トリエチレ
ンイミン、ピロリジン、ピぺリジン、ヘキサメチレンイ
ミンの環状イミンのリチウム塩が挙げられる。
特に好ましいリチウムの有機化合物はn−ブチルリチウ
ム、sec−ブチルリチウム及びiso−アミルリチウムであ
る。
本発明の触媒において共存するリチウムの有機化合物の
量によって、得られる共役ジエン重合体中のトランス結
合含率を変化させることが可能である。一般にリチウム
の有機化合物の使用量が多くなるに従って、重合活性は
増大し、一方、得られる共役ジエン重合体中のトランス
結合含率は減少する。しかしながら、適当量使用した場
合には、高トランス結合含率を有するポリマーを、更に
高活性に得ることが可能である。従って、目的とするポ
リマー中のトランス結合含率によって、使用すべきリチ
ウムの有機化合物の量は異なるが、本発明のトランス結
合含率が80%以上のものを得ようとする場合には、リチ
ウムの有機化合物中のリチウム原子と、有機マグネシウ
ム化合物中のマグネシウム原子との比で表わして、Li/M
gモル比が、1.5以下であることが必要である。特に、ト
ランス結合含率が85%以上となるポリマーを得ようとす
る場合には、同じくLi/Mgモル比が、0.7以下であること
が望ましい。
また、当該触媒の重合活性を高める為に、共存させるこ
とが可能な有機アルミニウム化合物は、次の一般式(XV
I)で表わすことができる。
AlR22R23R24 ……(XVI) ここでR22,R23は、水素又は脂肪族炭化水素基を表わ
し、R24は脂肪族炭化水素基を表わす。) その様な例としては、トリメチルアルミニウム、トリエ
チルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、ト
リイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウ
ム、トリシクロへキシルアルミニウム、ジエチルアルミ
ニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイド
ライド、エチルアルミニウムジハイドライド、イソブチ
ルアルミニウムジハイドライド等が挙げられる。特に好
ましいものは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチ
ルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、
ジイソブチルアルミニウムハイドライドである。有機ア
ルミニウム化合物を使用する場合、特にその多すぎる使
用量は、逆に重合活性及びトランス結合含率の両者を共
に低下させる。従って、有機アルミニウム化合物の使用
量は適正量に留めるべきであり、その場合には、重合活
性、トランス結合含率の両者共に高めることが可能であ
る。一般的には、使用する有機アルミニウム化合物の量
は、Al/Mgモル比で表わして、10以下の場合が好まし
く、1以下の場合がより好ましい。
更に、当該触媒の重合活性を高めることのできる電子供
与性化合物を共存させることも可能である。その様な例
として、いわゆるルイス塩基として知られている化合
物、一般的には、エーテル或いはチオエーテル類、更に
アミン類を挙げることができる。その様な例としては、
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエー
テル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジグライム等
のエーテル類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−ブチルアミ
ン、アニリン、ジフェニルアミン、N−エチルアニリ
ン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、ジ
ピぺリジノエタン等のアミン類、更には、チオフェン、
テトラヒドロチオフェン、2,5−ジヒドロチオフェン等
のチオエーテル類を挙げることができる。好ましくは、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トリエチルア
ミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンで
ある。使用する電子供与性化合物の量は、化合物のもつ
ルイス塩基としての強さにより異なるが、一般的に言っ
て、塩基性の強い化合物は、塩基性の弱い化合物に比べ
て、少量でよい。上述の電子供与性化合物は、多量に使
用した場合には、逆に該複合触媒の重合活性を低下させ
るばかりか、重合体ポリマー中のトランス結合含率も低
下させる。好ましい使用量は、有機マグネシウム化合物
1モル当たりのモル数で示し、50以下であり、より好ま
しくは5以下である。
以上述べてきた有機リチウム化合物、有機アルミニウム
化合物、電子供与性化合物は各々単独で使用しても差支
えないし、またこれらの化合物の2成分以上を同時に使
用しても構わない。これらの化合物のいずれを用いる場
合も、適切量を使用することによって、高いトランス結
合含率の共役ジエン重合体をより高い転化率で得ること
ができる。
本発明に於ける触媒は、共役ジエン単量体の存在又は非
存在下に、重合に先だって予備反応させることによって
も、更にその重合活性を増大させ、かつ得られる共役ジ
エン重合体の分子量分布を狭くすることが可能である。
その際、リチウムの有機化合物、有機アルミニウム化合
物、電子供与性化合物が、予備反応系内へ共存していて
も構わない。
この予備反応は、反応温度0〜100℃で実施するのが好
ましい。これ以下の温度では、予備反応が不充分であ
り、一方、100℃を越える温度では、分子量分布が拡大
して好ましくない。特に好ましい温度は、20℃〜80℃で
ある。又、反応時間は、0.01〜24時間であることが好ま
しい。これ以下の反応時間では予備反応が不充分であ
り、これ以上の反応時間は不必要である。特に好ましい
条件は0.05〜5時間である。又、この予備反応を行う際
に、共役ジエン単量体を存在させることも可能であり、
その場合、得られる共役ジエン重合体は、更に分子量分
布が狭いものとなる。使用すベき共役ジエン単量体の好
ましい量は、ランタン金属原子に対するモル比で示し、
1〜1000である。これ以下であっても以上であっても、
共役ジエン単量体の存在による効果の発現は小さい。し
かも、上に示したモル比以上の共役ジエン単量体が存在
する場合には、予備反応における温度のコントロール
が、共役ジエン単量体の急激な重合をもたらすこと等に
より困難となる。特に好ましいモル比は、5〜200であ
る。
重合は上記の触媒を用いて0℃〜150℃、好ましくは30
〜120℃で実施され、その重合形式は回分法であっても
連続法であってもよい。重合はブタジエンを80%以上の
トランス結合に重合するものであって、この(b)段階
で重合される高トランス重合体の全複合重合体中におけ
る割合が1〜70重量%、好ましくは3〜60重量%、更に
好ましくは5〜50重量%になるよう重合を進行させて、
次の (c) 引き続き、上記触媒に更に有機リチウム化合物
を加え、50〜200℃の温度下にブタジエンとスチレンを6
0%以下のトランス結合に重合する工程 に進める。追加添加する有機リチウム化合物は先の一般
式(X)で表され、その好適な例として、メチルリチウ
ム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロ
ピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチ
ウム、tert−ブチルリチウム、イソアミルリチウム、se
c−アミルリチウム−n−ヘキシルリチウム、n−オク
チルリチウム、アリルリチウム、ベンジルリチウム、フ
ェニルリチウム、1,1−ジフェニルリチウム、テトラメ
チレンジリチウム、ぺンタメチレンジリチウム、1,2−
ジリチオ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,3−ビス
(1−リチオ−1,3−ジメチルペンチル)ベンゼン等が
挙げられる。好ましくは、n−ブチルリチウム、sec−
ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、1,3−ビス
(1−リチオ−1,3−ジメチルペンチル)べンゼン等の
有機リチウム化合物が挙げられる。
その添加量は、有機リチウム化合物中のリチウム原子と
有機マグネシウム化合物中のマグネシウム原子との比で
表わして、Li/Mgモル比2.0以上好ましくは2.5以上とな
ることが必要である。特にトランス結合量が55%以下と
なるようにするには3.0以上、好ましくは4.0ないしは5.
0以上であることが好ましい。また、この後から加わる
有機リチウム化合物と同時に触媒の重合活性を高めるか
ないしは1,2ビニル結合を高め、トランス結合を更に低
いものとする目的でルイス塩基を用いることができる。
好適に用いることができるルイス塩基としては、エーテ
ル、チオエーテル類、アミン類があり、その様な例とし
ては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジグラ
イム等のエーテル類、ジメチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−ブ
チルアミン、アニリン、ジフェニルアミン、N−エチル
アニリン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミ
ン、ジピぺリジノエタン等のアミン類、更には、チオフ
ェン、テトラヒドロチオフェン、2,5−ジヒドロチオフ
ェン等のチオエーテル類を挙げることができる。好まし
くは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トリエ
チルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジア
ミンである。使用する電子供与性化合物の量は、化合物
のもつルイス塩基としての強さにより異なるが、一般的
に言って、塩基性の強い化合物は、塩基性の弱い化合物
に比べて、少量でよい。好ましい使用量は、有機リチウ
ム化合物1モル当たり0.01〜50モル程度である。重合は
上記の有機リチウムを追添した触媒に於て、30〜200
℃、好ましくは50〜150℃の温度下に実施される。この
段階において、工程(a)て調合されたモノマー混液な
いしは他の組成に調合されたモノマー混液を重合系内へ
導入してもよい。
この場合、(b)の工程で未反応であった残存モノマー
と、(c)の工程で導入されるモノマーの両方が(c)
工程で重合される。(c)工程で重合されるモノマー
は、ブタジエンとスチレンが主成分であり、他の共重合
可能なモノマー例えばイソプレン、ピぺリレン、メチル
−スチレン、ジフェニルエチレン等を併用してもよい。
この工程でスチレンがランダムに重合することが必要で
ある。
本段階における重合はブタジエン部を60%以下、好まし
くは55%以下のトランス結合に重合するものであって、
この(c)段階で重合される低トランス重合体の全複合
重合体中における割合は30〜99重量%、好ましくは40〜
97重量%、更に好ましくは50〜95重量%となるよう重合
を進行させる。
重合反応は所定の重合率に達したのち、公知の重合停止
剤を反応系に加えて停止させ、共役ジエン重合体の製造
における通常の脱溶剤、乾燥の工程をとることができ
る。
上記の製造方法において、高トランス樹脂状ポリブタジ
エンブロックと低トランスゴム状ブタジエンスチレンラ
ンダム共重合体ブロックからなるブロックポリマーと高
トランス樹脂状ポリブタジエンホモポリマーの合計と低
トランスゴム状ブタジエンスチレンランダム共重合体の
分子数の比は(b)工程及び(c)工程の触媒組成及び
量比によってコントロールされ、その比は1:99〜85:15
の範囲である。
又、高トランス樹脂状ポリブタジエンブロックと低トラ
ンスゴム状ブタジエンスチレン共重合体ブロックからな
るブロックポリマーと高トランス樹脂状ポリブタジエン
ホモポリマーの合計と低トランスゴム状ブタジエンスチ
レンランダム共重合体の重量比は、重合条件、すなわち
(b)工程及び(c)工程の触媒組成及び量比、(b)
工程でのコンバージョン、(c)工程での追加モノマー
量などによって任意にコントロール可能である。
上記製造方法において、高トランス樹脂状ポリブタジエ
ンホモポリマーの生成量は(b)工程の重合を所定温度
を越えて行なったり、(c)工程で追添するモノマー中
の水分の存在などによって生成量が増加する。
上記の製造方法において、重合体の分子量は用いる触媒
の組成もしくは濃度等を調整することにってコントロー
ルでき約3万〜数十万の範囲である。更に重合体の分子
量分布は用いる触媒の組成等を調整する方法や、重合方
式によってコントロールでき、例えば通常のバッチ重合
ではw/nが2未満のものが容易に得られ、連続重合
ではw/nが2以上のものを容易に得ることができ
る。また公知のカップリング反応技術、例えばエステル
化合物、ポリエポキシ化合物、ハロゲン化炭化水素化合
物、ハロゲン化硅素化合物及びハロゲン化スズ化合物等
リビングポリマーの反応性末端を利用したカップリング
剤またはジビニルベンゼン等多官能性モノマーを重合の
途中または終了後重合系に添加する方法等、によってポ
リマー類に分岐構造をもたせたり、分子量分布を拡大し
たりすることも、必要により可能である。
この方法によって、樹脂状トランスポリブタジエンブロ
ックを1分子中に2個以上有する複合重合体とすること
ができ、この重合体は樹脂状トランスポリブタジエンを
ハードセグメントとする熱可塑性弾性体である。
この方法で用いられるカップリング剤としては、2官
能、3官能、4官能又はそれ以上の多官能性化合物が用
いられ、2官能カップリング剤とリビングポリマー鎖と
の反応では直鎖状ポリマーが得られ、3官能以上では分
岐状ポリマーが得られる。用いられるカップリング剤と
しては、例えば、ジブチル2塩化スズ、ジオクチル2塩
化スズ、ジエチル2塩化珪素、ジブチル2臭化珪素、安
息香酸メチル、ブチル3塩化スズ、オクチル3塩化ス
ズ、メチル3塩化珪素、エチル3塩化珪素、ブチル3臭
化珪素、4塩化スズ、4塩化鉛、4塩化珪素、テトラメ
トキシスズ、エチレンビストリクロルシラン、アジピン
酸ジエチル、炭酸ジメチル、1分子中に2個以上のエポ
キシ基又はエステル基を有する炭化水素系化合物、例え
ばエポキシ化大豆油、1分子中に2個以上のエポキシ基
を有する液状ポリブタジエン、1分子中にジグリシジル
アミノ基を1個又はそれ以上有する炭化水素系化合物、
例えばテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシク
ロへキサン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタ
ンなどがある。カップリング反応を利用することによっ
て、得られる複合重合体は、更にコールドフローが防止
されており、ゴム用途で用いる場合は、未加硫物のグリ
ーン強度が極めて大きくなって、ゴム加工時の作業性が
大巾に改善される。特に好適に用いられるカップリング
剤としては、4塩化スズ、4塩化珪素、テトラグリシジ
ルジアミノジフェニルメタンなどである。
又、公知の末端変性技術、例えば、リビングポリマ一鎖
とトリアルキル塩化スズ、トリアリル塩化スズなどの末
端変性剤との反応、同様に分子中に を有する化合物(式中Xは酸素又は硫黄原子を表わ
す)、N,N−ジアルキルアミノ芳香族アルデヒド化合
物、N,N−ジアルキルアミノ芳香族ケトン化合物、チオ
カルボニル化合物、ジチオカルボン酸エステル、イソシ
アネート化合物、チオイソシアネート化合物、カルボジ
イミド化合物などの末端変性剤との反応による末端変性
技術を用いることもできる。これらの末端変性技術を用
いることによって得られる複合重合体は、例えば加硫ゴ
ムとした場合、ウェットスキッド抵抗性を保持したま
ま、高温での反発弾性を向上させ、更に発熱性を低下さ
せるなどの改善がなされ、本発明の高トランスゴムのブ
ロックポリマーの複合重合体としての高い耐摩耗性、強
度と相まって、省燃費タイヤ、オールシーズンタイヤ、
ハイパフォーマンスタイヤなどのトレッド用ゴムなどに
好適に用いられる。好適に用いられる末端変性剤として
は、トリブチル塩化スズ、トリフェニル塩化スズ、N,N,
N′,N′−テトラメチル尿素、N−メチル−ε−カプロ
ラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメ
チルエチレン尿素、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)べ
ンゾフェノン、フェニルイソチオシアネート、ジシクロ
へキシルカルボジイミドなどである。
更に、上記のカップリング反応と末端変性技術とを併用
することにより、両方の効果を得ることも可能である。
又、本発明の複合重合体は公知の方法で2重結合を水素
化することができる。特に1,2−結合部分を選択的に水
添した複合重合体は、加硫ゴムとした場合に耐摩耗性と
発熱性が特に優れたものとなる。又、カップリング反応
技術と組合せ、高い水添率で水添を行なったものは耐候
性に優れた熱可塑性弾性となる。
本発明の複合重合体の用途はそのポリマー構造及び性質
によって広範である。例えば、タイヤトレッド、カーカ
ス、サイドウォール等のゴム状重合体としての用途に利
用でき加工性、耐摩耗性、発熱性に優れた性質を示す。
又、ポリスチレン等の衝撃性を改良する強靱化剤として
もコールドフロー性をまったく示さず且つ粒径コントロ
ール性、剛性と衝撃性のバランス、油に対する耐環境応
力クラック性(ESCR)に優れる耐衝撃性ポリスチレン
(HIPS)を提供するものである。
本発明のもう一つの目的は、上記複合重合体を用いて、
加工性が優れ、強度、耐摩耗性が良く且つこれらとウェ
ットスキッド抵抗性とのバランスが良好である優れた特
徴を有するゴム組成物を提供することにある。
すなわち、本発明のゴム組成物は上記の複合重合体単独
又は、前記複合重合体を少なくとも20重量%含有する原
料ゴム100重量部、カーボンブラック10〜300重量部、加
硫剤0.1〜10重量部を含有するゴム組成物である。
上記のゴム組成物において、原料ゴムはゴム組成物の使
用用途、目的に応じて選択されるが、本発明の複合重合
体が有する加工性、強度、耐摩耗性、硬度等の特徴を生
かすためには、原料ゴムは上記の複合重合体を少なくと
も20重量%含有することが必要であり、好ましくは25重
量%である。複合重合体とともに用いられる他の原料ゴ
ムとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、乳化
重合法で得られるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム、
溶液重合法で得られるスチレン−ブタジエン共重合体ゴ
ム、高シスポリブタジエンゴム、低シスポリブタジエン
ゴム、高ビニルポリブタジエンゴム、ポリクロロプレン
ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ブチルゴ
ム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体ゴム、アクリルゴム等か挙げられ、これら
の原料ゴムは目的に応じて1種ないし2種類以上が使用
される。
つぎに、上記ゴム組成物においては、原料ゴム100重量
部に対し、補強材としてカーボンブラックが10〜300重
量部使用される。カーボンブラック量が10重量部より少
ないと、強度、耐摩耗性等の補強性能が不足し、一方30
0重量部をこえると、耐発熱性、伸び、加工性等が低下
する。カーボンブラックの量は好ましくは、20〜200重
量部である。使用されるカーボンブラックの種類は、ゴ
ム組成物の使用目的に応じて、粒子径、ストラクチャ
ー、凝集体分布等の構造が異なるSAF、ISAF、HAF、FE
F、GPF、SRF、FT、MTなどのクラスのカーボンブラック
が使用される。特に、強度、耐摩耗性の要求の高い、タ
イヤトレッドの用途には粒径が小さく補強性の高いSA
F、ISAF、HAF等が用いられ、一方、耐発熱性や圧縮永久
性歪が必要な用途には、比較的粒子径が大きいカーボン
ブラックが使用される。
又上記ゴム組成物においては、加硫剤が原料ゴム100の
重量部あたり0.1〜10重量部使用される。加硫剤の代表
的なものは、硫黄であり、他に、チウラム化合物等の硫
黄供与化合物、フェノール樹脂類、パーオキサイド類も
加硫剤として使用する。
更に上記ゴム組成物においては、必要に応じて、ゴム用
伸展油が原料ゴム100重量部あたり1〜200重量部使用さ
れる。ゴム用伸展油は、ゴム配合物の加工性を改善し、
又カーボンブラックの分散性の向上のために添加され、
更に前記カーボンブラックと共に得られるゴム組成物の
硬度の調節に使用される。ゴム用伸展油は、ゴム組成物
の使用目的に応じて選択し、強度や加工性を重視する用
途ではアロマチック系のゴム用伸展油を使用することが
好ましく、低温性能や耐発熱性を重視する用途において
はナフテン系やパラフィン系のゴム用伸展油が好適であ
る。更に各種脂肪酸エステル系のものも使用される。
更に上記ゴム組成物においては、必要に応じて、各種ゴ
ム用薬品が加えられる。これらはゴム用薬品としては、
ステアリン酸、亜鉛華等を代表的なものとする加硫助
剤、スルフェンアミド系、チアゾルー系、グラニジン
系、チウラム系等の加硫促進剤、アミン系やフェノール
系の老化防止剤、その他多種多様なゴム用薬品を使用す
ることができる。本発明のゴム組成物の特徴について以
下に述べる。
本発明の複合重合体は、前述した如く、それ自身配合、
加硫することで、引張強度、引裂強度、耐カット性等の
機械的強度、高硬度耐摩耗性、耐摩耗性とウェットスキ
ッド抵抗性のバランス、耐発熱性、反発弾性等の物性が
優れ、且つロール加工性、押出加工性等の加工特性が良
好なゴム組成物となるばかりでなく、他の原料ゴムと併
せて使用した場合においては、他の原料ゴムの有してい
る性能上の特徴を大きく損うことなく、得られるゴム組
成物の強度、耐摩耗性、加工性を改良する。
例えば、天然ゴムとブレンドしたゴム組成物において
は、従来の天然ゴムとポリブタジエンとのブレンド系又
は天然ゴムとスチレンブタジエン共重合体とのブレンド
系で問題であった引張強度及び耐カット性を大きく改良
しつつ、天然ゴム単独のゴム組成物の耐摩耗性を改良す
ることが可能となり、各種タイヤのトレッドやサイドウ
ォール用途に多く使用されてきた、天然ゴムとポリブタ
ジエンの系等に比べて性能が優れ応用範囲の広いゴム組
成物となる。
又、本発明の複合重合体とスチレン−ブタジエン共重合
体とを原料ゴムとするゴム組成物は、従来のスチレン−
ブタジエン共重合体ゴム単独ないし、スチレン−ブタジ
エン共重合体ゴムとポリブタジエンゴムとのブレンド物
を原料ゴムとするゴム組成物に比べて、タイヤトレッド
の重要な性能であるウェットスキッド特性および低燃費
特性を損なうことなく、耐摩耗性が改良されたものとな
り、低燃費タイヤ、オールシーズンタイヤ、ハイパーフ
ォーマンスタイヤ等の乗用車タイヤのトレッドに好適な
ゴム組成物となる。
更に、本発明の複合重合体は、結晶性の成分を有してお
り、この成分の持つ硬さを応用して、従来のゴム組成物
に比べて硬度の高いゴム組成物を得ることが可能とな
り、複合重合体単独ないし他の原料ゴムとのブレンド系
で、JIS(A)硬度75以上の高硬度で、且つ耐発熱性等
が良好なゴム組成物が得られ、これらは、タイヤのビー
ドフィラー部、高硬度防振ゴム、高硬度工業用品等の用
途に使用可能である。
又、本発明の複合重合体は、加工性がおもわしくない他
の原料ゴムと組み合せることによって、他の原料ゴムの
加工性を改良することが可能であり、それらの原料ゴム
としては、ポリブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴ
ム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム等があ
げられる。これらの加工性改良を目的とする場合におい
ては、本発明の複合重合体の原料ゴム中の比率は、比較
的少ない量、例えば20〜30重量部であることが、物性と
加工性とのバランスにおいて好ましい。
本発明のゴム組成物は、原料ゴムと他の配合剤と共に、
インターナルミキサー、ゴム用混練ロール押出機などの
ゴム用混練機によって混練され、その使用用途に応じて
成型組立され、加硫プレス加硫缶などの常法の加硫装置
によって、130〜200℃の温度で加硫された後、使用に供
される。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、ポリブタジエンのミクロ構造の分析は2硫化炭素
溶液により、赤外分光光度計(日本分光A−202型)に
よりポリブタジエンはモレロの方法でブタジエン−スチ
レン共重合体はハンプトンの方法で計算して得た。
又、分子量の測定は、GPC(島津製作所、LC-5A、カラ
ム:HSG40,50,60各1本、カラム温度40℃,溶媒:テトラ
ヒドロフラン、検出器:示差屈析計)を使用し、標準ポ
リスチレンのピークの分子量のGPCカウント数との関係
から予め求めた検量線を用い、常法に従ってポリブタジ
エンの平均分子量を求めた。
ガラス転移温度、結晶融点の測定はDSC(セイコー電子D
SC-20型)昇温速度10℃/min)を使用して測定した。ガ
ラス転移温度は開始点、結晶融点はピーク温度(中点)
である。
高トランス樹脂状ポリブタジエンホモポリマーの定量
は、複合重合体をn−ヘキサン−シクロへキサン混合溶
媒に溶解した後0℃に冷却し、析出した沈でんを遠心分
離して得た結晶を秤量して得た。
実施例1 内容積10lで、高さ対内径の比が(L/D)4であるステン
レス鋼製の、攪拌機及びジャケット付反応器を2基直列
に接続し、1基目の底部から1,3−ブタジエンのn−へ
キサン溶液及び触媒としてバーサチック酸ランタン、ジ
ブチルマグネシウム、ブチルリチウムを連続的にフィー
ドし、内温を75℃に保って重合を行なわせた。モノマー
混合液の濃度は18重量%とし、モノマーのフィード速度
は0.67Kg/hrとした。触媒のフィード量はモノマー100g
当り、バーサチック酸ランタンは0.15ミリモル、ジブチ
ルマグネシウムは0.75ミリモル、ブチルリチウムは0.10
ミリモルとした。
1基目の反応器出口よりサンプリングを行ないコンバー
ジョンを測定した結果59.8%であり、得られた重合体の
ミクロ構造は、トランス86%、ビニル6%、シス8%で
あった。DSCによるガラス転移温度は−85℃、結晶融点
+82℃、GPCによる分子量はw=10.5万、n=4.5万
であり、分子量分布w/n=2.3、GPC形はなだらかな
1山であった。
1基目から出た重合体溶液を2基目底部に導入し、更に
2基目底部より追加の1,3−ブタジエン、スチレン、n
一ヘキサンからなるモノマー混合液とn−ブチルリチウ
ムを導入した。モノマー混合液の濃度は26重量%、1,3
−ブタジエンのフィード速度は0.69Kg/hr、スチレンの
フィード速度は0.46Kg/hrとした。又、2基目の反応器
の高さの下から2/3の位置から1,3−ブタジエン、n−ヘ
キサンからなる追加のモノマー混合液を導入した。この
モノマー混合液の濃度は26重量%、1,3−ブタジエンの
フィード速度は0.41Kg/hrとした。2基目底部に導入し
たn−ブチルリチウムの量は、2基目に導入した全モノ
マー100g当り、1.373ミリモルであった。2基目の反応
器内温を120℃に保って重合を行なわせた後、2基目の
反応器を出たポリマー溶液に、2,4−ジタ−シャリ−ブ
チル−p−クレゾールを0.6phr(100重量部のゴム当り
の重量部)連続的に添加して、混合し、熱水中に導入し
てスチームストリッピングを行なって溶媒を除去した。
得られたゴムは熱ロールにて乾燥した。
2基目出口でのコンバージョンは1,3−ブタジエンが99.
5%、スチレンが98.5%であった。得られたゴムのミク
ロ構造は、赤外分光光度計を用い、ハンプトンの方法で
測定した結果、結合スチレン20.5重量%、ポリブタジエ
ン部のミクロ構造はトランス59%、ビニル11%、シス30
%であり、ムーニー粘度はML1+4(100℃)45、GPCによ
る平均分子量はw:19万、n:9.0万であり、GPC形はな
だらかな1山であった。又、ブロックスチレン含量は全
ゴム当り0.2重量%であった。なお、ブロックスチレン
の測定はオスミウム酸分解法により行なった(J.Poly.S
ci.1,429(1946))。
得られたブタジエン系複合重合体を試料Aとする。
上記結果より、1基目で重合されたトランス86%の樹脂
状ポリブタジエン部は複合重合体全体に対し18重量%、
2基目で重合された低トランスゴム状ポリブタジエン部
は88重量%、2基目で重合された低トランスゴム状ポリ
ブタジエンのミクロ構造はトランス53%、ビニル12%、
シス35%と計算される。
得られたブタジエン系複合重合体2gをn−ヘキサン/シ
クロヘキサン混合溶剤100mlに加熱溶解後、これを0℃
まで冷却し、0℃に保持したまま遠心分離して沈でんと
溶液に分離した。得られた沈でんを真空乾燥して秤量し
たところ、ブタジエン系複合重合体に対し、1.3重量%
であった。すなわち、高トランス樹脂状ポリブタジエン
ホモポリマーは、1基目ポリマー(ブロックポリマー中
の高トランス樹脂状ポリブタジエンブロック部と高トラ
ンス樹脂状ポリブタジエンホモポリマーの合計量に対し
7.2重量%であった。
参考として、1基目よりサンプリングした高トランス樹
脂状ポリブタジエンホモポリマーとn−ブチルリチウム
単独で重合した低トランスゴム状ブタジエン−スチレン
ランダム共重合体(結合スチレン25wt%、ブロックスチ
レン0.1wt%、w=9万、w/n=2.2、ミクロ構
造:トランス52%,ビニル13%,シス35%)を50:50に
ブレンドし、同様に分別を行なったところ、得られた沈
でんはブレンドポリマーに対し46重量%であった。
得られた複合重合体のコールドフローを測定したとこ
ろ、実質的にコールドフローしなかった。ブタジエン系
複合重合体:3日後もコールドフロ一無し タフデン2000(市販品):2日で倒れる。
(30°の傾斜した台の上に3cm×3cm×10cm(高さ)の直
方体のゴム試料を固定し、傾斜状況を観察した。) 実施例2,3 実施例1と同様の方法で行なった。ただし、1基目及び
2基目のモノマーフィード速度、組成、触媒量等を変化
させた。得られたブタジエン系複合重合体をそれぞれ試
料B,Cとする。分析値を表1に示す。
実施例4 実施例1と同様の方法で行なった。ただし、1基目及び
2基目のモノマーフィード速度、組成、触媒量等を変化
させた。又、2基底部より、モノマー、触媒等とともに
テトラメチルエチレンジアミンを、2基目にフィードし
たn−ブチルリチウム1モル当り、1.2モルをフィード
し、2基目の重合温度を105℃とした。得られたブタジ
エン系複合重合体を試料Dとする。分析値を表1に示
す。
又、試料Dをオゾン分解−GPC法によってスチレン連鎖
分布を測定した結果、単離スチレンが全結合スチレンの
67重量%、長鎖ブロックスチレン(スチレン単位の連鎖
が8以上のもの)が全結合スチレンの0.6重量%であ
り、完全ランダム共重合体である。
実施例5 実施例4と同様の方法で行なった。ただし、1基目及び
2基目のモノマーフィード速度、組成、触媒量等を変化
させた。又、2基目底部より、モノマー、触媒とともに
テトラメチルエチレンジアミンを、2基目にフィードし
たn−ブチルリチウム1モル当り、0.4モルをフィード
した。得られたブタジエン系複合重合体を試料Eとす
る。分析値を表1に示す。又、試料Eをオゾン分解−GP
C法によってスチレン連鎖分布を測定した結果、単離ス
チレンが全結合スチレンの62重量%、長鎖ブロックスチ
レンが全結合スチレンの1.2重量%であり、完全ランダ
ム共重合体である。
得られた試料B〜Eを実施例1と同様にコールドフロー
テストを実施した結果、3日後もコールドフロ一しなか
った。
比較例1 5lの攪拌機及びジャケット付の反応器に、161gの1,3−
ブタジエンと28gのスチレンを含む945gシクロヘキサン
混液を反応器に導入した後、Ba-Mg-Al開始剤(Ba/Mg/Al
=0.18/0.57/0.04単位mmole/100gモノマー、米国特許4,
297,240号に記載のもの)を添加し、60℃で1時間重合
を行なった。一部をサンプリングした後、このものに更
に231gの1,3−ブタジエンを含む1155gシクロヘキサン混
液及び、Na第3アミレートとTMEDAのシクロへキサン溶
液(Na/Mgモル比=0.77、TMEDA/Mgモル比0.61になるよ
うにした。)を追添し、50℃で1時間重合を行なわせ
た。その後、メタノールを添加して反応を停止させ、実
施例1と同様にして重合体を得た。得られた重合体及び
途中のサンプリングしたものの分析値を表2に示す。
比較例2 比較例1と同様にして行なった。
ただし、Ba-Mg-Al開始剤を添加し、60℃で5時間重合を
行ない、これにNa第3アミレート及びTMEDAを追添し、5
0℃で1時間重合を行なわせた。得られた重合体を試料
Fとする。結果を表2に示す。
途中サンプリングしたTSBR重合体は、実施例1と同じ、
n−ヘキサン/シクロヘキサン混合溶剤を用いる方法か
らは結晶化出来なかった。又、最終的に得られた重合体
も同様であった。又、得られた重合体のコールドフロー
性は実施例1に示す方法で評価して「1日で倒れる。」
ものであって好ましいものでなかった。
比較例3(試料G) 実施例1と同じ方法で、1基目のポリマーをサンプリン
グし、高トランス樹脂状ポリブタジエンホモポリマーを
得た(試料G−1)。
n−ブチルリチウムを用いて通常のブタジエン−スチレ
ンランダム共重合体(ML1+4(100℃)45,w=20万,
w/n:2.1、結合スチレン25wt%,ブロックスチレン
0.5wt%,トランス52%,ビニル12%,シス36%)を得
た。(試料G−2)。
試料G−1を18重量部、試料G−2を82重量部ブレンド
して試料Gとする。
比較例4(試料H) 実施例1と同じ方法で、1基目のポリマーをサンプリン
グし、高トランス樹脂状ポリブタジエンホモポリマーを
得た(試料G−1)。
n−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンを
用いて通常ブタジエン−スチレンランダム共重合体(ML
1+4 55,w=23万,w/n=2.0,結合スチレン18wt
%,ブロックスチレン0%,トランス40%,ビニル35
%,シス25%)を得た(試料H−2)。
試料G−1を30重量部、試料H−2を70重量部ブレンド
して試料Hとする。
比較例5(試料I) n−ブチルリチウムを用いて得た通常のブタジエン−ス
チレンランダム共重合体(ML1+4(100℃)45,w=20
万,w/n=2.1,結合スチレン25wt%,ブロックスチ
レン0.5wt%,トランス52%,ビニル12%,シス36%)
を試料Iとする。
評価 試料A〜Iを表3に示す配合で、配合し、加硫性能の評
価を行なった。結果を表4に示す。
評価方法 内容量300ccの加圧式ニーダーを用いASTM-D-3403-75の
標準配合混合手順の方法Bによって、配合物を得、これ
らを加硫し、各物性を測定した。
測定は、以下に示す方法で行なった。
(1) 硬さ、引張強度; JIS-K-6301に従った。
(2) 反発弾性; JIS-K-6301によるリュプケ法、但し、70℃における反発
弾性は、試料を70℃オーブン中で1時間予熱後、素早く
取り出して測定。
(3) グッドリッチ発熱 グッドリッチフレンクソメーターを使用し、印加荷重24
ポンド、変位0.225インチ、スタート50℃、回転数1800r
pmの条件で試験を行ない、20分後の上昇温度差を表わし
た。
(4) ウェット・スキッド抵抗性 スタンレー・ロンドンのポータブル・スキッドテスター
を使用し、路面としてセーフティ・ウォーク(3M製)を
使用して、ASTM-E-808-74の方法に従い測定した。
(5) 耐摩耗性 ピコ摩耗試験機を用いて評価し、指数で表示値が大きい
ほど良好。
表3 配合 原料ゴム 100 重量部 アロマチックオイル*1 5 重量部 N−339カーボンブラック*2 45 重量部 ステアリン酸 2 重量部 亜鉛華 5 重量部 促進剤CZ*3 1 重量部 イオウ 1.7重量部*1 共同石油 X−140*2 ヨウ素吸着量(IA)90mg/g ジブチルフタレート吸着量(DBP) 119ml/100g*3 N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェン
アミド 加硫条件:160℃×20分 表4の結果から、本発明の実施例である試料A〜Eは、
比較例であるF〜Iに比べ物性、加工性とも優れる。具
体的には、本発明の複合重合体である試料Aは、対応す
るポリマーブレンド物である試料Gに比べ、加工性、引
張強度、反発弾性、発熱性、耐摩耗性いずれも優れてい
る。又、本発明の試料Dと対応するポリマーブレンド物
である試料Hの比較においても同様である。本発明の試
料A〜Eは比較例F〜Iに比べ、特に耐摩耗性とウェッ
トスキッド抵抗性バランスの点で優れている。
実施例6、比較例5,6 試料A,G,Iを60重量部、天然ゴムを40重量部、合計100重
量部を原料ゴムとして、同様に配合し、加硫評価した。
結果を表5に示す。
表5の結果より、本発明の実施例5(試料A)は比較例
5(試料G),6(試料I)に比べ、物性加工性とも優れ
ている。特に耐摩耗性とウェットスキッド抵抗性のバラ
ンスにおいて優れており、複合重合体を天然ゴムとブレ
ンドして用いた場合も複重合体の優れた特長が発現して
いる。
実施例7〜9、比較例7〜10 試料A,D,G,H及びブタジエン−スチレン共重合ゴムを原
料ゴムとして、表3に示す配合により配合し、加硫、評
価した。原料ゴム組成と結果を表6に示す。
表6の結果より、本発明の実施例7〜9は、比較例7〜
10に比べ、耐摩耗性とウェットスキッド抵抗性のバラン
スが大きく改善されている。
実施例10 実施例1と同様に2基の重合器を用いて重合を行なわせ
た後、2基目の反応器を出たポリマー溶液を、更に3基
目の反応器に導入し、テトラグリシジル−1,3−ビスア
ミノメチルシクロへキサンを0.07phr連続的に添加して
カップリング反応を行なわせた後、実施例1と同様に2,
4−ジタ−シャリ−ブチル−p−クレゾールを混合し、
試料を得た。これを試料Jとする。これのムーニー粘度
はML1+4(100℃)75、GPCによる平均分子量はw=25
万、分子量分布w/n=2.5であり、GPC形はなだちか
な1山であった。得ちれた試料Jのコールドフローを測
定したところ、10日後も全くコールドフローしなかっ
た。
試料Jを実施例1と同様に配合し、加硫し物性を測定し
た。結果を表7に示す。
実施例11 実施例4と同様に2基の重合器を用いて重合を行なわせ
た後、2基目の反応器を出たポリマー溶液を、更に3基
目の反応器に導入し、ジシクロへキシルカルボジイミド
を0.23phr連続的に添加して末端変性を行なわせた後、
実施例4と同様に試料を得た。これを試料Kとする。こ
れのムーニー粘度はML1+4(100℃)54であった。実施例
10と同様に評価した。結果を表7に示す。
実施例12 実施例4と同様に2基の重合器を用いて重合を行なわせ
た後、2基目の反応器を出たポリマー溶液を、更に3基
目の反応器に導入し、4塩化スズ0.023phrとトリブチル
塩化スズ0.25phrを連続的に添加して、カップリング反
応と末端変性を同時に行なわせた後、実施例4と同様に
試料を得た。これを試料Lとする。これのムーニー粘度
はML1+4(100℃)80、GPCによる平均分子量wは28
万、分子量分布w/n=2.4であり、GPC形はなだらか
な1山であった。実施14と同様に評価し、結果を表7に
示す。
実施例13 内容積10lのステンレス鋼製の、攪拌機及びジャケット
付反応器を用い、0.616Kgの1,3−ブタジエン、2.464Kg
のシクロヘキサン及び触媒を仕込み、バッチ的に重合を
行なわせた。触媒は、モノマ−100g当り、バーサチック
酸ランタン0.075ミニモル、ジブチルマグネシウム0.40
ミリモル、n−ブチルリチウム0.15ミリモルとして、反
応は65℃で2時間行なわせた。サンプリングにより、コ
ンバージョンを測定した結果64%であり、重合体のミク
ロ構造はトランス89%、ビニル4%、シス7%であっ
た。DSCによるガラス転移温度は−87℃、結晶融点+95
℃、GPCによる分子量はw=8.5万、分子量分布w/
n=1.2であり、GPC形はシャープな1山であった。
高トランスポリブタジエン溶液に、追加して、1,3−ブ
タジエン0.205Kg、スチレン0.116kg、シクロへキサン1.
284kg、n−ブチルリチウム0.43g、テトラメチルエチレ
シジアミン1.0gを添加し、内温を100℃にして重合を行
なわせ、更に10分後から30分間にわたって1,3−ブタジ
エン0.183Kgとシクロへキサン0.732Kgの混合物を連続的
に追添加した後、0.044phr(ゴム100重量部当りのフィ
ード重量部)の4塩化スズを添加してカップリング反応
を行なわせた。サンプリングによりコンバージョンを測
定した結果、ブタジエン99%、スチレン98%であつた。
重合体溶液は、実施例1と同様に処理し、重合体を得
た。これを試料Mとする。これのムーニー粘度はML1+4
(100℃)70、GPCによる分子量はw=22万、分子量分
布w/nは1.8であった。ブタジエン部のミクロ構造
は、トランス58%、ビニル22%、シス20%であり、結合
スチレン含量は10.2重量%、オゾン分解GPC法による単
離スチレンは全結合スチレンに対し72重量%、長鎖ブロ
ックスチレンは全結合スチレンに対し0.3重量%であ
り、完全ランダム共重合体である。
以上の分析値から複合重合体中の樹脂状高トランスポリ
ブタジエンの割合は35重量%、ゴム状低トランスブタジ
エン−スチレン共重合体部分のミクロ構造は、トランス
41%,ビニル31%,シス28%,結合スチレン16重量%と
計算される。
実施例1と同様に分別によって樹脂状高トランスポリブ
タジエンホモポリマーを測定したところ、沈でんが生成
せず、樹脂状高トランスポリブタジエンのホモポリマー
はほとんど生成していない。
試料Mのコールドフローを測定したところ、10日後も全
くコールドフローしなかった。
試料Mを実施例11と同様に配合、加硫し物性を測定し
た。結果を表7に示す。
実施例14〜18、比較例11〜16 表8に示す組成の原料ゴムを使用し、実施例1と同様に
して表3に示す配合でゴム組成物を混練加硫し、物性を
測定した。その結果を表9に示す。
表8の結果より、本発明の複合重合体を使用した実施例
のゴム組成物は、比較例のゴム組成物に比較して引張強
度が高く、また耐摩耗性とウェットスキッド抵抗のバラ
ンス、反発弾性とウェットスキッド抵抗のバランスが良
好である。
〔発明の効果〕 以上から明らかなように、本発明のブタジエン系複合重
合体は、コールドフローが防止されており、又、本発明
のゴム組成物は耐摩耗性とウェットスキッド抵抗性のバ
ランスが優れ、強度、加工性が向上するなど優れた効果
を有するものであり、その工業的価値ほ極めて高い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス転移温度が−80℃以下、結晶融点が
    30〜130℃であるトランス結合80%以上、分子量1〜20
    万、分子量分布w/n1.2〜4の樹脂状ポリブタジエン
    ブロックと結合スチレン含量1〜50重量%、結晶融点を
    有しないトランス結合が60%以下、ビニル結合が10%以
    上40%未満、分子量が2〜40万のゴム状ブタジエン−ス
    チレンランダム共重合体ブロックからなるブロックポリ
    マー及び結合スチレン含量1〜50重量%、結晶融点を有
    しないトランス結合が60%以下、ビニル結合が10%以上
    40%未満、分子量2〜40万のゴム状ブタジエン−スチレ
    ンランダム共重合体を主成分とし、高トランス樹脂状ポ
    リブタジエン部分がブタジエン系複合重合体全体の1〜
    70重量%であり、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が10〜15
    0であり、分子量分布w/nが1.2〜5であるブタジエ
    ン系複合重合体。
  2. 【請求項2】請求項1記載のブタジエン系複合重合体を
    少なくとも20重量%含有する原料ゴム100重量部、カー
    ボンブラック10〜300重量部、加硫剤0.1〜10重量部より
    なるブタジエン系複合重合体組成物。
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