JPH079205Y2 - カセット形クリ−ナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、カセット形クリーナに関し、さらに詳しく
言えば、オーディオデッキの磁気ヘッド等をクリーニン
グするのに好適な湿式のカセット形クリーナに関するも
のである。

まず、第３図を参照しながら、従来の一般的な湿式カセ
ット形クリーナの構造を概略的に説明する。すなわち、
このクリーナは、カセットハウジング１に設けられてい
る左右１対のリールハブ2,2間にクリーニングテープ３
をかけ渡すとともに、そのクリーニングテープ３の走行
路に面してフェルト等からなる芯体4,4を配置し、これ
ら芯体4,4にクリーニング液を浸み込ませてクリーニン
グテープ３のクリーニング面を濡らすようにしている。
しかしながら、これによると、クリーニングテープ３は
常時濡らされることになるため、クリーニング後におい
ても磁気ヘッドやピンチローラにクリーニング液が残さ
れ、それが乾くまでデッキを使用することができないと
いう欠点がある。

そこで、例えば特開昭59-90224号に見られるように、ク
リーニング液を含浸させた吸収体をその円周面の一部を
開放させた不浸透性の円筒体内に収納し、この円筒体を
クリーニングテープの走行路中に位置させ、クリーニン
グテープの走行に伴って回動するようにしたクリーニン
グカセットが提案されている。この構成により、クリー
ニングテープには吸収体と接触してクリーニング液が含
浸した部分と、不浸透性の円筒体の円周面と接触してク
リーニング液が含浸しない部分とが形成され、ヘッドや
ピンチローラにはクリーニングテープの湿潤部と乾燥部
とが交互に接触するようにしている。しかしながら、ク
リーニングテープの湿潤部と乾燥部の長さは、円筒体の
周方向長さによって決定され、湿潤部を長く取ると乾燥
部が短くなって、ヘッドやピンチローラに付着したクリ
ーニング液を十分に拭き取れなくなる。逆に拭き取りを
十分に行なえるように乾燥部を長く取ると湿潤部が短く
なって、クリーニング液を十分にクリーニングテープに
塗布することができなくなる。

この考案は、上記した従来の欠点に鑑みなされたもの
で、その目的は、磁気ヘッド等を濡れたクリーニング面
でクリーニングした後、自動的に乾拭きするようにした
カセット形クリーナを提供することにある。

以下、この考案を第１図および第２図に示されている一
実施例を参照しながら詳細に説明する。

このカセット形クリーナは、左右１対のリールハブ11a,
11bを有するカセットハウジング10を備えており、リー
ルハブ11a,11b間には所定の長さを有するクリーニング
テープ12がかけ渡されている。なお、このクリーニング
テープ12は例えばポリエステル樹脂からなり、梨地加工
により微細な凹凸が形成されたクリーニング面を有して
いる。上記カセットハウジング10には、クリーニングテ
ープ12を磁気ヘッド挿入窓13に対して平行に走らせる１
対の主ガイドローラ14,15が設けられているが、この場
合、一方の主ガイドローラ14と送出し側のリールハブ11
aとの間には、クリーニングテープ12を一旦巻取り側の
リールハブ11bの近傍に寄せたのちリールハブ11aの後側
を迂回して主ガイドローラ14に案内する３つの補助ガイ
ドローラ17,18,19が設けられ、また、他方の主ガイドロ
ーラ15と巻取り側のリールハブ11bとの間には１つの補
助ガイドローラ20が設けられている。そして、この実施
例においては、上記補助ローラ17と18との間には、好ま
しくはフェルトからなる棒状の芯体12がクリーニングテ
ープ12に接するように立設されており、かつ、この芯体
21はリールハブ11bにより回転されるようになってい
る。すなわち、芯体21は、カセットハウジング10に軸支
される歯車22の回転軸上に立設されており、この歯車22
は２つの中間歯車23,24を介して巻取り側のリールハブ1
1bに作動的に連結されている。なお、この実施例による
と、リールハブ11bの外周に歯車25が形成されていて、
この歯車25に中間歯車24が噛合するようになっている
が、場合によっては、リールハブ11bと中間歯車24とを
所定の圧力で押付けて摩擦ローラ的に連結するようにし
てもよい。また、この実施例とは異なり、歯車22を送出
し側のリールハブ11aに連結するように変更することも
可能である。

上記芯体21にはカセットハウジング10に穿設されている
図示しない注入口よりクリーニング液が注入されるので
あるが、歯車22には芯体21の外周面のほぼ半分を覆うク
リーニング液非透過性のカバー部材26が一体的に形成さ
れている。

次に、この考案の作用について説明する。なお、芯体21
には上記の如くカセットハウジング10に穿設されている
図示しない注入口よりクリーニング液が浸み込まされて
おり、クリーニングテープ12は送出し側のリールハブ11
aに巻戻され、この初期状態において芯体21は図示の如
くクリーニングテープ12に接触するようになされている
ものとする。このカセット形クリーナを図示しないオー
ディオデッキに装填して送りをかけると、クリーニング
テープ12はリールハブ11aより巻出されるとともに、芯
体21に含浸されているクリーニング液にて濡され、主ガ
イドローラ14,15間を走行する際、窓13より挿入されて
いる図示しない磁気ヘッド等をクリーニングしたのちリ
ールハブ11bに巻取られる。このテープ送りに関連し
て、歯車22は中間歯車23,24を介してリールハブ11bによ
り図示時計方向に回転駆動され、クリーニングテープ12
が所定長さ送られた時点で芯体21に代ってそのカバー部
材26がクリーニングテープ12と接触することになる。し
たがって、以後、クリーニングテープ12はクリーニング
液にて濡らされることなく乾いた状態で送り出され、磁
気ヘッド等の乾拭きが行なわれる。なお、この乾拭き部
分の長さは例えば中間歯車23,24および歯車22のギャ比
を適当に選んで歯車22の回転角を制御することにより任
意に設定することができる。また、この実施例では、カ
バー部材26は芯体21の一部分を囲むようにして歯車22に
対して一体的に形成されているが、芯体21の外周面に直
接貼着されるようなフィルム状のものでもよい。一方、
このカセット形クリーナを再度使用するには、リールハ
ブ11b側に巻取られたクリーニングテープ12を送出し側
のリールハブ11aに巻戻せばよい。

上述した実施例の記載から明らかなように、この考案に
よれば、クリーニング初期にはクリーニング液が塗布さ
れた部分のクリーニングテープが磁気ヘッドやキャプス
タンと接触してクリーニングを行ない、その後は乾燥し
たクリーニングテープでこれら磁気ヘッド等をクリーニ
ングしながらクリーニング液を拭き取ることができる。
したがって、磁気ヘッド等にクリーニング液が残留する
ことがなく、従来のようにクリーニング液の乾き時間を
おくことなく、オーディオデッキを使用することができ
る。カバー部材で覆われた芯体は一方のリールハブの回
転力を原動力にして減速回転するので、クリーニングテ
ープが一方のリールハブに完全に巻き取られた状態で使
用を開始すれば、最初のクリーニング液が磁気ヘッド等
に塗布され、次いで乾燥した部分でクリーニング液を拭
き取るという動作を正確に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるカセット形クリーナの内部構造
を概略的に示した平面図、第２図はその要部斜視図、第
３図は従来のカセット形クリーナの内部構造を概略的に
示した平面図である。 図中、10はカセットハウジング、11a,11bはリールハ
ブ、12はクリーニングテープ、21は芯体、22〜25は歯
車、26はカバー部材である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カセットハウジング内に設けられた左右一
   対のリールハブ間にクリーニングテープをかけ渡すとと
   もに、このクリーニングテープの走行路に面してクリー
   ニング液を含む棒状の芯体を配置し、この芯体に前記ク
   リーニングテープを接触させて前記クリーニング液を含
   んだ前記クリーニングテープでデッキ側に設けられてい
   る磁気ヘッド等をクリーニングするカセット形クリーナ
   において、前記芯体の外周面の一部は前記クリーニング
   液が透過しないカバー部材で覆われており、このカバー
   部材は前記クリーニングテープが一方の前記リールハブ
   に全て巻回されている時前記芯体が前記クリーニングテ
   ープに当接するように位置し、前記カバー部材は減速歯
   車機構を介して他方の前記リールハブの回転に連動して
   回転するように取り付けられ、前記減速歯車機構は一方
   の前記リールハブに巻回された前記クリーニングテープ
   が前記芯体と接触してその一部分に前記クリーニング液
   が塗布された後その残余のテープが他方の前記リールハ
   ブに全て巻回される間は再度前記芯体と前記クリーニン
   グテープとが接触しないように前記カバー部材の回転を
   減速するように構成され、これにより前記クリーニング
   テープは前記芯体との接触から前記カバー部材との接触
   に切り替わることを特徴とするカセット形クリーナ。