JPH079186A - 溶接ビードのくびれ不良検知方法 - Google Patents

溶接ビードのくびれ不良検知方法

Info

Publication number
JPH079186A
JPH079186A JP15224693A JP15224693A JPH079186A JP H079186 A JPH079186 A JP H079186A JP 15224693 A JP15224693 A JP 15224693A JP 15224693 A JP15224693 A JP 15224693A JP H079186 A JPH079186 A JP H079186A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
arc
arc voltage
abnormality
bead
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15224693A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Koyama
伸二 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP15224693A priority Critical patent/JPH079186A/ja
Publication of JPH079186A publication Critical patent/JPH079186A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arc Welding Control (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は溶接ビードに許容範囲を越えるくび
れ不良が発生したことを検知する溶接ビードのくびれ不
良検知方法に関し、くびれ不良の原因となるアーク放電
異常が溶接途中に発生した場合にも異常を検知すること
を目的とする。 【構成】 アーク電流の流通開始を表すWCR信号の発
生後、他のルーチンによる初期異常検出処理が終了する
のを待って、WCR信号とアーク電圧の監視を開始する
(ステップ100〜104)。WCR信号がオンかつア
ーク電圧10V以下である場合は、短絡が生じていると
推定してカウンタNS をインクリメントし、NS ≧5で
あればスティック現象が生じていると推定して他のカウ
ンタNB をインクリメントする(ステップ106〜11
2)。NB ≧5となったら溶接ビードに許容範囲を越え
るくびれ不良がじたとして異常表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接ビードのくびれ不良
検知方法に係り、特に自動アーク溶接装置によってアー
ク溶接を実行するに際し、形成される溶接ビードに許容
範囲を越えるくびれ不良が発生した場合にかかる状況を
検知する溶接ビードのくびれ不良検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ロボット等を用いてアーク溶
接を自動で行う方法が知られている。このような自動ア
ーク溶接方法では、アーク放電の開始・停止と、溶接ト
ーチ等の移動・停止とを互いに同期させて行う必要があ
る。
【0003】ここで、溶接トーチの移動及び停止に関し
て、またはアーク放電の停止に関しては従来よりそれら
を制御する制御信号とほぼ同期させることが可能であり
問題はない。しかし、アーク放電の開始については、放
電が形成されるまでには若干の時間を必要とし、更には
ワークの状態等により放電が形成されないない場合があ
り、放電開始を指令する制御信号の発生時期と放電開始
時期とは必ずしも同期しないという問題があった。
【0004】つまり、アーク放電の開始時期と溶接トー
チ等の動作時期とを同期させるためには、アーク放電が
開始されたことを検出する機構を設け、その検出信号を
基に同期を図る必要がある。そこで、本出願人は、消耗
電極と溶接を施すべきワークとの間に適切にアーク放電
が形成されたことを表すアーク発生確認信号(WCR信
号)を発生する機構を設け、その信号を基に自動溶接を
行う自動溶接装置を考案し、特願平4−165037号
にその構成を開示している。
【0005】ここで、消耗電極とワークとの間にアーク
放電が形成されたか否かは、両者間に流れる電流(以
下、アーク電流と称す)を監視することによって容易、
かつ確実に判別することができる。アーク電流は、アー
ク電圧のように両者の間隔や雰囲気ガス等の影響を受け
ず、放電が形成されていれば所定値が検出され、放電が
形成されていなければ電流は検出されないからある。
【0006】従って、自動アーク溶接装置においてアー
ク電流を監視してWCR信号を発生し、このWCR信号
を用いて溶接トーチの移動開始時期を判断する上記従来
の装置によれば、精度良く放電開始時期と溶接トーチ移
動開始時期との同期を図ることができ、安定した溶接品
質の確保を可能としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
自動アーク溶接装置においては、アーク電流の流通・遮
断に応じてオン・オフするウェルディングカレントリレ
ーによってWCR信号を発生させる構成を採用してい
る。従って、WCR信号をオンからオフにまたはオフか
らオンに切り換える場合、状態を切り換えるべき旨の指
示がなされてから実際にWCR信号が切り替わるまでに
は、ウェルディングカレントリレーの応答速度等に応じ
た所定のディレイタイムが存在する。
【0008】そして、従来の装置において、このディレ
イタイムは、WCR信号がオフからオンに切り替わる際
のオンディレイが22〜26ms程度、WCR信号がオン
からオフに切り替わる際のオフディレイが170〜23
0ms程度に設定されている。
【0009】この場合においてオンディレイが短時間に
設定されているのは、アーク放電の開始時期をWCR信
号によって精度良く検出するためであり、オフディレイ
が比較的長く設定されているのは、必ずしもWCR信号
によらなくてもアーク放電の停止時期は正確に検知する
ことができるからである。
【0010】つまり、アーク放電の開始時期の検知は、
上記したようにWCR信号の監視に頼らざるを得ない
が、アーク放電の停止時期は、アーク電流の停止を指令
する制御信号を監視することによってより正確に知るこ
とができる。更に、オフディレイをオンディレイと同等
に短時間とすると、WCR信号がアーク電流の変化に対
して敏感に反応し過ぎ、制御に使用し難い信号となる。
【0011】これらの事情を考慮し、WCR信号を発生
するウェルディングカレントリレーについては、上記し
たようにオンディレイについては良好な応答性を優先し
て短時間に、オフディレイについては、WCR信号の安
定性を優先して比較的長時間に設定されている。
【0012】しかしながら、かかる構成を採用する場合
には、アーク電流が所定値を越えてWCR信号が一旦オ
ンとなると、以後170〜230msのオフディレイを越
えて継続的にアーク電流が所定の水準を下回らない限り
WCR信号がオフとなることはない。
【0013】従って、溶接開始時において一旦溶接棒に
所定値を越える電流が流れ、その後溶接の途中でアーク
条件が一時的に悪化するような場合は、適正なアーク放
電が形成されていないにもかかわらず消耗電極の移動が
続行され、溶接ビードにくびれ不良を形成する場合が生
ずる。
【0014】かかる事態を引き起こす原因としては、高
電圧を給電した消耗電極とワークとがおよそ100〜1
50ms毎に短絡を繰り返すスティック現象と、消耗電極
の送給不良とが代表的である。この場合、スティック現
象は、放電回路を構成すべきワークの接地不良や、消耗
電極への給電不良、または消耗電極の酸化等に起因して
発生し、消耗電極の送給不良は、消耗電極を搬送する機
構の異常等に起因して発生するものであり、共に自動ア
ーク溶接装置の構成上その発生はある程度やむを得ない
現象である。
【0015】従って、従来の自動アーク溶接装置によっ
て溶接を行う場合は、溶接後にその品質を検査して不良
ワークの流出を防止する必要があり、外観検査工程等を
設けざるを得ないため、自動機の長所である省人効果を
十分に発揮することができないという問題を有してい
た。
【0016】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、溶接途中においてアーク電圧を監視して、そのア
ーク電圧から推定される溶接状態が、予め設定した許容
範囲を越えるくびれ不良を溶接ビードに形成するもので
あるか否かを基準として異常判定をすることで、上記の
課題を解決し得る溶接ビードのくびれ不良検知方法を提
供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】図1は、上記の目的を達
成する溶接ビードのくびれ不良検知方法の原理構成図を
示す。すなわち、上記の目的は、消耗電極と溶接を施す
べきワークとの間に予め設定されたスペックのアーク放
電を形成すると共に、定められた軌跡で前記消耗電極を
移行させることによりアーク溶接を行う自動アーク溶接
装置によって形成される溶接ビードのくびれ不良を検知
する方法であって、図1(A)に示すように、溶接中に
おけるアーク電圧を監視する第1の処理A1と、該第1
の処理A1において監視するアーク電圧に基づいて、ス
ティック現象が発生しているか否かを判定する第2の処
理A2と、該第2の処理A2においてスティック現象の
発生が検出された場合、該スティック現象が、予め設定
された許容範囲を越えて溶接ビードにくびれを発生させ
るか否かを基準として溶接ビードの品質を判定する第3
の処理A3とを実行する溶接ビードのくびれ不良検知方
法より達成される。
【0018】また、同図(B)に示すようにアーク放電
を実行するに際し、設定された条件下における標準アー
ク電圧をサンプリングする第1の処理B1と、溶接中に
おけるアーク電圧を監視する第2の処理B2と、前記第
1の処理B1においてサンプリングした標準アーク電圧
と、前記第2の処理B2において監視する実アーク電圧
とを相対比較することによりワイヤ送給異常が発生して
いるか否かを判定する第3の処理B3と、該第3の処理
B3においてワイヤ送給異常の発生が検出された場合、
該ワイヤ送給異常が、予め設定された許容範囲を越えて
溶接ビードにくびれを発生させるか否かを基準として溶
接ビードの品質を判定する第4の処理B4とを実行する
溶接ビードのくびれ不良検知方法も有効である。
【0019】
【作用】アーク溶接を実行するにあたってスティック現
象が発生する場合、前記消耗電極と前記ワークとは、周
期的に短絡・絶縁を繰り返す。従って、アーク電圧は、
適正なアーク放電が形成されている場合とスティック現
象が発生している場合とでは異なる波形を示す。
【0020】本発明に係る溶接ビードのくびれ不良検知
方法において、図1(A)に示す前記第2の処理A2に
おいては、かかるアーク電圧波形の特性に鑑みて、前記
第1の処理におけるアーク電圧の監視結果を基に、ステ
ィック現象が発生しているか否かを判定する。
【0021】また、前記第3の処理A3は、発生したス
ティック現象が溶接ビードの品質に与える影響を推定
し、予め設定した許容範囲を越えるくびれ不良が形成さ
れると推定した場合に限って異常判定を行う。従って、
アーク溶接中に許容範囲を越えるくびれ不良が形成され
る場合はその状態が検知され、一方、スティック現象が
発生しても、溶接ビードの品質に大きく影響しない限り
は、その状態が異常として判定されることはない。
【0022】ところで、前記消耗電極の送給不良が発生
すると、該消耗電極の消耗量と送給量との均衡が崩れて
アーク長が長く、従ってアーク電圧が高くなる。つま
り、上記図1(B)に示す第1の処理B1において適当
にアーク電圧をサンプリングすることにより設定した標
準アーク電圧に比べて、前記第2の処理B2で監視する
実アーク電圧が高圧である場合には、アーク長が長い、
すなわち前記消耗電極に送給不良が生じていることが推
定される。
【0023】かかる状況下では、アーク溶接が進行する
に伴って前記ワークに移行する溶滴が不足し、溶接ビー
ドのくびれ不良の原因となる。前記第3の処理B3で
は、このような点に着目して、前記第1の処理B1にお
いて設定した標準アーク電圧と前記第2の処理B2にお
いて設定した実アーク電圧とを相対比較して、ワイヤ送
給異常が発生しているか否かを判定する。
【0024】そして、前記第3の処理B3においてワイ
ヤ送給異常が発生していると判定された場合において、
そのワイヤ送給異常が予め設定した許容範囲を越えるく
びれ不良を形成すると推定される場合に限り、前記第4
の処理B4においてビード異常が判定される。
【0025】
【実施例】図2は、本発明に係る自動アーク溶接方法の
実施に適した自動アーク溶接装置の一実施例の構成図を
示す。
【0026】同図において、符号10はキャリジで、溶
接トーチ11を保持している。キャリジ10はモータで
駆動されるリードスクリューにより溶接トーチ11を高
精度に所定方向に移送させることができる。
【0027】溶接トーチ11は先端部に消耗電極に相当
するワイヤを備えており、必要に応じてこのワイヤを送
り出すことができる。また、ワイヤ12は、溶接トーチ
11を介して溶接電源13の正極端子13aと接続され
ており、ワイヤ12の先端部は溶接電源13の正極端子
13aと等電位に保たれている。
【0028】一方、溶接電源13の負極端子13bは、
被溶接物であるワーク14に接続されて、負極端子13
bとワーク14は等電位に保たれている。このため、ワ
イヤ12の先端部とワーク14とが離間し、かつ両者間
にアーク放電が形成されていない場合、それらの間には
正極端子13aと負極端子13bとの間に発生する電位
差が生ずることとなる。
【0029】同図において符号15は、本発明の一実施
例である溶接ビードのくびれ不良検知方法を実行して不
良ワークの流出防止処置を講じる制御盤で、キャリジ1
0,溶接電源13及び検出ユニット17とそれぞれ電気
的に接続されている。溶接電源13は制御盤15から供
給されるスタート指令を受けて、ワイヤ12とワーク1
4との間に電圧を印加すると共にワイヤ12を定速で送
給して所定のアーク溶接が実現されるべくアーク放電を
開始または停止させる。
【0030】一方、溶接電源13は、ワイヤ12を流れ
る電流をピックアップコイルまたはホール素子等で検出
して、ワイヤ12及びワーク14からなる放電回路に流
通する電流値を検出する。そして、その電流値が所定値
以上となったら、内蔵するウェルディングカレントリレ
ーをオンとしてアーク発生確認信号(WCR信号)を発
生する。このWCR信号は、図2に示すように制御盤1
5及び検出ユニット17へ供給される。
【0031】また、本実施例の溶接電源13は、正極端
子13aと負極端子13bとの間に発生する電圧、すな
わちワイヤ12とワーク14との間に発生するアーク電
圧を検出する電圧検出機構を備えている。そして、検出
したアーク電圧をWCR信号と共に検出ユニット17に
供給している。
【0032】検出ユニット17は、溶接電源13から供
給されるこれらWCR信号及びアーク電圧に基づいて、
公知の方法により溶接開始直後における異常を検出し、
異常検出時にはその状態を表す制御信号を発生して制御
盤15に供給する。制御盤15は、これらの信号に基づ
いて適切なアーク溶接を実行すべくキャリジ10に向け
て移動指令を発して溶接を制御すると共に、異常発生の
際には溶接を中断して異常を表示することにより、不良
ワークの流出を防止する。
【0033】図3及び図4は、制御盤15が実行する溶
接ビードのくびれ不良検知ルーチンのフローチャートで
ある。以下これらを参照して本実施例装置が前記した溶
接ビードのくびれ不良検知方法を実行する際の動作につ
いて詳細に説明するが、それに先立って本実施例装置の
基本動作について説明する。
【0034】本実施例の自動アーク溶接装置は、ワイヤ
12とワーク14との間に、図7(A)に示すようにパ
ルス的に電流値の変化するアーク放電を形成して、いわ
ゆるパルスアーク溶接を実行する自動アーク溶接装置で
ある。
【0035】このパルスアーク溶接は、スパッタの低減
等に有効であるとして従来より一般に知られる溶接方法
であり、パルス電流が流通する際に発生する電磁ピンチ
力を利用してワイヤ12から溶滴を搾り取るようにワー
ク14へ移行させるものである。この場合、適切なパル
ス条件が設定されていれば、1パルス毎に1溶滴がワイ
ヤ12からワーク14へ移行することとなり、外観が美
麗でかつ品質の優れた溶接を実現することが可能であ
る。
【0036】ところで、自動アーク溶接装置において
は、溶接ビードを形成すべく溶滴として消費されるワイ
ヤ量と、それを補うべく送給されるワイヤ量とに均衡が
保たれている必要がある。ワイヤ12送給量が過剰であ
ればいずれ短絡が生じ、またワイヤ12送給量が不足し
ていれば、アーク長が延びてアーク放電のすそ野が不当
に広がる等の不具合を発生させるからである。
【0037】かかる消費量と送給量との均衡は、初期条
件の設定によってある程度確保することが可能である
が、より精度よくアーク長を一定とする必要がある場
合、例えば本実施例装置のようにパルスアーク溶接を実
行する装置であれば、アーク長に応じてパルス周期を適
当に変動させることにより容易にその要求を実現するこ
とができる。
【0038】そこで、本実施例装置においては、図7
(B)に示す如く変動するアーク電圧の平均アーク電圧
を基に平均アーク長を推定し、その平均アーク長が基準
値より長い場合にはパルス周期を長く、また基準値より
短い場合にはパルス周期を短くすべくフィードバック制
御を実行している。
【0039】ところで、自動アーク溶接装置を構成する
にあたっては、ワイヤ12を移送するキャリジ10の制
御を、アーク放電の形成に要するディレイタイムを考慮
したうえで実行する必要があることは前記した通りであ
る。本実施例装置において溶接電源13がWCR信号を
発生するのもかかる点を考慮したものである。
【0040】一方、アーク溶接においては、溶接開始直
後にスティック現象が生じ易いことが経験的に知られて
いる。この場合、前記したようにWCR信号は、所定値
を越える電流が流通すればオンとなり、またスティック
現象を反映させることができない信号である。
【0041】従って、WCR信号だけに頼ってキャリジ
10の移動開始時期を設定する構成では、アーク溶接を
開始すべくワイヤ12とワーク14とを短絡させた時点
でWCR信号がオンとなると同時にアーク放電が形成し
たと判断せざるを得ず、その後実際にはアーク放電では
なくスティック現象に移行したにもかかわらずキャリジ
10を移送してしまう場合が生ずる。
【0042】検出ユニット17は、公知の方法によりこ
のような溶接開始時におけるスティック現象を検出して
制御盤15に知らしめ、不良ワークの流出を防止するた
めに設けられたものである。以下、図8及び図9を参照
して、検出ユニット17が実行する処理について簡単に
説明する。
【0043】図8は、検出ユニット17と溶接電源13
及び制御盤15との結線状態を表すブロック図を示す。
同図及び上記図2に示すように検出ユニット17には溶
接電源13からWCR信号及びアーク電圧信号が供給さ
れている。また、これらの間には検出ユニット16に電
力を供給する電源ケーブルも接続されている。一方、検
出ユニット16から制御盤15へは、後述のビード欠異
常信号が制御信号として供給される。
【0044】このビード欠信号は、制御盤15から溶接
電源13へ向けてアーク放電のスタート指令が発せられ
た後、所定の期間が経過してなおアーク電圧が安定して
いない場合に、溶接開始位置付近にスティック現象に起
因したビード欠異常が発生している漫然性が高いとして
発せられる信号である。
【0045】図9は、検出ユニット17が実行する処理
の内容を表すフローチャートである。以下、同図に沿っ
て検出ユニット17がビード欠異常信号を発生する手順
について説明する。尚、本ルーチンは、所定時間毎、例
えば4ms毎に実施されるように設定されている。
【0046】図9に示すように、本ルーチンは制御盤1
5から溶接電源13に向けてアークスタート指令が出力
されることにより起動し、先ずステップ300において
溶接電源13からWCR信号が入信されたか否かを判別
する。未だWCR信号が入信されていない場合、すなわ
ち未だワイヤ12とワーク14との間に電流が流通して
いない場合には、スティック現象が起こり得ないからで
ある。
【0047】そしてWCR信号を受信していない場合は
そのまま今回の処理を終了し、WCR信号が入信される
のを待ち、その信号を受信したら、ステップ302へ進
んで監視時間タイマをインクリメントすると共に、今回
のインクリメント処理によって所定時間がカウントアッ
プされたか否かを判別する。この監視時間タイマは、ア
ーク溶接が開始された後の時間を積算するタイマで、後
述の理由によりアーク放電開始後所定の時間を区切って
異常検出を行うべく設定したものである。
【0048】従って、監視時間タイマがすでにカウント
アップしていると判別された場合は異常検出を終えるべ
く以後の処理を実行することなく本ルーチンを終了す
る。そして、このタイマが未だカウントアップされてい
ないと判別された場合は、ステップ304へ進んでWC
R信号及びアーク電圧の監視を開始する。
【0049】WCR信号とアーク電圧とを検出したら、
ステップ306に進んでWCR信号がオン、かつアーク
電圧が所定電圧以下であるか否かを判別する。ここで所
定の電圧とは、アーク放電が正常に形成された際のアー
ク電圧に比べて十分低く、かつワイヤ12とワーク14
との短絡時における電圧に比べて十分高い電圧であるこ
とを要し、例えば10V程度が適している。
【0050】つまり、ステップ306の条件は、WCR
信号が立ち上がった後、ワイヤ12とワーク14とが短
絡している状況下で成立し、ワイヤ12とワーク14と
の間に正常にアーク放電が形成されている場合には原則
として成立しない条件である。従って、ステップ306
の条件が長時間または繰り返し成立する場合は、正常に
アーク放電が形成されていない、すなわちスティック現
象が発生していると判断することができる。
【0051】このため、上記ステップ306において条
件が不成立とされた場合は、とりあえず今回の処理を終
了し、条件が成立するまで上記ステップ300〜306
を繰り返し実行する。そして、条件成立と判別された場
合は、ステップ308へ進んで過去において条件成立と
された時間に今回の4msを加算して異常電圧の発生した
時間を累積する。
【0052】ステップ310では、その累積時間が所定
の判定時間Tに達したか否かを判別する。ここで、その
累積時間が所定時間Tに達している場合には、溶接の初
期段階において異常が発生したと判断してステップ31
2においてビード欠異常信号を出力し、まだTに達して
いないと判別された場合には、何らの処理を行うことな
く今回の処理を終了する。
【0053】つまり、溶接開始時において適切にアーク
放電が形成された場合は、原則として異常電圧が発生せ
ず、上記した累積時間が所定時間Tに達することはな
く、検出ユニット17からビード欠異常信号が発せられ
ることはない。これに対して、スティック現象に起因し
て溶接開始後に所定水準を越えて短絡が生じた場合は、
検出ユニット17から制御盤15へ向けてビード欠異常
信号が発せられることになる。
【0054】ところで、アーク電圧は、図7(B)に示
すように周期的に変動する値であり、正常なアーク放電
が形成されている場合においても一時的には短絡状態に
近い状態が検出される場合がある。従って、不当に長い
時間に渡って異常電圧発生時間を累積する場合は、アー
ク放電の状態が正常であるにもかかわらず異常判定がな
される事態を生ずる。
【0055】上記ステップ302において設定した監視
時間タイマは、かかる誤検出を防止するために設けられ
たものである。つまり、監視時間タイマにより異常検出
期間が限定されている場合、ある程度の比率で短絡状態
が検出されない限り異常電圧発生時間の累積時間が所定
時間Tに達することはなく、溶接開始直後におけるステ
ィック現象の発生を適切に監視しつつ上記の弊害を適切
に防止することが可能となる。
【0056】このように、本実施例装置によれば、溶接
開始直後において比較的頻繁に発生するスティック現象
を確実に検出し、自動アーク溶接装置における不良ワー
クの流出を効果的に抑制することができる。
【0057】しかしながら、スティック現象の発生時期
は必ずしも溶接開始時に限られるものではなく、発生頻
度は低いもののアーク溶接実行中に一時的にスティック
現象が起きる場合がある。図10(A),(B)は、か
かる状況が発生した際のアーク電流、アーク電圧波形で
あり、時刻t1 〜t2 ,時刻t3 〜t4 が短絡状態、時
刻t2 〜t3 ,時刻t4 〜t5 が絶縁状態を示してい
る。
【0058】この場合、図11(A)に示すようにワー
ク14に形成される溶接ビード14aにはくびれ異常1
4bが形成されることとなり、そのくびれの程度によっ
ては品質不良として取り扱わなければならない場合があ
る。
【0059】また、ワイヤ12の送給速度の変動やワイ
ヤ12先端部の曲がり具合の変化等(以下、総称してワ
イヤ送給不良と称す)に起因してアーク長が延びる方向
に変動すると、図10(C),(D)に示すようにアー
ク電流(及びアーク電圧)のパルス周期が長期化され、
これに伴って溶滴として移行するワイヤ12の消費量が
減少する。
【0060】この場合、図11(B)に示すように、ワ
ーク14cには溶融幅に対して十分な溶滴が供給されな
いことに起因して、くびれ異常14dを有するいわゆる
アンダーカット状態の溶接ビードが形成され、その程度
によっては不良ワークとして取り扱う必要が生ずる。
【0061】ところが、上記したように検出ユニット1
7による異常検出は、溶接開始直後にのみ実行すること
を必須の要件とするものである。従って、この検出方法
でよっては図10(A)〜(D)に示すように溶接開始
直後ではなく、適当な時間の経過後に発生する異常状態
を検出することができない。
【0062】そこで、本実施例においては、上記検出ユ
ニットが実行する処理とは別個独立に、溶接途中におけ
る異常状態を検出することを目的とした前記溶接ビード
のくびれ不良検知方法を制御盤15内で実行することと
した。以下、図3,図4を参照して、本実施例装置が実
行する溶接ビードのくびれ異常検知方法について詳細に
説明する。
【0063】図3は、本実施例装置において溶接途中に
スティック現象が発生した際に、その異常状態を検出表
示するための処理のフローチャートを示す。尚、同図に
示すルーチンは、溶接開始時においてアークスタート指
令を発すると同時に起動し、以後所定時間毎、例えば4
ms毎に起動するルーチンである。
【0064】同図に示すように本ルーチンが起動する
と、先ずステップ100において溶接電源13からWC
R信号が返信されているかを見る。WCR信号の発生前
においては、アーク放電が未だ形成されていないためス
ティック現象が発生し得ないからである。
【0065】そして、WCR信号が入信されたことを確
認したら、次に上記図9に示すルーチンにおいて用いた
監視時間タイマと同一の時間をセットした監視カットタ
イマをインクリメントし、かつ所定時間がカウントアッ
プされたか否かを判別する。図9に示すルーチン処理が
実行されている間にスティック現象が発生すれば、その
状態は検出ユニット17によって検出され、あえて本ル
ーチンによって検出する必要がないからである。
【0066】従って、監視カットタイマがカウントアッ
プするまでの間は、ステップ102を実行した後そのま
ま処理を終了し、以後4ms毎に監視カットタイマがカウ
ントアップされるまで上記ステップ100,102を繰
り返し実行する。そして、このタイマがカウントアップ
されたら、それ以後に発生するスティック現象を検出す
べくステップ104以降へと進む。
【0067】ステップ104は、WCR信号とアーク電
圧の監視を行うステップであり、本ルーチン中、前記し
た第1の処理A1に相当する。そして、ステップ106
で、その監視結果が“WCR信号オン”かつ“アーク電
圧10V以下”を満たしているか否かを判別する。ここ
で、アーク電圧の比較対象として設定した10Vは、本
実施例装置における正常なアーク電圧に比べて十分に低
い値である。
【0068】つまり、上記ステップ106の条件は、正
常にアーク放電を形成すべき時期においてワイヤ12と
ワーク14とが短絡している場合において成立する条件
である。これに対して、アーク放電を形成すべき時期に
正常にアーク放電が形成されている場合、または、アー
ク電圧が10V以下であってもアーク放電が要求されて
いない場合、すなわちWCR信号がオフとなっている場
合は、ステップ106の条件が成立することはない。
【0069】このようにステップ106は、WCR信号
とアーク電圧とを基に、正常なアーク放電が形成されて
いるか否かを判別するステップである。ところで、上記
したように本実施例装置のアーク電圧は、所定周期で変
動するように設定され、正常にアーク放電が形成されて
いる場合においても一時的な微小短絡を起こす場合があ
る。
【0070】つまり、ステップ106に示す条件が成立
する場合であっても、スティック現象が起きていない場
合も考えられる。このため、本ルーチンにおいては、ス
テップ106に示す条件が成立した場合次いでステップ
108へ進み、スティックカウンタとして設定したカウ
ンタNS をインクリメントして、このNS が例えば
“5”等に設定された所定値に達した場合に始めてステ
ィック現象が発生していると判断することとしている。
【0071】このため、ステップ108においてスティ
ックカウンタNS のインクリメントを行ったら、続くス
テップ110においてNS ≧5の成立性を判別し、まだ
S≧5に達していないと判別された場合には、その後
何らの処理も行うことなく今回の処理を終了する。
【0072】一方、NS ≧5が成立する場合は、スティ
ック現象が発生したと判断して、以後の処理を続行すべ
くステップ112へ進む。このように、本実施例におい
ては、上記ステップ106〜110がスティック現象の
発生判定ステップとして前記した第2の処理A2を実現
している。
【0073】ステップ112においては、スティックカ
ウンタNS をクリアすると共に、スティック現象が溶接
ビードに与える影響の大きさを表示させるべく設定した
ビード異常カウンタNB をインクリメントする。この場
合において、ビード異常カウンタNB とは、発生したス
ティック現象の程度を定量化するために導入した概念で
ある。
【0074】つまり、溶接途中において生じたスティッ
ク現象が極めて短時間で収束したような場合は、溶接ビ
ードが受ける影響は極めて小さく必ずしもそのワークを
不良として取り扱う必要はない。一方、スティック現象
が長期に渡って継続したような場合には、許容範囲を越
えるくびれ不良が形成され、確実にそのワークの流出を
防止する必要がある。
【0075】この際、形成されるくびれ不良の程度は、
主にスティック現象の発生期間に対応し、溶接工程にお
けるスティック現象の発生期間を計測すれば、どの程度
のくびれ不良が形成されたかを推定することが可能であ
る。言い換えれば、どの程度のくびれ不良を不良として
取り扱うかが予め設定されていれば、その許容範囲を越
えるくびれ不良を発生させる程度にスティック現象が継
続した場合にのみ異常として判別することが可能であ
る。
【0076】上記したビード異常カウンタNB は、この
場合におけるスティック現象の継続時間をカウントする
カウンタであり、特に本ルーチンにおいてはNB ≧5と
なる場合をくびれ不良として取り扱う際のしきい値とし
ている。つまり、上記ステップ112においてNB をイ
ンクリメントしたら、次にステップ114へ進み、N B
5 が成立しているか否かを判別する。
【0077】そして、NB ≧5が不成立である場合に
は、まだ溶接ビードに許容範囲を越えるくびれ不良は形
成されていないとして今回の処理を終了する。また、溶
接工程が終了するまでの間本ルーチンが繰り返し実行さ
れる間にNB ≧5が成立すると、許容範囲を越えるくび
れ不良が形成されたと判断してステップ116へ進み、
かかる状況の周知方を図るべく異常表示を行って本ルー
チン処理を終了する。このように、本実施例において
は、上記したステップ112,114がビード異常判定
処理を実行し、前記した第2の処理A3を実現してい
る。
【0078】ところで、本ルーチンにおいては、上記し
たようにスティック現象が溶接ビードに与える影響の大
きさをスティック現象の発生期間を基準として判断して
いる。ところが、溶接工程の途中で一旦発生したスティ
ック現象がその後正常に復帰する場合がある。
【0079】従って、かかる事態を想定せずに単にステ
ィック現象の発生期間を累積する構成とすると、十分に
離間した複数箇所において僅かにスティック現象が発生
したような場合であっても許容範囲を越えるくびれ不良
が発生したとして検知される場合が生ずる。
【0080】そこで、本実施例においては、上記ステッ
プ106において“WCRがオン”、かつ“アーク電圧
が10V以下”の条件が不成立、すなわち形式的に正常
なアーク放電が形成されている状況となった場合には、
ステップ118へ進んでその状態が1000ms継続した
かを判別し、1000ms継続している場合は、ステップ
120においてビード異常カウンタNB をクリアして上
記ステップ114へ進むこととした。
【0081】また、ステップ118において正常状態の
継続時間が1000msには達していないと判別された場
合は、スティック現象中の絶縁状態である可能性を考慮
し、今回はカウンタNB をクリアすることなくステップ
110を経由して処理を終了する。
【0082】この結果、ワーク14上の特定箇所に集中
してスティック現象が発生した場合にのみ異常表示がな
され、溶接ビードにさほど影響しない程度のスティック
現象が異常として扱われることがなく、適切に実情に沿
った異常判定が実現されることになる。
【0083】尚、上記ルーチンにおいては、カウンタN
S ,NB の値を“5”に設定しているが、その値はこれ
に限るものではなく、ワーク14に要求される溶接品質
を基準として、異常として取り扱うべき水準を適宜設定
すればよい。
【0084】図4は、上記図3に示す処理と同様に制御
盤15が実行するルーチン処理のフローチャートであ
り、ワイヤ送給不良による溶接ビードのくびれ不良を検
出することを目的として実行されるものである。尚、図
4に示すルーチンは、溶接電源13へ向けてアークスタ
ート指令を発すると同時に起動するルーチンであり、個
々のステップを順次実行するルーチンである。
【0085】すなわち図4に示す処理が起動すると、先
ずステップ200においてWCR信号が入信されるのを
待つ。そして、WCR信号が入信されたら、ステップ2
02へ進み、上記図3におけるステップ102と同様、
検出ユニット17が初期異常の検出処理を終了するのを
待つべく監視カットタイマをカウントアップする。
【0086】ところで、アーク溶接装置においてワイヤ
送給異常が生じた場合、図10(D)に示すように僅か
ながらアーク電圧は高圧になる。ワイヤの送給量が不足
することに起因してアーク長が延びるからである。本ル
ーチンは、アーク電圧のこのような変動を監視してワイ
ヤ送給異常を検出しようとするものであり、溶接実行中
におけるアーク電圧と基準電圧とを比べることによりそ
の判定を行うものである。
【0087】この場合、アーク溶接の実行条件が単一
で、かつワーク14やワイヤ12の性状等が常時同一で
あれば、基準となる電圧を予め設定することも可能であ
る。しかし、本実施例装置のような自動アーク溶接装置
においては、単一の装置で複数条件の溶接を実行するの
が通常であり、各溶接条件に合わせて個々に基準電圧を
設定しておくのは必ずしも容易ではない。
【0088】そこで、本実施例においては、上記ステッ
プ200及び202の処理を終了したら、ステップ20
4へ進んで所定時間(例えば500ms)に渡ってアーク
電圧をサンプリングし、その平均値を標準アーク電圧と
して記憶することとした。尚、上記ステップ204は、
前記した第1の処理B1に相当する。
【0089】この場合、サンプリングしたアーク電圧
は、上記図9に示す初期異常検出ルーチンを経た直後の
アーク放電に対するものであり、正常時のアーク電圧で
あることが担保されている。従って、このようにして記
憶した標準アーク電圧を基準電圧として設定すれば、個
々の溶接条件に応じた適切な基準電圧が設定されること
となり、ワイヤ送給異常を適切に検出することが可能で
ある。
【0090】ところで、アーク電圧が上記図10
(B),(C)に示すように周期的に変動する場合、標
準アーク電圧との比較電圧としてこれを直接用いること
はできない。かかる変動は、アーク長の変動に起因する
ものではなく、瞬間値自体がワイヤの送給状態を表すも
のではないからである。
【0091】この場合、アーク長の変動、すなわちワイ
ヤ送給状態を変動を電圧値として表すためには、実アー
ク電圧の周期的変動を平滑化すべく所定期間に渡って実
アーク電圧を平均化することが有効である。一方、不当
に長期間に渡って平均化を行うと、ワイヤ送給異常時に
おいてアーク電圧が高圧化した際にその状態が適当な感
度で現れない事態が生ずる。
【0092】このため本実施例においては、アーク電圧
の監視処理を行う前記第2の処理B2を実現するステッ
プ206において、50ms間の平均アーク電圧を算出す
ることとした。
【0093】そして、その演算が終了したら、前記した
第3の処理B3に相当するステップ208へ進み、(平
均アーク電圧)≧(標準アーク電圧)×αの成立性によ
りアーク長が適正な長さに保持されているか、すなわち
ワイヤ12が適切に送給されているかを判断する。この
場合において上記αは、1.0より大きな判定係数で、
本実施例においては例えば1.05としている。
【0094】つまり、図5中に実線及び一点鎖線で示す
(平均アーク電圧)と、破線で示す(標準アーク電圧)
×αとを比較した場合、適正なアーク放電が形成されて
いれば、同図中、時刻t1 以前のように(平均アーク電
圧)≧(標準アーク電圧)×αは成立しないはずであ
る。
【0095】言い換えれば、(平均アーク電圧)≧(標
準アーク電圧)×αが成立するのは、アーク長が不当に
延びた場合、すなわちワイヤ12の送給が適切に行われ
ていない場合に限定されることになる。このため、上記
ステップ208において条件不成立とされた場合は、現
状に問題はないと判断して再度ステップ206へ戻り、
条件成立とされた場合は、ワイヤ送給異常が発生してい
ると判断してステップ210へと進む。このように本実
施例においては、上記ステップ208が、ワイヤ送給異
常の発生判定を行う前記第3の処理を実現している。
【0096】ステップ210は、発生したワイヤ送給異
常が溶接ビードに与える影響の大きさを推定するステッ
プである。つまり、ワイヤ送給異常により溶接ビードが
被る影響は、ワイヤ送給異常の程度によって、すなわち
異常の継続時間によって大きく異なるものである。そこ
で、本実施例においては、ステップ208の条件が成立
した場合、ステップ210では、条件成立後の経過時間
を計数すると共に、その継続時間が所定時間Tに達した
か否かを判別している。
【0097】そして、その継続時間がまだTに達してい
ない場合は、溶接ビードにさほど影響はないと判断して
上記206〜210を繰り返し実行し、継続時間がTに
達した場合は、そのワークを不良として扱うためステッ
プ212へ進んで異常を出力して処理を終了する。この
ように、本ステップ210は、前記した第4の処理B4
を実現している。
【0098】従って、図5において実線で示すように時
刻t1 において(標準アーク電圧)×αを越えた平均ア
ーク電圧が、その後時刻t1 +Tに至るまで継続的に上
記の状態を維持する程度にワイヤ送給不良が継続した場
合には、その状態が確実に異常として把握される。
【0099】一方、図5中に一点鎖線で示すように、一
旦(平均アーク電圧)≧(標準アーク電圧)×αが成立
しても、その状態が溶接ビードに許容範囲を越えるくび
れ不良を形成しない程度の時間で収束した場合には、異
常表示がなされることがない。尚、上記の所定時間T
は、予め設定された溶接ビードのくびれ不良に対する基
準に照らして経験則的に求めた時間である。
【0100】このため、制御盤15が本ルーチンに沿っ
た処理を実行する場合、ワイヤ送給異常によるくびれ不
良が、許容範囲を越える水準である場合にのみ異常判定
がなされ、実情に沿った異常判定が実行されることにな
る。
【0101】ところで、図6は上記ステップ208にお
いて用いた判定係数αと上記ステップ210において用
いた所定時間Tの適切な組み合わせの例を表す図を示し
ている。つまり、判定係数αが比較的大きい値である場
合に(平均アーク電圧)≧(標準アーク電圧)×αが成
立するのは、平均アーク電圧が大幅に高圧化した場合で
あり、成立時間が短時間であっても溶接ビードには大き
なくびれ不良が形成される。
【0102】一方、判定係数αが比較的小さい値である
場合は、平均アーク電圧が僅かに高圧化した場合でも
(平均アーク電圧)≧(標準アーク電圧)×αが成立す
る。従って、溶接ビードに許容範囲を越えるくびれ不良
が形成されるには、その条件が比較的長時間継続する必
要がある。このため、判定係数αと所定時間Tとが図6
に示す如き曲線の関係を満たす場合には、実情に沿った
異常判定が可能である。
【0103】しかし、判定係数αを比較的大きく、かつ
所定時間Tを比較的短く設定する場合、判定(平均アー
ク電圧)が(標準アーク電圧)×αを僅かに下回ってい
る状態が長時間継続した場合にそれを異常として捕らえ
ることができない。これに対してαを小さく、Tを長く
設定した場合は、僅かなワイヤ送給不良をも検出するこ
とが可能である。
【0104】本実施例においてαを1.05と小さな値
に設定しているのは、かかる点に鑑みたものである。こ
のため、本実施例装置によれば、優れた検出精度の下で
確実にワイヤ送給異常を検出することが可能である。
【0105】このように本実施例装置は、制御盤15が
上記図3,図4に示すフローチャートに沿って溶接ビー
ドのくびれ不良検知方法を実行することにより、溶接途
中におけるスティック現象と、ワイヤ送給不良とを検知
し、かつこれらに起因して許容範囲を越えるくびれ不良
が形成される場合には、的確に不良ワークの流出を防止
する。
【0106】このため、アーク溶接の途中に発生する溶
接ビードのくびれ不良に対しても、実情に沿った異常検
出を行うことが可能となり、溶接後に外観検査等を行う
ことなく安定した品質のワークのみを流通させることが
可能となる。
【0107】
【発明の効果】上述の如く請求項1記載の発明によれ
ば、アーク溶接実行中においてもスティック現象の監視
が行われるため、溶接開始直後に限らず溶接工程が終了
するまでの間に発生したスティック現象を適当に検知す
ることができる。また、検知したスティック現象が、溶
接ビードに与える影響の大きさを推定し、その影響が大
きい場合にのみ異常と判定することから、溶接ビードに
許容範囲を越えるくびれ不良が形成される場合だけを異
常として取り扱うことができる。
【0108】このため、本発明に係る溶接ビードのくび
れ不良検知方法によれば、例え溶接過程においてスティ
ック現象が発生しても、溶接ビードが基準を満たしてい
る限り、そのワークが不良品として取り扱われることが
ないと共に、品質が基準を満たしていないワークについ
ては、確実に不良ワークとして流出を防止することがで
きる。従って、本発明に係る方法を自動溶接装置に適用
した場合には、溶接終了後において品質検査を行うこと
なく適切な品質のワークだけを流通させることができ、
自動化による省人効果を十分に享受することが可能とな
る。
【0109】また、請求項2記載の発明によれば、アー
ク溶接途中にワイヤ送給不良が発生した場合に、その異
常状態を確実に検出することができる。そして、そのワ
イヤ送給不良が溶接ビードに与える影響が大きく、溶接
ビードに許容範囲を越えるくびれ不良が形成される場合
は、その、状況が確実に検出され、上記請求項1記載の
方法と同様に、不良ワークの流出を効果的に防止するこ
とができるという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶接ビードのくびれ不良検知方法
の原理図である。
【図2】本発明に係る溶接ビードのくびれ不良検知方法
の実行に適した自動アーク溶接装置の構成図である。
【図3】本実施例装置が実行する溶接ビードのくびれ不
良検知方法のフローチャートの一例である。
【図4】本実施例装置が実行する溶接ビードのくびれ不
良検知方法のフローチャートの他の例である。
【図5】本実施例装置が溶接ビードのくびれ不良検知方
法を実行する際の動作を説明するための図である。
【図6】本実施例装置が溶接ビードのくびれ不良検知方
法を実行する際に用いる判定係数αと判定に要する所定
時間Tとの関係を表す図である。
【図7】本実施例装置におけるアーク電流波形及びアー
ク電圧波形を表す図である。
【図8】本実施例装置が溶接ビードのくびれ不良検知方
法を実行する際に用いる判定係数αと判定に要する所定
時間Tとの関係を表す図である。
【図9】本実施例装置において溶接開始直後における異
常検出を実現すべく検出ユニットが実行する処理のフロ
ーチャートである。
【図10】溶接途中でアーク放電に異常が生じた場合の
アーク電流波形及びアーク電圧波形である。
【図11】溶接途中でアーク放電に異常が生じた場合の
溶接ビードの状態を表す外観斜視図である。
【符号の説明】
A1,B1 第1の処理 A2,B2 第2の処理 A3,B3 第3の処理 B4 第4の処理 10 キャリジ 11 溶接トーチ 12 ワイヤ 13 溶接電源 14 ワーク 14a,14c 溶接ビード 14b,14d くびれ異常 15 制御盤 17 検出ユニット

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消耗電極と、溶接を施すべきワークとの
    間に予め設定された条件に従ってアーク放電を形成する
    と共に、定められた軌跡で前記消耗電極を移行させるこ
    とによりアーク溶接を行う自動アーク溶接装置によって
    形成される溶接ビードのくびれ不良を検知する方法であ
    って、 溶接中におけるアーク電圧を監視する第1の処理と、 該第1の処理において監視するアーク電圧に基づいて、
    スティック現象が発生しているか否かを判定する第2の
    処理と、 該第2の処理においてスティック現象の発生が検出され
    た場合、該スティック現象が、予め設定された許容範囲
    を越えて溶接ビードにくびれを発生させるか否かを基準
    として溶接ビードの品質を判定する第3の処理とを実行
    することを特徴とする溶接ビードのくびれ不良検知方
    法。
  2. 【請求項2】 消耗電極と溶接を施すべきワークとの間
    に予め設定されたスペックのアーク放電を形成すると共
    に、定められた軌跡で前記消耗電極を移行させることに
    よりアーク溶接を行う自動アーク溶接装置によって形成
    される溶接ビードのくびれ不良を検知する方法であっ
    て、 アーク放電を実行するに際し、設定された条件下におけ
    る標準アーク電圧をサンプリングする第1の処理と、 溶接中におけるアーク電圧を監視する第2の処理と、 前記第1の処理においてサンプリングした標準アーク電
    圧と、前記第2の処理において監視する実アーク電圧と
    を相対比較することによりワイヤ送給異常が発生してい
    るか否かを判定する第3の処理と、 該第3の処理においてワイヤ送給異常の発生が検出され
    た場合、該ワイヤ送給異常が、予め設定された許容範囲
    を越えて溶接ビードにくびれを発生させるか否かを基準
    として溶接ビードの品質を判定する第4の処理とを実行
    することを特徴とする溶接ビードのくびれ不良検知方
    法。
JP15224693A 1993-06-23 1993-06-23 溶接ビードのくびれ不良検知方法 Pending JPH079186A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15224693A JPH079186A (ja) 1993-06-23 1993-06-23 溶接ビードのくびれ不良検知方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15224693A JPH079186A (ja) 1993-06-23 1993-06-23 溶接ビードのくびれ不良検知方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH079186A true JPH079186A (ja) 1995-01-13

Family

ID=15536297

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15224693A Pending JPH079186A (ja) 1993-06-23 1993-06-23 溶接ビードのくびれ不良検知方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH079186A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN103003020B (zh) 短弧焊接系统
US4889969A (en) Reduced-spatter pulse arc welding machine for use with a consumable electrode
KR900003877B1 (ko) 용접전원의 제어방법과 장치
US20080237196A1 (en) Consumable electrode type gas shielded arc welding control apparatus and welding control method
JP6596669B2 (ja) アーク溶接の制御方法
EP1252962A2 (en) Welding process stability assessment apparatus for pulsed arc welding
JP4739874B2 (ja) 消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法
CN104768694A (zh) 在焊接操作期间检测熔滴从焊丝的分离的方法
US8035059B2 (en) Method for controlling and/or adjusting a welding process
JP2010253530A (ja) 消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法
US9962786B2 (en) Arc welding method, arc welding apparatus, and arc welding controller
JP4844565B2 (ja) 自動溶接装置
JP5545996B2 (ja) 消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法
JP2973714B2 (ja) パルスアーク溶接装置
JPH079186A (ja) 溶接ビードのくびれ不良検知方法
US20220055136A1 (en) Arc welding method and arc welding device
JPH0127825B2 (ja)
JP2973711B2 (ja) 自動アーク溶接方法
JPH11123546A (ja) アークスタート時の溶接安定性判定方法及び安定性判定装 置
JP2672172B2 (ja) 溶接電源の出力制御方法
JP5511279B2 (ja) ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法およびアーク溶接ロボットの制御装置
JPH03281064A (ja) 溶接電源の出力制御方法
JP2988176B2 (ja) 自動アーク溶接方法
JPH04220171A (ja) アーク溶接用トーチの走行制御装置
JPS6229182Y2 (ja)