JP5511279B2 - ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法およびアーク溶接ロボットの制御装置 - Google Patents

ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法およびアーク溶接ロボットの制御装置 Download PDF

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本発明は、ガスシールドアーク溶接を行う際の改良されたアークスタート制御方法およびアーク溶接ロボットの制御装置に関するものである。
ガスシールドアーク溶接では、アークおよび溶融池に対して炭酸ガス、アルゴンガス等のシールドガス(以下では、単にガスという。)を噴出して大気から遮蔽し、大気が溶接雰囲気内に侵入することを防ぐ必要がある。上記ガスは、その流量が一定の範囲内に収まっていることが重要である。ガス流量が少ない場合は、大気が溶接雰囲気内に侵入することによってアークの状態が不安定になるために、ブローホールが発生したり、スパッタが大量に発生したりする。逆にガス流量が多すぎる場合は、乱流が発生するためにシールド不良となったり、溶け込み不足などが生じたりすることがある。この結果、溶接ビードの外観が悪化し、溶接不良となることがある。
特許文献1には、ガス流量センサによってアーク溶接中のガス流量を監視し、ガス流量が予め設定された値以下になると溶接を停止させる溶接監視装置が開示されている。また、この特許文献1に記載の従来技術を応用すれば、ガス流量が予め設定された値以上になったときにも、溶接を停止させることができる。すなわち、従来技術では、ガス流量が一定の範囲内に収まっていることを監視することによって、溶接不良の発生を未然に防止することができる。
特開平9−57442号公報
ガスによる大気からの遮蔽は、アーク溶接中に限ったことではなく、溶接開始部においても重要である。ガスを電磁弁でON/OFFする一般的なアーク溶接装置においては、電磁弁を開いた時、すなわち溶接を開始する際のプリフロー処理中に過大な流量のガスが放出される。この現象を以下では突流と表現する。突流は、ガスの配管長、圧力、前回のガスOFFからの経過時間等によって、そのピーク流量が変化する。以下に一例を示す。なお、上記した前回のガスOFFからの経過時間とは、溶接箇所が複数連続して存在している場合に、前回の溶接箇所における溶接終了時からの経過時間を意味する。
図6は、ガスの突流の様子を説明するための図である。同図は、設定流量を15リットル/分とした場合に、前回のガスOFFからの経過時間が何秒だったかによってガス流量が時間の経過とともにどのように変化するかを示している。同図(a)は前回のガスOFFからの経過時間が4秒のときの流量変化を示している。同様に、同図(b)は3秒、同図(c)は2秒、同図(d)は1秒、同図(e)は0.5秒のときの流量変化をそれぞれ示している。同図に示すように、電磁弁を開いてしばらくの間は、突流によって過剰な流量のガスが噴出され、時間の経過とともに設定流量である15リットル/分に近づく。プリフロー時間が0.5秒に設定されていると仮定すると、例えば同図(a)では、約42リットル/分のガスが出力されている状態でアークスタート処理が行われることになるために、上述したような溶接不良が発生する可能性がある。
上述した従来技術は、ガス流量をアーク溶接中に監視し、ガス流量に異常があれば溶接を停止する技術である。仮に、この従来技術を溶接開始部においてもガス流量を監視するように構成すれば、突流によるガス流量の過多を検出することができる。しかしながら、このように構成するだけでは、突流が発生しても時間が経過すれば設定流量に近づいて正常な溶接が行えるにも関わらず、ガス流量の過多を検出するたびに溶接を停止してしまうことになる。
このように、従来技術は、突流によるガス流量の過多について考慮されていないために、溶接開始部において突流が発生したときに溶接不良が発生するという課題を有していた。
そこで、本発明は、溶接開始部におけるガス流量を検出し、適正なガス流量であることを判断してからアークスタート処理を実行するガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法およびアーク溶接ロボットの制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、第1の発明は、
溶接電源に溶接開始信号が入力されるとシールドガスの出力を開始し、予め定めたプリフロー時間が経過した後にアークスタート処理を開始するガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法において、
前記シールドガスの流量を検出するガス流量センサからの信号を入力としてガス流量を監視するとともに、前記プリフロー時間が経過した時点で前記ガス流量が所定範囲内であるか否かを判定し、所定範囲内であると判定した場合は前記アークスタート処理を開始し、所定範囲外であって前記ガス流量が所定範囲の上限値を上回っていると判定した場合は、前記ガス流量が所定範囲内になるまで待機してから前記アークスタート処理を開始し、前記ガス流量が所定範囲の下限値を下回っていると判定した場合は、前記シールドガスの出力を停止することを特徴とするガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法である。
の発明は、
溶接電源に溶接開始信号を出力してシールドガスの出力を開始させ、予め定めたプリフロー時間が経過した後に前記溶接電源にアークスタート信号を出力するアーク溶接ロボットの制御装置において、
前記シールドガスの流量を検出するガス流量センサからの信号を入力としてガス流量を監視するとともに、前記プリフロー時間が経過した時点で前記ガス流量が所定範囲内であるか否かを判定し、所定範囲内であると判定した場合は前記アークスタート信号を出力し、所定範囲外であって前記ガス流量が所定範囲の上限値を上回っていると判定した場合は、前記ガス流量が所定範囲内になるまで待機してから前記アークスタート処理を開始し、前記ガス流量が所定範囲の下限値を下回っていると判定した場合は、前記シールドガスの出力を停止する溶接条件出力制御部を備えたことを特徴とするアーク溶接ロボットの制御装置である。
発明のアークスタート方法によれば、溶接開始部において突流が発生し、ガス流量が過多になることによる溶接不良の発生を防止することができる。さらに、プリフロー時間が経過した時点でガス流量が適正範囲を下回っているときは、ガスの圧力不足またはガス残量の不足等、異常があるものと見なして即座に処理を停止するようにしたことによって、ガス流量の不足を早期に検出してガスが余分に出力されることを防止することができる。
また、発明のアーク溶接ロボットの制御装置によれば、溶接開始部において突流が発生し、ガス流量が過多になることによる溶接不良の発生を防止することができる。さらに、プリフロー時間が経過した時点でガス流量が適正範囲を下回っているときは、ガスの圧力不足またはガス残量の不足等、異常があるものと見なして即座に処理を停止するようにしたことによって、ガス流量の不足を早期に検出してガスが余分に出力されることを防止することができる。
本発明に係るアーク溶接ロボット1のブロック図である。 本発明の実施形態1に係る溶接条件出力制御部28の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 本発明に係る溶接条件出力制御部28の処理に基づくタイミングチャートである。 本発明の実施形態2に係る溶接条件出力制御部28の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 本発明に係るアーク溶接装置31のブロック図である。 ガスの突流の様子を説明するための図である。
[実施の形態1]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るアーク溶接ロボット1のブロック図である。同図に示すように、アーク溶接ロボット1は、マニピュレータ14、ティーチペンダント15、ロボット制御装置16および溶接電源21によって大略構成される。
同図において、マニピュレータ14は、ワーク2に対してアーク溶接を自動で行うものであり、複数のアーム部および手首部と、これらを回転駆動するための複数のサーボモータ(いずれも図示せず)とによって構成されている。このマニピュレータ14の上アームの先端部分には、溶接トーチ7が取り付けられている。溶接トーチ7は、ワイヤリール(図示せず)に巻回された直径1mm程度の溶接ワイヤ13を、ワーク2上の教示された溶接線に導くためのものである。
ティーチペンダント15は、溶接加工を行う区間の各教示点および溶接条件(溶接電流、溶接電圧および溶接速度等)を、教示データDwとして入力するためのものである。
ロボット制御装置16は、ティーチペンダント15から入力された教示データDwに基づいてマニピュレータ14に動作制御信号Mcを出力したり、溶接電源21に溶接開始信号Wsを出力したりするものであり、CPU23、RAM24、ハードディスク25、ROM26、タイマ22およびサーボドライバ(図示せず)の各部を備えており、これらはバス(図示せず)を介して接続されている。
CPU23は中央演算処理装置、RAM24は一時的な計算領域である。ハードディスク25はマニピュレータ14の教示データDw、各種パラメータ等を記憶するための不揮発性メモリであり、後述するプリフロー時間Pt、ガス流量の適正範囲である上限値Whと下限値Wl、最大待機時間Wt等の溶接制御パラメータが予め記憶されている。ROM26は、ロボット制御装置16の制御を行うための制御ソフトウェアを備えており、本実施形態では、解釈実行部27および溶接条件出力制御部28を備えている。タイマ22は、各種時間の計測を行う。
解釈実行部27は、教示データDwを解釈し、この解釈結果に基づいて動作制御信号Mcをマニピュレータ14に出力する。また、溶接条件出力制御部28に溶接開始タイミング等を通知する。
溶接条件出力制御部28は、溶接電源21に溶接開始信号Wsを出力する。溶接条件出力制御部28の詳細については、後述する。なお、上記溶接開始信号Wsは、この信号のみでプリフロー処理を開始し、次いでプリフロー時間が経過した後にアークスタート処理を実行させるように構成しても良いし、溶接開始信号Wsでプリフロー処理を開始させ、アークスタート信号Asでアークスタート処理を開始させるように、信号を分けて出力するように構成しても良い。以下では、後者の場合を例に説明する。なお、アークスタート処理とは、消耗電極式アーク溶接法の場合は、ワーク2と溶接トーチ7間への電圧印加および溶接ワイヤ7の送給開始を意味し、非消耗電極式アーク溶接法の場合は、ワーク2と溶接トーチ7間への電圧印加の処理を意味する。プリフロー処理とは、溶接開始部を大気から遮蔽して酸化を防止するために、アークスタート処理に先だって行うガスの出力処理のことである。
溶接電源21は、ロボット制御装置16からの溶接開始信号Wsを入力として、溶接トーチ7からガスを出力させるためのガス出力信号Gsを、後述するガス電磁弁19に出力する。また、ロボット制御装置16からのアークスタート信号Asを入力として、溶接トーチ7とワーク2との間の電力供給を開始するアークスタート処理を行う。ガス電磁弁19は、ガス出力信号Gsを入力として、ガスシリンダ20からガスを溶接トーチ7へ供給する。ガス流量センサ18は、ガス電磁弁19に取り付けられており、ガスシリンダ20から供給されるガスの流量を検出し、ガス流量信号Gvとしてロボット制御装置16に出力する。
次に、アーク溶接ロボット1の動作について説明する。ロボット制御装置16に起動信号が入力されると、解釈実行部27が教示データDwを解釈して軌道計画等の演算を行い、演算結果に基づいてマニピュレータ14の各サーボモータに動作制御信号Mcを出力するとともに、溶接条件出力制御部28に溶接開始タイミングを通知する。この結果、マニピュレータ14の複数の軸がそれぞれ回転し、溶接トーチ7が溶接開始点へ到達する。この後、溶接条件出力制御部28が以下の処理を行う。
図2は、本発明の実施形態1に係る溶接条件出力制御部28の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
同図のステップS1において、溶接条件出力制御部28は、解釈実行部27から通知された溶接開始タイミングで、溶接開始信号Wsを溶接電源21に出力する。この信号により、溶接電源21からガス出力信号Gsがガス電磁弁19に出力され、ガスが溶接トーチ7へ供給される。すなわち、プリフローが開始される。プリフローが開始されると、ガス流量センサ18がガスの流量を検出し、検出結果をガス流量信号Gvとしてロボット制御装置16に出力する。溶接条件出力制御部28は、同ステップにおいて、上記ガス流量信号Gvの監視を開始する。
ステップS2において、タイマ22にてプリフロー時間の計測を開始する。
ステップS3において、プリフロー時間の計測値が、予め定めたプリフロー時間Ptに到達したか否かを所定周期毎に判定する。計測値がプリフロー時間Ptに到達していない場合は、プリフローを継続する。計測値がプリフロー時間Ptに到達した場合(YESの場合)は、ステップS4に移行する。
ステップS4において、タイマ22にて待機時間の計測を開始する。この待機時間とは、ガス流量が予め定めた適正範囲内になるのを待機する時間のことである。また、適正範囲とは、ガスシリンダ20から出力される設定出力流量(例えば15リットル/分)に±3リットル程度の範囲(上限値Whおよび下限値Wl)を持たせたものであり、ハードディスク25に予め記憶されている。
ステップS5において、ガス流量が適正範囲内であるか否かを判定する。すなわち、プリフローが終了した時点におけるガス流量が、適正範囲の上限値Whと下限値Wlとの間の値であるか否かを判定する。適正範囲内であると判定した場合(YESの場合)はステップS6に移行する。適正範囲外であると判定した場合(NOの場合)は、ステップS7に移行する。
ステップS6において、アークスタート信号Asを溶接電源21に出力する。これにより、溶接電源21が出力を開始し、溶接トーチ7とワーク2との間に溶接電流が通電されてアークが発生する。アークが発生した後は、マニピュレータ14が溶接線上を移動する。すなわち、ワーク2に対するアーク溶接加工が行われる。
ステップS7において、ステップS4で計測を開始した待機時間が、予め定めた最大待機時間Wtに到達したか否かを所定周期毎に判定する。計測した待機時間が最大待機時間Wtに到達していない場合(NOの場合)は、ステップS5に戻り、ガス流量が適正範囲内であるか否かを所定周期毎に判定し、処理を繰り返す。一方、計測した待機時間が最大待機時間Wtに到達した場合(YESの場合)は、ステップS8に移行する。
ステップS8においては、最大待機時間Wtが経過してもガス流量が適正範囲内にならなかったものとしてガスの停止信号を出力してガスを停止させる。このとき、異常信号を出力してマニピュレータ14を一時停止状態にするとともに、ティーチペンダント15に異常メッセージ等を表示させるように構成しておくことが望ましい。
図3は、溶接条件出力制御部28の処理に基づくタイミングチャートである。同図(a)は、ガス出力信号Gsの出力タイミングを示している。同図(b)は、アークスタート信号Asの出力タイミングを示している。同図(c)は、ガス流量(ガス流量信号Gv)が時間tの経過とともに増減する様子を示しており、ガス流量の代表的な変化パターンとして、ガス流量波形L(実線)、ガス流量波形M(点線)およびガス流量波形N(一点鎖線)を例示している。また、ガス流量の変化パターンが上記ガス流量波形(L、MおよびN)となった場合に、アークスタート信号Asの出力タイミングがどのように変化するかを、同図(b)において、L、MおよびNの同符号を付与して示している。以下、同図に示したt1〜t4のタイミングで、ガス流量に応じてアークスタート信号Asがどのタイミングで出力されるかを説明する。
(1.時刻t1)
溶接条件出力制御部28は、溶接開始信号Wsを溶接電源21に出力する(ガス出力信号GsがONになる)。すなわち、プリフローを開始する。この時刻t1から時刻t2の期間は、プリフロー時間Ptに相当する。
(2.時刻t2)
時刻t2は、プリフロー時間Ptが経過した時点である。このとき、ガス流量波形Mのように、ガス流量が適正範囲内であればアークスタート信号Asを溶接電源21に出力する。すなわち、アークスタート処理を開始する。ガス流量波形LまたはNのように、ガス流量が適正範囲外であれば、ガス流量が適正範囲内になるまで待機する。すなわち、ガス流量の監視を継続し、所定周期毎にガス流量が適正範囲内であるか否かを判定する。
(3.時刻t3)
ガス流量波形Lのように、最大待機時間Wt内の時刻t3のタイミングに、ガス流量が適正範囲になったときは、アークスタート信号Asを溶接電源に出力してアークスタート処理を開始する。
(4.時刻t4)
ガス流量波形Nのように、最大待機時間Wtが経過してもガス流量が適正範囲内にならなかったときは、ガス出力信号をOFFにしてガスの出力を停止する。
上述したように、ガス流量センサによってガス流量を監視するとともに、プリフロー時間が経過した時点でガス流量が所定の適正範囲内であるか否かを判定する。そして、ガス流量が適正範囲内であるときはアークスタート処理を開始し、適正範囲外であるときはガス流量が適正範囲内になるまで待機してからアークスタート処理を開始するようにしている。このことによって、溶接開始部において突流が発生し、ガス流量が過多になることによる溶接不良の発生を防止することができる。逆に、何らかの原因でガス流量が不足している場合であっても、ガス流量が適正範囲内に増加するまで待機してからアークスタート処理を行うので、溶接不良の発生を防止することができる。
また、プリフロー時間が経過した時点でガス流量が適正範囲外であると判定した場合は、ガス流量を継続して監視し、予め定められた最大待機時間中にガス流量が適正範囲内になったときはアークスタート処理を開始するようにしている。また、最大待機時間が経過してもガス流量が適正範囲内にならなかったときはガスを停止するようにしている。このことによって、上記効果に加えて、溶接開始部における溶接不良の発生を、より確実に防止することができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態1との相違は、溶接条件出力制御部28の処理において、プリフロー時間が経過した時点でガス流量が適正範囲外であると判定したのちに、さらにガス流量が適正範囲の下限値を下回っているか否かを判定し、下限値を下回っていると判定したときは、すぐにガス停止信号を出力するように構成した点である。
図4は、本発明の実施形態2に係る溶接条件出力制御部28の処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図において、実施形態1との処理が同一の部分は点線で示し、処理が異なる部分は実線で示している。以下、実施形態1との相違部分について説明する。
ステップS5においてプリフロー時間が経過した時点でガス流量が適正範囲外であると判定した場合は、さらにステップS7’において、ガス流量が適正範囲の下限値Wlを下回っているか否かを判定する。下限値Wlを下回っていると判定した場合(YESの場合)は、すぐにガス停止信号を出力する。このとき、マニピュレータ14を停止させるとともにティーチペンダント15に異常メッセージ等を表示させるように構成しておくことが望ましい。ガス流量が下限値Wlを下回っていないと判定した場合(NOの場合)は、ステップS7に移行する。この後の処理は、実施形態1と同様である。
上述したように、プリフロー時間が経過した時点でガス流量が適正範囲外であると判定した場合は、さらにガス流量が適正範囲の下限値を下回っているか否かを判定する。そして、ガス流量が適正範囲の下限値を下回っているときは、ガスを停止するようにしている。すなわち、プリフロー時間が経過した時点でガス流量が適正範囲を下回っているときは、ガスの圧力不足またはガス残量の不足等、異常があるものと見なして処理を停止するようにしたことによって、ガス流量の不足を早期に検出してガスが余分に出力されることを防止することができる。
ところで、上述した実施形態1および2では、本発明をロボット制御装置16に適用したアーク溶接ロボット1に具体化して説明した。これに替えて、ロボット制御装置16に備えた溶接条件出力制御部28の機能および溶接制御パラメータ(プリフロー時間Pt、ガス流量の適正範囲の上限値Whおよび下限値Wl、最大待機時間Wt)を、図5に示すように溶接電源21に内蔵し、ロボット制御装置16を不要としたアーク溶接装置31として本発明を実現できることは言うまでもない。すなわち、アーク溶接ロボットに限らず、作業者が溶接トーチによって溶接加工を施す場合、溶接トーチを単純な駆動機構によって駆動するような自動溶接加工装置によって溶接加工を施す場合等、適宜その形態は変更できるものである。
1 アーク溶接ロボット
2 ワーク
7 溶接トーチ
13 溶接ワイヤ
14 マニピュレータ
15 ティーチペンダント
16 ロボット制御装置
18 ガス流量センサ
19 ガス電磁弁
20 ガスシリンダ
21 溶接電源
22 タイマ
25 ハードディスク
27 解釈実行部
28 溶接条件出力制御部
As アークスタート信号
Dw 教示データ
Gs ガス出力信号
Gv ガス流量信号
L ガス流量波形
M ガス流量波形
N ガス流量波形
Mc 動作制御信号
Pt プリフロー時間
t 時間
t1 時刻
t2 時刻
t3 時刻
t4 時刻
Wh 流量適正範囲の上限値
Wl 流量適正範囲の下限値
Ws 溶接開始信号
Wt 最大待機時間

Claims (2)

  1. 溶接電源に溶接開始信号が入力されるとシールドガスの出力を開始し、予め定めたプリフロー時間が経過した後にアークスタート処理を開始するガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法において、
    前記シールドガスの流量を検出するガス流量センサからの信号を入力としてガス流量を監視するとともに、前記プリフロー時間が経過した時点で前記ガス流量が所定範囲内であるか否かを判定し、所定範囲内であると判定した場合は前記アークスタート処理を開始し、所定範囲外であって前記ガス流量が所定範囲の上限値を上回っていると判定した場合は、前記ガス流量が所定範囲内になるまで待機してから前記アークスタート処理を開始し、前記ガス流量が所定範囲の下限値を下回っていると判定した場合は、前記シールドガスの出力を停止することを特徴とするガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法。
  2. 溶接電源に溶接開始信号を出力してシールドガスの出力を開始させ、予め定めたプリフロー時間が経過した後に前記溶接電源にアークスタート信号を出力するアーク溶接ロボットの制御装置において、
    前記シールドガスの流量を検出するガス流量センサからの信号を入力としてガス流量を監視するとともに、前記プリフロー時間が経過した時点で前記ガス流量が所定範囲内であるか否かを判定し、所定範囲内であると判定した場合は前記アークスタート信号を出力し、所定範囲外であって前記ガス流量が所定範囲の上限値を上回っていると判定した場合は、前記ガス流量が所定範囲内になるまで待機してから前記アークスタート処理を開始し、前記ガス流量が所定範囲の下限値を下回っていると判定した場合は、前記シールドガスの出力を停止する溶接条件出力制御部を備えたことを特徴とするアーク溶接ロボットの制御装置。
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