JPH0791702B2 - ダブルツイスタによる撚糸方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は、ダブルツイスタによる撚糸方法に関するもの
である。

（ロ）従来の技術 従来から、糸条に対する施撚は、リング撚糸機やアップ
ツイスタ等を使用して行われてきたが、生産性が低いこ
とや、施撚されて形成される撚糸のパッケージが小さい
ことなどの理由によって、ダブルツイスタによる施撚が
望まれている。このダブルツイスタによる施撚において
は、それに供給されるパッケージは、パーンワインド方
式によって巻かれたパッケージか、又はストレートチー
ズ形状に巻かれたパッケージである。

しかしながら、ダブルツイスタによる糸条の施撚に、上
記のごときパッケージを用いると、ダブルツイスタの機
構上、糸道に屈曲が多いため、パッケージからの解舒性
の悪い糸条では、糸切れが多発して操業性を著しく低下
させるという問題点があった。特に近年、毛羽やループ
を故意に付与した糸条、あるいはネップやスラブ状の太
さ斑を有する糸条等の特殊加工糸の施撚が必要となって
きたが、これらの糸条は、いずれもパッケージからの解
舒性が悪く、そのために糸切れが極端に多くなって、操
業性が大幅に低下し、従ってそれ等の糸条に対するダブ
ルツイスタによる施撚は事実上不可能に近い。

（ハ）発明が解決しようとする問題点 本発明は、ダブルツイスタによる施撚の際の、上記のご
とき問題点を解決するため、糸条解舒性の極めて良好な
パッケージを使用して施撚する撚糸方法を提供しようと
するものである。

（ニ）問題点を解決するための手段及び作用 本発明は、ダブルツイスタにより糸条を撚糸する際、糸
条を傾斜角度２〜10゜の傾斜ボビンに一定の巻取速度で
且つ一定の張力で巻取って形成したパッケージを装着
し、施撚することを特徴とするダブルツイスタによる撚
糸方法である。

第１図は、本発明においてダブルツイスタに装着するパ
ッケージの立面図を示すものである。パッケージ（１）
は、傾斜ボビン（２）に糸条（Ｙ）を巻取ったものであ
る。前記傾斜ボビン（２）は、その軸線（Ｃ）と母線
（Ｌ）とのなす角である傾斜角度（θ）を２〜10゜にし
たものであり、この傾斜角度（θ）が２〜10゜の傾斜ボ
ビンを用いることにより、解舒性の良好なパッケージが
得られる。即ち前記傾斜ボビン（２）に糸条（Ｙ）を巻
取って得られるパッケージ（１）は、第１図に示すごと
く、傾斜ボビン（２）の形状に沿って形成されるためコ
ーンの形状となり、ダブルツイスタのスピンドルに小径
側を上部にして装着することができ、施撚のための糸条
の上方への解舒が極めて円滑に行われることになる。傾
斜ボビン（２）の傾斜角度（θ）が２゜未満であると解
舒性が依然悪く、施撚時の糸切れが多く、操業性と品質
が低い。又傾斜角度（θ）が10゜より大きいと、解舒性
については問題ないが、ボビンへ巻取れる糸量が少なく
なって生産性が低下することになって実用上不適当であ
る。

また、パッケージ（１）からの糸条（Ｙ）の解舒性を良
好にするためには、傾斜ボビン（２）への糸条（Ｙ）の
巻取りを一定の糸速で且つ一定の張力で行わなければな
らない。即ち、本発明においては、傾斜ボビン（２）を
使用しているため、糸条（Ｙ）の巻取り時における糸速
に変動が生じ易い。そして、変動の多い糸速で巻取った
パッケージを使用して、糸条（Ｙ）の解舒を行うと、糸
条（Ｙ）の張力変動によって解舒性が不良となり易いの
である。そこで、傾斜ボビン（２）に一定の糸速で且つ
一定の張力で糸条（Ｙ）を巻取るのである。ボビンに一
定速度で糸条（Ｙ）を巻取る方法としては、機械的な方
法など種々あるが、電気的方法が正確迅速に巻取速度を
制御しうる点で最も好ましい。第２図は、その方法の一
例を示す簡略説明図である。即ち、給糸パッケージ（1
1）から解舒されて走行する糸条（Ｙ）はヤーンガイド
（12a），（12b）を経て、糸条の形態や糸質により必要
に応じて取付けられる張力付加装置（13）に入り、該装
置（13）を通過することにより張力の調整を受け、次に
ヤーンガイド（12c）を経て、周波数検出用センサ（1
4）に接触する。この接触により、周波数検出用センサ
（14）は、走行する糸条（Ｙ）の走行速度の変化を電気
信号の周波数の変化に変換してパルス信号を発し、この
パルス信号を定速巻取制御装置（15）にインプットし
て、巻取スピンドル（16）の回転数を制御することによ
り、該周波数検出用センサ（14）から出てトラバースガ
イド（17）を経由し、巻取スピンドル（16）に装着され
て回転する傾斜ボビン（２）に巻取られている糸条
（Ｙ）の巻取速度を、一定に保つことができる。又この
場合、糸条（Ｙ）を傾斜ボビン（２）に巻取る綾角度
を、トラバースガイド（17）により、最適の解舒性を有
する角度となるよう調整する。なお、（18）はモータ，
（19）はインバータである。

（ホ）実施例 150D/48Fのポリエステルマルチフィラメント糸と75D/48
Fのポリエステルマルチフィラメント糸と同時に空気交
絡処理を施して形成したループ状毛羽を有するスパンラ
イク加工糸を、３゜30′の傾斜角度を有する傾斜ボビン
に、巻取張力50gで、300m/minの一定の巻取速度で巻取
ってパッケージを形成し、該パッケージをダブルツイス
タ（村田，＃203）のスピンドルに装着して施撚したと
ころ、バルーンテンションは安定し、ロータリディスク
への巻付角も300〜360゜と安定で、100錘１時間当りの
糸切れも0.1回となり、極めて操業性が良好であった。

これに対し、比較例として、前記実施例と同一のスパン
ライク加工糸を、従来のパーンワインダ方式による巻取
方法で巻取ってパッケージとし、該パッケージを前記実
施例と同様にダブルツイスタに装着して、同一条件で施
撚したところ、糸条の解舒不良によりバルーンテンショ
ンの変動が極めて大きくなり、ロータリディスクへの巻
付角が30〜400゜と大きく変動して、このため100錘１時
間当りの糸切れが80回であり、操業が困難であった。

（ヘ）発明の効果 本発明は、上記のごとき構成からなり、従来ダブルツイ
スタでの施撚が非常に困難であった解舒性不良の糸条で
も、傾斜角度２〜10゜の傾斜ボビンに、一定の糸速で且
つ一定の張力で、巻取ってパッケージとし、このパッケ
ージをダブルツイスタに装着して施撚することにより、
解舒が円滑に行われ、糸切れ少なく、効率良く撚糸する
ことができるのである。即ち、本発明はダブルツイスタ
による撚糸方法において、ボビンとして傾斜角度２〜10
゜の傾斜ボビンを使用すること、及びボビンに糸条を巻
取る際、一定の糸速で且つ一定の張力で巻取ることとい
う二つの要因の相乗効果によって、糸条の解舒性を良好
にし、糸切れが少なく、効率良く撚糸することができる
のであって、本発明は生産性と品質の向上に寄与すると
ころ極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明で用いるパッケージの立面図、第２図は
糸条の定速巻取方法の簡略説明図である。 （Ｙ）……糸条，（１）……パッケージ，（２）……傾
斜ボビン， （14）……周波数検出用センサ， （15）……定速巻取制御装置， （16）……巻取スピンドル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ダブルツイスタにより糸条を撚糸する際、
   糸条を傾斜角度２〜10゜の傾斜ボビンに一定の巻取速度
   で且つ一定の張力で巻取って形成したパッケージを装着
   し、施撚することを特徴とするダブルツイスタによる撚
   糸方法。
2. 【請求項２】糸条をパッケージに巻取る前に、糸条の巻
   取速度を検出して該巻取速度の変化を算出し、該変化に
   応じてパッケージの回転数を制御して、一定の巻取速度
   で且つ一定の張力で糸条を巻取ってパッケージを形成す
   る特許請求の範囲第（１）項記載のダブルツイスタによ
   る撚糸方法。