JPH0672629A - 糸条巻取り方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 テール出し時における巻取り張力をたるませ
ずに、ほぼ通常の巻取り張力を維持して、テール出しし
た糸端がなくなるようなことを防止して確実なテール出
しを行な得るようにした糸条巻取り方法を提供する。 【構成】 巻取りドラム５に摩擦接触されて回転される
巻取りパッケージ１１に糸条Ｙを巻取る際、テール出し
時の糸速Ｖを通常の巻取りパッケージ１１に巻取ってい
るときの巻取り速度ＶｏよりもΔＶだけ速めてテール出
しを行なうことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば仮ヨリ糸など
の糸条を巻取りパッケージに巻取る際の糸条巻取り方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば仮ヨリ糸などの糸条を巻取
る巻取り装置としては、回転している巻取りドラムに巻
取りパッケージを摩擦接触せしめて回転させ、この巻取
りパッケージに糸条を巻取ることが知られている。

【０００３】この巻取り装置において、図３（Ａ）に示
すように、巻取りパッケージに糸条を巻取り始めてか
ら、一定の巻量になるまでの巻取り時間ｔにおいて、糸
速Ｖは常に一定の糸速Ｖｏで巻取られている。

【発明が解決しようとする課題】

【０００４】ところで、巻取りパッケージに糸条が一定
の巻量に巻かれると、満管パッケージとなり、次の空の
巻取りパッケージに切替えられる。この空の巻取りパッ
ケージに糸条を巻取る際に、次工程時に必要な例えば
０．５〜１ｍ程度の糸端を通常の巻取り幅より外れた左
端又は右端の巻取りパッケージに巻取るテール出し作業
を行なっている。

【０００５】このテール出し作業における巻取り速度
も、通常の巻取り速度と同じ糸速Ｖｏであるため、図３
（Ｂ）に示したように、テール出し時間Δｔにおいては
巻取り張力Ｔが通常の巻取り張力ＴｏよりもΔＴだけ弱
い張力となってたるみを生じる恐れがある。そのため
に、テール出しした糸条の糸端が例えば巻取りパッケー
ジを把持しているクレードルのフランジから外れやすく
なり、延いてはせっかくテール出しした糸端がなくなっ
てしまい、次工程において他の糸端とテール結びが出来
ず、機械を停止せしめてしまうような問題があった。

【０００６】この発明の目的は、上記問題点を改善する
ために、テール出し時における巻取り張力をたるませず
に、ほぼ通常の巻取り張力を維持して、テール出しした
糸端がなくなるようなことを防止して、確実なテール出
しを行な得るようにした糸条巻取り方法を提供すること
にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、巻取りドラムに摩擦接触されて回転さ
れる巻取りパッケージに糸条を巻取る際、テール出し時
の糸速Ｖを、通常巻取りパッケージに巻取っているとき
の巻取り速度ＶｏよりもΔＶだけ速めてテール出しを行
なうことを特徴とする糸条巻取り方法である。

【０００８】

【作用】この発明の糸条巻取り方法を採用することによ
り、巻取りドラムを巻取速度Ｖｏとなるように回転せし
め、この巻取りドラムに巻取りパッケージを摩擦接触せ
しめて回転させる。この回転している巻取りパッケージ
に糸条を巻取る。

【０００９】この巻取りパッケージに糸条を巻取り、テ
ール出しを行なうときのテール出し時間中の巻取り速度
を、通常の速度ＶｏよりもΔＶだけ速めにして、巻取り
張力ＴがΔＴだけ弱くなるのを防止して通常の巻取り張
力Ｔｏとほぼ同程度に維持することにより、糸条にたる
みが発生せず、テール出しした糸端がなくなるようなこ
とはなく、確実にテール出しが行なわれる。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

【００１１】図２を参照するに、糸条巻取り装置１は、
左右方向へ延伸した回転自在な回転軸３を備えており、
この回転軸３には適宜な間隔で複数の巻取りドラム５
（この実施例では１個のみ示してある）が装着されてい
る。

【００１２】この各巻取りドラム５には左右のクレード
ルアーム７Ｌ，７Ｒを備えたクレードル７が設けられて
おり、左右のクレードルアーム７Ｌ，７Ｒの先端部には
回転自在なフラシジ９Ｌ，９Ｒが支承されている。この
フランジ９Ｌと９Ｒとには巻取りパッケージ１１が把持
される。

【００１３】上記構成により、回転軸３を一定の速度Ｖ
ｏで回転せしめ、この回転軸３にクレードル７における
左右のクレードル７Ｌ，７Ｒに支承されたフランジ９Ｌ
と９Ｒとに巻取りパッケージ１１が把持される。そし
て、この巻取りパッケージ１１を巻取りドラム５上に摩
擦接触せしめることによって、巻取りパッケージ１１が
巻取り速度Ｖｏで回転されることになる。

【００１４】この状態において、例えば図示省略の仮ヨ
リ装置の仮ヨリスピンドル，ヒータにより仮ヨリ加工さ
れた仮ヨリ糸としての糸条Ｙが図２において下方から上
方へ走行され、ヤーンガイド１３を経て巻取りドラム５
に設けられた綾振り溝に案内されながらトラバースされ
て巻取りパッケージ１１に巻取られることになる。

【００１５】巻取りパッケージ１１には一定の巻取り速
度Ｖｏで巻取り張力Ｔｏで巻取られるが、例えば巻取り
パッケージ１１に巻取られた糸条Ｙが一定の巻量になる
と、空の巻取りパッケージ１１に切替えられる。その際
に、走行している糸条Ｙの糸端を例えばフランジ９Ｒの
切欠きに引っかけてテール出しが行なわれる。

【００１６】このテール出しが行なわれているテール出
し時間Δｔ中、図１（Ａ）に示されているように、巻取
り速度（糸速）を、通常の巻取り速度ＶｏよりもΔＶだ
け速めた巻取り速度（Ｖｏ＋ΔＶ）にすることにより、
走行している糸条Ｙの巻取り張力はたるむことがなく、
図１（Ｂ）に示されているように、通常時の巻取り張力
Ｔｏに維持されてテール出しが行なわれる。

【００１７】テール出しが終了すると（テール出し時間
Δｔを退ぎると）、元の巻取り速度Ｖｏに切替えられて
通常の巻取りが行なわれることになる。

【００１８】このように、テール出しを行なっている
間、巻取り速度を通常の巻取り速度ＶｏよりもΔＶだけ
速めることによって、巻取り張力がたるむことなく通常
の巻取り張力Ｔｏを維持することになり、例えばテール
出しした糸端がなくなるようなことはなく、確実にテー
ル出しを行なうことができる。したがって、次工程にお
ける他のパッケージの糸条とテール結びを行なうことが
できる。

【００１９】この実施例の糸条巻取り方法は、複数の巻
取りパッケージを一斉にテール出しを行なうのに、しか
も低巻縮糸のテール出しを行なうのに非常に有効である
が、どんな糸条でも適用可能である。また、巻取り速度
の増減手段としては、今までの駆動機構を利用できるも
のであれば、どんなものでも構わない。

【００２０】なお、この発明は、前述した実施例に限定
されることなく、適宜の変更を行なうことにより、その
他の態様で実施し得るものである。

【００２１】

【発明の効果】以上のごとき実施例の説明より理解され
るように、この発明によれば、特許請求の範囲に記載さ
れているとおりの構成であるから、テール出しを行なっ
ている間、糸条がたるむことなく、通常の巻取り張力を
ほぼ維持するため、テール出ししている糸端がなくなっ
てしまうようなことはなくなり、確実にテール出しを行
なうことができる。

【００２２】

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の主要部を示し、糸条を巻取っている
ときの巻取り時間に対する巻取り速度，巻取り張力の関
係を示した図である。

【図２】この発明の糸条巻取り方法を行なう一実施例の
糸条巻取り装置の概略図である

【図３】従来の糸条を巻取っているときの巻取り時間に
対する巻取り速度，巻取り張力の関係を示した図であ
る。

【符号の説明】

１ 糸条巻取り装置 ３ 回転軸 ５ 巻取りドラム ７ クレードル ７Ｌ，７Ｒ クレードルアーム ９Ｌ，９Ｒ フランジ １１ 巻取りパッケージ １３ ヤーンガイド Ｙ 糸条

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻取りドラムに摩擦接触されて回転され
   る巻取りパッケージに糸条を巻取る際、テール出し時の
   糸速Ｖを、通常巻取りパッケージに巻取っているときの
   巻取速度ＶＯよりもΔＶだけ速めてテール出しを行なう
   ことを特徴とする糸条巻取り方法。