JPH0791693B2 - ポリカプラミド−ポリウレタン弾性体系複合フィラメント及びその製造方法 - Google Patents

ポリカプラミド−ポリウレタン弾性体系複合フィラメント及びその製造方法

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JPH0791693B2
JPH0791693B2 JP60297686A JP29768685A JPH0791693B2 JP H0791693 B2 JPH0791693 B2 JP H0791693B2 JP 60297686 A JP60297686 A JP 60297686A JP 29768685 A JP29768685 A JP 29768685A JP H0791693 B2 JPH0791693 B2 JP H0791693B2
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幸夫 山川
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創一郎 田中
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ポリカプラミドとポリウレタン弾性体とから
成る自己捲縮性複合フィラメントに関する。
(従来の技術) ポリアミドとポリウレタン弾性体とが単一フィラメント
の横断面内で偏心的に複合されたフィラメントは高度の
捲縮性を有することが知られている。これらの複合フィ
ラメントは、ポリアミド成分としてポリカプラミドをは
じめ、融点140℃〜280℃のホモポリアミド並びにコポリ
アミドを使用し、一方ポリウレタン弾性体としては、ポ
リオールとして、ポリアルキレンオキシドグリコール、
ポリテトラメチレングリコールなどを用いるポリエーテ
ル系ポリウレタン、あるいは、二塩基酸とグリコールか
らなるポリエステル系ポリウレタン、あるいはε−カプ
ロラクトンの開環重合により得られるポリカプロラクト
ン系ポリウレタンを使用したものである(特公昭47−18
052号公報、特公昭49−43493号公報、特公昭49−10283
号公報、特公昭55−36725号公報)。ところが、これら
の重合体を複合紡糸したフィラメントは、両成分の接着
力が、不十分な為、製品化工程、あるいは製品着用中に
屈曲や摩擦により両成分が剥離し、性能が低下してしま
う欠点が有る。
両成分の接着力を高め耐剥離性を改良した複合フィラメ
ントとしては、ポリカルボン酸ポリ炭酸エステル系ポリ
ウレタン、ポリ炭酸エステル系ウレタンとポリカプロラ
クトン系ウレタンとの混合物又はブロック共重合物、ポ
リ炭酸エステル系ウレタンとポリエーテル系ウレタンあ
るいはポリエステル系ウレタンとの混合物又はブロック
共重合物を芯成分とし、ポリカプラミドを鞘成分とする
偏心的芯鞘型複合フィラメントが知られている(特公昭
55−22569号公報、特公昭55−22570号公報、特公昭57−
34369号公報、特公昭57−34370号公報)。
これらの複合糸は、ポリカプラミドのアマイド結合に強
い親和力を有するポリ炭酸エステルをソフトセグメント
の主成分にして、ポリカプラミドとポリウレタン成分の
接着力を高めると同時に、ポリカプラミドがポリウレタ
ンを包み込む偏心的芯鞘構造にすることにより、両成分
の接着面積の拡大を計り、両成分の耐剥離性を向上させ
ている。
しかしながら、これらの複合糸は両成分の耐剥離性は改
良されているが、通常のサイドバイサイド型の複合糸に
比較して、捲縮発現力並びに捲縮の伸張回復性に劣る欠
点が有る。すなわち、これらの複合糸は、ポリウレタン
成分の収縮力が、ポリカプラミドのそれより大きいこと
により、ポリウレタン成分を内側とするスパイラル捲縮
を発現するが、断面形状が偏心芯鞘構造の為、ポリウレ
タン成分を包み込んでいるポリカプラミドの薄皮部分
が、ポリウレタン成分の収縮力を阻害する為、捲縮性能
が低くなる。
又、これらの複合糸は、通常、溶融紡糸後数倍に延伸し
て、ポリウレタン成分に収縮力を付与する方法で製糸さ
れるが、延伸後の複合糸は著しく大きい直線収縮率を示
す。その為、直接織編物に加工した場合、染色、仕上げ
工程で大きく収縮して満足な製品寸法にならない欠点が
有る。このような問題点に対しては、延伸後の複合フィ
ラメントを100〜180℃の温度で弛緩熱処理して、直線収
縮を減少させた後製織編し、染色・加工するのが一般的
である。ところが、これらの複合フィラメントは、紡
糸、延伸後に於いては優れた捲縮発現性と捲縮の伸張回
復性を有していても、上記弛緩熱処理後に於いては著し
く性能が低下してしまう欠点がある。かかる弛緩熱処理
による性能低下の原因は、ポリウレタン成分の収縮力が
熱緩和され易い為に、弛緩熱処理後の収縮力が僅かしか
残っていない為と思われる。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、ポリカプラミドとポリウレタン弾性体
の耐剥離性が優れているのみならず、弛緩熱処理後に於
いても十分な捲縮発現力と捲縮の伸張回復性を有する複
合フィラメントを提供することにある。
(問題点を解決する為の手段) すなわち、本発明の複合フィラメントは、ポリカプラミ
ドと溶融状態の熱可塑性ポリウレタンに分子量400以上
のポリイソシアネート化合物を5〜20重量%添加・混合
したポリウレタン弾性体とを接合重量比80/20〜20/80の
割合いで単一フィラメントの横断面内で偏芯的に配置接
合する如く複合溶融紡糸し、次いで延伸した後弛緩熱処
理することにより得られたフィラメントであり、該ポリ
ウレタン弾性体のジメチルホルムアミド(以下DMFと記
す)に対する溶解減少率が80重量%以下で、且つフィラ
メントの直線収縮率が10%程度、捲縮発現率が68%以上
であることを特徴とする自己捲縮性複合フィラメントで
ある。
本発明で使用するポリカプラミドは、98%硫酸100mlに
試料1gを溶解し、25℃で測定した相対粘度が2.0〜2.60
の範囲の重合体である。
相対粘度が、2.0より小さいポリカプラミド重合体では
複合紡糸の際に糸切れが多発する。あるいは得られた複
合フィラメントは強伸度が低く、実用性がないなどの理
由で好ましくない。一方、相対粘度が2.60より大きいポ
リカプラミド重合体は、溶融粘度が高過ぎる為、ポリウ
レタン弾性体と安定して紡糸出来ず不適当である。特
に、相対粘度2.0〜2.60のカプラミドから成る複合フィ
ラメントは強伸度特性並びに耐摩耗性に優れており、好
ましい複合糸である。
本発明で使用するポリウレタン弾性体は、ポリエーテ
ル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリ炭酸エス
テルなどよりなるソフトセグメントと、ウレタン結合あ
るいはウレア結合などよりなるハードセグメントから構
成されており、ウレタン結合とイソシアネート基との反
応により生成するアロハネート結合などにより架橋され
たポリウレタン弾性体であり、DMFに対する溶融減少率
が80重量%以下のポリウレタン弾性体である。本発明の
DMFに対する溶融減少率とは、複合糸約10gを採取し重量
を測定した後、浴比1:50の割合いで、30℃のDMFに複合
糸を攪拌しながら1時間浸漬してポリウレタン成分を溶
解させた後、十分に水洗風乾して、重量を測定し、下記
式にて算出した値をいう。
W0:DMF処理前の複合糸の重量 W1:DMF処理後の複合糸の重量 α:複合糸中のポリウレタン成分の重量比率 DMFは、ポリウレタン弾性体に対する良溶媒で、ほとん
ど全ての熱可塑性ポリウレタン弾性体は溶解してしま
う。ところが、本発明複合フィラメントのポリウレタン
弾性体は架橋構造になっている為、DMFに対する溶解性
が減少している。DMFに対する溶解減少率はポリウレタ
ン弾性体中の架橋密度の尺度となり、架橋密度が高い
程、溶解減少率は減少する。本発明複合フィラメントの
ポリウレタン弾性体のDMFに対する溶解減少率は80%以
下である。溶解減少率が80重量%を越える複合フィラメ
ントはポリウレタン成分とポリカプラミド成分の接着力
が不十分で、耐剥離性に劣り、弛緩熱処理後の捲縮性能
が大きく損なわれるので好ましくない。
本発明複合フィラメントのポリカプラミド成分とポリウ
レタン弾性体成分との重量比は80/20〜20/80である。接
合比がこの範囲外の複合フィラメントは、捲縮性能が劣
り、不適当である。
本発明複合フィラメントの横断面形状は、サイドバイサ
イド型、並びに偏心芯鞘型のいづれの形状でもよいが、
ポリウレタン弾性体を芯とする偏心芯鞘型はポリウレタ
ン特有の粘着性がなく、特に好ましい断面形状である。
本発明の製造方法は、ポリカプラミドと、溶融状態の熱
可塑性ポリウレタン弾性体に分子量400以上のポリイソ
シアネート化合物を5〜20重量%添加・混合したポリウ
レタン弾性体とを接合重量比80/20〜20/80の割合いで単
一フィラメントの横断面内で偏心的に配置接合する如く
溶融複合紡糸し、次いで延伸した後弛緩熱処理すること
を特徴とする。
本発明の複合フィラメントを構成する両成分の接着性が
優れている理由は、ポリウレタン弾性体中へ添加・混合
したポリイソシアネート化合物がポリカプラミド中のア
マイド結合の活性水素とも反応して、ポリカプラミド〜
ポリウレタン弾性体中にも架橋構造が生成する為と推定
される。
本発明方法に使用するポリイソシアネート化合物は、分
子内に2個以上のイソシアネート基を有する分子量400
以上の化合物で、ジイソシアネート化合物、カルボン−
イミド変性ポリイソシアネート化合物、イソシアネート
基がアルコキシ基やフェノキシ基でブロックされてアロ
ハネート基を形成している化合物も含む。本発明複合糸
の紡糸に好適なポリイソシアネート化合物は、ポリウレ
タン弾性体の重合時に用いる分子量300〜2500のポリオ
ールに2倍当量以上の分子量500以下のポリイソシアネ
ート化合物を反応させた化合物で、分子量400以上のも
のが好ましい。又、分子量が400未満の化合物はポリウ
レタン弾性体との相溶性が悪く、好ましくない。
本発明複合フィラメントを、溶融紡糸する際に、添加す
るポリイソシアネート化合物の添加量は5〜20重量%で
ある。添加量が5重量%未満では、複合フィラメントを
形成するポリウレタン弾性体中の架橋密度が小さく:DMF
に対する溶解減少率が80重量%を越え、弛緩熱処理後の
捲縮性能等不十分で好ましくない。一方、添加量が20重
量%を越えると、ポリウレタン弾性体の溶融粘度が大き
く低下して、ポリカプラミドとの溶融粘度の均衡が取れ
なく、紡糸不安定となり、好ましくない。
本発明複合糸の紡糸に好適なポリウレタン弾性体は、シ
ョアー硬度Aの測定規格JIS K6301に従って測定した硬
度が90〜100のポリウレタン弾性体で、ポリエステル系
ポリウレタン、ポリカプロラクトン系ポリウレタン、ポ
リカーボネート系ポリウレタンなどである。硬度が90以
下のポリウレタン弾性体は、ポリカプラミドとの溶融粘
度の均衡が取りにくく、安定紡糸出来ないので、好まし
くない。又硬度が100を超えるポリウレタン弾性体は弾
性回復率に劣る傾向が有り、好ましくない。
本発明の複合フィラメントは、公知のサイドバイサイド
型、あるいは偏心芯鞘型複合口金で紡糸することができ
る。しかしながら、ポリウレタン弾性体がフィラメント
表面に露出しているサイドバイサイド型では、紡糸捲取
後、ポリウレタン弾性体中のポリイソシアネート化合物
の反応は、フィラメント相互間でも進行してフィラメン
ト相互が膠着してしまう欠点が有る為、本発明複合フィ
ラメントの紡糸にはポリウレタンを芯とする偏心芯鞘型
複合口金の使用がより好ましい。
第1図は本発明複合フィラメントの紡糸に適する複合口
金の1例である。第1成分は垂直流路(I)を通り、第
2成分は、それに対して傾斜した注入パイプ(II)を通
り、ポリマー吐出孔(III)の直上で2成分が接合され
る。例えば、垂直流路の内径2R1注入パイプの内径2R2
入パイプの吐出端と垂直流路壁との距離δが下記式を満
足する第1図の複合口金を用いると、垂直流路からポリ
カプラミドを、注入パイプからポリウレタン弾性体を注
入する方法は、2成分の溶融粘度差が大きくても、安定
した偏心芯鞘形状となり、本発明複合糸の紡糸に適する
方法である。
(実施例) 以下、実施例を用いて更に詳細な説明を行う。尚、実施
例で述べる“直線収縮率”、“捲縮発現率”及び“捲縮
の伸張回復率”は下記の方法によって測定した値であ
る。
(1) 直線収縮率及び捲縮の伸張回復率 複合フィラメント1,000デニール相当をカセ取りし、0.2
g/dの荷重を掛け、1分後の長さl0を測定する。次に0.2
mg/dの荷重を掛けたまま沸水中で10分間捲縮発現処理を
し、その後一昼夜その荷重下で自然風乾させる。次いで
繊維相互の絡みを取り除く目的で、0.2g/dの荷重を追加
し、1分間放置する。0.2g/dの荷重を取外し、2時間後
の長さl1を測定し、再度0.2g/dの荷重を追加し、1分後
の長さl2を測定した後、0.2g/dの荷重を取外し、1分後
の回復長さl3を測定して、下式で算出する。
(2) 捲縮発現率 複合フィラメント1000デニール相当をカセに取り、0.2g
/dの荷重を掛け、1分後の長さl4を測定する。次に1mg/
dの荷重を掛けたまま沸水中で10分間捲縮発現処理を
し、一昼夜その荷重下で自然風乾させた後で、長さl5
測定し、下式で算出した。
実施例1 数平均分子量1500のポリカプロラクトングリコールと4,
4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとをモル比で
1:3.5の割合いで反応させた後、NCOとOHの比が1.03にな
る量の1,4−ブタンジオールを反応させて、硬度94のポ
リカプロラクトン系ポリウレタン弾性体(A)を得た。
一方、数平均分子量800のポリカプロラクトングリコー
ルに、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを、
モル比で1:2の割合いで反応させ、粘稠なポリイソシア
ネート化合物(B)を得た。
次いで、ε−カプロラクトンの重合時に分子量調整剤と
して酢酸を用い、相対粘度が2.25、2.40のポリカプラミ
ド(C)(D)を得た。
又、1,6−ヘキサンジオールとホスゲンの反応で得た数
平均分子量1500のポリ炭酸エステルグリコールに4,4′
−ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比で1:3.5
の割合いで反応させたプレポリマーと、これとは別に、
数平均分子量1500のポリカプロラクトングリコールに4,
4′−ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比で1:
3.5の割合いで反応させたプレポリマーを、それぞれ重
量比で7:3に混合した後、NCOとOHの比率が1.03になる量
の1,4−ブタンジオールを反応させて、硬度95ポリカプ
ロラクトン−ポリカーボネート系ポリウレタン弾性体
(E)を得た。
上記ポリウレタン弾性体(A)と相対粘度2.40のポリカ
プラミド(D)とを、それぞれ別々に230℃、250℃で溶
融した後、溶融状態に有るポリウレタン弾性体(A)に
上記ポリイソシアネート化合物(B)を13wt%添加・混
合後、230℃に加熱したサイドバイサイド型複合紡糸口
金、並びに230℃に加熱した偏心芯鞘型口金に導びき、
サイドバイサイド型、並びにポリウレタンが芯となる偏
心芯鞘型複合フィラメントを600m/分で紡糸した後、3.5
倍に延伸して、それぞれ20デニール2フィラメントのサ
イドバイサイド型複合フィラメント(イ)、並びに偏心
芯鞘型複合フィラメント(ロ)を得た。
次いで、上記ポリウレタン弾性体(E)と相対粘度2.25
のポリカプラミド(C)とを別々に230℃、250℃で溶融
した後、235℃に加熱した偏心芯鞘型口金に導びき、ポ
リウレタン弾性体が芯になる複合形態で、600m/分で紡
糸した後、3.5倍に延伸して、20デニール2フィラメン
トの偏心芯鞘型複合フィラメント(ハ)を得た。なお、
ポリウレタンを包み込むポリカプラミドの厚みはほぼ均
一で、繊維径の4/100であった。
上記複合フィラメント3種類(イ)、(ロ)、(ハ)を
ストッキングのレッグ糸として、通常の4口丸編機でス
トッキングに編上げ、常法に従って染色・加工したとこ
ろ、いづれも加工工程での複合フィラメントの直線収縮
が大きい為、仕上がり寸法不足で、着用出来なかった。
そこで、二つのローラー間に長さ1mの中空ヒーターを設
備した弛緩熱処理機を使用して送り出し速度400m/分、
引き取り速度240m/分、ヒーター温度140℃の条件で弛緩
熱処理して、弛緩熱処理フィラメント3種類(イ)′、
(ロ)′、(ハ)′を得た。前回と同様、ストッキング
のレッグに編立て染色・加工したところ、いづれも仕上
り寸法は十分で、着用することが出来た。なお、延伸後
の複合フィラメントの物性、並びに弛緩熱処理後の複合
フィラメントの物性を第1表に示す。
第1表に示す様に、比較例のポリウレタン成分は、DMF
に100重量%溶解したが、本発明の複合フィラメント
は、いづれも45重量%しか溶解しなかった。又、延伸後
の複合フィラメントはいづれも直線収縮率が27%、ある
いは26%と極めて大きい為、ストッキングの加工工程で
大きく収縮して、仕上り寸法不足になった。しかしなが
ら弛緩熱処理することにより、直線収縮率が大巾に減少
し、その結果仕上り寸法十分なストッキングに仕上げる
ことが出来た。本発明の複合フィラメントは弛緩熱処理
前も、弛緩熱処理後も優れた捲縮発現性能と捲縮の伸張
回復性能を持っているが、比較例のそれは弛緩熱処理
で、大巾に損なわれてしまった。
次に、弛緩熱処理糸で編立てたストッキングの着用評価
結果を第2表に示した。
第2表に示す様に、本発明の複合フィラメントから成る
ストッキングは良好な耐久性と優れたフィット性を示し
たが、比較例からなるストッキングは、本発明方法のそ
れに比較して、フィット性並びに耐久性共に劣るストッ
キングであった。
実施例2 市販の熱可塑性ポリウレタン“エラストラン”(日本エ
ラストラン(株)製)タイプE−5095(ポリカプロラク
トン系、硬度95)と、実施例1で使用した相対粘度2.25
のポリカプラミド(C)を、それぞれ225℃、245℃で溶
融した後、溶融状態に有るポリウレタンに、実施例1で
使用したポリイソシアネート化合物(B)を、それぞれ
ポリウレタンに対し0重量%、3重量%、5重量%、10
重量%、15重量%、20重量%、25重量%添加・混合した
後、235℃に加熱した偏心芯鞘型複合紡糸口金に導き、
接合比率50:50で、ポリウレタンが芯成分を形成し、且
つ偏心した側の鞘の厚さがその繊維径の3/100の70デニ
ール2フィラメントの複合糸を600m/分で紡糸した。紡
糸捲取り状況は、第3表に示す様に、ポリイソシアネー
ト化合物を25重量%添加した条件では、口金面での糸曲
りが激しく、安定紡糸出来なかったが、それ以外はいづ
れも順調に紡糸出来た。
次いで捲取った未延伸糸を3.5倍に延伸した後、実施例
1で用いた弛緩熱処理機を用いて、実施例1と同条件
で、弛緩熱処理した後の原糸物性を測定した結果を第4
表に示す。
第4表に示した様に、DMFに対する溶解減少率が80%重
量以下の本発明複合フィラメントは、いづれも優れた捲
縮発現率と捲縮の伸張回復率を持っているが、DMFに対
する溶解減少率が80重量%を越える比較例のそれはいづ
れも本発明複合糸のそれよりも著しく低い性能であっ
た。
又、上記(ニ)〜(リ)までの複合糸を実施例1と同条
件でストッキングに編立てた後、染色・加工して、着用
テストを実施した。
その結果、本発明の複合フィラメント(ヘ)〜(リ)か
らなるストッキングは、10日間着用するも何ら外観変化
はなく、良好なフィット性を示したが、比較例の複合フ
ィラメント(ニ)(ホ)からなるストッキングは2日目
に摩耗による白色化現象が現われ、4日目には、ツマ先
並びにカカト部に両成分の剥離が現われた。
実施例3 数平均分子量が1300のポリブチレングリコールジオール
と4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとを、そ
れぞれモル比で1:2、1:3、1:4で反応させた後NCOとOHの
モル比が1.03になる量の1,4−ブタンジオールを反応さ
せて、それぞれ硬度が87、91、97のポリウレタン弾性体
(F)、(G)、(H)を得た。
次いで、ε−カプロラクタム重合時に分子量調整剤とし
て酢酸を用い、相対粘度が1.96、2.03、2.31、2.54、2.
65のポリカプラミド(I)、(J)、(K)、(L)、
(M)を得た。
一方、分子量500のポリブチレンアジペートグリコール
に、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを2倍
モル反応させたポリイソシアネート化合物(N)を得
た。
上記、ポリウレタン弾性体(F)、(G)、(H)とポ
リカプラミド(I)、(J)、(K)、(L)、(M)
をそれぞれ230℃、250℃で溶融した後、ポリウレタン成
分に上記ポリイソシアネート化合物(N)を10重量%添
加・混合後、230℃に加熱した2R1=2.0mmφ、2R2=1.0m
mφ、δ=0.05mmの第1図の複合紡糸口金に導びき、ポ
リウレタン成分を斜方向の注入パイプを通して、ポリウ
レタン成分とポリカプラミド成分の重量比率を50:50の
割合いで接合し、70デニール3フィラメントのポリウレ
タン弾性体が芯となる偏心芯鞘型複合糸を600m/分で捲
取った。その際の紡糸捲取り状況を観察した結果を第5
表に示した。
第5表から明らかな様に、硬度90〜100のポリウレタン
弾性体と相対粘度2.0〜2.60の範囲に有るポリカプラミ
ドの組み合せでは、安定して紡糸捲取り出来たが、それ
以外の組み合せでは、安定紡糸出来なかった。又上記安
定して捲取った複合フィラメントのDMFに対する溶解減
少率を測定したところ、いづれも40〜45重量%の範囲に
はいっていた。
(発明の効果) 本発明の複合フィラメントは、複合フィラメントを形成
するポリカプラミドとポリウレタン弾性体の接着力が強
く、製品化工程、あるいは使用時にも屈曲や摩擦で剥離
することはない。又、従来の複合フィラメントのポリウ
レタン弾性体は、ポリカプラミドよりも耐摩耗性が悪い
為、製品使用時にポリウレタン成分がフィブリル化して
白色に見える欠点が有ったが、本発明複合フィラメント
は架橋構造により耐摩耗性が改良されているので、上記
白色化現象は現われない。更に、本発明複合フィラメン
トは、捲縮性能に優れ、高温の弛緩熱処理後も良好な捲
縮発現力と捲縮の伸張回復性を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明複合フィラメントの紡糸に適する2成
分複合口金の接合部分を示す側断面図である。図中の
(I)は内径が2R1の垂直流路を、(II)は内径が2R2
注入パイプを、(III)はポリマー吐出孔である。δは
垂直流路の注入パイプ側の壁から注入パイプ端までの距
離を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−163727(JP,A) 特開 昭57−34370(JP,A) 特開 昭55−22569(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリカプラミドと、溶融状態の熱可塑性ポ
    リウレタンに分子量400以上のポリイソシアネート化合
    物を5〜20重量%添加・混合したポリウレタン弾性体と
    を接合重量比80/20〜20/80の割合いで単一フィラメント
    の横断面内で偏芯的に配置接合する如く複合溶融紡糸
    し、次いで延伸した後弛緩熱処理することにより得られ
    たフィラメントであり、該ポリウレタン弾性体のジメチ
    ルホルムアミドに対する溶解減少率が80重量%以下で、
    且つフィラメントの直線収縮率が10%程度、捲縮発現率
    が68%以上であることを特徴とする自己捲縮性複合フィ
    ラメント。
  2. 【請求項2】ポリカプラミドの相対粘度が2.0〜2.60で
    ある特許請求の範囲第1項記載の複合フィラメント。
  3. 【請求項3】ポリカプラミドと、溶融状態の熱可塑性ポ
    リウレタンに分子量400以上のポリイソシアネート化合
    物を5〜20重量%添加・混合したポリウレタン弾性体と
    を接合重量比80/20〜20/80の割合いで単一フィラメント
    の横断面内で偏芯的に配置接合する如く複合溶融紡糸
    し、次いで延伸した後弛緩熱処理すること特徴とする自
    己捲縮性複合フィラメントの製造方法。
  4. 【請求項4】ポリカプラミドの相対粘度が2.0〜2.60で
    熱可塑性ポリウレタンの硬度が90〜100である特許請求
    の範囲第3項記載の製造方法。
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