JPH0791656A - 火炎検出および燃焼診断装置 - Google Patents

火炎検出および燃焼診断装置

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JPH0791656A
JPH0791656A JP23510093A JP23510093A JPH0791656A JP H0791656 A JPH0791656 A JP H0791656A JP 23510093 A JP23510093 A JP 23510093A JP 23510093 A JP23510093 A JP 23510093A JP H0791656 A JPH0791656 A JP H0791656A
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信夫 森本
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弘 西田
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絋二郎 山田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 干渉フィルタ数を減少し、経済性と入射効率
の向上を図る火炎検出及び燃焼診断装置を提供する。 【構成】 燃焼火炎からの光を光ファイバ50等により
導入する手段と、導入した光を複数個の誘導帯多層膜干
渉フィルタ53、54に順次入射させ、電気信号I
λ1 、Iλ2 を得る光検出手段55、56と、反射した
光を複合光検出素子57に入射させ複数波長帯域に分光
し、電気信号ISi、IGeを得る手段と、上記電気信号か
ら信号比ISi/Iλ1 、IGe/Iλ2 と信号和ISi+I
λ1 、IGe+IGe+Iλ2 を得る手段80、81、9
0、91と、火炎発光のAC成分を分析して火炎の検出
をする手段と、信号比ISi/Iλ1 に基いて得た火炎温
度と同一の発光スペクトルによる信号IGe/I′λ2
求める手段と、実測スペクトルに基く信号IGe/Iλ2
と信号IGe/I′λ2 とによりガス成分濃度を求める手
段と、ガス成分と火炎温度に基き燃焼状態を診断する手
段を持つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火炎検出および燃焼診
断装置に係り、特に発電用火力プラント等の燃焼炉内の
火炎を検出し、燃焼状態を診断する装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年の火力発電用ボイラでは中間負荷運
用、DSS(毎日起動・停止)運転により頻繁にバーナ
の点火、消火作業が行なわれるようになっておりバーナ
火炎の点・消火状態を検出する火炎検出器は重要な構成
要素になっている。火炎検出器として一般に使用されて
いるもののほとんどは、火炎の発光を検出し火炎の有無
を判定するものである。この光学式火炎検出方式には、
火炎の発する直流(DC)光量の大小で判定する方式
と、火炎の発するちらつき(AC)成分の光量の大小で
判定するAC光検出方式に大別できる。発電用ボイラ等
のマルチバーナ炉では、AC光検出方式が有効である。
また光の波長については可視〜近赤外線域が多く利用さ
れている。
【0003】図11に従来の火炎検出器の構成を示す。
この火炎検出器では、複数個の視野を有する光プローブ
10、複数本の光ファイバ11により導かれる可視〜近
赤外波長域の火炎1からの発光を複合光検出素子12に
より受光し電気信号に変換し、この複合光検出素子の出
力電気信号の特定周波数帯域のAC成分から火炎の有無
を判定するものである。視野数としては3視野が良く用
いられるが図11には1視野分の構成について示してあ
る。複合光検出素子12にはSi フォトダイオード(S
iPD)とGe フォトダイオード(GePD)を積層し
たもの、SiPDとPbS光導電型素子を積層したも
の、またはSiPDとPbSe光導電型素子を積層した
ものを使用する。図12は、バーナ火炎が点火、消火し
ているときの火炎の発光のAC成分を示す。17が点
火、18が消火の状態である。バーナ火炎の有無が顕著
に現れている特定周波数帯域に着目することにより火炎
の点火、消火判定を行なっている。
【0004】また、環境対策等の面から、ボイラ等の燃
焼装置においては窒素酸化物、すすならびに一酸化炭素
を極力発生させないことが望まれている。このような燃
焼状態を形成するためには燃焼炉内で燃料と空気が適度
に混合する火炎を形成し、これにより燃料炉内に極端な
高温度領域および極端な低温度領域を形成させないこと
が必要である。このような燃焼状態の監視を行なう装置
の一つに燃焼火炎の発光スペクトル強度を分析し、この
分析結果から燃焼状態を診断する火炎発光スペクトル分
析式燃焼診断装置(以下、燃焼診断装置という)があ
る。
【0005】燃焼診断装置は火炎温度と燃焼排ガス中の
各種ガスによる吸光に関する指標と燃焼状態の因果関係
をもとに燃焼状態を診断するものである。火炎温度と燃
焼排ガス中の各種ガスによる吸光に関する指標として、
例えば火炎の発光のうち可視〜近赤外の波長域におい
て、0.6〜1.0μmの波長域のうち数点の波長(2
波長以上)の単色発光スペクトル強度から演算される火
炎温度と、1.3〜1.5μmのうち数点の波長(3波
長以上)の単色発光スペクトル強度から演算される水蒸
気吸光度を用いるものがある。
【0006】図13に燃焼火炎(輝炎)の発光スペクト
ル例を示す。図13に示した波長域に全般的に見られる
連続スペクトルは火炎中の炭素質粒子(スート等)の固
体粒子の発光によるものであり、この連続スペクトル上
に1.4μm近傍に水蒸気吸光による発光スペクトル強
度の減少が見られる。炭素質粒子は黒体に近い発光特性
を有しており一般に放射率が波長に対して一定とした灰
色体として扱うことができる。灰色体の波長と単色放射
エネルギー(単色発光スペクトル強度)の関係は Planc
k の式により温度の関数として与えられるため、数点の
波長(2波長以上)における単色発光スペクトル強度の
測定から火炎温度を演算する(2色温度計の原理によ
る)。
【0007】1.4μm近傍における発光スペクトル強
度の減少は光プローブ1と火炎の間に存在する燃焼排ガ
ス中の水蒸気によって特定の吸光帯(1.4、1.9、
2.7μm)に限って火炎からの光が吸収された結果生
じたものである。したがって、この水蒸気吸光による発
光スペクトル強度の減少量は相対的な燃焼生成水蒸気濃
度に関する指標である。水蒸気吸光による発光スペクト
ル強度の減少量の計算は水蒸気吸光帯の近傍でかつその
影響を受けない数点の波長における単色発光スペクトル
強度(炭素質粒子の発光)から推定される水蒸気吸光波
長帯における炭素質粒子の発光スペクトル強度と、同じ
水蒸気吸光波長帯において観測される発光スペクトル強
度を比較することにより水蒸気吸光による発光スペクト
ル強度の減少量に関する値を演算しており、これを本願
では水蒸気吸光度と定義している。燃焼診断装置は評価
値として前記の火炎温度と水蒸気吸光度を用い、これら
評価値の変化と燃焼条件の因果関係のデータベースをも
とに燃焼状態を診断するものである。評価値(火炎温
度、水蒸気吸光度)と各種燃焼調整操作の因果関係の一
例を概略的に図14に示す。
【0008】上記した火炎検出器と燃焼診断装置は、両
者とも同じ波長域において同じ火炎の発光を分析するも
のであることから、両者の機能の一体化を図った火炎検
出および燃焼診断装置として図15に示す構成の光セン
サを備えた装置がある。この光センサは火炎検出用の火
炎発光のちらつき(AC)成分分析機能と燃焼診断用の
数点の波長における発光スペクトル強度分析機能を兼ね
備えた火炎発光分析用のセンサであり、以下、火炎検出
・燃焼診断併用型火炎センサまたは単に火炎センサと記
述する。
【0009】図15に示した従来の火炎検出・燃焼診断
併用型火炎センサは、視野数分の光ファイバ19、コリ
メータレンズ20、ガラスブロック21、誘電体多層膜
干渉フィルタ22〜26、燃焼診断用のSi フォトダイ
オード(SiPD)27、28、Ge フォトダイオード
(GePD)29〜31、火炎検出用の複合光検出素子
(SiPD+PbS、SiPD+GePDまたはSiP
D+PbSe)32、増幅器33〜39、バンドパスフ
ィルタ(電気的周波数フィルタ、帯域周波数ろ波器)4
0、41、ローパスフィルタ42、43およびデータ解
析部44から主に構成される。3視野に対応した構成が
良く用いられるが図15では1視野分の構成を示してい
る。
【0010】光ファイバ19により伝送されてきた火炎
発光はコリメータレンズ20を経てガラスブロック21
に入射する。コリメータレンズ20は光ファイバの出射
光の広がりを抑え、平行光線に近づけるためのものであ
る。ガラスブロックに入射した光は誘電体多層膜干渉フ
ィルタ22〜26において入射光の大部分が反射され複
合光検出素子32によって受光され電気信号に変換され
る。誘電体多層膜干渉フィルタ22〜26における反射
の過程で各誘電体多層膜干渉フィルタの膜材質、膜厚お
よび層数によって決まる比較的狭波長の光のみが誘電体
多層膜干渉フィルタを通過し、SiPD27、28およ
びGePD29〜31によって電気信号に変換される。
【0011】SiPD27、28およびGePD29〜
31の出力電気信号から得られる所定の5波長における
発光スペクトル強度から燃焼診断用の評価値(火炎温
度、水蒸気吸光度)を演算し、複合光検出素子32の出
力電気信号から火炎発光のフリッカ(ちらつき)成分を
分析し火炎の有無を判定する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術における
火炎検出・燃焼診断併用型火炎センサは燃焼診断用の評
価値(例えば火炎温度、水蒸気吸光度)演算のため最低
5波長における発光スペクトル強度の分析を必要とし、
このため最低5枚の誘電体多層膜干渉フィルタと1視野
(光ファイバ1本)につき最低5個の光検出素子が必要
である。前記したように観測視野(光ファイバ本数)は
1バーナにつき3視野がよく使用される。したがって従
来の火炎センサは1バーナにつき誘電体多層膜干渉フィ
ルタ5枚と、15個の光検出素子、これに加えて火炎検
出用の複合型光検出素子、レンズ、ガラスブロック等か
ら構成される。
【0013】誘電体多層膜干渉フィルタおよび光検出素
子は比較的高価な部品であるため、経済性を考え安価な
構成とするためには多層膜干渉フィルタの枚数、光検出
素子の個数を減少させる必要がある。光検出素子の個数
は誘電体多層膜干渉フィルタの枚数によるため、火炎セ
ンサの経済性は多層膜干渉フィルタ枚数により主に定ま
る。
【0014】また図15に示した火炎センサでは複数枚
の誘電体多層膜干渉フィルタでの多重反射によりオンラ
イン多波長火炎発光の分析を行なっているため使用する
誘電体多層膜干渉フィルタ枚数により定まる反射回数は
この火炎センサの入射効率を考える場合重要である。個
々の誘電体多層膜干渉フィルタは高い反射率(90%以
上)を有しているが、反射を重ねるにつれ個々の誘電体
膜の吸収などによる光損失が重なるため、火炎センサの
光損失を少なくし入射効率を向上させるためには誘電体
多層膜干渉フィルタの枚数を少なくする必要がある。こ
れに加えてこの火炎センサに入射する光である火炎発光
は種々の波長成分を含んだ白色光であり、また使用する
光ファイバは入射光量を確保するため比較的コア径の大
きい(100μm、200μm等)マルチモード光ファ
イバである。光ファイバ出射光はコリメータレンズによ
りコリメーションを行なうが、マルチモードファイバの
出射光および白色光を完全な平行光線にすることはでき
ず、2〜5度程度の広がり角を有する。またコリメータ
レンズ出射端のビーム径も1〜2mm程度である。このた
め火炎センサ内の光路長を長くとるとビーム径が拡大
し、有効に光検出素子の受光面に入射しなくなり、光損
失、または不必要な反射光、散乱光を生じさせる原因と
なる。ビーム径の拡大の要因には入射光が白色光である
ことから生じるコリメータレンズでの色収差の影響も含
まれる。この光路長はガラスブロックのサイズ、光線入
射角などにもよるが、最終的には入射光の反射回数、つ
まり誘電体多層膜干渉フィルタの枚数により定まる。
【0015】ゆえに、この火炎検出・燃焼診断併用型火
炎センサの経済性および効率の向上を図るためには、上
記したように誘電体多層膜干渉フィルタの枚数を極力少
なくする必要がある。しかしながら干渉フィルタ枚数の
減少はそのまま検出波長点数の減少になるため、前記し
た従来の燃焼診断用の評価値の演算が困難となる問題が
ある。
【0016】本発明の目的は、誘電体多層膜干渉フィル
タの枚数を減少させ、併せて光検出素子の個数を減少さ
せた簡易な構成とし、かつ従来とほぼ同様の評価値の演
算を可能にした火炎検出・燃焼診断併用型火炎センサと
することによりセンサの経済性と入射効率の向上を図る
ことができる火炎検出および燃焼診断装置を提供するこ
とにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願で特許請求する発明は以下のとおりである。 (1)燃焼火炎からの光を受光して導入する手段と、導
入された光に基づいて火炎の検出と燃焼の診断を行なう
手段とを備えた火炎検出および燃焼診断装置において、
燃焼排ガス中のH2 O、CO2 をはじめとする各種ガス
の吸光波長帯のうち少なくとも一つの吸光波長帯におけ
る光のスペクトル強度を計測する手段と、この吸光波長
帯における実測されるスペクトル強度と、対象火炎の火
炎温度と一致する温度を有し放射率が火炎中の炭素質粒
子(スート)と近似される灰色体の前記吸光波長帯にお
ける発光スペクトル強度とを比較する手段と、比較結果
により、燃焼排ガス中のH2 O、CO2 等の相対的ガス
濃度を演算する手段とを備えたことを特徴とする火炎検
出および燃焼診断装置。 (2)燃焼火炎からの光を導入する手段と、導入された
光を透過波長帯の異なる複数個の干渉フィルタに順次入
射させ、前記各干渉フィルタの透過光に応じた電気信号
を得る手段と、前記干渉フィルタを経て反射された光を
複合光検出素子に入射させ、複数波長帯域に分光すると
ともに、それぞれの分光スペクトルに応じた電気信号を
得る手段と、前記得られたこれら電気信号に基づき特定
波長帯域におけるスペクトル強度から火炎温度、燃焼ガ
ス中のガス成分吸光度または濃度を算出して燃焼診断を
する手段と、前記電気信号に基づき火炎発光のAC成分
を分析して火炎の検出をする手段とを備えた火炎検出お
よび燃焼診断装置において、前記燃焼ガス中のガス成分
吸光度または濃度の算出手段は、燃焼火炎中のガス成分
の吸光波長帯のうち少なくとも一つの吸光波長帯におけ
る実測されたスペクトル強度と、対象火炎の温度と一致
する温度を有する灰色体の前記吸光波長帯における発光
スペクトル強度を比較する手段と、この比較結果に基づ
き燃焼ガス中のガス成分吸光度または濃度を算出する手
段とにより構成されたことを特徴とする火炎検出および
燃焼診断装置。 (3)燃焼火炎からの光を導入する手段と、導入された
光を第1の誘電体多層膜干渉フィルタに入射させて入射
光のうち燃焼ガス中のガス成分の影響を受ける波長域A
を含む波長帯を透過させ、透過光に基づき電気信号Iλ
2 を発生する手段と、前記干渉フィルタにより反射され
た光を第2の誘電体多層膜干渉フィルタに入射させて入
射光のうちAと異なる波長域Bの光を透過させ、透過光
に基づき電気信号Iλ1 を発生させる手段と、前記第2
の干渉フィルタにより反射された残りの光を複合光検出
素子に入射して波長域Bを含む波長帯Cの光を電気信号
siとし、波長域Aを含む波長域Dの光を電気信号IGe
とする手段と、前記各電気信号に基づき、信号強度比I
si/Iλ1 、Isi/IGe、IGe/Iλ1 のうちの1つ以
上およびIGe/Iλ2 、Isi/Iλ2 、Iλ1 /Iλ2
のうちの一つ以上と、信号和Iλ1 +Isi、Iλ2 +I
Geの各値を得る手段と、前記信号和Iλ1 +I si、Iλ
2 +IGeをそれぞれバンドパスフィルタに通して特定周
波数帯域のAC信号を取出す手段と、取出されたAC信
号に基づき火炎の有無の判定を行なう火炎検出手段と、
前記信号強度比Isi/Iλ1 、Isi/IGe、IGe/Iλ
1 のうちの一つ以上に基づき火炎温度を検出する手段
と、検出された前記火炎温度と同一温度における灰色体
の分光放射特性I′λ2 を求め、信号比IGe/I′
λ2 、I si/I′λ2 、Iλ1 /I′λ2 のいずれかを
算出する手段と、以上により求められたIGe/Iλ2
Ge/I′λ2 、Isi/Iλ2 とIsi/I′λ2 および
Iλ1 /Iλ2 とIλ1 /I′λ2 のうちのいづれか一
つ以上の組合せについての比較に基づいて燃焼ガス中の
ガス成分吸光度または濃度を求める手段と、前記求めた
火炎温度とガス成分吸光度または濃度に基づき燃焼状態
を診断する燃焼診断装置とを備えたことを特徴とする火
炎検出および燃焼診断装置。
【0018】
【作用】火炎(輝炎)発光は、可視から遠赤外波長域の
広い波長域にわたって生じるスート等の炭素質粒子によ
る連続スペクトルとガス種によって定まる特定波長帯
(バンド)でのガス放射またはガスによる吸光が重なっ
たものとして表わされる。火炎センサに入射する光の波
長帯は光プローブに使用する石英系光ファイバの光伝送
波長域により制限され、約0.4〜1.6μmである。
この波長域において火炎センサでは炭素質粒子による連
続スペクトルと火炎と光プローブの間に存在する燃焼排
ガス中の低温水蒸気ガスによる光吸収によってガス種に
よって定まる特定波長帯のスペクトル強度に減少の見ら
れる図13に示す特性が観測される。
【0019】可視から遠赤外域にわたって強い連続スペ
クトルを示す炭素質粒子は黒体に近い発光特性を有して
おり、一般に放射率が波長に対して一定とした灰色体と
して扱うことができる。したがって炭素質粒子の分光放
射特性は次の(1)式の Planck の式により近似可能で
ある。
【0020】
【数1】
【0021】Mλ:波長λにおける単色放射エネルギー
(単色発光スペクトル強度) ε:放射率(ε≦1) λ:波長 T:絶対温度(火炎温度) C1 、C2 : Planck の式の第1、第2定数 火炎温度Tと放射率εが定まれば、観測対象波長域全般
における炭素質粒子の発光の分光放射特性を(1)式を
用いて近似的に表わすことができる。また、(1)式で
表わされる分光放射特性を有する黒体炉(ε=1)を使
用して火炎温度と炭素質粒子の発光スペクトル強度(ま
たはこれを検出する光検出素子の出力信号強度)の関係
を模擬できる。したがって、対象火炎の火炎温度と同じ
温度を有し、火炎中の炭素質粒子の放射率と近似される
灰色体の水蒸気吸光波長帯における発光スペクトル強度
と実測される水蒸気吸光波長帯の発光スペクトル強度を
比較することにより従来と同様の前記水蒸気吸光度を演
算できる。
【0022】しかしながら、火炎の放射率を正確に予測
することは困難である。このため炭素質粒子の発光と同
一の温度を持ち、火炎中の炭素質粒子の放射率と近似さ
れる灰色体の発光と実測される発光スペクトル強度を対
比させるには、2点以上の波長における発光スペクトル
強度の比を用いることにより予測が困難な放射率εを打
ち消すことにより行なわれる。
【0023】したがって火炎温度が定まれば同一の温度
の灰色体の分光放射特性を利用して炭素質粒子の任意の
2波長における発光スペクトル強度比を推定できる。こ
の任意の2波長の発光スペクトル強度のうち一方を水蒸
気吸光帯以外の実測可能な波長における炭素質粒子の発
光スペクトル強度とし、他方を実測のできない水蒸気吸
光帯における炭素質粒子の発光スペクトル強度に設定し
て、対象火炎と同一の温度を持つ灰色体の分光放射特性
を用いて推定することにより、これと実測される同2波
長域の発光スペクトル強度比とを対比させることによ
り、水蒸気吸光の影響を受けた発光スペクトル強度とそ
の背景となる同波長での炭素質粒子の発光スペクトル強
度の比較が可能となり、従来と同様の水蒸気吸光度を演
算することができる。
【0024】また、水蒸気吸光度演算に用いる水蒸気吸
光帯以外の実測可能な波長における炭素質粒子の発光ス
ペクトル強度として火炎検出用の光検出素子の出力信号
強度を利用することができる。火炎検出用の光検出素子
に入射する広波長域の光にガス(水蒸気)の発光・吸光
の影響を受ける波長帯域の光が含まれないように使用す
る光検出素子の感度波長域と水蒸気吸光帯の光を通過さ
せる誘電体多層膜の透過波長バンドを設定することによ
り、火炎検出用の光検出素子に入射する光は灰色近似可
能な炭素質粒子の発光のみとなることから火炎検出用の
光検出素子の出力信号強度を前記水蒸気吸光帯以外の実
測可能な波長における炭素質粒子の発光スペクトル強度
とすることにより、水蒸気吸光度を演算できる。したが
って火炎温度計測用の波長と水蒸気吸光波長帯の検出以
外には何ら分光手段を必要としない。また、火炎温度に
ついても炭素質粒子の発光波長域における発光スペクト
ル強度と火炎検出用の光検出素子の出力信号の比をとる
ことにより火炎温度に関する指標を得ることができ、灰
色体の分光放射特性との対比、または黒体炉での補正か
ら火炎温度を演算することができる。
【0025】ゆえに本発明によれば、前記水蒸気吸光度
の演算において実測される水蒸気吸光帯の発光スペクト
ル強度の背景となる実測のできない同波長域の炭素質粒
子の発光スペクトル強度を炭素質粒子の灰色近似性を利
用し、対象火炎の火炎温度と同一の温度を有する灰色体
の分光放射特性から推定することによって、従来の水蒸
気吸光の影響を受けない2点以上の波長における発光ス
ペクトル強度の測定を必要とせず従来とほぼ同様の水蒸
気吸光度を演算できる。また、火炎検出用の光検出素子
にガスの発光・吸光の影響を受ける波長域の光が入射し
ないようにすることにより、火炎検出用の光検出素子の
出力信号は炭素質粒子の発光のみによるものとなり、こ
の信号を火炎温度演算、水蒸気吸光度演算に使用するこ
とができる。
【0026】よって、従来の構成と比較して燃焼診断用
の評価値(火炎温度、水蒸気吸光度)演算のために必要
な検出波長点数を減少させることができるため、火炎検
出・燃焼診断併用型火炎センサを構成する誘電体多層膜
干渉フィルタの枚数および光検出素子の個数を減少させ
得ることから従来よりも安価な構成とすることができ、
また誘電体多層膜干渉フィルタ枚数の減少による多重反
射回数の減少と光路長の短縮から、誘電体多層膜干渉フ
ィルタの吸収、光の広がり等に起因する光損失を減少さ
せることができ、従来よりも経済性と入射効率の向上を
図ることができる。
【0027】
【実施例】図1に本発明の実施例の火炎検出・燃焼診断
併用型火炎センサの1視野分の構成を示す。本実施例の
火炎センサは光ファイバ50、コリメータレンズ51、
ガラスブロック52、2枚の誘電体多層膜干渉フィルタ
53、54、SiPD(シリコンフォトダイオード)5
5、GePD(ゲルマニウムフォトダイオード)56、
複合光検出素子(SiPD+GePD)57および信号
処理回路から主に構成される。
【0028】光ファイバ50により伝送された火炎発光
はコリメータレンズ51を経てガラスブロック52と誘
電体多層膜干渉フィルタ53、54からなる光学系に入
射する。誘電体多層膜はλ/2、λ/4に近い光学的厚
みを有する高屈折率誘電体膜と定屈折率誘電体膜を交互
に積層したもので特定の波長に対して波長選択性を示
し、膜数、膜材料を適当に選ぶことによって帯域通過型
(BPF)、長波長域通過型(LWPF)、短波長域通
過型(SWPF)の各干渉フィルタを構成するものであ
る。誘電体多層膜干渉フィルタ53、54はBPF、L
WPF、SWPFのフィルタ特性を持つ数層から十数層
の誘電体薄膜からなる多層膜を組み合わせることによ
り、石英系光ファイバの伝送波長域において特定の波長
帯域の光のみを透過し、それ以外の波長の光は高い反射
率で反射させるようにしたものである。
【0029】入射した火炎発光の大部分は2枚の誘電体
多層膜干渉フィルタ53、54によって反射され複合光
検出素子57に入射し電気信号に変換されるが、反射の
過程において、まず誘電体多層膜干渉フィルタ53にお
いてSiPDの感度波長域のうち所定の波長、例えば
0.7μmを中心とする比較的狭波長域の光が誘電体多
層膜干渉フィルタ53を通過することによって分光さ
れ、SiPD55によって電気信号に変換され増幅器6
0によって増幅された後信号Iλ1 となる。誘電体多層
膜干渉フィルタ54は1.4μm帯の水蒸気の吸光の影
響を受ける波長域を全て、あるいは影響の無視できない
波長を透過させ、透過した光はGePD56によって光
電変換し増幅器61を介した後信号Iλ2 となる。した
がって2回の反射の後、複合光検出素子57に入射する
光は光ファイバ50により伝送された火炎発光のうち誘
電体多層膜干渉フィルタ53、54を透過した波長域の
光を除いた光である。この光は複合光検出素子57によ
り受光される。
【0030】図2に複合光検出素子の構造を示す。本発
明の1実施例に使用の複合光検出素子57はSiPD7
0とGePD71を積層したものである。シリコンは約
1.1μm以上の光を透過するため、SiPD70によ
って約0.4〜1.1μmの光が電気信号に変換され、
これより長波長の光はSiPD70を透過し、GePD
71によって電気信号に変換される。したがって、複合
光検出素子57に入射した光はSiPD70とGePD
71により受光され、光ファイバの伝送波長帯域と各素
子の感度波長域で定まる波長域の光がSiPD70とG
ePD71により電気信号に変換され、信号IsiとIGe
となる。
【0031】除算回路80において信号IsiとIλ1
比に相当する信号Isi/Iλ1 を生成し、同様に除算回
路81において信号IGeとIλ2 の比に相当する信号I
Ge/Iλ2 を生成する。また、加算回路90において信
号IsiとIλ1 を合成し、合成後の信号をバンドパスフ
ィルタ100(電気的周波数フィルタ、帯域周波数ろ波
器)に入力し特定周波数帯域の信号成分を取り出し、こ
れをローパスフィルタ103(電気的周波数フィルタ、
低域周波数ろ波器)によって直流変換し信号Fsiを得
る。同様に信号IGeとIλ2 を加算回路91により合成
し、バンドパスフィルタ101、ローパスフィルタ10
4を経て特定周波数帯域の信号FGeを得る。
【0032】データ解析部110においては、前記信号
si/Iλ1 、IGe/Iλ2 、Fsi、FGeから燃焼状態
評価値(火炎温度、水蒸気吸光度)演算、火炎有無の判
定を行なう。本発明の実施例の火炎検出・燃焼診断併用
型火炎センサに使用の誘電体多層膜干渉フィルタ53、
54の透過率、反射率の分光特性の一例を図3および図
4に概略的に示す。多層膜干渉フィルタ53の透過率の
半値幅は約20nmであり、火炎発光のうち0.7μmを
中心として±10nmの波長域の光がこの多層膜干渉フィ
ルタ53を透過し、SiPD55に入射すると考えるこ
とができる。これ以外の波長の光は反射される。誘電体
多層膜干渉フィルタ54の透過率の半値幅は約100nm
であり、1.4μmを中心として±50nmの波長域の光
が多層膜干渉フィルタを透過しGePD56に入射する
と考えることができる。これ以外の光は反射され複合光
検出素子57に入射する。
【0033】図13に示した分光放射特性を持つ火炎発
光が本発明の実施例の火炎センサに入射した際、SiP
D55、GePD56、複合光検出素子57を構成する
SiPD70、GePD71に入射する光の分光特性の
概略をそれぞれ図5〜図8に示す。前記信号Iλ1 は図
5に示した分光特性を持つ光に対応した信号であり、同
様にIλ2 は図6に、Isiは図7に、IGeは図8に対応
した信号である。SiPD55、複合光検出素子57を
構成するSiPD70およびGePD71に入射する光
は火炎中の炭素質粒子による発光であり、水蒸気の吸光
の影響を受けた波長域の光は含んでいない。水蒸気の吸
光の影響を受けた波長域の光は誘電体多層膜干渉フィル
タ54を透過し、GePD56に入射する光のみであ
る。実缶火炎(輝炎)の採取データでは、水蒸気吸光の
影響を受ける波長帯は種々の燃焼状態の変化に対しても
1.4μmを中心として±50nm以内の波長帯に限られ
ており、したがって1.4μm±50nmの波長帯の光を
誘電体多層膜干渉フィルタ54を透過させることによ
り、GePD56以外の光検出素子には水蒸気吸光の影
響はなく、灰色体として近似できる炭素質粒子の発光の
みが入射する。したがって、SiPD55、SiPD7
0、GePD71の各出力信号Iλ1 、Isi、I Geは灰
色近似により前記(1)式に示した Planck の式を用い
て次の(2)、(3)、(4)式により表わすことがで
きる。
【0034】
【数2】
【0035】ε:放射率 C1 、C2 : Planck の第一、第二定数 T:絶対温度(火炎温度) λ:波長 λ1 、λ2 :誘電体多層膜干渉フィルタ53、54の中
心透過波長 Δλ1 、Δλ2 :誘電体多層膜干渉フィルタ53、54
の透過波長バンド幅 K s1(λ) 、K s2(λ) :火炎センサの光学系の分光特
性(透過率、反射率、SiPD55、SiPD70の分
光感度特性等)および電気回路の回路定数から定まる関
数 K G1(λ) 、K G2(λ) :火炎センサの光学系の分光特
性(透過率、反射率、GePD56、GePD71の分
光感度特性等)および電気回路の回路定数から定まる関
数 正確にいえば、SiPD70に入射する約0.4〜1.
1μmの波長域の光には火炎中の炭素質粒子の発光以外
に可視域の短波長側に生じる火炎中のラジカル成分によ
る化学発光があわせて入射するが、このラジカルの発光
は線スペクトルであり、光量的に微弱であるので、炭素
質粒子の灰色近似性を弱めるものではなく、また、ラジ
カルの発光波長域においてSiPDの感度は低く、Si
PD70の出力信号Isiに及ぼす影響は無視できる。ま
たは、ラジカルの発光波長域である約0.6μm以下を
カットするカットフィルタ(光学的フィルタ)を図1の
火炎センサの入射端に備えてもよい。このカットフィル
タは誘電体多層膜干渉フィルタ53、54のように特殊
なものではなく標準品を使用できるので特に高価なもの
ではない。
【0036】SiPD55、SiPD70、GePD7
1の各出力信号Iλ1 、Isi、IGeを表わす上記
(2)、(3)、(4)式において燃焼状態により変化
する未知数は放射率εと火炎温度Tのみである。灰色近
似性から放射率εは波長に対して一定として信号強度
比、例えばIsi/Iλ1 を計算することにより放射率を
打ち消すことができる。したがって信号強度比Isi/I
λ1 は火炎温度により定まる値であり、よって火炎温度
に関する指標となりうる。また黒体炉を使用して温度と
これら信号強度比の関係をあらかじめ求めておくことに
より信号強度比から火炎温度を演算可能である。温度と
si/Iλ1 の関係を図9に示す。Isi/Iλ1以外に
si/IGe、IGe/Iλ1 も同様に火炎温度に関する指
標であり、火炎温度に関する指標としてIsi/Iλ1
限定するものではないが、同種の光検出素子(この場
合、SiPD)の出力信号の比をとることにより、周囲
環境による光検出素子の特性変動が同様に働き、特性変
動の影響を相殺できる。
【0037】水蒸気吸光に関しては、Iλ1 、Isi、I
Geが灰色体として近似できる炭素質粒子の発光のみによ
る信号であることから、これら信号Iλ1 、Isi、IGe
と、Isi/Iλ1 から演算される火炎温度と同一の温度
の灰色体の分光放射特性を使用してGePD56に入射
する光と同波長帯の炭素質粒子の発光のみが入射した際
のGePD56の出力信号I′λ2 を推定することによ
り行なう。信号I′λ 2 は実測できないが、灰色近似を
使用して下記の(5)式により表わされるものである。
【0038】
【数3】
【0039】信号強度比IGe/I′λ2 を仮定すると、
これはIsi/Iλ1 と同様に放射率が打ち消され火炎温
度のみにより定まる値である。したがって、実測される
si/Iλ1 から灰色体の分光放射特性を利用してIGe
/I′λ2 を推定することができる。Isi/Iλ1 から
Ge/I′λ2 を推定するには黒体炉を使用して火炎温
度範囲でのIsi/Iλ1 とIGe/I′λ2 の関係式を求
めることにより行なう。黒体炉での補正時には、図1に
示した本発明の実施例の火炎センサではGePD56の
出力信号Iλ2 =I′λ2 であることからIsi/Iλ1
とIGe/I′λ 2 の関係を求めることができる。Isi
Iλ1 とIGe/I′λ2 の関係を図10に示す。ここで
使用する信号はIGe/I′λ2 に限定するものではな
く、Isi/I′λ2 、Iλ1 /I′λ2 も使用できる
が、前記Isi/Iλ1 と同様に、同種の光検出素子(こ
の場合、GePD)の出力信号の比をとることにより光
検出素子の特性変動の影響を相殺できる。また、IGe
I′λ2 以外のIsi/I′λ2、Iλ1 /I′λ2 を使
用する場合、誘電体多層膜干渉フィルタ54の透過波長
バンドは水蒸気吸光帯の影響を受ける波長帯を全て透過
するバンド幅に設定する必要はない。
【0040】実際に測定される水蒸気吸光の影響を受け
た信号Iλ2 はI′λ2 を使用して次のように表わされ
る。
【0041】
【数4】 Iλ2 =I′λ2 −IVA ……(6) ここでIVAは水蒸気吸光による発光強度の減少量に関す
るものである。
【0042】
【数5】 α=IVA/I′λ2 ……(7) とすると(6)式は次のように表わされる。
【0043】
【数6】
【0044】ここで、(1−α)=Iλ2 /I′λ2
表わされるαもしくは(1−α)が前記燃焼診断の評価
値の一つである水蒸気吸光度である。図10の関係をも
とに、測定値Isi/Iλ1 から推定値IGe/I′λ2
求め、この推定値IGe/I′λ2 と測定値IGe/Iλ2
を比較することによりIλ2 /I′λ2 =1−αを演算
し水蒸気吸光度を求めることができる。
【0045】本発明における水蒸気吸光度の定義は、別
の表現をすれば、Isi/Iλ1 から実測される対象バー
ナ火炎温度に一致する温度を有し、放射率が火炎中の炭
素質粒子と近似できる灰色体の水蒸気吸光波長帯の発光
スペクトル強度と実測される火炎の水蒸気吸光波長帯の
発光スペクトル強度との比、つまり黒体に対する場合の
放射率相当のものを求めるものである。この水蒸気吸光
波長帯の灰色体と実測される発光スペクトル強度の比を
便宜上放射率と同様に扱い、これをεg とすると、
【0046】
【数7】εg =1−α である。また、 Beer の吸収法則より、一般に放射率ε
は、
【0047】
【数8】ε=1−exp(AL) で表わされる。上記εg を一般の放射率に準じるものと
すれば、
【0048】
【数9】εg =1−α=1−exp(AL) として表現できる。ここでAは吸収係数、Lは光路長で
ある。観測する波長域における炭素質粒子の灰色近似の
精度でもって、この吸収係数Aは排ガス中水蒸気濃度に
より定まる係数であると考えることができる。
【0049】よって水蒸気吸光による発光スペクトル強
度の減少量、ひいては排ガス中水蒸気濃度に関係する指
標である水蒸気吸光度を従来とほぼ同様に求めることが
できる。火炎検出には複合光検出素子57を構成するS
iPD70、GePD71の出力電気信号Isi、IGe
SiPD55、GePD56の出力電気信号Iλ1 、I
λ2 を合成し、特定周波数帯域(例えば30〜300H
z )のAC成分を抽出した信号FsiおよびFGeを使用す
ることにより火炎発光のフリッカ(ちらつき)分析を行
ないFsi、FGeの信号強度変化から火炎の有無を判定す
る。IsiとIλ1の合成信号およびIGeとIλ2 の合成
信号は、従来の図11に示した火炎検出器の光検出素子
の出力電気信号とほぼ同じものである。この火炎センサ
は多重反射を利用しており、各光検出素子への入射効率
は多少異なるが、加算回路90、91または増幅器の回
路定数を調整し加算の際の重み付けを入射効率に対応し
たものにすることにより、光ファイバを伝送してきた火
炎発光が複合光検出素子に直に入射する図11の従来の
火炎検出器の出力信号と同じ信号を得ることができる。
【0050】したがって、本願発明の実施例の火炎検出
・燃焼診断併用型火炎センサによれば、燃焼診断のため
の評価値(火炎温度、水蒸気吸光度)演算および火炎検
出用のフリッカ(ちらつき)分析を従来とほぼ同様に行
なうことができ、かつセンサを構成するのに必要な誘電
体多層膜干渉フィルタ、光検出素子を従来よりも大幅に
減少できることから安価なセンサを構成することがで
き、また誘電体多層膜干渉フィルタ枚数に起因する光損
失を減少させることができるため、経済性および入射効
率の向上を図った火炎センサを構成できる。また火炎検
出用の信号として、誘電体多層膜干渉フィルタを透過し
た光を光検出素子により光電変換した信号と誘電体多層
膜干渉フィルタにおいて反射された光を光検出素子によ
り光電変換した信号を電気信号ベースで合成した信号を
用いることにより、火炎検出器単独の場合に光検出素子
から得られる信号とほぼ同一の信号を得ることができ、
火炎検出器単独の場合と同じ火炎検出性能を得ることが
できる。
【0051】上記した本願発明の実施例の火炎検出・燃
焼診断併用型火炎センサでは光検出素子にGePDを使
用しているが、これ以外に同様の波長域に感度を持つP
bS光導電型素子、PbSe光導電型素子を使用するこ
とができる。同様に複合光検出素子57にもSiPDと
GePDを積層したもの以外に、SiPDとPbSまた
はPbSe光導電型素子を積層したものを使用すること
ができる。また、図1の本願発明の実施例の除算回路8
0、81、加算回路90、91、バンドパスフィルタ
(電気的周波数フィルタ)100、101、ローパスフ
ィルタ(電気的周波数フィルタ)103、104等の信
号処理回路はアナログ回路のみでなく、デジタル回路ま
たはソフトウェアにより構成することができる。デジタ
ル回路、またはソフトウェアにより信号処理を行なう場
合はA/D変換回路により増幅器60〜63のアナログ
出力信号をデジタル信号に変換し、デジタル回路または
ソフトウェア上に取り込むことにより行なう。このA/
D変換の際、増幅器60〜63のアナログ出力信号を同
時サンプルホールドラッチにより同期化して取り込むこ
とにより、火炎のゆらぎによる光量変動の影響を減少さ
せることができる。
【0052】また、上記した本発明の実施例の火炎検出
・燃焼診断併用型火炎センサでは1.4μm帯の水蒸気
吸光を扱っているが、この波長帯のみ、また水蒸気のみ
に限定するものではない。水蒸気の発光・吸光帯は1.
4μm帯のみでなく1.8、2.7にもあり、また、燃
焼排ガス中の水蒸気以外の他のガスとして例えばCO 2
の発光・吸光帯は2.0、2.7、4.3μm帯に存在
する。1.4μm帯の水蒸気吸光帯以外の波長域、およ
び他のガスについても1.4μm帯の水蒸気吸光と同様
に灰色近似可能な炭素質粒子の発光に各種ガスの特定波
長帯における吸光が重なったものとして観測されるため
上記実施例の1.4μm帯の水蒸気吸光と同様にして他
の波長帯および他のガスについて吸光の影響に関する指
標を得ることができる。この場合、火炎センサの構成要
素として石英系光ファイバおよびガラスブロックは使用
できない。石英(ガラス)の透過波長域は約1.6μm
が上限であり、それよりも長波長側は石英(ガラス)を
透過しないためである。したがって、他の波長帯、他の
ガスを対象とする場合は、対象波長帯を透過する材質か
らなる透過ブロック、赤外線光ファイバを使用する必要
がある。または、このような導波路を使用せず、火炎発
光が直接誘電体多層膜干渉フィルタ、光検出素子に入射
する構成とする必要がある。光検出素子には対象波長域
で感度を有するPbS、PbSe光導電型素子、InA
s、InSb光起電力型素子、焦電型素子等を使用す
る。
【0053】
【発明の効果】本発明になる火炎検出・燃焼診断併用型
火炎センサによれば、燃焼診断のための評価値(火炎温
度、水蒸気吸光度、その他ガスの吸光の影響を表わす指
標)演算および火炎検出用のフリッカ(ちらつき)分析
を従来とほぼ同様に行なうことができ、かつセンサを構
成するのに必要な誘電体多層膜干渉フィルタ、光検出素
子を従来よりも大幅に減少できることから安価なセンサ
を構成することができ、また誘電体多層膜干渉フィルタ
枚数に起因する光損失を減少させることができるので、
経済性および入射効率の向上を図った火炎センサを構成
できる効果が得られる。また火炎検出用の信号として、
誘電体多層膜干渉フィルタを透過した光を光検出素子に
より光電変換した信号と誘電体多層膜干渉フィルタにお
いて反射された光を光検出素子により光電変換した信号
を電気信号ベースで合成した信号を用いることにより、
火炎検出器単独の場合に光検出素子から得られる信号と
ほぼ同一の信号を得ることができ、火炎検出器単独の場
合と同じ火炎検出性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の火炎検出・燃焼診断併用型
火炎センサの構成を示す図。
【図2】本発明の一実施例に使用する複合光検出素子の
構成を示す図。
【図3】、
【図4】本発明の一実施例の構成要素である誘電体多層
膜干渉フィルタの透過率、反射率の分光特性を示す図。
【図5】、
【図6】、
【図7】、
【図8】本発明の一実施例の光検出素子に入射する光の
分光特性を示した図。
【図9】本発明の一実施例における火炎温度に関する指
標と火炎温度の関係を示す図。
【図10】本発明の一実施例の火炎温度に関する指標と
水蒸気吸光波長帯における炭素質粒子の発光スペクトル
強度の関係を示す図。
【図11】従来の火炎検出器の構成を示す図。
【図12】バーナ火炎が点火・消火している時の火炎の
ちらつき(AC)成分を示す図。
【図13】燃焼火炎(輝炎)の発光スペクトル例を示す
図。
【図14】燃焼診断の評価値と各種燃焼調整操作の関係
を示す図。
【図15】従来技術の火炎検出・燃焼診断併用型火炎セ
ンサの構成を示す図。
【符号の説明】
50…光ファイバ、51…コリメータレンズ、52…ガ
ラスブロック、53、54…誘電体多層膜干渉フィル
タ、55…シリコンフォトダイオード、56…ゲルマニ
ウムフォトダイオード、57…複合光検出素子、60、
61、62、63…増幅器、80、81…除算回路、9
0、91…加算回路、100、101…バンドパスフィ
ルタ、103、104…ローパスフィルタ、110…デ
ータ解析部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼火炎からの光を受光して導入する手
    段と、導入された光に基づいて火炎の検出と燃焼の診断
    を行なう手段とを備えた火炎検出および燃焼診断装置に
    おいて、燃焼排ガス中のH2 O、CO2 をはじめとする
    各種ガスの吸光波長帯のうち少なくとも一つの吸光波長
    帯における光のスペクトル強度を計測する手段と、この
    吸光波長帯における実測されるスペクトル強度と、対象
    火炎の火炎温度と一致する温度を有し放射率が火炎中の
    炭素質粒子(スート)と近似される灰色体の前記吸光波
    長帯における発光スペクトル強度とを比較する手段と、
    比較結果により、燃焼排ガス中のH2 O、CO2 等の相
    対的ガス濃度を演算する手段とを備えたことを特徴とす
    る火炎検出および燃焼診断装置。
  2. 【請求項2】 燃焼火炎からの光を導入する手段と、導
    入された光を透過波長帯の異なる複数個の干渉フィルタ
    に順次入射させ、前記各干渉フィルタの透過光に応じた
    電気信号を得る手段と、前記干渉フィルタを経て反射さ
    れた光を複合光検出素子に入射させ、複数波長帯域に分
    光するとともに、それぞれの分光スペクトルに応じた電
    気信号を得る手段と、前記得られたこれら電気信号に基
    づき特定波長帯域におけるスペクトル強度から火炎温
    度、燃焼ガス中のガス成分吸光度または濃度を算出して
    燃焼診断をする手段と、前記電気信号に基づき火炎発光
    のAC成分を分析して火炎の検出をする手段とを備えた
    火炎検出および燃焼診断装置において、前記燃焼ガス中
    のガス成分吸光度または濃度の算出手段は、燃焼火炎中
    のガス成分の吸光波長帯のうち少なくとも一つの吸光波
    長帯における実測されたスペクトル強度と、対象火炎の
    温度と一致する温度を有する灰色体の前記吸光波長帯に
    おける発光スペクトル強度を比較する手段と、この比較
    結果に基づき燃焼ガス中のガス成分吸光度または濃度を
    算出する手段とにより構成されたことを特徴とする火炎
    検出および燃焼診断装置。
  3. 【請求項3】 燃焼火炎からの光を導入する手段と、導
    入された光を第1の誘電体多層膜干渉フィルタに入射さ
    せて入射光のうち燃焼ガス中のガス成分の影響を受ける
    波長域Aを含む波長帯を透過させ、透過光に基づき電気
    信号Iλ2 を発生する手段と、前記干渉フィルタにより
    反射された光を第2の誘電体多層膜干渉フィルタに入射
    させて入射光のうちAと異なる波長域Bの光を透過さ
    せ、透過光に基づき電気信号Iλ1 を発生させる手段
    と、前記第2の干渉フィルタにより反射された残りの光
    を複合光検出素子に入射して波長域Bを含む波長帯Cの
    光を電気信号Isiとし、波長域Aを含む波長域Dの光を
    電気信号IGeとする手段と、前記各電気信号に基づき、
    信号強度比Isi/Iλ1 、Isi/IGe、IGe/Iλ1
    うちの1つ以上およびIGe/Iλ2 、Isi/Iλ2 、I
    λ1 /Iλ2 のうちの一つ以上と、信号和Iλ1
    si、Iλ2 +IGeの各値を得る手段と、前記信号和I
    λ1 +Isi、Iλ2 +IGeをそれぞれバンドパスフィル
    タに通して特定周波数帯域のAC信号を取出す手段と、
    取出されたAC信号に基づき火炎の有無の判定を行なう
    火炎検出手段と、前記信号強度比Isi/Iλ1 、Isi
    Ge、IGe/Iλ1 のうちの一つ以上に基づき火炎温度
    を検出する手段と、検出された前記火炎温度と同一温度
    における灰色体の分光放射特性I′λ2 を求め、信号比
    Ge/I′λ2 、Isi/I′λ2 、Iλ1 /I′λ2
    いずれかを算出する手段と、以上により求められたIGe
    /Iλ2 とIGe/I′λ2 、Isi/Iλ2 とIsi/I′
    λ2 およびIλ1 /Iλ2 とIλ1 /I′λ2 のうちの
    いづれか一つ以上の組合せについての比較に基づいて燃
    焼ガス中のガス成分吸光度または濃度を求める手段と、
    前記求めた火炎温度とガス成分吸光度または濃度に基づ
    き燃焼状態を診断する燃焼診断装置とを備えたことを特
    徴とする火炎検出および燃焼診断装置。
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