JPH079147A - 高純度フェライト系ステンレス鋼厚板の溶接方法 - Google Patents

高純度フェライト系ステンレス鋼厚板の溶接方法

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JPH079147A
JPH079147A JP17365993A JP17365993A JPH079147A JP H079147 A JPH079147 A JP H079147A JP 17365993 A JP17365993 A JP 17365993A JP 17365993 A JP17365993 A JP 17365993A JP H079147 A JPH079147 A JP H079147A
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JP
Japan
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welding
stainless steel
ferritic stainless
tig
arc
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JP17365993A
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Taiji Hase
泰治 長谷
Takashi Tanaka
隆 田中
Masanori Umeno
正紀 梅野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 19Cr−2Mo系で代表される高純度フェ
ライト系ステンレス鋼厚板の溶接において、特に被覆ア
ーク溶接を行った場合に溶接熱影響部表面が脆化するの
を防止する。 【構成】 多層盛の被覆アーク溶接によって溶接金属を
最終層まで盛った後、熱影響部の母材表面をTIGアー
クにより溶解するパスを行なう溶接方法。また初層、最
終層のうちの少なくとも最終層はTIG溶接で行ない、
他の層のパスは被覆アーク溶接で行なう溶接方法。 【効果】 高能率の被覆アーク溶接法を主体として、一
部にTIG溶接法を併用することにより溶接のコストと
品質を両立させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は19Cr−2Mo系で代
表される高純度フェライト系ステンレス鋼厚板の溶接方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来化学工業用など高耐食性を要求され
る用途にはJIS規格SUS304、SUS316など
のオーステナイト系ステンレス鋼が主として使用されて
きたが、これらは塩化物を含有する環境下等では応力腐
食割れを生じやすいという欠点がある。上記欠点を解消
すべくオーステナイト系ステンレス鋼と同等の耐食性を
有する高純度フェライト系ステンレス鋼が開発され適用
を広げている。これは精錬技術の進歩により炭素などの
不純物を容易に低減できることから高純化することによ
り靱性、耐粒界腐食性、耐孔食性を改善したものであ
る。これは耐応力腐食割れ性に優れ、Crをフェライト
系ステンレス鋼の標準である17%より高めてさらにM
oを添加したものはオーステナイト系ステンレス鋼と同
等以上の耐食性を発揮する。これの代表的なものが本発
明の溶接方法の適用対象とする19Cr−2Mo系のも
のである。
【0003】この高純度フェライト系ステンレス鋼は温
水器などに薄板が大量に使われており、これらの溶接は
TIG溶接によって行なわれている。またその際の溶加
材としては共金系のものが用いられている。さらに近年
は化学プラント用として厚板にも適用が拡大されている
が厚板の溶接については問題点があることがわかってき
た。すなわち、厚板の場合TIG溶接では能率が上がら
ないため被覆アーク溶接で多層溶接を行なうことが試み
られているが、熱影響部が脆化し曲げたりすると割れて
しまうようになることである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高純度フェラ
イト系ステンレス鋼の厚板溶接の上記問題点に鑑み、高
能率で熱影響部の脆化がない溶接方法を提供することを
課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、16〜21wt%Crと0.75〜
3.5wt%Moを含有する高純度フェライト系ステン
レス鋼の厚板の溶接において、多層盛の被覆アーク溶接
によって溶接金属を最終層まで盛った後、熱影響部の母
材表面をTIGアークにより溶解するパスを行なうこと
を特徴とする高純度フェライト系ステンレス鋼厚板の溶
接方法である。
【0006】さらに、16〜21wt%Crと0.75
〜3.5wt%Moを含有する高純度フェライト系ステ
ンレス鋼厚板の溶接において、初層、最終層のうちの少
なくとも最終層はTIG溶接で行ない、他の層のパスは
被覆アーク溶接で行なうことを特徴とする高純度フェラ
イト系ステンレス鋼厚板の溶接方法であり、また、上記
溶接を行なった後、熱影響部の母材表面をTIGアーク
により溶解するパスを行なうことも特徴とする。
【0007】
【作用】本発明の対象となる溶接方法は高純度フェライ
ト系ステンレス鋼厚板の多層盛溶接である。高純度フェ
ライト系ステンレス鋼は代表成分は19Cr−2Moで
あり、これはJIS規格SUS444に相当するもので
あるが、さらにはCrの範囲としては16〜21wt
%、Moの範囲としては0.75〜3.5wt%のもの
が該当する。また耐食性、強度、溶接性などを向上させ
る目的でTi、Nb、Vなどを添加したものも該当す
る。
【0008】どのような材料においても溶接の熱影響部
において材料の融点に近い高温に加熱された部分では結
晶粒の粗大化に伴なうある程度の材質劣化は免れないも
のである。しかしながら、高純度フェライト系ステンレ
ス鋼においては特に被覆アーク溶接法によって溶接を行
なった場合に熱影響部が著しく脆化する。すなわち溶接
後の曲げ加工は全く不可能の状態になり、曲げると熱影
響部から割れが入ってしまう。このような材料は曲げ加
工をしないで使用する場合でも安全性から当然問題にな
る。
【0009】上記の特に被覆アーク溶接において脆化が
著しいことの原因について追求したところ、結晶粒界の
酸化が主原因であることが判明した。すなわち被覆アー
ク溶接法では母材表面まで保護するような雰囲気が溶接
時に溶接棒自体から発生することはできない。したがっ
てどうしても母材表面が酸化することになるが、高温に
曝されると粒界が選択的に酸化されて脆化するものであ
る。このため特に被覆アーク溶接棒を使用する手溶接に
おいては脆化が著しくなると考えられる。
【0010】本発明者はこれの対策について検討した結
果、熱影響部をTIGアークによって溶加材を使用しな
いで表面を溶解するパスを行なう、いわゆるナメづけに
よりTIG溶接のクリーニング作用を利用し、表面近傍
の酸化物を除去し延性を回復できることが判明した。図
1は本発明の方法を示す溶接部の断面図である。1は母
材、2は溶接金属で最終パスまで溶接が完了した状態を
示している。3が熱影響部であるが、これの母材表面に
TIGアークによるビード4を置けばよい。また初層ビ
ード側については裏当材を用いることにより表面酸化が
ないときには必要がないが、場合によっては同様にTI
Gアークによるビード5を置けばよい。
【0011】このようにTIG溶接により熱処理部の母
材表面を再溶解することにより粒界が脆化した組織は新
たな凝固組織へと変化する。これにより粒界に析出した
酸化物やその他の不純物は再溶解し、固溶するか少なく
とも粒界への析出はなくなる。なお、TIG溶接ビード
を置くことによって新たにこれによる熱影響部を生ずる
ことになるが、TIG溶接の場合純アルゴンなどの不活
性のシールドガスにより母材表面酸化が防止されるから
母材および溶接金属の熱影響部表面の脆化は無視でき
る。
【0012】また本発明の別の手段として初層、最終層
のうち少なくとも最終層はTIG溶接で行ない、他の層
のパスは被覆アーク溶接で行なってもよい。すなわち表
面層の溶接はTIG溶接で行なうことにより、シールド
ガスの効果で母材表面の酸化を防止できる。一方内部の
層のパスは被覆アーク溶接で行なうことにより高能率の
溶接ができる。
【0013】この方法は現在のところ共金系の溶接材料
がTIG溶接用しかなく被覆アーク溶接ではオーステナ
イ系の溶接材料が使用されているという点からも好まし
い方法である。すなわちオーステナイ系の材料による溶
接金属自体の耐食性は良好であるが、電解の電位の異な
る異種の材料が表面で接触していることは耐食性の点か
らは好ましいことではないからである。この点からも熱
影響部表面の脆化が特に問題になる最終層だけでなく、
初層も裏当材やバックシールドガスなど表面の酸化防止
手段を講じつつTIG溶接で行なうのが好ましい。さら
にこの溶接法に先に述べた熱影響部の母材表面をTIG
アークにより溶解するパスを行なう方法を併用すること
もさらに効果を確実にする点から好ましい。
【0014】
【実施例】板厚15mmの19Cr−2Mo系の高純度
フェライト系ステンレス鋼(商品名YUS−190L)
について本発明の方法を適用した溶接を行なった。上記
材料は表1に成分を示すように炭化物の安定化、強度向
上などのため基本成分系の他にTi、Vが添加されてい
る。
【0015】
【表1】
【0016】溶接は図1に示したようにV開先で5層な
いし6層の多層盛溶接によって行なった。溶接方法とし
ては全層被覆アーク溶接によるもの、これにさらにTI
G溶接による母材熱影響部表面の溶解を行なったもの、
初層、最終層はTIG溶接、他の層は被覆アーク溶接で
行なったものの3種類である。初層、最終層のTIG溶
接は共金系の溶加材を使用して行なった。一方被覆アー
ク溶接はオーステナイ系ステンレス鋼SUS316L
(18Cr−12Ni−2Mo系)用の溶接棒を使用し
て行なった。また初層が被覆アーク溶接のものは裏当て
なしで開先内面から溶接を行なったが、TIG溶接の場
合は銅当金を用いた。溶接結果を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】溶接部の脆化は曲げ半径25mmの180
度曲げ試験を表曲げ、裏曲げそれぞれ行なって判断し
た。これによれば全層被覆アーク溶接を行なったものは
表曲げ、裏曲げとも不良であるが、熱影響部表面をTI
G溶解したもの、初層、最終層をTIG溶接で行なった
ものはいずれも良好である。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば高純度フェライト系ステ
ンレス鋼厚板の溶接において、高能率で広く用いられて
いる被覆アーク溶接法を主体として、一部にTIG溶接
法を併用することにより熱影響部の脆化の問題がない溶
接を行なうことができる。したがって溶接のコストと品
質を両立させることができ、工業的利益は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を示す溶接部の断面図
【符号の説明】
1 母材 2 溶接金属 3 熱影響部 4、5 TIGアークによるビード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B23K 9/167 A 8315−4E

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 16〜21wt%Crと0.75〜3.
    5wt%Moを含有する高純度フェライト系ステンレス
    鋼の厚板の溶接において、多層盛の被覆アーク溶接によ
    って溶接金属を最終層まで盛った後、熱影響部の母材表
    面をTIGアークにより溶解するパスを行なうことを特
    徴とする高純度フェライト系ステンレス鋼厚板の溶接方
    法。
  2. 【請求項2】 16〜21wt%Crと0.75〜3.
    5wt%Moを含有する高純度フェライト系ステンレス
    鋼厚板の溶接において、初層、最終層のうちの少なくと
    も最終層はTIG溶接で行ない、他の層のパスは被覆ア
    ーク溶接で行なうことを特徴とする高純度フェライト系
    ステンレス鋼厚板の溶接方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の溶接を行なった後、熱影響部
    の母材表面をTIGアークにより溶解するパスを行なう
    ことを特徴とする高純度フェライト系ステンレス鋼厚板
    の溶接方法。
JP17365993A 1993-06-22 1993-06-22 高純度フェライト系ステンレス鋼厚板の溶接方法 Withdrawn JPH079147A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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