JPH0790548A - 透明導電性薄膜およびその製造方法 - Google Patents
透明導電性薄膜およびその製造方法Info
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- JPH0790548A JPH0790548A JP23967493A JP23967493A JPH0790548A JP H0790548 A JPH0790548 A JP H0790548A JP 23967493 A JP23967493 A JP 23967493A JP 23967493 A JP23967493 A JP 23967493A JP H0790548 A JPH0790548 A JP H0790548A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】赤外線及び紫外線を遮光できるとともに、層間
の密着性が良く、安定性に優れ、他層へのドープ材の拡
散を抑制し機能性の劣化の少ない透明導電性薄膜および
その製造方法を提供する。 【構成】基板上に酸化亜鉛からなる第1の薄膜層2と、
三価以上の金属もしくは半導体を含む酸化亜鉛からなる
第2の薄膜層3の間に、三価以上の金属もしくは半導体
の含有量が連続的に変化してなる酸化亜鉛を主成分とす
る第3の薄膜層4を設ける。導電性・透明性・赤外線吸
収性・紫外線反射性及び環境に対する安定性を有し、さ
らに第3の薄膜層4は前記両層の密着性の向上と、第2
の薄膜層及びそれ自体からの三価以上の金属もしくは半
導体の物質の拡散移動を抑制することができ、第1の薄
膜層の劣化を遅くし、透明導電性薄膜の機能低下を防止
できる。
の密着性が良く、安定性に優れ、他層へのドープ材の拡
散を抑制し機能性の劣化の少ない透明導電性薄膜および
その製造方法を提供する。 【構成】基板上に酸化亜鉛からなる第1の薄膜層2と、
三価以上の金属もしくは半導体を含む酸化亜鉛からなる
第2の薄膜層3の間に、三価以上の金属もしくは半導体
の含有量が連続的に変化してなる酸化亜鉛を主成分とす
る第3の薄膜層4を設ける。導電性・透明性・赤外線吸
収性・紫外線反射性及び環境に対する安定性を有し、さ
らに第3の薄膜層4は前記両層の密着性の向上と、第2
の薄膜層及びそれ自体からの三価以上の金属もしくは半
導体の物質の拡散移動を抑制することができ、第1の薄
膜層の劣化を遅くし、透明導電性薄膜の機能低下を防止
できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紫外線遮蔽性を有する
透明導電性薄膜およびその製造方法に関するものであ
る。
透明導電性薄膜およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から可視光の範囲で高い透過率を有
し、かつ低い電気抵抗を有する透明導電性薄膜を構成す
る金属または金属酸化物からなる薄膜形成材料として、
インジウム−錫系、亜鉛系等が挙げられるが、とくに資
源的に豊富であり、安価であり、かつ公害をもたらす恐
れの少ない物質である酸化亜鉛系が着目されるようにな
ってきている。
し、かつ低い電気抵抗を有する透明導電性薄膜を構成す
る金属または金属酸化物からなる薄膜形成材料として、
インジウム−錫系、亜鉛系等が挙げられるが、とくに資
源的に豊富であり、安価であり、かつ公害をもたらす恐
れの少ない物質である酸化亜鉛系が着目されるようにな
ってきている。
【0003】この酸化亜鉛からなる薄膜は、3.2〜
3.3eVの光学的なエネルギーギャップを持つn型半
導体であることから、紫外線吸収特性を有することが知
られている。また先行技術として特公平4−44721
号公報に記載されるように、酸化亜鉛薄膜に三価以上の
金属もしくは半導体として、例えばアルミニウムを含有
する酸化亜鉛薄膜を積層してなる薄膜は赤外線に反射特
性を示し、これにより紫外線及び赤外線の透過を阻止可
能な透明薄膜材料であることが開示されている。これは
さらに、同一の酸化物を使用しているため、薄膜内のス
トレスが少なく良好な結晶性薄膜であり、機械的にも安
定している。
3.3eVの光学的なエネルギーギャップを持つn型半
導体であることから、紫外線吸収特性を有することが知
られている。また先行技術として特公平4−44721
号公報に記載されるように、酸化亜鉛薄膜に三価以上の
金属もしくは半導体として、例えばアルミニウムを含有
する酸化亜鉛薄膜を積層してなる薄膜は赤外線に反射特
性を示し、これにより紫外線及び赤外線の透過を阻止可
能な透明薄膜材料であることが開示されている。これは
さらに、同一の酸化物を使用しているため、薄膜内のス
トレスが少なく良好な結晶性薄膜であり、機械的にも安
定している。
【0004】その製造方法としては真空蒸着法、スパッ
タリング法、CVD法、イオンプレーテイング法等の真
空成膜法を用い、金属または金属酸化物からなる薄膜形
成材料を気化させ、基材上に成膜する方法が用いられて
きた。
タリング法、CVD法、イオンプレーテイング法等の真
空成膜法を用い、金属または金属酸化物からなる薄膜形
成材料を気化させ、基材上に成膜する方法が用いられて
きた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
行技術は導電性材料料としての記載はなされてないが、
導電性を示す酸化亜鉛薄膜は薄膜の配向性が問題であ
り、酸化亜鉛薄膜とアルミニウムを含む酸化亜鉛薄膜と
の界面において、例えば太陽電池の透明電極などとして
高温下で用いられるような場合には、酸化亜鉛薄膜中に
アルミニウムの拡散が生じ、これによる太陽電池の性能
劣化のおそれがあるという問題点がある。また、酸化亜
鉛単独からなる薄膜層は、亜鉛過剰の状態で析出されて
おり、空気中の水分や酸素に対して反応しやすく、空気
中に曝すと容易に劣化してしまうという問題点がある。
行技術は導電性材料料としての記載はなされてないが、
導電性を示す酸化亜鉛薄膜は薄膜の配向性が問題であ
り、酸化亜鉛薄膜とアルミニウムを含む酸化亜鉛薄膜と
の界面において、例えば太陽電池の透明電極などとして
高温下で用いられるような場合には、酸化亜鉛薄膜中に
アルミニウムの拡散が生じ、これによる太陽電池の性能
劣化のおそれがあるという問題点がある。また、酸化亜
鉛単独からなる薄膜層は、亜鉛過剰の状態で析出されて
おり、空気中の水分や酸素に対して反応しやすく、空気
中に曝すと容易に劣化してしまうという問題点がある。
【0006】また添加物の含有量が異なる場合のスパッ
タリング法等による薄膜の作製には、酸化亜鉛中のアル
ミニウム含有量の異なる2枚以上のターゲットが必要と
なり、作成工程が複雑となる問題点がある。
タリング法等による薄膜の作製には、酸化亜鉛中のアル
ミニウム含有量の異なる2枚以上のターゲットが必要と
なり、作成工程が複雑となる問題点がある。
【0007】さらに同一の酸化物からなる積層体であっ
ても、その界面における密着性が十分で、薄膜の安定性
を必ずしも良いとは言えない。加えて、これらの二層か
らなる酸化亜鉛薄膜が全体的、或いは局所的に高温に曝
される場合、Alをドープした層から酸化亜鉛のみの層
へと拡散される可能性があり、抵抗値や紫外線、赤外線
遮蔽効果が劣化する場合がある。
ても、その界面における密着性が十分で、薄膜の安定性
を必ずしも良いとは言えない。加えて、これらの二層か
らなる酸化亜鉛薄膜が全体的、或いは局所的に高温に曝
される場合、Alをドープした層から酸化亜鉛のみの層
へと拡散される可能性があり、抵抗値や紫外線、赤外線
遮蔽効果が劣化する場合がある。
【0008】本発明は、上記問題点を解決すべくなされ
たものであって、酸化亜鉛からなる薄膜層と、三価以上
の金属もしくは半導体を含む酸化亜鉛からなる薄膜層の
間に、三価以上の金属もしくは半導体の含有量が連続的
に変化してなる薄膜層を設けることで赤外線及び紫外線
を遮光できるとともに、層間の密着性が良く、周囲の環
境に対して安定性に優れ、他層へのドープ材の拡散を抑
制し機能性の劣化の少ない透明導電性薄膜およびその製
造方法を提供することにある。
たものであって、酸化亜鉛からなる薄膜層と、三価以上
の金属もしくは半導体を含む酸化亜鉛からなる薄膜層の
間に、三価以上の金属もしくは半導体の含有量が連続的
に変化してなる薄膜層を設けることで赤外線及び紫外線
を遮光できるとともに、層間の密着性が良く、周囲の環
境に対して安定性に優れ、他層へのドープ材の拡散を抑
制し機能性の劣化の少ない透明導電性薄膜およびその製
造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
酸化亜鉛からなる第1の薄膜層と、三価以上の金属もし
くは半導体を含む酸化亜鉛からなる第2の薄膜層を積層
してなる透明導電性薄膜において、前記第1の薄膜層と
前記第2の薄膜層との間に、三価以上の金属もしくは半
導体の含有量を連続的に変化せしめた酸化亜鉛を主成分
とする第3の薄膜層を形成してなることを特徴とする透
明導電性薄膜。
酸化亜鉛からなる第1の薄膜層と、三価以上の金属もし
くは半導体を含む酸化亜鉛からなる第2の薄膜層を積層
してなる透明導電性薄膜において、前記第1の薄膜層と
前記第2の薄膜層との間に、三価以上の金属もしくは半
導体の含有量を連続的に変化せしめた酸化亜鉛を主成分
とする第3の薄膜層を形成してなることを特徴とする透
明導電性薄膜。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明に基づき、三価以上の金属もしくは半導体が、アルミ
ニウム、ホウ素、スカンジウム、ガリウム、ケイ素、イ
ットリウム、イッテルビウム、インジウムあるいはタリ
ウムであることを特徴とする透明導電性薄膜である。
明に基づき、三価以上の金属もしくは半導体が、アルミ
ニウム、ホウ素、スカンジウム、ガリウム、ケイ素、イ
ットリウム、イッテルビウム、インジウムあるいはタリ
ウムであることを特徴とする透明導電性薄膜である。
【0011】請求項3記載の発明は、酸化亜鉛薄膜層、
酸化亜鉛に少量の三価以上の金属もしくは半導体を少な
くとも一種含む混合物からなる薄膜層を順次蒸着形成す
る透明導電性薄膜の製造方法であって、酸化亜鉛からな
る第1の薄膜層を形成後、前記混合物を蒸着形成時に三
価以上の金属もしくは半導体の添加量を漸増せしめ、第
3の薄膜層を形成し、さらに前記添加量を一定として第
2の薄膜層を形成してなることを特徴とする透明導電性
薄膜の製造方法である。
酸化亜鉛に少量の三価以上の金属もしくは半導体を少な
くとも一種含む混合物からなる薄膜層を順次蒸着形成す
る透明導電性薄膜の製造方法であって、酸化亜鉛からな
る第1の薄膜層を形成後、前記混合物を蒸着形成時に三
価以上の金属もしくは半導体の添加量を漸増せしめ、第
3の薄膜層を形成し、さらに前記添加量を一定として第
2の薄膜層を形成してなることを特徴とする透明導電性
薄膜の製造方法である。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明に基づき、三価以上の金属もしくは半導体が、アルミ
ニウム、ホウ素、スカンジウム、ガリウム、ケイ素、イ
ットリウム、イッテルビウム、インジウムあるいはタリ
ウムであることを特徴とする透明導電性薄膜の製造方法
である。
明に基づき、三価以上の金属もしくは半導体が、アルミ
ニウム、ホウ素、スカンジウム、ガリウム、ケイ素、イ
ットリウム、イッテルビウム、インジウムあるいはタリ
ウムであることを特徴とする透明導電性薄膜の製造方法
である。
【0013】
【作用】本発明によれば、酸化亜鉛からなる第1の薄膜
層と、三価以上の金属もしくは半導体を含む酸化亜鉛か
らなる第2の薄膜層の間に、三価以上の金属もしくは半
導体の含有量が連続的に変化してなる酸化亜鉛を主成分
とする第3の薄膜層を設けることにより、第1の薄膜層
の導電性・透明性・赤外線吸収性と、第2の薄膜層の導
電性・透明性・紫外線反射性及び環境に対する安定性の
長所を有し、さらに第3の薄膜層は前記両層の密着性の
向上と、三価以上の金属もしくは半導体の含有量に傾斜
性を持たせることで、第2の薄膜層及びそれ自体からの
三価以上の金属もしくは半導体の物質の拡散移動を抑制
することができ、第1の薄膜層の劣化を遅くし、透明導
電性薄膜の機能低下を防止できる。
層と、三価以上の金属もしくは半導体を含む酸化亜鉛か
らなる第2の薄膜層の間に、三価以上の金属もしくは半
導体の含有量が連続的に変化してなる酸化亜鉛を主成分
とする第3の薄膜層を設けることにより、第1の薄膜層
の導電性・透明性・赤外線吸収性と、第2の薄膜層の導
電性・透明性・紫外線反射性及び環境に対する安定性の
長所を有し、さらに第3の薄膜層は前記両層の密着性の
向上と、三価以上の金属もしくは半導体の含有量に傾斜
性を持たせることで、第2の薄膜層及びそれ自体からの
三価以上の金属もしくは半導体の物質の拡散移動を抑制
することができ、第1の薄膜層の劣化を遅くし、透明導
電性薄膜の機能低下を防止できる。
【0014】また、本発明の製造方式は薄膜形成材料を
加熱気化し、酸素分圧下においてプラズマ空間を通過さ
せた後、基材上に順次付着、積層せしめることにより連
続的に本発明の透明導電性薄膜を成膜することができ、
これにより工程の短縮及び省力化が図れる。
加熱気化し、酸素分圧下においてプラズマ空間を通過さ
せた後、基材上に順次付着、積層せしめることにより連
続的に本発明の透明導電性薄膜を成膜することができ、
これにより工程の短縮及び省力化が図れる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。図1は本発明の透明導電性薄膜1の構成を説明する
断面図であり、図2は本発明の透明導電性薄膜1の製造
に用いられる装置10の構成を説明する説明図であり、
図3は
る。図1は本発明の透明導電性薄膜1の構成を説明する
断面図であり、図2は本発明の透明導電性薄膜1の製造
に用いられる装置10の構成を説明する説明図であり、
図3は
【0016】本発明に用いられる薄膜形成材料は、酸化
亜鉛及び酸化亜鉛に少量のアルミニウム、ホウ素、スカ
ンジウム、ガリウム、ケイ素、イットリウム、イッテル
ビウム、インジウム、タリウム等の三価以上の金属もし
くは半導体を少なくとも一種含む混合物であっても良
い。これらの金属もしくは半導体のイオン価数は亜鉛の
それに比べて多く、酸化亜鉛に混合することにより、化
学量論組成よりずれ金属過剰の状態となる。それによ
り、安定な導電体を形成できる。これらの含有量を少量
(例えばアルミニウムの場合1〜2%、ホウ素の場合
0.5〜1%)としたのは、酸化亜鉛の蒸気圧とこれら
の金属の蒸気圧が極端に異なり、製造しようとする酸化
亜鉛薄膜中で金属原子が局在化し、製造した薄膜の電気
的或いは構造的など諸性質の劣化を招いてしまうからで
ある。また、上記薄膜形成材料は、抵抗加熱法、電子ビ
ーム加熱法等の加熱方法で加熱気化する。
亜鉛及び酸化亜鉛に少量のアルミニウム、ホウ素、スカ
ンジウム、ガリウム、ケイ素、イットリウム、イッテル
ビウム、インジウム、タリウム等の三価以上の金属もし
くは半導体を少なくとも一種含む混合物であっても良
い。これらの金属もしくは半導体のイオン価数は亜鉛の
それに比べて多く、酸化亜鉛に混合することにより、化
学量論組成よりずれ金属過剰の状態となる。それによ
り、安定な導電体を形成できる。これらの含有量を少量
(例えばアルミニウムの場合1〜2%、ホウ素の場合
0.5〜1%)としたのは、酸化亜鉛の蒸気圧とこれら
の金属の蒸気圧が極端に異なり、製造しようとする酸化
亜鉛薄膜中で金属原子が局在化し、製造した薄膜の電気
的或いは構造的など諸性質の劣化を招いてしまうからで
ある。また、上記薄膜形成材料は、抵抗加熱法、電子ビ
ーム加熱法等の加熱方法で加熱気化する。
【0017】図1に示される本発明の透明導電性薄膜1
は、基材5上の第1の薄膜層2である酸化亜鉛薄膜と第
2の薄膜層3である少量の三価以上の金属もしくは半導
体を含む酸化亜鉛薄膜層の間において、三価以上の金属
もしくは半導体の含有量が一次関数的に連続して変化せ
しめた酸化亜鉛を主成分とする第3の薄膜層4から構成
されている。
は、基材5上の第1の薄膜層2である酸化亜鉛薄膜と第
2の薄膜層3である少量の三価以上の金属もしくは半導
体を含む酸化亜鉛薄膜層の間において、三価以上の金属
もしくは半導体の含有量が一次関数的に連続して変化せ
しめた酸化亜鉛を主成分とする第3の薄膜層4から構成
されている。
【0018】なお、酸化亜鉛は少量の金属もしくは半導
体を含まない場合であっても、亜鉛過剰の状態にあれば
不安定であるものの導電性を示し、さらにより安定な層
を一次関数的に形成していくことにより、導電性を保持
するとともにより長波長側での紫外線遮蔽効果を示す。
体を含まない場合であっても、亜鉛過剰の状態にあれば
不安定であるものの導電性を示し、さらにより安定な層
を一次関数的に形成していくことにより、導電性を保持
するとともにより長波長側での紫外線遮蔽効果を示す。
【0019】本発明の透明導電性薄膜1の製造方法とし
て、まず第1の薄膜層2を真空蒸着法(とくに酸化亜鉛
が熱による分解性の高い物質であることに着目すれば、
酸素プラズマ中を蒸着粒子を通過させて成膜する反応性
蒸着法がよい)、スパッタリング法(導電性に対する生
成した酸化亜鉛薄膜の配向性が問題となるため、基材の
設置には注意が必要となる)、CVD法などにより酸化
亜鉛薄膜として基材(図示しない)上に形成する。さら
にこの第1の薄膜層2に三価以上の金属もしくは半導体
の含有量が連続的になるように変化せしめた酸化亜鉛を
主成分とする第3の薄膜層4、一定量の三価以上の金属
もしくは半導体をを含む酸化亜鉛薄膜層からなる第2の
薄膜層3を形成する。この第2の薄膜層3及び第3の薄
膜層4の形成には放電気体(プラズマ)を利用し三価以
上の金属もしくは半導体の化合物を分解し、成膜時に酸
化亜鉛薄膜層中に混入させることができる。CVD法は
反応物質の流量の調節のみで薄膜を得ることができ、と
くにプラズマCVD法が好ましい。
て、まず第1の薄膜層2を真空蒸着法(とくに酸化亜鉛
が熱による分解性の高い物質であることに着目すれば、
酸素プラズマ中を蒸着粒子を通過させて成膜する反応性
蒸着法がよい)、スパッタリング法(導電性に対する生
成した酸化亜鉛薄膜の配向性が問題となるため、基材の
設置には注意が必要となる)、CVD法などにより酸化
亜鉛薄膜として基材(図示しない)上に形成する。さら
にこの第1の薄膜層2に三価以上の金属もしくは半導体
の含有量が連続的になるように変化せしめた酸化亜鉛を
主成分とする第3の薄膜層4、一定量の三価以上の金属
もしくは半導体をを含む酸化亜鉛薄膜層からなる第2の
薄膜層3を形成する。この第2の薄膜層3及び第3の薄
膜層4の形成には放電気体(プラズマ)を利用し三価以
上の金属もしくは半導体の化合物を分解し、成膜時に酸
化亜鉛薄膜層中に混入させることができる。CVD法は
反応物質の流量の調節のみで薄膜を得ることができ、と
くにプラズマCVD法が好ましい。
【0020】これら第3の薄膜層4、第2の薄膜層3は
連続的に酸化亜鉛薄膜を形成しながら、三価以上の金属
もしくは半導体の有機金属化合物や水素化物など反応性
の高い化合物として反応系内に供給され、化合物の分解
により酸化亜鉛薄膜に混入されるものであり、この場
合、化合物の供給量を除々に増加させながら酸化亜鉛薄
膜を成膜し第3の薄膜層4とし、さらに化合物の供給量
を一定量に固定し酸化亜鉛薄膜を成膜し第2の薄膜層3
を形成する。このようにして本発明の透明導電性薄膜1
を得る。
連続的に酸化亜鉛薄膜を形成しながら、三価以上の金属
もしくは半導体の有機金属化合物や水素化物など反応性
の高い化合物として反応系内に供給され、化合物の分解
により酸化亜鉛薄膜に混入されるものであり、この場
合、化合物の供給量を除々に増加させながら酸化亜鉛薄
膜を成膜し第3の薄膜層4とし、さらに化合物の供給量
を一定量に固定し酸化亜鉛薄膜を成膜し第2の薄膜層3
を形成する。このようにして本発明の透明導電性薄膜1
を得る。
【0021】本発明の透明導電性薄膜1に用いられる基
材は、光線透過性を有し、ある程度の剛性があれば特に
限定されるものではなく、例えばポリエステルフィル
ム、ポリオレフィンフィルム等の高分子フィルムであっ
ても、ガラスであってもよい。ただし、薄膜の形成方法
によって規定される。
材は、光線透過性を有し、ある程度の剛性があれば特に
限定されるものではなく、例えばポリエステルフィル
ム、ポリオレフィンフィルム等の高分子フィルムであっ
ても、ガラスであってもよい。ただし、薄膜の形成方法
によって規定される。
【0022】本発明に用いられる三価以上の金属もしく
は半導体の原料は、適当な蒸気圧を有する化合物であれ
ば、とくに限定されないが、安全性を考慮すると水素化
物は、空気あるいは酸素と容易に反応するため避けた方
がよく、有機金属化合物は液体状のものが比較的扱い易
く、蒸気圧も高く反応性に富んでいる。
は半導体の原料は、適当な蒸気圧を有する化合物であれ
ば、とくに限定されないが、安全性を考慮すると水素化
物は、空気あるいは酸素と容易に反応するため避けた方
がよく、有機金属化合物は液体状のものが比較的扱い易
く、蒸気圧も高く反応性に富んでいる。
【0023】本発明の透明導電性薄膜1の製造に用いら
れる装置10を図2に示す。装置10は、反応容器11
内に蒸着源(酸化亜鉛粉末)12を電子銃13から発せ
られた電子ビーム14により加熱気化され、その蒸気を
酸素導入口20から供給される酸素雰囲気中で誘導コイ
ル15(誘導結合方式)により生成したラジオ波放電プ
ラズマ中を通過させ、基板ホルダー16に保持された基
材17に到達するように構成されている。
れる装置10を図2に示す。装置10は、反応容器11
内に蒸着源(酸化亜鉛粉末)12を電子銃13から発せ
られた電子ビーム14により加熱気化され、その蒸気を
酸素導入口20から供給される酸素雰囲気中で誘導コイ
ル15(誘導結合方式)により生成したラジオ波放電プ
ラズマ中を通過させ、基板ホルダー16に保持された基
材17に到達するように構成されている。
【0024】三価以上の金属もしくは半導体の原料は、
液体の場合は容器18に入れられ、ガス供給口19によ
り所定の流量に調節、供給されるキャリアガスによっ
て、反応容器11内に導入される。気体の場合は所定の
流量に調節され、直接反応容器11内に導入できる。固
体の場合は容器18に入れ、加熱気化し、反応容器11
内に導入できる。
液体の場合は容器18に入れられ、ガス供給口19によ
り所定の流量に調節、供給されるキャリアガスによっ
て、反応容器11内に導入される。気体の場合は所定の
流量に調節され、直接反応容器11内に導入できる。固
体の場合は容器18に入れ、加熱気化し、反応容器11
内に導入できる。
【0025】この装置10内で生成される酸素プラズマ
の発生条件は、酸素分圧及びラジオ波電力の両方により
規定されるものであり、これにより蒸発粒子に対して酸
素の割合と与えるエネルギーを規定することで目的の薄
膜を得ることができるものである。
の発生条件は、酸素分圧及びラジオ波電力の両方により
規定されるものであり、これにより蒸発粒子に対して酸
素の割合と与えるエネルギーを規定することで目的の薄
膜を得ることができるものである。
【0026】また酸素をプラズマ化させる手段は、プラ
ズマ空間においてイオンや電子を強制的に移動させる必
要がなく、酸素の活性化と三価以上の金属もしくは半導
体の原料の分解・反応が目的であるため、どの様な放電
方式を用いてもよく、例えばプラズマ空間を生成させる
放電としては、ラジオ波放電、直流放電、低周波放電、
マイクロ波放電等を用いることができる。本発明では、
中程度のエネルギーを有し、酸素ガスを容易に活性化で
き、かつある程度の体積(プラズマ空間)を生成できる
ラジオ波放電で充分である。なお、プラズマを生成させ
る電力(入射波電力から反射波電力を差し引いたもの)
は、放電の方式により異なるが、ラジオ波(13.56MHz)
放電の場合400 W以上である。
ズマ空間においてイオンや電子を強制的に移動させる必
要がなく、酸素の活性化と三価以上の金属もしくは半導
体の原料の分解・反応が目的であるため、どの様な放電
方式を用いてもよく、例えばプラズマ空間を生成させる
放電としては、ラジオ波放電、直流放電、低周波放電、
マイクロ波放電等を用いることができる。本発明では、
中程度のエネルギーを有し、酸素ガスを容易に活性化で
き、かつある程度の体積(プラズマ空間)を生成できる
ラジオ波放電で充分である。なお、プラズマを生成させ
る電力(入射波電力から反射波電力を差し引いたもの)
は、放電の方式により異なるが、ラジオ波(13.56MHz)
放電の場合400 W以上である。
【0027】一般に、酸化亜鉛などの熱による分解性を
有する物質を電子ビーム加熱ような方法を用いて蒸着さ
せることは希である。しかし本発明者らは成膜条件の範
囲が狭くなるものの、蒸発した気体に対して特定の条件
下でアシストをすることにより、従来のスパッタリング
方法により得られるような薄膜を得ることが可能とな
る。例えば、分解により過剰となった亜鉛粒子への酸素
導入口7からの酸素の供給およびその反応性を高めるた
めの気体の活性化である。
有する物質を電子ビーム加熱ような方法を用いて蒸着さ
せることは希である。しかし本発明者らは成膜条件の範
囲が狭くなるものの、蒸発した気体に対して特定の条件
下でアシストをすることにより、従来のスパッタリング
方法により得られるような薄膜を得ることが可能とな
る。例えば、分解により過剰となった亜鉛粒子への酸素
導入口7からの酸素の供給およびその反応性を高めるた
めの気体の活性化である。
【0028】なお酸素の供給量、すなわち反応容器内の
酸素分圧が低い(3×10-4Torr未満)と導電性は
ある程度有するものの、光線透過率の低い薄膜が生成さ
れる。一方、酸素分圧が高い(8×10-4Torr以
上)と、成膜速度が極端に低下してしまう。さらに、気
体を活性化するためのエネルギー(気体のプラズマ化に
必要な電力)の大小は、蒸発した気体粒子と酸素分子・
原子・イオンとの反応性を左右するものである。
酸素分圧が低い(3×10-4Torr未満)と導電性は
ある程度有するものの、光線透過率の低い薄膜が生成さ
れる。一方、酸素分圧が高い(8×10-4Torr以
上)と、成膜速度が極端に低下してしまう。さらに、気
体を活性化するためのエネルギー(気体のプラズマ化に
必要な電力)の大小は、蒸発した気体粒子と酸素分子・
原子・イオンとの反応性を左右するものである。
【0029】本発明の透明導電性薄膜を具体的な実施例
を挙げて説明する。
を挙げて説明する。
【0030】なお、 実施例における光線透過率は紫外
・可視分光光度計によりスペクトルを測定し得られた結
果から、550 nmにおける値を調べたものである。抵抗値
は抵抗計を用いて測定した表面抵抗の測定値で示した。
・可視分光光度計によりスペクトルを測定し得られた結
果から、550 nmにおける値を調べたものである。抵抗値
は抵抗計を用いて測定した表面抵抗の測定値で示した。
【0031】〔実施例〕酸化亜鉛粉末(純度99.99%)を
蒸着源とした。蒸着源12および基材17として透明な
ポリエチレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装
置10に装着したあと、反応容器11内を8×10-6T
orr以下まで排気した。その後、酸素ガスを供給し、
反応容器11内の圧力を6×10-4Torrとして、電
子ビーム14により蒸着源12を加熱しながら、誘導結
合方式のラジオ波(放電周波数13.56MHz)放電
プラズマを500Wの電力で発生させ、成膜速度100
0Å/minで膜を析出させた。所定の酸化亜鉛薄膜が
析出できたところより、徐々に流量を増加させながら系
内にアルミニウムtertブトキシドを供給し、酸化亜
鉛中にドープした。さらに流量を一定とし、酸化亜鉛中
のアルミニウムの含有量が1wt%となるようにした。
蒸着源とした。蒸着源12および基材17として透明な
ポリエチレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装
置10に装着したあと、反応容器11内を8×10-6T
orr以下まで排気した。その後、酸素ガスを供給し、
反応容器11内の圧力を6×10-4Torrとして、電
子ビーム14により蒸着源12を加熱しながら、誘導結
合方式のラジオ波(放電周波数13.56MHz)放電
プラズマを500Wの電力で発生させ、成膜速度100
0Å/minで膜を析出させた。所定の酸化亜鉛薄膜が
析出できたところより、徐々に流量を増加させながら系
内にアルミニウムtertブトキシドを供給し、酸化亜
鉛中にドープした。さらに流量を一定とし、酸化亜鉛中
のアルミニウムの含有量が1wt%となるようにした。
【0032】作製した薄膜の厚さは2500Åであり、
第1の薄膜層2及び第2の薄膜層3の厚さは1000Å
であり、第3の薄膜層4の厚さは500Åである。得ら
れた薄膜の特性を表1に示す。ここで劣化度とは、成膜
時の抵抗値R0 とそれを空気雰囲気中に10日間放置後
の抵抗値R10の比である。この薄膜に関してはほとんど
劣化は認められない。
第1の薄膜層2及び第2の薄膜層3の厚さは1000Å
であり、第3の薄膜層4の厚さは500Åである。得ら
れた薄膜の特性を表1に示す。ここで劣化度とは、成膜
時の抵抗値R0 とそれを空気雰囲気中に10日間放置後
の抵抗値R10の比である。この薄膜に関してはほとんど
劣化は認められない。
【0033】また図3に紫外・可視スペクトルを示す。
抵抗値、光線透過率共に良好な値を示している。
抵抗値、光線透過率共に良好な値を示している。
【0034】さらに図4に表面より基材方向に対して薄
膜の断面に関して測定したアルミニウムのXPSスペク
トルの強度変化を示す。これにより第3の薄膜層の存在
が明白である。なお、ガラス基材上に析出させた薄膜に
ついて、500℃で一時間加熱したが、第3の薄膜層の
変化、抵抗値、紫外・可視スペクトルの変化は認められ
なかった。
膜の断面に関して測定したアルミニウムのXPSスペク
トルの強度変化を示す。これにより第3の薄膜層の存在
が明白である。なお、ガラス基材上に析出させた薄膜に
ついて、500℃で一時間加熱したが、第3の薄膜層の
変化、抵抗値、紫外・可視スペクトルの変化は認められ
なかった。
【0035】
【表1】
【0036】〔比較例1〕酸化亜鉛粉末(純度99.99%)
を蒸着源とした。蒸着源および基材として透明なポリエ
チレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装置に装
着したあと、反応容器内を8×10-6Torr以下まで
排気した。その後、酸素ガスを供給し、反応容器内の圧
力を6×10-4Torrとして、電子ビームにより蒸着
源を加熱しながら、誘導結合方式のラジオ波(放電周波
数13.56MHz)放電プラズマを500Wの電力で
発生させ、成膜速度1000Å/minで酸化亜鉛薄膜
のみを2500Å析出させた。得られた薄膜の特性を表
1に示す。劣化度は、本発明による〔実施例1〕の透明
導電性薄膜1に比べてかなり悪く、紫外・可視スペクト
ルは図3に示すように〔実施例1〕の透明導電性薄膜1
とほとんど同じである。
を蒸着源とした。蒸着源および基材として透明なポリエ
チレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装置に装
着したあと、反応容器内を8×10-6Torr以下まで
排気した。その後、酸素ガスを供給し、反応容器内の圧
力を6×10-4Torrとして、電子ビームにより蒸着
源を加熱しながら、誘導結合方式のラジオ波(放電周波
数13.56MHz)放電プラズマを500Wの電力で
発生させ、成膜速度1000Å/minで酸化亜鉛薄膜
のみを2500Å析出させた。得られた薄膜の特性を表
1に示す。劣化度は、本発明による〔実施例1〕の透明
導電性薄膜1に比べてかなり悪く、紫外・可視スペクト
ルは図3に示すように〔実施例1〕の透明導電性薄膜1
とほとんど同じである。
【0037】〔比較例2〕酸化亜鉛粉末(純度99.99%)
を蒸着源とした。蒸着源および基材として透明なポリエ
チレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装置に装
着したあと、反応容器内を8×10-6Torr以下まで
排気した。その後、酸素ガスを供給し、反応容器内の圧
力を6×10-4Torrとして、電子ビームにより蒸着
源を加熱しながら、誘導結合方式のラジオ波(放電周波
数13.56MHz)放電プラズマを500Wの電力で
発生させ、系内にアルミニウムtertブトキシドを供
給し、酸化亜鉛中にドープしながら、成膜速度1000
Å/minで厚さ2500Åの薄膜を作製した。得られ
た薄膜の特性を表1に示す。劣化度は、〔実施例〕の積
層体とほぼ同程度であるが、図3に示すように紫外・可
視スペクトルにおける吸収端の短波長側へのシフトが認
められる。
を蒸着源とした。蒸着源および基材として透明なポリエ
チレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装置に装
着したあと、反応容器内を8×10-6Torr以下まで
排気した。その後、酸素ガスを供給し、反応容器内の圧
力を6×10-4Torrとして、電子ビームにより蒸着
源を加熱しながら、誘導結合方式のラジオ波(放電周波
数13.56MHz)放電プラズマを500Wの電力で
発生させ、系内にアルミニウムtertブトキシドを供
給し、酸化亜鉛中にドープしながら、成膜速度1000
Å/minで厚さ2500Åの薄膜を作製した。得られ
た薄膜の特性を表1に示す。劣化度は、〔実施例〕の積
層体とほぼ同程度であるが、図3に示すように紫外・可
視スペクトルにおける吸収端の短波長側へのシフトが認
められる。
【0038】〔比較例3〕酸化亜鉛粉末(純度99.99%)
を蒸着源とした。蒸着源および基材として透明なポリエ
チレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装置に装
着したあと、反応容器内を8×10-6Torr以下まで
排気した。その後、酸素ガスを供給し、反応容器内の圧
力を6×10-4Torrとして、電子ビームにより蒸着
源を加熱しながら、誘導結合方式のラジオ波(放電周波
数13.56MHz)放電プラズマを500Wの電力で
発生させ、成膜速度1000Å/minで析出させた。
所定の酸化亜鉛薄膜が析出できたところより、酸化亜鉛
中のアルミニウムの含有量が1wt%となるようにアル
ミニウムtertブトキシドを供給し、酸化亜鉛中にド
ープした。作製した薄膜の厚さは2500Åであり、第
1の薄膜層および第2の薄膜層の厚さは1250Åであ
る。得られた薄膜の特性を表1に示す。劣化度は、〔実
施例〕の透明導電性薄膜1に比べて幾らか悪くなってい
る。
を蒸着源とした。蒸着源および基材として透明なポリエ
チレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装置に装
着したあと、反応容器内を8×10-6Torr以下まで
排気した。その後、酸素ガスを供給し、反応容器内の圧
力を6×10-4Torrとして、電子ビームにより蒸着
源を加熱しながら、誘導結合方式のラジオ波(放電周波
数13.56MHz)放電プラズマを500Wの電力で
発生させ、成膜速度1000Å/minで析出させた。
所定の酸化亜鉛薄膜が析出できたところより、酸化亜鉛
中のアルミニウムの含有量が1wt%となるようにアル
ミニウムtertブトキシドを供給し、酸化亜鉛中にド
ープした。作製した薄膜の厚さは2500Åであり、第
1の薄膜層および第2の薄膜層の厚さは1250Åであ
る。得られた薄膜の特性を表1に示す。劣化度は、〔実
施例〕の透明導電性薄膜1に比べて幾らか悪くなってい
る。
【0039】また図3に作成時における比較例3の薄膜
の紫外・可視スペクトルを示す。抵抗値、光線透過率共
に良好な値を示していた。
の紫外・可視スペクトルを示す。抵抗値、光線透過率共
に良好な値を示していた。
【0040】さらに図4に表面より基材方向に対して薄
膜の断面に関して測定したアルミニウムのXPSスペク
トルの強度変化を示す。第3の薄膜層は存在していな
い。
膜の断面に関して測定したアルミニウムのXPSスペク
トルの強度変化を示す。第3の薄膜層は存在していな
い。
【0041】〔比較例4〕酸化亜鉛粉末(純度99.99%)
を蒸着源とした。蒸着源および基材として透明なポリエ
チレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装置に装
着したあと、反応容器内を8×10-6Torr以下まで
排気した。その後、酸素ガスを供給し、反応容器内の圧
力を6×10-4Torrとして、電子ビームにより蒸着
源を加熱しながら、誘導結合方式のラジオ波(放電周波
数13.56MHz)放電プラズマを500Wの電力で
発生させ、成膜速度1000Å/minで析出させた。
その際に酸化亜鉛中のアルミニウムの含有量が1wt%
となるようにアルミニウムtertブトキシドを供給
し、酸化亜鉛中にドープした。所定のアルミニウムをド
ープした酸化亜鉛薄膜が析出できたところより、徐々に
アルミニウムtertブトキシドの流量を減少させた。
最終的には供給を停止し、酸化亜鉛薄膜の作製を継続し
た。作製した薄膜の厚さは2500Åであり、第1の薄
膜層および第2の薄膜層の厚さは1000Åであり、第
3の薄膜層の厚さは500Åである。ここで第1の薄膜
層は、アルミニウムをドープした酸化亜鉛薄膜層であ
り、第2の薄膜層は酸化亜鉛薄膜層である。得られた特
性を表1に示す。劣化度は、〔実施例〕の透明導電性薄
膜1に比べて大きな値となる。
を蒸着源とした。蒸着源および基材として透明なポリエ
チレンテレフタレートフィルムあるいは硝子を装置に装
着したあと、反応容器内を8×10-6Torr以下まで
排気した。その後、酸素ガスを供給し、反応容器内の圧
力を6×10-4Torrとして、電子ビームにより蒸着
源を加熱しながら、誘導結合方式のラジオ波(放電周波
数13.56MHz)放電プラズマを500Wの電力で
発生させ、成膜速度1000Å/minで析出させた。
その際に酸化亜鉛中のアルミニウムの含有量が1wt%
となるようにアルミニウムtertブトキシドを供給
し、酸化亜鉛中にドープした。所定のアルミニウムをド
ープした酸化亜鉛薄膜が析出できたところより、徐々に
アルミニウムtertブトキシドの流量を減少させた。
最終的には供給を停止し、酸化亜鉛薄膜の作製を継続し
た。作製した薄膜の厚さは2500Åであり、第1の薄
膜層および第2の薄膜層の厚さは1000Åであり、第
3の薄膜層の厚さは500Åである。ここで第1の薄膜
層は、アルミニウムをドープした酸化亜鉛薄膜層であ
り、第2の薄膜層は酸化亜鉛薄膜層である。得られた特
性を表1に示す。劣化度は、〔実施例〕の透明導電性薄
膜1に比べて大きな値となる。
【0042】また図3に作成時における比較例4の薄膜
の紫外・可視スペクトルを示す。抵抗値、光線透過率共
に良好な値を示していた。
の紫外・可視スペクトルを示す。抵抗値、光線透過率共
に良好な値を示していた。
【0043】さらに図4に表面より基材方向に対して薄
膜の断面に関して測定したアルミニウムのXPSスペク
トルの強度変化を示す。アルミニウムの含有量に傾斜性
が本発明の透明導電性薄膜の第3の薄膜層と逆である第
3の薄膜層の存在が明白である。
膜の断面に関して測定したアルミニウムのXPSスペク
トルの強度変化を示す。アルミニウムの含有量に傾斜性
が本発明の透明導電性薄膜の第3の薄膜層と逆である第
3の薄膜層の存在が明白である。
【0044】比較例4の透明導電性薄膜は、酸化亜鉛薄
膜層である第1の薄膜層に隣接する第3の薄膜層の含有
量が最も多い箇所であるので、表1に記載されるように
劣化度が大きくなる。
膜層である第1の薄膜層に隣接する第3の薄膜層の含有
量が最も多い箇所であるので、表1に記載されるように
劣化度が大きくなる。
【0045】比較例1〜4のガラス基材上に析出した薄
膜を500℃で加熱したところ、薄膜層の種々の性質に
劣化が認められた。
膜を500℃で加熱したところ、薄膜層の種々の性質に
劣化が認められた。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明の透明導電性薄
膜は、酸化亜鉛からなる薄膜層と、三価以上の金属もし
くは半導体を含む酸化亜鉛からなる薄膜層の間に、三価
以上の金属もしくは半導体の含有量が連続的に変化して
なる薄膜層を設けることにより、透明性、導電性を有
し、赤外線及び紫外線を遮光できるとともに、層間の密
着性が良く、薄膜の安定性と他層へのドープ材の拡散を
抑制し透明導電性薄膜の機能の劣化の少ない耐環境性に
優れるものである。従ってその用途は、特に限定される
ことなく、多方面に利用することが可能となる。さらに
その製造方法は、現存の装置の簡単な改良により可能で
あり、汎用性の高いものである。本発明の透明導電性薄
膜及びその製造方法は単純であり、かつその適応範囲の
広い極めて優れた効果が期待されるものである。
膜は、酸化亜鉛からなる薄膜層と、三価以上の金属もし
くは半導体を含む酸化亜鉛からなる薄膜層の間に、三価
以上の金属もしくは半導体の含有量が連続的に変化して
なる薄膜層を設けることにより、透明性、導電性を有
し、赤外線及び紫外線を遮光できるとともに、層間の密
着性が良く、薄膜の安定性と他層へのドープ材の拡散を
抑制し透明導電性薄膜の機能の劣化の少ない耐環境性に
優れるものである。従ってその用途は、特に限定される
ことなく、多方面に利用することが可能となる。さらに
その製造方法は、現存の装置の簡単な改良により可能で
あり、汎用性の高いものである。本発明の透明導電性薄
膜及びその製造方法は単純であり、かつその適応範囲の
広い極めて優れた効果が期待されるものである。
【図1】本発明の透明導電性薄膜1の構成をを示す断面
図である。
図である。
【図2】本発明の透明導電性薄膜の製造装置の一例の構
成を示す図である。
成を示す図である。
【図3】透明導電性薄膜の紫外・可視吸収スペクトルを
示すグラフである。
示すグラフである。
【図4】本発明の透明導電性薄膜の断面におけるアルミ
ニウム含有量の深さ方向の変化を示すグラフである。
ニウム含有量の深さ方向の変化を示すグラフである。
1 透明導電性薄膜 2 第1の薄膜層 3 第2の薄膜層 4 第3の薄膜層 5、17 基材 10 本発明の透明導電性薄膜1の製造
に用いられる装置 11 反応容器 12 蒸着源 13 電子銃 14 電子ビーム 15 誘導コイル 16 基材ホルダー 18 金属あるいは半導体の原料となる
化合物用(加熱・冷却可能)容器 19 ガス供給口 20 酸素導入口
に用いられる装置 11 反応容器 12 蒸着源 13 電子銃 14 電子ビーム 15 誘導コイル 16 基材ホルダー 18 金属あるいは半導体の原料となる
化合物用(加熱・冷却可能)容器 19 ガス供給口 20 酸素導入口
Claims (4)
- 【請求項1】 酸化亜鉛からなる第1の薄膜層と、三価
以上の金属もしくは半導体を含む酸化亜鉛からなる第2
の薄膜層を積層してなる透明導電性薄膜において、前記
第1の薄膜層と前記第2の薄膜層との間に、三価以上の
金属もしくは半導体の含有量を連続的に変化せしめた酸
化亜鉛を主成分とする第3の薄膜層を形成してなること
を特徴とする透明導電性薄膜。 - 【請求項2】 三価以上の金属もしくは半導体が、アル
ミニウム、ホウ素、スカンジウム、ガリウム、ケイ素、
イットリウム、イッテルビウム、インジウムあるいはタ
リウムであることを特徴とする請求項1記載の透明導電
性薄膜。 - 【請求項3】 酸化亜鉛薄膜層、酸化亜鉛に少量の三価
以上の金属もしくは半導体を少なくとも一種含む混合物
からなる薄膜層を順次蒸着形成する透明導電性薄膜の製
造方法であって、酸化亜鉛からなる第1の薄膜層を形成
後、前記混合物を蒸着形成時に三価以上の金属もしくは
半導体の添加量を漸増せしめ、第3の薄膜層を形成し、
さらに前記添加量を一定として第2の薄膜層を形成して
なることを特徴とする透明導電性薄膜の製造方法。 - 【請求項4】 三価以上の金属もしくは半導体が、アル
ミニウム、ホウ素、スカンジウム、ガリウム、ケイ素、
イットリウム、イッテルビウム、インジウムあるいはタ
リウムであることを特徴とする請求項4記載の透明導電
性薄膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23967493A JPH0790548A (ja) | 1993-09-27 | 1993-09-27 | 透明導電性薄膜およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23967493A JPH0790548A (ja) | 1993-09-27 | 1993-09-27 | 透明導電性薄膜およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0790548A true JPH0790548A (ja) | 1995-04-04 |
Family
ID=17048230
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23967493A Pending JPH0790548A (ja) | 1993-09-27 | 1993-09-27 | 透明導電性薄膜およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0790548A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013119664A (ja) * | 2011-12-09 | 2013-06-17 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 透明導電膜およびその形成方法 |
JP5243443B2 (ja) * | 2007-10-01 | 2013-07-24 | 帝人デュポンフィルム株式会社 | 耐光性フィルム |
CN108973487A (zh) * | 2018-08-17 | 2018-12-11 | Oppo广东移动通信有限公司 | 膜片的加工方法、壳体组件及电子设备 |
WO2020253820A1 (en) * | 2019-06-19 | 2020-12-24 | Guangdong Oppo Mobile Telecommunications Corp., Ltd. | Film structure, shell, electronic device, and method for manufacturing film structure |
-
1993
- 1993-09-27 JP JP23967493A patent/JPH0790548A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5243443B2 (ja) * | 2007-10-01 | 2013-07-24 | 帝人デュポンフィルム株式会社 | 耐光性フィルム |
JP2013119664A (ja) * | 2011-12-09 | 2013-06-17 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 透明導電膜およびその形成方法 |
CN108973487A (zh) * | 2018-08-17 | 2018-12-11 | Oppo广东移动通信有限公司 | 膜片的加工方法、壳体组件及电子设备 |
CN108973487B (zh) * | 2018-08-17 | 2020-07-03 | Oppo广东移动通信有限公司 | 膜片的加工方法、壳体组件及电子设备 |
WO2020253820A1 (en) * | 2019-06-19 | 2020-12-24 | Guangdong Oppo Mobile Telecommunications Corp., Ltd. | Film structure, shell, electronic device, and method for manufacturing film structure |
US11451653B2 (en) | 2019-06-19 | 2022-09-20 | Guangdong Oppo Mobile Telecommunications Corp., Ltd. | Film structure, shell, and electronic device |
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