JPH0790331A - 金属磁性粉末の製造方法 - Google Patents

金属磁性粉末の製造方法

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JPH0790331A
JPH0790331A JP18929093A JP18929093A JPH0790331A JP H0790331 A JPH0790331 A JP H0790331A JP 18929093 A JP18929093 A JP 18929093A JP 18929093 A JP18929093 A JP 18929093A JP H0790331 A JPH0790331 A JP H0790331A
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iron oxide
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Hiroyuki Nakamura
浩之 中村
Mamoru Tanihara
守 谷原
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Abstract

(57)【要約】 【構成】含水酸化鉄または酸化鉄を主体として含む鉄化
合物粉末を造粒後、還元性ガスを用いて加熱還元する金
属磁性粉末の製造方法において、該鉄化合物粉末が分散
してなる懸濁水スラリーに炭素数が8〜22のカルボン
酸及び/又はその塩を添加して鉄化合物粉末に該カルボ
ン酸及び/又はその塩を被着後、この懸濁水スラリーを
固液分離して得られる含水率70〜90%のケークを成
形して成形物とし、次いで該成形物を乾燥し整粒して得
られる嵩密度0.15〜0.40g/ccの造粒物を還
元性ガスにより加熱還元することを特徴とする金属磁性
粉末の製造方法。 【効果】本発明の製造方法によれば、粒子の形状変化お
よび粒子同士の焼結がない優れた磁気特性を有する金属
磁性粉末を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属磁性粉末の製造方法
に関する。さらに詳しくは、磁気記録に用いられる金属
磁性粉末の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】近年、各
種の記録方式の発展は著しいものがあるが、中でも磁気
記録再生装置の小型軽量化の進歩は顕著である。これに
つれて磁気テープ・磁気ディスク等の磁気記録媒体に対
する高性能化の要求が大きくなってきている。磁気記録
に対するこのような要求を満足するためには高い保磁力
と高い飽和磁化を有する磁性粉末が必要である。従来、
磁気記録用の磁性粉末として一般には針状のマグネタイ
トやマグヘマイト又はこれらの磁性酸化鉄粉末をコバル
トで変性したいわゆるコバルト含有酸化鉄が用いられて
いるが、より高出力の媒体を得るためにはより高い保磁
力・飽和磁化を持つ強磁性金属粉末いわゆるメタル磁性
粉が用いられ始めている。
【0003】このような金属磁性粉末の製造法として
は、一般的に針状の含水酸化鉄または酸化鉄を主体とし
て含む鉄化合物の粉末を水素等の還元性ガス雰囲気中で
加熱して金属鉄にまで還元する方法が用いられている。
この方法においては、還元をより高温で行うほど粒子の
結晶性が良くなって、金属磁性粉末の飽和磁化を高める
ことができる。しかし、逆に、高温で還元を行うと形骸
粒子の針状形状が崩壊したり、形骸粒子同士の焼結が起
きてしまい、その結果、金属磁性粉末の保磁力、角形比
等の磁気特性が低下するといった問題が生じる。従っ
て、満足する磁気特性を有する金属磁性粉末を得るため
には、如何に原料粒子の針状形状を維持しながら金属磁
性粉末とするかが解決すべき課題となる。
【0004】従来から、この課題を解決するため種々の
還元法が提案されている。例えば、250メッシュな
いし6メッシュに造粒後、流動床還元炉を用いて還元す
る方法(特開昭58−174509号公報)、0.5
〜30mmの造粒物とした後、筒状還元炉を用いて水素
還元する方法(特公平1−52442号公報)、1〜
10mmの球状粒子に造粒後、ロータリーキルンを用い
て還元する方法(特開昭59−197506号公報)、
酸化鉄原料を水に分散後、含水率60〜80wt%に
圧縮脱水することにより塊状に成形後、還元する方法
(特開昭57−54205号公報)等が挙げられる。
【0005】これらの方法は何れも酸化鉄原料を造粒物
とした後、還元する方法であるが、このような還元方式
では一般に次の様な問題がある。すなわち、酸化鉄の水
素還元反応は2つの段階からなり次式で示されるが、 3Fe2 3 +H2 → 2Fe3 4 +H2 O (1) Fe3 4 +4H2 → 3Fe+4H2 O (2) この反応により生成する水蒸気は針状の形骸粒子を構成
する結晶子の粒子成長を促進する。このため一般に水蒸
気分圧が高くなるほど形骸粒子を構成する結晶子の大き
さ(X線結晶粒径)が大きくなりすぎて針状形状の変形
および形骸粒子間の焼結が生じ、得られた金属磁性粉末
の磁気特性が低下する。この点において、前記の〜
で示される造粒物を還元する方法では、造粒粒子内で生
成した水蒸気が拡散除去されにくいため、針状粒子の形
状変化や粒子同士の焼結が生じ易いという問題がある。
本発明は、このような微粒子の金属磁性粉末の製造段階
における粒子の形状変化および粒子同士の焼結を防止
し、優れた磁気特性を示す金属磁性粉末の製造方法を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するために、空隙率が大きく、すなわち嵩密度
が低く、還元反応により生成する水蒸気が拡散除去され
やすい造粒物を得る方法について検討を行った。その結
果、原料酸化鉄の懸濁水スラリーに特定のカルボン酸及
び/又はその塩を添加してこれを酸化鉄に被着し、次い
で特定の条件で造粒することにより、嵩密度の低い造粒
物を得ることができ、これを還元して得られる金属磁性
粉末は粒子の形状変化および粒子同士の焼結がなく優れ
た磁気特性を示すことを見出し、本発明を完成するに到
った。
【0007】すなわち、本発明の要旨は、含水酸化鉄ま
たは酸化鉄を主体として含む鉄化合物粉末を造粒後、還
元性ガスを用いて加熱還元する金属磁性粉末の製造方法
において、該鉄化合物粉末が分散してなる懸濁水スラリ
ーに炭素数が8〜22のカルボン酸及び/又はその塩を
添加して鉄化合物粉末に該カルボン酸及び/又はその塩
を被着後、この懸濁水スラリーを固液分離して得られる
含水率70〜90%のケークを成形して成形物とし、次
いで該成形物を乾燥し整粒して得られる嵩密度0.15
〜0.40g/ccの造粒物を還元性ガスにより加熱還
元することを特徴とする金属磁性粉末の製造方法に関す
る。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられる原料は、含水酸化鉄または酸化鉄を主体とし
て含む鉄化合物粉末である。含水酸化鉄としては、例え
ば、α−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOH
が挙げられる。酸化鉄としては、例えば、α−Fe2
3 、γ−Fe2 3 、Fe3 4 などが挙げられる。ま
た、これらの含水酸化鉄または酸化鉄には、コバルト、
亜鉛、銅、クロム、ニッケル、珪素、アルミニウム、
錫、チタン等の元素を用いて常法によりその表面に被着
したものでもよい。これらの鉄化合物粉末の形状は、針
状であれば特に限定されることはなく、具体的には短冊
状、スピンドル状、紡錘状、米粒状等が挙げられる。こ
れらのうち、特に長軸長さ0.3μm以下、軸比5以上
の針状晶の微粒子を用いる場合に、本発明の効果がさら
に有効となる。
【0009】本発明では、原料となる鉄化合物粉末を水
中に懸濁分散させた懸濁水スラリー中に、炭素数8〜2
2のカルボン酸及び/又はその塩を添加し、鉄化合物粉
末に該カルボン酸及び/又はその塩を被着する。この際
に、必要に応じてアルカリを添加してもよい。鉄化合物
粉末のスラリー濃度は、0.5〜6%が好ましく、更に
好ましくは、1〜3%である。鉄化合物粉末のスラリー
濃度が0.5%より低いと、濃度が希薄すぎて生産性が
悪く、工業的ではない。また、6%を越えると、懸濁水
スラリーの粘度が高くなってカルボン酸及び/又はその
塩を均一に被着することができない。
【0010】炭素数8〜22のカルボン酸としては、特
に限定されないが、例えばカプリル酸,ラウリン酸,ミ
リスチン酸,パルミチン酸,ベヘン酸,オレイン酸,リ
ノール酸,リノレン酸等の直鎖又は分岐の脂肪族カルボ
ン酸が挙げられる。炭素数が8未満のカルボン酸では嵩
密度の低い造粒物を得ることが困難となる。炭素数が2
2を越えると入手が困難であり好ましくない。また、そ
れらのカルボン酸の塩としては、アンモニウム塩、N
a,Kのようなアルカリ金属塩、Caのようなアルカリ
土類金属塩が挙げられる。尚、本発明においてカルボン
酸塩を鉄化合物粉末に被着させるのは、嵩密度の低い造
粒物を得て造粒粒子内で生成した水蒸気の拡散除去を容
易にするのが目的であって、粒子の融着防止を目的とす
るものではないので、本発明における塩は特開昭59−
157204号公報で用いるようなCo,Ni,Al,
Zn等の金属塩とは異なる。
【0011】このような本発明におけるカルボン酸及び
/又はその塩の添加量は、鉄化合物粉末に対して0.5
〜15wt%が好ましく、更に好ましくは2〜8wt%
である。添加量が0.5wt%より少ないと、造粒物の
嵩密度を0.40g/cc以下にすることができず、十
分な効果が得られない。また、15wt%を越えて添加
しても、さらなる効果はないので経済的でない。なお、
カルボン酸の塩を被着させるには前記のようなカルボン
酸の塩を添加してもよいが、カルボン酸を添加した後に
アルカリを添加することによってカルボン酸の塩を形成
させて被着させてもよい。この場合には、添加するアル
カリの量によって、カルボン酸とカルボン酸塩との両者
を被着させてもよい。
【0012】アルカリとしては、特に限定されず、有機
アルカリ、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水
酸化物等を用いることができるが、これらの中でもアン
モニア水、アンモニア液の様な有機アルカリを用いるの
がより好ましい。アルカリを添加する場合の添加量は、
カルボン酸に対して0.1〜5倍モル量が好ましく、更
に好ましくは、0.5〜2倍モル量である。アルカリの
添加量が5倍モル量を越えると、カルボン酸またはその
塩が均一に被着されず、造粒物の嵩密度が0.40g/
ccより大きくなり、得られる金属磁性粉末の磁気特性
が低下する。なお、本発明においてはカルボン酸を被着
させる場合には、アルカリの添加をしなくてもよい。
【0013】本発明においては、この懸濁水スラリーを
固液分離して含水率70〜90%のケークを得、このケ
ークを成形して成形物とし、次いでこの成形物を乾燥し
たのち整粒して、嵩密度0.15〜0.40g/ccの
造粒物とする。本発明で用いる固液分離装置としては、
装置の真空度、加圧力及び遠心力により固液分離して得
られるケークの含水率を制御できるものであれば、特に
限定されない。真空度を用いる装置の例としては、回転
式ドラムフィルターやベルトフィルターが挙げられ、加
圧力を用いる装置の例としては、フィルタープレスや密
閉容器式加圧フィルターが挙げられ、遠心力を用いる装
置の例としては、分離板型、デカンター型、バスケット
型等の遠心分離機が挙げられる。
【0014】ケークの含水率については、前記のように
70〜90%が好ましく、さらに好ましくは80〜90
%である。ケークの含水率が70%より低いと、成形時
にケークが受ける混練作用や加圧力により、ケーク中の
鉄化合物粉末粒子が圧密化されてしまう。このため得ら
れる造粒物の嵩密度が0.40g/ccより大きくな
り、これを還元して得られる金属磁性粉末の磁気特性が
低下する。また、90%を越えると、成形可能なケーク
状物とすることができない。即ち、成形性が悪く、成形
乾燥後の収率が低くなるため工業的でないといえる。
【0015】成形方法は、含水ケークを成形する公知の
方法を使用することができ、例えば圧縮成形方法や押出
成形方法などが挙げられる。乾燥方法は、例えば通気性
のバンド乾燥器や箱型乾燥器のような成形物を静置状態
で乾燥できる方式のものを用いて乾燥を行う。これは乾
燥にロータリーキルン型乾燥器、撹拌型乾燥器等の混練
作用のある乾燥器を用いた場合には、乾燥中に非乾燥物
が圧密化し造粒物の嵩密度が0.40g/ccより大き
くなって、得られた金属磁性粉の磁気特性は劣悪となる
からである。
【0016】整粒は、得られる造粒物が重量平均粒子径
で1〜20mmになるよう整粒することが好ましい。重
量平均粒子径が20mmより大きいと、得られる造粒物
の嵩密度が0.15〜0.40g/ccであっても水素
等の還元性ガスで加熱還元する際に、造粒物粒子内での
水素ガスや生成水蒸気の拡散が不良となる傾向がある。
このため還元が不均一になったり、また、生成水蒸気の
影響により粒子の形状変化や粒子同士の焼結が生じ、得
られる金属磁性粉末の性能が低下する。また、重量平均
粒子径が1mmより小さいと、還元性ガスのガス量によ
っては還元反応器外へ造粒物が飛散してしまうことがあ
り、好ましくない。
【0017】以上のようにして、造粒物の嵩密度を0.
15〜0.40g/cc、好ましくは0.15〜0.3
0g/ccとすることができる。本発明においてカルボ
ン酸及び/又はカルボン酸塩被着により造粒物の嵩密度
を低下できる理由としては、次のように考えられる。即
ち、ケークを乾燥する際、一般に水の表面張力によって
酸化鉄粒子間に強い凝集が起こり、造粒物が圧密化して
しまうが、カルボン酸及び/又はカルボン酸塩を被着し
た酸化鉄は、カルボン酸及び/又はカルボン酸塩により
粒子表面が疎水化されるため、このような乾燥工程にお
ける凝集、圧密化を有効に防止することが可能であり、
その結果として空隙率の大きい、すなわち嵩密度の低い
生成物を得ることができるものと考えられる。
【0018】このように本発明における造粒物は空隙率
が高いため、還元工程において、造粒物粒子内での水素
ガスや生成水蒸気の拡散が良好となり、還元を均一に行
うことが可能となる。さらに、生成水蒸気が速やかに拡
散除去されるため、金属磁性粉末の1次粒子を構成する
結晶子の過成長によって生じる1次粒子の形状変化や1
次粒子同士の焼結を防止することが可能となる。造粒物
の嵩密度が0.40g/ccより大きいと空隙率が、低
くなるため、上記の様な効果を得ることができない。ま
た、嵩密度が0.15g/ccより小さい造粒物は工業
的に得ることが困難である。
【0019】このようにして得られる嵩密度が0.15
〜0.40g/ccである鉄化合物粉末の造粒物は、流
動床型、回転炉型、固定床型、移動床型等の反応器を用
い、常法により水素等の還元性ガス中で350〜600
℃に加熱することにより、金属磁性粉末を得ることがで
きる。
【0020】以上のような本発明の製造方法により、製
造段階における粒子の形状変化および粒子同士の焼結を
防止しながら、優れた磁気特性を示す金属磁性粉末を製
造することができる。なお、このようにして得られた金
属磁性粉末は、常法により表面酸化を施し、安定化する
ことが好ましい。その方法としては、例えば金属磁性粉
末をトルエン中に浸漬後、大気中で風乾させるなどすれ
ばよい。
【0021】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。なお、嵩密度の測定
は、内容積100ccのカップ(内径50mm)に造粒
物を山盛りに充填後、カップ表面の造粒物をすり切った
場合の造粒物重量を測定して、造粒物重量/内容積(1
00cc)を嵩密度とした。
【0022】実施例1 Feに対してAlを4wt%、Coを6wt%含む針状
晶α−FeOOH(長軸長さ0.22μm,軸比10)
を撹拌機付反応槽中で分散し、2wt%の懸濁水スラリ
ーとした。これにα−FeOOHに対して5wt%のオ
レイン酸とオレイン酸に対して当モル量のアンモニア水
とを添加し、十分に撹拌混合してオレイン酸塩を被着せ
しめた。但し、一部はオレイン酸として被着されている
と推定される。次にこの懸濁水スラリーを加圧式のフィ
ルタープレス(栗田機械(株)製)を用いて2.0kg
f/cm2 の圧力で加圧して固液分離し、含水率81%
のケークを得た。
【0023】該ケークを横押し出し式成形機(スクリー
ン孔径5mm、不二パウダル(株)製)を用いて成形
し、次いでこの成形物を通気式箱型乾燥器(不二パウダ
ル(株)製)で乾燥後、乾燥物を4メッシュpass〜
9メッシュonに整粒して、重量平均粒子径3.3mm
の造粒物を得た。この造粒物の嵩密度は0.29g/c
cであった。このようにして得られた造粒物を固定床型
反応器に充填し、水素を造粒物1kg当り9.5Nm3
/hrで通気して、480℃で2.5時間還元し、金属
磁性粉末を得た。
【0024】この金属磁性粉末の一部をトルエン中に浸
漬し、続いて大気中で風乾して表面酸化を施した後、磁
気特性を試料振動型磁力計(VSM、東英工業(株)
製)により、X線結晶粒径(金属鉄の結晶子の大きさ)
をX線回析装置(理学電機(株)製)により測定した。
この際、X線結晶粒径はX線回析の鉄(110)回析ピ
ークの半値巾によりシェラーの式を用いて求めた。その
結果、保磁力(Hc):1640[Oe]、飽和磁化
(σs):147[emu/g]、角形比(σr/σ
s):52.4[%]、X線結晶粒径176[A]であ
り、優れた磁気特性を有するものであった。
【0025】実施例2〜3 実施例1においてフィルタープレスの加圧力を0.5k
gf/cm2 又は4.0kgf/cm2 とした以外は、
実施例1と同様の操作を行って金属磁性粉末を得た。ケ
ークの含水率、嵩密度、静磁気特性、およびX線結晶粒
子径を表1に示す。
【0026】実施例4 実施例1においてアンモニア水を添加せず、オレイン酸
を被着させた以外は、実施例1と同様の操作を行って金
属磁性粉末を得た。ケーク含水率、嵩密度、静磁気特
性、およびX線結晶粒子径を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】比較例1 実施例1において、原料α−FeOOHの懸濁水スラリ
ーへのオレイン酸およびアンモニア水の添加を実施せ
ず、オレイン酸を被着しなかった。これ以外はすべて実
施例1と同様の操作を行った。ケークの含水率は65
%、得られた造粒物の嵩密度は0.45g/ccであ
り、これを還元した金属磁性粉末の磁気特性は、保磁力
(Hc):1530[Oe]、飽和磁化(σs):14
9[emu/g]、角形比(σr/σs):49.0
[%]、X線結晶粒径187[A]であった。
【0029】比較例2 実施例1において、フィルタープレスにより固液分離す
る際の加圧する圧力を7.0kgf/cm2 として含水
率62%のケークを得た以外は、すべて同様の操作を行
った。得られた造粒物の嵩密度は0.43g/ccであ
り、これを還元した金属磁性粉末の磁気特性は、保磁力
(Hc):1540[Oe]、飽和磁化(σs):14
8[emu/g]、角形比(σr/σs):49.2
[%]、X線結晶粒径184[A]であった。比較例
1、2では実施例1〜4と比較して、X線結晶粒径が大
きく保磁力、角形比の低下が顕著である。
【0030】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、嵩密度の低
い造粒物を得ることができるので、これを還元すること
により粒子の形状変化および粒子同士の焼結がない優れ
た磁気特性を有する金属磁性粉末を製造することができ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水酸化鉄または酸化鉄を主体として含
    む鉄化合物粉末を造粒後、還元性ガスを用いて加熱還元
    する金属磁性粉末の製造方法において、該鉄化合物粉末
    が分散してなる懸濁水スラリーに炭素数が8〜22のカ
    ルボン酸及び/又はその塩を添加して鉄化合物粉末に該
    カルボン酸及び/又はその塩を被着後、この懸濁水スラ
    リーを固液分離して得られる含水率70〜90%のケー
    クを成形して成形物とし、次いで該成形物を乾燥し整粒
    して得られる嵩密度0.15〜0.40g/ccの造粒
    物を還元性ガスにより加熱還元することを特徴とする金
    属磁性粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 ケークの含水率が80〜90%である請
    求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 造粒物の嵩密度が0.15〜0.30g
    /ccである請求項1又は2記載の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010001515A (ja) * 2008-06-18 2010-01-07 Seiko Epson Corp 水アトマイズ粉末の製造方法、水アトマイズ粉末および焼結体の製造方法
JP2013097820A (ja) * 2011-10-28 2013-05-20 Fujifilm Corp 磁性粉末およびその製造方法、ならびにその利用

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