JPH0790311B2 - 管棒体の連続転造装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、管体または棒体を、
高能率で連続的に転造するための装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】管体または棒体（以下、管棒体という）
を、ダイス間に回転させながら通し、管棒体に対し、ね
じ切り、縮径等の転造を施すための装置として、平ダイ
ス形式、丸ダイス形式およびセグメント・ロータリダイ
ス形式の転造装置が知られている。このうち、丸ダイス
形式の転造装置は、数mmから100 mm位までの広い範囲の
外径の管棒体に対し、ねじ切り、縮径等の転造を施すこ
とができる利点がある。

【０００３】従来の丸ダイス形式の転造装置は、所定間
隔をあけて左右に対称に配置された１対のロール状ダイ
ス、または、管棒体の移動軸心に向かって３等分方向に
配置された３個のロール状ダイスを有する転造盤からな
っている。このような転造盤のロール状ダイス間に管棒
体を挿入し、ロール状ダイスによって所定の圧下を加え
ながら、その入側から出側に向けて、管棒体を回転させ
つつ移動させることにより、管棒体に所定のねじ切り、
縮径等の転造が施される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の転造装置は、所定間隔をあけて左右に対称に配置され
た１対のロール状ダイス、または、管棒体の移動軸心に
向かって３等分方向に配置された３個のロール状ダイス
を有する転造盤からなっているために、管棒体に対し、
加工に要する圧下をあまりかけられない制約がある。従
って、管棒体の径やねじピッチによっては、管棒体を転
造盤に複数回通すか、または、転造盤に通す管棒体の速
度を遅くしなければならない等の問題が生ずる。また、
１組のロール内に、粗加工ダイスから仕上げ加工ダイス
までが連続的に設けられているので、高精度で高価なロ
ール状ダイスを必要とする。そして、ダイスの摩耗等に
よって生ずる精度低下時には、１組のすべてのロール状
ダイスを取り替えなければならない。従って、従来の装
置によっては、管棒体に対するねじ切り、縮径等の転造
を、高精度、高能率且つ低コストで行うことができない
問題がある。

【０００５】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、管棒体に対し、ねじ切り、縮径等の転造を、
高精度、高能率且つ低コストで連続的に行うことができ
る、管棒体の連続転造装置を、提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段〕本発明者等
は、上述した問題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その
結果、管棒体の移動方向に沿い、その軸線に向かって３
等分方向に３個のロール状ダイスを有する複数基の転造
スタンドを列設し、各転造スタンドのロール状ダイスの
各々を、互いに、ユニバーサルカップリングによって連
結し、そして、その少なくとも１つを駆動源に接続すれ
ば、管棒体に対する転造を、高精度、高能率且つ低コス
トで行うことができることを知見した。 【０００７】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、この発明の装置は、管棒体の移動方向に
沿い、一定間隔をあけて列設された複数基の転造スタン
ドからなっており、前記複数基の転造スタンドの各々
は、入口ハウジングおよび出口ハウジングと、前記入口
ハウジングと前記出口ハウジングとの間に回転可能に取
りつけられた、管棒体の移動軸線に向かって３等分方向
に配置された３個のロール状ダイスとからなっており、
前記３個のロール状ダイスのうちの少なくとも１個は、
前記管棒体の移動軸線に対し所定角度で傾斜しており、
前記複数基の転造スタンドの各々の前記３個のロール状
ダイスは、互いに、ユニバーサルカップリングによって
連結されており、そして、互いに連結されたロール状ダ
イスのうちの少なくとも１つは、駆動源に接続されてい
ることに特徴を有するものである。

【０００８】

【作用】この発明の装置は、上述したように構成されて
いるので、転造すべき管棒体は、一定間隔をあけて列設
された複数基の転造スタンドを連続的に移動する間に、
各転造スタンドに設けられたロール状ダイスによって、
成形、仕上げおよび矯正等が順次連続的に行われる。従
って、管棒体に対する、ねじ切り、縮径等の転造を、高
精度且つ高能率で連続的に行なうことができる。

【０００９】

【実施例】次ぎに、この発明を、図面を参照しながら説
明する。図１は、この発明の装置の１実施態様を示す概
略側面図、図２はその概略平面図である。図１および図
２に示すように、この実施例の装置においては、矢印に
示す管棒体の移動方向に沿い、No.1〜５の５基の転造ス
タンド1A,1B,1C,1D,1Eが、一定間隔をあけて列設されて
いる。No.1スタンド1Aは管棒体のスケール除去用であ
り、No.2スタンド1Bは粗成形用であり、No.3スタンド1C
は中間成形用であり、No.4スタンド1Dは仕上げ用であ
り、そして、No.5スタンド1Eは矯正用である。

【００１０】転造スタンド1A,1B,1C,1D,1Eの各々は、入
口ハウジング２および出口ハウジング３からなってい
る。図３は、入口ハウジング２の概略正面図、図４は、
出口ハウジング３の概略正面図である。図３に示すよう
に、入口ハウジング２は、スタンドフレーム４に固定さ
れたロールユニット５と、ロールユニット５に設けられ
た、管棒体の移動軸線に向かって３等分方向に配置され
た３個のロール軸受け6a,6b,6cを有する３個のロールチ
ョック7a,7b,7cからなっている。ロールチョック7a,7b,
7cには、圧下スクリュー8a,8b,8cが取りつけられてお
り、圧下スクリュー8a,8b,8cによって、ロールチョック
7a,7b,7cは、管棒体の移動軸線に向かって移動可能にな
っている。

【００１１】図４に示すように、出口ハウジング３は、
スタンドフレーム９に、管棒体の移動軸線と直交する方
向に回動可能に支持されたロールユニット10と、ロール
ユニット10に設けられた、管棒体の移動軸線に向かって
３等分方向に配置された３個のロール軸受け11a,11b,11
c を有する３個のロールチョック12a,12b,12c からなっ
ている。ロールチョック12a,12b,12c には、圧下スクリ
ュー13a,13b,13c が取りつけられており、圧下スクリュ
ー13a,13b,13c によって、ロールチョック12a,12b,12c
は、管棒体の移動軸線に向かって移動可能になってい
る。ロールユニット10の上部は、スタンドフレーム９の
上端に設けられた水平移動可能な水平支持棒19に取りつ
けられている。ロールユニット10の両側面および下面に
は、凸湾曲状の支持鞍２０が設けられており、支持鞍２
０は、スタンドフレーム９の内面に設けられた先端部が
凹湾曲状の支持腕21に当接している。従って、水平支持
棒19の移動により、ロールユニット10を、管棒体の移動
軸線と直交する方向に回動させることができる。

【００１２】入口ハウジング２のロール軸受け6bと、出
口ハウジング３のロール軸受け11b とは同一線上に位置
しており、一方、入口ハウジング２のロール軸受け6a,6
c と、出口ハウジング３のロール軸受け11a,11c とは、
同一線上にはなく、ずれた線上に位置している。このよ
うな、入口ハウジング２のロール軸受け6aと、出口ハウ
ジング３のロール軸受け11a との間には、上部ロール状
ダイス14a が取りつけられており、入口ハウジング２の
ロール軸受け6bと、出口ハウジング３のロール軸受け11
b との間には、下部ロール状ダイス14b が取りつけられ
ており、そして、入口ハウジング２のロール軸受け6c
と、出口ハウジング３のロール軸受け11c との間には、
下部ロール状ダイス14c が取りつけられている。このよ
うにして、管棒体の移動軸線に向かって３等分方向に、
管棒体の移動軸線と平行な下部ロールダイス14b と、管
棒体の移動軸線に対して所定角度で傾斜している上部ロ
ール状ダイス14a 、下部ロール状ダイス14c とが配置さ
れている。上部ロール状ダイス14a および下部ロール状
ダイス14c の傾斜角度は、出口ハウジング3 のロールユ
ニット10を、管棒体の移動軸線と直交する方向に回動さ
せることによって、調整することができる。

【００１３】上記のように、転造スタンド1A,1B,1C,1D,
1Eの各々に配置されているロール状ダイス14a,14b,14c
の各々は、図１および図２に示すように、互いに、ユニ
バーサルカップリング15によって連結されている。そし
て、No. 5 転造スタンド1Eの上部ロール状ダイス14a
は、No. 5 転造スタンド1Eの下流側に設置された、サイ
クロ減速機を有する駆動機構16の駆動軸16a に、ユニバ
ーサルカップリング17を介して接続されている。

【００１４】図５は、粗成形用のNo.2転造スタンド1B、
中間成形用のNo.3転造スタンド1Cおよび仕上げ用のNo.4
転造スタンド1Dの各々の、上部ロール状ダイス14a の概
略正面図である。上部ロール状ダイス14a には、ダイス
本体の周面上に、所定間隔をあけて２つのカリバー18，
18' が形成されている。下部ロール状ダイス14b,14c も
上部ロール状ダイス14a とほぼ同じ形状のカリバーを有
しており、このようなカリバー18，18' によって、管棒
体の表面上にねじが形成される。また、スケール除去用
のNo.1スタンドおよび矯正用のNo.5スタンド1Eにも、そ
れぞれ所定形状のカリバーが形成されている。

【００１５】上述した装置のNo. １転造スタンド1Aに管
棒体を供給すると、管棒体は、No. ５転造スタンドに向
けて、回転しながら連続的に移動する。その間に、No.
１転造スタンド1Aにおいて管棒体の外面のスケールが除
去され、No. 2 転造スタンド1Bにおいて管棒体に対し粗
ねじ成形が行われ、No. 3 転造スタンド1Cにおいて中間
ねじ成形が行われ、No. ４転造スタンド1Dにおいて仕上
げねじ成形が行われ、そして、No. ５転造スタンド1Eに
おいて矯正が行われる。このようにして、管棒体がNo.
１〜No. ５転造スタンドを通る間に、その外面上に、高
精度のねじが効率的に形成される。

【００１６】上述した実施例は、管棒体の外面に対する
ねじ形成用の装置であるが、この発明の装置は、ねじ形
成用に限らず、縮径用その他各種形状のプロフィル形成
用としても使用することができる。また、上述した実施
例の装置においては、転造スタンドとして、1A〜1Eの５
基のスタンドを列設し、No.1転造スタンドを管棒体のス
ケール除去用、No.2〜No.4転造スタンドをねじ成形用、
そして、No.5転造スタンドを矯正用となしたが、転造ス
タンドの設置基数および各スタンドに設けられているロ
ール状ダイスのカリバー形状等は、管棒体の大きさ、形
成すべきねじ形状やプロフィルによって、任意に選択す
ることができる。

【００１７】

【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
管棒体に対する、ねじ切り、縮径等の転造を、高精度且
つ高能率で連続的に行うことができる工業上優れた効果
がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の装置の１実施態様を示す概略側面図
である。

【図２】この発明の装置の１実施態様を示す概略平面図
である。

【図３】この発明の装置における入口ハウジングの概略
正面図である。

【図４】この発明の装置における出口ハウジングの概略
正面図である。

【図５】この発明の装置における上部ロール状ダイスの
概略正面図である。

【符号の説明】

1A〜1E 転造スタンド ２ 入口ハウジング ３ 出口ハウジング ４ スタンドレーム ５ ロールユニット 6a〜6c ロール軸受け 7a〜7c ロールチョック 8a〜8c 圧下スクリュー ９ スタンドフレーム 10 ロールユニット 11a 〜11c ロール軸受け 12a 〜12c ロールチョック 13a 〜13c 圧下スクリュー 14a 〜14c ロール状ダイス 15 ユニバーサルカップリング 16 駆動機構 16a 駆動軸 17 ユニバーサルカップリング 18，18' カリーバー 19 水平支持棒 20 支持鞍 21 支持腕

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管棒体の移動方向に沿い、一定間隔をあ
   けて列設された複数基の転造スタンドからなっており、
   前記複数基の転造スタンドの各々は、入口ハウジングお
   よび出口ハウジングと、前記入口ハウジングと前記出口
   ハウジングとの間に回転可能に取りつけられた、管棒体
   の移動軸線に向かって３等分方向に配置された３個のロ
   ール状ダイスとからなっており、前記３個のロール状ダ
   イスのうちの少なくとも１個は、前記管棒体の移動軸線
   に対し所定角度で傾斜しており、前記複数基の転造スタ
   ンドの各々の前記３個のロール状ダイスは、互いに、ユ
   ニバーサルカップリングによって連結されており、そし
   て、互いに連結されたロール状ダイスのうちの少なくと
   も１つは、駆動源に接続されていることを特徴とする、
   管棒体の連続転造装置。
2. 【請求項２】 前記複数基の転造スタンドは、管棒体の
   スケール除去用スタンド、粗成形用スタンド、中間成形
   用スタンド、仕上げ用スタンドおよび矯正用スタンドか
   らなっている、請求項１記載の装置。