JPH0789878A - 炭化水素の製造方法 - Google Patents

炭化水素の製造方法

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JPH0789878A
JPH0789878A JP5254881A JP25488193A JPH0789878A JP H0789878 A JPH0789878 A JP H0789878A JP 5254881 A JP5254881 A JP 5254881A JP 25488193 A JP25488193 A JP 25488193A JP H0789878 A JPH0789878 A JP H0789878A
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compound
catalyst
fluoride
reaction
hydrocarbon
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JP5254881A
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Masakazu Fukai
正和 深井
Kiyoshi Noro
清 野呂
Kiyoshi Otsuka
大塚  潔
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Toho Gas Co Ltd
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Toho Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 メタンの転化率、C2化合物の選択率が高
く、かつC2化合物の収率に優れる炭化水素の製造方法
を提供すること。 【構成】 酸素存在下において、常圧、反応温度600
〜850℃の下、酸化サマリウムに20〜50mol%
のフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム
等のアルカリ金属フッ化物を担持させた触媒にメタンを
含有する炭化水素ガスを接触させることによりエタン、
エチレン等の炭素数が2以上である炭化水素を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化水素ガスを原料と
してこれより炭素数が1つ多い炭化水素を製造する製造
方法に関し、特にメタンガスを原料としてエタン、エチ
レン等の炭化水素を効率的に製造する炭化水素の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、石油、天然ガスから取り出さ
れたエタン、エチレン等炭素数が2以上である炭化水素
を原料とした合成化学は、盛んに行われているものの、
近年に至るまでメタンガスを原料とする合成化学は、ほ
とんど行われていなかった。その原因は、メタンの反応
性が低く、これをエタン、エチレン等に転化することが
極めて困難であるところにある。
【0003】その一方で、メタンは天然ガスの主成分と
して豊富に存在していることが知られており、これをエ
タン、エチレン等に容易に転化することができれば、化
学工業材料として有効に活用することが可能となり産業
上極めて有益であることから、メタンガスを原料として
炭素数2以上の炭化水素を製造することが試みられ、触
媒存在下においてメタンを酸素の存在下で2分子縮合し
てエタン、エチレンとする酸化カップリング反応により
メタンからエタン、エチレンを得る製造方法や、メタン
の部分酸化によりエタン、エチレンを得る製造方法が提
案されている。
【0004】しかしながら、酸化カップリング反応にお
いては、メタンからエタン、エチレンが得られる反応よ
りもCOを経てCO2 まで完全酸化される反応が優位と
なり、C2 化合物を選択的に得ることができないという
問題が存在し、この問題点を解決するためメタン転化率
を高めると共に、完全酸化反応を抑制してメタンからエ
タン、エチレンが得られる反応の進行を相対的に優位に
してC2 化合物選択率を高める触媒が種々提案されてい
る。
【0005】一般に、メタン転化率を高める触媒として
は、酸化サマリウム(Sm23)が知られているが、転
化率が高い反面、C2化合物選択率が低いためC2化合物
の収率としては10%程度にすぎないという問題があ
る。この問題を解決するために、酸化サマリウムにアル
カリ金属化合物、特にリチウム化合物(LiCl、Li
2 CO3等)を担持することが行われており、担持を行
うことによりC2化合物選択率が向上することが知られ
ている。
【0006】このようなメタンを原料とする炭化水素の
製造方法において、メタンから得られるエタン、エチレ
ンの収率を高めるため、特開昭62−205036号公
報には、酸化サマリウムに塩化リチウム、臭化リチウ
ム、塩化ナトリウムを担持させた触媒を用いた炭化水素
の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、
メタン転化率は概ね28〜32%であり、C2 化合物
(エタン、エチレン)の収率は、概ね10〜20%であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の触媒を用いた炭化水素の製造方法には、以下の問
題点が存在した。すなわち、酸化サマリウムに、LiC
l、Li2CO3等のリチウム化合物を担持させた触媒
は、LiCl、Li2CO3等のリチウム化合物の融点が
600℃前後と低いことから、酸化カップリング反応に
おいて最も高収率が期待される温度域(700〜800
℃前後)では、担持されたLiCl、Li2CO3等のリ
チウム化合物が消失して急激に触媒作用が低下してしま
い、その結果、触媒寿命が極めて短くなりプラントの連
続稼動を妨げ、生産性の向上を図ることができないとい
う問題点があった。
【0008】一方、これらLiCl、Li2CO3等のリ
チウム化合物を担持させた触媒を消失させないために、
600℃前後で反応を進行させればメタン転化率が低
く、C2化合物選択率も低いことからC2化合物の収率が
悪いという問題があった。更に、これらの触媒を用いた
炭化水素の製造方法では、未だメタン転化率が低く、ま
たC2化合物の選択率が低いことから、C2化合物の収率
(メタン転化率×C2 化合物選択率)が10〜20%で
頭打ちになっているという問題点があった。
【0009】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、メタンの転化率、C2化合物の
選択率の高い触媒を用いてC2化合物の収率に優れる炭
化水素の製造方法を提供し、また耐久性に優れる触媒を
用いてC2 化合物の生産性を向上させる炭化水素の製造
方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の炭化水素の製造方法は、酸化サマリウムにア
ルカリ金属のフッ化物を担持させた触媒に炭化水素ガス
を接触させ、炭素数が1つ多い炭化水素を製造すること
を発明の要旨とする。ここで、本発明が適用される最も
好適な触媒反応の例として前記触媒に接触させられる炭
化水素ガスは、メタンガスであり、得られる炭化水素は
エタンおよび/またはエチレンであるものが挙げられ
る。
【0011】また、前記アルカリ金属のフッ化物は、フ
ッ化リチウム、フッ化ナトリウムあるいはフッ化カリウ
ムのいずれか1種または2種以上からなるものであるこ
とが望ましく、その酸化サマリウムに対する担持量は、
20〜50mol%であることが望ましい。更に、前記
触媒反応は、酸素ガス存在下において600〜850℃
の範囲で行うことが望ましい。
【0012】ここで、本発明において用いられる触媒の
調製方法について説明する。酸化サマリウム(Sm
23)粉末とアルカリ金属フッ化物水溶液(LiF、N
aF、KF等)を混練、撹拌しながら100〜200℃
で加熱して蒸発乾固し、酸化サマリウムにアルカリ金属
フッ化物を担持させる。これを空気中において500〜
700℃の下、1〜24時間焼成することにより酸化サ
マリウムにアルカリ金属フッ化物が担持された触媒が得
られる。
【0013】あるいは、硝酸サマリウム(Sm(N
33)水溶液とアルカリ金属フッ化物(LiF、Na
F、KF等)を混合、撹拌しながら100〜200℃で
加熱して蒸発乾固し、硝酸サマリウムにアルカリ金属フ
ッ化物を担持させる。これを空気中において500〜7
00℃の下、1〜24時間焼成することにより硝酸サマ
リウムが酸化され、酸化サマリウムにアルカリ金属フッ
化物が担持された触媒が得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例を比較例と
比較して説明する。本実施例に用いた触媒は、酸化サマ
リウム(試薬特級)13.95g とフッ化リチウム(試
薬特級)0.25g に水を加えて懸濁液とし、150℃
で加熱しながら撹拌して蒸発乾固した。そして、蒸発乾
固したものを空気中において400℃で2時間焼成し、
更に700℃で2時間焼成して加圧成形した後、粉砕し
粒度16〜42メッシュに分級したものを触媒として用
いた。
【0015】また、硝酸サマリウム(試薬特級)17.
78g とフッ化リチウム(試薬特級)0.13g に水
を加えて溶液とし、150℃で加熱しながら撹拌して蒸
発乾固した。そして、蒸発乾固したものを空気中におい
て400℃で2時間焼成し、更に700℃で2時間焼成
して加圧成形した後、粉砕し粒度16〜42メッシュに
分級したものを触媒として用いても良い。
【0016】上記のようにして得られた触媒0.5〜2.
0gをアルミナ製の反応管に充填し、反応温度650℃
〜800℃、大気圧の条件下、CH4:O2:N2 =2:
1:4の反応ガスを反応ガス流量3.5 または7リット
ル/hで流し反応させた。ここで、本発明に係る炭化水
素の製造方法に用いる触媒は、酸化サマリウムにアルカ
リ金属フッ化物を担持させたものであるから通常の石英
ガラス製反応管を用いると、アルカリ金属フッ化物によ
り侵されてしまうので、アルミナ製の反応管を用いる。
【0017】以上の操作によって得られる反応生成物
は、反応管出口に取り付けられた補集器によって補集さ
れ、ガスクロマトグラフによって分析された。分析結果
は、反応したメタン、酸素の割合を表したメタン転化
率、酸素転化率、反応生成物における一酸化炭素CO、
二酸化炭素CO2 、エチレンC24、エタンC26各成
分のの選択率とC2 成分の合計選択率、反応したメタン
から得られたC2成分の合計収率(メタン転化率×C2
成分の合計選択率に相当)、C2成分中のC24とC2
6の比率(エチレン/エタン比)で表した。
【0018】また、担持量は、触媒原料として用いた酸
化サマリウムの量(硝酸サマリウムを原料として用いた
場合には、酸化サマリウムに換算した量)に対するフッ
化リチウムの量(フッ化ナトリウムにあってはフッ化ナ
トリウムの量、フッ化カリウムにあってはフッ化カリウ
ムの量、塩化リチウムにあってはフッ化リチウムの量、
但し炭酸リチウムにあってはリチウム原子の量を他と同
じにするため炭酸リチウムの量を他の1/2の量とし
た。)をmol%で表したものである。
【0019】以下、いくつかの表に基づいて本測定結果
を説明する。表1は、本発明方法に用いられるアルカリ
金属のフッ化物の代表的なものとしてフッ化リチウム
(LiF)を挙げ、これと他のハロゲン化物(LiC
l)あるいは炭酸塩(Li2CO3)とを比較した測定結
果を示すものであり、本測定は、担持量を20mol%
(但し、炭酸リチウムにあっては10mol%)で一定
とし、触媒充填量を0.5gまたは1.0gとし、また反
応温度を750℃で一定とし、反応ガス流量も7.0リ
ットル/hで一定という条件の下で行った。
【0020】
【表1】
【0021】その結果、触媒充填量が0.5g のサンプ
ルを比較すると、フッ化リチウムを用いた場合には、メ
タン転化率は15.74% と塩化リチウムを用いた場合
のメタン転化率43.24%、炭酸リチウムを用いた場
合のメタン転化率46.36%と比較して低かったもの
の、C2化合物選択率は70.04%と塩化リチウムを用
いた場合のC2化合物選択率16.86% 、炭酸リチウ
ムを用いた場合のC2化合物選択率38.27%と比較し
て格段に高い値を示しており、極めて優れたC2化合物
選択性を有していることを意味する。
【0022】そして、フッ化リチウムのC2化合物収率
11.02%は、塩化リチウムのC2化合物収率7.3%
より高く、炭酸リチウムのC2化合物収率17.74%
より低い測定結果となったが、これは触媒の処理能力を
超えた反応ガスの供給過剰により反応全体が十分に進行
しなかった結果であると考えられる。
【0023】このことは、触媒充填量が0.5gのフッ
化リチウムサンプルと1.0gのフッ化リチウムサンプ
ルとの比較において、触媒充填量が1.0g のサンプル
はメタン転化率が28.59% と大幅に向上しており、
またC2化合物選択率は71.89%と高い水準を維持し
ていることから、結果としてC2化合物収率も20.55
%と高い値となったことからも首肯される。
【0024】以上の測定結果から、フッ化リチウムのメ
タン転化率が低い場合であっても、フッ化リチウムのC
2 化合物選択率は常に約70%程度と高率であり、フッ
化リチウムは極めて優れたC2 化合物選択性を有してい
ることが分かった。ここで、メタン転化率は、触媒充填
量等を変更することにより40%程度に上げられるがC
2 化合物選択率は、酸化サマリウムに担持させる金属種
に大きく依存することを鑑みれば、フッ化リチウムを担
持させた酸化サマリウムを触媒として使用する本発明は
極めて有用であることが分かる。
【0025】表2は、フッ化リチウムの酸化サマリウム
への担持量を20、30、50mol%と変化させた場
合についての測定結果を示すものであり、本測定は、触
媒充填量を2.0g で一定とし、反応温度を750℃ま
たは800℃とし、また反応ガス流量を3.5リットル
/hで一定という条件の下で行った。
【0026】
【表2】
【0027】その結果、反応温度750℃の条件下にお
いて、メタン転化率は担持量20mol%のとき50.
70%、担持量30%のとき50.92%、担持量50
%のとき48.89% と担持量50%のときを除いてい
ずれも50%以上の優れた値を示し、またC2化合物選
択率は担持量20mol%のとき50.68%、担持量
30%のとき50.51%、担持量50%のとき52.5
6%と優れた値を示した。
【0028】そして、C2化合物収率は担持量20mo
l%のとき25.70%、担持量30%のとき25.72
%、担持量50%のとき25.70%といずれも従来高
収率であるといわれてきた20%を超える25.7% 以
上の極めて高い測定結果が得られている。
【0029】一方、反応温度800℃の条件下におい
て、メタン転化率は担持量20mol%のとき52.8
8%、担持量30%のとき53.02%、担持量50%
のとき52.13%といずれも50%以上の高い転化率
を示しており、またC2化合物選択率は担持量20mo
l%のとき50.36%、担持量30%のとき50.26
%、担持量50%のとき52.46% と反応温度750
℃の場合と同様に優れた値を示した。
【0030】そして、C2化合物収率は担持量20mo
l%のとき26.63%、担持量30%のとき26.65
%、担持量50%のとき27.35%といずれも26.6
% を超える極めて高い収率が得られ、また750℃の
条件下では顕著に表れなかった担持量の増加に伴う収率
の増加が明確に示されている。
【0031】尚、担持量を50mol%とし、反応温度
を800℃として、反応ガス流量を上記3.5リットル
/hから 7.0リットル/hとした場合に、C2化合物
収率27.78% と本測定データの中で最も優れた収率
が得られており、担持量を増加させればC2化合物選択
率が高くなり、その結果C2化合物収率も担持量が増加
されるにつれて高くなることが分かる。
【0032】表3は、触媒充填量を0.5、1.0、2.
0g と変化させた場合についての測定結果を示すもの
であり、本測定は、担持量を30mol%で一定にし、
反応温度を750℃または800℃とし、反応ガス流量
を7.0リットル/h で一定という条件の下で行った。
【0033】
【表3】
【0034】その結果、反応温度750℃の条件下にお
いて、メタン転化率は触媒充填量0.5gのとき22.8
9%、触媒充填量1.0gのとき28.48%、触媒充填
量2.0gのとき44.13%であり、触媒充填量が増加
するにつれメタン転化率も著しく増加していることから
触媒充填量は、メタン転化率に大きな影響を及ぼすこと
が示されている。また、C2 化合物選択率は触媒充填量
0.5gのとき63.30%、触媒充填量1.0gのとき
71.95%、触媒充填量2.0gのとき59.06%と
いずれも高い測定値を示している。
【0035】そして、C2 化合物収率は触媒充填量0.
5gのとき14.49%、触媒充填量1.0gのとき2
0.49%、触媒充填量2.0gのときC2 化合物収率2
6.07%の測定結果が得られ、メタン転化率でみられ
た結果と同様に、触媒充填量が増加するにつれてC2
合物収率は、著しく高くなることが分かり、触媒充填量
は本発明に係る炭化水素の製造方法において高いC2
合物収率を得るために極めて重要な要素であることが分
かる。
【0036】一方、反応温度800℃の条件下におい
て、メタン転化率は触媒充填量 0.5gのとき38.0
5%、触媒充填量1.0gのとき47.36%、触媒充填
量2.0gのとき52.54% と、やはり触媒充填量の
増加と共にメタン転化率は高くなる傾向にあり、750
℃の場合と比較して8%〜20%の向上がみられメタン
転化率に温度依存性があることが示された。
【0037】また、C2化合物選択率は触媒充填量0.5
gのとき44.84%、 触媒充填量1.0gのとき57.
96%、触媒充填量2.0gのとき52.45%と全体に
750℃の場合と比べて低下するものの概ね50%以上
のC2 化合物選択率が得られている。
【0038】そして、C2化合物収率は触媒充填量0.5
gのとき17.06%、 触媒充填量1.0gのとき27.
45%、触媒充填量2.0gのとき27.55%の測定結
果が得られ、触媒充填量が1.0gを超えるとC2化合物
収率の上昇率が低下するものの、触媒充填量が増加すれ
ば高いC2 化合物収率が得られることが示されている。
【0039】一方、750℃の場合と比較するとC2
合物選択率は、45〜58%と低下するものの、C2
合物収率はいずれもより高い収率が得られており、特に
触媒充填量1.0及び2.0の場合においては27.4〜
27.5%と極めて高い収率を示している。
【0040】表4は、反応温度を650、700、75
0、800℃と変化させた場合における測定結果を示し
ており、本測定は、担持量を30mol%で一定とし、
触媒充填量を2.0gで一定とし、また反応ガス流量を
3.5リットル/hで一定という条件の下で行った。
【0041】
【表4】
【0042】その結果、メタン転化率は反応温度650
℃のとき18.09% 、反応温度700℃のとき38.
73%、反応温度750℃のとき50.92%、反応温
度800℃のとき53.02% と反応温度が上昇するに
つれ増加しており、特に650〜700℃近傍において
その傾向が顕著に表れている。また、反応温度650、
700℃におけるメタン転化率は40%以下であり、こ
れはこの程度の反応温度は、酸化カップリング反応の温
度条件としては不十分であることを意味するものであ
る。
【0043】また、C2化合物選択率は反応温度650
℃のとき54.05%、反応温度700℃のとき55.7
2%、反応温度750℃のとき50.51%、反応温度
800℃のとき50.26% の測定結果が得られてお
り、反応温度が上昇するにつれてC2 化合物選択率は低
下する傾向にあるものの、いずれの場合においても50
%を超えておりC2化合物選択率としては高い値を示し
ている。
【0044】そして、C2化合物収率は反応温度650
℃のとき9.78%、反応温度700℃のとき21.58
%、反応温度750℃のとき25.72%、反応温度8
00℃のとき26.65%の測定結果が得られ、C2化合
物収率は、反応温度が上がるにつれて高くなる傾向を示
し、反応温度700℃では21%程、反応温度750、
800℃では、26%前後の極めて高いC2 化合物収率
が測定された一方で、650℃では10%を切ってお
り、本発明に係る炭化水素の製造方法に用いる触媒を現
実に炭化水素の製造に用いることができるのは、700
℃以上好ましくは750℃以上であることが分かった。
【0045】以上の測定結果をグラフ化すると図1のよ
うになる。図1は、反応温度とメタン転化率、C2化合
物選択率、C2化合物収率の関係を示したグラフであ
り、横軸は反応温度、縦軸はメタン転化率、C2 化合物
選択率、C2化合物収率を表示している。
【0046】グラフ中、目立つ曲線は酸素転化率の変化
を示す曲線である。本発明に係る炭化水素の製造方法
は、酸化カップリング反応であるから当然に酸素使用量
(酸素転化率)が高くなる。この酸素転化率は、800
℃付近においてほぼ100%を示しており、酸化カップ
リング反応が800℃付近で最も反応が良く進むことを
示しており、このことは従来から知られている結果であ
る。
【0047】一方、メタン転化率は、酸素転化率ほどで
はないものの反応温度に比例して高くなる傾向を示し、
750〜800℃の範囲において50%を超える転化率
が得られており、本条件下における最適反応温度は75
0〜800℃であることが分かる。
【0048】ところで、本発明に係る炭化水素の製造方
法は、メタン転化率の向上の他に酸化カップリング反応
における一酸化炭素、二酸化炭素選択率を抑制し、C2
化合物の選択率を向上させることをも目的としている。
ここで、一酸化炭素の選択率を見てみれば反応温度が上
昇するにつれ減少し、二酸化炭素の選択率も反応温度の
上昇につれ微増するに留まっており、目的は達成されて
いる。
【0049】一方、C2 化合物のうちエチレンの選択率
は、反応温度の上昇に伴い増加しており、エタンの選択
率は反応温度の上昇にともない減少している。両者は、
反応温度700℃付近を境に選択率が入れ替わってお
り、エタンを多く得たいのであれば700℃以下で、エ
チレンを得たいのであれば700℃以上で反応を進行さ
せればよいことが分かる。
【0050】C2 化合物の収率としては、エタン選択率
の減少にもかかわらず反応温度と共に増加しており、こ
のことからも酸化カップリング反応は高温で行う必要が
あることが再確認された。
【0051】表5は、反応ガス流量を3.5、7.0リッ
トル/hと変化させた場合における測定結果を示してお
り、本測定は、担持量を30mol%で一定とし、触媒
充填量を2.0g で一定とし、反応温度を750または
800℃とした条件の下で行った。
【0052】
【表5】
【0053】その結果、反応温度750℃の条件下にお
いて、メタン転化率は反応ガス流量3.5リットル/h
のとき50.92%、反応ガス流量7.0 リットル/h
のとき44.13% となり、反応ガス流量が増加すると
メタン転化率は大きく低下しており、またC2 化合物選
択率は反応ガス流量3.5リットル/hのとき50.51
%、反応ガス流量7.0リットル/hのとき59.06%
となり、反応ガス流量が増加するに伴い著しく増加して
いる。
【0054】そして、C2 化合物収率は反応ガス流量
3.5リットル/hのとき25.72%、反応ガス流量
7.0リットル/hのとき26.07%と反応ガス流量の
増加に伴い収率が増加する測定結果が得られ、これは、
触媒の能力にも依存するが、一般に良く知られている通
り、化学反応は触媒との接触時間が長い場合(ここで
は、ガス流量が少ない場合)の方が反応が良く進むとい
うことを意味している。
【0055】反応温度800℃の条件下において、メタ
ン転化率は、反応ガス流量 3.5リットル/hのとき5
3.02%、 反応ガス流量7.0リットル/hのとき5
2.54%といずれも概ね53%の高い値を示してお
り、750℃の条件下の場合と比較するとガス流量の増
加によるメタン転化率の低下は微小である。また、C2
化合物選択率は反応ガス流量3.5リットル/hのとき
50.26%、反応ガス流量7.0リットル/hのとき5
2.45%といずれも50%以上の高い値を示し、75
0℃の条件下と比べると反応ガス流量の違いによる選択
性の差は顕著なものでない。
【0056】そして、C2 化合物収率は反応ガス流量
3.5リットル/hのとき26.65%、反応ガス流量
7.0リットル/hのとき27.55%といずれも極めて
高い収率であり、750℃の条件下の場合と比較しても
高い値を示している。この結果は、反応温度が800℃
の条件下では反応が極めて良好に進行することからメタ
ン転化率は、反応ガス流量に左右されず高い転化率を示
す一方で、C2 化合物選択率は反応ガス流量が多い場合
に高い割合を示すことから反応温度750℃の場合と比
較してC2化合物収率に差が生じている。
【0057】表6は、アルカリ金属種をリチウム、ナト
リウム、カリウムと変化させた場合の測定結果を示して
おり、本測定は、担持量を30mol%で一定とし、触
媒充填量を1.0g で一定とし、また反応温度を750
または800℃とし、反応ガス流量を3.5リットル /
hで一定という条件の下で行った。
【0058】
【表6】
【0059】その結果、反応温度750℃の条件下にお
いて、メタン転化率はリチウムを用いたとき28.59
%、ナトリウムを用いたとき22.20%、カリウムを
用いたとき39.18% であり、アルカリ金属種として
カリウムを用いた場合に最も高い値を示したが、C2
合物選択率はリチウムを用いたとき71.89%、ナト
リウムを用いたとき64.64%、カリウムを用いたと
き38.06%であり、アルカリ金属種としてリチウム
を用いた場合に極めて高い選択率を示しておりナトリウ
ムを用いた場合も約65%と高い選択率を示している。
【0060】そして、C2化合物収率は、リチウムを用
いたとき20.55%、ナトリウムを用いたとき14.3
5%、カリウムを用いたとき14.91%という測定結
果が得られ、リチウムを用いた場合に最も高い測定値が
得られた。反応温度800℃の条件下において、メタン
転化率はリチウムを用いたとき49.89%、ナトリウ
ムを用いたとき47.12%、カリウムを用いたとき 4
7.97%といずれも同程度のメタン転化率であり、7
50℃の条件下の場合と比べるとリチウム、ナトリウム
を用いたときの転化率の上昇が著しく、メタン転化率に
関しては反応温度がかなり重要な要素であることが分か
る。
【0061】また、C2化合物選択率はリチウムを用い
たとき54.82%、ナトリウムを用いたとき44.11
%、カリウムを用いたとき46.67%であり、リチウ
ムを用いた場合に最も高い値が得られ、750℃の条件
下の場合と比較するとカリウムを用いたときに増加して
いるものの他のアルカリ金属種を用いた場合は減少し、
全体として差が少なくなった。
【0062】そして、C2化合物収率は、リチウムを用
いたとき27.35%、ナトリウムを用いたとき20.7
8%、カリウムを用いたとき22.38%といずれも2
0%以上の収率得られており、特にリチウムを用いたと
き極めて高いC2 化合物収率が得られている。以上の結
果は、メタン転化率、C2化合物選択率、C2化合物収率
のいずれにおいてもアルカリ金属のフッ化物としてはリ
チウムが最適であることを意味している。
【0063】最後に触媒の耐久性について考察する。上
記の測定結果が示すように、酸化カップリング反応は7
50〜800℃の反応温度において高い反応性を示して
おり、反応温度条件をこれらの温度に一致させれば高い
2化合物収率が得られるはずである。
【0064】しかし、従来の触媒において酸化サマリウ
ムに担持される塩化リチウム(LiCl)の融点は60
5℃、塩化ナトリウム(NaCl)の融点は800℃、
臭化リチウム(LiBr)の融点は550℃、炭酸リチ
ウム(Li2CO3)の融点は618℃である。従って、
塩化ナトリウムを除いて750℃、800℃という反応
温度の下では酸化サマリウムに担持させて使用すること
ができず、塩化ナトリウムにあってもその消失は時間の
問題であるといえる。
【0065】しかし、本発明に係るアルカリ金属のフッ
化物を酸化サマリウムに担持させれば、例えばフッ化リ
チウムの融点は848℃、フッ化ナトリウムの融点は9
92℃、フッ化カリウムの融点は860℃と高いので、
酸化カップリング反応の最適反応温度の下、反応を進行
させても酸化サマリウムに担持させたアルカリ金属のフ
ッ化物が消失することはなく反応器を長時間に亘って、
連続稼動させること可能である。
【0066】例えば、本実施例に係るフッ化リチウムで
は100時間経過後の収率低下が0.14〜1.15%と
いう測定結果があり、数時間で触媒作用が低下していた
従来の触媒と比較すればその耐久性の高さは極めて優れ
ていることが分かる。
【0067】以上、詳細に説明したように本実施例に係
る炭化水素の製造方法は、メタン転化率の高い酸化サマ
リウムに、C2 化合物選択率の高いフッ化リチウム、フ
ッ化ナトリウム、フッ化カリウム等のアルカリ金属化合
物を担持させた触媒を用いているので、高いC2化合物
収率が得られる。
【0068】特に、フッ化リチウムを担持させた場合に
おいては、50〜70%程度という極めて高いC2化合
物選択率を示すと共に、概ね26〜27%ものC2化合
物収率が得られている。この26〜27%のC2 化合物
収率値は、従来から最良値といわれてきた20%前後の
2 化合物収率値と比較してきわめて優れた値であり、
炭化水素の製造に大きく貢献するものであることを意味
している。
【0069】また、酸化サマリウムに担持させたアルカ
リ金属化合物がフッ化物であり、他の陰イオンをもつア
ルカリ化合物と比較して高い融点を有していることか
ら、高い反応温度の下でも担持金属が消失することがな
いので、触媒寿命を大幅に延長することが可能となり反
応器の連続稼動を可能にして炭化水素を効率的に製造す
ることができるものである。
【0070】以上、実施例に基づいて本発明を説明した
が、本発明は上記実施例に何ら限定されるものでなく、
本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形改良が可能
であることは容易に推察できるものである。従って、本
実施例で示した担持量、触媒充填量、反応温度、反応圧
力、反応ガス流量に限定されることなく、高いメタン転
化率とC2 化合物選択率が得られれば良い。
【0071】また、アルカリ金属フッ化物は、フッ化リ
チウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムに限られず
ルビジウムRb等他のアルカリ金属を用いてもよい。
【0072】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明に係る炭化水素の製造方法は、メタン転化率に優れ
る酸化サマリウムに、C2 化合物選択率に優れるアルカ
リ金属のフッ化物を担持させた触媒を用いて炭化水素を
製造することとしたのでC2 化合物の収率に優れる炭化
水素を製造することができ、また耐久性に優れるフッ化
物を含有する寿命の長い触媒を用いて炭化水素を製造す
ることとしたのでC2 化合物の生産性を向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】担持量30mol%(炭酸リチウムにあっては
15mol%)、触媒充填量2.0g、反応ガス流量3.
5リットル/h、常圧下における反応温度とメタン転化
率、C2化合物選択率、C2化合物収率の関係を示したグ
ラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化サマリウムにアルカリ金属のフッ化
    物を担持させた触媒に炭化水素ガスを接触させ、炭素数
    が1つ多い炭化水素を製造することを特徴とする炭化水
    素の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記触媒に接触させられる炭化水素ガス
    は、メタンガスであり、得られる炭化水素はエタンおよ
    び/またはエチレンであることを特徴とする請求項1に
    記載された炭化水素の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ金属のフッ化物は、フッ化
    リチウム、フッ化ナトリウムあるいはフッ化カリウムの
    いずれか1種または2種以上からなるものであることを
    特徴とする請求項1または2に記載された炭化水素の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ金属のフッ化物の酸化サマ
    リウムに対する担持量は、20〜50mol%であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載された炭化水素の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記触媒反応は、酸素ガス存在下におい
    て600〜850℃の範囲で行うものであることを特徴
    とする請求項1乃至4に記載された炭化水素の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007277160A (ja) * 2006-04-06 2007-10-25 Mitsubishi Heavy Ind Ltd モノ低級アルキルモノアルカノールアミンの製造方法および装置

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