JPH078756B2 - 化合物半導体薄膜形成法 - Google Patents

化合物半導体薄膜形成法

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JPH078756B2
JPH078756B2 JP61156260A JP15626086A JPH078756B2 JP H078756 B2 JPH078756 B2 JP H078756B2 JP 61156260 A JP61156260 A JP 61156260A JP 15626086 A JP15626086 A JP 15626086A JP H078756 B2 JPH078756 B2 JP H078756B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はIII−V族化合物半導体薄膜およびII-VI族化合
物半導体薄膜の形成に関する。
[従来の技術] 基板上に化合物半導体薄膜を形成する方法として、有機
金属熱分解成長(MOCVD)法、分子線エピタキシ(MBE)
法、原子層エピタキシ(ALE)法、分子層エピタキシ(M
LE)法が知られている。
有機金属熱分解気相成長法は例えばH.M.Manasevit他の
論文(J.Electrochem.Soc.120(1973),569)に示され
ている。この方法は、第18図に示すように、有機金属化
合物と水素化物を水素キャリアガスとともに加熱された
基板上に輸送し、熱分解によって基板上に化合物半導体
薄膜を形成する方法である。III−V族化合物半導体で
あるGaAaを例にとって説明すると、反応槽3内におかれ
た加熱された基板1上に導入されたGaの有機金属化合物
であるトリメチルガリウム(CH3)3GaおよびAsの水素化物
であるアルシンAsH3は、基板近傍に形成される速度境界
層2中を分解しながら拡散し、完全に分解したGa原子お
よびAs原子が基板表面に付着し、GaAsの結晶が成長す
る。境界層より外側ではトリメチルガリウム(TMG)は
ほとんど分解せず、基板表面ではほぼ100%分解してい
るので、境界層中にはトリメチルガリウムの濃度勾配が
存在することになる。成長速度は、近似的にこの濃度勾
配に比例するので、境界層の薄い上流部では成長速度が
大きくなり、第19図に示すように成長厚は下流に行くに
従い薄くなる。この成長厚の基板面内不均一が従来の有
機金属熱分解気相成長法の最大の欠点であった。また近
年量子井戸構造、超格子構造などの極微細構造を持つ半
導体デバイスの開発がさかんになり、その場合、単原子
層の制御性を持つエピタキシャル技術が要求されるよう
になった。有機金属熱分解気相成長法は、成長速度が原
料供給律速であるので、基板面内の広い領域にわたって
単原子層の制御性を要求することは不可能に近い。
分子線エピタキシ法については例えばL.L.Chang et at
がJ.Vac.Sci.Technol.Vol.10,No.5,p11(1973)に発表
しているが、高真空中で原料元素、GaAs結晶の場合には
GaとAsを,加熱して基板上にGaAsとして蒸着させるもの
である。やはり基板面内の広い範囲にわたって単分子層
の制御を行なうのは困難であった。
原子層エピタキシ法(米国特許4,058,430;1977年)は分
子線エピタキシの改良としてT.Suntolaらによって提案
されたもので、半導体元素のそれぞれをパルス状に交互
に供給し、単原子層を基板に交互に付着させるもので、
原子層の精度で膜厚を制御できるが、結晶性が良くな
い。T.Suntolaらはこの方法による化合物薄膜の形成に
ついて、Thin Solid Films 65(1980),304;Proc.8th I
ntern.Vacuum Congress(1980) Vol.1,p401;Appl.Phy
s.Lett.38(1981),131,その他多くの論文を発表してい
るが、形成される化合物の多くはII-VI族化合物および
酸化物であって、III-V族半導体についてはUSP 4,058,4
30にGaPの例が紹介されているのみであり、GaAs、AlAs
などについての報告はない。
分子層エピタキシ法は、原子層エピタキシ法を改良する
方法として西沢らによって提案された(電子通信学会技
術研究報告Vol.84.No.127pp73〜78)ものである。この
方法は原料分子の単分子層吸着、化学反応および反応生
成物の脱離を経て成長を進行させる。第20図に原料元素
導入のタイムチャート、第21図に成長機構を説明する概
略図を示す。高真空中で加熱された基板1上にアルシン
を導入し、排気することによりアルシンの単分子層を形
成する(a)。吸着したアルシンは熱分解しAsの単原子
層が形成される(b)。続いてトリメチルガリウムが導
入され、トリメチルガリウムは基板上で分解してGaAsの
単分子層が形成される(c),(d)。再び系内が排気
され余分のトリメチルガリウムは除去される。この過程
を繰り返すことにより単原子層ずつ成長が進行する。
この方法では、トリメチルガリウム導入→排気→アルシ
ン導入→排気の1サイクルでGaAsの単分子層厚(=2.83
Å)に近い膜厚が得られている。この方法は下記に述べ
る欠点を持っている。
トリメチルガリウム分子が基板上に単分子層吸着
し、それらが熱分解することにより、Ga単原子面が形成
されるが、トリメチルガリウム分子間の立体障害,分子
間反発等により、100%の被覆率を有するGa単原子面の
形成は不可能である。したがって原理的に1サイクルで
単原子層の薄厚を得ることはできない。
成長期間中,成長雰囲気にAsのない状態が存在し、
成長層からのAs抜けが起こり、As空孔となって不純物の
取り込み、As空孔の関与した不快不純物単位の形成につ
ながる。さらにこの方法では、水素が存在しないので、
トリメチルガリウムが分解して形成されるメチルラジカ
ルは水素によって還元されず、メチルラジカルの炭素が
As空孔と反応して成長層に取り込まれ、炭素アクセプタ
になる欠点があった。実際の報告例では(西沢ら、前掲
論文)成長層はキャリア濃度1019cm-3台のpタイプを示
し、成長層の炭素汚染を裏づけている。
トリメチルガリウムの分解に時間を要し、さらに排
気期間を設けているため、1サイクルに要する時間が33
秒と長く、1μmの成長層を得るのに30時間以上も要
し、実用上問題がある。
[発明が解決しようとする問題点] このように従来の技術は、それぞれ、成長した化合物の
厚さが面内で均一でない、単原子層の制御性が悪い、結
晶性が良くない、成長させうる化合物の範囲が狭い、成
長したGaAsにAsの不足が生ずる、炭素不純物が混入す
る、などの欠点をもっていた。
このような欠点を解消するために、本発明者らは、トリ
メチルガリウム(TEG)とアルシン(AsH3)を交互に基
板上に供給してGaAs薄膜を成長させる方法(第46回秋期
応用物理学会講演会,1985年10月2日),および常時水
素で稀釈された微量のAsH3を流しながら、TEGと十分な
濃度のAsH3とを交互に基板上に供給してGaAs薄膜を成長
させる方法(Int.Symp.GaAs and Related Compounds.,1
985年9月,およびJapanese J.appl.Phys.Vol.24,No.1
2,1985,pp.L962-L964)を提案した。第22図に本発明者
らによる提案の方法における原料ガス供給のタイムチャ
ートを示す。これらの方法によって、As空孔および炭素
汚染の著しく少ないGaAsエピタキシャル成長層が得られ
た。またこれらの方法によれば、GaAs膜の成長量を単原
子層の厚さで制御でき、成長速度も著しく増加し、1μ
m厚の成長に要する時間は2時間に減少した。
しかし本発明者らによる上述した方法によっても得られ
たGaAsエピタキシャル成長層には表面欠陥が存在し、結
晶の完全性はなお不十分であった。
本発明は上述した欠点を解決し、成長するエピタキシャ
ル層の膜厚を単原子層の厚さで制御でき、格子欠陥,不
純物および表面欠陥の少ない高品質の化合物半導体薄
膜,および極限の急峻性を持つヘテロ構成の成長法を提
供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] このような目的を達成するために、本発明の化合物半導
体薄膜形成方法は、III族またはII族元素を含む有機金
属化合物およびV族またはVI族元素を含む水素化物を加
熱された基板上に輸送し、熱分解によってIII−V族ま
たはII-VI族化合物半導体を基板上に成長させる化合物
半導体薄膜形成法において、第1のキャリアガスと共
に、有機金属化合物と反応してIII−V族化合物またはI
I-VI族化合物を形成しない第1の濃度に希釈されたV族
またはVI族元素を含む水素化物を常時流しながら、第2
のキャリアガスによって第1の濃度より高い第2の濃度
に希釈された水素化物を基板上に導入する過程と、第2
の濃度に希釈された水素化物の導入を停止する過程と、
第3のキャリアガスで希釈されたIII族またはII族元素
を含む有機金属化合物を基板上に導入する過程と、有機
金属化合物の導入を停止し、第4のキャリアガスによっ
て希釈されたハロゲン化水素を導入する過程を繰り返す
ことを特徴とする。
[作用] III−V族化合物半導体であるGaAsを例にして、本発明
の作用を第1図によって説明する。加熱されたGaAs基板
上に水素キャリアガスによって第1の濃度に希釈された
微量のアルシンを常時流しておく(第1図(a))。ア
ルシンの量はトリメチルガリウム(TMG)が到達して
も、それと反応してGaAsを形成しない程度に希釈されて
いる。次にやゝ濃度を増した第2の希釈濃度のアルシン
を水素キャリアガスと共に流すとアルシンは基板表面の
Ga原子に吸着され、熱分解してAs原子となり、Ga原子と
結合して、As単原子層が基板上に形成される。(第1図
(b))。吸着・分解は基板表面がAsの単原子層で覆わ
れるまで進行する。As単原子層が形成されると、As原子
とアルシンの吸着は弱いので、その後輸送されるアルシ
ンは吸着されずに系外へ去って行く。こゝでこのやゝ高
い濃度のアルシンの流れをとめ、水素で希釈されたトリ
メチルガリウムを流す(第1図(c))。トリメチルガ
リウムは基板上のAs単原子層に強く吸着され、熱分解し
Ga原子とAs原子は結合してAs単原子層上にGa単原子層が
形成される。すなわちGaAs単分子層が基板上に形成され
る。Ga単原子層が形成された後に到達したトリメチルガ
リウムはGa原子との吸着が弱いので系外に去って行く
が、一部はGa単原子層上で分解し、Ga原子の二層構造が
部分的に形成される。
次に水素で希釈された塩化水素を流すと(第1図(d)
表面のGa原子は塩素原子と結合し、結合力の弱いGa-Ga
結合を持つ二層構造部分の上部Ga原子が気体状のGaClの
形で系外に去って行く。このようにして、GaAs単分子層
が基板上に形成される。塩化水素の導入を停止するとGa
原子と結合したClはキャリアガスの水素原子またはアル
シンが分解して生成した水素原子と化合して気体状のHC
lとなり、系外に去って行く。
その後水素によってやゝ高い濃度に希釈されたアルシン
の流れ、水素によって希釈されたトリメチルガリウムの
流れ、水素によって希釈された塩化水素の流れを繰り返
すことによって、GaAs基板上に基板の全面にわたって均
一に1サイクル毎にGaAsの単分子層が成長する。
本発明の方法においては、常時稀薄なアルシンが流れて
いるので、形成されたGaAs中からAsが抜けることなく、
また常時水素ガスを流しておくので、トリメチルガリウ
ムの分解によって生じたメチル基は水素によって還元さ
れてメタンとなるので化合物中に取りかこまれることな
く、従って炭素アクセプタの混入もない。また、Ga面形
成時に部分的に形成される単原子層以上の部分も塩素水
素の添加により蒸気圧の高い塩化ガリウムの形で容易に
脱離し、完全に単原子層毎の成長が保証される。なお、
この説明では、アルシン→トリメチルガリウム→塩化水
素の繰り返し過程について説明したが、トリメチルガリ
ウム→塩化水素→アルシンの順にしても、最初にGaAs基
板表面のAs原子にトリメチルガリウムが強く吸着され、
分解してGa単原子層を形成する点が異なるだけで、以後
の過程及び作用はアルシン→トリメチルガリウム→塩化
水素の繰り返しと全く同様である。
以上の説明では、Gaの2層構造を除去するのにHClを用
いた例を示したが、他のハロゲン化水素、例えばフッ化
水素HF、臭化水素HBrを用いることも可能である。HFを
用いる場合は、反応槽としてフッ素に侵されない材料を
用いる必要がある。
また以上の説明では、最良の方法としてアルシン,トリ
メチルガリウムおよび塩化水素のキャリアガスとして全
て水素を用いた例を示したが、キャリアガスにヘリウム
He,アルゴンArなどの不活性ガスを用いても、常時希薄
なアルシンを流しながら成長を行わせれば、形成された
GaAsからAsが抜けることがないので、空孔を生ずること
がなく、従ってメチル基が還元されなくても炭素原子が
成長した化合物膜中に取込まれることはない。
[実施例] 以下本発明の実施例について詳細に説明する。
実施例1 GaAs基板上にGaAs薄膜を成長させた。基板は単結晶で成
長面は(100)である。V族元素の水素化物としてアル
シンAsH3を、III族元素を含む有機金属化合物としてト
リメチルガリウム(CH3)3Gaを用いた。
第2図に本発明に用いる装置の一例の概要を示す。図中
1は基板、3は反応槽、4は基板支持台、5は高周波コ
イルなどによる加熱装置、6は配管、V1ないしV10はバ
ルブである。バルブV1、V2を調整し、反応槽3には常
時、水素キャリアガスと水素によって希釈された微量の
アルシンAsH3を流しておく。バルブV3、V4、V5、V7、V8、V9
を操作して、必要量のアルシンおよびトリメチルガリウ
ム(TMG)を流す。V6、V10は後の実施例で説明するヘテ
ロ構造の化合物半導体、例えばAl0.5Ga0.5As-GaAs-Al
0.5Ga0.5As薄膜を形成する際にトリメチルアルミニウム
(TMA)を流すためのもので、GaAsのような単一構造の
薄膜形成には必要ない。バルブV3、V4、V5、V7、V8、V9(V6、V
10)は、制御装置7によって定められた時間間隔で原料
ガスを導入できるようになっている。反応槽は縦型のも
のを例示したが、横型反応槽を使用できることは当然で
ある。
第3図にAsH3,TMGおよびHClを基板に供給するタイムチ
ャートの一例を示す。t1ないしt4で1サイクルを形成す
る。
まず、水素ガスと共に常時流しておくアルシンについて
説明する。これは形成されたGaAsからのAsぬけを防止す
るためのもので、トリメチルガリウム(TMG)と反応し
てGaAsを形成しない濃度にしておく。静的な状態で、基
板表面(固相)と気相とは平衡状態にあり、ある温度で
の気相中のAs種の分圧は一義的に決まる。しかし実際の
成長プロセスは動的な状態であるので、その温度でのAs
種の平衡解離圧を常に補ってやる必要がある。As種を補
う原料としてのアルシンの熱分解効率は温度に最も大き
く依存する。熱分解効率は厳密にはアルシンの基板上の
滞留時間、すなわち水素流量にも依存するが、この依存
度は小さい。基板の濃度を変え、水素流量を10l/分一定
とし、アルシンを常時流しながら、モル分率1×10-4
トリメチルガリウムを1秒間隔で断続して3600回流した
時の、基板上に成長したGaAsの量のアルシン濃度による
変化を調べた結果を第4図に示す。成長量は基板のへき
開断面を倍率5万倍の走査電子顕微鏡で観察して測定し
た。図から判るように温度が400℃では、AsH3モル分率
0〜1×10-4の範囲でGaAsの成長を確認できなかった。
温度が上昇するにつれて、GaAsが成長しないアルシン濃
度は低濃度側へ移行し、500℃では、4×10-5モル分
率、550℃では2×10-5モル分率をこえるとGaAsが成長
する。同じAsH3モル分率で比較しても、温度が上昇する
につれ、成長量は多くなる。
以上の結果から、水素キャリアガスと共に常時流すアル
シンの濃度(第1の濃度)は4×10-5モル分率以下、特
に2×10-5モル分率以下が望ましいことが導かれる。
次に基板上にAs単原子層を形成するための、第2の濃度
に希釈されたアルシンについて説明する。
基板温度450℃、水素流量10l/分一定とし、常時1×10
-5モル分率のアルシンを水素キャリアガスと共に流して
おく。そして、アルシンと、モル分率1×10-4のトリメ
チルガリウム(TMG),モル分率1×10-4の塩素水素を
第3図のタイムチャートに従い、1秒間隔で、すなわち
t1=t2=t3=t4=1秒として交互に導入する。アルシン
の濃度をかえ、それぞれ3600サイクル繰り返した後、基
板上に形成されたGaAs膜の厚さを測定した。その結果を
第5図に示す。成長量は始めアルシンの濃度と共に増加
するが、濃度が1×10-3モル分率以上で1.02μmの一定
値になる。この値を1サイクルの値に換算すると2.83A
°となり、これはGaAsの一分子層の厚さに相当する。従
って、アルシンの第2の濃度は1×10-3モル分率以上で
あることが望ましい。なお、この濃度以上で各サイクル
におけるアルシンの導入時間を2秒、3秒、4秒、5秒
と変化させても成長量に変化は見られなかった。
次にGa単原子層を形成するためのトリメチルガリウムに
ついて説明する。
基板温度、水素流量、常時流しておくアルシン濃度は、
前述したアルシンの場合と等しく、それぞれ450℃、10l
/分,1×10-5モル分率である。第3図のタイムチャート
において、t1ないしt4をそれぞれ1秒としてトリメチル
ガリウムと1×10-3モル分率のアルシン,1×10-4モル分
率の塩化水素を基板上に交互に導入し、3600サイクル繰
り返した後の成長膜厚を測定した。成長膜厚は導入する
トリメチルガリウムの濃度によって第6図に示すように
変化し、1×10-4モル分率以上の濃度では1.02μmの一
定値を保つ。この値は1サイクルに換算するとGaAsの単
分子層2.83A°に相当する。なお、各サイクルにおける
トリメチルガリウムの導入時間を5秒まで伸してみた
が、成長量には変化がなかった。
次に、Ga単原子層を形成するための塩化水素について説
明する。基板温度,水素流量,常時流しておくアルシン
の濃度,トリメチルガリウムの濃度はそれぞれ450℃,10
l/分,1×10-5モル分率、1×10-4モル分率である。第3
図のタイムチャートで1×10-3モル分率のアルシン、1
×10-4モル分率のトリメチルガリウムおよび濃度を変え
た塩化水素を1秒間隔で交互に基板上に導入し、3600サ
イクル繰り返した後の成長膜厚および成長表面の表面欠
陥の密度を測定した。成長膜厚は導入する塩化水素の濃
度によらず1.02μmの一定値を保つ。この値は1サイク
ルの値に換算すること2.83Åとなり、これはGaAsの1分
子層の厚さに相当する。表面欠陥密度は第7図に示すよ
うに塩化水素の導入によって減少する。すなわちTMG導
入後、塩化水素を流さずにアルシンを導入した場合の表
面欠陥密度は約600cm-2であるが、TMG導入の後、5×10
-5モル分率以下の濃度の塩化水素を1秒導入することに
よって表面欠陥は減少する。塩化水素の濃度1×10-4
ル分率以上では表面欠陥密度は約100cm-2にまで減少
し、一定の値となる。従って塩化水素の濃度は1×10-4
モル分率以上であることが望ましい。
第2図の装置に示した加熱装置によって成長温度(基板
温度)を変化させ、その成長量への影響を調べた。水素
流量10l/分、常時流すアルシンの濃度1×10-5モル分
率、間欠的に流すアルシンの濃度1×10-3モル分率、ト
リメチルガリウムの濃度1×10-4モル分率、塩化水素の
濃度1×10-4モル分率、それらの各サイクルにおける導
入の時間は第3図のタイムチャートにおいて各1秒とし
た。3600サイクル繰り返した後の成長量を第8図に示
す。成長温度300℃では成長が確認できず、350℃をこえ
ると成長厚は1μm近くなり、400℃付近から600℃ま
で、1サイクル当りの成長量はGaAsの単分子層の厚さに
相当する1.02μmを保ち、成長温度が600℃をこえると
成長量は減少する。したがって望ましい成長温度は400
〜600℃である。
第3図のタイムチャートにおいて、t4は余分の塩化水素
をパージする期間であるが省略することもできる。また
逆に第2の濃度のアルシン導入(t1)後およびトリメチ
ルガリウム導入(t3)後にそれぞれのパージ期間を設
け、水素によって第1の濃度に希釈された微量のAsH3
みを流すことも可能である。
第9図は成長面にGaAsの(100)面を用い、成長温度450
℃、水素流量10l/分、常時流すアルシンの濃度1×10-5
モル分率とし、1×10-3モル分率のアルシンの1秒導
入、1×10-4モル分率のトリメチルガリウムの1秒導
入、1×10-4モル分率の塩化水素の1秒導入,1秒停止を
1サイクルとし、3600サイクル繰り返した時のGaAsの成
長厚さを基板の長さ方向に沿って、測った結果である。
測定はへき開面の走査電顕観察によった。
成長厚は均一で基板全面にわたって均一な成長層が得ら
れている。また1サイクルあたりの成長量は2.83A°と
なり、GaAsの単分子層成長が実現していることを示して
いる。第10図は第9図に示した例と同一条件での成長厚
のサイクル数依存性を示した図であるが、成長厚はサイ
クル数に比例し、この図からも1サイクルあたりの成長
量が2.83Åと見積られ、単原子層の形成による単分子層
成長であることを示している。
成長層の電気特性から得られるキャリア濃度はpタイプ
1017cm-3で、従来の方法に比べ2桁近い純度の向上が観
察された。これは成長過程が常にAsH3雰囲気に覆われて
いるために、結晶からのAs抜けがなく、従って炭素アク
セプタを受入れるAs空孔が生じないこと、さらに加えて
トリメチルガリウムの熱分解により生成するメチルラジ
カルが、(1)式のように水素により還元されてメタン
になり、結晶にとりこまれにくいことを示している。
トリメチルガリウムのかわりにトリエチルガリウムを用
いることにより、成長層の電気的特性はnタイプ1014cm
-3となり、さらに純度が向上する。トリエチルガリウム
の場合は の反応によってエチレンが副生し、本質的に炭素が結晶
にとりこまれにくく、メチル系金属化合物を用いる場合
より、さらに高純度の成長層が得られる。
本発明の方法による表面欠陥の減少効果について述べ
る。先に述べたようにトリメチルガリウムを流す過程
で、一部にGa-Gaの2層構造を生ずる。塩化水素を流さ
ずにこの上にアルシンを流してAs層を形成すると、第2
層のGaはAsの位置にあるので、逆位置欠陥(anti-site
defect)となり、深い準位を形成する。またこの欠陥か
ら異常欠陥が生じ、表面欠陥として観察される。基板温
度450℃,水素流量10l/分,常時流すアルシンの濃度1
×10-5モル分率,トリメチルガリウムの濃度1×10-4
ル分率、アルシンの濃度1×10-3モル分率とし、トリメ
チルガリウムと高濃度のアルシンを1秒間隔で交互に72
00サイクル導入して得られたGaAsエピタキシャル層(膜
厚2.03μm)で観察された表面欠陥を第11図(A)−
(C)に示す。第11図(A)はエピタキシャル成長層表
面の光学顕微鏡写真(倍率811倍)、同図(B)はへき
開断面の光学顕微鏡写真(倍率2040倍)であり、同図
(C)は同図(B)の説明図である。
この表面欠陥はオーバルディフェクト(ovaldefect)と
呼ばれ、逆位置欠陥をもとにした異常成長によって生じ
たものである。
トリメチルガリウムの導入後に、塩化水素を導入すると
Ga-Gaの2層構造の第2層のGaが塩素と結合し、2層構
造が断たれるので、表面欠陥数および深い準位は減少す
る。第12図に、基板温度を変化させた以外第11図につい
て説明したと同じ方法、すなわちトリメチルガリウム導
入後に塩化水素を導入しない方法(A)、および他の条
件は同じで、トリメチルガリウム導入後に1×10-4モル
分率の塩化水素の1秒導入を加えた方法(B)で成長さ
せたGaAsエピタキシャル層の表面欠陥密度を比較して示
す。表面欠陥密度は光学顕微鏡による観察で測定した。
図から明らかなように、塩化水素を導入して成長させた
GaAs層の表面欠陥数は、全成長温度範囲にわたって、塩
化水素を導入しない場合の表面欠陥数の1×10-3または
それ以下であり、成長温度が600℃以上まで表面欠陥数
が増加しない特徴がある。
この表面欠陥と関連している深い準位はエピタキシャル
GaAs層中の少数キャリアを捉え、そのライフタイムを短
くするので、フォトルミネッセンス強度を減少させる。
第13図に塩化水素を導入しない場合(A)および導入し
た場合(B)に、それぞれ得られたGaAs膜に室温でアル
ゴンイオンレーザを照射した時のフォルトミネッセンス
強度を示す。GaAs層の成長条件は第12図の場合と同じで
ある。フォトルミネッセンス強度はキャリア濃度で規格
化して示してある。縦軸は相対強度で示し、現在得られ
るエピタキシャルGaAs成長層の中で、結晶性が最も良い
と考えられている液相エピタキシャル法で作製したGaAs
のフォトルミネッセンス強度を1としてある。図に見ら
れるように、塩化水素を導入すると、導入しない場合に
くらべ、約50倍以上のフォトルミネッセンス強度が得ら
れ、成長温度450℃以上では液相エピタキシャル相と等
しい値が得られる。これは本発明の方法によって得られ
たGaAs膜の結晶の完全性を示すものである。第14図に塩
化水素を導入して成長させたGaAsエピタキシャル層の4.
2Kにおけるフォトルミネッセンスペクトルの一例を示
す。成長条件は成長温度550℃で、その他は第11図につ
いて説明した条件と同じである。また成長温度600℃以
上までフォトルミネッセンス強度が1を保つことは、本
発明の方法を、発光素子,FETその他の半導体装置の製造
過程に組込む際、塩化水素を導入しない方法に比べて、
より大きな自由度を持つことを示すものである。
実施例2 GaAs以外のIII−V族化合物半導体薄膜を形成した。
原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(CH3)3Alおよび
アルシンAsH3を用い、AlAs基板(100)面上にAlAs薄膜
を成長させた。原料ガスの導入法は第3図のタイムチャ
ートにおけるTMGをトリメチルアルミニウムTMA(濃度1
×10-4モル分率)に換えただけで、AsH3,HClの濃度は等
しく、導入時間t1ないしt4はそれぞれ1秒とした。成長
温度450℃で3600サイクル繰り返した後の成長量は1.02
μmで、各サイクル毎にAlAsの単分子層が形成された。
GaPを形成させるには水素化物としてフォスフィンPH3
有機金属化合物としてトリメチルガリウムを用いればよ
い。PH3の第1の濃度1×10-5モル分率、第2の濃度1
×10-3モル分率,TMGの濃度1×10-4モル分率、塩化水素
の濃度1×10-4モル分率とし、AlAsの場合と同様にそれ
ぞれ1秒間隔でGaP基板(100)面上に3600サイクル成長
させた。成長温度450℃での成長量は0.98μmであり、
やはり各サイクル毎にGaPの単分子層が形成されてい
る。
トリメチルインジウム(CH3)3In(濃度1×10-4モル分
率)とスチビンSbH3(濃度1×10-5及び1×10-3モル分
率)を用い、成長温度450℃で、上述したGaPの場合と同
じ時間間隔でInSb基板(100)面上に3600サイクル成長
させた。成長量は1.17μmで、各サイクル毎にInSb単分
子層が形成されている。
その他同様にして(CH3)3AlとPH3を用いてAlP薄膜を、(C
H3)3AlとSbH3を用いてAlSb薄膜を、(CH3)3GaとSbH3を用
いてGaSb薄膜を、(CH3)3InとPH3を用いてInP薄膜を、(C
H3)3InとAsH3を用いてInAs薄膜を形成することができ
る。3600サイクル後の成長厚はAlPで0.98μm、AlSbで
1.10μm、GaSbで1.10μm、InPで1.06μm、InAsで1.0
9μmであった。いずれの場合にも成長は基板上均一に
行われ、V族元素の空孔はなく、炭素アクセプタも導入
されない。
これらの場合、GaAsの場合と同様、有機金属化合物とし
てトリエチルガリウム、トリエチルアルミニウム、トリ
エチルインジウムを使用すればより高純度の結晶が得ら
れる。
成長温度の効果、原料ガスの濃度の効果は実施例1の場
合と同様である。III族元素の導入の後の塩化水素の導
入によって、表面欠陥、深い準位が少なく、結晶性の良
好なIII−V族化合物が得られた。
実施例3 本発明はII-VI属化合物半導体にも適用できる。
有機金属化合物としてジメチル亜鉛(CH3)2Zn、水素化物
として硫化水素H2Sを用い、ZnS基板(100)面上にZnS薄
膜を形成した。成長温度450℃、水素キャリアガスの流
量10l/分、常時流すH2Sの濃度1×10-5モル分率、S単
原子層を形成するためのH2Sの濃度1×10-3モル分率、
(CH3)2Znの濃度1×10-4モル分率,塩化水素の濃度1×
10-4モル分率とし、第3図のタイムチャートと同様に1
秒間隔の導入を繰り返した。3600サイクル後の成長厚は
0.97μmで、1サイクル当りの成長厚はZnSの単分子層
に相当する。
ジメチル亜鉛(CH3)2ZnとH2Seを使用し、ZnSe基板(10
0)面上にZnSe薄膜を形成した。成長温度450℃、水素流
量10l/分、常時流すH2Seの濃度1×10-5モル分率、Se単
原子層を形成するためのH2Seの濃度1×10-3モル分率、
(CH3)2Znの濃度を1×10-4モル分率,塩化水素の濃度1
×10-4モル分率とし、1秒間隔で原料ガスの導入を行な
った。3600サイクル後の成長量は1.02μmで、1サイク
ル毎にZnSeの単分子層が形成された。
有機金属としてジメチル水銀(CH3)2Hgを、水素化物とし
てH2Seを使用し、HgSe基板(100)面上に、ZnSeの場合
と全く同様にHgSe薄膜を形成できる。3600サイクル成長
後の成長量は1.10μmであり、1サイクル毎にHgSeの単
分子層が形成されたことになる。
いずれの場合も成長は基板の全面で均一に行なわれ、VI
族原子の空孔発生、炭素不純物の取込みが少なく、高純
度の薄膜が得られる。(CH3)2Zn、(CH3)2Hgのかわりに(C
H2H5)2Zn、(C2H5)2Hgを使用すれば炭素不純物の侵入は
より少なくなる。
成長温度効果、原料ガスの濃度の効果は実施例1の場合
と同様である。II族元素導入後の塩化水素の導入によ
り、結晶性のよいII-VI族化合物半導体薄膜が得られ
た。
なお、実施例1ないし実施例3においては、基板に単結
晶を使用した例について述べているが、形成する化合物
半導体の種類および用途によっては、多結晶基板を使用
することもできる。
実施例4 第2図に示した装置を用い、Al0.5Ga0.5As混晶半導体薄
膜をGaAs基板の(100)面上に形成した。
水素流量を10l/分とし、常時1×10-5モル分率の濃度の
アルシンを流し、単原子層を形成する濃度1×10-3モル
分率のアルシンの1秒導入、それぞれ5×10-5モル分率
のトリメチルガリウム(TMG)とトリメチルアルミニウ
ム(TMA)の混合ガスの1秒導入、濃度1×10-4モル分
率の塩化水素の1秒導入,停止を繰返した。基板濃度を
450℃とし、3600サイクルの原料ガス導入を行った結
果、成長膜厚は1.02μmとなり、各サイクル毎にAl0.5G
a0.5Asの単分子層が形成される。TMGとTMAの混合ガス導
入後に塩化水素を導入することによって、表面欠陥の少
ない混晶化合物薄膜が得られた。
実施例5 第2図に示した装置を用い、原料ガスとしてアルシンAs
H3、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニ
ウム(TMA)を使用してAl0.5Ga0.5As-GaAs-Al0.5Ga0.5A
sのヘテロ構造の化合物半導体薄膜をGaAs基板の(100)
面上に形成した。
形成条件は水素流量10l/分、常時流すアルシン濃度1×
10-5モル分率、単原子層を形成するためのアルシン、TM
G、TMA,塩化水素の濃度はそれぞれ1×10-3モル分率、
1×10-4モル分率、1×-4モル分率,1×10-4モル分率で
ある。これらの原料ガスを、第15図(a)に示すタイム
チャートのように各1秒間隔のアルシン導入、TMG導
入、塩化水素導入、停止、アルシンの導入、TMA導入、
塩化水素の導入のサイクルを100サイクル継続し、次い
で同図(b)に示すアルシン導入、TMG導入、塩化水素
導入のサイクルを10サイクル行ない、さらに最初と同じ
サイクルを100サイクル繰り返した。
以上の操作により、第16図に示すようなヘテロ構造が作
製され、薄いGaAs層が量子井戸になる。
この量子井戸からの発光は波長710nm、半値幅6meVとヘ
テロ界面の1原子層の凹凸から予想される半値幅30meV
より極端に狭い半値幅を示し、ヘテロ界面の凹凸ははい
と判断できる。塩化水素の導入によってヘテロ界面の欠
陥が減少するので半値幅が狭く、また深い準位の減少に
より、発光効率が増加する。
またヘテロ界面を電子を走行する2次元電子ガス構造に
おいても、従来の方法では界面の凹凸により電子が散乱
を受け、移動度は理論値よりも低く抑えられていた。し
かし本発明により作製したヘテロ界面においては界面の
凹凸による散乱は皆無であり、特に塩化水素の導入によ
って界面の凹凸が減少するので、2次元電子ガス移動度
の大幅な向上が可能である。
さらに、単原子層の制御性を生かして、例えば第17図に
示すように規制的に原子が配列したAl0.25Ga0.5Asなど
の混晶の作製が可能となる。このように作製した混晶の
電気的・光学的特性は従来の同族原子が統計的にランダ
ムに配列した混晶の特性に比べ一段と優れた特性を示
す。たとえば従来の混晶では、伝導電子がランダムに配
列した原子により作り出されるポテンシャル場により散
乱され、移動度が低く抑えられていたが、規制的に原子
が配列した混晶では、ポテンシャル場が周期的になり、
移動度の大幅向上が可能になる。特にGa面およびAl面形
成後に塩化水素を導入することによって、ポテンシャル
場の乱れ効果的に防ぐことができる。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明においては、水素キャリア
ガスとともに微量のV族またはVI族元素を含む水素化物
を基板上に流しながら、水素で希釈されたIII族元素ま
たはII族元素を含む有機金属化合物と、水素で希釈され
たV族またはVI族元素を含む水素化物を交互に基板上に
導入し、基板上にIII族またはII族元素の単原子層とV
族またはVI族元素の単原子層を交互に形成し、III−V
族化合物またはII-VI族化合物半導体を分子層の積み重
ねとして形成する。本発明の方法においては、常にアル
シンなどの微量のV族またはVI族元素を含む水素化物を
流しておくので、AsなどのV族またはVI族元素の空孔の
発生が極めて少ない。また常時水素ガスを流しているの
で、水素の還元作用により、遊離したメチル基がメタン
となるので成長中に混入せず、炭素アクセプタが減少
し、高純度の成長層が得られる。この点については、有
機金属化合物としてエチル基を有するものを使用すると
一層改善される。
さらに本発明によれば、III族またはII族元素面形成時
に部分的に形成されるGa-Ga2層構造などの単原子層以上
の部分が、ハロゲン化水素の添加によって蒸気圧の高い
ハロゲン化物の形で容易に離脱するので、表面欠陥およ
び深い準位が著しい減少し、完全な結晶が得られる。ま
た成長速度が速く、成長のための時間は実用的に許され
る範囲にある。
また本発明の方法は、600℃以下の比較的低温度におけ
る薄膜形成法なので、他層への熱拡散が少なく、極めて
急峻なヘテロ構造が得られる。
本発明の方法によって形成したヘテロ構造の化合物半導
体はヘテロ界面に凹凸がなく、量子井戸発光は単一量子
準位からの発光なので半値幅が狭い利点がある。またヘ
テロ界面を電子が走行する際に界面の凹凸による散乱が
ない。
さらに本発明によれば規則混晶の作製を容易に行なうこ
とができる。
本発明によれば、基板の広い面積にわたって高純度の化
合物半導体を一様に形成でき、またヘテロ界面が原子的
に平均なヘテロ構造の化合物半導体、規則混晶の化合物
半導体が形成できるので、FETやレーザ素子などへ広く
応用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の作用を説明する図、 第2図は本発明に用いる装置の一例の概要を示す図、 第3図は原料ガス導入の一例としてのタイムチャート
図、 第4図は常時流すアルシンの濃度の効果を示す線図、 第5図はAs単原子層を形成するアルシンの濃度の効果を
示す線図、 第6図はトリメチルガリウムの濃度の効果を示す線図、 第7図は塩化水素の濃度の表面欠陥密度減少効果を示す
線図、 第8図は成長温度の成長量への影響を示す線図、 第9図は本発明方法によって成長させたGaAsの成長厚さ
の分布を示す図、 第10図はGaAs成長厚さの原料ガス導入サイクル依存性を
示す線図、 第11図(A),(B)(C)はそれぞれ塩化水素を導入
しない場合のGaAsエピタキシャル層の表面欠陥を示し、
同図(A)は表面の,同図(B)はへき開断面のそれぞ
れ金属組織を示す光学顕微鏡写真,同図(C)は同図
(B)の説明図、 第12図は塩化水素を導入しない場合および導入した場合
における成長層の表面欠陥密度と成長温度の関係を示す
線図、 第13図は塩化水素を導入しない場合および導入した場合
におけるフォトルミネッセンス強度と成長温度の関係を
示す線図、 第14図は本発明方法によって成長させたGaAsエピタキシ
ャル薄膜の一例のフォトルミネッセンススペクトラム
図、 第15図はヘテロ構造化合物半導体を形成するための原料
ガス導入の一例としてのタイムチャート図、 第16図は形成されたヘテロ構造を説明する図、 第17図は形成された規則混晶を説明する図、 第18図は従来の有機金属熱分解気相成長(MOCVD)法の
作用を説明する図、 第19図はMOCVD法による化合物半導体の成長厚の分布を
示す図、 第20図は従来の分子層エピタキシャル(MLE)法におけ
る原料元素導入のタイムチャート図、 第21図は従来の分子層エピタキシ(MLE)法の作用を説
明する図、 第22図はIII族元素とV族元素を交互に基板上に供給し
てエピタキシャル成長層を形成する方法のタイムチャー
トである。 1……基板、2……速度境面層、3……反応槽、4……
基板支持台、5……加熱装置、6……配管、7……制御
装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/205

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】III族またはII族元素を含む有機金属化合
    物およびV族またはVI族元素を含む水素化物を加熱され
    た基板上に輸送し、熱分解によってIII−V族またはII-
    VI族化合物半導体を基板上に成長させる化合物半導体薄
    膜形成法において、 第1のキャリアガスと共に、有機金属化合物と反応して
    III−V族化合物またはII-VI族化合物を形成しない第1
    の濃度に希釈されたV族またはVI族元素を含む水素化物
    を常時流しながら、 第2のキャリアガスによって前記第1の濃度より高い第
    2の濃度に希釈された前記水素化物を前記基板上に導入
    する過程と、 前記第2の濃度に希釈された水素化物の導入を停止する
    過程と、 第3のキャリアガスで希釈されたIII族またはII族元素
    を含む有機金属化合物を前記基板上に導入する過程と、 前記有機金属化合物の導入を停止し、第4のキャリアガ
    スによって希釈されたハロゲン化水素を導入する過程と を繰り返すことを特徴とする化合物半導体薄膜形成法。
  2. 【請求項2】前記第1ないし第4のキャリアガスがそれ
    ぞれ水素であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の化合物半導体薄膜形成法。
  3. 【請求項3】前記水素化物の第1の濃度が4×10-5モル
    分率以下であることを特徴とするる特許請求の範囲第1
    項または第2項記載の化合物半導体薄膜形成法。
  4. 【請求項4】前記水素化物の第2の濃度が1×10-3モル
    分率以上であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    または第2項記載の化合物半導体薄膜形成法。
  5. 【請求項5】前記有機金属化合物の希釈濃度が1×10-4
    モル分率以上であることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項または第2項記載の化合物半導体薄膜形成法。
  6. 【請求項6】前記ハロゲン化水素の濃度が1×10-4モル
    分率以上であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    または第2項記載の化合物半導体薄膜形成法。
  7. 【請求項7】前記ハロゲン化水素が塩化水素であること
    を特徴とする特許請求の範囲第6項記載の化合物半導体
    薄膜形成法。
  8. 【請求項8】前記基板の温度が400℃以上かつ600℃以下
    であることを特徴とする特許請求の範囲第1項または第
    2項記載の化合物半導体薄膜形成法。
  9. 【請求項9】前記有機金属化合物として、金属元素の異
    なる2種類の有機金属化合物を基板上に導入することを
    特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第8項のいずれ
    かに記載の化合物半導体薄膜形成法。
  10. 【請求項10】前記有機金属化合物が、エチル基を有す
    る有機金属化合物であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項ないし第9項のいずれかに記載の化合物半導体
    薄膜形成法。
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