JPH0786186A - II−VI族化合物半導体のp型薄膜を製造する方法 - Google Patents

II−VI族化合物半導体のp型薄膜を製造する方法

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JPH0786186A
JPH0786186A JP25096693A JP25096693A JPH0786186A JP H0786186 A JPH0786186 A JP H0786186A JP 25096693 A JP25096693 A JP 25096693A JP 25096693 A JP25096693 A JP 25096693A JP H0786186 A JPH0786186 A JP H0786186A
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nitrogen
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group
compound semiconductor
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Yasuyuki Nagao
康之 長尾
Kousuke Nishimura
公佐 西村
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Kokusai Denshin Denwa KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】有機金属気相成長法を用いて結晶性の優れたI
I−VI族化合物半導体のp型薄膜を成長することがで
きるII−VI族化合物半導体のp型薄膜を製造する方
法を提供する。 【構成】II族有機化合物原料と有機硫黄化合物または
有機セレン化合物の内少なくとも一方を含むVI族有機
化合物原料とを用いた有機金属気相成長法により、半導
体基板上に窒素を添加したII−VI族化合物半導体薄
膜を350℃未満の成長温度で成長し、該窒素を添加し
たII−VI族化合物半導体薄膜に550℃以上で該化
合物半導体薄膜の結晶性を損なわない温度範囲で5分間
以下の短時間の熱処理を施すことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫黄またはセレンの内
少なくとも一つを含む広禁制帯幅を有するII−VI族
化合物半導体のp型薄膜の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】亜鉛,カドミウム,マグネシウム等のI
I族元素と硫黄,セレン,テルル等のVI族元素との化
合物であるII−VI族化合物は、青・緑色発光素子材
料として盛んに研究・開発が行われている。これらの化
合物半導体の中で、特に禁制帯幅が広い硫化亜鉛(Zn
S)やセレン化亜鉛(ZnSe)およびこれらの結晶を
主成分とする混晶は、p型層を作製するのが困難であっ
たが、近年の薄膜製造技術の発達により可能になってき
た。II−VI族化合物半導体薄膜の製造方法として
は、主に2種類の方法が用いられている。一つは有機金
属気相成長法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:
MOVPE法)で、II族原料にジ・メチル亜鉛(DM
Zn)やジ・エチル亜鉛(DEZn)等の有機金属を、
VI族原料に水素化物ガスや有機化合物を用いて、気相
で輸送された原料を加熱された基板上で熱分解して反応
させ、成長させる方法である。もう一つの方法は分子線
蒸着法(Molecular Beam Epitaxy:MBE法)で、II
族及びVI族とも、亜鉛やセレンなどの単体金属又はZ
nS等の化合物の固体を原料とし、るつぼの中で加熱し
た原料の分子線を高真空中で基板に照射して成長させる
方法である。
【0003】これらの薄膜製造方法でp型のII−VI
族化合物半導体を得るためには、p型添加物(ドーパン
ト)となるリチウムやナトリウムなどI族元素または窒
素やリンなどのV族元素を結晶成長時に添加する必要が
ある。このようなI族元素またはV族元素をドーパント
とした広禁制帯幅II−VI族化合物半導体では、これ
までのところV族元素の窒素をドーパントに用いた場合
にのみ特性の安定したp型層が得られている。前記のI
I−VI族化合物半導体薄膜の製造方法の内、MBE法
ではプラズマで活性状態に励起した窒素分子をドーパン
トに用いる方法を組み合わせて、成長温度250℃以下
でp型層を成長することができる。MOVPE法では、
アンモニア、ジ・メチル・ヒドラジンやターシャリ・ブ
チル・アミン(tBNH2 )などの窒素化合物をドーパ
ントに用いて窒素添加が行われている。例えば、II族
原料とVI族原料にDEZnとDESe を用い、ドーパ
ント原料にはtBNH2 を用いて成長温度560℃で窒
素添加ZnSeの成長を行いp型膜が得られている。ま
た、成長中の結晶に光照射して原料の分解を促進する光
MOVPE法においても、II族原料とVI族原料にそ
れぞれDEZnとジ・メチル・セレン(DMSe)を用
い、ドーパント原料にtBNH2 を用いて、Xe ラン
プの光を照射しながら成長温度350℃で窒素添加Zn
Seの成長を行いp型膜が得られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】MOVPE法やMBE
法でII−VI族化合物半導体薄膜を成長する場合、一
般的にヒ化ガリウム(GaAs)などのIII−V族化
合物半導体が基板として使用される。これは、II−V
I族化合物半導体では構成元素の蒸気圧が高いため、蒸
気圧制御が困難であることなどの理由により、良好な結
晶性を有するII−VI族化合物半導体基板が容易に得
られないためである。しかし、薄膜の成長時間は通常1
時間から数時間に及ぶため、薄膜と基板の化合物が異種
の場合には、成長温度が高温になると基板と成長層の間
で元素の相互拡散が起こり、互いの半導体の中で不純物
となって結晶性や電気伝導性を劣化させる。また、II
−VI族化合物半導体はIII−V族化合物半導体より
も構成元素の蒸気圧が高く、イオン結合性も強いために
原子空孔や格子間原子あるいはII族原子がVI族原子
位置(またはその逆)を占めるアンチサイト等の固有欠
陥を生じ易い。この固有欠陥密度も、成長温度が高いほ
ど増加する。さらには、多重量子井戸構造のような超薄
膜の積層構造を作製する場合にも成長温度が高いと、組
成の異なる超薄膜間で元素の相互拡散が起こるため、界
面の急峻性が得られず所望の特性が得られない。また、
p型ドーパントとして添加する窒素は、成長温度が低い
ほど成長中の結晶表面への付着確率が高まるためドーピ
ング効率が向上する。従って、窒素ドーパント供給量が
少なくても良く、同時に供給するII族およびVI族原
料と気相中で有害反応を起こす可能性が低下して結晶性
の劣化要因が減る。
【0005】以上に述べたように、II−VI族化合物
半導体のp型薄膜の成長においては成長温度が低いほど
利点が多い。しかし、前記のMOVPE法においてtB
NH2 をドーパント原料に用いた場合だけでなく、アン
モニアやジメチル・ヒドラジンを用いても、成長温度が
500℃以下では膜が高抵抗になってしまい実用的な正
孔濃度のp型膜が得られない。この理由は、窒素ドーパ
ント原料が結合力の非常に強い窒素−水素結合を持つ化
合物であるために結合の切断が不完全なまま結晶中に取
り込まれてしまうこと、および、窒素と水素が結合した
状態の方が結晶中に取り込まれ易いことなどによって水
素が窒素の電荷を補償するためと考えられている。した
がって、MOVPE法では窒素−水素結合を切断するの
に十分な熱エネルギーを供給できる場合、すなわち成長
温度が高い場合にだけp型膜が得られている。
【0006】本発明は、上述した従来技術の問題点を解
決するためになされたものであり、MOVPE法を用い
て結晶性の優れたII−VI族化合物半導体のp型薄膜
を成長することができるII−VI族化合物半導体のp
型薄膜を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明のII−VI族化合物半導体のp型薄膜を製
造する方法は、II族有機化合物原料と有機硫黄化合物
または有機セレン化合物の内少なくとも一方を含むVI
族有機化合物原料とを用いたMOVPE法により、半導
体基板上に窒素を添加したII−VI族化合物半導体薄
膜を350℃未満の成長温度で成長し、該窒素を添加し
たII−VI族化合物半導体薄膜に550℃以上で該化
合物半導体薄膜の結晶性を損なわない温度範囲で5分間
以下の短時間の熱処理を施すことを特徴とする。本発明
おいて用いるVI族有機化合物原料には、tBSHまた
はtBSeH等がある。
【0008】
【作用】MOVPE法で窒素添加II−VI族化合物半
導体薄膜の結晶成長において、1時間〜数時間の長い時
間を要する結晶成長を350℃未満の低温で行うことに
より、高濃度の窒素添加が容易になるとともに、基板あ
るいは他の成長層との間の元素相互拡散や固有欠陥の少
ない結晶性の優れたII−VI族化合物半導体薄膜が得
られる。結晶中での元素の拡散や欠陥の生成は、いずれ
も構成元素が熱エネルギーを得て移動する現象である
が、結晶中の欠陥が少ないほど元素の移動経路が減少す
るために元素の拡散や欠陥生成が起こりにくくなる。よ
って、低温成長で得られた結晶性の優れたII−VI族
化合物半導体薄膜を成長温度より高温で熱処理しても、
成長時間と比較して短時間の熱処理であれば元素の相互
拡散や新たな固有欠陥の生成は少ない。また、結晶中の
窒素と水素の結合の強さは、550℃以上で切断が可能
な程度である。したがって、550℃以上で750℃以
下程度の温度範囲で5分間以下の短時間の熱処理を施す
ことにより、結晶性を損なうことなく薄膜中の窒素−水
素結合を切断することができ、II−VI族化合物半導
体のp型薄膜を得ることが可能となる。
【0009】
【実施例1】以下に図面を用いて本発明を詳細に説明す
る。図1は本発明の方法によるII−VI族化合物半導
体のp型薄膜の製造に用いるMOVPE装置の一例を示
した、硫化セレン化亜鉛カドミウム(Znx Cd1-x
y Se1-y:0≦x≦1,0≦y≦1)のMOVPE装置
である。図において、1は有機金属原料ガスのキャリア
ガスとなる高純度水素ガスボンベ、2は高純度窒素ガス
ボンベ、3は窒素供給配管、4はプラズマ活性化室、5
は高周波コイル、6は高周波電源、7は窒素プラズマ、
8は成長室、9はGaAs基板、10は有機金属原料ガ
ス導入管、11はオリフィス、12は基板加熱用炭素製
サセプタ、13は真空排気装置、31〜37は流量制御
器、41は亜鉛原料(例えばDEZn)、42はカドミ
ウム原料(例えば、ジ・メチル・カドミウム:DMC
d)、43はセレン原料(例えば、ターシャリ・ブチル
・セレノール:tBSeH)、44は硫黄原料(例え
ば、ターシャリ・ブタン・チオール:tBSH)、51
〜60は原料流路切り替えバルブである。なお、本図面
では、簡略化のため本発明に関連する部分のみを図示し
てあり、通常MOVPE装置に備えられている圧力計や
バルブなどの機器は一部省略されている。
【0010】本装置では、高純度水素ガスボンベ1から
供給される水素ガスを流量制御器33〜36で所定の流
量に調節し、有機金属原料41〜44をバブリングする
ことにより有機金属原料ガスを成長室8に輸送する。輸
送した有機金属原料ガスを、成長室8の上流側に配置し
た有機金属原料ガス導入管10から基板加熱用炭素製サ
セプタ12で加熱されたGaAs基板9に向けて吹き付
けると、GaAs基板9付近で有機金属原料ガスが熱分
解しGaAs基板9上にII−VI族化合物の結晶が成
長する。ここで、成長温度はII族有機原料よりも一般
に熱分解温度が高いVI族有機原料を十分に熱分解でき
る温度が下限となるが、tBSeHやtBSHを用いる
と1μm /h 程度の実用的な成長速度を350℃未満の
温度で得ることが可能である。高純度窒素ガスボンベ2
から供給される窒素ガスを流量制御器37で流量調節
し、窒素ガス配管3を通してプラズマ活性化室4に導入
する。ここで、活性化室4内の圧力はプラズマの発生が
容易な数十Torr以下に保つ。高周波電源6から高周
波コイル5に高周波電力を供給しプラズマ活性化室4内
に窒素プラズマ7を発生させ、窒素分子を活性な状態に
励起する。この活性窒素分子をオリフィス11を通して
成長室8に導きGaAs基板9に向けて吹き付ける。M
OVPE装置で常用される成長室内の圧力は数十Tor
r〜大気圧であるが、そのような成長室圧力では活性状
態窒素の大半が、オリフィス11からGaAs基板9に
到達する前に他のガス分子と衝突して再び不活性な状態
に戻る。よって、他のガス分子との衝突を減少させるた
めに成長室8内の圧力を活性化室4内より低い数Tor
r以下にする。成長室8内で他のガス分子と衝突しなか
った窒素分子は、活性状態のままGaAs基板9に到達
するが、GaAs基板9表面に吸着している雰囲気の水
素と結合して成長中のII−VI族化合物の結晶中に取
り込まれる。このように350℃未満の低温度で成長す
ることによりZnCdSSeの薄膜に高濃度の窒素を添
加することが可能となり、また、基板あるいは他の成長
層との間の元素相互拡散や固有欠陥が少ない結晶性の良
い薄膜が得られるが、窒素とともに取り込まれた水素が
ドーパントである窒素の電荷を補償しているため熱処理
前は高抵抗である。
【0011】成長した薄膜を図1のMOVPE装置から
取り出し、その表面に熱処理時に薄膜表面から構成元素
が蒸発するのを防ぐために二酸化シリコン(SiO2
保護膜を0.1μm 程度以上の厚さに堆積する。さら
に、SiO2 膜で表面を保護したZnCdSSe薄膜
を、図2に示すような加熱部の熱容量を小さくして昇温
・降温速度を高めた熱処理炉に導入する。ここで、10
0は炉壁、101は雰囲気ガスのボンベ(例えば窒素ガ
ス)、102は排気口、103はヒーター、104は温
度調節器、105は試料台、106は熱処理を施す試料
である。ヒーター103で加熱されるのは試料台105
と試料106だけであるため、熱処理炉の昇温・降温速
度を昇温・降温に要する時間が熱処理時間と同程度かそ
れより短くなるような速度に高めることができる。この
熱処理炉で、温度550℃以上で750℃以下の温度範
囲で5分間以下の熱処理を施すことにより、結晶性を損
なうことなく薄膜中の窒素−水素結合を切断することが
可能で、II−VI族化合物半導体のp型薄膜を得るこ
とができる。熱処理温度が750℃を越えると、保護膜
で被っていない基板からの元素の蒸発が激しくなる。こ
れを防止するために熱処理時間を短くすると、再現性が
劣るなどの問題を生ずる。なおZnCdSSeは、レー
ザ用半導体の材料として将来有望な材料として評価して
いる。
【0012】
【実施例2】図3は本発明の方法によるII−VI族化
合物半導体のp型薄膜の製造に用いるMOVPE装置の
一例を示した、ZnCdSSeのMOVPE装置であ
る。20は窒素ドーパント原料供給配管、21は配管加
熱用ヒータ、45は窒素ドーパント原料(例えばtBN
2 )であり、その他の構成要素は図1と同じである。
有機金属原料41〜44のガスを成長室8に導入してG
aAs基板9上にII−VI族化合物の結晶を成長させ
る方法は実施例1と同じであり、VI族有機原料にtB
SeHやtBSHを用いると350℃未満での成長が可
能である。高純度窒素ガスボンベ2から供給される窒素
ガスを流量制御器37で調節し、窒素ドーパント原料4
5をバブリングすることにより窒素ドーパント原料ガス
を窒素ドーパント原料供給配管20に導く。窒素ドーパ
ント原料の分解温度は、一般に本発明で用いる成長温度
よりも高いため、窒素ドーパント原料供給配管20内で
配管加熱用ヒータ21によって成長温度以上の高温で熱
分解して後反応炉8に供給する。例えば、窒素ドーパン
ト原料45がtBNH2 の場合には熱分解温度として6
00℃〜800℃程度が適当である。熱分解された窒素
ドーパントは、反応炉8内で有機金属原料ガスと混合さ
れるため雰囲気に存在する水素とある程度反応してしま
うが、GaAs基板9に到達して成長中のII−VI族
化合物の結晶中に取り込まれる。このように350℃未
満の低温度で成長することによりZnCdSSeの薄膜
に高濃度の窒素を添加することが可能となり、また、基
板あるいは他の成長層との間の元素相互拡散や固有欠陥
が少ない結晶性の良い薄膜が得られるが、窒素とともに
取り込まれた水素がドーパントである窒素の電荷を補償
しているため熱処理前は高抵抗である。この窒素添加Z
nCdSSe薄膜を図2に示した熱処理炉を用いて実施
例1と同様の方法で熱処理することにより、結晶性を損
なうことなく薄膜中の窒素−水素結合を切断することが
可能で、II−VI族化合物半導体のp型薄膜を得るこ
とができる。
【0013】
【実施例3】実施例1および2ではII−VI族化合物
半導体としてZnCdSSeの場合を示したが、硫黄ま
たはセレンをVI族元素の主成分として含むII−VI
族化合物半導体であれば本発明を適用することができ
る。例えば、II族元素としてマグネシウム(Mg)、
水銀(Hg)などを、また、VI族元素としてテルル
(Te)などを含んでも、VI族元素の主成分として硫
黄またはセレンを含んでいればよい。また、窒素の添加
方法として実施例1では、プラズマで活性状態に励起し
た窒素分子をドーパントに用いた場合を、実施例2では
tBNH2 をドーパント原料に用いた場合を示したが、
本発明はこれらに限らない。例えば、アンモニア、トリ
・メチル・アミンやジ・メチル・ヒドラジン等の有機化
合物をドーパント原料に用い熱分解して供給する方法で
も同様の効果は得られる。
【0014】
【発明の効果】図4は図1の装置を用いた時の、熱処理
温度、熱処理時間と窒素添加ZnSe薄膜の正孔濃度の
関係を示したものである。基板にクロム・酸素ドープの
半絶縁性(100)GaAs上に成長温度300℃、成
長室8内の圧力1Torr、DEZn流量5μmol/
min、tBSeH流量50μmol/min、活性化
室4内の圧力8Torr、高周波電力200Wで窒素添
加ZnSe薄膜の成長を行った場合である。このときの
ZnSe薄膜の成長速度は1μm/hであり、二次イオ
ン質量分析で求めた膜中の窒素濃度は1×1018cm-3
あった。膜厚3μmの窒素添加ZnSe薄膜の表面をS
iO2 膜で保護して温度550℃、600℃および70
0℃で熱処理した後、SiO2 膜を除去して正孔濃度を
測定した。ここで、熱処理時の昇温時間は約3分とし、
所定の熱処理温度に保持した時間を熱処理時間とした。
図4に示したように熱処理温度を高く、また熱処理時間
を長くした方が高い正孔濃度が得られる傾向を示すが、
熱処理時間が最適値を越えて長くなると結晶性が劣化し
て再び正孔濃度は減少してしまう。
【0015】図5は図1に示した装置を用いて成長した
窒素添加ZnSe薄膜の、熱処理前と700℃で2分熱
処理した後の、液体ヘリウム温度におけるホトルミネセ
ンススペクトルを示したものであり、横軸はホトルミネ
センスの光子エネルギー、縦軸はホトルミネセンスの強
度である。成長条件は、図4の場合と同様である。図よ
り熱処理前でも熱処理後でも、結晶の欠陥によって生成
される禁制帯中の深い準位に関係した光子エネルギー
2. 5eV以下のホトルミネセンスは極めて弱く、本発
明による窒素添加ZnSe薄膜の結晶性が良好であり、
また熱処理によっても劣化しないことを示している。ま
た、光子エネルギー2. 6eV〜2. 7eVのホトルミ
ネセンスは、薄膜中に残留している不要な浅いn型不純
物原子から浅いp型添加物原子(窒素原子)への遷移に
基づくものであるが、熱処理前と比較して熱処理後には
弱くなっており、p型添加物原子を電荷補償して膜を高
抵抗化するn型不純物原子の実効密度が低下しているこ
とを示している。
【0016】同様に図3の装置を用い、クロム・酸素ド
ープの半絶縁性(100)GaAs基板上に成長温度3
00℃、成長室8内の圧力300Torr、DEZn流
量10μmol/min、tBSeH流量20μmol
/min、tBNH2 流量40μmol/min、tB
NH2 の熱分解温度750℃で窒素添加ZnSe薄膜の
成長を行った。このときのZnSe薄膜の成長速度は
1. 1μm/hであり、二次イオン質量分析で求めた膜
中の窒素濃度は1×1018cm-3であった。膜厚3μmの
窒素添加ZnSe薄膜の表面をSiO2 膜で保護して温
度600℃で1分間熱処理した後、SiO2 膜を除去し
て測定した正孔濃度は1016cm-3台の値であった。
【0017】以上に述べたように、本発明によりMOV
PE法を用いて350℃未満の成長温度で成長し、簡単
な熱処理により結晶性の優れた窒素添加II−VI族化
合物半導体のp型薄膜を得ることできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によるII−VI族化合物半導体
のp型薄膜の製造に用いるMOVPE装置の一例を示し
た、ZnCdSSeのMOVPE装置の系統図である。
【図2】本発明の方法によるII−VI族化合物半導体
のp型薄膜の製造に用いる熱処理炉の一例を示した系統
図である。
【図3】本発明の方法によるII−VI族化合物半導体
のp型薄膜の製造に用いるMOVPE装置の一例を示し
た、ZnCdSSeのMOVPE装置の系統図である。
【図4】本発明の方法による窒素添加p型ZnSe薄膜
の熱処理温度,熱処理時間と正孔濃度との関係を示す特
性図である。
【図5】本発明の方法による窒素添加p型ZnSe薄膜
(熱処理後)と熱処理前の高抵抗ZnSe薄膜の液体ヘ
リウム温度におけるホトルミネセンススペクトル特性図
である。
【符号の説明】
1 高純度水素ガスボンベ 2 高純度窒素ガスボンベ 3 窒素供給配管 4 プラズマ活性化室 5 高周波コイル 6 高周波電源 7 窒素プラズマ 8 成長室 9 GaAs基板 10 有機金属原料ガス導入管 11 オリフィス 12 基板加熱用炭素製サセプタ 13 真空排気装置 14 窒素ドーパント原料供給配管 21 配管加熱用ヒータ 31〜37 流量制御器 41 亜鉛原料(例えばジエチル亜鉛) 42 カドミウム原料(例えばジメチルカドミウム) 43 セレン原料(例えばターシャリ・ブチル・セレノ
ール) 44 硫黄原料(例えばターシャリ・ブタン・チオー
ル) 45 窒素ドーパント原料 51〜60 原料流路切り替えバルブ 100 炉壁 101 雰囲気ガス(例えば窒素ガス) 102 排気口 103 ヒーター 104 温度調節器 105 試料台 106 熱処理を施す試料

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 II族有機化合物原料と有機硫黄化合物
    または有機セレン化合物の内少なくとも一方を含むVI
    族有機化合物原料とを用いた有機金属気相成長法によ
    り、半導体基板上に窒素を添加したII−VI族化合物
    半導体薄膜を350℃未満の成長温度で成長し、該成長
    後に該窒素を添加したII−VI族化合物半導体薄膜に
    550℃以上で該化合物半導体薄膜の結晶性を損なわな
    い温度範囲で5分間以下の短時間の熱処理を施すことを
    特徴とするII−VI族化合物半導体のp型薄膜を製造
    する方法。
  2. 【請求項2】 前記有機硫黄化合物としてターシャリ・
    ブタン・チオールを用いることを特徴とする請求項1に
    記載のII−VI族化合物半導体のp型薄膜を製造する
    方法。
  3. 【請求項3】 前記有機セレン化合物としてターシャリ
    ・ブチル・セレノールを用いることを特徴とする請求項
    1に記載のII−VI族化合物半導体のp型薄膜を製造
    する方法。
  4. 【請求項4】 前記II−VI族化合物半導体が硫化セ
    レン化亜鉛カドミウムであることを特徴とする請求項1
    に記載のII−VI族化合物半導体のp型薄膜を製造す
    る方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019522106A (ja) * 2016-05-13 2019-08-08 ナノコ テクノロジーズ リミテッド 二次元材料を製造するための化学蒸着方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019522106A (ja) * 2016-05-13 2019-08-08 ナノコ テクノロジーズ リミテッド 二次元材料を製造するための化学蒸着方法

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