JPH078567U - 点火用放電ギャップ手段 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 その苛酷な使用条件下に耐える、信頼性のあ
る、補助電極を持った点火用放電ギャップ手段を提供す
ることである。 【構成】 例えば、第１の点火プラグ（２）の中心電極
（４）と外側電極を持たない第２の点火プラグ（３）の
中心電極（６）を燃焼室（７）内で対向させて１対の放
電電極を形成し、前記第１の点火プラグ（２）の外側電
極（５）を補助電極としたことを特徴としている。この
ことによって、従来の、耐久性、信頼性のある点火プラ
グをそのまま利用できるので、その目的を果たすことが
できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【技 術 分 野】

本考案は、ギャップ長の割に絶縁破壊電圧（要求電圧）が従来より小さくて済 む点火用放電ギャップ手段に関する。このため、着火性能の向上のためにそのギ ャップ長を長くしても従来ほど絶縁破壊電圧は大きくならない。その利用分野と しては、例えば、各種燃料の点火はもちろん、特に希薄燃焼型ガソリン・エンジ ン、スパーク・アシスト型ディーゼル・エンジン、、ジェット・エンジン、ロケ ット・エンジン等、強力な火種が必要な分野などがある。

【０００２】

【背 景 技 術】

点火プラグの最も基本的な機能である飛火現象は、火花放電特性とか、絶縁破 壊電圧などで表現され、できるだけ低い電圧で放電することが望まれる。あるい は、同じ絶縁破壊電圧でもできるだけギャップ長を長くすることが着火性能向上 の面から望まれる。一方、絶縁破壊電圧を安定化させるために補助電極を近くに 設けた電極とそうでない電極を対向させた３針電極が古くから知られている。こ れを利用して点火ノイズ（電磁波障害）低減のためディストリビュータのロータ ー電極か固定電極の一方の近くに補助電極を設けて絶縁破壊電圧を小さくするこ とも知られている。この場合、接着剤などの方法でローター電極か固定電極の一 方の電極表面に絶縁体が固着され、さらにその絶縁体表面に補助電極が固着され る。この補助電極構成方法を点火プラグに応用すれば、その中心電極か外側電極 の一方の電極表面に絶縁体が固着され、さらにその絶縁体表面に補助電極が固着 されることになる。

【０００３】

【問 題 点】

しかしながら、この絶縁破壊電圧を低減する方法を点火プラグに利用しようと すると、その苛酷な使用条件下に耐える、信頼性のある、補助電極を持った点火 用放電ギャップ手段を構成することができない、という問題点がある。これは、 その苛酷な使用条件下に耐える、信頼性のある、補助電極の絶縁固着方法がまだ 確立されていない、からである。 例えば、点火プラグに使われる絶縁体は、高電圧に耐える電気絶縁性、爆発吸 入時の急熱急冷の熱サイクルに耐える耐熱衝撃性、ガソリン、アルコール等の燃 料、オイルに添加されている化合物に対する耐腐食性など、電気的および熱的に 優れた特性が求められる。一方、電極の方も、絶縁破壊電圧が低く、かつ長時間 使用しても絶縁破壊電圧の上昇が少ない耐久性、爆発時の高温度を速やかに逃が す熱伝導性、鉛化合物に耐える耐食性などが求められる。従って、補助電極、こ れを絶縁する絶縁体、及び、これらの固着手段にもその様な事が求められる。

【０００４】

【考 案 の 目 的】

そこで、本考案は、その苛酷な使用条件下に耐える、信頼性のある、補助電極を 持った点火用放電ギャップ手段を提供することを目的としている。

【０００５】

【考 案 の 開 示】

即ち、本考案は、第１の点火プラグの中心電極と外側電極を持たない第２の点 火プラグの中心電極を燃焼室内で対向させて１対の放電電極を形成し、前記第１ の点火プラグの外側電極を補助電極とした点火用放電ギャップ手段である。 又は、本考案は、第１、第２の点火プラグ両方の中心電極を燃焼室内で対向さ せて１対の放電電極を形成し、前記各点火プラグの外側電極を補助電極とした点 火用放電ギャップ手段である。 又は、本考案は、外側電極を持たない第１、第２の点火プラグ両方の中心電極 を燃焼室内で対向させて１対の放電電極を形成し、前記燃焼室の内壁から少なく とも一方の前記中心電極の近辺に導電性の突起物を設けて補助電極とした点火用 放電ギャップ手段である。

【０００６】 このことによって、前記両点火プラグの中心電極が１対の放電電極を形成し、 一方または両方の前記外側電極がその補助電極となり、前記各点火プラグ中にあ る絶縁体がこれら３つの電極それぞれを絶縁する。あるいは、その補助電極に関 して、燃焼壁にボルトをネジ止めする等してその内壁に突起物を簡単に構成する ことができるので、この導電性の突起物がその補助電極となる。 その結果、従来の点火プラグが持つ、耐久性、信頼性のある絶縁固着手段、方 法をそのまま利用できるので、本考案の点火用放電ギャップ手段は苛酷な使用条 件下に耐え、信頼性のあるものとなる、という効果が本考案にある。 尚、３針電極と同様な作用により本考案の点火用放電ギャップ手段は、そのギ ャップ長の割に両放電電極間の絶縁破壊電圧が従来より小さくなる。

【０００７】

【考案を実施するための最良の形態】

本考案をより詳細に説明するために以下添付図面に従ってこれを説明する。図 １の実施例は、請求項１記載の点火用放電ギャップ手段に対応し、クサビ形を変 形した燃焼室７と本考案を組み合わせたものである。図中、１は点火装置、８は バルブ、９はシリンダー・ヘッド、１０はピストンである。点火プラグ２、３が 前述第１、第２の点火プラグに相当し、中心電極４、６が１対の放電電極を形成 し、２つの外側電極５がその補助電極となる。 その結果、従来の点火プラグが持つ、耐久性、信頼性のある絶縁固着手段、方 法をそのまま利用しているので、この実施例を含め、本考案の点火用放電ギャッ プ手段は苛酷な使用条件下に耐え、信頼性のあるものとなる。そして、３針電極 と同様な作用によりこの点火用放電ギャップ手段はそのギャップ長の割に両放電 電極間の絶縁破壊電圧が従来より小さくなる。

【０００８】 図２は簡略化した平面図で、１７は燃焼室、８、１８はバルブである。この実 施例はバスタブ形を変形した燃焼室１７と本考案を組み合わせたもので、請求項 １記載の点火用放電ギャップ手段に対応する。点火プラグ１２、１３が前述第１ 、第２の点火プラグに相当し、両軸がほぼ同一方向に並んでいる。点火装置、電 気配線などは省略されているが、図１の実施例の場合と同様である。尚、点火プ ラグ１２の代わりに後述する図４の点火プラグ３２、図６の点火プラグ５２又は 図７の点火プラグ６２を使うこともできる。

【０００９】 図３の実施例は半球形の燃焼室２７と本考案を組み合わせたもので、請求項１ 記載の点火用放電ギャップ手段に対応する。点火プラグ２２、２３が前述第１、 第２の点火プラグに相当する。ただし、外側電極２５が各中心電極２４、２６に 対して最適な位置に来る様に点火プラグ２２のネジ切り位置、締付けトルク、ガ スケットの厚さ、外側電極２５の固着位置などを管理する必要がある。

【００１０】 図４は簡略化した平面図である。この実施例はバスタブ形を変形した燃焼室３ ７と本考案を組み合わせたもので、請求項２記載の点火用放電ギャップ手段に対 応する。沿面放電型の点火プラグ３２、３３が前述第１、第２の点火プラグに相 当し、両軸がほぼ同一方向に並んでいる。点火装置、電気配線などは省略されて いるが、図１の実施例の場合と同様である。点火プラグ３２又は３３の代わりに 後述する図６の実施例で使われるタイプの沿面放電型の点火プラグ５２を用いて も構わない。

【００１１】 図５の実施例は、半球形の燃焼室４７と本考案を組み合わせたもので、請求項 ３記載の点火用放電ギャップ手段に対応する。点火プラグ４２、４３が前述の第 １、第２の点火プラグに、途中からネジが切ってあるボルト４５が前述の導電性 の突起物すなわち補助電極に、それぞれ相当する。この場合、図３の実施例の様 に外側電極２５の各中心電極２４、２６に対する位置に注意する必要は無い。尚 、各中心電極４４、４６の先端部を少し大きめの球状にすれば、点火プラグ４２ 、４３をもっと離して固着できるので、各軸を半円周方向と垂直にできる。

【００１２】 図６の実施例では、沿面放電型の点火プラグ５２と点火プラグ５３の位置関係 だけが示されている。図１の実施例の様な変形クサビ形燃焼室のエンジンに点火 プラグ５２、５３を固着しても良いし、図３の実施例の様な半球形燃焼室のエン ジンに点火プラグ５２、５３をほぼ９０度Ｖ字形に固着しても良い。あるいは、 これらの例において、図４の実施例で用いたタイプの沿面放電型の点火プラグ３ ２を点火プラグ５２の代わりに使うこともできる。

【００１３】 図７は点火プラグ６２の中心電極６４、外側電極６５部分の平面図、正面図で 、点火プラグ６２は図１の点火プラグ２や図２の点火プラグ１２を改良したもの である。外側電極６５の形に特徴がある。図１の点火プラグ２、図２の点火プラ グ１２又は図６の点火プラグ５２の代わりに点火プラグ６２を用いることができ る。

【００１４】 最後に、図１、図２、図４などの各実施例では２極型の点火プラグ２、１２、 ３２又は３３が使われているが、これらは３極型または４極型点火プラグでも構 わないし、図４又は図６の沿面放電型点火プラグでも構わない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例を示す図である。

【図２】本考案の第２の実施例を示す、簡略な平面図で
ある。

【図３】本考案の第３の実施例を示す図である。

【図４】本考案の第４の実施例を示す、簡略な平面図で
ある。

【図５】本考案の第５の実施例を示す図である。

【図６】本考案の第６の実施例の一部を示す図である。

【図７】本考案に使う、改良した点火プラグ６２を示す
平面図と正面図である。

【符 号 の 説 明】

１ 点火装置 ３ （外側電極を持たない）点火プラグ ４、６ 中心電極 ５ 外側電極（接地電極） ７、１７、２７、３７、４７ 燃焼室 ８、１８ バルブ ９、２９、４９ シリンダー・ヘッド １０、２０、４０ ピストン ３２、３３ （沿面放電型の）点火プラグ ４５ ボルト ５２ （沿面放電型の）点火プラグ ６２ 点火プラグ ６４ 中心電極 ６５ 外側電極

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１の点火プラグの中心電極と外側電極
   を持たない第２の点火プラグの中心電極を燃焼室内で対
   向させて１対の放電電極を形成し、前記第１の点火プラ
   グの外側電極を補助電極としたことを特徴とする点火用
   放電ギャップ手段。
2. 【請求項２】 第１、第２の点火プラグ両方の中心電極
   を燃焼室内で対向させて１対の放電電極を形成し、前記
   各点火プラグの外側電極を補助電極としたことを特徴と
   する点火用放電ギャップ手段。
3. 【請求項３】 外側電極を持たない第１、第２の点火プ
   ラグ両方の中心電極を燃焼室内で対向させて１対の放電
   電極を形成し、前記燃焼室の内壁から少なくとも一方の
   前記中心電極の近辺に導電性の突起物を設けて補助電極
   としたことを特徴とする点火用放電ギャップ手段。