JPH078549U - 循環式気化器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 傾斜時に油面の低下が少なく、燃料供給量が
減少せず、しかも大きな傾斜時でもメインジェットが油
面上に露出しない循環式気化器を提供する。 【構成】 燃料室16の側部にリターン通路25が設けられ
る循環式気化器において、前記燃料室の空気量が燃料室
全体の容積の１／３以下になるように燃料室の上壁32を
油面に近接させるとともに、前記燃料室の上壁32と堰26
との間に形成されるオーバーフロー通路33を介してのみ
燃料室とエアベント通路30を連通させる。気化器がリタ
ーン通路側へ所定以上傾斜すると燃料室内の燃料により
オーバーフロー通路が塞がれ、エアベント通路からの燃
料室への空気の流入がなくなるため、燃料室内の燃料が
流出せず、油面が低下しない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は刈払機、耕運機、動力噴霧器、等の小型エンジンに使用される循環式 気化器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、循環式気化器は気化器ボデーとチャンバーケースとで燃料室を形成し、 この燃料室の側部にリターン通路を設けるとともに燃料室とリターン通路の間に 堰を設け、燃料ポンプから送給された燃料を前記堰からオーバーフローさせるこ とにより、燃料室に一定油面を形成し、このオーバーフローした燃料をリターン 通路を経て燃料タンクに戻している。また、気化器ボデーには前記燃料室上部お よびリターン通路の空気層に接続するエアベント通路が設けられている。

【０００３】

【従来技術の問題点】

上記の構成になる循環式気化器では、リターン通路側へ傾斜した場合、図４に 示すように燃料室内の油面が堰の高さまで下がるためエンジンへの燃料供給量が 減少する、また、さらに大きく傾斜した場合ではメインジェットが油面上に露出 しエンジンストールを招く欠点がある。

【０００４】 本考案は、気化器の傾斜時でも油面の低下が少なく、燃料供給量が減少しない 循環式気化器を提供することを目的とする。

【０００５】

【問題点を解決するための技術手段】

本考案は、前記燃料室の空気量が燃料室全体の容積の１／３以下になるように 燃料室の上壁を油面に近接させるとともに、前記燃料室の上壁と堰との間に形成 されるオーバーフロー通路を介してのみ燃料室とエアベント通路を連通させるこ とを特徴とする。

【０００６】

【作用】

上記の構成によれば、気化器がリターン通路側に所定以上傾斜すると燃料室内 の燃料によりオーバフロー通路が塞がれる。その結果、エアベントから燃料室へ の空気の流入がなくなるため燃料室内の燃料の流出がきわめて少なくなり、油面 の低下が抑えられる。また、燃料室内の空気量が燃料室内の１／３以下に設定さ れているので、気化器が大きく傾斜した時でもメインジェットが油面上に露出す ることがなくエンジンストールが防止される。

【０００７】

【実施例】

以下図面により本考案の一実施例を説明する。図１は本考案の一実施例を示す 縦断面図、図２は図１のＡ−Ａ線断面図である。 １はエンジン本体で、シリンダーブロック２とクランクケース３とで構成され ている。前記シリンダーブロック２の側壁には図示しない吸気ポートが設けられ 、この吸気ポートに接続して循環式気化器６が取り付けられている。４はシリン ダーブロック２と循環式気化器６の間に介されるインシュレータである。また、 クランクケース３の下部には燃料タンク７が取り付けられている。

【０００８】 前記循環式気化器６のボデー１１には吸気路１２が設けられ、該吸気路１２の 上流側は図示しないエアクリーナに接続され、下流側は前記吸気ポートに接続さ れている。前記吸気路１２には絞弁１３がほぼ直交方向に進退自在に設けられ、 該吸気路１２の実効口径が制御される。

【０００９】 また、前記吸気路１２の下方には気化器ボデー１１とチャンバーケース１５と で燃料室１６が形成され、該燃料室１６には前記ボデー１１からメインノズルボ ス１７が突出されている。このメインノズルボス１７にはメインノズル収容孔１ ９が穿設され、この収容孔１９内にメインノズル２０が収容されボス１７下端に 螺着されるメインジェット２１により固定されている。該メインノズル２０の上 端開口は吸気路１２に臨み、下端開口はメインジェット２１を介して燃料室１６ の油面下に連通される。また前記絞弁１３にはジェットニードル２３が垂下され 、該ジェットニードル２３は、前記メインノズル２０内に挿入され、絞弁１３の 進退にともなってメインノズル２０の開口面積を制御している。

【００１０】 前記燃料室１６の側部にはリターン通路２５が設けられ、これらの間には規定 油面高さの堰２６が設けられている。前記燃料室１６とリターン通路２５の間に はワイヤ２７が配設され、このワイヤ２７により常時燃料室１６から少量の燃料 をリターン通路２５へ排出し、エンジンの停止後は自動的に燃料室１６を空にす る。前記リターン通路２５は配管２８を介して燃料タンク７に接続されるととも に、該リターン通路２５の上部には大気圧を導入するエアベント通路３０が連通 されている。

【００１１】 前記燃料室１６は空気量が該室容積の１／３以下になるように、ボデーの下面 で構成される燃料室上壁３２が油面近くに形成される。また、これによって燃料 室１６は、燃料室上壁３２と堰２６との間に形成されるオーバーフロー通路３３ のみを介して前記エアベント通路３０に連通される。

【００１２】 前記循環式気化器６はエンジンの作動圧力により駆動される燃料ポンプ３５を 備えている。この燃料ポンプ３５はポンプダイヤフラム３６と一対のチェック弁 ３７、３８で構成される従来よく知られたダイヤフラムポンプであり、ポンプダ イヤフラム３６の一側に形成された圧力室３９にエンジンの作動圧力を作用させ ることにより、該ポンプダイヤフラム３６を振動させ、燃料を燃料タンク７から 一方のチェック弁３７を経て該ポンプダイヤフラム３６の他側に形成されたポン プ室４０に吸引し、他方のチェック弁３８から燃料通路４１を経て燃料室１６に 圧送している。該燃料室１６の油面が前記堰２６の高さまで達すると、該燃料室 １６の燃料がリターン通路２５へオーバーフローし、一定油面Ｈを形成する。

【００１３】 前記気化器６の外面には手動で押圧可能なプライミングポンプ４３が設けられ 、該ポンプのポンプ室４４は燃料ポンプ３５のポンプ室４０に接続されている。 従って前記プライミングポンプ４３を繰り返し押すと燃料ポンプ３５のチェック 弁３７、３８との共同作用により燃料タンク７の燃料が燃料室１６へ供給される 。

【００１４】 以下、上記実施例の作用を説明する。 上記の構成によれば、気化器６がリターン通路２５側に所定以上傾斜すると燃 料室１６内の燃料によりオーバーフロー通路３３が塞がれる。その結果、図３に 示されるようにエアベント通路３０から燃料室１６への空気の流入がなくなるた め燃料室１６内の燃料の流出がきわめて少なくなり、油面Ｈの低下が抑えられる 。また、燃料室１６内の空気量が燃料室１６内の１／３以下に設定されているの で、気化器６が大きく傾斜した時でもメインジェットが油面上に露出することが なくエンジンストールが防止される。

【００１５】

【考案の効果】

以上詳述したように本考案によれば、前記燃料室の空気量が燃料室全体の容積 の１／３以下になるように燃料室の上壁を油面に近接させるとともに、前記燃料 室の上壁と堰との間に形成されるオーバーフロー通路を介してのみ燃料室とエア ベント通路が連通されるように構成したので、循環式気化器がリターン通路側へ 所定以上傾斜した場合、前記オーバーフロー通路が燃料室内の燃料により塞がれ る。その結果燃料室への空気の流入が阻止され、燃料室内の油面の低下がきわめ て小さくなる。また、少なくとも燃料室の２／３以上を燃料で占めるので気化器 が大きく傾斜した場合でもメインジェットが油面上に露出することがなく、燃料 切れの発生がなく、エンジンストールを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】本考案の傾斜時の油面を示す説明図。

【図４】従来の循環式気化器の傾斜時の状態を示す説明
図。

【符号の説明】

１ エンジン本体 ６ 循環式気化器 １６ 燃料室 ２５ リターン通路 ２６ 堰 ３０ エアベント通路 ３２ 燃料室 ３３ オーバーフロー通路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 気化器ボデーとチャンバーケースとで形
   成される燃料室と、該燃料室の側部に形成されるリター
   ン通路と、燃料室とリターン通路の間に設けられる堰と
   を備え、燃料ポンプにより燃料室へ供給される燃料が堰
   からオーバーフローすることにより燃料室に一定油面を
   形成し、このオーバーフローした燃料はリターン通路を
   経て燃料タンクへ戻されるようにした循環式気化器にお
   いて、前記燃料室の空気量が燃料室全体の容積の１／３
   以下になるように燃料室の上壁を油面に近接させるとと
   もに、前記燃料室の上壁と堰との間に形成されるオーバ
   ーフロー通路を介してのみ燃料室とエアベント通路が連
   通されることを特徴とする循環式気化器。