JPH0784056A - 放射線検出器 - Google Patents

放射線検出器

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JPH0784056A
JPH0784056A JP5233266A JP23326693A JPH0784056A JP H0784056 A JPH0784056 A JP H0784056A JP 5233266 A JP5233266 A JP 5233266A JP 23326693 A JP23326693 A JP 23326693A JP H0784056 A JPH0784056 A JP H0784056A
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radiation
radiation detector
scintillator
solid
image
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Toshitaka Agano
俊孝 阿賀野
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 放射線検出器において、放射線の検出効率を
高め、さらには、1ショットエネルギーサブトラクショ
ンを行えるようにする。 【構成】 被写体6を透過したX線5は、放射線検出器
1に照射される。X線5は構成単位1Aを構成するシンチ
レータ3Aに照射され、シンチレータ3Aは照射されたX線
5の強度に応じた強度の可視光を発光し、この可視光は
固体光検出器2Aを構成する各固体光検出素子により検出
され画像信号SAが出力される。構成単位1Aに照射され
たX線5のうち、シンチレータ3Aにより変換されなかっ
たものは、固体光検出器2Aを透過して構成単位1Bに到達
し、シンチレータ3Bにより可視光に変換され、固体光検
出器2Bにより検出され、画像信号SBが出力される。画
像信号SA,SBは情報処理手段7に入力されて所定の
割合により重ね合わせられ再生手段8において可視像と
して再生される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放射線検出器、とくに詳
細には照射された放射線を画像信号に変換して出力する
放射線検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、医療診断を目的とする放射線
撮影の医療用放射線撮影、物質の被破壊検査等を目的と
する工業用放射線撮影等の種々の分野における放射線撮
影において、増感紙と放射線写真フイルムとを組合せた
いわゆる放射線写真法が利用されている。この方法によ
れば、被写体を透過したX線等の放射線が増感紙に入射
すると,増感紙に含まれる蛍光体はこの放射線のエネル
ギーを吸収して蛍光(瞬時発光)を発する。この発光に
より、増感紙に密着させるように重ね合わされた放射線
写真フイルムが感光し、放射線写真フイルム上には放射
線画像が形成される。このようにして放射線画像は直接
に放射線フイルム上に可視化された画像として得ること
ができる。
【0003】一方、放射線写真フイルムに記録された放
射線画像を光電的に読み取って画像信号を得、この画像
信号に適切な画像処理を施した後、画像を再生記録する
ことが種々の分野で行われている。たとえば、後の画像
処理に適合するように設計されたガンマ値の低いフイル
ムを用いてX線画像を記録し、このX線画像が記録され
たフイルムからX線画像を読み取って電気信号に変換
し、この電気信号(画像信号)に画像処理を施した後コ
ピー写真等に可視像として再生することにより、コント
ラスト,シャープネス,粒状性等の画質性能の良好な再
生画像を得ることが行われている(特公昭61-5193 号公
報参照)。
【0004】また本願出願人により、放射線(X線,α
線,β線,γ線,電子線,紫外線等)を照射するとこの
放射線エネルギーの一部が蓄積され、その後可視光等の
励起光を照射すると蓄積されたエネルギーに応じて輝尽
発光を示す蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、
人体等の被写体の放射線画像情報を一旦シート状の蓄積
性蛍光体に記録し、この蓄積性蛍光体シートをレーザー
光等の励起光で走査して輝尽発光光を生ぜしめ、得られ
た輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この
画像データに基づき被写体の放射線画像を写真感光材料
等の記録材料、CRT等に可視像として出力させる放射
線画像記録再生システムがすでに提案されている(特開
昭55-12429号,同56-11395号,同55-163472 号,同56-1
04645 号,同55- 116340号等)。
【0005】このシステムは、従来の銀塩写真を用いる
放射線写真システムと比較して極めて広い放射線露出域
にわたって画像を記録しうるという実用的な利点を有し
ている。すなわち、蓄積性蛍光体においては、放射線露
光量に対して蓄積後に励起によって輝尽発光する発光光
の光量が極めて広い範囲にわたって比例することが認め
られており、従って種々の撮影条件により放射線露光量
がかなり大幅に変動しても、蓄積性蛍光体シートより放
射される輝尽発光光の光量を読取ゲインを適当な値に設
定して光電変換手段により読み取って電気信号に変換
し、この電気信号を用いて写真感光材料等の記録材料、
CRT等の表示装置に放射線画像を可視像として出力さ
せることによって、放射線露光量の変動に影響されない
放射線画像を得ることができる。
【0006】しかしながら、上述した放射線写真システ
ムにより放射線画像を得るためには、上述した放射線画
像を直接可視化する際に、撮影に用いる放射線写真フイ
ルムと増感紙との感度領域を一致させて撮影を行う必要
がある。
【0007】また、上述した放射線写真フイルム、蓄積
性蛍光体シートを用いて光電的に放射線画像を読み取る
システムにおいては、上述したように放射線画像に画像
処理をおこなって目的に応じた濃度およびコントラスト
を有するように調整したり、放射線画像を一旦電気信号
に変換しなければならず、そのための画像読取装置を用
いて読取り走査を行う必要があり、放射線画像を得るた
めの操作が煩雑なものとなり、放射線画像を得るまでの
時間がかかるものとなっている。
【0008】そこで、従来のシステムにおける上記のよ
うな問題点を解決するために、放射線検出器が提案され
ている(例えば特開昭59-211263 号公報、特開平2-1640
67号公報、PCT国際公開番号WO92/06501号、Signa
l,noise,and read out considerations in the develop
ment of amorphous silicon photodiode arraysfor rad
iotherapy and diagnostic x-ray imaging ,L.E.Anton
uk et.al ,University of Michigan,R.A.Street Xero
x,PARC,SPIE Vol.1443 Medical Imaging V;Image Phy
sics(1991) ,p.108-119 )。
【0009】この放射線検出器は、例えば厚さ3mm の石
英ガラスからなる基板にアモルファス半導体膜を挟んで
透明導電膜と導電膜とからなるマトリクス状に配された
複数の固体光検出素子および互いに直交するようにマト
リクス状にパターン形成された複数の信号線と走査線と
から構成されている固体光検出器に、放射線を可視光に
変換するシンチレータを積層することにより構成されて
なるものである。
【0010】この放射線検出器をシンチレータが放射線
入射側の面を向くように配置し、放射線検出器に被写体
を透過した放射線を照射することにより、放射線がシン
チレータに直接入射して可視光に変換され、この変換さ
れた可視光が各固体光検出素子の光電変換部により検出
されて放射線画像情報を担持する画像信号に光電変換さ
れる。この画像信号は、各固体光検出素子に設けられた
転送部から所定の読出手段により読み出され、所定の画
像処理がなされた後にCRT等の再生手段により再生さ
れる。このような放射線検出器を用いることにより、被
写体の放射線画像を煩雑な操作を行うことなく直ちに再
生することができるため、直ちにリアルタイムで放射線
画像を得ることができ、上述した従来のシステムの欠点
を解消することができる。
【0011】一方、上述した放射線検出器において、シ
ンチレータを除去し、直接放射線を検出するタイプのも
のも提案されている。例えば、(i) 放射線の透過方向の
厚さが通常のものより10倍程度厚く設定された固体光検
出器(MATERIAL PARAMETERS IN THICK HYDROGENATED AM
ORPHOUS SILICON RADIATION DETECTORS,Lawrence Berke
ley Laboratory.University ofCalifornia,Berkeley.CA
94720 Xerox Parc.Palo Alto.CA 94304) 、あるいは、
(ii)放射線の透過方向に、金属板を介して2つ以上積層
された固体光検出器(Metal/Amorphous Silicon Multila
yer Radiation Detectors,IEE TRANSACTIONS ONNUCLEAR
SCIENCE.VOL.36.NO.2.APRIL 1989) 、あるいは、(iii)
CdTe等の半導体放射線検出器(特開平1-216290号
公報)等が提案されている。このような放射線検出器は
シンチレータを介すことなく直接に放射線を検出して電
気信号等に変換して出力するものであり、上述したシン
チレータを用いた放射線検出器と同様に上述した放射線
写真システムの欠点を解消することができる。
【0012】一方、同一被写体に対して相異なるエネル
ギー分布を有するX線を照射せしめ、被写体の特定の構
造物(例えば、臓器、骨、血管等)が特有のX線エネル
ギー吸収特性を有することを利用して特定の構造物が異
なって描出された2つの画像信号を得、その後この2つ
の画像信号に適当な重みづけをした上で両信号間で引き
算(サブトラクト)を行い特定の構造物の画像を抽出す
る、いわゆるエネルギーサブトラクション方法が知られ
ている(例えば特開昭59-83486号)。
【0013】この方法は、2枚の蓄積性蛍光体シートに
それぞれ放射線の高エネルギー成分、低エネルギー成分
を担持する放射線画像を同時に蓄積記録する1ショット
エネルギーサブトラクションを行い、各蓄積性蛍光体シ
ートから被写体の放射線画像を担持する画像信号を得、
各画像信号間で減算処理を行うことにより、被写体の特
定の構造物が強調された画像を得るものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た放射線検出器においては、照射された放射線の全てが
画像信号に変換されるものではなく、ある程度の放射線
は変換されないまま放射線検出器を透過してしまうた
め、放射線の検出効率はそれほど高いものではなかっ
た。また、上述した放射線検出器は、固体光検出素子と
信号線とをマトリクス状に構成してなるものであるた
め、各固体光検出素子の間を可視光が透過してしまうこ
とがあり、この点においても放射線の検出効率はそれほ
ど高いものではなかった。
【0015】また、上述したエネルギーサブトラクショ
ンを行う場合は、放射線の高エネルギー成分を担持する
画像信号と低エネルギー成分を担持する画像信号とが必
要であるが、上述した放射線検出器においては、高エネ
ルギー成分、低エネルギー成分を担持する画像を同時に
得ることができないため、2回撮影を行ういわゆる2シ
ョトエネルギーサブトラクションを行う必要がある。し
かしながら、2ショトエネルギーサブトラクションを行
うと、対応する2つの画像間に位置ずれが生じることが
あり、結果として良好なサブトラクション画像が得られ
なくなるという問題がある。
【0016】本発明は上記事情に鑑み、放射線検出器の
放射線の検出効率を向上させるとともに、いわゆる1シ
ョットエネルギーサブトラクションを行うことができる
放射線検出器を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の放射
線検出器は、画像情報を担持する放射線を検出して全体
として該画像情報を担持する画像信号に変換して出力す
る2次元状に配された多数の固体光検出素子を有する放
射線検出器構成単位を複数積層させてなることを特徴と
するものである。
【0018】ここで、放射線検出器とは前述したような
照射された放射線を可視光に変換するシンチレータとシ
ンチレータの各部により変換された可視光を検出して被
写体の放射線画像を担持する画像信号に光電変換して出
力する固体光検出器とを積層させたもの、およびシンチ
レータを配することなく直接放射線を検出して画像信号
を出力するもののいずれをも含むものである。
【0019】また、本発明による第2の放射線検出器
は、本発明による第1の放射線検出器において、前記各
放射線検出器構成単位を構成する多数の固体光検出素子
が互いに重ならないように該各構成単位を配したことを
特徴とするものである。
【0020】さらに、本発明による第3の放射線検出器
は、本発明による第1または第2の放射線検出器におい
て、前記各放射線検出器構成単位から出力される各画像
信号に対して所定の重み付けを行う重み付け手段をさら
に備えたことを特徴とするものである。
【0021】また、本発明による第4の放射線検出器
は、本発明による第1、第2または第3の放射線検出器
において、前記放射線検出器構成単位が、前記画像情報
を担持する放射線を可視光に変換する平面状のシンチレ
ータと該シンチレータに積層された該シンチレータの各
部により変換された可視光をそれぞれ検出して前記画像
情報を担持する画像信号に変換して出力する多数の固体
光検出素子を有する固体光検出器とからなることを特徴
とするものである。
【0022】また、本発明による第5の放射線検出器
は、本発明による第4の放射線検出器において、前記放
射線が照射される側の最も外側に置かれた前記放射線検
出器構成単位を構成するシンチレータと、該放射線検出
器構成単位を構成するシンチレータ以外のシンチレータ
とが、放射線の低エネルギー成分吸収特性が異なるもの
であり、前者が後者よりも放射線の低エネルギー成分吸
収特性が高いことを特徴とするものである。
【0023】さらに、本発明による第6の放射線検出器
は、本発明による第4の放射線検出器において、前記各
放射線検出器構成単位を構成する各シンチレータの間の
少なくとも一個所に、放射線の低エネルギー成分吸収物
質からなるフィルタを介在せしめたことを特徴とするも
のである。
【0024】また、本発明による第7の放射線検出器
は、本発明による第4の放射線検出器において、前記放
射線が被写体を透過し、該被写体の画像情報を担持する
放射線であり、本発明による前記各放射線検出器構成単
位を構成する各シンチレータの間の少なくとも一個所
に、前記放射線の透過率が前記被写体の所望とする部位
により異なる補償フィルタを介在せしめたことを特徴と
するものである。
【0025】
【作用】本発明による第1の放射線検出器は、前述した
放射線検出器構成単位を複数積層させたため、放射線検
出器構成単位により変換されることなくこの構成単位を
透過した放射線は、この構成単位の後段の構成単位によ
り画像信号に変換されることとなる。さらに、この構成
単位により変換されなかった放射線はさらに後段の構成
単位により検出されることとなる。これにより、放射線
検出器に照射された放射線が無駄なく検出されることと
なり、放射線の検出効率を向上させることができる。
【0026】また、本発明による第2の放射線検出器
は、多数の固体光検出素子が互いに重ならないように各
構成単位を配したため、各構成単位に検出されることな
く固体光検出素子の間を透過した放射線は次段の構成単
位により検出されることとなり、放射線検出器に照射さ
れた放射線の検出効率を向上させることができる。
【0027】さらに、本発明による第3の放射線検出器
は、前述した重み付け手段により各放射線検出器構成単
位から出力される各画像信号に対して所定の重み付けを
行うようにしたため、この重み付けを変化させて例えば
各画像信号を加算したときのトータルノイズが最小とな
るような重み付けをすることができる。
【0028】また、本発明による第4の放射線検出器
は、放射線検出器をシンチレータと固体光検出器とを積
層させて構成するようにしたものであるため、以下に示
すようなエネルギーサブトラクション処理を容易に行う
ことができる。すなわち、本発明による第5および第6
の放射線検出器は、本発明による第4の放射線検出器に
おいて、放射線が照射される側の最も外側に置かれた放
射線検出器構成単位を構成するシンチレータと、この構
成単位を構成するシンチレータ以外のシンチレータと
が、放射線の低エネルギー成分吸収特性が異なるもので
あり、前者を後者よりも放射線の低エネルギー成分吸収
特性を高くした、あるいは、各放射線検出器構成単位を
構成する各シンチレータの間の少なくとも一個所に、放
射線の低エネルギー成分吸収物質からなるフィルタを介
在せしめたため、いわゆる1ショットエネルギーサブト
ラクションを行うことができる。
【0029】さらに、本発明による第7の放射線検出器
は、各構成単位を構成する各シンチレータの間の少なく
とも一個所に、前述した補償フィルタを介在せしめたた
め、空間的に放射線の透過率をコントロールすることが
できる。例えば、被写体を人の肺野部のように、観察対
象領域が低濃度域から高濃度域の広い濃度域に亘ってい
る場合であっても、肺野の部分の放射線透過率を下げ、
縦隔部野透過率を向上させることにより、各構成単位よ
り得られる画像信号のダイナミックレンジを圧縮して観
察対象濃度域を広げ、観察読影適性に優れた放射線画像
を得ることができる。
【0030】
【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例について
説明する。
【0031】図1は本発明による放射線検出器の第1実
施例を表す図である。図1に示すように本発明の実施例
による放射線検出器1は、平面状のシンチレータ3A,3B
のそれぞれと積層させた固体光検出器2A,2Bとからなる
放射線検出器構成単位1A,1Bを積層させてなるもので
ある。
【0032】ここで、固体光検出器2A,2Bの詳細につ
いて説明する。図2は固体光検出器の詳細を表す図であ
る。なお、固体光検出器2A,2Bの構成は同一であるため
ここでは固体光検出器2Aについてのみ説明する。図2に
示すように固体光検出器2Aは複数の固体光検出素子18か
らなるものであり、固体光検出素子18は、樹脂シートか
らなる基板11の上にパターン成形した導電膜からなる信
号線12A ,12B があり、アモルファスシリコン13と透明
電極14とからなる光電変換部としてのフォトダイオード
15、アモルファスシリコン16およびアモルファスシリコ
ン13内に設けられた転送電極16A (ゲート)からなる転
送部としての薄膜トランジスタ17により構成されてなる
ものである。そしてこのように構成された固体光検出素
子18を2次元状に複数配置することにより固体光検出器
2が構成され、この固体光検出器2をGd2 2 S,C
sI等の蛍光体からなるシンチレータ3Aと積層させるこ
とにより放射線検出器構成単位1Aが構成されているもの
である。ここで、樹脂シート11の厚さは数百ミクロン程
度であり、X線吸収率は低いものである。また、アモル
ファスシリコン13の厚さは1ミクロン程度である。
【0033】X線源4より発せられたX線5は被写体6
に照射され、被写体6を透過する。被写体6を透過した
X線5は放射線検出器1に照射される。放射線検出器1
に照射されたX線5は、まず放射線検出器構成単位1Aを
構成するシンチレータ3Aに照射される。シンチレータ3A
は照射されたX線5の強度に応じた強度の可視光を発光
し、固体光検出器2Aを構成する各固体光検出素子18の光
電変換部としてのフォトダイオード15により受光され
る。そしてこの可視光が光電変換され発光強度に応じて
フォトダイオード15内に信号電荷が蓄積される。その後
転送部からこの信号電荷が読み出され、電気信号として
の画像信号SAが出力される。
【0034】一方、放射線検出器構成単位1Aに照射され
たX線5のうち、シンチレータ3Aにより変換されなかっ
たものは、固体光検出器2Aを透過して放射線検出器構成
単位1Bに到達し、シンチレータ3Bにより可視光に変換さ
れ、固体光検出器2Bを構成する各固体光検出素子18の光
電変換部としてのフォトダイオード15により受光され
る。そしてこの可視光が光電変換され発光強度に応じて
フォトダイオード15内に信号電荷が蓄積される、その後
この信号電荷が読み出され、電気信号としての画像信号
SBが出力される。
【0035】出力された画像信号SA,SBは情報処理
手段7に入力されて所定の重み付けがなされて重ね合わ
せられる。すなわち、 S=k1・SA+k2・SB …(1) 但し、k1,k2:重み係数 なる演算が行われ、画像信号Sが得られる。さらにこの
画像信号Sに対して画像処理等がなされ、処理がなされ
た処理済画像信号S′は再生手段8に入力されて被写体
6の放射線画像が可視像として再生される。
【0036】なお、再生手段8としては、CRT等の電
子的に表示するもの、CRT等に表示された放射線画像
をビデオプリンタ等に記録するものなど種々のものを採
用することができる。また、被写体6の放射線画像は磁
気テープ、光ディスク等に記録保存するようにしてもよ
い。
【0037】このように、2つの放射線検出器構成単位
を積層させてX線の検出を行うことにより、最初の段の
シンチレータにより可視光に変換されなかったX線を次
段の構成単位のシンチレータにより可視光に変換して検
出することができるため、照射されたX線の検出効率を
向上させることができる。また、得られた2つの画像信
号に対して所定の重み付け(例えばトータルノイズを最
小にするような係数を乗じる)をすることにより、得ら
れる放射線画像を所望とする画質とすることができる。
【0038】次いで、本発明の第2実施例について説明
する。図3は本発明による放射線検出器の第2実施例に
よる放射線検出器の固体光検出器を構成する固体光検出
素子を放射線が照射される側から見た図である。図3に
示すように本発明の第2実施例による放射線検出器は、
2つの放射線検出器構成単位の固体光検出器を構成する
複数の固体光検出素子を互いに重ならないように配した
ものである。
【0039】このように各固体光検出器の固体光検出素
子を互いに重ならないように配することにより、前段の
固体光検出器の固体光検出素子の間を透過した放射線
は、次段の固体光検出器の固体光検出素子により検出さ
れることとなり、放射線検出器に照射されたX線の検出
効率を向上させることができる。
【0040】次いで、本発明の第3実施例について説明
する。図4は本発明による放射線検出器の第3実施例を
表す図である。図4に示すように本発明の第3実施例に
よる放射線検出器は、2つの放射線検出器構成単位1
A′,1B′との間に、放射線の低エネルギー吸収物質か
らなるフィルタ9を配したものである。なお。図4にお
いては、図1に示す本発明の第1実施例による放射線検
出器と同一の構成については参照番号に「′」を付して
示し、ここでは詳細な説明は省略する。
【0041】X線源4′より発せられたX線5′は被写
体6′に照射され、被写体6′を透過する。被写体6′
を透過したX線5′は放射線検出器1′に照射される。
放射線検出器1′に照射されたX線5′は、まず放射線
検出器構成単位1A′を構成するシンチレータ3A′に照射
される。シンチレータ3A′は照射されたX線5′の強度
に応じた強度の可視光を発光し、固体光検出器2A′を構
成する各固体光検出素子18の光電変換部としてのフォト
ダイオード15により受光される。そしてこの可視光が光
電変換され発光強度に応じてフォトダイオード15内に信
号電荷が蓄積される。その後転送部からこの信号電荷が
読み出され、電気信号としての画像信号SAが出力され
る。
【0042】放射線検出器構成単位1Aを透過したX線
5′は、フィルタ9を透過するが、フィルタ9はX線の
低エネルギー成分吸収物質を含んでいるため、フィルタ
9を透過したX線5′は低エネルギー成分が低減し、高
エネルギー成分が強調された状態になっている。その後
このフィルタ9を透過したX線5′は放射線検出器構成
単位2B′に到達し、この構成単位2B′からX線5′の低
エネルギー成分に係わる画像情報が低減した被写体6′
の放射線画像を担持する画像信号SB′が出力される。
このようにして得られた被写体6′の放射線画像を担持
する画像信号SA′,SB′に所定の重み付けをして減
算処理することにより、被写体6′の所望とする部分が
抽出された放射線画像が得られ、いわゆる1ショットエ
ネルギーサブトラクションを行うことができる。
【0043】なお、上述した本発明による放射線検出器
の第1実施例においても、例えば放射線検出器構成単位
1Aを構成するシンチレータ3Aに放射線の低エネルギー吸
収物質を含有させることにより構成単位1Bに検出される
放射線は構成単位1Aにより検出される放射線と比較して
低エネルギー成分が低減されたものとなり、各構成単位
1A,1Bから得られる画像信号SA,SBについて重み付
け減算処理を行うことによりエネルギーサブトラクショ
ン画像を得ることができる。
【0044】なお、上述した本発明の第4実施例の構成
において、X線の低エネルギー成分を吸収するフィルタ
9のかわりに、X線の透過率が被写体の所望とする部位
により異なる補償フィルタを介在せしめるようにしても
よい。この補償フィルタとは、例えば所望とする被写体
の部位が肺野部である場合には、図5に示すような補償
フィルタ19において、肺野部分19A についてはX線の透
過率を低減させ、縦隔部19B についてはX線の透過率を
向上させるように空間的にX線の透過率をコントロール
できるフィルタをいう。この図5に示すような補償フィ
ルタ19を各放射線検出器構成単位の間に介在せしめて、
被写体の放射線画像の撮影を行うことにより、観察対象
領域が低濃度域から高濃度域の広い濃度域に亘っている
場合であっても、各構成単位より得られる画像信号に基
づいて再生される放射線画像は、ダイナミックレンジが
圧縮された画像となり、観察対象濃度域の広い観察読影
適性に優れた放射線画像となるものである。
【0045】なお、上述した実施例においては、放射線
検出器構成単位を2つ積層させて放射線検出器を構成す
るようにしているが、構成単位は複数であればいくつ積
層させるようにしてもよいものである。このように複数
の構成単位を積層させることにより放射線検出器に照射
される放射線の検出効率をさらに向上させることができ
る。また、このように2以上の複数の放射線検出器構成
単位を積層させた場合、上述した放射線の低エネルギー
成分吸収フィルタ、あるいは補償フィルタは構成単位の
間であればいずれの構成単位の間であってもよく、また
構成単位の数に応じて複数のフィルタを介在せしめるよ
うにしてもよい。
【0046】さらに、2以上の複数の放射線検出器構成
単位を積層させて構成した放射線検出器において、被写
体に最も近い位置に置かれたシンチレータと、このシン
チレータ以外のシンチレータとの放射線の低エネルギー
成分吸収特性を異なるものとする場合、被写体に最も近
い位置に置かれたシンチレータ以外のシンチレータであ
ればいかなるシンチレータのエネルギー成分吸収特性を
異なるものとしてもよく、さらに、複数のシンチレータ
の低エネルギー成分吸収特性を異なるものとするように
してもよい。
【0047】また、上述した実施例においては、シンチ
レータと固体光検出器との組み合わせからなる放射線検
出器を用いているが、とくにこれに限定されるものでは
なく、例えば、前述した特開平1-216290号公報等に開示
されているような、シンチレータを介することなく放射
線を直接検出して画像信号に光電変換して出力するタイ
プの放射線検出器を用いてもよいものである。
【0048】さらに、上述した実施例においては、半導
体層としてアモルファスシリコン層を用いているが、こ
れに限定されるものではなく、いかなる半導体層を用い
るようにしてもよいものである。
【0049】また、上述した本発明による放射線検出器
の第3実施例においては、各放射線検出器構成単位の間
に放射線の低エネルギー成分を吸収するフィルタを配す
るようにしているが、各放射線検出器構成単位のシンチ
レータの間であればいかなる位置に介在せしめるように
してもよいものである。
【0050】また、上述した実施例においては、被写体
を透過して照射された放射線を検出することによって被
写体の放射線画像を得るために用いられているが、これ
に限定されるものではなく、例えば、被検体自身から発
せられる放射線を検出することにより被検体の放射線画
像を得るいわゆるオートラジオグラフィーにも適用でき
るものである。
【0051】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る放射線検出器は、複数の放射線検出器構成単位を積層
するようにしたため、一つの放射線検出器構成単位を透
過した放射線は他の構成単位により検出されることとな
り、一つの放射線検出器構成単位により放射線を検出す
る場合よりも放射線の検出効率を向上させることができ
る。
【0052】また、各構成単位の固体光検出素子を互い
に重ならないように配することにより、前段の構成単位
の固体光検出素子の間を透過した放射線は、次段の構成
単位の固体光検出素子により検出されるため、これによ
っても放射線の検出効率を向上させることができる。
【0053】さらに、放射線検出器構成単位をシンチレ
ータと固体光検出器とを積層させたものとし、各構成単
位間の少なくとも一個所に放射線の低エネルギー成分吸
収物質からなるフィルタを介在せしめる、あるいは放射
線が照射される側の最も外側に置かれた構成単位を構成
するシンチレータを、放射線の低エネルギー成分吸収特
性が高いものとし、各構成単位より得られた画像信号間
において重み付け減算を行うことによりエネルギーサブ
トラクション画像を得ることができる。
【0054】また、各構成単位間に前述した補償フィル
タを介在せしめることにより、被写体の所望とする部位
の放射線透過率を変化させることができ、ダイナミック
レンジの圧縮された観察読影適性に優れた放射線画像を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放射線検出器の第1実施例を表す
【図2】本発明に用いられる放射線検出器を構成する固
体光検出器を表す一部拡大図
【図3】本発明による放射線検出器の第2実施例を表す
【図4】本発明による放射線検出器の第3実施例を表す
【図5】補償フィルタを表す図
【符号の説明】
1,1′ 放射線検出器 2A,2B,2A′,2B′ 固体光検出器 3A,3B,3A′,3B′ シンチレータ 4,4′ X線源 5,5′ X線 6,6′ 被写体 7,7′ 情報処理手段 8,8′ 再生手段 9 低エネルギー成分吸収フィルタ 18 固体光検出素子 SA,SB,SA′,SB′,S,S′ 画像信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 31/09 H04N 5/32

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像情報を担持する放射線を検出して全
    体として該画像情報を担持する画像信号に変換して出力
    する2次元状に配された多数の固体光検出素子を有する
    放射線検出器構成単位を複数積層させてなることを特徴
    とする放射線検出器。
  2. 【請求項2】 前記各放射線検出器構成単位を構成する
    多数の固体光検出素子が互いに重ならないように該各構
    成単位を配したことを特徴とする請求項1記載の放射線
    検出器。
  3. 【請求項3】 前記各放射線検出器構成単位から出力さ
    れる各画像信号に対して所定の重み付けを行う重み付け
    手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2
    記載の放射線検出器。
  4. 【請求項4】 前記放射線検出器構成単位が、前記画像
    情報を担持する放射線を可視光に変換する平面状のシン
    チレータと該シンチレータに積層された該シンチレータ
    の各部により変換された可視光をそれぞれ検出して前記
    画像情報を担持する画像信号に変換して出力する多数の
    固体光検出素子を有する固体光検出器とからなることを
    特徴とする請求項1,2または3記載の放射線検出器。
  5. 【請求項5】 前記放射線が照射される側の最も外側に
    置かれた前記放射線検出器構成単位を構成するシンチレ
    ータと、該放射線検出器構成単位を構成するシンチレー
    タ以外のシンチレータとが、放射線の低エネルギー成分
    吸収特性が異なるものであり、前者が後者よりも放射線
    の低エネルギー成分吸収特性が高いことを特徴とする請
    求項4記載の放射線検出器。
  6. 【請求項6】 前記各放射線検出器構成単位を構成する
    各シンチレータの間の少なくとも一個所に、放射線の低
    エネルギー成分吸収物質からなるフィルタを介在せしめ
    たことを特徴とする請求項4記載の放射線検出器。
  7. 【請求項7】 前記放射線が、被写体を透過し該被写体
    の画像情報を担持する放射線であり、前記各放射線検出
    器構成単位を構成する各シンチレータの間の少なくとも
    一個所に、前記放射線の透過率が前記被写体の所望とす
    る部位により異なる補償フィルタを介在せしめたことを
    特徴とする請求項4記載の放射線検出器。
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